(1)業績
当連結会計年度における我が国経済は、政府の経済対策等に加え、海外経済の堅調な伸びにより緩やかな回復基調となりました。住宅投資は、住宅ローンの低金利状態が継続しているものの、マンション等への投資は減少しており、全体としては緩やかな減速傾向となりつつありますが、貸家が前年から二桁の伸びを示した結果、新設住宅着工戸数は974千戸(前年同期比5.8%増)となりました。
海外経済に関しては、地政学的リスクによる不確実性はあるものの、米国に牽引される形で欧州は堅調な成長が続き、中国においても、インフラ投資等の拡大や元安等による輸出の続伸により、伸び幅は減少しておりますが、確実に成長している状況にあります。
このような環境のもと、当社グループでは、事業のさらなる成長と強化に向けた施策の導入及び機動的な組織の構築を進めてまいりました。具体的には、国内成長事業としてのリフォーム市場への注力拡大に加え、国内既存事業においては事業効率化のさらなる推進、海外事業においてはグループ横断的なシナジーの最大化を着実に実行してまいりました。
当連結会計年度の業績は、為替換算影響や事業売却により一部子会社が連結から外れた影響のほか、前年における省エネ住宅ポイント制度終了の反動による国内需要の減少等により、売上収益は1兆7,864億47百万円(前年同期比5.5%減)と減収となりました。なお、海外事業が好調に推移したことによるプラス面に加え、リフォーム市場への注力等により、上記為替及び事業売却の影響を除くとほぼ前年同期並みでありました。利益面においては、CM等の販促費用の増加があったものの、GROHEブランドをはじめとする高粗利商品の拡販に加え、国内外でのコスト削減等が寄与した結果、事業利益は883億12百万円(前年同期比26.0%増)と増益となりました。営業利益は、国内基幹システムの一部導入範囲見直しや遊休資産の減損処理等がありましたが、それらを事業利益でカバーしたことにより675億35百万円(前年同期比73.1%増)と増益、親会社の所有者に帰属する当期損益は425億3百万円の利益(前年同期は256億5百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)と前年同期より大きく改善し、過去最高となりました。
※ 事業損益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。なお、2016年7月1日の組織改編に伴い、当連結会計年度の期首から遡及して、従来「ハウジングテクノロジー事業」に含めていたタイル事業について、「ウォーターテクノロジー事業」に報告セグメントを変更しております。このため、前連結会計年度との比較は、変更後の報告セグメントに基づき組み替えて行っております。(以下、「2 生産、受注及び販売の状況」及び「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」においても同じであります。)
[ウォーターテクノロジー事業]
ウォーターテクノロジー事業においては、“新品の時の白さ輝きが100年つづく”新素材「アクアセラミック」を採用したシャワートイレ一体型衛生陶器「SATIS(サティス)」「プレアス」などの拡販に努めたほか、アジア、米国、欧州等の海外市場の伸長とGROHEブランド初のシャワートイレ一体型衛生陶器「Sensia Arena(センシア アリーナ)」の市場投入があったものの、為替換算影響などにより売上収益は6,624億8百万円(前年同期比1.6%減)と減収でありました。一方で、グループ横断的なシナジーの効果によるコストダウンや商品ミックスの良化などによる粗利率改善により、事業利益は650億71百万円(前年同期比18.6%増)と増益でありました。
[ハウジングテクノロジー事業]
ハウジングテクノロジー事業においては、アルミの良さと樹脂の良さを融合させ高い断熱性能を実現した高性能ハイブリッド窓「サーモスL」などの拡販に努めたものの、需要構造の変化に加え一部連結子会社の売却による減少もあり売上収益は5,441億28百万円(前年同期比3.9%減)と減収でありました。一方で、さらなるコストダウンによる粗利率改善などにより事業利益は392億12百万円(前年同期比3.2%増)と増益でありました。
[ビルディングテクノロジー事業]
ビルディングテクノロジー事業においては、徹底した選別受注による粗利率改善やコストダウンなどの取り組みに注力したほか、為替換算影響や前連結会計年度における一部連結子会社の売却があったことなどから、売上収益は2,635億98百万円(前年同期比20.6%減)と大幅に減収となりましたが、事業利益は38億46百万円(前年同期は56億21百万円の事業損失)と黒字転換いたしました。
[キッチンテクノロジー事業]
キッチンテクノロジー事業においては、インテリアとしての美しさを備えながら道具としての“使う喜び”を突き詰めたシステムキッチン「リシェルSI」など、CM投入等による中高級商品の拡販施策の実施により売上収益は1,147億35百万円(前年同期比2.4%増)、事業利益はコストダウン効果も加わり43億18百万円(前年同期比2.5倍)と増収増益でありました。
[流通・小売り事業]
流通・小売り事業においては、“住まいと暮らしの問題解決”と“プロのお客様に応えられる品揃え”を実現した最新モデル店舗「スーパービバホーム厚木南インター店」などの新規店舗展開を行いホームセンター事業の強化を図ったほか、前連結会計年度における一部事業の譲渡があったことなどから、売上収益は1,720億5百万円(前年同期比6.8%減)と減収でありましたが、事業利益は73億4百万円(前年同期比1.8%増)と増益でありました。
