第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社の社名「アーレスティ」は、R・S・T<Research><Service><Technology>の三つの言葉の統合です。この社名には、より品質の高いResearch、Service、Technologyを追求し、さまざまな製品を通して、広く社会のお役にたちたいという想いが込められています。こうした当社の想いを実現するため、当社は経営基本方針を定め、グループ全体に考え方が浸透し行動に結びつくよう活動を行っています。

 

(経営基本方針)

常に生きいきと活動し

理論と実験と

創意と工夫を尊重して

品質のすぐれた製品と

行き届いたサービスを提供しよう

 

(2)目標とする経営指標

当社は、2040年に向けて進むべき方向として「2040年ビジョン」を定め、これに基づく長期経営計画である「10年ビジネスプラン」、及び3カ年中期経営計画の中で具体的な経営指標の目標値を設定しております。投資価値のある企業を目指して、売上高、売上高営業利益率、総資産当期純利益率(ROA)等を指標としております。

 

(3)中長期的経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループの主力事業であるダイカスト事業は、営業収入の9割以上を自動車関連が占めていることから、国内外における自動車生産台数により大きく影響される状況にあります。また、自動車産業は、100年に一度の大変革期とも言われており、各国の産業政策や燃費規制、モビリティとしての自動車の役割の変化等により今後CASE(Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化))などが進み、当社が現在主力としている製品群が将来的には変化していくことが予想されております。

このような経営環境の変化に対処すべく、短期的には自動車メーカーの内製部品のアウトソーシングが進むことを想定し、その受注増加の機会をしっかり捕捉していきます。中長期的には電動化に伴う車体軽量化ニーズへの対応の中で、電動車搭載部品の更なる受注拡大、足回り部品やボディ・シャーシ等の車体系部品分野への進出を強化する所存です。

当連結会計年度においては、当社グループでは各国・地域の自動車会社向け受注動向の変動に合わせた操業日数や人員体制等の機動的な調整、社内の遊休設備の活用等による設備投資の抑制等による生産体制の効率化等に継続的に取り組んできました。しかし半導体等の供給不足や中国ゼロコロナ政策に伴う供給網混乱等により、自動車生産が大幅に下振れして受注量が減少したこと、加えてエネルギー価格等の高騰による生産コストの増加が主因で、当連結会計年度前半は営業赤字を余儀なくされました。当連結会計年度後半においては生産体制の効率化効果に加え、半導体不足の緩和、エネルギー価格等の高騰を受けた主要顧客との価格改定や費用補填交渉の妥結も加わり、黒字を回復するとともに、当連結会計年度通算でも営業損益、経常損益で少額の黒字を計上することとなりました。当社グループは更なる業績の回復に向けて、引き続き受注動向に合わせた生産体制の機動的な見直し、適正水準での投資の実施や原価低減活動を継続推進し、更なる生産性向上と原価低減を追求しております。

当社グループを取り巻く経営環境は、依然として先行き不透明感が残る状況にあり、今後の動向を引き続き注視していく必要があります。しかし、大変厳しい経営環境であればこそ変革のチャンスと捉え、ものづくりの基本を究めると同時に体質の強化に努めることにより、今後も前進してまいります。

 

(10年ビジネスプラン)

当社は2038年に創業100周年を迎えます。100年を超え、更なる発展・成長する企業となるために、2040年に向けた当社グループの進むべき方向として「2040年ビジョン」を定め、これに基づく長期経営計画として「10年ビジネスプラン」を策定しました。

 

1.電動車向け部品・車体系部品群中心へ事業ポートフォリオをシフト

リサイクル性・省エネルギーに優れたアルミニウム二次合金を主原料とするアルミニウムダイカストは、従来のパワートレイン系部品だけでなく、電動系部品、車体系部品群への採用拡大により、燃費・電費向上を目的とした車体軽量化ニーズ、CO2排出量削減、環境保全や循環型社会の形成など地球環境の未来に貢献できます。将来にわたり自動車メーカー各社のモビリティ事業に貢献していくために、急速に進む電動化を捉え、製品ポートフォリオを電動車向け部品・車体系部品群中心にシフトしてまいります。

2.技術探求を続け、唯一を生み出す

製品ポートフォリオシフトを実現するために、製品開発のデジタルトランスフォーメーションによって開発リードタイムを短縮するなど技術開発力を強化し、市場の変化やお客様のニーズにいち早く応えていきます。工法・技術・素材の各分野で将来の事業に貢献する先駆的な技術探求を続け、新規需要の創出を図ります。また、製品製造の際のCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルダイカストの開発に挑戦していくことで地球環境に貢献するとともに、当社の競争力向上を目指します。

3.Ahrestyで良かった!の実現

お客様からの最上位評価獲得、従業員エンゲージメントの向上・ダイバーシティの実現を目指します。経営幹部の多様化、従業員及び管理職の女性比率向上においては、ダイバーシティ&インクルージョンに対する理解を深める意識改革、多様な人材が活躍できる職場の拡大、人事戦略・運営とキャリア支援を実施します。

4.信頼の獲得と事業を通じた社会課題の解決による持続的成長

ステークホルダーの皆様からの更なる信頼の獲得と事業を通じた社会課題の解決による持続的成長実現のために、「アルミダイカスト製品供給によるクルマのエネルギー消費効率向上」と「エネルギー効率の改善等による使用化石燃料資源の低減」を重要課題として取り組みます。カーボンニュートラル項目において2030年度CO2排出量原単位50%削減(2013年度比)を目指し、CO2排出量削減活動に取り組みます。

