第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当第1四半期連結累計期間における世界経済は、資源価格の上昇や供給網の混乱などの影響を受けながらも、人流制限の緩和による消費の回復、底堅い設備投資により、総じて前連結会計年度からの回復基調を維持しました。一方で、ウクライナ問題を起点とした供給不安などを背景にエネルギーや食料品などの非耐久財価格が高騰、また米国を中心に労働需給逼迫による賃金上昇がサービス価格上昇をもたらす等、世界中で高インフレが進行しました。今後は政策金利引き上げによる需要抑制、供給制約の緩和により世界経済は軟着陸に向かうとの予想が多いものの、労働力不足、脱ロシア資源の動きによるエネルギー不足、中国ゼロコロナ政策などによる世界供給網の混乱が、景気後退とインフレをもたらすリスクには留意する必要があります。我が国経済においても新型コロナウイルス感染症のピークアウトで消費活動が活発化、企業収益も総じて回復する一方、資源高や円安の進行による原材料価格の上昇や供給面での制約により一部産業セクターで生産の持ち直しに足踏みがみられました。

このような状況において、当社グループでは各国・地域の自動車会社向け販売量の変動に合わせた操業日数や人員体制等の機動的な調整、社内の遊休設備の活用等による設備投資の抑制等による生産体制の効率化等に取り組んでまいりましたが、当連結会計年度における世界的な半導体や部品の供給不足による自動車生産の下振れ、エネルギー価格等の高騰による生産コスト増加の影響を吸収しきれず、営業赤字の計上を余儀なくされております。

当社グループでは、当連結会計年度より2030年を目標年度とする長期経営計画である10年ビジネスプランと、その最初の3年間のマイルストーンとなる2224中期経営計画をスタートさせました。2224中期経営計画においては自動車の電動化の加速やカーボンニュートラルなどの外部環境変化を踏まえ、「低コストで生産性の高いものづくりの確立」「生産時のCO2排出量の削減」「電動車向け部品中心の事業ポートフォリオへの転換」を戦略の柱に据えて、売上高の確保、生産性の向上、稼ぐ力の強化に取り組んでまいります。

以上の結果、当第1四半期連結累計期間の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

①財政状態

(資産)

当第1四半期連結会計期間末の総資産は136,292百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,990百万円の増加となりました。流動資産は55,811百万円で、前連結会計年度末に比べ2,392百万円増加となり、その主な要因は、売上債権が1,509百万円、棚卸資産が622百万円増加したことによるものです。固定資産は80,480百万円で、前連結会計年度末に比べ2,597百万円増加となり、その主な要因は、有形固定資産が2,569百万円増加したことによるものです。

(負債)

当第1四半期連結会計期間末の負債は80,636百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,900百万円の増加となりました。流動負債は57,175百万円で、前連結会計年度末に比べ3,913百万円増加となり、その主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が2,089百万円、未払法人税等が246百万円、賞与引当金が444百万円、未払費用が437百万円及び設備債務が408百万円増加したことによるものです。固定負債は23,461百万円で、前連結会計年度末に比べ1,013百万円減少となり、その主な要因は、長期借入金が1,009百万円減少したことによるものです。

(純資産)

当第1四半期連結会計期間末の純資産は55,656百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,089百万円の増加となりました。その主な要因は、利益剰余金が778百万円減少した一方で、為替換算調整勘定が2,946百万円増加したことによるものです。

以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末40.69%から40.75%となりました。

②経営成績

(売上高)

売上高は、長引く半導体不足等によるサプライチェーンの混乱から主要顧客である自動車メーカーにおける生産調整が続いておりますが、当社グループの受注量は地域差があるものの前年同四半期と同水準での推移となり、急激な円相場の急落影響等もあり33,113百万円(前年同四半期比22.1%増)となりました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費、営業損失)

売上原価は、原材料、副資材、エネルギー、物流などの諸コスト上昇の影響により前第1四半期連結累計期間から5,887百万円増加し、31,096百万円(前年同四半期比23.4%増)となりました。

販売費及び一般管理費は、前第1四半期連結累計期間から8百万円増加し、2,570百万円(前年同四半期比0.3%増)となりました。

以上の結果、営業損失は553百万円(前年同四半期は653百万円の営業損失)となりました。

(経常損失)

営業外収益は前第1四半期連結累計期間から97百万円減少し、284百万円(前年同四半期比25.6%減)となりました。これは主に、為替差益が96百万円減少したことによるものです。営業外費用は前第1四半期連結累計期間から27百万円増加し、155百万円(前年同四半期比21.9%増)となりました。

以上の結果、経常損失は424百万円(前年同四半期は398百万円の経常損失)となりました。

(特別利益)

