第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書の提出日現在において、当社及び連結子会社(以下「当社グループ」という。)が判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

 ステンレス鋼線並びに金属繊維(ナスロン®)を主力製品とする当社グループは、長年にわたり培ってきた技術力と新しい分野への挑戦により、お客様にとって価値のある商品とサービスの提供を通じて社会の発展に貢献することを経営の基本理念としております。

 産業構造が環境・エネルギーのクリーン化、デジタル化へと進むなか、ステンレス分野への期待はさらに高まり、「より細く、より強く、より精密な」方向が求められています。ステンレス鋼線のトップメーカーとして、これらの期待に適応すべく『Micro & Fine Technology』をスローガンに掲げ、次世代素材、技術開発をこれからもリードし続けてまいります。

 また、株主並びにお客様など、内外の関係先からの信頼と期待に応えるため、常に市場の変化に迅速に対応できる柔軟な経営体制の構築を通じて、安定した収益基盤の維持・拡大を図るべく事業活動を展開してまいります

 

(2)中長期的な経営戦略及び目標とする指標

 当社グループは、『Micro & Fine Technology』を追求するなかで、未来の高機能・独自製品を生み出しつづける事を通して社会に貢献し、ステンレス鋼線No.1カンパニーの地位を継続していく」というビジョンを掲げ、2021年3月期を最終年度とする『第14次中期計画(NSR20)』を策定しております。その骨子は「日本精線リニューアル」のスローガンのもと、高機能・独自製品の上方弾力確保及び拡販と持続的成長のための生産基盤強化により、最終年度の連結経常利益55億円、連結ROS及び同ROA10%以上等の経営目標達成を目指すものであります。

 高機能・独自製品とは、当社グループで独自開発した技術を用いることなどにより実現可能となったシェアナンバーワンやオンリーワンの製品群となります。高機能・独自製品は、お客様の製品に高い付加価値をもたらす役割を担っています。

 

【高機能・独自製品の一例】

 

製品名

説明

ばね用材

高強度や高耐熱、超非磁性などのお客様のニーズに応じ、線ぐせや光沢などを調整したオーダーメイド製品を提供しています。医療関連や精密電子機器、次世代の水素社会を支える素材となります。

極細線

100μm未満の製品を総称し、フィルター用途やスクリーン印刷用途に用いられております。細径化ニーズに対応してきた結果、現在11μmという単線としてはステンレス鋼線の極限の細さを実現しています。高精度、高細密が要求されるソーラーセルや積層コンデンサなどの生産に欠かせない素材となります。

超精密ガスフィルター(NASclean®)

当社が独自に開発したステンレス鋼繊維(ナスロン®)をもとに、薄層のメタルメンブレンフィルターを量産しています。半導体・フラットパネルディスプレイなどの製造で必要となるガスの濾過機能を担っています。

 

①中期計画の基本方針

経営方針に則り、技術力と新しい分野への挑戦によって社会貢献を目指すとともに、安定した収益基盤の維持・拡大を図るべく、5つの基本方針を掲げております。

 

a.高機能・独自製品の上方弾力確保

b.新製品開発と新市場開拓

c.生産性向上と働き方改革

d.ガバナンス・コンプライアンスの充実

e.安全・環境対策の継続的推進

 

 

②中期計画の進捗状況

中期計画の基本方針に則り、2年目となる2019年度まで、着実に各施策を展開してまいりました。最終年度である2020年度においても、具体的なアクションを計画しております。

 

a.高機能・独自製品の上方弾力確保

ステンレス鋼線部門においては、東大阪工場の自動酸洗設備をはじめとして、太径ボルト用材、細径ばね用材などの増産投資を実施し、高機能・独自製品の上方弾力確保を実現しております。また、タイ精線においても、ばね用材、極細線の生産能力拡大を図りました。

金属繊維部門においては、真空炉やクリーンルームの増設によって超精密ガスフィルター(NASclean®)の上方弾力を高めました。また、耐素龍精密濾機(常熟)有限公司において、化合繊維・樹脂等向けの高機能メタルフィルターの増産対応も実現しました。

 

b.新製品開発と新市場開拓

ステンレス鋼線部門においては、線径11μmの超極細線の量産化を実現するとともに、シングルμmへの挑戦を続けております。金属繊維部門では、高機能ガスフィルターの開発のほか、水素分離膜モジュールの実装トライアルの引き合いを多方面からいただいております。