5.財務体質と経営基盤の強化

当社は取締役会での議論を経て、10年ビジネスプランにおける財務戦略を策定しました。当社グループの置かれた事業環境や当社グループ事業の特性を踏まえ、株価純資産倍率1倍の達成を目指して、①資本コストを上回る自己資本利益率(以下「ROE」)の達成による中長期的資本効率の向上、②機動的な受注と成長投資を継続するための健全な財務体質の堅持、③軽量化・電動化需要の捕捉、電動化部品の新規顧客開拓、省人化・省力化を推進するための成長投資の継続、④連結業績に基づいた継続的株主還元の実施、を財務戦略の4本柱に据えました。具体的には自己資本利益率9%の達成、健全性の目安として自己資本比率40%以上の堅持、2030年までの成長投資1,400億円実施を可能にする営業キャッシュフローの創出、株主還元目標として利益回復による配当性向35%以上の実施を目指してまいります。そしてこの財務戦略を実現していくためには、電動化シフトする市場でのプレゼンスを確保するための攻めの受注戦略と設備投資効率の最大化を両立していく必要性があり、設備投資規律を強化しつつ、地域戦略や電動化の進捗状況、新規受注見込みを総合的に分析しながら創出したキャッシュの最適なアロケーションを目指していく所存です。当社としましては、10年ビジネスプラン、22-24中期経営計画及び今回策定した財務戦略を推進していくことで、売上高と収益力を一層高めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社グループが企業として社会的責任を果たし、持続的に成長していくためには、強みを活かし事業活動を通じて社会課題に対応していくことが重要であると考えています。創業100周年に向けて「期待を超える」更なる持続的な成長を目指す企業となるため「2040年ビジョン」を策定し、その実現に向けて、取り組むべき社会課題(SDGs)の視点も加味した長期経営計画「10年ビジネスプラン」を策定しています。

ステークホルダーに与える影響度と当社グループに与える影響度の2軸で、取り組むべき社会課題を整理し、社会課題解決に対して貢献度が高く、かつ当社グループの事業であるアルミニウムダイカスト製品製造との関連性が大きいSDGsの目標7と目標13を重要取り組み課題に定めています。

目標13においては「アルミダイカスト製品供給によるクルマのエネルギー消費効率向上」に取り組み、2030年度目標値として電動車向け売上比率55%、車体系部品群売上高40億円を掲げ、電動化・軽量化への貢献を目指します。目標7においてはカーボンニュートラルに向け「エネルギー効率の改善等による使用化石燃料資源の低減」に取り組み、Scope1,2におけるCO2排出量50%削減(2013年度比)を目指します。また、ダイバーシティの推進やワークライフバランスの実現、従業員満足度の向上等その他のモニタリング課題においても要対応課題として取り組み、目標達成に向けた活動の推進は10年ビジネスプラン、中期経営計画の枠組みの中で実施しております。

当社グループではサステナビリティに関する情報収集、リスクや機会の把握、影響分析及び対応策の取りまとめは、管理本部管掌取締役を議長とし、サステナビリティ課題を所管する部長で構成されるサステナビリティ会議で行っています。その中の業務執行上の重要事項については経営会議で審議・報告されると共に、代表取締役会長を議長とする取締役会も定期的に経営会議から報告を受け、サステナビリティへの取り組みの監督を行っています。また、経営企画部に設置されたリスクマネジメント事務局がサステナビリティ会議と連携し、分析・特定されたサステナビリティに関するリスクをもとにリスクマネジメント計画を策定、その実施状況を管理し、経営会議、取締役会へ報告する態勢としています。

事業を通じた社会課題の解決に貢献し、ステークホルダーの皆様からの更なる信頼の獲得と当社グループの持続的成長を目指していきます。

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(2)気候変動への対応

当社グループでは、気候変動を重要な経営課題の1つと捉え、想定されるリスクと機会を分析し、10年ビジネスプラン、中期経営計画の枠組みの中でCO2排出量削減活動を推進しています。鉄に比べて軽量であるアルミダイカスト製品の供給拡大により、クルマのエネルギー消費効率をアップし、CO2排出量低減に貢献するとともに、製品製造時等におけるCO2排出量に対し削減目標を定めています。

2023年3月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明するとともに、TCFD提言のフレームワークに基づく情報開示を行いました。

TCFD提言に沿った情報開示に継続的に取り組み、企業価値の向上とともに、脱炭素社会の実現に貢献し持続可能な社会の実現を目指してまいります。

 

① ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティ会議にて気候関連リスクや機会の把握、影響分析、対応策の取りまとめを行っています。サステナビリティ会議で議論された重要事項については、経営会議で提案・報告を行います。代表取締役会長を議長とする取締役会では、定期的に経営会議内容の報告を受け、TCFD提言への対応状況を含むサステナビリティへの取り組みの監督を行っています。

 

(サステナビリティ推進体制)

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※所管部署:所管する業務(機能)につきグループ全体を統括する㈱アーレスティの部・室

 

(サステナビリティ推進体制における会議体と役割)

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② 戦略

当社グループでは、環境課題に係るリスクは長期間にわたり、自社の事業活動に影響を与える可能性があるため、環境ロードマップ、サステナビリティロードマップを作成し、改善に取り組んでいます。中期経営計画の実行フェーズである2022~2024年度、10年ビジネスプランのターゲット年度である2030年度を見据え、気候変動がもたらす異常気象などの物理的リスク、政府による政策規制の導入、及び市場ニーズの変化などの移行リスクの検討を行い、特定したリスク・機会はグループの戦略に反映して対応しています。

