第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は上下水道、ガス、情報通信を中心とした地域インフラ整備に対して、鋳鉄管、鉄蓋、樹脂管及び関連資材の供給を中心とした事業展開を図っております。しかしながら、公共事業費縮減や人口減少、節水の進展など厳しい事業環境が継続し、水道関連需要が旺盛であった頃の延長線上の経営では収益を計上することが困難な状況となって参りました。今後も、主力の水道用鋳鉄管の国内需要は大きな回復が望めず、事業環境は引き続き厳しさが予想されます。

このような厳しい環境のなか、当社は販売価格の改善について不退転の決意で取り組んでおります。また、製造部門においては、工場長制導入により、工場組織集約連携強化によるコスト管理の徹底を図っており、引き続き収益改善に向けて打てる手は全て打ってまいります。

こうしたコア事業の収益力強化を図ることにより、環境変化に耐えうる企業体質を構築し、継続的に株主等のステークホルダーの期待に応えることを基本方針としております。

 

(2)対処すべき課題

「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績」に記載の通り、当社は当連結会計年度において、会計基準に則り将来回収可能性を検討した結果、約30億円の減損を計上することとなりました。自己資本を圧縮することにはなりましたが、結果、持続的に収益計上することが可能な体質に転換しつつあります。また、2018年11月以降、販売価格の改善に取り組むと同時に、製造部門におけるコスト管理の徹底を図っております。今後も引き続き収益改善に向けて打てる手は全て打ってまいります。収益改善の具体的な施策として以下4項目に具体化し着実に実行してまいります。

 

① 鋳鉄管等コア事業の収益力強化
・再生産可能な適正利潤確保のための販売価格の改善

・工場長制導入に伴う工場組織集約連携強化によるコスト管理の徹底

・製造精度アップによる歩留向上、隔日操業導入によるエネルギーコスト削減・要員削減

・JFEグループとの連携による安価原料への切り替え、他社への出向の実施による労務費削減

・鋳鉄管販売増に向けた需要喚起と周辺事業への展開

(FRACTA社との連携によりAIを用いた水道管路劣化診断技術確立、子会社の日鋳商事㈱に工事部門設立)

 

② 経営環境の変化に耐え得る財務体質の維持、強化
・諸施策実施後の自己資本比率の維持、向上

・設備投資の厳選、適正在庫の確保によるキャッシュ・フロー重視の経営

 

③ 技術競争力の向上による販売促進
・非開削工法への対応を可能とする推力伝達リングの開発
・ガス用新継手の展開

・高機能鉄蓋(食い込み・ガタツキ防止)の用途・口径拡大

 

④ 安全、品質、コンプライアンスの重視
・「ものづくり」の基盤である「安全」と「品質」の確保
・コンプライアンスの徹底による社会から信頼される会社

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 

(1) 原材料の価格変動

当社は主たる商品を素材から製造しており、原材料の製造原価に占める割合は約4割となっております。鋼屑、コークス及び石油関連製品の購入価格が国際市況の影響を受け大幅に変動する場合があります。従って、原材料価格の変動は当社の業績を大きく左右する要因となっております。

 

(2) 取引先(市場)について

当社グループが取り扱う商品の多くは、地方自治体等の公共事業向けとなるため、各年度の公共事業予算に依存しております。従って、公共事業予算が大きく変動した場合、国内需要及び市況価格が変動し、当社グループの売上高及び業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

(3) 貸倒損失の発生リスク

当社は、鋳鉄管等の上下水道用資機材を主に各地域の特約店を経由して配管工事業者等に販売しております。当社の販売先である特約店については、各社の規模、財務状況等を精査し与信額を決定しておりますが、予期せぬ原因で特約店向けの債権の回収が困難になるリスクがあります。

 

(4) 財務制限条項

当社は金融機関とシンジケートローン契約を締結しており、本契約には連結貸借対照表の純資産の部の金額を基準とする財務制限条項が付されております。

第115期 第3四半期連結累計期間において、減損損失及び繰延税金資産の取り崩し等多額の損失を計上したことにより、財務制限条項に抵触するおそれが発生し、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しましたが、金融機関に対して自己資本の回復及び資金の確保に向けて必要な施策を迅速に実施することを説明し、契約の更新及び取引の継続について協議を進めた結果、財務制限条項の抵触事由は解消されました。