研究開発分野では、ピアノ線と同等の引っ張り強さとともに高い耐食性を持つ「ハ―キュリー®EH」や、高圧水素の環境でも高い強度と靭性を両立できるばね素材「ハイブレム®-S」を開発し、お客様の製品・サービスに付加価値を与える素材として期待されています。また、ベリリウムフリーのニーズに対応した高強度・高導電性のばね素材「エレメタル®」の量産化体制も整いました。

 

c.生産性向上と働き方改革

システム開発では、品質・識別管理の自動化投資を計画どおり実施し、検査の信頼性向上と不正防止体制の充実を図りました。2020年度は、金属繊維部門とタイ精線の生産管理システムの刷新を展開しております。

また、枚方工場の製品倉庫集約(2021年3月完成予定)を通じて物流合理化に着手いたします。

働き方改革としては、フレックスタイム制の導入、健康経営優良法人認定取得、人事・労務政策の見直しなど、計画どおり進捗しております。2020年度においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染防止とともに、リモートワーク移行のためのワークフロー見直しに向けた投資を図ってまいります。

 

d.ガバナンス・コンプライアンスの充実

CGコードのフルコンプライ、個人株主様向けの工場見学会などコーポレートガバナンスの充実を図ってまいりました。また、2019年度より非連結子会社であった大同不銹鋼(大連)有限公司、韓国ナスロン株式会社及び日精テクノ株式会社を連結の範囲に加えたことで、子会社のフル連結を実現し、グループのガバナンス強化を進めております。

2020年度は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の全世界における感染拡大を教訓に、BCP(事業継続計画)の見直しを計画しております。

 

e.安全・環境対策の継続的推進

計画的に、耐震補強や土壌浄化、環境負荷物質・危険物の使用量削減を展開しております。また、「安全をすべてに優先する」との大方針のもと、安全対策のハード改善投資を行ってまいりました。

2020年下期に本格稼働する東大阪工場の自動酸洗設備は、作業者の安全や環境負荷軽減にも配慮した設備を実現できました。

 

③目標とする経営指標

当社グループは、高機能・独自製品の上方弾力確保及び拡販と持続的成長のための生産基盤強化に向け、以下の数値を目標とする経営指標として設定しております。

これらを重要指標と認識し、企業価値の向上に努めてまいります。

 

 

2019年度目標

2020年度目標

 連結売上高

440億円

460億円

 連結経常利益

48億円

55億円

 連結ROS(経常利益/売上高)

10%以上

10%以上

 連結ROA(経常利益/総資産)

10%以上

10%以上

 連結配当性向(配当/税引後利益)

30%程度

30%程度

 連結高機能・独自製品売上高比率

70%以上

70%以上

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

①経営環境

世界経済は、米中貿易摩擦の長期化や中東の地政学的リスクなどを背景に減速基調にあります。国内経済についても、インバウンド需要の減少、消費増税や自然災害による民間消費や民間設備投資などの内需の下落に加え、海外経済の低迷から輸出も減少しています。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束時期や、それに伴う需要減やサプライチェーン寸断の影響の不透明感が強いことから、国内外経済や資源価格、金融・資本市場の先行きの不確実性が極めて高いと考えています。

当社グループの主力製品であるステンレス鋼線を巡る経営環境は、自動車生産をはじめとする需要の急減速のほか、中国や韓国のステンレス鋼線メーカーとの競争激化による収益低下などの懸念を抱えています。併せて、ニッケル価格に起因する原材料価格の変動リスクが財務に与える影響を覚悟しなければなりません。また、金属繊維(ナスロン®)も化合繊維向けなどの一般汎用製品については競争が激しくなってきております。一方、超精密ガスフィルター(NASclean®)については、第5世代移動通信システム(5G)の本格的な立ち上がりや、コロナ禍を端とするリモートワークの普及が見込まれるため、半導体をはじめとするIT関連の需要は調整局面を脱したと考えています。ただ、半導体関連の需給環境の変動リスクは小さくないことから、迅速かつ柔軟性を伴った変化への対応力が求められています。

また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、当社グループの業績はもとより、サプライチェーンや生産・販売の基盤、従業員やお客様、協力会社、近隣住民をはじめとするステークホルダーの皆様の健康を脅かす虞があります。感染防止策の徹底のほか、自然災害やテロなどを含めた不測の事態にも備える準備が必要となっています。

 

