第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境、及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、創立以来、当社製品のみがき棒鋼・冷間圧造用鋼線についてお客様のあらゆるニーズに応えられるメーカーを目指して、「誠実」をモットーに技術力を高め、生産設備、及び販売・物流体制を充実してまいりました。

これからも当社グループは、取引先はもちろんのこと株主をはじめとするあらゆるステークホルダーを尊重する方針のもと、事業展開を行う所存であります。

(a)取引先に対しましては、「クオリティー ファーストの追求」を品質方針に掲げ、全社をあげて品質向上に取り組み、豊富な在庫量と即納体制で多様化するニーズに対応できる製・販体制の構築を目指してまいります。

(b)株主に対しましては、高い成長力、高い収益力、活力あふれる企業を目指すことにより、競争力のある企業体質の確立と適切な利益配当を通じ、株主の信頼と期待に応えられるよう努めてまいります。

(c)当社グループで働く従業員に対しましては、グループの連携を強化し経営資源を有効に活用することにより収益の最大化を図り、従業員へ福利厚生面での還元を行うとともに、働くことを通して自己実現と社会への貢献ができるような会社であり続けるよう努めてまいります。

(d)地域住民の方々に対しましては、企業の社会的責任(CSR)をこれまで以上に果たしながら、ISO9001:2015、ISO14001:2015に基づく企業経営を行い、内部統制及びコンプライアンス体制を強化し、リスク管理の徹底を図ることにより、社会と共生し信頼される企業を目指してまいります。

(2)経営戦略等

当社グループは、企業の社会的責任(CSR)をこれまで以上に果たしながら、価格競争激化や景況感に陰りが生じる局面においても、耐え得る競争力のある企業体質の確立に努めてまいります。

その施策は次のとおりです。

① 販売数量のシェアアップ

みがき棒鋼、及び冷間圧造用鋼線両分野での拡販、及び製品の高付加価値化を推し進めることに加え、製品の三次加工分野への積極的展開を図り、また、必要に応じ同業他社との技術提携、及び販売、製造の協力により業容の拡大を目指してまいります。

② 継続的設備投資の実施

当社グループは、毎期、継続して効果的な設備投資を実施しております。当期の設備投資額は564,120千円であります。なお、次期の設備投資の総額は670,000千円を予定しております。今後とも、生産性、及び品質の向上を更に推し進めてまいります。

③ 社会的責任(CSR)の強化

ISO9001:2015、ISO14001:2015に基づく企業経営をはじめ、内部統制体制の整備と徹底、コンプライアンス体制の強化、リスク管理の徹底を図り、社会と共生し信頼される企業を目指してまいります。

④ 連結経営の強化

グループの連携強化については、経営資源を有効に活用するとともに、営業面ではグループ会社が共同し、新規需要家を開拓するなど、最大限の利益を追求することに努めてまいります。

⑤ 海外戦略の取り組み

当社グループの主要需要家である自動車メーカーは、海外生産シフトを加速しており、当社グループとしては、中国及びタイ国に設立された日本製鉄㈱を主体とする合弁会社への参加を通じて、海外における現地日系自動車部品メーカーの多様で高度なニーズにも対応してまいります。

 

(3)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

わが国経済の今後の見通しにつきましては、ウクライナや中東情勢、更なる労務費・諸物価の上昇等の懸念があり、楽観視できない状況が継続している中で、足元の米国トランプ政権の関税政策による自動車等の国際的なサプライチェーンに及ぼす影響、及び世界経済へのマイナス影響が憂慮される状況と認識しています。

当業界につきましても、主要需要分野である自動車・建産機業界においても上記の関税政策による影響を免れることが出来ない極めて厳しい状況にあると認識し、今後の動向を慎重に見極めていくことと、変化への備えが何よりも重要であると考えております。

このような経営環境下、当社グループにおきましては、保有する生産設備の効率的且つ最適な稼働を図るなどグループ間・事業所間の連携をこれまでにも増して一層強化することにより、グループ内経営資源を有効に活用する等の施策により、連結収益の最大化を追求する所存であります。

また、コーポレート・ガバナンスの充実を図ることが、当社グループ経営上の重要課題であると位置付けており、その徹底を図るため、内部統制・監査室を中心に内部統制についてより一層の整備に取り組んでまいります。また、全ての法令・社内規程の遵守や企業人・社会人として求められる価値観や倫理観に基づく行動を徹底するため、今後とも全社ベースでのコンプライアンス意識の徹底を図るとともに、内部監査機能の充実、社内管理体制の強化に取り組んでまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、顧客指向の立場で収益性の高い事業展開を目指し、また、株主への安定的な利益配当を基本方針としております。そのため、売上高経常利益率、自己資本比率といった収益性・安全性に関する経営指標を重視した事業運営に留意しております。

