①営業の全般的状況
当期における経済情勢は、米国では景気の回復が続き、欧州でも個人消費を中心に緩やかな回復基調で推移しました。いっぽう、新興国では中国等の景気減速による世界経済の下振れリスクが懸念され、景気の先行きは不透明な状況で推移しました。また、日本国内では個人消費の停滞感が見られ景気全体としては横這いで推移しました。
このような経済環境のなか、電子写真用キャリアが使用されるオフィス用複写機・プリンターや商業用印刷機の市場は、不透明感はあるものの全体としては底堅く推移いたしました。
食品の品質保持に使用される脱酸素剤市場は、消費者の安全・安心志向が強いこともあり堅調に推移いたしました。鉄粉につきましては、主要用途であるカイロの生産調整等により前期を下回る需要となりました。
このような状況のなか、当社グループは新規受注の獲得などに努めたものの、当期の連結売上高は9,585百万円(前期比3.4%減)となりました。
損益面におきましては、主に鉄粉事業の増益やキャリア事業の新規商品の立ち上げ等により、連結営業利益は1,337百万円(前期比4.4%増)となりました。営業外損益を加えた連結経常利益は1,315百万円(前期比2.4%増)となりました。
特別損益では、損失として固定資産処分損57百万円を計上いたしました。
この結果、連結税金等調整前当期純利益は1,258百万円(前期比2.3%増)となり、法人税、住民税、事業税、および法人税等調整額を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は884百万円(前期比16.0%増)となりました。
②セグメントごとの状況
キャリア事業
上記のようなキャリア市場動向のなか、当社グループはお客様から生産・品質面で絶対的な信頼をいただくことを第一義として事業運営を行いました。そして、お客様の強い省エネニーズに応えた開発商品群の受注増が引き続き大きく寄与し、高水準のシェアを維持することができました。しかし、当期はお客様の在庫調整等によりキャリアの需要は減少いたしました。
この結果、当部門の売上高は7,280百万円(前期比3.2%減)となりました。セグメント利益は、減販損はありましたが、新規商品の立ち上げおよび前期に実施しました棚卸資産圧縮の影響がなくなったことで1,606百万円(前期比1.8%増)となりました。
鉄粉事業
当セグメントの、脱酸素剤関連製品は拡販に努め、前期を上回る販売を達成いたしました。鉄粉関連製品に関しましては、主力のカイロ向け鉄粉の販売減により、全体の売上は前期よりも減少しました。
この結果、当部門の売上高は2,305百万円(前期比4.0%減)となりました。セグメント利益は、減販損をコストダウン等でカバーし158百万円(前期比47.1%増)となりました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が1,258百万円となり、減価償却費が657百万円、法人税等の支払で433百万円のキャッシュ減少等により、1,471百万円のキャッシュの増加(前期比219百万円キャッシュ減)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主にキャリア製造設備及び研究開発設備等の設備投資に662百万円の支出、国庫補助金の収入366百万円により、338百万円のキャッシュの減少(前期比1,859百万円キャッシュ増)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、長期借入金の返済198百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出44百万円、配当金の支払177百万円等を行い、421百万円のキャッシュの減少(前期比593百万円キャッシュ減)となりました。
これらの結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は前年度比709百万円増加し、期末残高は1,931百万円となりました。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
キャリア事業 | 7,317,826 | △1.7 |
鉄粉事業 | 2,240,307 | △4.0 |
合計 | 9,558,133 | △2.2 |
(注) 金額は販売価格(消費税等抜き)によっております。
当社グループの主要製品については、見込み生産が主で受注生産はほとんど行っておりません。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
キャリア事業 | 7,280,163 | △3.2 |
鉄粉事業 | 2,305,497 | △4.0 |
合計 | 9,585,661 | △3.4 |
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
富士ゼロックス | 2,593,185 | 26.1 | 2,346,323 | 24.5 |
㈱リコー | 1,445,847 | 14.6 | 1,360,109 | 14.2 |
京セラ | ― | ― | 1,003,884 | 10.5 |
2 上記販売実績の金額は消費税等抜きで表示しております。
3 前連結会計年度における京セラドキュメントソリューションズ㈱は、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
当社グループの事業展開につきましては、以下の課題に取り組むことで、より強固な事業基盤を作り上げます。
キャリア事業
オフィス用複写機のカラー化の進展、デジタル商業用印刷分野の拡大は引き続き継続するものと考えられ、これに伴うキャリア需要増加に対応すべく以下の課題に取り組みます。
-長寿命化によるお客様のコスト削減やさらなる省エネ・高画質化に対応できる次世代キャリア開発と量産プロセスの確立。
-新工場の戦力化によるBCPを念頭に置いた安定増産体制の確立と、さらなる省エネ活動によるコストダウンの強化。
-特殊プロセスを導入して個別お客様ニーズに対応した開発商品群の増産体制確立。
鉄粉事業