気候変動によるリスクと機会の特定及び、財務計画への影響度と対応策に関する開示を行うにあたり、IEAやIPCCが公表する1.5~2℃シナリオと4℃シナリオを用いて、2030年度断面でのリスクと機会の抽出を行っています。

IEA…Net Zero Emissions by 2050 Scenario、Sustainable Development Scenarioなど

IPCC…RCP2.6、RCP8.5

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③ リスク管理

当社グループでは、サステナビリティ会議で気候関連リスクの抽出・影響度の分析を行っています。

影響度が大きいと分析されたリスクは、リスクマネジメント事務局で全社リスクと統合し評価・管理を行っています。

 

(リスク管理プロセス)

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④ 指標及び目標

当社グループでは、温室効果ガス総排出量の約9割を占めるCO2に対し削減目標を定めています。Scope1,2のCO2排出量を指標とし、CO2排出量削減に取り組んでいます。また、Scope3のCO2排出量算出については23年度上期を目途に完了し、追加開示を予定しています。

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集計範囲:国内全製造拠点8カ所+本社・テクニカルセンター、東京本社、海外全製造拠点7カ所

参照元:Scope1:環境省「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」における各エネルギー形態に応じた係数を使用

Scope2:IEA「Emissions Factors」における各国及び各年度実績に応じた係数を使用

 

(3)人的資本への対応

① ガバナンス

人的資本に関するリスクや機会に係わるガバナンスについては、気候変動への対応と同様、サステナビリティ会議にて人的資本関連のリスクや機会の把握、影響分析、対応策の取りまとめを行い、その中の業務執行上の重要事項については、経営会議で審議・報告を行う体制を構築しました。加えて22-24中期経営計画における重点活動項目については、四半期ごとに取締役、本部長や国内外の工場長・部長が参加する全社方針推進会議にて活動指針及び計画に対する活動状況と課題の報告、議論を行い、顕在化した課題に対する対応方針を指示する体制で推進しております。

 

② 戦略(人財戦略)

当社経営基本方針が「常に生きいきと活動し」から始まることで示す通り、当社グループは会社の進化・成長の原動力は人財であると考えています。このため2040年ビジョンの重点戦略のひとつとして「Ahrestyで良かった!を実現する」を掲げ、従業員がお互いの価値観を尊重し、国籍、年齢、性別を超えて常に生きいきと活動する会社であり続けることを目指しております。

 

a.ダイバーシティの実現

アーレスティグループは2040年ビジョンにダイバーシティの実現を掲げ、「経営幹部の多様化(性別、国籍、職歴、年齢等)」「女性従業員比率(国内)20%以上」「女性管理職比率(国内)10%以上」をKGI(重要目標達成指標)として設定しています。多様な人財が活躍できる企業を目指し、2022年3月にダイバーシティ戦略の推進・統括部署としてダイバーシティ推進室を新設しました。併せて拠点ごとに推進者を設置し、グループ一体となってダイバーシティに対する適切な理解とマネジメント層の意識改革を促すための研修会の実施や新卒採用比率の見直しを行って来ました。工場現場の改革においては年齢や性別にかかわらず働きやすい職場づくりも進めています。これまで2019年度からの前中期経営計画で職場作業の重量物運搬や負荷の大きい姿勢での作業など約500にのぼる作業改善を進めてきました。この活動を発展させ、ジェンダーフリーな職場・職域拡大を図るとともに、ワークライフバランスが実現できる制度の拡大働きやすい職場づくりに努めていきます。当社はこれらの取り組みを反映した「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」を策定し、2023年3月にアーレスティは女性活躍企業として「えるぼし認定」において最高評価である3つ星認定を取得しました。

当社グループは障がい者雇用・育成の促進、また多様性を持つ人たちが働く職場の創出を目指し2020年10月「㈱アーレスティインクルーシブサービス」を設立、2021年6月に障害者の雇用の促進などに関する法律に基づく特例子会社としての認定を取得しました。グループ内の管理業務の効率化を目的に事務業務を担うシェアードサービス会社としてハンディキャップのある従業員を含め一人ひとりが適性に応じた役割を担っており、「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)」で優良な事業主として認定されております。

 

b.エンゲージメント向上と健康経営

従業員から、「Ahrestyで良かった!」と感じられる会社となるべく、従業員アンケート及びストレスチェック項目から抽出した「従業員が大事だと考えること」をピックアップして、総合的な肯定的数値指標として、ありたい姿指標(ISI:Ideal State Indicators)を設定しています。このISIの数値を高める取組みを、国内外全ての拠点で取り組んでいます。取組み内容としてはエルゴノミクスを用いた作業負担軽減や暑熱環境改善、職場風土改善、経営情報の共有など多岐に及んでいます。

当社グループの持続的な成長には、社員とその家族の健康が必要不可欠で職場で生きいきと働く源泉であるという考えの下、アーレスティは社員の健康促進・維持を経営課題の一つと位置付け、「健康経営」を推進します。具体的には、健康診断フォローや生活習慣の改善推進、病気治療と仕事の良質支援、メンタル相談体制の充実などに取り組んでおり、健康保険組合連合会東京連合会から「健康優良企業 銀の認定」、経済産業省並びに日本健康会議から「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」認定を2年連続で取得しております。

