文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は以下4項目を経営理念とし、東邦亜鉛グループの経営を行っております。
① “顧客”を満足させる良質の製品・サービスを提供する。
② “株主”の期待に応える業績をあげ、企業価値の増大を図る。
③ “従業員”の生活を向上させ、働き甲斐のある会社にする。
④ “地域”の一員として認められ、地域にとって存在価値のある会社を目指す。
当社はこうした経営理念を実現し、より効率的で透明性の高い経営を推進していくために、企業統治の体制や仕組みを整備しその機能を高めていくことが、経営上の最重要課題のひとつであると考えております。また、株主をはじめとしたステークホルダーへの適切な情報の提供が、より良い経営に資するものと考え、これに取り組んでまいります。
2024年度における当社グループを取り巻く経営環境は、具体的には「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」の《経営環境》に記載したとおりであります。
当社グループは2024年12月に新たな事業再生計画(以下、「本事業再生計画」)を取りまとめました。本事業再生計画は、不採算事業となっていた亜鉛製錬事業の再編及び資源事業からの撤退を実行し、経営資源を基盤・成長事業へ適正に配分し、変化に挑戦する企業文化・意識改革を推し進めて新しい東邦亜鉛へ成長することを目指しております。
撤退・再編事業のうち、亜鉛製錬事業については、市況変動が大きく価格転嫁が困難な事業環境に加え、近年の電力料金及びエネルギー価格の高止まりにより高コストな事業構造となっているなか、抜本的な梃入れの経営判断を行えておりませんでした。資源事業については、当社グループの財務体力を超えた投資判断により、結果として多額の損失が発生いたしました。
両事業に共通する背景として、長年の経営ガバナンスの不在と、現状維持を是とし変革を探求しない経営体質があったものと痛切に認識しております。
事業再生計画の策定に際しては、当社グループは取引金融機関からの継続的な支援に関する合意と合わせて、株式会社アドバンテッジパートナーズがサービスを提供するファンド及び株式会社辰巳商会による総額75億円の第三者割当増資(以下、「本第三者割当増資」)について、2025年2月開催の臨時株主総会にて株主の皆様からご承認いただき、同年3月に払込みが完了いたしました。当社グループは、本第三者割当増資により、大きく棄損した財務基盤の正常化を実現するだけでなく、ガバナンスの正常化と経営管理体制の強化を図ることができ、また、競争力を有し成長が見込まれる基盤・成長事業に対しては前向きな投資を行うことが可能となりました。
結果として、亜鉛製錬事業の再編に伴う特別損失及び希望退職の募集により当期純損失は14億58百万円となった一方、当社グループの財務体質は大幅に改善され、当期の連結純資産は100億82百万円、自己資本比率は10.2%となりました。
当社グループは今後5年間を事業再生期間とし、永続的に成長する企業体へ進化するための期間であると位置付けております。前半においては、不採算事業の撤退・再編を完遂するとともに、基盤・成長事業の事業強化と収益拡大に取り組み、経営基盤を強固なものとしてまいります。加えて、永続的な成長のための新たな収益モデルの構築と市場開拓の実現に向けて取り組んでまいります。

不採算事業の撤退・再編について、亜鉛製錬事業においては、主要設備の稼働停止を2025年3月末に実行しており、希望退職の募集及び労使の合意も完了しております。2025年度中には製品出荷・残務処理を完了し、人員の配置転換も実施する予定であります。また、資源事業においても、既に各鉱山の売却等を完了しております。
基盤・成長事業の収益成長に向けた施策にも着手しております。鉛・銀製錬事業においては、鉛生産量のさらなる拡充や、副産物である金・銀等の貴金属及びビスマス等の希少金属の生産・販売の強化に取り組みます。また、鉛バッテリーの需要家、鉛バッテリーメーカーや回収業者等のバリューチェーン各社との連携を強化し、鉛リサイクル比率引き上げ及び鉛リサイクルループ確立にも注力いたします。環境・リサイクル事業においては、原料となるダストの回収を強化することで酸化亜鉛の生産を拡充する計画です。電子部材・機能材料事業においても、既存製品の販路・用途の拡大等に取り組みます。
これらの活動を通して変化に挑戦する企業文化・意識改革を推し進め、当社は社会インフラを支えるリサイクリングのリーディングカンパニーを目指します。
当社グループは事業再生中でありますが、経営理念とグループ行動指針の価値観に基づくサステナビリティ基本方針を継続し、当社グループの強みである製錬技術を活かした資源リサイクルや貴金属回収の強化と、電解鉄など当社独自の特色のある製品価値の提供を通じて持続的社会の実現に貢献してまいります。また、働きがいのある職場づくりを強化し、従業員の能力開発と向上、優秀な人材の採用や、事業ポートフォリオ戦略に合わせた人材の育成及び再配置を行っております。
東邦亜鉛グループのサステナビリティ基本方針
「金属事業で培った技術・開発力をベースに、ニッチ分野での輝きと拡大に挑戦を続ける会社」を目指し、
① 地球環境保全に積極的に取り組み、社会・経済活動に貢献する、
② 企業価値を高め、全てのステークホルダーに報いる、
③ 職場の安全・安心を確保し、社員の生活向上を図れる、会社となる。