②対処すべき課題

喫緊の最重要課題は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらすリスクへの対応と捉えております。まず、工場内での感染者発生により生産停止するなど、製品供給においてお客様にご迷惑をかけない体制の整備に取り組んでまいります。すでに、生産部門では、自動車通勤への切り替え拡大、工場食堂における同時利用人員制限と対面着座禁止、時差出勤によるロッカールームでの3密回避などに取り組んでいます。そのほか、本社・営業部門でのリモートワーク移行のためのワークフロー見直しに向けた投資を迅速に展開し、従業員の罹患リスクの抑制に努めてまいります。また、パンデミックの長期化によって、国内外の産業や金融環境が極度な不安定状態になることを想定し、財務上の手元流動性を月商3ヵ月分程度を維持できるように努めてまいります。

2020年度は、『第14次中期計画(NSR20)』の最終年度にあたり、斯かる経営環境に対応するべく、引き続き「高機能・独自製品の上方弾力確保及び拡販と持続的成長のための生産基盤強化」を目指してまいります。また、既に実行済のテーマについては、投資効果などの具体的な成果を発現できるように鋭意取り組んでまいります。

ステンレス鋼線部門においては、受注減少のリスクシナリオを踏まえ、多能工化や作業効率向上などフレキシブルな生産体制を構築してまいります。高機能・独自製品の上方弾力確保については、積極的な設備投資を継続するとともに、お客様のグローバル展開に対応した海外2工場の競争力強化や、東大阪・枚方工場リニューアルの推進などにより、引き続き国内外の最適生産体制の構築を進めてまいります。さらに、次世代の高機能・独自製品の開発を通じて、環境・医療・エネルギー関連などの分野で新しいマーケットを創造できるように取り組んでまいります。

金属繊維部門においては、中期計画で展開してきた増産投資の最新設備を活かして、半導体関連の受注急増にスピーディかつ柔軟に応えてまいります。販売面では、コロナ禍でサプライチェーンの再構築を図る国内外の新規顧客の獲得を図ってまいります。また、現在、開発中の超精密ガスフィルター(NASclean®)製品の市場開拓を準備するとともに、水素分離膜の開発も推進してまいります。

全社的な課題としては、「安全」・「健康」を追及するとともに、制度設計の見直しや、枚方工場の製品倉庫集約などによる生産性向上を通じて「働き方改革」を実践してまいります。また、近年の自然災害やコロナ禍を顧み、防災計画やBCP(事業継続計画)、リモートワークの在り方についても見直しを図ってまいります。さらに、環境やガバナンス、社会貢献などを意識した取り組みを推進してまいります。

以上により、収益の一段の向上を図るとともに、事業のグローバル化推進や高度化・多様化する顧客ニーズへの対応などにより、『さらなる企業価値の向上』を目指してまいります

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスク及びその対応状況について、以下に記載いたします。
 当社グループでは、こうしたリスクの可能性を認識した上で、発生を回避し、または、発生した場合の影響を抑制する観点から、現状想定し得るリスクを洗い出し評価した上で、事業運営上のリスクについては経営会議にて、またコンプライアンス上のリスクについてはコンプライアンス委員会において、優先順位に応じて具体的な対策を講じ、定期的にその妥当性について協議・検討を図っております。
 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)自然災害などの不可抗力や外部からの攻撃によるリスク

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、すでに当社経営を巡る多くのステークホルダー様に影響を及ぼすリスクを発現しています。国内外の工場内での感染発生による製造ライン停止やサプライチェーンの寸断によって、お客様に製品が供給できないリスクを認識しています。また、従業員のほか、お客様や協力会社などの生命・健康を脅かす虞もあります。さらに、工場休業に伴う補償や操業度悪化が損益や資金繰りに与える影響も生じます。当社グループでは、生産部門での3密回避などに取り組み、感染リスクの抑制に努めております。

 また、国内では台風や地震、洪水など自然災害による被害が発生しております。当社グループの生産拠点において大規模災害やテロなどが発生した場合には、生産設備の破損やサプライチェーンの機能停止に伴い操業停止や資産価値の減損を強いられる虞があります。当社グループでは、人命最優先を基本方針としております。安否確認システムやマニュアル整備などのBCP(事業継続計画)については、コロナ禍を教訓に見直しに着手するとともに、枚方工場や東大阪工場を中心に構造物の耐震化や防災訓練を計画的に展開しております。また、地震発生などの際に、誤操作・誤動作による障害が発生した場合にも制御できるように設備のフェイルセーフ化も進めております。なお、ハザードマップ上、東大阪工場は0.5m以上1.0m未満の浸水リスクを有していますが、枚方工場に河川氾濫のリスクは示されておりません。また、2018年の大阪府北部地震や台風21号においても、枚方工場・東大阪工場とも生産活動に支障はありませんでした。甚大な被害が生じた2011年のタイ大洪水においても、タイ精線は被害を受けておりません。ただし、危険視されている南海トラフ地震や想定外の風水害の発生によって損害を被ることは少なからず可能性があります。