 

2024年度目標

 

2025年度目標

売上高経常利益率(ROS)

1.7%

 

2.5%

自己資本比率

49.2%

 

52.6%

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティに関する考え方

  当社グループは、社訓である「誠実」とそれを体現するために定めた4つの企業理念である

  ①社会と共生し、信頼される会社であり続けます。

  ②技術の創造と革新に挑戦し、技術の向上を図ります。

  ③変化を先取りし、進歩を目指して自己改革に努めます。

  ④人材を育成し、人を活かす会社を目指します。

のもとに、事業活動を通して社会的な貢献・責任を果たしながら、当社グループの持続的な企業価値の発展に努めることが求められると考えております。

 

(2)ガバナンス及びリスク管理

当社グループは、サステナビリティを重要な経営課題の一つと位置づけており、サステナビリティに関する課題については、執行役員で構成され、原則として月2回開催される経営会議にて審議するとともに、必要に応じて取締役会に報告します。また、取締役会の監督のもとに経営会議で審議・決定された議案は各担当部門が実施いたします。

詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

当社グループは、各担当部門がサステナビリティに関連するリスクの識別・評価を実施するとともに、経営会議においてリスク管理を行っております。

また、担当役員による対応策の進捗状況の報告やリスクの見直し等は経営会議において審議され、重要な事項については取締役会に報告されます。

 

 

 

(3)サステナビリティの取り組み(戦略・指標及び目標)

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

①気候変動への対応(CO2削減)

当社グループは、気候変動への対応としてCO2排出量の削減を重要なテーマとしております。当社グループのCO2排出は、焼鈍炉等で使用するガス、及び伸線機等で使用する電力が主要な発生源であることから、生産設備等の省エネ対策を積極的に推進するとともに、グリーン電力への切り替えを鋭意推進しております。

当社におけるCO2削減は、2030年度に2018年度比30%の削減を目標として取り組みを進めております。

2024年度は、2022年度からグリーン電力への切り替えを開始したこともあり、生産量1トン当たりのCO2排出量で2018年度比37%削減(スコープ1・2、CO2排出総量59%削減)し、30%削減の目標を超過達成しております。引き続き、更なるCO2削減への取り組みに努めてまいります。

 

②人的資本への対応(人材の多様性)

当社グループは、多様な人材登用、及び育成が持続的な会社の成長に必要であると考えております。社員の年齢や性別、新卒又は中途採用者、国籍並びに障がいの有無を問わず、社員全員が安心して活躍できる場を提供します。

また、社員一人ひとりの意欲や能力を最大限発揮できるよう働きやすい環境づくりを推進するとともに、当社グループの組織全体が活性化する施策を実施し、D&Iに積極的に取り組んでまいります。

<主な取り組み項目>

・安全の確保を何よりも最優先の課題として諸施策を推進することに加え、衛生の向上に万全を期すべく取り組む

・各人のスキルアップを積極的に奨励しており、外部セミナーの活用や資格取得の機会、及び費用のサポート

・製造部門の職務ローテーション実施による多能工化、営業部門の担当品種、担当地域変更(転勤を含む)による経験機会の創出によるスキルアップ

・グループ会社間における人材交流を行い、それぞれが持つノウハウを共有化するとともに、組織を活性化

・社員のモチベーションの向上を目的として、部門や個人の優秀な業績、及び功績を表彰する制度を運用

・育児休業や短時間勤務制度の利用促進

・フレックスタイム制導入やテレワーク勤務導入の検討

・安心して働ける環境をより向上させるための、適切な内部通報制度の運用と是正措置の継続的な推進

 

人的資本に関する情報の各項目に係る目標値の設定については、当社グループは人数規模が比較的小さいことから、重要性も加味したうえで、現時点では特に定めておりません。当社グループの事業環境の変化や今後のトレンドを注視しながら、適切に必要な目標を定めるものとしております。

 

現状において女性管理職は当社グループにおいて2名にとどまっておりますが、本年4月に女性管理職候補として5名選任いたしました。今後は積極的に管理職に登用し、女性管理職比率を高めていきたいと考えております。

また、女性社員の採用を積極的に進めるとともに、女性社員が仕事と子育てを両立させることができ、且つ仕事と生活の調和を図り、働きやすい雇用環境の整備を行なうことが必要であると考えております。

