文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは品質を第一にし、技術開発力・コスト競争力を強化することで事業基盤および競争優位性をさら
に高め、事業の成長を図ってまいります。そのために、当社グループの従業員一人ひとりが、「神鋼鋼線クレド」
を胸に刻み、行動することで、あらゆるステークホルダーの皆様に価値を提供し続けることができる会社を目指
してまいります。
<神鋼鋼線クレド>
当社グループはいかなる環境変化にも耐えられる「強い会社」の実現のために、クレド創造プロジェクト(約
300名の従業員が参加)を立ち上げ、当社の進みたい方向や大切にしたい価値観・行動を、従業員・経営陣で
議論を行い、「神鋼鋼線クレド」を創設しました。
「神鋼鋼線クレド」は、StatementとValue、Credoから構成しており、Statementには掲げた目的、Valueには大切
にする価値観、Credoには実践する行動を示しております。

(2) 経営環境等
当社グループを取り巻く事業環境は、国内における公共投資関連分野での新設工事の発注数減少が継続することに加え、米中の保護主義的な通商政策に基づく貿易摩擦、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の急速な減退により、自動車分野を中心に大変厳しく不透明な状況となっております。また、コスト面においても、資材価格や運送費が上昇し、厳しい環境の継続が見込まれます。
このような外部環境の変化に対し当社は、このなかで、いかなる事業環境の変化にも耐えられる「強い会社」の実現に取り組んでまいります。
(3) 事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題
当社グループでは以下の課題に取り組んでまいります。
・安全と健康を優先した職場環境の整備
・災害等の緊急事態に強い生産・供給体制の構築
・国内および海外事業での確実な需要取り込みによる最大販売量の確保
・Q(品質)、C(コスト)、D(納期)の改善およびお客様満足度の向上による収益基盤の構築、事業競争力の強化
・耐震や防災を始めとした社会的課題解決に資する製品の市場浸透および新製品開発
当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 特定業界の市場動向が業績に及ぼすリスクについて
当社グループは、土木・建築業界、建機業界、自動車業界および電機業界を主要顧客としております。財政健全
化等を目的として公共投資が減少した場合や、国内外の景気後退等による一般消費水準が減退した場合は、当社グ
ループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、新型コロナウイルスの感染拡大による影
響につきましては、現在のところ不確実性が極めて高く、起こり得るリスクを十分見通せる状況にはありません。
引き続きその影響を注視してまいります。
(2) 大規模自然災害・感染症等のリスクについて
当社グループが主要施設を有する日本は、過去において、地震、津波、台風等の多くの自然災害や新型コロナウ
イルスやインフルエンザ等の感染症拡大の影響を受けております。今後も大規模な自然災害および感染症により当
社グループの生産から販売に至る一連の事業活動が大きな影響を受ける可能性があります。また、当社グループの
事業拠点に加え、サプライチェーンや顧客の事業活動にも被害が生じる可能性があります。
そのため、大規模な自然災害に関しては当社グループとしては様々な種類の資産、死傷および他のリスクについ
ての第三者保険を付保しておりますが、全損失に保険が付保されているわけではなく、支払遅延が生じる可能性等
により、当社グループの事業活動、経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
一方で、大規模な感染症拡大に関しては、従業員およびその家族の健康を最優先とし、マスク着用、手洗い奨
励、ソーシャルディスタンスの確保、勤務時間の変更、在宅勤務やテレビ会議の活用等の感染症防止策に取り組む
ものの、当社グループの事業中断や、新たな生産や在庫品の出荷が遅延する可能性等があり、経営成績および財政
状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 原材料・部品の調達のリスクについて
当社グループの生産活動は、サプライヤーが合理的な価格で適切な品質及び量の原材料、部品およびサービスを当社グループに供給する能力に依存しています。需要過剰の場合、サプライヤーは当社グループのすべての要求を満たすための十分な供給能力を有していない可能性があります。原材料、部品及びサービスの不足は、急激な価格の高騰を引き起こす可能性があります。また、原材料及び副資材の市況価格の上昇は当社グループの製造コストの上昇要因であり、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、原材料及び部品等の商品価格が下落した場合には、棚卸資産の評価損等の損失が発生する可能性があります。
(4) コンプライアンスに関するリスクについて
当社グループは、事業を行っている国内外における法令、規制、政策、行動規範、その他の社会規範を遵守し、公正で健全な企業活動を行なうことを指針としております。しかしながら、当社グループ各社及び従業員が、製造物責任法や知的財産権の問題等で訴訟を提起され若しくはその他のクレームを受ける可能性や、法令違反等を理由として罰金等を課される可能性があり、その結果によっては、当社グループの業績や社会的信用力に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績等の状況
当期における世界経済は、通商問題の動向や金融資本市場の変動、新型コロナウイルスの感染拡大による影響等により、不安定な状況が続きました。さらに、わが国経済は相次いで発生する自然災害の影響を受けており、製造業を中心に弱含みで推移しました。
