第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1)経営の基本方針

  当社グループは、線材加工製品の総合メーカーとして、時代と環境の変化に柔軟に対応しながら、和親協同・信用保持・創意工夫の社是の下、株主や取引先、従業員、地域社会等のステークホルダーの負託と信頼に応えて、当社グループの健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図り、社会の発展に貢献していく。

 

(2)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

  わが国経済は、米国トランプ政権の関税・通商政策等が世界的な景気動向や株式・為替相場の変動等に与える影響を大きく受けかねないことから、先行きの不透明さ・不確実性が従来より相当程度高まっている状況にある。
 鉄鋼業界では、内需減退下の中国鉄鋼メーカーが過剰生産した鋼材の大量輸出により、アジア地域の市況が低迷し、原料高・製品安の状況が続いていることに加え、米政権による鉄鋼貿易への関税措置も発動され、我が国を含め各国での通商措置を巡る動きが拡大している。
 そうした中で、線材加工製品業界においては、普通線材製品は、フェンス及び土木の二大需要分野で大幅な好転が望み難い状況にある。特殊線材製品は自動車分野の需要動向が米国関税政策の影響を相当程度受けることが懸念されており、電力通信分野も低調に推移する見込みである。鋲螺線材製品においても、当面建築物件の停滞が継続する見通しにあり、回復は25年度下期以降と想定されている。

  一方で、コスト面では、人財確保や従業員のエンゲージメント向上に資するための人件費の増加に加え、24年問題に起因する物流費や政府の負担軽減策の終了によるエネルギー費等の一層の上昇が見込まれている。
 当社グループとしては、こうした事業環境や鉄鋼市場の変化に的確に対応し、一層強靭な企業体質を構築していくために、諸コストの上昇に対する販価転嫁の完遂はもとより、市場競争力の強化、シェアの拡大、需要の開拓、品種構成の高度化、変動費・固定費の低減、子会社の経営基盤強化及び不採算事業撤退等を図り、収益の確保・拡大と持続的な成長に努めていく。
 当社は、めっき・成形加工の高度な技術と商品開発力に支えられたナンバーワン・オンリーワン商品をはじめとする高付加価値の多彩な商品群を有している。こうした差別化商品と東西製造拠点からの短納期デリバリーを武器に、製販技一体で需要家へのソリューション営業を展開し、既存市場での拡販と新規市場の開拓を推進していく。当社は、従来より養殖金網や製紙向け等の用途開拓に加え、補強土壁『ハイパープレメッシュ』の需要家との共同開発など、数々の需要開拓を推し進めてきた。今後とも社会のニーズを踏まえた戦略的な商品を積極的に市場に投入し、公共事業を含めた一定の需要が期待できる建設向け、リピート性の高い製造業向け、他素材の代替を含めた農林水産業向け等を中心に拡販を展開していく。また、事業や業容の拡大を図っていく中で、必要に応じて資本提携等も行っていく。
 当社は、ESGやSDGsを踏まえ、「めっき技術で社会に貢献する」をキーワードに、耐食性の高い環境にやさしい商品の提供(エコプロダクト)、お客様や社会のニーズに応えるソリューションの提案(エコソリューション)、省エネやCO2排出量削減等に資する製造プロセスの構築(エコプロセス)の「三つのエコ」を通じて、持続可能な社会の実現に向けて積極的に貢献している。加えて、社会貢献活動の一環として、森林、資源の整備にも取り組んでいる。さらに、ガバナンスの面では、内部統制の充実及びコンプライアンスの徹底を図っている。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

  当社グループは、収益性の面では、国際会計基準のEBITDAに準拠した減価償却前の利益率を指標とし、売上高に対する減価償却前営業利益率8%、減価償却前経常利益率10%を目標としている。財務の健全性を示すD/Eレシオ(有利子負債/自己資本)については0.3倍以下としている。

  当連結会計年度の減価償却前営業利益率は8.1%(減価償却前営業利益2,763百万円)、減価償却前経常利益率は10.4%(減価償却前経常利益は3,554百万円)、D/Eレシオは0.06倍と目標値をそれぞれ達成した。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性がある。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

当社は、株主・取引先・社員をはじめとする全てのステークホルダーからの負託と信頼に応えて、当社グループの健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図っていく。

また、「めっき技術で社会に貢献する」をキーワードに、ESGやSDGsを踏まえ、耐食性の高い環境にやさしい商品の提供(エコプロダクト)、お客様や社会のニーズに応えるソリューションの提案(エコソリューション)、省エネやCO2排出量削減等に資する製造プロセスの構築(エコプロセス)の「三つのエコ」を通じて、持続可能な社会の実現に向けて引き続き積極的に貢献していく。