当社では、産前産後休暇、及び育児休業の運用に加え、

・3歳の誕生日から5歳に達するまでの間の子どもを持つ社員が希望すれば、1日当たりの就業時間を最大で1時間

・5歳の誕生日から9歳(小学校3年生の年度末)までの間の子どもを持つ社員が希望すれば、1日当たりの就業時間を30分または1時間

短縮できる短時間勤務制度を導入しており、積極的な運用を推奨しております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績、及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)業績が自動車の生産動向に影響を受けること

当社グループは、みがき棒鋼、及び冷間圧造用鋼線の製造・販売を主たる事業としておりますが、その主たる需要家は自動車関連業界であります。

米国関税政策等による足下の需要の変動に加えて、自動車関連業界各社の海外生産移管の強化や国内外拠点での部品・鋼材の海外調達の増加などの基調に変化はないと考えており、将来的には当該業界における当社グループ製品の需要縮小が懸念されるところであります。

また、今後、海外経済や為替の動向の激変により自動車業界の活動水準や調達方針に大きな変動が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、車体メーカー向けの販売と部品ベンダー向けの紐付き需要を的確に補足するように販売力を強化するとともに、必要に応じて海外拠点の構築を検討していきます。

(2)鋼材価格の大幅な変動

鉄鋼原料価格の大幅な変動は、鉄鋼メーカーの鋼材価格に反映され、当社グループの売上原価に大きな影響を与えます。

鋼材値上げ時において原価上昇分の顧客に対する販売価格転嫁が十分でない場合、また、鋼材値下げ時において在庫簿価の高い製品・材料の払出しが続く場合はいずれも利益率が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、原価上昇分の販売価格転嫁をご理解頂けるよう顧客に対するきめ細かな営業活動に注力いたします。

(3)製造コスト変動にかかるリスク

エネルギーコストの高騰により、今後、更に電力料金等のエネルギーコストの上昇やそれを起点とする副資材コストの上昇、賃上げによる労務費、及び物流を含む外注コストが上昇する場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、JK活動等による更なるコスト削減策の実施やグループ内での最適化生産等を通じてコスト削減を図るとともに、加工賃改定に努めてまいります。

(4)競合等の影響について

当社グループは、主として関西以西を販売拠点としており、同エリアのみがき棒鋼、及び冷間圧造用鋼線の競合先は17社あります。景気の後退局面において競合関係が激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、協力会社との情報交換を密にし新規取引先や新規案件の開拓に注力するとともに、M&A等によるシェア確保に努めてまいります。

(5)退職給付費用について

当社グループの退職給付債務は、期末自己都合要支給額、及び年金資産の時価等に基づいて算出されますが、年金資産の運用利回りの悪化は退職給付費用の増大に繁がり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、年金資産の運用利回り悪化の影響を軽減するため、よりリスクの低いリスク・コントロール型バランスファンドで運用しております。

(6)人材の確保及び育成について

当社グループは、優れた人材の採用、及び育成を最重要課題の一つとして認識し、能力向上のための教育の実施、及び外部研修支援制度の拡充を図るとともに、能力主義を基本とした人事考課を実施しております。

しかしながら、これらの施策がうまく機能せず、当社グループの求める人材の確保・育成が計画通り行えない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

当社グループとしては、外部講師による社内講習会や積極的な外部研修を実施するとともに、当社グループが求める必要な人材の確保に努めてまいります。

(7)製品品質について

当社グループは、製品の品質を重視しており、ISO9001:2015の認証取得など品質管理・品質保証体制を整備しております。

しかしながら、当社グループの生産した製品に起因する損害が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、製造・検査等による作業マニュアルの整備、及び適切な運用により、製品トラブルの発生リスクを低減させ、また、製造物賠償責任保険を付与し損害の低減を図っております。

(8)地震等自然災害について

当社グループは、製造設備の停止による事業活動のマイナス要因を最小限にとどめるため、全ての生産設備において定期的な設備点検を行っております。

しかしながら、関西以西を震源地とする大地震が発生した場合には、人的被害や製造設備の倒壊等に伴う生産活動の中断により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、災害発生後すみやかに緊急対策本部の設置・運用できる体制を構築し、また、年1回避難訓練等を実施しております。また、各耐震補強工事を実施し設備の損害リスクの低減を図っております。

(9)固定資産の減損会計について

当社グループが保有している固定資産について、営業損益が継続してマイナスになるなど、減損の兆候があると判断された場合には、将来の回収可能性を見積り、減損損失の認識の要否を判断し、資産グループから生じる将来キャッシュ・フロー総額が固定資産の帳簿価額を下回っている場合には、固定資産の減損損失が発生し連結経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

前連結会計年度末に比べ、流動資産は370,935千円減少し13,797,018千円、固定資産は135,982千円増加し5,499,414千円、資産合計は234,952千円減少し19,296,433千円となりました。

