当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
世界経済は、ロシア・ウクライナ戦争長期化やイスラエルのガザ地区侵攻に端を発する中東情勢などの地政学リスク、米大統領選挙に絡む不透明さの増大、不動産不況が続き景気減速リスクが燻る中国経済などの影響により不安定に推移しました。日本経済は緩やかな回復基調にあるものの、金利や為替・株価の動きが安定しない中で、自動車メーカーの生産・出荷停止や幅広い業界での人手不足問題が景気の先行きに影響する可能性があります。
このような事業環境の中で、当社及び連結子会社(以下「当社グループ」という。)は、今年度よりスタートした『第16次中期経営計画(NSG26)』(最終年度2027年3月期)を掲げ、①サステナビリティ成長分野に向けた高機能・独自製品の開発深化 ②生産基盤強化と生産性向上 ③水素回収技術の深化 ④ESG経営(資本コストや株価を意識した経営)を基本方針として企業価値向上に努めてまいります。
結果として当中間連結会計期間の売上高は、233億71百万円(前年同期比7.4%増)となりました。損益については、太陽光発電パネルなどの製造プロセスで使用される極細線に対する需要の強さは継続し、ステンレス鋼線の販売量や半導体関連業界向け超精密ガスフィルター(NASclean®)の受注も底堅く推移するとともに、工場部門での原価低減の取り組みも奏功し増益を確保しました。この結果、営業利益23億18百万円(同42.7%増)、経常利益23億41百万円(同34.4%増)、親会社株主に帰属する中間純利益16億9百万円(同31.8%増)となりました。
事業部門別の経営成績は次のとおりであります。
①ステンレス鋼線
ステンレス鋼線においては、2022年度第2四半期より自動車用途や建材用途の荷動き鈍化が鮮明となり、2023年度を通じてサプライチェーン各社で在庫調整が実施されましたが、下落傾向にあったニッケル価格が上昇に転じたことも影響し、2024年度第1四半期から流通在庫を積み増す仮需が一部アイテムに生じました。また、太陽光発電パネルの製造プロセスで使用されるスクリーン印刷向け極細線は、お客さまの細径化ニーズに応える高付加価値製品として好調な受注を確保しました。
LMEニッケル価格については、ウクライナ情勢の影響もあり2022年4~6月平均価格がポンド当たり13.17ドル(2021年4~6月平均価格ポンド当たり7.87ドルに比して5.30ドル上昇)まで急激に上昇しましたが、2023年10~12月平均価格でポンド当たり7.80ドルに戻りました。2024年1月からは価格が反転上昇し4~6月平均価格はポンドあたり8.34ドルとなり、7~9月平均価格はポンドあたり7.37ドルとなりました。
結果として、当中間連結会計期間におけるステンレス鋼線全体の月平均販売数量が増加(前年同期比10.4%増)するとともに極細線の販売増が貢献し売上高197億55百万円(同6.1%増)となりました。
なお、海外現地法人については、THAI SEISEN CO., LTD.は増収、決算期12月の大同不銹鋼(大連)有限公司も増収となりました。
②金属繊維
金属繊維においては、半導体関連業界向け超精密ガスフィルター(NASclean®)に対する需要の調整局面は継続していますが、半導体製造装置メーカー各社の中国向け販売需要が底堅く推移しました。当中間連結会計期間における月平均売上高3億23百万円(前年同期比8.2%増)となりました。
ナスロン®フィルターについては、高機能フィルム用途の販売は底堅く推移したもののポリエステルフィルム用途の販売が減少したことから、当中間連結会計期間における月平均売上高2億79百万円(前年同期比25.2%増)となりました。
結果として、当中間連結会計期間における金属繊維部門の売上高は36億16百万円(前年同期比15.5%増)となりました。
なお、海外現地法人の耐素龍精密濾機(常熟)有限公司は増収となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、セグメントごとの経営成績については、セグメント間の内部売上高又は振替高の相殺消去前の金額を記載しています。
①日本
主力のステンレス鋼線は在庫調整の終了したアイテムや価格改定により生まれた仮需により一部で数量が回復し、また極細線は引き続き好調な受注を確保しました。金属繊維は半導体製造装置に組み込まれる超精密ガスフィルター(NASclean®)の調整が長引きましたが、売上高は207億8百万円(前年同期比5.9%増)、セグメント利益は21億13百万円(同31.7%増)となりました。
②タイ
ステンレス鋼線の販売数量は前期の需要低迷・過剰在庫の調整から回復の動きがみられ、売上高は28億86百万円(前年同期比18.7%増)、セグメント利益は92百万円(前年同期はセグメント利益1百万円)となりました。
③中国・韓国
ナスロン®フィルターは需要が低迷する中で高機能フィルム・炭素繊維向けの新規増設案件を取り込み、売上高は8億68百万円(前年同期比32.0%増)、セグメント利益は1億50百万円(同265.2%増)となりました。
(2)財政状態の状況
当中間連結会計期間末における総資産は556億29百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億27百万円増加しました。流動資産は現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ21億39百万円増加しました。固定資産は有形固定資産の増加などにより、87百万円増加しました。
負債は146億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億66百万円増加しました。流動負債は支払手形及び買掛金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ6億93百万円増加しました。固定負債は退職給付に係る負債が増加したことなどにより73百万円増加しました。
純資産は409億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億60百万円増加しました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ8億49百万円増加し、154億58百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ3億18百万円増加し22億41百万円の収入となりました。これは、主に仕入債務の増加によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ7億64百万円支出が減少し8億42百万円の支出となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ63百万円支出が減少し7億35百万円の支出となりました。主な要因は、短期借入金の返済がなかったことによるものです。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、3億2百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。