特別利益は前第1四半期連結累計期間から62百万円減少し、45百万円(前年同四半期比58.1%減)となりました。これは主に、固定資産売却益が20百万円増加した一方で、補助金収入が83百万円減少したことによるものです。

(特別損失)

特別損失は前第1四半期連結累計期間から21百万円増加し、35百万円(前年同四半期比156.3%増)となりました。これは主に、固定資産除売却損が21百万円増加したことによるものです。

(親会社株主に帰属する四半期純損失)

当第1四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純損失は649百万円(前年同四半期は495百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。以上の結果、当第1四半期連結累計期間における1株当たり四半期純損失は25円15銭(前年同四半期は1株当たり四半期純損失19円32銭)となりました。

(EBITDA)

当第1四半期連結累計期間のEBITDA(営業利益+減価償却費)は2,529百万円(前年同四半期比9.0%増)となりました。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(ダイカスト事業 日本)

日本自動車市場では、半導体不足、中国ゼロコロナ政策に起因した供給網混乱等による主要顧客である自動車メーカーにおける生産調整の影響に伴い当社の受注量も前年同四半期比で減少となりましたが、アルミ地金市況に連動した売上高の増加影響により、売上高は13,016百万円(前年同四半期比5.7%増)となりました。収益面においては、受注量の減少に加え、副資材、エネルギー、物流などの諸コスト上昇の影響により、セグメント損失554百万円(前年同四半期はセグメント損失326百万円)となりました。

(ダイカスト事業 北米)

北米自動車市場では、世界的な半導体不足により北米地域の各自動車メーカーの生産拠点でも減産が相次ぎ、当社の受注量も前年同四半期比で大きく減少したものの、急激な円相場の急落影響により、売上高は8,357百万円(前年同四半期15.4%増)となりました。収益面においては、構造改革・原価低減活動の定着効果が見られたものの、受注量の減少に加え、労務費、エネルギー価格等の上昇に伴う生産コストの増加により、セグメント損失441百万円(前年同四半期はセグメント損失115百万円)となりました。

(ダイカスト事業 アジア)

アジア自動車市場では、中国における自動車関連の減税措置や手数料の引き下げ効果もあり、自動車販売台数に回復の兆しが見え始め、12月決算(当第1四半期は1月~3月)である中国工場の受注量は、新規製品の立ち上がりも寄与し回復基調で推移した結果、売上高は8,473百万円(前年同四半期比54.7%増)となりました。収益面においては、エネルギー価格等の上昇影響はあるものの、受注量が回復したことにより、セグメント利益340百万円(前年同四半期はセグメント損失353百万円)となりました。

 

(アルミニウム事業)

アルミニウム事業においては、半導体不足等に伴う自動車メーカーの減産影響があるものの、アルミニウム相場の高騰及び販売重量が前年同期比で2.1%増となったことにより、売上高は2,100百万円(前年同四半期比58.2%増)となりました。収益面においては、アルミ相場高騰に伴う売上高の増加と原価低減活動等が寄与し、セグメント利益82百万円(前年同四半期比22.2%増)となりました。

 

(完成品事業)

完成品事業においては、主要販売先である半導体関連企業のクリーンルーム物件や通信会社のデータセンター向け物件等の受注が増加し、売上高は1,165百万円(前年同四半期比54.5%増)となりました。収益面においては、セグメント利益は90百万円(前年同四半期比37.7%増)と個別受注物件による変動影響はありますが安定的な利益を確保しております。

(2) 2040年ビジョン/10年ビジネスプラン/中期経営計画

自動車産業においては今、カーボンニュートラルへの対応やパワートレインの電動化、モビリティとしての自動車の役割など、さまざまな変化が速いスピードで進んでいます。自動車関連のダイカスト事業を主力とする当社グループは、こうした外部環境の変化を変革のチャンスと捉え、2040年における当社のありたい姿を定めた「2040年ビジョン」、2030年戦略目標を定めた「10年ビジネスプラン」及びその3年後のマイルストーンとなる2024年度を最終年度とした「2224中期経営計画」(計画期間2022年度~2024年度)に沿って各施策を推進してまいります。

 

1.期待を超える2040

当社グループは収益力の向上に向けて、生産性改善、リーンな生産体制の構築を推進しており、各工程の様々なムダやロスの削減による収益体質強化を図っております。また、リーンな生産体制の構築のため、良品を効率的に生産するための仕組みをつくり、徹底した合理化、省人化生産体制を追求しています。改善や検査作業の自動化、からくり活用による工夫などでムダな工程や作業内容を見直し、生産性向上と原価低減を図るとともに、今後の価格競争に勝ち抜く金型原価の実現を目指します。こうした施策取り組みの結果としての2024年度営業利益目標を65億円、営業利益率目標を3.8%としています。また環境ロードマップに沿ってCO2削減活動に取り組み、CO2排出量原単位の削減目標(2013年度比)を2024年度−13%、2030年度−50%に設定しております。