 

c.人財育成

企業の成長を支えるひとづくりとして人財の戦略的な採用と育成の仕組み構築を進めております。ものづくりに関わる各講座を体系的に学ぶことができる「アーレスティ学園」を設け、グローバル各拠点で同水準の教育を実施しております。近年では生産現場における新たな教育ニーズに対し、統計の基礎や多変量解析の講座を設けているほか、技術者向けIoTワークショップの開催や社外のデータサイエンス指導会への人財派遣など、デジタル基盤の強化・データ解析のリーダー育成にも力を入れています。

またキャリアプランニングにおいてはキャリアサポート制度の充実を図っています。従業員一人ひとりが自分のこれまでの経歴、強み・弱み、将来の希望を人財データベースに登録し、これを基に上司との面談を通じ、キャリアを自発的に考える機会を増やしています。この制度を通じ潜在的な能力を引き出し、適材適所への人財配置を進めるとともに、常に仕事への視野を広げながらチャレンジする意欲を持った人財を増やしていくことを目指しています。

 

③ リスク管理(人財マネジメント管理)

中長期的な事業戦略や事業環境に照らした人的資源を確保するため、当社は育成を要する人財ニーズごとに人財要件と候補者のターゲットを決めて、計画的・優先的に育成する「人財ロードマップ」の枠組みを整備し、計画的に人財育成を行って、人財マネジメントを行いリスク低減を図っております。この人財ロードマップにおいてキーパーソンの育成を行い、事業継続の観点でサクセッションプランを立てております。また、新たに発生する欠員や退職等のリスクについては、影響度が大きいと分析されたリスクは、経営企画部に設置するリスクマネジメント事務局で全社リスクと統合し評価・管理を行っております。

 

④ 指標及び目標

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3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)景気動向による需要変動及びサプライチェーンの部品供給支障による自動車OEMの生産変動に関わるリスク

当社グループの営業収入はダイカスト事業の依存度が高く、ダイカスト事業の営業収入の9割以上を自動車関連で占めております。自動車の生産台数及び販売台数は、国内外の景気動向の影響を受けることが予想されるほか、自動車部品供給サプライチェーンの部品供給支障による自動車OEMの操業停止や減産の影響を受ける可能性があります。

当社としましては、これらの需要変動及び生産変動に関わるリスクを最小限にとどめるべく、日本、北米、アジアを含む当社グループの主要市場の情報収集を行い、変動に応じた生産体制となるよう努めておりますが、想定を超える景気後退及びそれに伴う需要の縮小あるいはサプライチェーンの混乱による自動車OEM生産の減少が生じた場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)自動車市場の構造変化に関わるリスク

各国の産業政策や燃費規制、モビリティとしての自動車の役割の変化等によりCASE(Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化))などが進み、当社が現在主力としている製品群が将来的には変化していくことが予想され、事業構造に影響を及ぼす可能性があります。

当社としましては、短期的には自動車OEMの構造変化によるダイカスト関連投資の抑制からダイカストのアウトソーシングが進むことも想定し、その受注増加の機会もしっかり捕捉していく考えですが、中長期的には電動化に伴う車体軽量化ニーズへの対応の中で、従来のパワートレイン系部品だけでなく、電動車搭載部品の受注拡大、足回り部品等の構造部品分野への進出を強化する所存です。

 

(3)為替レート及び金利変動に関わるリスク

当社グループの事業には、北米、アジアの生産と販売が含まれており、生産を行う地域の通貨価値上昇はそれらの地域の製造と調達コストを上昇させる可能性があります。また連結財務諸表において、現地通貨における価値が不変でも、為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。更に、各種設備投資や事業継続のために金融機関からの資金調達を行っており、金利上昇により金融コストを上昇させる可能性があります。

当社グループでは、ヘッジ契約を用いてそれらのリスクの影響を軽減することとしております。ヘッジ契約の利用は、為替及び金利の変動リスクをある程度軽減する効果がある一方、ヘッジコストを支払うことになるほか、相場が想定とは逆サイドに変動した場合、得べかりし利益を逸失する可能性があります。また、ヘッジ契約の相手方の信用リスクにさらされるリスクもあり、取引相手の債務不履行があれば、当社グループに悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)原材料市況変動に関わるリスク

当社グループのダイカスト事業における原材料(アルミニウム二次合金地金)及びアルミニウム事業における原料(アルミニウム合金屑等)の価格は、他の非鉄金属価格の動向、アルミニウム一次地金価格の動向、特にLME(ロンドン金属取引所)等の海外市況の動向の影響を受けます。

ダイカスト事業では顧客との間で製品価格に転嫁できる契約形態(顧客によって契約内容は異なるものの一般的には3ヶ月ごとに市況の変動に合わせて原材料の契約価格を改定しております)となっており、売上高は原材料市況の影響を受けますが、長期的には利益への影響はほとんどありません。しかしながら、短期的には原材料価格の変動が収益に影響を及ぼす可能性があります。

アルミニウム事業では、市況により販売価格及び原料価格が変動しますが、一般的には販売価格と原料価格は連動しており、売上高への影響はあるものの利益への影響は基本的に限定的です。しかしながら、原料価格が急上昇すると販売価格との乖離が一時的に広がり利益にも影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)製品の品質に関わるリスク

ダイカスト製品については、グローバル展開により当社グループの製品が世界各国で使用されております。そのため、当社グループはISO9001/IATF16949を取得し、厳密な品質管理のもと、個々の取引先の製品規格に従い検査を行った上で、納品しております。万一賠償問題につながるクレーム及びリコールが発生した場合には、その問題が世界に波及するリスクが生じます。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的な賠償額をカバーできる保証はありません。また、検査においてデータ書き換えやねつ造が行われた場合も同様です。その結果、損害賠償等の経済的負担及び信用失墜により、当社グループの業績及び財務状況に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)知的財産権に関わるリスク

