文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
ステンレス鋼線並びに金属繊維(ナスロン)を主力製品とする当社グループは、長年に亘り培ってきた技術力と新しい分野への挑戦により、お客様にとって価値のある商品とサービスの提供を通じて社会の発展に貢献することを経営の基本理念としております。
また、株主並びにお取引先など、内外の関係先からの信頼と期待に応えるため、常に市場の変化に迅速に対応できる柔軟な経営体制の構築を通じて、安定した収益基盤の維持・拡大を図るべく事業活動を展開してまいります。
(2)経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、平成33年3月期を最終年度とする『第14次中期計画(NSR20)』を新たに策定いたしました。その骨子は、「日本精線リニューアル」のスローガンのもと、高機能・独自製品の上方弾力確保及び拡販と持続的成長のための生産基盤強化により、最終年度の連結経常利益55億円、連結ROS及び同ROA10%以上等の経営目標達成を目指すものであります。
(3)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
世界経済は引き続き堅調に推移するものと思われますが、米国等の保護主義的な政策の影響や金融市場の動向、また世界的な地政学的リスクの高まりなど、世界経済の不確実性は増大しており、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。また、業界特有の問題として、当社グループの主力製品であるステンレス鋼線は、中国や韓国のステンレス鋼線メーカーとの競争激化による収益低下などの懸念があり、加えてニッケル価格に起因する原材料価格の変動リスクなど厳しい環境下に置かれております。また、金属繊維(ナスロン)も化合繊維向けなどの一般汎用製品については競争が激しくなってきております。
当社グループでは、斯かる経営環境に対応するべく、より筋肉質な企業基盤を目指し、既述の『第14次中期計画(NSR20)』の課題に鋭意取り組んでまいります。
具体的には、ステンレス鋼線部門において、販売面では国内外市場に対し、ばね用材や極細線をはじめとする高機能製品、自動車向け耐熱ボルト用材や高合金線などの独自製品の拡販に加え、新用途製品の立ち上げを推進してまいります。一方、生産面では需要家のグローバル展開に対応した海外2工場の競争力強化や、東大阪・枚方工場リニューアルの推進等により、引き続き国内外の最適生産体制の構築を進めてまいります。開発面では当社グループの保有する技術力・ノウハウに大同特殊鋼グループの技術力を結集することによる新製品開発の強化や新規事業の確立などに引き続き取り組んでまいります。
金属繊維部門では、中国・韓国の現地法人の活用等による海外市場への拡販、また、国内でもより高機能化・高精度化する需要に応えるべく技術開発を継続してまいります。
さらには、環境・医療・エネルギー関連など幅広い分野での新製品開発などにも鋭意取り組んでまいります。
以上により、収益の一段の向上を図るとともに、事業のグローバル化推進や高度化・多様化する顧客ニーズへの対応などにより、『さらなる企業価値の向上』を目指してまいります。
当社グループの経営成績及び財政状態などに影響を及ぼす可能性のあるリスクとしては、関連業界の市場動向、各販売地域における景気変動、海外進出地域における政変、当社グループの拠点における地震や水害などによる人的及び物的被害が会社業績に及ぼす影響、設備投資や営業活動状況の変動によるキャッシュ・フローの変動、国際市況の影響による原材料価格の変動、競合優位性の確保並びに新技術・新製品の開発に係る能力の変動、異業種からの代替製品開発による参入、環境規制などへの対応コストの増加、製品の欠陥による対応コストの発生などが挙げられます。
当社グループでは、リスク発生の回避及び発生した場合の影響を軽微にすべく努めておりますが、完全に回避または軽微にすることが困難な場合には、経営成績及び財政状態に影響を受ける可能性があります。
(注)事業等のリスクについては、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や所得・雇用環境の改善に支えられ、緩やかな回復基調で推移しました。また米国の政策動向や世界的に高まる地政学的リスク、金融市場の動向など景気の下振れ懸念はあったものの、世界経済は欧米や中国をはじめ概ね堅調に推移しました。
当社及び連結子会社(以下「当社グループ」という。)が属するステンレス鋼線業界では、各業種の需要が総じて堅調であったため、業界出荷数量は前期比増加となりました。また、LMEニッケル価格は緩やかな上昇となりました。
このような状況の中、当社グループでは、連結経常利益40億円以上、連結経常利益率(ROS)10%以上などを経営目標とする『第13次中期計画(SR17)』(最終年度平成30年3月期)の達成に向け、収益の一段の向上に鋭意取り組んでまいりました。
売上高は、主力のステンレス鋼線部門が、販売数量の増加に加えニッケル価格変動に伴う販売価格引き上げ効果などにより前期比増収となり、金属繊維部門もナスロンフィルター及び超精密ガスフィルター(ナスクリーン)が好調に推移して前期比増収となった結果、当期の売上高は374億51百万円(前期比17.8%増)と過去最高となりました。損益につきましても販売数量の増加に伴う工場操業度の改善などにより営業利益40億4百万円(同56.4%増)、経常利益40億26百万円(同58.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益28億14百万円(同58.9%増)と何れも過去最高益を更新いたしました。
事業部門別の業績は、次のとおりであります。
ステンレス鋼線
SR17の重点施策である高機能・独自製品の拡販に加え、主に自動車関連需要が好調であったことなどにより販売数量は増加しました。また、ニッケル価格変動に伴う販売価格引き上げ効果などもあり、ステンレス鋼線の売上高は308億49百万円(前期比16.7%増)となりました。
金属繊維
ナスロンフィルターは、ポリエステルフィルム向けに加え、化合繊維向けや高機能樹脂用途についても堅調に推移したため増収となりました。また、超精密ガスフィルター(ナスクリーン)も韓国や台湾での半導体メーカーを中心とした設備投資が引き続き好調に推移したため大幅な増収となりました。
この結果、金属繊維の売上高は66億2百万円(前期比22.8%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。なお、セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高の相殺消去前の金額を記載しております。
日本
主力のステンレス鋼線部門では、販売数量の増加及び販売価格の引き上げ等により売上高は増収となりました。金属繊維部門につきましても、ナスロンフィルター及び超精密ガスフィルター(ナスクリーン)が好調に推移した結果、売上高は増収となりました。
これらの結果、売上高は352億7百万円(前期比15.8%増)となりました。また、ステンレス鋼線の販売数量増加に伴う工場操業度の改善などによりセグメント利益は37億51百万円(同50.6%増)と前期比増益となりました。
タイ
ステンレス鋼線の販売数量が増加した結果、売上高は38億43百万円(同31.4%増)、セグメント利益は2億93百万円(同117.0%増)となりました。