[住宅・サービス事業等]
住宅・サービス事業等においては、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)対応住宅「セシボEX-H~Limited~」をはじめとする高気密・高断熱の新築住宅、及び新築再生リフォーム「新築mitai(みたい)」の拡販に注力したほか、前連結会計年度における販売用不動産の評価減があったことなどから、売上収益は643億81百万円(前年同期比8.2%増)、事業利益は44億13百万円(前年同期比16.8%増)と増収増益でありました。
なお、セグメント別の売上収益はセグメント間取引消去前であり、事業利益は全社費用控除前であります。
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,325億31百万円の資金増加となりました。前年同期に比べて114億46百万円の増加となり、この主な要因は運転資本の増加や、一時的な利息の支払額の増加があったほか、前年同期に保証債務の支払額があったことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産や無形資産の取得支出のほか、連結子会社の売却による収入及び支出があったことなどから580億52百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて771億74百万円の資金減少であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払のほか、有利子負債の調達と返済を行ったことなどから798億99百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて745億4百万円の資金増加であります。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、換算差額による影響などを含めると、前連結会計年度末に比べて80億83百万円減少の1,215億63百万円であります。
(3)IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
(のれんの償却停止)
当社グループは、日本基準において、のれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。
この影響により、前連結会計年度においては、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が119億83百万円減少しております。当連結会計年度においては、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が約115億円減少しております。
(退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理)
当社グループは、日本基準において、発生した数理計算上の差異及び過去勤務費用の全額を一括で費用処理しておりました。IFRSでは、確定給付制度の負債又は資産の純額の再測定は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識しており、直ちに利益剰余金に振り替えております。
この影響により、前連結会計年度においては、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価、販売費及び一般管理費が14億9百万円減少し、その他の包括利益が11億1百万円減少しております。当連結会計年度においては、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価、販売費及び一般管理費が49億4百万円増加し、その他の包括利益が35億21百万円増加しております。
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ウォーターテクノロジー事業 |
324,542 |
94.0 |
|
ハウジングテクノロジー事業 |
220,562 |
93.5 |
|
ビルディングテクノロジー事業 |
208,735 |
75.5 |
|
キッチンテクノロジー事業 |
51,501 |
94.6 |
|
住宅・サービス事業等 |
1,966 |
74.3 |
|
合計 |
807,306 |
88.3 |
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
(2)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ウォーターテクノロジー事業 |
59,004 |
105.1 |
|
ハウジングテクノロジー事業 |
138,585 |
92.2 |
|
ビルディングテクノロジー事業 |
13,116 |
72.8 |
|
キッチンテクノロジー事業 |
23,334 |
101.1 |
|
流通・小売り事業 |
114,290 |
93.6 |
|
住宅・サービス事業等 |
37,639 |
104.0 |
|
合計 |
385,968 |
95.1 |
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
(3)受注状況