また、当該シンジケートローン契約に基づく借入金は約定通りに返済する予定であり、返済計画に変更は御座いませんので、継続企業の前提に関する重要な不確実性は解消されたと判断しております。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。また、当社グループは「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用しており、(2)財政状態については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

主要分野であるダクタイル鋳鉄管は、管路の老朽化が進行しているものの水道事業体予算・公共事業費の縮減などにより、国内需要は低水準で推移いたしました。

このような状況のなか当社グループは、環境変化に左右されない経営を前提とした構造改革、生産体制の抜本的改善及び鉄管をはじめとした製造原価の低減に取り組んでまいりました。当連結会計年度の経営成績は以下のとおりとなっております。

当連結会計年度の売上高につきましては、営業部門の懸命の努力により、鋳鉄管の全国需要の減少を大きく下回る減少率に留めてはおりますが、金額では前年同期と比べ1億5百万円(前年同期比0.8%)減少し、128億77百万円となりました。

製造部門においては、当該分野の総需要不振、販売競争激化による市況軟化を踏まえた上で、大幅な操業体制見直し、歩留向上など合理化施策を推進してまいりました。一方、鋼屑等の原材料価格高騰による売上原価の上昇が進展するなど主たる環境要因の悪化は継続しております。このような状況に加え、操業短縮による異常原価の計上、経年品の在庫処分、低価法による簿価切り下げなどを行った結果、前年同期と比べ営業損益は11億4百万円減少し、10億41百万円の営業損失となりました。経常損益につきましても同様に、前年同期と比べ11億30百万円減少し、10億20百万円の経常損失となりました。

親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、経常損益の減少影響に加え、営業活動から生じた損益の継続的なマイナスの計上により減損の兆候が認められたことから、将来回収可能性を検討した結果、当社が保有する固定資産(機械装置、建物等)について、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、特別損失として減損損失を30億77百万円計上いたしました。また、2019年3月期の業績及び今後の業績見通しを総合的に勘案し、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討し、当該資産の取り崩しなどにより法人税等調整額に5億2百万円を計上した結果、前年同期と比べ46億98百万円減少し、47億33百万円の損失となりました。

なお、当該減損損失の計上により、来期以降に関しましては、固定資産の償却負担が軽減される見通しであります。

 

セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

 

ダクタイル鋳鉄関連

当連結会計年度の売上高は、主力である水道用鋳鉄管類の競争激化による市況軟化影響等により、前年同期と比べ53百万円(前年同期比0.5%)減収し、109億54百万円となりました。

セグメント利益又は損失(営業損益)につきましては、鋼屑などの原材料価格高騰による売上原価の上昇、水道用鋳鉄管類の売上高減少及び競争激化による市況軟化影響等に加え操業短縮による異常原価の計上、経年品の在庫処分、低価法による簿価切り下げなどを行った結果、前年同期と比べ10億6百万円(前年同期比342.9%)減益し、13億円の損失となりました。

 

樹脂管・ガス関連

当連結会計年度の売上高は、ガス用資材の販売が減少したのに加え子会社のリサイクル事業が好調だった前年同期には届かず、前年同期と比べ52百万円(前年同期比2.6%)減少の19億23百万円となり、セグメント利益(営業利益)につきましても、前年同期と比べ95百万円(前年同期比26.0%)減少し、2億73百万円となりました。

 

当社グループは、2017年9月に向こう3年間を展望した中期計画を策定いたしました。この計画における基本方針は、第2「事業の状況」、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

ダクタイル鋳鉄関連

5,824

△21.4

樹脂管・ガス関連

842

△1.9

合計

6,667

△19.3

 

(注) 1. セグメント間取引はありません。

2. 金額は販売価格を以って計上しております。

3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

ダクタイル鋳鉄関連

10,978

+2.9

1,481

+1.6

樹脂管・ガス関連

1,921

△2.7

3

△35.2

合計

12,899

+2.1

1,484

+1.5

 

(注) 1. セグメント間取引はありません。

2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

ダクタイル鋳鉄関連

10,954

△0.5

樹脂管・ガス関連

1,923

△2.6

合計

12,877

△0.8

 

(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。

2. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

太三機工㈱

2,128

16.4

2,134

16.6

東京瓦斯㈱

1,440

11.1

1,418

11.0

 

3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、153億9百万円と前連結会計年度末と比べ42億91百万円減少となりました。