 さらに、当社グループでは、製造ノウハウや顧客情報、各種設計図などのように生産・営業・開発に関して多くの営業的な秘密を保有しております。また、従業員やお客様に関する個人データを保有しておりますが、一般消費者との取引がないため、データ量は限定的となります。コンピュータウイルスや不正アクセスなど社外からのサーバー攻撃によって、情報が流出し、第三者がこれを不正に取得・使用するような事態が生じると、お客様からの信用力や製品競争力など、当社グループの事業基盤を脅かす虞が認められます。さらに損害賠償責任を負う可能性も含め財務上のリスクもあります。こうしたリスクを抑制するために、従業員へのセキュリティポリシーの徹底や、常に最新のセキュリティ技術を用いた未然防止策を図るとともに、日々のセキュリティログのチェックで被害拡大回避に努めております。

(2)外部環境変化に伴うリスク

 当社グループの付加価値の源泉である高機能・独自製品については、その一部のアイテムの販売先が、自動車、エネルギー、IT・半導体、化学製品など先端技術分野の産業・業種に依存する構造となっております。そのため、その業界に属するお客様の需給環境や投資計画、流通在庫の多寡によって、当社グループの受注環境が変動するリスクがあります。

 また、グローバル化しているお客様においては、その販売先のカントリーリスクが間接的に当社グループの受注環境に影響を与えております。米中貿易摩擦の長期化や中東の地政学的リスクが顕在化すると、当社グループの受注減少につながるリスクを認識しております。例えば、半導体関連の禁輸・制裁問題が超精密ガスフィルター(NASclean®)の販売減を惹き起こす虞なども想定しております。同様に、為替水準の変動は、お客様の製品・サービスの価格競争力を押し下げる効果があるため、為替リスクも間接的に当社の受注環境に影響いたします。なお、当社グループにおける外貨建て取引は極めて僅少であり直接的な為替リスクは大きくありません。

 このような外部環境の変化による受注・販売の減少リスクに対しては、多能工化などフレキシブルな生産体制で固定費抑制を図るほか、多様な業種・業界のお客様に提供できる製品ポートフォリオの充実によって受注変動リスクの分散を図っております。

 一方、当社グループの材料調達については、主力のステンレス鋼線部門の原材料は主成分であるニッケルやクロムなどのレアメタル相場の影響を受けます。原産国のカントリーリスクの発現などによりレアメタルの需給がひっ迫すると国際市況価格が高騰し当社の調達コストも増加しますが、為替変動リスクも含めた原材料の価格変動に連動してステンレス鋼線の販売価格を変更したり、契約に基づくサーチャージ制度により、原材料変動リスクの影響は限定的となります。ただし、ニッケル価格が極端に高騰すると、お客様が安価な代替品へ移行するリスクを認識しております。同様に、異業種企業や技術革新等により、当社グループのステンレス鋼線や金属繊維製品を代替するような素材や構造などが開発されるリスクもあります。当社グループでは、技術交流会や展示会などを通じて、お客様やマーケットのニーズの変化を的確に捕捉し、タイムリーに新製品の市場投入や品質改善活動に努めております。また、材料調達の大部分を一部の国内大手メーカーに依存しております。主要材料については調達できないというリスクは限定的ですが、メーカー指定の独自鋼種の材料調達に関しては、当該メーカーの生産停止などにより影響を受ける虞があります。

 そのほか、当社グループの提供する素材は、お客様の製品を通じてグローバルに提供されることとなるため、世界各地における環境関連法令の適用に対応することが求められます。地球温暖化防止など、環境規制は厳格化の傾向にあり、ひいては当社グループの製造コストを増加させるリスクがあると認識しております。一方、当社グループの製品は、エネルギー効率の向上、各種のフィルター機能の提供や水素社会の基盤技術の開発など、環境負荷軽減の付加価値を提供しております。リスクを認識しつつも持続可能な経済成長に向けて努めてまいります。