 

(2)サステナビリティの取り組み

当社は、株主に対する適切な利益還元と対話の充実、社員の公正・適切な処遇と働き方改革の推進、顧客や購買取引先との適正な取引、地域社会との連携などについて、ESGの進展等のステークホルダーに関わる社会的な動向やコンプライアンス等を踏まえ、適時適切に取り組んでいる。例えば、社員の労働環境面では、定年を65歳に延長するとともに、年間所定労働時間を鉄鋼業界の中でも優位な水準に設定している。販売や購買の取引についても、関係諸法令の改定を踏まえ、都度適正な対応を図っている。

また、当社は、エコプロダクト・エコソリューション・エコプロセスの「三つのエコ」を通じて持続可能な社会の実現に貢献している。

エコプロダクトについては、合金めっきや三元合金めっき、極厚めっき等の耐食性の高いナンバーワン・オンリーワン商品の提供等を通じて、フェンスや養殖金網、獣害防護柵など最終製品の長寿命化によるライフサイクルコストの削減、環境負荷の低減等に貢献している。

エコソリューションについては、プレめっきや成形加工の技術によって需要家の製造工程の省略に貢献している。また、防災・災害復旧関連では、補強土壁「ハイパープレメッシュ」を需要家と共同で開発するとともに、自然環境に調和した治山治水の工法である、落石防護網や河川護岸かご等の材料を提供している。

エコプロセスについては、伸線・めっき設備の集約と工程整流化、酸洗等の工程省略、省エネ設備の導入(高効率燃焼設備・排気設備、モータのインバーター化、照明のLED化等)、工場におけるLNGへの燃料転換等を推進している。

当社におけるCO2排出量の削減については、鉄鋼業界の動向に歩調を合わせ、2030年度に2013年度比で30%削減を目標に掲げている。当社はエコプロセス等を通じて推進し、2024年度は2013年度比で36%程度削減(生産量1トン当たりの原単位ベースでは2013年度比22%程度の削減)を行っており、引き続きCO2排出量の低減に努めていく。

 

(3)ガバナンス及びリスク管理について

当社の取締役会は、地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理などのサステナビリティを巡る課題への対応について、リスクの減少のみならず、収益機会にも繋がる重要な経営課題であるとの認識の下、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に能動的かつ積極的に取り組んでいる。

また、当社は、任意の仕組みとして、経営会議を設置し、取締役会付議事項の事前審議のほか、サステナビリティに関する方針や取り組みを含めた経営上の重要事項等について審議・報告を行っている。内部統制やリスク管理の体制についても、内部統制システムの適切な運用の下、監査役会(監査役)が内部監査部門(監査室)や会計監査人との間で適切かつ緊密に連携・協力する体制を整備するとともに、コンプライアンス委員会を設置し、サステナビリティに関する事項を含むリスクの状況の監視及び全社的なマネジメントを行っている。

 

(4)人的資本(人材の多様性を含む)に関する「戦略」及び「指標及び目標」

当社は、人的資本について、事業セグメント毎の現状の売上高や利益のみならず、今後の事業ポートフォリオを含めたグループ全体並びに事業部門毎の経営戦略・経営課題等を踏まえながら、当社グループの持続的かつ中長期的な成長に資するよう、必要かつ効果的な配分を行っている。

当社は、盤石な経営基盤の構築と成長のベースとなるのが「人財」であるとの認識の下、事業戦略の展開に不可欠な人財の確保と育成を推進している。また、国籍、人種、宗教、思想信条、性別、年齢、障碍の有無等に基づく差別の排除に努めるとともに、性別、国籍、採用形態等にかかわらず人物本位で採用し、各人の職務遂行能力や業務成果、リーダーシップ等に基づいて公平・公正に人事評価を行い、管理職登用をはじめとする役職昇進・資格昇格等の処遇を行っている。さらに、社員が相互に多様な価値観を尊重し個性を活かすことで個々人の力を最大限に発揮し、誇りと働き甲斐を実感しながら活躍できる社内環境の整備に努めている。

人財の確保については、新卒採用に加え、中途採用、紹介予定派遣で受入れ後正社員への切替等の多面的な対策を講じるとともに、女性及び中途入社者の採用数拡大、障碍者雇用等に留意しながら多様性の確保に向け取り組んでいる。さらに、高齢層のインセンティブを高め個々人の能力・活力の発揮を促す観点から、定年を65歳に延長するとともに、65歳超の高齢者についても要人員事情等を踏まえつつ希望者を積極的に継続雇用している。中核人財の登用等における多様性については、女性は管理職昇進前の役職者が3名である一方、管理職における中途採用者の比率は30%である。