ビルディングテクノロジー事業の工事物件については、受注生産を行っております。当連結会計年度における受注状況は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比 (%) |
|
ビルディングテクノロジー事業 |
277,376 |
103.1 |
365,738 |
103.8 |
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ウォーターテクノロジー事業 |
662,408 |
98.4 |
|
ハウジングテクノロジー事業 |
544,128 |
96.1 |
|
ビルディングテクノロジー事業 |
263,598 |
79.4 |
|
キッチンテクノロジー事業 |
114,735 |
102.4 |
|
流通・小売り事業 |
172,005 |
93.2 |
|
住宅・サービス事業等 |
64,381 |
108.2 |
|
報告セグメント計 |
1,821,255 |
94.5 |
|
セグメント間取引 |
△34,808 |
94.3 |
|
合計 |
1,786,447 |
94.5 |
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「私たちは、優れた製品とサービスを通じて、世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献します」という企業理念を掲げ、事業を展開しております。加えて、「2020年までに世界で最も企業価値が高く、革新的で、信頼されるリビングテクノロジー企業となる」というビジョンと、社員の共通価値として、”Work with Respect”、”Deliver on Commitment”、”Embrace Quality”、”Inspire Passion”、”Pursue Growth”の5つからなるLIXILバリューを設定しており、国や地域を超えて全社員が一体となって力を結集する共通基盤を構築しております。
当社グループでは、さらなる成長と事業の強化に向けて、効率的で機動力のあるシンプルな組織の構築に注力しております。また、外部環境の変化を踏まえ、新たな課題に対応するため、次のような施策を推進しております。
(1) 事業効率の向上
事業環境の変化に迅速に対応し、継続的な価値向上を実現できるよう、組織体制の簡素化を進めるなど、効率的で意思決定の早いシンプルな組織の構築を図っております。また、起業家精神を育み、ボトムアップ型の組織文化を醸成することで、さらなるイノベーションの創出を目指しております。
(2) シナジーの追求
グローバルな経営資源を有効活用し、さらなる成長を実現するべく、グループ横断的なシナジーの最大化を図っていきます。グローバル全体でのサプライチェーンの最適化、商品開発における連携強化などM&A後の事業統合プロセスの加速をさせるとともに、ガバナンスを一層強化いたします。
(3) 新たなテクノロジーへの対応
国内外において、IT化の進展に伴う消費者ニーズや購買行動の変化への迅速な対応が必要とされております。競争力の源泉となる知的財産の保護を含め、デザイン、エンジニアリング、商品開発力の強化を図るべく投資を行うとともに、デジタル技術を活用したエンドユーザー向けのアプローチやスマート製品の拡充に注力いたします。
(4) リフォーム市場への注力
主要市場である日本においては、新設住宅着工戸数が減少傾向にある中、住宅ストック市場への取り組みの強化が重要課題となっております。リフォーム市場は将来的に拡大が予想されるものの、熟練した施工業者の人手不足といった構造的課題への対応や新たなリフォーム需要の喚起が求められており、省施工・短工期で住まいの性能を高めることができるリフォーム商品の拡充や、サービス提供体制の強化といった施策を推進しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。
なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。将来や想定に関する事項には、不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、実際の結果と大きく異なる可能性もあります。
(1)経済動向による影響について
当社グループにおける営業収入は、日本国内における需要に大きく影響を受けます。特に住宅着工戸数や建設会社の建設工事受注高の大幅な変動は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)競合について
当社グループは、事業を展開する多くの市場において激しい競争に直面しております。そのため、当社グループにとって常に有利な価格決定をすることは困難な状況にあります。当社グループは高品質で魅力的な商品を市場へ投入できるリーディングカンパニーと自負しておりますが、価格面において競争優位に展開できる保証はなく、当社グループの製品・サービスが厳しい価格競争に晒され、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)新商品開発への対応について
当社グループは、「私たちは、優れた製品とサービスを通じて、世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献します。」を企業理念として活動しております。高品質の健康・快適で安全な住空間の創造を実現するために常に技術と顧客ニーズを的確に把握し魅力ある商品開発を行っておりますが、市場や業界のニーズの変化に適切に対応できなかった場合には、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)資材等の調達について