(3)安全・健康、品質やヒューマンエラーなどによるリスク

 当社グループにおいては、1トンに及ぶ重量物を取り扱うことや伸線機などの回転する危険な設備があることのほか、健康被害をもたらす特定化学物質の取扱い工程があるため、従業員の安全と健康を脅かす労働災害のリスクがあります。当社グループでは、安全と健康が幸せの原点と捉え、作業者による誤操作・誤動作による障害が発生した場合にも制御できるように設備のフェイルセーフ化を継続的に投資するとともに、人間ドックの費用補助や健康維持向上活動に積極的な支援を行い、働きやすい職場環境づくりに努めています。

 また、当社製品は、半導体製造装置・医療・自動車関連などの素材として利用されています。そのため、当社製品の欠陥に起因して、重大事故が起きたり、ユーザーの生命・健康に害を及ぼすリスクがあり、当社グループには損害賠償を求められる虞を認識しています。損害保険加入などの対策のほか、異材や疵などの不適合製品の流出防止に向け、品質関連の教育を徹底するとともに、誤入力や識別異常の防止など検査工程のシステム化投資を継続的に実施しております。また、検査データの不正や改ざんによって、お客様や社会からの信頼を失墜し、当社の事業基盤を失うリスクについても重く捉えております。当社グループでは、検査データ不正防止に向け、測定データの自動取込みシステムを導入するとともに、規格外や仕様登録のない材料や製品を取り扱うことのできない仕組みを運用しております。

 そのほか、(1)で記述したとおり、当社グループでは生産、営業、開発などに関して多くの営業的な秘密や個人データを保有しております。過失などによって情報漏洩するリスクがあり、その影響は不正アクセスによる漏洩と同様と認識しております。当社グループでは、機密情報へのアクセスを制限したり、ソフトウェアなどで外部データ持ち出しを防止するほか、定期的にIT監査を通じて牽制を図っております。また、外部メールの運用ルールや重要情報の公開時の手続きの明確化にも努めております

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループの経営環境は、米中貿易摩擦による中国・欧州経済の減速や中東の地政学的リスクのほか、国内での台風被害や消費増税が響き、先行き不透明感が強い状況となりました。当社グループの主力製品であるステンレス鋼線を巡る環境については、顧客の需要減や在庫調整により販売数量は前年度から減少傾向にあり、さらに下期に入って自動車関連の需要が減速しました。中国や韓国のステンレス鋼線メーカーとの競争も激化し、業界全体の出荷数量は前期比減となりました。また、LMEニッケル価格が、インドネシアの禁輸措置などによりポンド当たり8ドル超に価格高騰する局面もありましたが、期末にかけては世界経済の不透明感の拡がりとともに、当期末は5ドル台前半まで値を下げました。金属繊維(ナスロン®)についても、化合繊維向けなどの一般汎用製品については競争が激しくなってきております。一方、半導体関連業界向け超精密ガスフィルター(NASclean®)製品については、前年度からの在庫調整の影響が上半期は残りましたが、年度後半からは第5世代移動通信システム(5G)向けなどの半導体生産が回復基調に転じました。

この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高349億10百万円(前期比9.9%減)、営業利益19億26百万円(同45.8%減)、経常利益19億99百万円(同45.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益13億95百万円(同47.1%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、セグメントごとの経営成績については、セグメント間の内部売上高又は振替高の相殺消去前の金額を記載しております。

 

[日本]

線径11μmの超極細線など、高い技術力が求められるステンレス鋼線アイテムの量産化を実現しました。また、真空炉の本格稼働により半導体関連業界向け超精密ガスフィルター(NASclean®)製品の上方弾力を確保しました。しかし、ステンレス鋼線部門及び金属繊維部門とも需要低迷が響き、売上高は320億9百万円(前期比11.2%減)、セグメント利益は17億3百万円(同47.8%減)となりました。なお、当連結会計年度の金額には、新規連結の対象となった日精テクノ株式会社の金額が含まれています。

 

[タイ]

投資した極細線の増産設備が本格稼働したほか、ばね材増産に向けた伸線機の投資を実施しました。また、電磁SUS事業の強化に努めました。しかし、ステンレス鋼線部門の需要低迷が響き、売上高は40億87百万円(前期比10.4%減)、セグメント利益は1億70百万円(同37.2%減)となりました。

 

[中国・韓国]