当社グループは、取締役会の監督の下でサステナビリティ経営の推進体制を構築し、経営企画部を事務局として、サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理の強化を図っております。サステナビリティ推進会議では、半期に1回、各委員会の当社グループにおける取組遂行状況をモニタリングするとともに、経営幹部による討議や情報共有を通じた審議を行い、リスク及び機会を識別・評価・管理しております。この結果に基づき代表取締役社長が最高責任者として意思決定を行います。審議結果は、必要に応じて取締役会に報告しております。こうした取組については、ホームページや統合報告書に詳細を記載し、積極的な情報開示に注力してまいります。当社グループは、今後もこれらの方針に基づき、気候変動をはじめとする社会課題の解決に務め、安心安全な未来づくりに貢献してまいります。
[サステナビリティ推進体制]

当社グループは、サステナビリティを巡る課題への適切な対応を経営の重要なテーマと考え、社外取締役及び社外有識者の意見を参考にマテリアリティ(重要課題)を特定し、取締役会にて決議しております。特定したマテリアリティは「気候変動」「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」「人権尊重/地域との関連性」「人材育成」「コーポレート・ガバナンス」「健全な財務基盤」の6項目であります。これらマテリアリティへの対応をより具体化させるとともに、取締役会において重要度の高いテーマについて議論を行い、当社グループの長期的な企業価値向上に向けて取り組んでいく方針としております。
以降「気候変動」「人権尊重/地域との関連性」「人材育成」の取り組みに関して報告いたします。
なお、残る3つのマテリアリティについては今後KPIを設定するなど、管理手法の高度化を進めてまいります。
当社グループでは2050年カーボンニュートラルを実現するための長期目標を掲げ、事業を通じた気候変動への取組を継続的に強化してまいります。脱炭素社会の実現に向けて、自社の事業活動に伴うGHG排出量の削減や将来の気候変動が自社に与えるリスクや機会を把握し適切に対処していくことが企業を存続させ、中長期的な企業価値を高めていくためには不可欠であると認識しております。
気候変動対策の最高責任者は、代表取締役社長です。
気候変動によるリスクや機会が事業に大きな影響を及ぼすと判断された場合は、取締役会へ報告します。
取締役会では報告を受けた場合、審議を通じて対策指示することで東邦亜鉛の気候変動対策が適切に推進されるよう監督します。
また、2022年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、TCFDのフレームワークに沿った情報開示を推進しております。
1.5℃及び4℃シナリオを設定し、シナリオ分析を実施しました。
リスクとして、主にカーボンプライシング、エネルギー価格の変動等を特定し、対策を検討しました。
機会として、主にリサイクル需要の増加、ZEV化の進行、世界的な非鉄金属需要の増加等を特定し、対策を検討しました。今後、各要素の定量的な財務影響評価と事業戦略への取り込みを進めてまいります。
詳細については、以下の「気候変動リスク及び機会に関するシナリオ分析の実施について」をご参照下さい。
気候変動対策委員会において半期に一度リスクモニタリング等を行い、重要な気候変動対策に関する報告・提案事項については、サステナビリティ推進会議に付議され経営幹部による討議や情報共有を通じて審議が行われます。最終的には代表取締役社長が最高責任者として意思決定を行います。
気候変動緩和のための指標として、温室効果ガス(GHG)削減目標を策定しております。
Scope1及びScope2において、2013年度対比でGHG排出量を2030年度までに38%削減、2050年度にカーボンニュートラルを達成することを目標として設定しております。2024年度のGHG排出状況(※)は、368千t-CO2(2013年度対比40.8%削減)となります。
※ 算定対象範囲は国内・海外を含めた連結子会社とし、国内は連結子会社の内、影響度の観点から「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)」の定期報告対象となっている子会社を対象としております。
Scope3については、所属する業界団体のカーボンフットプリント算定方法ガイドラインの作成に関する研究会に参加、取引先との情報共有を進め算定範囲の拡大及び精度向上に向けた検討、を行ってまいります。
社内炭素税については、2022年度より導入しております。2023年3月には世界的な炭素規制強化の動きや対策コストの増加を考慮した再評価を実施し取締役会にて決議を行い、現在は10,000円/t-CO2として運用中です。
当社グループは、市場の多様なニーズに的確に対応し、新規ビジネスや、付加価値の創造をしながら、企業を存続させその中長期的な企業価値を高めていくためには、「組織の多様性、つまり中核人材の多様性」が不可欠であると考えております。人的資本の充実に関しては、当社グループでは人事部長による対話やエンゲージメント調査を実施することによって従業員のモチベーションや職場環境の現状を把握し、職場における創造性、生産性向上を追求すべく、事業計画と連動した人員配置を行うとともに、経験豊富な人材の中途採用を通じたマーケットイン指向の導入などにも取り組んでおります。
中核人材の登用においては、個人の能力・適性により評価・判断を行い、その属性に左右されないことを徹底しながら、様々な職歴、属性、価値観を持つ人材を登用してまいります。
中核人材における多様性の確保のための人材育成と社内環境整備に対しては、女性の職場での積極的な活躍を後押しすることをはじめとして、様々な属性の人材が働きやすい、そして働きがいのある職場環境を確保できるよう、育児・介護に関連する休暇や、フレックスタイム制、在宅勤務等、柔軟な働き方を可能とする社内制度を整備・運用しております。