当社グループの生産活動にあたっては、資材、部品、その他のサービス等の供給品を適宜に調達しております。その中には、業界の需要増加や原材料の高騰により多額の支払が必要になる可能性があります。また、資材、部品、その他のサービス等の供給品は、欠陥や欠品により当社グループの製品の信頼性や評判に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの原因により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外市場での活動について
当社グループは、海外では中国、タイなどのアジア、欧州や北米などの国々において生産活動及び販売活動を行っており、これらの国々には、次のようなリスクが潜在します。
① 為替政策による為替レートの大幅な変動
② 輸出又は輸入規制の変更
③ 人件費・物価等の大幅な上昇
④ ストライキ等による生産活動への支障
⑤ 予期しない法律又は規則等の変更、移転価格税制等の国際税務リスク
⑥ 自然災害による影響
⑦ その他の経済的、社会的及び政治的リスク
これらは、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)為替変動及び金利変動について
為替変動は、当社グループの外貨建取引から発生する資産及び負債の円貨換算額に重要な影響を与える可能性があります。また、外貨建で取引されている製品の価格及び売上収益等にも重要な影響を与える可能性があります。
当社グループの資金調達は、主として金融機関からの借入等の有利子負債によっており、市場金利が著しく上昇した場合には業績や財務状況に重要な影響を与える可能性があります。
これらは、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)企業買収等について
当社グループは、企業買収及び資本参加を含む投資による事業の拡大を企画することがあります。対象事業との統合効果を最大限に高めるために当社グループの企業文化や経営戦略との統合を図りますが、期待した利益やシナジー効果をあげられる保証はありません。また、これらを実行するにあたっては、対象会社の財務内容や契約関係等についての詳細な事前調査を行い極力リスクを回避するように努めておりますが、買収後に偶発債務の発生や未認識の債務などが判明する可能性も否定できません。その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)事業の再構築について
当社グループは、経営の効率化と競争力の強化のため、不採算事業からの撤退、子会社や関連会社の再編、製造拠点や販売・物流網の再編及び人員の適正化等による事業の再構築を行うことがあります。これらの施策に関連して、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)公的規制について
当社グループは、事業展開をするうえで国や公的機関から事業・投資の許認可、特許権その他の知的財産権、環境規制等の様々な公的規制を受けております。これらの公的規制は、時間の経過とともに変化することが予想され、当社グループの事業運営に支障をきたし、新たな公的規制を遵守するためのコスト増加につながる可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)製造物責任について
当社グループが提供する製品・サービスには、欠陥が生じるリスクがあり、またリコールが発生する可能性もあります。大規模な製造物責任賠償やリコールにつながるような場合には、多額の支払が生じるとともに、当社グループの製品の信頼性や評判に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)訴訟その他の法的手続について
当社グループが国内及び海外において事業展開をするうえで、訴訟その他の法的手続の対象になる可能性があります。当社グループが訴訟その他の法的手続の当事者となった場合は多額の損害賠償金等が発生する可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)災害・事故等について
地震や台風等の自然災害によって、当社グループの生産・物流・販売及び情報管理関連施設等の拠点に甚大な被害を被る可能性があります。また、重大な労働災害、設備事故等が発生した場合に事業活動の停止や制約が生じる可能性があります。当社グループは、定期的な災害防止活動や設備点検を行っておりますが、これらの災害による影響を完全に防止又は軽減できる保証はありません。連結子会社である株式会社LIXILの国内水回り等生産拠点は東海地区に多く存在しており、対象施設の耐震対策を進めてきました。しかしながら、東海地区に限らず大規模な地震が発生した場合には、生産活動の停止や製品供給の遅延等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)環境保全について
当社グループは、「LIXILグループ環境方針」に基づき、地球環境保全に向け様々な活動を行っております。しかしながら、環境汚染等の環境リスクを完全に防止又は軽減できる保証はありません。当社グループの事業活動に起因する重大な環境汚染等が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)債権の貸倒れについて