耐素龍精密濾機(常熟)有限公司において、増産投資した真空炉が本格稼働し、化合繊維・樹脂等向け高機能メタルフィルターの増収に寄与しました。当連結会計年度より、前連結会計年度末において非連結子会社であった韓国現地法人の韓国ナスロン株式会社を連結の範囲に含めたことに伴い、報告セグメントを従来の「中国」から「中国・韓国」に変更しております。また、当連結会計年度の売上高11億1百万円、セグメント利益1億19百万円には、新規連結の対象となった大同不銹鋼(大連)有限公司、韓国ナスロン株式会社の金額が含まれています。

 

当連結会計年度末における総資産は、433億15百万円となり前連結会計年度末に比べ10億87百万円増加しました。主な要因は、有形固定資産などの増加となります。負債については、118億68百万円となり前連結会計年度末に比べ1億8百万円増加しました。純資産は、314億46百万円となり、自己資本比率71.7%と前期比0.2ポイント上昇しました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は117億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億32百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは28億14百万円の収入となり、前期に比べ4億35百万円増加しました。これは法人税等の支払額が減少したことなどによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは22億44百万円の支出となり、前期に比べ8億77百万円減少しました。これは有形固定資産の取得による支出が減少したことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金による収入があるも配当金の支払いなどにより3億35百万円の支出となりました。

 

(キャッシュ・フロー指標)

なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりです。

 

 

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

自己資本比率      (%)

   69.2

   67.4

   71.5

   71.7

時価ベースの自己資本比率(%)

   56.8

   72.0

   47.4

   41.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

    0.3

    0.2

    0.2

    0.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

   394.3

   359.8

   326.1

   379.8

     ※ 自己資本比率:自己資本/総資産

       時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

             キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

             インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

      (注)1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

          2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により計算しております。

                  3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フロー

                      を使用しております。

         4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている負債を対象としてお

           ります。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用してお

           ります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

日   本(百万円)

28,920

△13.7

タ   イ(百万円)

4,078

△10.0

中国・韓国(百万円)

1,047

100.6

合計(百万円)

34,047

△11.7

(注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.当連結会計年度より、前連結会計年度末において非連結子会社であった韓国現地法人の韓国ナスロン株式会社を連結の範囲に含めたことに伴い、報告セグメントを従来の「中国」から「中国・韓国」に変更しております。

3.上記の金額には、当連結会計年度より、大同不銹鋼(大連)有限公司の金額が「中国・韓国」に含まれております。

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)

受注高

(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

日   本

31,953

△9.7

4,205

1.5

タ   イ

2,130

△5.5

312

4.6

中国・韓国

845

48.8

152

0.3

合計

34,930

△8.6

4,671

1.7

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度より、前連結会計年度末において非連結子会社であった韓国現地法人の韓国ナスロン株式会社を連結の範囲に含めたことに伴い、報告セグメントを従来の「中国」から「中国・韓国」に変更しております。

3.上記の金額には、当連結会計年度より、大同不銹鋼(大連)有限公司の金額が「中国・韓国」に含まれております。

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

日   本(百万円)

32,009

△11.2

タ   イ(百万円)

4,087

△10.4

中国・韓国(百万円)

1,101

88.8

 消    去(百万円)

△2,288

△5.8

合計(百万円)

34,910

△9.9

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度より、前連結会計年度末において非連結子会社であった韓国現地法人の韓国ナスロン株式会社を連結の範囲に含めたことに伴い、報告セグメントを従来の「中国」から「中国・韓国」に変更しております。

3.上記の金額には、当連結会計年度より、大同不銹鋼(大連)有限公司、韓国ナスロン株式会社及び日精テクノ株式会社の金額がそれぞれ含まれております。

4.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

 

大同興業株式会社

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

 

8,428

21.7

7,838

22.5

5.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書の提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりですが、決算日における資産及び負債の報告数値、報告期間における収益及び費用の報告数値に影響を与える見積りは、退職給付会計、賞与引当金、環境対策引当金、税効果会計、貸倒引当金、減損会計、資産除去債務、棚卸資産の評価であり、継続して評価を行っております。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は経済や企業活動に広範な影響を与える事象であり、長期化する不確実性を考慮しつつも、当社グループでは、世界経済は2021年3月期第3四半期(2020年10月~2020年12月)以降に徐々に回復するとの仮定のもと、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。

なお、見積り及び判断・評価につきましては、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

当連結会計年度より、連結決算の開示内容の充実及びグループ経営の強化を図るため、前連結会計年度において非連結子会社であった大同不銹鋼(大連)有限公司、韓国ナスロン株式会社及び日精テクノ株式会社を連結の範囲に含めております。