人財育成については、各職場でのOJTを基本としつつ、OFF-JTは、新入社員から上級管理職までの階層別研修、管理・営業・技術・製造の部門別研修、財務・コンプライアンス・各種スキルアップ等の共通研修を実施している。「人を育て人が育つ」風土を築き、社員の自律的な課題解決力や環境変化への対応力の向上を図るとともに、社員にとって仕事を通じて自分が成長する「自己実現の場」として「働きがい」と「働きやすさ」を実感できる、人と組織の活力が溢れる「エンゲージメント」の高い会社を引き続き目指していく。

社内環境の整備については、年間所定労働時間を鉄鋼業界でも優位な水準にまで短縮するとともに、出産・育児と仕事の両立を積極的に支援すべく、育児休業の取得はもとより、ワークライフバランスに配慮した勤務時間・休暇取得等の制度を導入しており、意欲と能力のある社員の活躍をサポートしている。

 

人的資本に関する指標及び目標については、特に女性の活躍推進に資する指標として、管理・営業・技術等に係る中核人財候補としての女性の採用を新卒・中途で毎年3~5名程度実施(2024年度7名)するとともに、生産設備の操業や整備、出荷、検査等の技能系職場で女性が活躍できる職務の拡大と採用を推進していく。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりである。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1) 規格の変更等について

当社グループは、規格の変更、新方式・新素材の採用等により販売環境が大きく変わり、当社グループの生産・販売活動に支障が生じる可能性がある。

 

(2) 原材料等の市場動向について

当社グループの事業に用いる原材料の価格は、鉄鉱石やスクラップ、亜鉛等の市況と連動することから、当該市況の動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

(3) 固定資産減損損失について

当社グループの固定資産の時価が著しく低下した場合や事業の収益性が悪化した場合には、固定資産減損会計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

 

(4) 株式・債券市場等の動向について

当社グループは、投資有価証券を運用していることから、市場の動向によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

当社では、所有株式・債券について個別銘柄毎に取引・運用状況を検証し、投資先企業の業績や財務体質を踏まえた保有リスク、含み損益、投資リターン等を総合的に勘案し、継続保有や新規保有の適否の判断を行っている。

 

(5) 物流2024年問題の影響について

2024年4月の労働基準法改正により、自動車運転業務における時間外労働の上限規制(年960時間)が適用されることに伴う「2024年問題」によって、当社グループの輸送能力や物流コストに影響を及ぼす可能性がある。当社では「2024年問題」が及ぼす影響を見極め、適時適切な対策を図っていく。

 

(6) 米国トランプ政権の関税・通商政策等の影響について

米国トランプ政権の関税・通商政策等が自動車分野の需要動向をはじめ、わが国及び世界の景気動向等に影響を与えることにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

(7) 地震、津波及びその他の自然災害等について

当社グループは、地震、津波及びその他の自然災害等により、当社グループの生産・販売活動に支障が生じる可能性がある。

国内の製造拠点は関東と関西の二箇所に配置しており、東西で生産・出荷を可能な限り相互にバックアップできるような体制を構築している。システム関係については、基幹サーバを兵庫県尼崎市の本社から同県三田市のデータセンターに移設するとともに、千葉県のデータセンターにもサーバデータの複製を保管することにより、システム情報の保管に関するリスク回避を図っている。

また、当社では、地震、津波、台風その他の自然災害等に備えた防災体制の強化や社員の災害対応力の向上を図るため、防災機器・設備の充実や防災対応マニュアルの整備・更新、定期的な初動対応訓練等を適宜行っている。

 

(8) 海外事業について

当社グループは、海外において生産・販売活動を行っているが、海外における政治・経済的混乱、疫病・テロといった社会的混乱、法的規制などにより、事業活動が制約される可能性がある。

当社では、当社や子会社の社長及び取締役が海外子会社・関連会社の取締役や董事長、総経理に就任するとともに、当該海外子会社・関連会社の経営上の重要事項やリスク等について月次会議等の場で適宜報告を求め必要な助言を行っている。さらに、当社において、海外子会社・関連会社に対する経営管理機能及び支援機能を強化すべく、国内外の子会社・関連会社を統括する「関係会社本部」を設置し、海外子会社・関連会社のマネジメントを行っている。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

 ① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、地政学的リスク、欧米や中国の景気動向、為替相場等の複合的な要因が相俟って、先行きの不透明な状況が継続した。