当社グループは、長年にわたり、自社が製造する製品に関連する多数の特許及び商標を保有し、もしくはその権利を取得しています。これらの特許及び商標は、当社グループのこれまでの事業の成長にとって重要であり、その重要性は今後も変わりません。当社グループは、いずれの事業も単一の特許又は関連する複数の特許に依存しているとは考えておりませんが、このような知的財産が広範囲にわたって保護できないこと、あるいは広範囲にわたり当社グループの知的財産権が違法に侵害されることによって、当社グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。一方で、当社グループが認識の範囲外で第三者の知的財産権を侵害した場合、多額の損害賠償責任を負う可能性や当社グループの事業活動が制限される可能性があります。

 

(7)海外進出に潜在するリスク

当社グループの生産及び販売については、北米、アジア等、日本国外に占める割合が年々高まる傾向にあります。そのため、当社グループが進出している国や地域において、戦争、テロ等の予期せぬ事象の発生やストライキ等労務問題の発生によって、原材料や部品の購入、生産、製品の販売及び物流やサービスの提供などに遅延や停止が生じる可能性があります。これらの遅延や停止が起こり、それが長引くようであれば、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

(8)災害や事故、パンデミックに関するリスク

大規模な地震や大型の台風等の自然災害、火災、事故、パンデミック等が発生した場合には、当社グループ従業員の被災、感染拡大、生産施設等の機能麻痺、取引先の被災、公共インフラの復旧遅れ、あるいは公的規制により、生産・納入・サービス活動が遅延、停止する可能性があります。

 

(9)情報セキュリティ(重要情報・顧客情報・個人情報・知的財産)に関わるリスク

当社グループは自己のものに限らず顧客からの重要情報等を取り扱うことがあることから、これらの情報については、社内規程を整備し情報へのアクセス制限を設ける等の対応をとっています。しかしながら、社内あるいは取引先における内部不正、もしくは社外からのサイバー攻撃による情報漏洩・破壊・改ざん等の情報セキュリティ事故が発生した場合、当社グループの社会的信頼の低下に伴う新規受注停止や取引停止、顧客からの損害賠償請求、それらの影響による株価の低下から、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、ロシアのウクライナ侵攻長期化を背景としたエネルギー・食料価格等の高止まり、米国を中心とした労働需給逼迫とインフレの深刻化、中国におけるゼロコロナ政策とその解除の影響等から不透明な状況が続きました。また各国中央銀行は金融引き締めによるインフレ抑制に注力し、米国においては中央銀行FRBによる政策金利の引き上げが続いております。先行きについては、エネルギー・食料価格の高止まりによるインフレと金利上昇を受けて欧米経済は景気後退局面入りが見込まれています。ゼロコロナ政策を解除した中国経済は、不動産市場の低迷が続くものの、サービス消費主導で緩やかに回復していくと見込まれています。我が国経済については物価高、海外経済減速が下押し要因となるものの、サービス消費とインバウンド需要を中心に回復し主要先進国が軒並みマイナス成長の中、プラス成長を維持すると見込まれています。

このような経済状況の中、当社グループでは各国・地域の自動車会社向け受注動向の変動に合わせた操業日数や人員体制等の機動的な調整、社内の遊休設備の活用等による設備投資の抑制等による生産体制の効率化等に継続的に取り組んできました。しかし半導体等の供給不足や中国ゼロコロナ政策に伴う供給網混乱等により、自動車生産が大幅に下振れして受注量が減少したこと、加えてエネルギー価格等の高騰による生産コストの増加が主因で、当連結会計年度前半は営業赤字を余儀なくされました。当連結会計年度後半においては生産体制の効率化効果に加え、半導体不足の緩和、エネルギー価格等の高騰を受けた主要顧客との価格改定や費用補填交渉の妥結も加わり、黒字を回復するとともに、当連結会計年度通算でも営業損益、経常損益で少額の黒字を計上することとなりました。今後については、半導体不足の再燃、中国市場における日系自動車会社の現地メーカーとの競争激化、米国市場の景気後退影響等のリスクを注視していく必要がありますが、業績の回復基調は継続すると予想しております。

当社グループでは、当連結会計年度より2030年を目標年度とする長期経営計画である10年ビジネスプランと、その最初の3年間のマイルストーンとなる2224中期経営計画を推進しております。2224中期経営計画においては自動車の電動化の加速やカーボンニュートラルなどの外部環境変化を踏まえ、「低コストで生産性の高いものづくりの確立」「生産時のCO2排出量の削減」「電動車向け部品中心の事業ポートフォリオへの転換」を戦略の柱に据えて、売上高の確保、生産性の向上、稼ぐ力の強化に取り組んでおります。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の総資産は137,069百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,766百万円の増加となりました。

当連結会計年度末の負債は80,419百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,683百万円の増加となりました。

当連結会計年度末の純資産は56,649百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,083百万円の増加となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高140,938百万円(前期比21.2%増)、営業利益23百万円(前期は2,422百万円の営業損失)、経常利益94百万円(前期は2,032百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失84百万円(前期は5,189百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

ダイカスト事業 日本は、売上高59,019百万円(前期比14.1%増)、セグメント利益250百万円(前期はセグメント損失1,372百万円)となりました。ダイカスト事業 北米は、売上高36,995百万円(前期比31.6%増)、セグメント損失676百万円(前期はセグメント損失1,096百万円)となりました。ダイカスト事業 アジアは、売上高33,676百万円(前期比27.1%増)、セグメント利益8百万円(前期はセグメント損失547百万円)となりました。