このような状況のなか、当社の販売環境は世界的な自動車需要減少により急速に悪化し、またコスト面でも資材価格や運送費等の値上がりを受け一段と厳しい環境となりましたが、各事業での販売拡大、製品構成の改善、販売価格の是正、徹底したコスト削減などによって業績向上に努めました。
その結果、当期における当社の連結業績は、売上高は30,281百万円と前期に比べ1,430百万円増収、営業利益、経常利益はそれぞれ912百万円(前期比301百万円増益)、785百万円(前期比226百万円増益)となりました。また親会社株主に帰属する当期純利益は430百万円(前期比402百万円増益)となりました。
経営成績の推移(連結)
セグメント別の経営成績は、次のとおりとなりました。
(PC関連製品)公共事業関連では、新設橋梁の減少やPC鋼材の使用量の少ない補修・補強分野の増加、人手不足による工事遅れの発生等の厳しい状況が継続するものの、プレキャスト需要が拡大し、堅調な販売実績となりました。民間事業関連では、PCの新築建築市場に一服感がみられたものの、プロジェクト案件の獲得や、台風被害を受けた他社への生産支援等により販売数量は増加しました。PC関連製品全体としては、一昨年度に発生した神戸製鋼グループの不適切事象による販売への影響が終息したこともあり、販売数量・売上高ともに前期に比べ増加となりました。
(ばね・特殊線関連製品)自動車向けの弁ばね用鋼線(オイルテンパー線)およびステンレス鋼線において、米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大等の影響を受けて、販売数量が減少したため、ばね・特殊線関連製品全体としては、販売数量・売上高ともに前期に比べ減少しました。
その結果、特殊鋼線関連事業全体の売上高は16,186百万円と前期に比べ585百万円増収となり、セグメント利益は671百万円と前期に比べ92百万円増益となりました。
国内においては、土木・建築分野等で海外製品の流入増により価格競争が激化している中で、販売数量は微減となったものの、高付加価値品(エレベーターやクレーン等の機械分野向け)の販売増加により、売上高は増加しました。海外についても、米中貿易摩擦の影響により中国向け需要に一服感がみられる中、販売数量は伸び悩んだものの、クレーン等の高付加価値品の販売増加により、売上高は増加しました。
その結果、鋼索関連事業全体の売上高は11,808百万円と前期に比べ222百万円増収となり、セグメント利益は171百万円(前期は12百万円の損失)となりました。
交通・施設分野向け製品の案件数が減少した一方で、土木・橋梁分野および建築分野向け製品では大型案件の納入完了により、売上高が増加しました。
その結果、エンジニアリング関連事業全体の売上高は2,220百万円と前期に比べ620百万円増収となり、セグメント利益は17百万円(前期は6百万円の損失)となりました。
不動産関連事業の売上高、セグメント利益はそれぞれ66百万円、51百万円と前期並みとなりました。
財政状態については、次のとおりとなりました。
(資産の状況)
総資産は、前連結会計年度末の40,687百万円に比べ1,268百万円(3.1%)減少し、39,418百万円となりました。流動資産は983百万円(4.5%)減少し、20,898百万円となりました。これは主に現金及び預金の2,182百万円(42.2%)が減少した一方で、電子記録債権873百万円(40.7%)が増加したことによるものです。有形固定資産は98百万円(0.7%)減少し、14,283百万円となりました。無形固定資産は68百万円(22.3%)減少し、237百万円となりました。投資その他の資産は118百万円(2.9%)減少し、3,999百万円となりました。
(負債の状況)
負債合計は、前連結会計年度末の21,179百万円に比べ1,400百万円(6.6%)減少し、19,779百万円となりました。流動負債は441百万円(4.2%)増加し、10,926百万円となりました。これは主に短期借入金853百万円(17.8%)の増加によるものです。また、固定負債は1,842百万円(17.2%)減少し、8,852百万円となりました。これは主に長期借入金1,862百万円(43.5%)の減少によるものです。
これらの結果、当座比率(当座資産÷流動負債、短期的安全性指標)は105.4%(前連結会計年度末は117.5%)と十分な流動性を確保していると認識しております。
(純資産の状況)
純資産合計は、前連結会計年度末の19,507百万円に比べ131百万円(0.7%)増加し、19,639百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の47.9%から49.8%となりました。
当連結会計年度末における現金および現金同等物(以下「資金」という。) の期末残高は前連結会計年度末の
5,167百万円に比べ2,182百万円減少し、2,985百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況につきましては、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によって得た資金は、前連結会計年度に比べ1,938百万円減少の288百万円となりました。主な内訳は減価償却費1,087百万円、税金等調整前当期純利益677百万円があった一方で、主にエンジニアリング関連事業における大型案件の納入完了等、売上債権の増加1,383百万円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によって使用した資金は、前連結会計年度に比べて63百万円増加の1,005百万円となりました。主な内訳は有形固定資産の取得による支出1,009百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によって使用した資金は、前連結会計年度に比べ291百万円減少の1,460百万円となりました。主な内訳は長期借入金の返済による支出1,002百万円、配当金の支払額235百万円、社債の償還による支出215百万円であります。