また、流動負債は505,876千円減少し8,168,735千円、固定負債は69,464千円減少し580,973千円、負債合計は575,340千円減少し8,749,709千円となりました。

純資産は前連結会計年度末に比べ340,387千円増加し10,546,724千円となりました。

 

②経営成績の状況

当連結会計年度の売上高は24,444,766千円(前期比1.8%増)、売上総利益は3,247,961千円(前期比6.5%増)となりました。営業利益は668,622千円(前期比12.2%増)、経常利益は725,518千円(前期比11.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は450,913千円(前期比16.6%増)となりました。

 

セグメント情報を記載していないため、事業部門別の経営成績を示すと次のとおりであります。

まず、みがき棒鋼部門におきましては、売上高は15,552,986千円(前期比2.2%増)となりました。

 

 

次に、冷間圧造用鋼線部門におきましては、売上高は8,891,780千円(前期比1.1%増)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、3,129,061千円となり、前連結会計年度末に比べ210,974千円増加いたしました。

 

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は1,417,700千円(前連結会計年度比384,180千円)となりました。これは主に、仕入債務の減少270,650千円、法人税等の支払額164,950千円等で資金が減少した一方、税金等調整前当期純利益725,064千円の計上、売上債権の減少511,605千円、及び減価償却費449,116千円等により資金が増加したためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は522,014千円(前連結会計年度比186,838千円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が489,792千円、無形固定資産の取得による支出が30,182千円等が発生したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は684,711千円(前連結会計年度比285,526千円)となりました。これは主に、短期借入金の純減額350,000千円、長期借入金の返済による支出158,204千円、配当金の支払額114,345千円等が発生したことによるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

当社グループは、みがき棒鋼及び冷間圧造用鋼線事業の単一セグメントでありますので、セグメント情報に代えて事業部門別情報を記載いたします。

 

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年比(%)

みがき棒鋼及び冷間圧造用鋼線事業

 

 

みがき棒鋼部門

9,981,930

△0.0

冷間圧造用鋼線部門

8,226,215

0.1

合  計(千円)

18,208,146

0.0

(注)金額は製造原価により表示しております。

b.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年比(%)

みがき棒鋼及び冷間圧造用鋼線事業

 

 

みがき棒鋼部門

3,119,245

5.2

冷間圧造用鋼線部門

1,957

△4.8

合  計(千円)

3,121,203

5.1

(注)金額は仕入金額により表示しております。

c.受注状況

当連結会計年度の受注状況を示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

受注高

(千円)

前年比(%)

受注残高

(千円)

前年比(%)

みがき棒鋼及び冷間圧造用鋼線事業

 

 

 

 

冷間圧造用鋼線部門

8,884,116

0.7

165,592

△3.3

合    計

8,884,116

0.7

165,592

△3.3

(注)1.みがき棒鋼部門は、見込み生産をしておりますので記載しておりません。

2.金額は、販売金額によっております。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年比(%)

みがき棒鋼及び冷間圧造用鋼線事業

 

 

みがき棒鋼部門

15,552,986

2.2

冷間圧造用鋼線部門

8,891,780

1.1

合  計(千円)

24,444,766

1.8

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績、及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日鉄物産株式会社

2,602,762

10.8

2,847,189

11.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態の分析)

a.流動資産

当連結会計年度末における流動資産の残高は13,797,018千円となり、前連結会計年度末比370,935千円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が210,974千円、売掛金が71,063千円、商品及び製品が141,429千円それぞれ増加いたしましたが、受取手形が296,572千円、電子記録債権が286,096千円、原材料及び貯蔵品が181,530千円それぞれ減少したことによるものであります。

b.固定資産

当連結会計年度末における固定資産の残高は5,499,414千円となり、前連結会計年度末比135,982千円増加いたしました。これは主に、建物及び構築物が49,779千円、機械装置及び運搬具が32,566千円それぞれ減少いたしましたが、建設仮勘定が187,472千円、繰延税金資産が38,843千円それぞれ増加したことによるものであります。

なお、当連結会計年度における設備投資の総額は564,120千円であり、また、減価償却実施額は449,116千円であります。

c.流動負債

当連結会計年度末における流動負債の残高は8,168,735千円となり、前連結会計年度末比505,876千円減少いたしました。これは主に、電子記録債務が3,923,225千円、未払法人税等が71,791千円それぞれ増加いたしましたが、支払手形及び買掛金が4,197,348千円、短期借入金が350,000千円それぞれ減少したことによるものであります。

d.固定負債

当連結会計年度末における固定負債の残高は580,973千円となり、前連結会計年度末比69,464千円減少いたしました。これは主に、退職給付に係る負債が29,554千円、長期預り金が15,011千円それぞれ増加いたしましたが、長期借入金が118,216千円減少したことによるものであります。