線材加工製品業界においては、普通線材製品でフェンス向けや電力向けを中心に需要低迷が続いた。特殊線材製品では、完成車メーカーの認証不正問題や海外販売不振等を背景に自動車向けの回復が遅れ、プロジェクト案件が減少した電力通信向けも低調に推移した。鋲螺線材製品は、人手不足及び建設費高騰等の影響を受けた建築物件の停滞により需要が減少した。

一方で、コスト面では、主副原料価格の上昇に加え、物流費やエネルギー費、人件費等が増加した。

このような事業環境の中、当社グループは、これらのコスト上昇に対する販価転嫁をはじめ、輸入針金代替需要の捕捉、鋼索の拡販等による販売数量確保、さらにはコスト低減対策等を積極的に推進した。

その結果、財政状態及び経営成績は以下のとおりとなった。

 

 a.財政状態

当連結会計年度末の財政状態については、総資産は72,339百万円と前連結会計年度末に比べ1,266百万円の減少、負債合計は16,963百万円と前連結会計年度末に比べ1,303百万円の減少、純資産合計は55,375百万円と前連結会計年度末に比べ37百万円の増加となった。

 

 b.経営成績

当連結会計年度の経営成績については、売上高は販売数量の減少により34,126百万円と前期に比べ370百万円(△1.1%)の減収、利益面においては、販売数量が減少したものの、諸コスト上昇に対する販売価格改善の推進等により、営業利益は1,349百万円と前期比13百万円(1.0%)の増益、経常利益は2,140百万円と前期比15百万円(0.7%)の増益となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、耐震診断を踏まえた古い倉庫の解体・除却並びに在中国子会社の解散決議に伴う整理損失等により特別損失が増加したことから、1,065百万円と前期比193百万円(△15.3%)の減益となった。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
 また、セグメント利益は、営業利益ベースの数値である。

 

普通線材製品

普通線材を素材とした各種めっき鉄線、また、めっき鉄線を素線とした加工製品からなり、公共土木向けのかご、落石防護網及び民間向けを含めた各種フェンス等に使用されている。
 売上高は、主副原料価格及び物流・エネルギーコスト等の上昇に対する販売価格改善の一方で、販売数量が減少したことにより、9,395百万円と前期に比べ143百万円(△1.5%)の減収となった。

営業利益は、販価改善及び在庫評価差等の増益要因が、諸コスト上昇及び販売数量減等の減益要因を上回ったことにより、312百万円と前期に比べ99百万円(46.8%)の増益となった。

 

特殊線材製品

特殊線材を素材とした硬鋼線、各種めっき鋼線、鋼平線、鋼より線、鋼索等からなり、自動車向け、電力通信向け及び公共土木向け等、多岐に渡って使用されている。
 売上高は、主副原料価格及び物流・エネルギーコスト等の上昇に対する販売価格改善の一方で、販売数量が減少したことにより、16,884百万円と前期に比べ54百万円(△0.3%)の減収となった。

営業利益は、販価改善等の増益要因が、諸コスト上昇、在庫評価差及び販売数量減等の減益要因を上回ったことにより、346百万円と前期に比べ43百万円(14.3%)の増益となった。

 

 

鋲螺線材製品

鋲螺線材を素材としたトルシア形高力ボルト、六角高力ボルト及びGNボルト等からなり、主として建築向けに使用されている。
 売上高は、主原料価格及び物流・エネルギーコスト等の上昇に対する販売価格改善の一方で、販売数量が減少したことにより、7,161百万円と前期に比べ144百万円(△2.0%)の減収となった。

営業利益は、諸コスト上昇及び販売数量減等の減益要因が、販価改善及び在庫評価差等の増益要因を上回ったことにより、574百万円と前期に比べ134百万円(△19.0%)の減益となった。

 

不動産賃貸

主に賃貸用不動産を所有・経営している。
 売上高は、163百万円と前期に比べほぼ横這いとなった。

営業利益は99百万円と前期に比べ1百万円(1.9%)の増益となった。

 

その他

めっき受託加工等の売上高は583百万円と前期に比べ13百万円(△2.2%)の減収となった。

営業利益は15百万円と前期に比べ3百万円(33.7%)の増益となった。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、7,330百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,325百万円(△15.3%)の減少となった。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりである。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、2,366百万円となり、前期に比べ641百万円(△21.3%)の減少となった。これは主に、棚卸資産の増減額の増加への転換、税金等調整前当期純利益の減少が売上債権の減少額の増加、仕入債務の減少額の減少を上回ったことによるものである。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、2,106百万円となり、前期に比べ1,232百万円(141.2%)の増加となった。これは主に、投資有価証券の取得による支出の増加、有形固定資産の取得による支出の増加、無形固定資産の取得による支出の増加、有形固定資産の解体による支出の増加が投資有価証券の売却による収入の増加、有価証券の償還による収入の増加を上回ったことによるものである。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、1,600百万円となり、前期に比べ741百万円(△31.7%)の減少となった。これは主に、短期借入金の純増減額の増加への転換が長期借入れによる収入の減少を上回ったことによるものである。