食品の品質保持に使用される脱酸素剤関連および鉄粉製品については、次のような課題に取り組みます。
-差別化商品である検知機能付き脱酸素剤の拡販、並びに金属探知機対応や小型化等のお客様ニーズに合わせた開発商品の量産体制確立。
-カイロ用鉄粉ソースの多様化による安定供給体制の拡充。
シェア世界一のキャリア事業はもとより、鉄粉事業においても上記のような諸施策を確実に実行し業界で確固たる地位を築くとともに、粉体技術を応用展開した新規用途開発にも注力し、さらに高い収益を確実にあげうる経営基盤を構築してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、次のとおりであります。
(1)経済状況の変化と業界の動向について
国内外の経済の悪化に伴い、企業等の設備投資が減退し、複写機・プリンター業界の販売が不振となり、それによってキャリア製品の需要が減少し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)環境規制等について
各事業所においては、環境関連法令に基づき、大気、排水、土壌、地下水等の汚染防止や工場周辺に対する環境安全対策には万全を期しておりますが、関連法令の改正等によっては、当社グループに新たな費用が発生する可能性があります。
(3)災害等について
主要な事業においては複数の製造拠点を有することも考えられますが、当社グループの規模、体力等を考慮し、必要な製品在庫を複数の拠点に保管する方法で不測の事態に備えた供給リスクに対応しております。地震、火災等不測の事態が発生した場合には、一時的に生産が著しく低下する可能性があります。
(4)主力製品について
当社グループの主力製品であるキャリア製品の売上高は、連結売上高の約70%を占めております。キャリアが使用される二成分系複写機・プリンターは、主に企業向けであり、今後も底堅い需要が見込まれますが、キャリア自体の品質向上、長寿命化の進行により、複写機・プリンターの台数は伸びても、キャリア需要はそれに比例して伸びない可能性があります。
(5)原材料の仕入価格の変動について
世界的に原材料価格が大きく変動しており、当社グループもその影響を受けるため、調達先の拡大と安定購入先の確保等に努め、経営成績に与える影響を最小限に抑える対策を行ってまいります。
また、輸入原料については、外貨建決済のものがあり、為替相場の変動によるリスクを有しております。
(6)製品の品質について
品質管理には万全の体制をとっていますが、予期せぬ製品の欠陥が発生し修理費用等を負担する可能性があります。
(7)将来に関する事項について
以上に記載している将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
特記事項はありません。
キャリア事業につきましては、環境対策用、微粒品キャリア等の新製品開発および新用途の開発、鉄粉事業につきましては、脱酸素剤等の新製品の開発に重点を置き、積極的に取り組んだ結果、当連結会計年度は396,549千円の研究開発費を計上いたしました。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績は、年度当初の方針・目標に対して、新規受注の獲得、新工場の立ち上げ、歩留アップ等の技術向上、全社改善活動(Q-up活動)による工場の改善は予定どおり実施いたしました。また、売上高の減少に対しましては、固定費削減などのコストダウンに取り組みました結果、年度当初の業績予想を上回ることができました。
前連結会計年度と比較しますと、新規受注の獲得などに努めましたが、当期はお客様の在庫調整等により、全体の売上高は3.4%減少いたしました。損益面では、主に鉄粉事業の増益やキャリア事業の新規商品の立ち上げ等により、営業利益は4.4%増、経常利益は2.4%増、税金等調整前当期純利益は2.3%増、親会社株主に帰属する当期純利益は16.0%増となりました。
(2) 財政状態の分析
当期末は前期末に比べて、流動資産は主に受取手形及び売掛金と預け金の増加により848百万円増加いたしました。固定資産は主にキャリア製造設備等の設備投資を行いましたが、国庫補助金による圧縮記帳を行いましたので、95百万円減少いたしました。以上により、総資産は752百万円増加いたしました。
負債は長期借入金が減少しましたが、未払金が増加しましたので、44百万円増加いたしました。
純資産は利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益等で増加し、708百万円増加いたしました。
自己資本比率は、純資産の増加により71.4%と前期末比1.5%増加いたしました。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、上記経営成績のとおり、税金等調整前当期純利益は増益となりましたが、主にたな卸資産の増加と仕入債務の減少により、前連結会計年度比219百万円減少し1,471百万円のキャッシュ・インとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、主にキャリア製造設備の取得による支出が減少したことと国庫補助金の収入により、前連結会計年度比1,859百万円増加し338百万円のキャッシュ・アウトとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、長期借入金の返済198百万円、ファイナンス・リース債務の返済44百万円、配当金の支払177百万円を行いました。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ709百万円増加し1,931百万円となりました。
(4) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境および入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するよう努めております。「対処すべき課題」で取り上げましたように、事業環境の変化に対応すべく経営戦略を明確にし、掲げた課題と施策を確実に実行してまいります。