これは主に有形固定資産が「減損損失」の計上などにより、30億3百万円減少したことに加え、流動資産の「商品及び製品」が9億69百万円、「仕掛品」が3億53百万円減少したことによるものであります。なお、当該減損損失の計上により、来期以降に関しましては、固定資産の償却負担が軽減される見通しであります。

負債合計は、80億64百万円と前連結会計年度末と比べ4億40百万円増加となりました。

これは主に流動負債の「支払手形及び買掛金」が1億88百万円、「その他」が2億37百万円、固定負債の「退職給付に係る負債」が56百万円減少したものの、固定負債の「繰延税金負債」が4億87百万円、流動負債の「短期借入金」が5億円増加したことによるものであります。

純資産合計は、72億45百万円と前連結会計年度末と比べ47億31百万円減少となりました。

これは主に配当金の支払いや「親会社株主に帰属する当期純損失」の計上により、「利益剰余金」が47億98百万円減少したことによるものであります。

当社は2018年度の損失計上後も自己資本比率45.6%と依然健全な財務体質を維持しており、引き続き改善施策を迅速に実行し、更なる財務体質強化を図ってまいります。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動により資金が4億48百万円増加しましたが、有形固定資産の取得による支出8億52百万円等があったため、投資活動による資金については、9億25百万円の減少となりました。

その結果、フリーキャッシュ・フローは4億77百万円の支出となりました。

これに対し財務活動によるキャッシュ・フローにおいて、短期借入金の純増減額5億円等があり、当連結会計年度における連結べースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、28億81百万円と前連結会計年度末と比べ1億7百万円(前連結会計年度末比3.6%)の減少となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は、4億48百万円(前連結会計年度は13億37百万円の増加)となりました。

これは主に税金等調整前当期純損失41億17百万円、売上債権の増加4億4百万円があったものの、減損損失30億77百万円、たな卸資産の減少12億94百万円、減価償却費6億52百万円が、資金の支出を上回ったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は、9億25百万円(前連結会計年度は7億50百万円の減少)となりました。

これは主に有形固定資産の取得による支出8億52百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の増加は、3億70百万円(前連結会計年度は1億62百万円の減少)となりました。

これは主に配当金の支払額65百万円、リース債務の返済による支出43百万円があったものの、短期借入金の純増減額5億円が上回ったことによるものであります。

 

当社グループの資金の調達源及び方針につきましては、次のとおりであります。

資金調達方針としましては、借入金のミニマム化と金融コスト低減及び借入金の長期、短期の比率を考慮して、最適調達を心がけております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(業務提携基本契約)

 

契約会社名

契約の相手先

契約締結日

契約内容

契約期間

提出会社

株式会社栗本鐵工所

2002年6月25日

鋳鉄管事業等での生産・
物流・購買・技術分野に
おける業務提携

自 2002年6月25日

至 2020年6月24日

 

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、産業活動や日々の生活に欠かせない水・エネルギー・情報・通信などを輸送・供給するための各種管材料及びその他の商品を提供することにより、社会に貢献することを会社存立の基本理念としてまいりました。

そのなかで、技術対応として商品開発、施工技術及び品質保証の強化を行い、次世代を見据えた「Only1」商品の育成を推進するとともに、外部各種団体の研究会に参加し、市場動向と研究開発の情報収集に努めてまいりました。製造部門においても、技術開発による生産性と品質の向上をはかり、収益の改善及び企業体質の強化を目指しております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は7百万円であり、各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。

 

(1) ダクタイル鋳鉄関連

水道用ダクタイル鉄管の主力商品である耐震管につきましては、長寿命が期待できる耐震管GX形を積極的に販売しており、このGX形には当社が長寿命化を目的として開発した超耐食塗装を施しております。また、GX形の非開削工法への対応を可能とする推力伝達リングの開発も行っております。

鉄蓋につきましては、当社の独自技術を付加した鉄蓋(EVS構造)の開発が完了し、販売を開始しました。さらに用途・適用口径拡大を行っております。

当連結会計年度におけるダクタイル鋳鉄関連に係る研究開発費は7百万円であります。

 

(2) 樹脂管・ガス関連

都市ガス供給用配管材のポリエチレン化が急速に進むなか、これに対応させた新たな配管接合方式(PM継手)をガス会社殿と共同で研究開発を行い販売しております。さらに、この技術を応用した工事部材の研究開発を行っており、一部販売を開始しました。

当連結会計年度における樹脂管・ガス関連に係る研究開発費の発生はありません。