加えて、育児や介護、働き方に関する説明会を実施するなど、多様性を理解し受け入れるための啓蒙・教育活動を行っております。
女性比率については、社員全体での女性比率(現状13%)も考慮しつつ、この比率に近づけるよう採用・登用を進めており、5名の女性管理職を登用しております。
外国人に関しては、より深く国際的な視野を醸成・体得していると考えられる人材として、外国人に加え海外勤務経験者についても、採用を進め、比率増を図ってまいります。
[属性別管理職比率目標(出向者を除く)]
女性 :現状6% ⇒ 2026年 8%
外国人及び海外勤務経験者(※):現状17%(2026年に15%としていた目標を達成済み)
※ 海外勤務は当社グループでの海外勤務経験に限らない。
中途採用者 :現状21% ⇒ 2026年 25%
(注)上記については当社単体の数値目標であります。連結会社は、鉛・銀製品の受託製錬や、運輸業等、業態が様々であることから、連結グループ全体での数値目標等設定による人員数のコントロールはせず、安全・衛生、安定的な操業を最優先に、適材を配置することを目標としております。
男性労働者の育児休業取得率は、現在55.5%ですが、啓蒙・教育活動を行うとともに、有給の育児休業日や養育両立支援休暇も設定し、子育ての後押しをしてまいります。
なお、現在の労働者の男女の賃金差異(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)は、以下のとおりです。
① 全労働者:71%
② 正規雇用労働者:80%
③ パート・有期労働者:56%
賃金差異の主な要因は、高い職位に任用されている女性の比率がまだ低いことが主な要因であります。加えて、男性比率の高い現場作業者に支給される製錬手当等も差異の一因となっております。
男女問わず「職務範囲の拡大等により、職務経験の機会を増やす」ことに取り組み、引き続き、様々なバックグラウンドの社員がより一層活躍できるよう、支援してまいります。
パート・有期労働者に関しては、勤務時間の短い社員の女性比率が高いことが差異の要因であります。
当社グループの経営成績、財政状態に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
製錬事業における原料鉱石価格と製品価格は、LME(ロンドン金属取引所)やその他の国際市場の価格を基準としております。国際市場の価格は、需給バランスや投機筋の思惑、政治や経済の状況などから影響を受けて変動し、価格が予想以上に急激かつ大幅に変動した場合など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
製錬事業の主原料である鉱石は、海外から輸入しておりますが、その買鉱条件である製錬費(T/C)は米ドル建てとなっていることと、各製品の国内販売価格は米ドル建て価格を円換算したものを基礎としているため、米ドルに対する円高は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。そのため、為替相場が予想以上に急激かつ大幅に変動した場合など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
製錬事業や環境・リサイクル事業における製造工程では多量の電力消費を伴い、また、コークスや重油等を多く使用いたします。電力やコークスの価格は原油、LNGや石炭といったエネルギー資源価格に大きく影響を受けるものであり、同価格が大幅に上昇した場合には、製造原価が大きく悪化し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、当社グループは根本的には市況の影響を相対的に受けにくい事業の収益拡大及び安定化を図っていくこととしております。また、当座の市況影響に対しては、市況変動のリスクヘッジを目的とした商品先渡取引、為替予約やオプション取引などを用いて対処いたします。エネルギーコスト高に対しては、製法や仕入先の工夫により対処いたします。
当社グループの主力事業である製錬事業の主原料である鉱石の確保は、経営上の重要課題です。鉱石は、そのすべてを海外の鉱山から調達しており、世界的な鉱石需給の状況や、鉱山における事故等不測の事態の発生は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。具体的には原料不足による減産による販売機会の喪失や、単位当たり原価の悪化による影響です。これらに対して、当社グループは、ペルー・豪州等の有力鉱山との間で長期買鉱契約を結ぶ等、安定的な原料確保を図っております。さらに、廃バッテリーや製鋼ダスト等のリサイクル原料の利用を増加させる等、鉱石以外の原料の多様化を図ってまいります。
当社グループの主力事業である製錬事業は市況の影響を受けやすい業態です。市況のコントロールは難しいことから、計画通りの生産を行うことで販売機会を確保することが当社グループの業績には重要です。自然災害(地震や洪水などに加え新型コロナウイルス感染症の拡大といった病気の蔓延を含む)や操業上の事故・トラブルで操業に支障が生じて計画通りの生産が行えない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。具体的には減産による販売機会の喪失や、単位当たり原価の悪化による影響であります。これらについては、長期的な計画に沿った予防的設備保守や、安全操業のための各種施策を確実に行ってまいります。