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しておりますが、実際の貸倒れが当該前提等を大幅に上回り、貸倒引当金が不十分となることがあり得ます。また、経済状態全般の悪化や取引先等の信用不安などによる前提設定等の見直しにより、貸倒引当金の積み増しを行う可能性があります。これらの結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15)固定資産価値減少について
当社グループでは、減損会計の適用により、有形固定資産、のれん及び無形資産等の資産について、定期的に将来キャッシュ・フロー等を算定し、減損額の測定を実施しております。その結果、減損損失を計上することも予測され、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(16)確定給付制度債務について
当社グループの従業員の確定給付制度債務及び勤務費用等は、割引率等の基礎率に基づいて算出されております。これらの基礎率の変動は、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、この影響を最小限にすべく厚生年金の代行部分の返上及び確定拠出年金制度やキャッシュバランス制度への移行などの施策を実施しておりますが、その影響を完全に無くすことはできません。割引率の低下は当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(17)個人情報の遺漏について
当社グループでは業務を遂行するなかで、顧客情報をはじめとする様々な個人情報を取り扱う機会があり、厳格な情報管理が求められております。当社グループでは、推進機関を設置し、関連する規程類を整備し、適切な研修を継続して行うなど個人情報管理の強化に努めております。しかしながら、不測の事態により個人情報の遺漏が発生した場合には、社会的信頼の失墜を招くとともに、多額の費用負担が生じる可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
GraceA株式会社及びGROHE Group S.à r.l.等の完全子会社化について
当社の完全子会社である株式会社LIXIL(以下、LIXIL)は、2016年9月30日付で株式会社日本政策投資銀行(以下、DBJ)との間で株式譲渡契約を締結し、LIXILとDBJがそれぞれ50%の議決権を有するGraceA株式会社(以下、GraceA)が発行する議決権付株式のうち、DBJが保有するすべての株式を取得いたしました。これにより、GraceA、その100%子会社であるGraceB S.à r.l.及びその子会社であるGROHE Group S.à r.l.は、同日に当社が議決権を100%所有する子会社となっております。
完全子会社化の概要につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 44.追加情報」に記載のとおりであります。
当社グループは、「私たちは、優れた製品とサービスを通じて、世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献します。」という企業理念のもと、総合的な住環境ソリューションを提供する会社として事業を展開しております。また、「地球と調和する「暮らしの理性」を創造する」ことをテーマとし、地球環境に配慮した商品・サービスの提供をはじめ、企業活動のあらゆる場面において循環型社会を目指し、企業市民としての社会的責任を果たしてまいります。
このような理念のもと、商品開発においては確かな品質、高い技術に基づいて、快適な住生活・都市環境を実現しお客様に喜ばれる商品を市場に送り出すことを大きな役割と考えており、研究開発部門では、開口部商品、住設機器、内装建材や外装建材から住宅のパネル工法にいたるまで、健康、環境負荷低減、高齢者配慮、省資源・省エネルギーなどの様々な視点から研究を重ねております。これらの基礎研究、技術開発、商品開発は当社グループの各社における技術研究所、研究開発部門及び商品開発部門が品質保証部門等と連携のもとに取り組んでおります。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は263億62百万円となっております。
セグメント別の実績は、次のとおりであります。
[ウォーターテクノロジー事業]
衛生陶器のキズを防ぐ陶器本来の硬さや、抗菌の国際規格「ISO22196」に準拠した抗菌性能を保ちながら、汚れを防ぐ性能をあわせ持つ衛生陶器の新素材「アクアセラミック」を開発し、主要トイレシリーズに展開いたしました。また、日本が世界に誇る最先端のシャワートイレ技術とGROHEの洗練されたデザインを融合した、GROHEブランド初のシャワートイレ一体型衛生陶器「Sensia Arena(センシア アリーナ)」を発売いたしました。洗面化粧台では「ルミシス ベッセルタイプ」に、アクアセラミック製の、より使いやすく大型で薄肉の洗面器を搭載し発売いたしました。システムバスルームでは“もっとお風呂が好きになる”「Arise(アライズ)」に“もっと手軽なリラックス”「フルフォールシャワー」 、“もっと便利なキレイ”「まる洗いカウンター」 を追加し刷新いたしました。その他水回りを快適にする新製品を多数開発・発売いたしました。
なお、当セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は158億25百万円であります。