(百万円)

 

 

当連結会計年度金額

前期比

うち新規連結3社寄与額

流動資産

27,029

+781

+554

 うち現金及び預金

11,980

+642

+390

うち営業債権

7,769

▲199

+53

 うちたな卸資産

7,128

+313

+109

固定資産

16,285

+306

▲201

 うち有形固定資産

13,986

+808

+121

 うち無形固定資産

319

▲43

 うち投資その他の資産

1,979

▲458

▲326

資産合計

43,315

+1,087

+353

流動負債

7,033

▲337

+101

 うち営業債務

4,972

+320

+72

 うち短期借入金

437

▲126

固定負債

4,835

+446

0

 うち長期借入金

372

+372

 うち退職給付に係る負債

4,394

+72

0

負債合計

11,868

+108

+101

株主資本

31,170

+911

+142

その他の包括利益累計額

▲111

▲62

0

非支配株主持分

387

+130

+108

純資産合計

31,446

+979

+251

 

(資産の部)

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ10億87百万円増加し、433億15百万円となりました。主な要因は、設備投資により有形固定資産が8億円8百万円増加したことによります。そのほか、現金及び預金が6億42百万円増加しましたが、主として新規連結3社の寄与によるものです。たな卸資産の増加については、当社単体での増減は軽微であり、在外子会社での材料在庫の確保によるものです。

(負債の部)

負債については、前連結会計年度末に比べ1億8百万円増加し、118億68百万円となりました。主な要因は、長期借入金5億50百万円を借り入れたためであり、取引金融機関との取引関係の維持強化を図るためのもので、手元流動性を高めました。

(純資産の部)

純資産は、前連結会計年度末に比べ9億79百万円増加し、314億46百万円となりました。増加要因の大半は、利益剰余金が9億11百万円増加したことによるもので、新規連結3社の寄与額は2億51百万円の増加と軽微にとどまります。結果として、自己資本比率は71.7%(前期比0.2ポイント増)となりました。

 

b.経営成績の分析

(百万円)

 

 

当連結会計年度金額

前期比

うち新規連結3社寄与額

売上高

34,910

▲3,849

+321

売上総利益

5,218

▲1,693

+135

営業利益

1,926

▲1,628

+36

経常利益

1,999

▲1,675

+41

親会社株主に帰属する当期純利益

1,395

▲1,240

+19

(売上高)

当連結会計年度における売上高は349億10百万円(前連結会計年度比9.9%減)となり、前連結会計年度に比べ38億49百万円減少しました。売上高における新規連結3社の寄与額は3億21百万円となります。

高機能・独自製品が売上高全体に占めるシェアは60.2%と前期比減少したものの、ほぼ横ばいで推移しています。高機能・独自製品の売上高減少の主な要因は、在庫調整による極細線と超精密ガスフィルター(NASclean®)の販売減少によるものです。

なお、2020年3月期においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が当社の業績に与える影響は、いまだ軽微に留まっています。

0102010_001.png

 

事業部門別の売上状況は、次のとおりとなります。

 

[ステンレス鋼線]

自動車生産・販売の減少、建築需要の低迷などにより、月平均の販売数量が3,256tと大幅に減少(前期比200t/月減)しました。前年度に高水準の受注・出荷の実績を上げた極細線の売上高が、反動の在庫調整を強いられました。また、建築用途・自動車用途の鋲螺用材が大幅減少し、ばね用材も流通での在庫調整の影響を受けました。需給面に加えて、安価な中国・韓国材の攻勢が加わり、ステンレス鋼線の売上高は293億78百万円(前期比8.8%減)となりました。

海外現地法人であるTHAI SEISEN CO., LTD. 及び大同不銹鋼(大連)有限公司についても、ステンレス鋼線の販売数量の減少を強いられ、減収となりました。

 

[金属繊維(ナスロン®)]

ナスロン®フィルターは、ポリエステルフィルム用途向け補充品が底堅く推移したものの、競争環境の厳しい化合繊維用途向け製品の減収を補うに至りませんでした。超精密ガスフィルター(NASclean®)については、スマホ需要の減少により半導体関連投資が凍結され上半期は大幅減収を余儀なくされましたが、年度後半には需給環境が好転したことに伴い半導体関連設備投資も再開されました。在庫調整から急反転して売上を伸ばしましたが、上半期の減収を補うには至りませんでした。結果として、通期では売上高が55億31百万円(前期比15.3%減)となりました。