国内外の事業所においては、環境関連法令に基づき、大気、排水、土壌、地下水等の汚染防止に努め、また、国内の管理鉱山については、鉱山保安法に基づき、坑廃水による水質汚濁の防止や堆積場の安全管理等、鉱害防止に努めておりますが、関連法令の改正等によっては、当社グループに新たな費用が発生する可能性があります。また、気候変動対策に対する社会的要請が急速に高まっており、当社ではTCFDフレームワークによる分析を実施し、リスク及び機会の把握に努めています。カーボンニュートラルの達成は気候変動対策の中核となりますが、脱炭素実現に向けた取り組みにより、原材料の調達や製造工程等において、追加的な義務(コスト)や事業形態の変更などの可能性があり、経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
なお、非鉄スラグの問題(当社が過去に出荷した非鉄スラグの一部における土壌汚染対策法の土壌環境基準超過及び不適切な使用・混入の問題)につきましては、再発防止のため、業務執行部門から独立した専門部署として「品質保証室」、「環境・安全室」を本社に設置しており、品質保証体制を強化するとともに、今一度、環境保全に対する意識を高め、これに取り組んでまいります。
当社グループが事業活動を行う上で保有する情報資産について、万一、従業員等による操作上の錯誤や不正アクセスによる紛失や盗難、サイバー攻撃やコンピュータウイルスの感染等による漏洩や改竄、関連法令への不適合などの事態が発生した場合には、当社グループに対する社会的信用の低下、対策費用の発生、生産プロセスの中断や取引の停止等により、当社グループの経営成績及び財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
これらの情報資産を適切に保護・管理することは経営上の重要課題と位置付けており、情報セキュリティ関連規程を制定し、役職員の情報資産の保護に対する認識を高め管理を強化するとともに、社長の直轄下に経営企画部担当役員を委員長とする「情報セキュリティ管理委員会」を設置し、本委員会においてPDCAサイクルを回すことにより情報セキュリティ管理における運用体制を定期的に見直しさらなる向上に取り組んでおります。
当社グループは、前連結会計年度において親会社株主に帰属する当期純損失が464億52百万円となった結果、前連結会計年度末における連結純資産は27億5百万円(自己資本比率2.5%)まで減少したことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しておりました。
このような状況を解消していくための取組として、2024年12月18日に「第三者割当によるA種優先株式及びB種劣後株式の発行、定款の一部変更、臨時株主総会招集のための基準日設定、事業再編に伴う希望退職者の募集及び配置転換、並びに主要株主である筆頭株主の異動等に関するお知らせ」(以下、「事業再生計画」)を公表いたしました。
本事業再生計画において、亜鉛製錬事業(製錬セグメントに含まれる)の主要設備を停止し、各種メタルの製品加工業及び亜鉛ダスト処理を中心とした金属リサイクル事業へ再編することを決定したことから、当連結会計年度においては、亜鉛製錬事業における固定資産の減損損失や希望退職制度の実施に伴う割増退職金や再就職支援費用等の事業再編損の計上により、親会社株主に帰属する当期純損失は14億58百万円となりました。他方、今後の事業再生を遂行するための資金確保と財政基盤の再構築として、2025年3月13日に株式会社アドバンテッジパートナーズがサービスを提供するファンド及び株式会社辰巳商会から第三者割当増資により総額75億円の出資の払込みを受けたことから、当連結会計年度末における連結純資産は100億82百万円(自己資本比率10.2%)となりました。
事業再生計画の前提となる第三者割当増資は完了したものの、前連結会計年度に引き続いて当連結会計年度においても親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、自己資本比率も10.2%と低い水準にあることから、依然として、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しております。
しかしながら、資金面においては、当連結会計年度末において、現金及び預金209億79百万円を保有するとともに、2025年2月14日において、全取引金融機関との間で債権者間協定書を締結し、事業再生計画期間として位置付ける第三者割当増資実行日以降5年間の返済計画について合意しており、また、三菱UFJ銀行とは事業再生計画期間中における急激な市況や経済環境の変化等に対する運転資金のバックアップとして、動産を担保とした総額50億円の貸出コミットメント契約を締結していることから、当面の運転資金及び投資資金は十分に確保しており、重要な資金繰りの懸念はないものと判断しております。
以上のことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況は存在するものの、重要な不確実性は認められないものと判断しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の連結業績は以下のとおりです。売上高は前期比で減収、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益ともに前期比で増益となりました。
当連結会計年度における世界経済は、米国は底堅い個人消費により堅調に推移した一方、欧州は利上げによる影響、中国では不動産市場の低迷長期化などで弱含んで推移しました。日本経済においては雇用や所得環境に改善が見られるものの、継続する物価上昇が個人消費に与える影響が懸念されるなか、依然としてウクライナ情勢や中東情勢など地政学的な不安定さが継続していることに加えて、米国の経済政策における不透明さなどから、今後の経済見通しに不確実性が高まる状況となりました。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、金属相場は、亜鉛と銀は期初から大きく上昇して推移し、鉛についても比較的堅調に推移しました。一方、為替相場は、国内の利上げや米国の利下げにより一時的に変動する局面が見られたものの、通期では前期比で円安水準となりました。販売面では、亜鉛製品は生産減による販売減となりましたが、2023年12月より生産量が増加している鉛製品については、前期比で増販となりました。