中国
中国国内向けが好調に推移したことなどにより、売上高は5億28百万円(同77.3%増)、セグメント利益は32百万円(前期は0百万円の損失)となりました。
なお、上記記載金額には消費税等は含まれておりません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は130億13百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億81百万円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は37億91百万円(前期比0.1%減)となりました。これは税金等調整前当期純利益が増加したものの、売上債権や棚卸資産が増加したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は21億95百万円(同77.6%増)となりました。これは有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は8億90百万円(前期は67百万円の収入)となりました。これは、前期に発生した長期借入れによる収入がなかったことや配当金の支払が増加したことなどによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日 本(百万円) |
32,494 |
17.7 |
|
タ イ(百万円) |
3,815 |
30.7 |
|
中 国(百万円) |
448 |
60.1 |
|
合計(百万円) |
36,758 |
19.3 |
(注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
|||
|
受注高 (百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
日 本 |
35,525 |
11.7 |
4,721 |
9.1 |
|
タ イ |
1,816 |
35.9 |
288 |
△8.2 |
|
中 国 |
595 |
133.0 |
136 |
574.3 |
|
合計 |
37,937 |
13.6 |
5,146 |
10.4 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日 本(百万円) |
35,207 |
15.8 |
|
タ イ(百万円) |
3,843 |
31.4 |
|
中 国(百万円) |
528 |
77.3 |
|
消 去(百万円) |
△2,128 |
15.7 |
|
合計(百万円) |
37,451 |
17.8 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
||
|
大同興業株式会社 |
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
7,682 |
24.2 |
8,607 |
23.0 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。
②当連結会計年度の経営成績の分析
a.売上高
当社グループの当連結会計年度の売上高は、374億51百万円と前連結会計年度に比べて56億52百万円の増収となりました。事業部門別の内容については、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
b.経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益
当社グループの当連結会計年度の経常利益は40億26百万円と前連結会計年度に比べて14億91百万円の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は28億14百万円と前連結会計年度に比べて10億42百万円の増益となりました。これは、販売数量の増加に伴う工場操業度の改善などによるものであります。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの主力製品のステンレス鋼線は、ニッケル価格に起因する原材料価格の変動リスク並びに金網用などの汎用品については、中国・韓国メーカーとの競合激化による収益低下リスクがあります。また、金属繊維(ナスロン)も化合繊維向けなどの一般汎用製品については競争が激しくなってきております。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度より2百万円減少し37億91百万円の収入となりました。これは税金等調整前当期純利益が増加したものの、売上債権や棚卸資産が増加したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が増加したなどにより21億95百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に発生した長期借入れによる収入がなかったことや配当金の支払が増加したことなどにより8億90百万円の支出となりました。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金及び設備投資資金の調達につきましては、自己資金または金融機関からの借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は8億18百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は130億13百万円となっております。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、主として、当社の研究開発部を核として、製造部門の技術スタッフとの協業で行われております。ステンレス鋼線では、コア技術を基盤に競争力を強化するための新技術開発とともに、顧客ニーズを迅速に捉えた新製品の開発を行っております。金属繊維では、既存製品群の更なる生産技術の向上と品質改善並びにその応用製品である金属フィルター製品群は、高分子・化学工業分野向けの高機能フィルター及び半導体・液晶産業分野向けの超精密フィルターなどの高付加価値の新製品の研究開発を行っております。
当連結会計年度における研究開発は、すべて「日本」セグメントに属しております。
なお、当連結会計年度の研究費の総額については特定の製品群に区分できない基礎研究費等を含め5億38百万円となっており、当連結会計年度における主要な新製品の研究開発活動の状況を示すと次のとおりであります。
(1)ステンレス鋼線
①超高強度ばね材(商品名:ハーキュリーEH)の開発
②高強度導電ばね材(商品名:エレメタル)の開発
③高強度高耐熱材料(商品名:タフステン)の開発
④耐水素脆性ばね材(商品名:ハイブレム)の開発
⑤高精度スクリーン用極細線の開発
⑥医療用高強度高耐食Co基合金材料(商品名:INS605PH)の開発
⑦加圧溶解超高窒素鋼線(商品名:オーステナイト系 INS009X、マルテンサイト系 INS016P)の開発
⑧2相系ステンレス鋼線の開発
⑨耐熱ばね材の開発
⑩耐熱ボルト材の開発
(2)金属繊維
①超精密ガスフィルター低圧損3層メディアの開発
②新型複合フィルターの開発
③超高性能LF・高性能PFの開発
④硝子成形用高耐久金属繊維KNITの開発
⑤高性能気化器用フィルターの開発
(3)その他
①水素分離膜モジュールの開発
②水素発生モジュールの開発