2.軽量化で地球の未来に貢献する

自動車の電動化シフトの急速な進展を踏まえ、当社グループは従来のパワートレイン系部品に加え、電動車搭載部品の受注・量産の拡大、足回り部品やボディ・シャーシ等の車体系部品への進出とその基盤となる技術開発に取り組みます。電動車搭載部品の売上高に占める割合については、2025年度33%、2027年度45%、2030年度55%を目指すとともに、顧客基盤についてもこれまでの主要なお客様との関係を維持しつつ電動車に強い顧客との取引拡大を進めております。

3.Ahrestyで良かった!を実現する

主要顧客からの最上位評価獲得、従業員エンゲージメントの向上・ダイバーシティの実現を目指します。経営幹部の多様化、従業員及び管理職の女性比率向上においては、ダイバーシティ&インクルージョンに対する理解を深める意識改革、多様な人材が活躍できる職場の拡大、人事戦略・運営とキャリア支援の実施を目指します。

4.技術探求を続け、唯一を生み出す

製品ポートフォリオシフトを実現するために、製品開発のデジタルトランスフォーメーションによって開発リードタイムを短縮するなど技術開発力を強化し、市場の変化やお客様のニーズにいち早く応えていきます。工法・技術・素材の各分野で将来の事業に貢献する先駆的な技術探求を続け、新規需要の創出を図ります。また、製品製造の際のCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルダイカストの開発に挑戦していくことで地球環境に貢献するとともに、当社の競争力向上を目指します。

(3) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略について重要な変更はありません。

当社グループでは、引き続き自動車向け半導体不足等の影響を受けた急速な販売量減少に対処するため、販売量の大幅な減少に合わせた休業の実施、操業の一部停止や勤務体制の見直し等に対応した生産体制の調整見直し、社内の遊休設備の活用等による設備投資の抑制、Web会議の活用等の経費削減等、緊急施策に取り組み、今後の収益性改善に一層努めてまいります。

(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

(6) 研究開発活動

当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、144百万円であります。

なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

(7) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの主要事業であるダイカスト事業を取り巻く全世界の自動車需要については、今後も中国・新興国を中心に成長が続くと予測されております。一方で環境規制が各国・地域で強化されていくため、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車が増加し、更には電気自動車や燃料電池車という全く内燃機関を使わない車へのシフトも予測されますが、電池の蓄電能力や大きさと価格の改善、充電時間や充電インフラの整備、燃料電池車では価格に加えて水素ステーションのインフラ整備など課題は多く、少なくとも2030年ごろまでは従来型とハイブリッド車やプラグインハイブリッド車などの内燃系エンジン搭載車も引き続き需要の拡大が見込まれます。

しかしながら、長期的にはエネルギーの電気シフトは必至と考えられ、小型化や車体構造の変更の他、軽量化材料への転換が進むものと考えられておりますが、当社グループでは軽量でリサイクル性に優れ、設計自由度や生産性に優れるアルミダイカストが車の軽量化分野で大きく貢献できると考えております。

また、エンジンやトランスミッション以外の車体や足回りなどの軽量化ニーズにも応えるために、専門チームを立ち上げ営業活動と市場調査を行っており、顧客の求める軽量化対象部品やその要求機能を理解し、それらに対応するものづくり力の強化に繋げ、当社グループの専門分野の拡大と将来の需要構造変化への準備を進めております。

(8) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①資金需要及び財務政策

当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び事業拡大のための設備投資資金、配当金の支払等であります。これらの資金需要に対して当社グループでは、主として金融機関からの借入金と自己資金(手元資金と営業活動によって獲得した資金)により事業活動に必要な運転資金や将来の設備投資等に向けた充分な資金を確保しております。

資金調達手段としては、金融機関からの短期借入金、長期借入金で行っており、短期借入金については、月次の売上高の2分の1程度を運転資金として借入を行っております。長期借入金については、設備投資に3年~5年の借入期間で調達を行っております。また、短期借入金については、月次の資金繰り状況に応じ当座借越限度額の範囲内で反復利用を行い、長期借入金については、新規調達を行う一方で約定計画に基づき返済を行っております。

また今後、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化に備え、各取引金融機関との対話及び情報連携を常時行い資金調達の安定化・多様化に努めてまいります。

②資金の流動性

当社及び国内連結子会社はCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、国内のグループ内資金を当社が一元管理しております。各グループ会社において創出したキャッシュ・フローを当社に集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、金融負債の極小化を図っており、余剰資金が生じた場合には有利子負債の返済に充てる方針であります。

 

3【経営上の重要な契約等】

当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。