当社グループにおける当連結会計年度の業績は、製錬事業においては外部顧客への売上高はほぼ前期並みとなったものの、資源事業において豪州連結子会社であるCBH Resources Ltd.(以下、「CBH社」)が保有する豪州ラスプ鉱山を2024年10月末において譲渡したことにより減収となったことなどから、売上高は1,262億67百万円と前期比45億35百万円(4%)の減収となりました。
損益面では、製錬事業においては主に金属相場上昇と円安により損益改善となったこと、資源事業においては前期は損失計上であったところ当期は損失が解消され利益となったこと、環境・リサイクル事業や電子部材・機能材料事業においても増益となったことから、営業利益は56億25百万円と前期比63億16百万円、経常利益は36億89百万円と前期比144億16百万円の増益となり、営業損益及び経常損益については前期の損失から利益へと転じました。
特別損益については、前期は、ラスプ鉱山閉山の決定に伴う同鉱山の固定資産の減損損失218億91百万円、豪州アブラ鉱山を操業する持分法適用関連会社であったAbra Mining Pty Ltd.(以下、「Abra社」)の豪州会社法に基づく任意管理手続(Voluntary Administration)開始を受けて、同社への債権に対する貸倒引当金や同社債務についての債務保証損失引当金あわせて87億78百万円、中国関係会社の譲渡による関連損失40億16百万円などを特別損失として計上しました。当期においては、豪州エンデバー鉱山ほかの譲渡に伴う関係会社株式売却益27億26百万円などを特別利益として計上した一方で、2024年12月18日に公表いたしました当社の事業再生計画の一環として、高コストな事業構造となっている亜鉛製錬事業の主要設備を停止することを決定したことに伴い、当該事業の固定資産の減損損失73億83百万円や希望退職制度の実施に伴う割増退職金等の事業再編損4億19百万円などを特別損失に計上しました。この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は14億58百万円と前期比449億94百万円の大幅な増益となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります(以下、各セグメントの売上高には、セグメント間売上高を含みます)。
相場上昇と円安により国内販売価格が上昇したものの、減産及び自動車製造減等の影響を受けた減販により、売上高は前期比8%の減収となりました。
2023年12月以降の電流効率改善による生産増と増販に加え、円安により国内販売価格が上昇したことにより、売上高は前期比10%の増収となりました。
相場上昇と円安による国内販売価格の上昇により、売上高は前期比22%の増収となりました。
以上のほか、金や硫酸などその他の製品を合わせた当事業部門の業績は、市況変動リスクをヘッジするデリバティブ取引の影響もあり、売上高は1,055億8百万円と前期比11億44百万円(1%)の減収となりました。
損益面については、亜鉛製錬は、前期が亜鉛相場安と電力費や諸資材価格の高騰により損益悪化となったのに対して、当期は引き続き電力費や諸資材価格は高水準ではあるものの前期比では低減したことや亜鉛相場上昇と円安が損益改善に寄与しました。一方、鉛・銀製錬については、金属相場上昇と円安及び金やビスマスなどその他希少金属の収支が損益良化に寄与したものの、銀製品の減産減販による影響や銅などの副産物収入は減少したことから、減益となりました。この結果、経常利益は23億25百万円と前期比3億61百万円(18%)の増益となりました。
なお、事業再生計画において公表いたしましたとおり、亜鉛製錬の主要設備については2025年3月末をもって停止しております。
金属相場(平均)及び為替相場(平均)の推移は下表のとおりであります(米ドル/豪ドルの通期は1月-12月に対応します)。
自動車タイヤの加硫促進助剤として使用される主力製品の酸化亜鉛は、タイヤメーカーでの減産や生産調整が2023年秋から継続していることで、販売量はほぼ前期並みとなりましたが、亜鉛相場上昇と円安で推移したことによる販売価格の上昇により、当事業部門の売上高は63億53百万円と前期比10億16百万円(19%)の増収となりました。
損益面については、安定した操業ができたこと、電力費は高止まりしているものの前期比では低減となったことやコスト上昇分の一部を販売価格に転嫁できたことなどもあり、経常利益は16億69百万円と前期比10億52百万円(170%)の増益となりました。
電子部品は、米国におけるEV(電気自動車)市場鈍化の影響を受け車載電装向けの販売が落ち込んだことにより、売上高は前期比で22%の減収となりました。
電解鉄は、インドやサウジアラビアをはじめとする新興国の新造航空機需要が急拡大し、これにより内外特殊鋼メーカーの生産が底上げされたことから増販となりました。その結果、売上高は前期比で24%の増収となりました。
以上のほか、プレーティング及び機器部品を合わせた当事業部門の業績は、電子部品における減収や撤退した事業における減収により、売上高は46億1百万円と前期比4億80百万円(9%)の減収となりました。
損益面については、電解鉄における増収による増益とプレーティングでの事業撤退前の駆け込み特需やメッキ薬剤等の貯蔵品売却益の計上などもあり、経常利益は4億78百万円と前期比2億87百万円(150%)の増益となりました。