アルミニウム事業は、売上高7,975百万円(前期比23.4%増)、セグメント利益274百万円(前期比3.4%増)となりました。

完成品事業は、売上高3,271百万円(前期比6.6%減)、セグメント利益285百万円(前期比8.7%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて3,635百万円増加し12,991百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により増加した資金は、10,727百万円(前期は8,259百万円の増加)となりました。これは主に、売上債権の増加額234百万円、棚卸資産の増加額1,835百万円、法人税等の支払額862百万円等の資金減少要因に対し、税金等調整前当期純利益24百万円、減価償却費12,906百万円、減損損失2,378百万円、仕入債務の増加額718百万円等の資金増加要因があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により減少した資金は、6,331百万円(前期は6,083百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入3,648百万円等の資金増加要因に対し、有形固定資産の取得による支出9,888百万円等の資金減少要因があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により減少した資金は、1,534百万円(前期は5,101百万円の減少)となりました。これは主に、短期借入れによる収入150,982百万円及び長期借入れによる収入6,940百万円の資金増加要因に対し、短期借入金の返済による支出149,745百万円及び長期借入金の返済による支出9,137百万円の資金減少要因があったことによるものであります。

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

ダイカスト事業 日本(百万円)

55,698

112.8

ダイカスト事業 北米(百万円)

35,965

128.2

ダイカスト事業 アジア(百万円)

34,612

124.5

アルミニウム事業(百万円)

8,052

106.9

完成品事業(百万円)

2,566

153.2

合計(百万円)

136,895

119.6

(注) 金額は製造原価によっており、セグメント間取引の相殺消去前の数値によっております。

 

b. 受注実績

当社グループの事業の大部分は、顧客からの受注内示に基づいた見込み生産を行い、納入指示日の数日前に確定する受注に基づいて出荷(売上計上)する形態であるため、受注実績の記載を省略しております。

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

ダイカスト事業 日本(百万円)

59,019

114.1

ダイカスト事業 北米(百万円)

36,995

131.6

ダイカスト事業 アジア(百万円)

33,676

127.1

アルミニウム事業(百万円)

7,975

123.4

完成品事業(百万円)

3,271

93.4

合計(百万円)

140,938

121.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱SUBARU

12,452

10.7

15,580

11.1

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示、並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや前提が必要となります。当社グループでは、過去の実績、又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しておりますが、見積り特有の不確実性があることから、実際の結果と異なる可能性があります。

以下、当社グループの財政状態や経営成績にとって重要であり、かつ相当程度の経営判断や見積りを必要とする重要な会計方針についてご説明いたします。

なお、重要な会計上の見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積りに関する注記」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積りに関する注記」に記載しております。

 

(投資有価証券及び投資)

当社グループは、長期的な取引関係維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する少数持分を所有しております。これらの投資有価証券には価格変動性が高い公開会社の株式と株価決定が困難である非公開会社の株式が含まれます。

当社グループは、公開会社株式については市場価格などの時価をもって連結貸借対照表に計上し、評価差額は税効果会計適用後の金額を全額純資産の部に計上しております。しかし、時価が著しく下落した場合(50%以上下落した場合)に下落した額について、原則として減損を認識しております。また30%以上~50%未満下落している銘柄については、3年間の時価の推移を捉え時価が回復しない場合に減損を計上しております。

また、非公開会社株式については、投資先の純資産価額の当社持分と、当社グループの帳簿価額とを比較することにより減損の判断を行っております。減損の判断にあたっては、下落幅及び当該投資先会社の財政状態及び将来の業績見通し等を考慮しております。

(貸倒引当金)

当社グループは、将来の顧客の支払不能時に発生する損失に備えるため、債権を一般債権、貸倒懸念債権、破産更生債権に分類し、一般債権については過去3年間の貸倒実績率に基づいた貸倒見積高、貸倒懸念債権及び破産更生債権については回収可能額を控除した全額を貸倒見積額として引当計上しております。

(固定資産の減損)

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」及び企業会計基準適用指針第6号「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(平成15年10月31日)に基づく固定資産の減損会計を適用しております。有形固定資産等、「固定資産の減損に係る会計基準」において対象とされる固定資産について、その帳簿価額の回収が懸念される企業環境の変化や経済事象が発生した場合には、減損の要否を検討しております。

その資産の市場価額及びその資産を使用した営業活動から生ずる損益等から減損の兆候があると判定された固定資産については、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、回収可能価額まで減損処理を行っております。回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額となりますが、正味売却価額につきましては不動産鑑定評価額及び動産評価額を合理的に調整した価格とし、使用価値については見積将来キャッシュ・フローの現在価値とすることを会計方針としております。今後、事業計画や市場環境の変化等によりこれらの見積りが変更された場合、減損金額の増加及び新たな減損損失認識の可能性があります。

(繰延税金資産)

企業会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額との間に生じる一時的な差異に係る税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率に基づいて繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しております。

当社グループは、繰延税金資産の計上にあたり連結グループ内の個々の会社について今後5年間の利益計画をもとに将来の課税所得の十分性、タックスプランニングの存在の有無及び将来加算一時差異の十分性により繰延税金資産の回収可能性を判断しております。繰延税金資産のうち、将来において実現が不確実であると考えられる部分に対して評価性引当額を計上して繰延税金資産を減額しておりますが、将来の課税所得の見込額の変化や、その他の要因に基づき繰延税金資産の回収可能性の評価が変更された場合、繰延税金資産の減額部分の増減変更により法人税等調整額が増減し親会社株主に帰属する当期純利益(又は親会社株主に帰属する当期純損失)が増減する可能性があります。