財政状態の推移(連結)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. 金額は、販売価格(セグメント間の内部振替前の数値)によっております。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2. セグメント間の取引は含まれておりません。
3. 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実績の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の認識にあたり、将来減算一時差異が将来課税所得を減算する可能性が高いと見
込まれるものについて、繰延税金資産を計上しております。
繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予測される将来課税所得を考慮しております。繰延税金資産に関する会計処理は、事業計画を基礎としており、当社をとりまく社会情勢の変化により、将来課税所得の予測に不確実性を伴うことから、重要な会計上の見積りに該当すると考えております。
詳細は「第5 経理の状況 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)、財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(追加情報)」の記載をご参照ください。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態
当該事項につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績等の状況」をご参照ください。
b. 経営成績
イ. 売上高
当連結会計年度の売上高は、30,281百万円、前年同期比で1,430百万円(5.0%)の増収となりました。主な要因として特殊鋼線事業部及びエンジニアリング事業部において前年同期比で増収となったことによるものです。
ロ. 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、24,608百万円、前年同期比で1,060百万円(4.5%)の増加となりました。売上総利益は5,672百万円、前年同期比で369百万円(7.0%)の増益となりました。販売費及び一般管理費は4,759百万円、前年同期比で68百万円(1.5%)増加しましたが、売上高の増加により、売上高に占める販売費及び一般管理費の割合は前期の16.3%から15.7%と減少しました。これらの結果、営業利益は912百万円、前年同期比で301百万円(49.4%)の増益となりました。営業利益率は前期の2.1%から3.0%となりました。
ハ. 営業外損益、特別損益
営業外損益の純額は持分法による投資損失を計上したことにより127百万円の損失となりました。この結果、経常利益は785百万円、前年同期比で226百万円(40.5%)の増益となり、経常利益率は前期の1.9%から2.6%となりました。また、特別損益の純額は環境対策費用を計上したことにより108百万円の損失となりました。これらの結果、税金等調整前当期純利益は677百万円、前年同期比で613百万円(957.2%)の増益となりました。
ニ. 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は430百万円、前年同期比で402百万円(1,423.0%)の増益となり、売上高純利益率は0.1%から1.4%となりました。また、1株当たり当期純利益は、前期の4.83円に対して72.83円となりました。
c. 財務方針について(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
当社グループは、健全な財務体質を維持しながら、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを
財務上の基本方針としております。
資本の財源に関しては、主要な取引先金融機関からの継続的な調達に加え、当社および連結子会社の資金を一
元管理することにより、計画通り確保することができました。その結果、自己資本比率49.8%を維持しました。
資金流動性に関しては、様々なリスクに備えた適正な現預金水準を確保した上で、資金需要に応じた適切な配
分を実施いたしました。なお、主な資金需要について、営業活動に係る資金支出では、材料購入費、人件費など
があり、投資活動に係る資金支出では、安全・安定生産に不可欠な設備や施設への投資、企業価値向上に資する
生産設備への投資、生産性向上に関するIT投資などがありました。
d. 経営者の問題認識と今後の方針
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載の通りであります。
商標契約
(1) 研究開発活動の概要
当社グループの研究開発活動は技術開発本部が中心となり、事業所の技術・製造部門と連携して、各事業部の要望に応じた新製品の開発、現製品の改良を行っております。また、多様化、高度化する顧客ニーズを的確にとらえ、新たな市場、用途の掘り起しを目指すとともに、将来を見据えたテーマ設定を積極的に行い、今後の基盤作りを行っております。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は
(2) 主要な研究開発の内容及び成果
(特殊鋼線関連事業)
PC鋼材、ばね用鋼線、ステンレス関連製品について、製品の更なる高強度化や高品質化、およびお客様の使用用途に応じた高機能製品の開発に継続して取り組んでおります。
(鋼索関連事業)
ワイヤロープについては、製品の更なる高強度化や高耐久化を目指し、端末金具を含めた高機能製品の開発に継続して取り組んでおります。
(エンジニアリング関連事業)
防災関連分野において、耐震ケーブルブレースやエネルギー吸収ケーブルなど新製品の普及を図ってまいりました。また、フェイルセーフ用途の新製品スクラムクランプの販売に併せ、現場状況や対象物に合わせた様々な提案を行い、更なる採用の拡大に努めています。
また、橋梁・建築物の維持・メンテナンス分野では、新たな調査、補修技術の探索と開発を進めております。