CBH社が保有するラスプ鉱山においては、前期については、高品位鉱体の採掘が2024年度期初へ後ろ倒しとなったため粗鉱品位が低下し減産減販となったことから営業損失でありました。一方、当期については、売上高は、2024年10月末においてラスプ鉱山を譲渡したことから前期比で減収となったものの、損益は、前期比で歩留まりの改善となったことや2023年11月の閉山決定に伴う固定資産の減損損失計上によって当期の減価償却費負担が軽減されたことなどにより、営業利益となりました。
また、CBH社を通じて40%を出資し持分法適用関連会社であったAbra社が操業するアブラ鉱山においては、生産量が当初計画を大きく下回ったことや、2024年4月における同社の豪州会社法に基づく任意管理手続開始を受けて同社株式簿価の全額を減損処理したことから、前期は多額の持分法による投資損失を計上しておりました。一方、当期は、前述の任意管理手続開始により同社に対する実質的な影響力がなくなったため持分法の適用範囲から除外したことに伴い、当社グループとしては持分法による投資損益の計上を行わず、差引きで増益となりました。
以上の結果、売上高は64億89百万円と前期比48億57百万円(43%)の減収、経常利益は4億60百万円と前期比136億43百万円の増益となりました。
防音建材事業、土木・建築・プラントエンジニアリング事業、運輸事業、環境分析事業などからなる当事業部門の業績は、土木・建築・プラントエンジニアリング事業で大型工事の進捗により増収増益となったものの、事業撤退した防音建材事業での減収減益や運輸事業における輸送コストの上昇などもあり、売上高は102億77百万円と前期比5億23百万円(5%)の減収、経常利益は4億74百万円と前期比1億56百万円(25%)の減益となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
ただし、電子部材事業、環境・リサイクル事業、その他事業の生産高は、販売金額と同額であります。
2.製錬事業には、八戸製錬㈱他委託分が含まれております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.総販売実績に対し、10%以上に該当する販売先はありません。
2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ91億36百万円減少し、992億99百万円となりました。これは主に、亜鉛製錬事業にかかる固定資産の減損を行ったこと、エンデバー鉱山及びラスプ鉱山の譲渡や投資有価証券の売却、売掛債権の減少などによるものであります。一方、第三者割当増資による収入によって現金及び預金は増加しております。
負債は、前連結会計年度末に比べ165億13百万円減少し、892億16百万円となりました。これは主に、Abra社の金融債務に対する債務保証の支払実行によりかかる引当金が減少したこと、エンデバー鉱山及びラスプ鉱山の譲渡に伴い鉱山閉山時の原状回復義務にあたる資産除去債務が減少したことなどによるものであります。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上があったものの、第三者割当増資による株主資本の増加により、前連結会計年度末に比べ73億76百万円増加し、100億82百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は当連結会計年度末において10.2%となり、前連結会計年度末に比べ7.7ポイント上昇しております。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ75億70百万円増加し、当連結会計年度末は209億79百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、28億96百万円の収入(前期は37億49百万円の収入)となりました。売掛債権の減少による収入はあったものの、Abra社の金融債務に対する債務保証の支払実行などにより、営業活動によるキャッシュ・フローは前期比で収入減となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、3億70百万円の支出(前期比72億42百万円の支出減)となりました。これは主に、国内設備の維持更新による支出と、投資有価証券や関係会社株式の売却による収入があったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは50億28百万円の収入(前期は76億94百万円の収入)となりました。これは主に、第三者割当増資による収入があったことによるものであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原料鉱石の購入代金のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、国内製錬所・事業所の設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、事業再生計画遂行の前提となる第三者割当増資を完了し、全取引金融機関との間で債権者間協定書を締結しております。今後は、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本とし、設備投資等といった長期運転資金につきましては、第三者割当増資による自己資本を基本として運営してまいります。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は735億11百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は209億79百万円となっております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社は、2024年12月に取りまとめました事業再生計画を実行するにあたり、2024年12月18日付で株式会社アドバンテッジパートナーズがサービスを提供する6つのファンド(以下「APファンド」といいます)及び株式会社辰巳商会(以下「辰巳商会」といいます)との間で引受契約を締結しております。