(退職給付に係る負債)

当社グループは、将来の従業員の退職金の支払に備え、確定給付型の制度として退職一時金制度及び確定給付企業年金制度、確定拠出型の制度として確定拠出年金制度を採用しております。一部の連結子会社においては、従業員が少ないため高い信頼性をもって数理計算上の見積りを行うことが困難であるため簡便法による処理を行っております。簡便法では決算日における従業員の自己都合退職によった場合における要支給額より年金資産額を控除した額を引当計上しております。当社及び一部の連結子会社においては、原則法により数理計算上の見積りを行っております。原則法によった場合、従業員の退職給付費用及び債務は数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されます。これらの前提条件には、割引率、将来の昇給率、退職率、死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれております。割引率は主に日本の国債の市場利回りを基礎に算出しております。長期期待運用収益率は年金資産が投資されている資産の種類ごとの長期期待運用収益率の加重平均に基づいて計算されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響額は累積され将来にわたって規則的に認識されていくため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産合計)

資産は、137,069百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,766百万円の増加となりました。流動資産は61,299百万円で、前連結会計年度末に比べ7,880百万円の増加となり、その主な要因は、現金及び預金が3,635百万円、売上債権が1,418百万円、棚卸資産が2,490百万円増加したことによるものです。固定資産は75,769百万円で、前連結会計年度末に比べ2,113百万円の減少となり、その主な要因は、有形固定資産が2,425百万円減少したことによるものです。

(負債合計)

負債は、80,419百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,683百万円の増加となりました。流動負債は59,277百万円で、前連結会計年度末に比べ6,015百万円の増加となり、その主な要因は、仕入債務が1,132百万円、短期借入金が1,885百万円、未払費用が643百万円、1年内返済予定の長期借入金が2,218百万円、未払金が107百万円増加したことによるものです。固定負債は21,142百万円で、前連結会計年度末に比べ3,332百万円の減少となり、その主な要因は、長期借入金が3,501百万円減少したことによるものです。

(純資産合計)

純資産は、56,649百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,083百万円の増加となりました。その主な要因は、利益剰余金が379百万円減少した一方、為替換算調整勘定が3,433百万円増加したことによるものです。以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末40.7%から41.2%となりました。

 

2)経営成績

(売上高)

売上高は、半導体供給不足や、パンデミックに伴う自動車生産台数の調整があり、一時的に受注量の落ち込みが見られましたが、自動車メーカーの生産量回復の兆しが見え始め、当社グループの受注量は回復基調となり、また円安や地金価格高騰の影響により、前連結会計年度から24,625百万円増加し140,938百万円(前期比21.2%増)となりました。

そのうち、国内売上高は70,266百万円(前期比8,552百万円増)、海外売上高は70,672百万円(前期比16,072百万円増)となりました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費、営業損益)

売上原価は、原材料、副資材、エネルギー、物流などの諸コスト上昇の影響により、前連結会計年度から21,768百万円増加し130,457百万円(前期比20.0%増)となりました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度から411百万円増加し10,457百万円(前期比4.1%増)となりました。

以上の結果、営業利益は23百万円(前期は2,422百万円の営業損失)となりました。

 

(経常損益)

営業外収益は前連結会計年度から29百万円減少し910百万円(前期比3.2%減)となりました。これは主に受取利息が6百万円、為替差益が78百万円、スクラップ売却益が25百万円増加した一方、受取配当金が59百万円、雇用調整助成金が80百万円減少したことによるものです。

営業外費用は前連結会計年度から289百万円増加し839百万円(前期比52.6%増)となりました。これは主に支払利息が253百万円増加したことによるものです。

以上の結果、経常利益は94百万円(前期は2,032百万円の経常損失)となりました。

 

(特別利益)

特別利益は前連結会計年度から802百万円増加し3,340百万円(前期比31.6%増)となりました。これは主に固定資産売却益が3,173百万円増加した一方、前期は投資有価証券売却益が2,304百万円発生したことによるものです。

 

(特別損失)

特別損失は前連結会計年度から1,063百万円減少し3,410百万円(前期比23.8%減)となりました。これは主に退職給付費用が448百万円、特別退職金が368百万円増加した一方、減損損失が1,849百万円減少したことによるものです。

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は84百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失5,189百万円)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の1株当たり当期純損失は3円26銭(前期は1株当たり当期純損失201円23銭)となりました。

 

(EBITDA)

当連結会計年度のEBITDA(営業利益+減価償却費)は12,929百万円(前期比36.1%増)となりました。

 

3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッ

シュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性についての分析

資金需要及び財務政策

当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び事業拡大のための設備投資資金、配当金の支払等であります。これらの資金需要に対して当社グループでは、主として金融機関からの借入金と自己資金(手元資金と営業活動によって獲得した資金)により事業活動に必要な運転資金や将来の設備投資等に向けた充分な資金を確保しております。

資金調達手段としては、金融機関からの短期借入金、長期借入金で行っており、短期借入金については運転資金として月次の売上高の2分の1程度を調達する方針としております。長期借入金については、設備投資のための長期資金として3年~5年の借入期間で調達を行っております。また、短期借入金については、月次の資金繰り状況に応じ当座借越限度額の範囲内で反復利用を行い、長期借入金については、新規調達を行う一方で約定計画に基づき返済を行っております。