海外現地法人である耐素龍精密濾機(常熟)有限公司は、中国国内向けが好調に推移したことなどにより売上高は前期比増収となりました。

 

(経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における経常利益は19億99百万円(前連結会計年度比45.6%減)となり、前連結会計年度に比べ16億75百万円減少し、経常利益率は5.7%となり前連結会計年度比3.8ポイント低下しました。結果として、親会社株主に帰属する当期純利益は13億95百万円(同47.1%減)となりました。

経常利益が前期比減益となった主な要因は、ニッケル市場の下落による在庫評価減3億40百万円や、数量減少に伴う工場操業度の悪化による減益影響11億19百万円に加え、高機能・独自製品の極細線や超精密ガスフィルター(NASclean®)などの販売減少による内容差も8億20百万円の減益要因となりました。一方、労務費や修繕費などの固定費抑制による増益額は5億88百万円となりました。

0102010_002.png

(百万円)

18年度経常利益

 

3,675

対比変化

営業損益

Ni市況

 

340

数量変化

 

1,119

内容差

 

820

固定費

 

588

合計

 

2,279

588

営業外損益他

 

16

19年度経常利益

 

1,999(▲1,675)

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資金需要

成長投資への支出については、当社グループ中期計画の「高機能・独自製品の上方弾力確保及び拡販と持続的成長のための生産基盤強化を目指す」を実現するために、主力の製造拠点である国内工場及びタイ、中国の在外子会社における生産効率向上や増産を目的とした設備投資を図ってまいります。また、お客様のニーズに対応した新製品開発と新市場創出に向け研究開発にも注力してまいります。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対しては、財務健全性の維持と資本コストを意識しつつ、積極的に対応していくことを方針としております。

運転資金としては、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費用や営業費用が必要となります。事業運営上の必要資金に加え、大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧に備えるために、後述の退職給付債務の支払い原資の控除後、月商3ヵ月分の現金及び現金同等物の流動性確保を目指しております。

株主還元への支出については、連結業績や財政状態などを総合的に勘案し、連結配当性向30%程度を目途に配当を行うことを基本としております。

なお、当社グループでは退職一時金制度のみを採用しており、退職給付債務43億94百万円(2020年3月末現在)の支払い原資を、現金及び現金同等物にて実質的に保全しております。

 

c.資金調達

当社グループの運転資金及び投資資金は、原則として営業活動により獲得したキャッシュ・フローにより充当することを基本方針としております。ただし、有事の場合など、必要に応じ銀行借入による資金調達ができるように、取引金融機関との取引関係の維持強化に配慮した財務政策に努めております。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、主として、当社の研究開発部を核として、製造部門の技術スタッフとの協業で行われております。ステンレス鋼線では、コア技術を基盤に競争力を強化するための新技術開発とともに、顧客ニーズを迅速に捉えた新製品の開発を行っております。金属繊維では、既存製品群の更なる生産技術の向上と品質改善並びにその応用製品である金属フィルター製品群は、高分子・化学工業分野向けの高機能フィルター及び半導体・液晶産業分野向けの超精密フィルターなどの高付加価値の新製品の研究開発を行っております。

当連結会計年度における研究開発は、すべて「日本」セグメントに属しております。

なお、当連結会計年度の研究費の総額については特定の製品群に区分できない基礎研究費等を含め543百万円となっており、当連結会計年度における主要な新製品の研究開発活動の状況を示すと次のとおりであります。

(1)ステンレス鋼線

①超高強度ばね材(商品名:ハーキュリーEH)の開発

②高強度導電ばね材(商品名:エレメタル)の開発

③高強度高耐熱材料(商品名:タフステン)の開発

④耐水素脆性ばね材(商品名:ハイブレム)の開発

⑤高精度スクリーン用極細線の開発

⑥医療用高強度高耐食Co基合金材料(商品名:INS605PH)の開発

⑦2相系ステンレス鋼線の開発

⑧耐熱ばね材の開発

⑨耐熱ボルト材の開発

⑩高耐熱溶接材の開発

 

(2)金属繊維

①半導体プロセスガス用小型精製器の開発

②新型複合フィルターの開発

③超高性能LF・高性能PFの開発

④硝子成形用高耐久金属繊維KNITの開発

⑤高性能気化器用フィルターの開発

 

(3)その他

①水素分離膜モジュールの開発

②水素発生モジュールの開発

③環境対応車(xEV)への磁性材料による用途開発