当該契約に基づき、2025年3月13日において第三者割当の方法により、APファンドに対して総額30億円のA種優先株式、APファンド及び辰巳商会に対して総額45億円のB種劣後株式を発行いたしました(以下あわせて「第三者割当増資」といいます)。
2024年12月18日
当社がAPファンド及び辰巳商会と締結した引受契約には、以下の合意が含まれております。
当社は、APファンドとの間で、当社の取締役につき、APファンドが、人数が9名であることを前提に、第三者割当増資の実行後、APファンドの保有比率(APファンドが有する完全希薄化後普通株式数(当社の発行済み普通株式の数(自己株式を除く。)に当該時点において普通株式対価取得請求の行使があったと仮定した場合に交付されることとなる当社の普通株式の数を加えた数をいい、以下同様とします。)を、当社に係る全ての完全希薄化後普通株式数で除して得られる割合をいい、以下同様とします。)が10%を下回ることとなる日までの間、その保有比率に応じ、当社の取締役を以下のとおり指名する権利を有することを合意しております。
当社は、APファンドとの間で、APファンドの保有比率が10%を下回ることとなる日までの間、APファンドによる事前の承認なく、以下の事項を行わないことを合意しております。
・当社の定款、取締役会規則、関係会社管理規程、その他の重要な内部規則の制定、重要な変更又は廃止
・当社の株式、新株予約権、新株予約権付社債その他株式に転換可能な一切の権利の発行又は処分
・当社の自己株式の取得(ただし、A種優先株式に係る金銭対価取得条項に基づく取得及び法令等により要求される場合を除く。)
・当社による株式若しくは新株予約権の無償割当て、株式分割又は株式併合
・当社の資本金又は準備金の額の変更
・当社による剰余金の配当(金銭に限られず、中間配当を含む。)その他の処分
・当社グループにおける取締役(ただし、当社指名の取締役を除く。)、監査役及び執行役員並びに上記(a)に基づきAPファンドが指名権等を持つ当社の取締役の追加、変更若しくは減少又は処遇変更
・当社グループにおける従業員の大幅な新規採用、希望退職募集、退職勧奨及び解雇その他の方法による人員整理
・当社グループにおける重要な固定資産(コンピュータ・ソフトウェアその他情報システムを含むが、簿価が金1億円以上の固定資産に限る。)の取得、売却、賃貸借、リース、担保権の設定又はその他の処分(ただし、1件1億円以上の場合に限る。)
・当社グループにおける株式会社以外への組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式交付、株式移転その他の組織再編行為
・当社グループにおける事業の全部又は重要な一部の譲渡、賃貸、委任、廃止又はその他の処分
・当社グループにおける予算、経営方針、経営計画又は事業計画(いずれも、月次、四半期、年次その他対象期間を問わない。)の決定又は重要な変更
・当社グループによる第三者の事業の全部又は重要な一部の譲受け、賃借又は受任
・当社グループによる業務提携又は資本提携の開始、変更又は終了
・当社グループによる子会社の異動を伴う株式の取得若しくは売却
・当社グループにおける新規事業の開始又は事業の終了
・当社グループにおける重要な契約の締結、重要な変更又は終了(ただし、1件5億円以上の場合に限る。)
・当社グループにおける社債の発行、新規の借入れ、又は既存の借入等に係る条件の変更
・当社グループの解散、清算又は倒産処理手続開始の申立て
・その他当社において株主総会の特別決議を要する行為
APファンド及び辰巳商会が保有するA種優先株式及びB種劣後株式の譲渡については、当社の取締役会の承認を要するとされていることに加え、APファンド及び辰巳商会との間で、A種優先株式及びB種劣後株式の転換によって交付される普通株式は、当社が既存借入金のリファイナンスが完了するまで譲渡ができない(ただし、譲渡後にAPファンドが50.1%以上の議決権比率を残す範囲においては、発行日から3年間経過後より譲渡可能)とされております。
なお、リファイナンスとは、2025年2月14日に全取引金融機関と締結した債権者間協定における対象債権に該当する既存借入金の残高が零となった状態又は当該協定の対象債権の債権者の全てがリファイナンスが行われたと認めた状態をいいます。
当社は、APファンドとの間で、APファンドの株式保有比率が10%を下回ることとなる日までの間、各APファンドの事前の書面による承諾なく、第三者に株式等を発行又は処分してはならないことを合意するとともに、APファンド及び辰巳商会との間で、当社が株式等を発行、処分又は付与する場合には、APファンド及び辰巳商会がその保有比率に応じて引受権を有することを合意しております。
当社は2024年12月に新たな事業再生計画を取りまとめ、APファンド及び株式会社辰巳商会による総額75億円の第三者割当増資について、2025年2月開催の臨時株主総会にて株主の皆様からご承認いただき、同年3月に払込みが完了いたしました。本第三者割当増資は、当社が抜本的な事業再生を果たすために、過年度に計上した巨額の特別損失等によって棄損した資本の増強とともに、不採算事業からの撤退・再編を実行し、基盤事業と成長事業の収益性強化、財務基盤の正常化、経営管理体制の強化を企図した必要不可欠なものと判断しており、上記③の各合意は本事業再生計画の実効性を高めることを目的としております。