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標は下記のとおりであります。

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

自己資本比率(%)

47.7

46.5

41.9

40.7

41.2

時価ベースの自己資本比率(%)

12.8

7.3

9.4

7.4

9.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

191.9

204.5

578.2

519.6

405.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

29.4

38.2

16.7

15.7

15.3

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

資金の流動性

当社及び国内連結子会社はCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、国内のグループ内資金を当社が一元管理しております。各グループ会社において創出したキャッシュ・フローを当社に集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、金融負債の極小化を図っており、余剰資金が生じた場合には有利子負債の返済に充てる方針であります。

 

d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(ダイカスト事業 日本)

日本自動車市場では、半導体等の部品供給不足に伴う自動車減産が未だ続いているものの、当社の受注量は前期比において回復基調で推移したことに加え、アルミ地金市況上昇影響もあり売上高は59,019百万円(前期比14.1%増)となりました。収益面においては、エネルギー、物流などの諸コスト上昇の影響があったものの、受注量の持ち直しに加え、生産体制の効率化・原価低減活動とともに原材料価格転嫁も進んだことから、セグメント利益250百万円(前期はセグメント損失1,372百万円)となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ885百万円減少し50,832百万円となりました。

 

(ダイカスト事業 北米)

北米自動車市場では、半導体不足によるサプライチェーンの混乱、一時的な受注量の乱高下の影響により、12月決算であるメキシコ工場の受注量は前期比で減少したものの、米国工場の受注量は徐々に回復してきたことに加え、アルミ地金市況上昇及び円安影響もあり売上高は36,995百万円(前期比31.6%増)となりました。収益面においては、構造改革・原価低減活動の定着効果が見られたものの、受注量が本格回復に至っていない中、エネルギー、労務費等の上昇に伴う生産コストの増加により、セグメント損失676百万円(前期はセグメント損失1,096百万円)となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ532百万円増加し31,597百万円となりました。

 

(ダイカスト事業 アジア)

アジア自動車市場では、中国における大幅な自動車関連の減税措置や手数料の引き下げ効果もあり、自動車販売台数に回復の兆しが見え始めていた中、12月決算である中国工場においては、ゼロコロナ政策による上海ロックダウンの影響により当第2四半期において受注量が大幅に減少しましたが、第3四半期以降において受注量は徐々に回復し、アルミ市況の上昇影響もあり売上高は33,676百万円(前期比27.1%増)となりました。収益面においては、受注量の乱高下があったもののセグメント利益8百万円(前期はセグメント損失547百万円)となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ35百万円増加し42,163百万円となりました。

 

(アルミニウム事業)

アルミニウム事業においては、販売重量は前年と比較して横ばいで推移した一方、金額面はアルミ地金市況の上昇により、売上高は7,975百万円(前期比23.4%増)となりました。収益面においては、アルミ地金市況の上昇に伴う売上高の増加で、セグメント利益は274百万円(前期比3.4%増)となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ265百万円減少し4,085百万円となりました。

 

(完成品事業)

完成品事業においては、主要販売先である半導体関連企業のクリーンルーム物件等の受注が増加しましたが、一部が来期に延期となったことで、売上高は3,271百万円(前期比6.6%減)となりました。収益面においては、個別受注物件による採算性の相違がありますが、セグメント利益は285百万円(前期比8.7%減)となり、安定的な利益を確保しております。

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ697百万円増加し3,271百万円となりました。

 

5【経営上の重要な契約等】

(東松山工場不動産の売買契約等)

当社は、2023年3月15日開催の取締役会において、2023年3月31日を決済・引渡し日とする不動産売買契約を締結することを決議し、同日付で不動産売買契約を締結いたしました。同時に引渡し日以降、当社が当該土地を明渡し日(2024年12月31日)まで一時的に使用する賃貸借契約を締結いたしました。また、決済・引渡し日に、明渡し日をもって建物を無償譲渡する契約を締結いたしました。

 

①不動産売買の目的

当社グループの競争力強化及び経営の効率化により企業価値の向上を図ることを目的としております。

なお、東松山工場で生産している品目については、㈱アーレスティ栃木に移管します。

 

②不動産売買の要旨

売却先

国内事業法人であり、当社との間には、資本関係、人的関係、取引先関係及び関連当事者について、特記すべき事項はありません。

売却益

2,823百万円

契約締結承認日

2023年3月15日

不動産売買契約書締結日

2023年3月15日

一時使用賃貸借契約書締結日

2023年3月15日

建物無償譲渡契約書締結日

2023年3月31日

決済・引渡し日

2023年3月31日

明渡し日

2024年12月31日

 

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、お客様に信頼され、グローバルで顧客ニーズに応える企業を目指して、主にダイカスト事業で当社技術部が推進しております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、558百万円(前期比0.4%増)であります。

当連結会計年度は自動車車体部品のダイカスト製造技術の熟成と電動部品の性能向上そして、CO2削減対応を目指し、量産工場と一体となった取り組みを継続して進めてまいりました。また、㈱ジーテクトとの間で車体部品とEV 関連部品における新たな価値創造に向けて共同開発基本合意書を締結し共同開発を進めております。今後は、これらの技術開発を更に発展させるために開発すべき技術のターゲットと時期を具体化し、課題の共有とデジタル技術の活用によるスピード感を持った取り組みにしていきます。そして、車両全体の軽量化に貢献することにより、電動化が進展する中で車体系部品群の開発・受注の強化を図ってまいります。