なお、有利子負債の残高は総額で1,904,379千円となり、前連結会計年度末比500,971千円減少いたしました。

e.純資産

当連結会計年度末における純資産の残高は10,546,724千円となり、前連結会計年度末比340,387千円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が336,069千円増加したことによるものであります。

 

(経営成績の分析)

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要に支えられ、緩やかに回復しましたが、ウクライナ情勢の長期化やパレスチナ紛争による中東の緊張化と円安に起因する資源・エネルギー価格や諸資材物価の高騰などにより厳しい状況が続きました。

わが国のみがき棒鋼、及び冷間圧造用鋼線(当業界)の主要需要分野である自動車業界におきましては、中国での競合激化・東南アジアの販売不調に加え、認証不正問題により生産活動の低迷が続きました。また、建産機業界におきましても低調な水準で推移しました。その結果、2024年暦年における当業界の生産量は1,444千トンと前年に比し112千トン減少いたしました(前年比7.2%減)。

このような経営環境下、当社グループは全社を挙げて販売数量の確保、コスト削減、及び生産性の向上を推し進めるとともに、鋼材価格・労務費・物流コスト等の上昇を吸収すべく製品販売価格の改定や加工賃の是正、製品歩留りの改善、エネルギー原単位の削減等に努め、収益の確保に取り組みました。

これらの結果、販売数量は前年度に対して5%減少いたしましたが、鋼材値上げと加工賃値上げによる製品販売価格の改定の結果、売上高は24,444,766千円(同1.8%増)と増収となりました。損益につきましても、販売数量の低迷、鋼材価格の上昇、及び人財確保に向けた賃金アップ等による影響があったものの、製品販売価格の改定、加工賃の是正、及びエネルギー原単位の削減等の努力に加え、在庫評価益もあり営業利益は668,622千円(同12.2%増)、経常利益は725,518千円(同11.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は450,913千円(同16.6%増)と増益となりました。

 

(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

当連結会計年度における収益、財務体質の各目標とそれに対する実績は次のとおりです。

 

2024年度(実績)

 

2024年度(目標)

売上高経常利益率(ROS)

3.0%

 

1.7%

自己資本比率

51.1%

 

49.2%

 

当社グループは、主要需要家である自動車業界の生産活動の低迷が続いたことや、建産機業界の需要低迷が継続したことから、販売数量は前期比で減少し、また、人財確保に向けた賃金アップ等によるコストの増加があったものの、鋼材値上げに伴う製品販売価格の改定、加工賃の是正や製品歩留まりの改善等に加え、在庫評価益もあり、売上高経常利益率は目標を上回りました。

なお、自己資本比率につきましても、仕入債務や借入金などが減少したことから、自己資本比率は目標を上回りました。

株主還元につきましては、剰余金の配当は「連結配当性向年間30%」を目標としております。2024年度の連結配当性向は29.5%と目標をほぼ達成いたしました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの分析

「(1)経営成績等の状況の概要  ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

b.キャッシュ・フロー指標のトレンド

 

第76期

第77期

第78期

第79期

 

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

自己資本比率(%)

47.6

47.3

48.2

51.1

時価ベースの自己資本比率(%)

20.8

20.7

17.5

15.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

9.3

3.9

2.3

1.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

42.9

121.4

185.2

149.7

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は、期末株価終値(もしくは最終気配値)×期末発行済株式数(自己株式数を除く。)により算出しております。

3.キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。

4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

c.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金、及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金、及びリース債務を含む有利子負債の残高は1,904,379千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,129,061千円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金、賞与引当金等の各引当金の計上、繰延税金資産の回収可能性の判断、減損の兆候の判定等について、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。ただし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる可能性があります。

 

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)では、当社において顧客のニーズに基づいた高品質、高精度な製品づくりのための研究開発活動を行っており、主に技術品質管理部が担当しております。

日本製鉄㈱を始めとする鉄鋼メーカーとは技術開発情報を迅速に入手できる体制を確立しており、技術開発による新商品に関する用途開発等を共同で進めております。また、製品の高品質化、コストダウン及び環境改善に対する取り組みは、機械製作メーカー、ダイスメーカー、潤滑油メーカーと一体となって設備・操業改善を進めております。

当連結会計年度における研究開発費の金額については、技術品質管理部等が業務の一環として行っていること、また、これらに要するダイス、ロール、及び潤滑油等は現状の生産工程内で流用できるものでありますので、区分計上しておりません。