当社は、財務体質の安定化を図る一方で、既存の株主の皆様への影響に配慮する観点から、様々な資金調達手法を検討しましたが、当社の財務体質の抜本的な改善に向けた構造改革の実行による収益性改善及びキャッシュ・フローの安定化の実現が急務の状況であり、必要な資本性資金の調達及び財務体質の改善が、迅速かつ確実に見込まれる方法が最も重要な考慮要素であると考えました。かかる状況において、当社は、適正かつ公正なスポンサー選定を実施し、APファンド及び辰巳商会との第三者割当増資による資金調達について協議・交渉を行った結果、APファンド及び辰巳商会による出資以上の条件で出資を検討する支援姿勢を示したスポンサーは存在しなかったこと、事業再生の経験が豊かなAPファンドから過半数の議決権を有する株主として本事業再生計画の遂行に向けた支援を得ることが本事業再生計画の実現に向け最も効果的であると考えられたこと、また、辰巳商会に関しても当社の長年にわたる取引先としてAPファンドと共同で劣後株式の形態で出資を受けることによりさらなる自己資本の増強が図れること、APファンドはA種優先株式及びB種劣後株式を中長期的に、辰巳商会はB種劣後株式を長期的に保有予定であること等も踏まえ、A種優先株式及びB種劣後株式による本第三者割当増資が、当社の置かれた厳しい経営状況に最も適した資金調達手法であり、また、当社株式の上場が維持されることにより株式価値の向上を通じて株主の皆様の株式売却機会が確保される適切な選択肢との結論に至りました。
当該合意を含む本第三者割当増資に関して、取締役会及び監査等委員会(取締役3名(うち社外取締役2名)により構成)と当社経営陣とで数ヵ月間にわたって、発行条件の見直しや取引先・金融機関その他のステークホルダーに協力要請すべき内容等を含め多面的な観点から検討及び協議を行い、当社株主総会における特別決議による承認を得ることを条件として、既存株主の意思を直接確認した上で実施されるものであること等を総合的に勘案し、2024年12月18日付の当社取締役会において決議いたしました。
当該合意を含む第三者割当増資並びに事業再生計画につきましては、当社とAPファンドによる十分な協議に基づく両者の一致した課題認識と事業再生に向けた強い意思を反映したものであります。当該合意等を通じて、事業再生の経験が豊富なAPファンドにより当社の事業再生計画の遂行に必要なアドバイスやガバナンス支援を提供していただくこととなり、当社のガバナンス体制の強化、ひいては早期の企業価値向上へとつながるものと判断しております。
当社は、2024年12月に取りまとめました事業再生計画を実行するにあたり、2025年2月14日付で、全取引先金融機関14行との間で、財務上の特約が付された債権者間協定を締結しております。
2025年2月14日
都市銀行3行、地方銀行6行、その他金融機関6行
債務の期末残高 73,511百万円
弁済期限 2030年3月
当該債務に付された担保の内容 一部債務について工場財団担保が設定されております
財務上の特約の内容については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)※7.財務制限条項」をご参照下さい。
当社は、金属・リサイクル事業(製錬セグメント及び環境・リサイクルセグメント)と電子部材・機能材料事業を2大コア事業と位置付け、コア事業2本部にそれぞれ技術開発・製品開発機能を配置し、スピード感を持って技術的課題の解決や製品開発に取り組んでおります。
なお、当連結会計年度中に支出した研究開発費は
セグメント別の主な研究開発の内容は、次のとおりであります。
長年培ってきた素材、製錬等の技術をベースに工程効率化、原料多様化、製品品質安定化のための研究開発に努力しております。また、各製錬所には引き続き各現場密着型の研究組織を配置し、製錬プロセスの高度化・効率化のための研究開発に加え、サーキュラーエコノミーやカーボンニュートラルのような中長期の社会的要求に合致した電池材料、資源リサイクル等に関する研究開発を進めております。
・徹底的なコストダウン及び品質向上のためのプロセス改善に取り組んでおります。特に電力代の大幅アップに対する工程効率化対策や省エネルギー対策に取り組んでおります。
・素材、製錬等の技術をベースとした廃棄物再資源化や、鉱石中有価金属の回収促進のための技術開発に努力しております。
・廃棄物の資源有効活用として、蓄積された製錬技術を活用し、電炉ダストから酸化亜鉛の再資源化を行っており、その工程効率化や省エネルギー対策に取り組んでおります。
・蓄積された電池リサイクルの技術的知見を活用し、新たにLiB(リチウムイオン電池)リサイクルの事業化を目指し、基礎研究、中規模試験を進めております。
EV化や再生可能エネルギーに対する社会のニーズに合致した製品開発、また、新規用途開発を長期的視野に立って鋭意行っております。外部機関(企業・大学・研究機関)との共同研究、機能研究も積極的に行っております。
・電気電子機器の小型化、軽量化と高効率化に貢献できる様、最適構造を有する電子部品の開発はもとより、コイル、トランスの性能を決定づける高機能、高性能の磁性材料研究を進めています。
・電解鉄の優れた機能をより引き出して製品化するため、製品開発部において、大学や外部研究機関と提携し研究を進め、特許取得や学会発表等も行っております。また、生産性向上や、新製品に向けた製造技術開発も進めております。
以上のように、顧客ニーズへの対応を第一に、従来の技術の応用のほか、新規素材、新規製品を世に送り出すため、研究人員、研究インフラ、生産設備を並行して充実する努力を続けております。