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

  a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

普通線材製品

7,389,201

△4.4

特殊線材製品

14,015,750

△1.8

鋲螺線材製品

4,712,882

2.8

その他

247,079

2.1

合計

26,364,914

△1.7

 

(注)金額は、製造原価によっている。

 

  b.受注実績

 当社グループは原則として需要状況を勘案した見込生産を行っているため、該当事項なし。

 

 

  c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

普通線材製品

9,395,772

△1.5

特殊線材製品

16,884,638

△0.3

鋲螺線材製品

7,161,335

△2.0

不動産賃貸

163,841

△0.2

その他

583,859

△2.2

調整額

△62,538

32.0

合計

34,126,910

△1.1

 

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社メタルワン 鉄鋼製品販売

3,592,042

10.4

3,555,802

10.4

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a.経営成績の分析

当社グループは、主副原料価格及び物流・エネルギーコスト等の上昇に対する販価転嫁をはじめ、輸入針金代替需要の捕捉、鋼索の拡販等による販売数量確保、さらにはコスト低減対策等を積極的に推進した。

その結果、当連結会計年度における売上高は、販売数量の減少により34,126百万円と前期に比べ370百万円(△1.1%)の減収となった。
 営業利益は、販売数量が減少したものの、諸コスト上昇に対する販売価格改善の推進等により、1,349百万円と前期に比べ13百万円(1.0%)の増益となった。
 経常利益は、2,140百万円と前期に比べ15百万円(0.7%)の増益となった。
 特別利益は、抱合せ株式消滅差益の減少等により、前期に比べ75百万円減少の1百万円となった。
 特別損失は、関係会社整理損及び固定資産除却損の増加等により、前期に比べ616百万円増加の709百万円となった。
 以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前期に比べ676百万円減少の1,432百万円となった。また、税効果による法人税等調整額を含む税金費用は、前期に比べ320百万円減少し、非支配株主に帰属する当期純利益は162百万円減少した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,065百万円と前期に比べ193百万円(△15.3%)の減益となった。
 セグメント別の経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載している。

 

 b.財政状態の分析

 (資産の部)

当連結会計年度末の総資産は72,339百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,266百万円の減少となった。流動資産は35,828百万円となり、前連結会計年度末に比べ466百万円の減少となった。これは主に現金及び預金の減少によるものである。固定資産は36,510百万円となり、前連結会計年度末に比べ799百万円の減少となった。これは主に投資有価証券の減少によるものである。

 

 (負債の部)

当連結会計年度末の負債合計は16,963百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,303百万円の減少となった。流動負債は11,729百万円となり、前連結会計年度末に比べ466百万円の増加となった。これは主に電子記録債務の増加によるものである。固定負債は5,234百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,769百万円の減少となった。これは主に長期借入金の減少によるものである。

 

 (純資産の部)

当連結会計年度末の純資産合計は55,375百万円となり、前連結会計年度末に比べ37百万円の増加となった。この結果、自己資本比率は71.6%となった。

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載している。
 当社グループの資金需要の主なものは、原材料の購入、設備投資等によるものである。
 当社グループは、事業の運営に必要な資金については、自己資金を活用するとともに、銀行等金融機関からの借入により調達している。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えている。

 

固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上している。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しているが、将来計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性がある。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

当社グループは、繰延税金資産について、将来計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上している。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性がある。

 

(退職給付債務の算定)

確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定している。数理計算上の仮定には、割引率等の計算基礎がある。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性がある。

なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表  注記事項 (退職給付関係) 2 確定給付制度 (8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりである。

 

5 【重要な契約等】

該当事項なし。

 

6 【研究開発活動】

当社グループを取り巻く市場環境は益々競争が激化しており、商品・技術開発、品質・プロセス改善、新規需要開拓及び諸コスト低減等のニーズが増大している状況にある。

普通線材製品、特殊線材製品、鋲螺線材製品に関するこうしたニーズに応えるべく、技術本部が主体となって、研究開発活動を推進している。

当連結会計年度の研究開発費の総額は、63百万円である。