[ハウジングテクノロジー事業]
金属製建材では、アルミの良さと樹脂の良さを融合し、断熱性を飛躍的に向上させた高性能ハイブリッド窓「サーモスL」を発売いたしました。窓リフォームでは、既存のサッシの間口を可能な限り活かし、最短60分での施工を可能にする窓リフォーム商品「リフレム リプラス」を発売いたしました。内装建材では、天然木のような触感を素足で感じる“フットフィール仕上げ”を施した「ラシッサD フロア」に新色を追加、欧州トレンドデザインを取り入れたインテリアドア「Latteo(ラテオ)」を発売するなど、機能性、デザイン性を高めた商品を多数発売いたしました。
なお、当セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は87億3百万円であります。
[ビルディングテクノロジー事業]
低炭素社会の実現に向けた、ビル用サッシの高性能化へのニーズに応じて、耐候性・強度に優れるアルミと断熱性・防露性に優れる樹脂を組み合わせ、業界初の断熱性と美しいデザインを両立した、ビル用高断熱ハイブリッド窓「プレセア」を発売いたしました。 また、開放感あふれる大開口が可能な大型引戸「ヘーベシーベフェンスター」を発売いたしました。ホテル、病院・福祉施設、教育施設などに明るく開放的な空間を創り出します。
なお、当セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は5億77百万円であります。
[キッチンテクノロジー事業]
主力システムキッチン「アレスタ」をフルモデルチェンジし、発売いたしました。調理や後片付けの作業を行動観察して生まれた、最高の使いやすさを備えた「Wサポートシンク」を搭載し、上位シリーズ「リシェルSI」にも同時展開いたしました。また、近年のトレンドの一つであるインダストリアル・スタイルの扉・取っ手をラインナップに加え、インテリア商材とのトータルコーディネートを可能にしております。「シエラ」「AS」シリーズにつきましても、独自の底面形状と段差をつけた「ナイアガラフロー方式」の採用により水の流れをスムーズにした「スキットシンク」を搭載し発売いたしました。
なお、当セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は12億39百万円であります。
[住宅・サービス事業等]
新築住宅では、平時には省エネルギーで生涯コストを最小化でき、災害時には家族の命と財産を守るレジリエンスホーム「家+X」、レジリエンス・省エネ性能を高めた「セシボEX-H~Limited~」、「arietta(アリエッタ)」、「Woods Hill(ウッズヒル)」を発売いたしました。また、リフォーム商品では、住宅会社の強味を生かし、耐震性を向上できる新築再生リフォーム商品「新築mitai(みたい)」を発売いたしました。これらの取組みは、「ジャパン・レジリエンス・アワード2017」最優秀レジリエンス賞(住宅・都市)、「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2016」優秀賞を受賞しております。
なお、当セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は18百万円であります。
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、次のとおりであります。
なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。将来や想定に関する事項には、不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、実際の結果と大きく異なる可能性もあります。また、分析に記載した実績値は1億円未満を四捨五入して記載しております。
(1)重要な会計上の見積り及び判断、重要な会計方針
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって利用する重要な会計上の見積り及び判断については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5)重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載のとおりであります。また、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載のとおりであります。
(2)当連結会計年度の財政状態及び経営成績等の分析
① 経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループの経営成績のポイントは、次のとおりであります。
売上収益は1兆7,864億円と1,040億円の減収(前年同期比5.5%減)となりました。国内における住宅投資は緩やかな減速傾向にある中、貸家が前年から二桁の伸びを示した結果、新設住宅着工戸数は974千戸(前年同期比5.8%増)となる一方で、前年における省エネ住宅ポイント制度終了の反動による需要の減少がみられたほか、為替換算影響による減少や、事業売却により一部の子会社が連結から外れたことによる減少などによるものであります。事業別にはキッチンテクノロジー事業は1,147億円(前年同期比2.4%増)、住宅・サービス事業等は644億円(前年同期比8.2%増)と増収を確保できましたが、ウォーターテクノロジー事業は6,624億円(前年同期比1.6%減)、ハウジングテクノロジー事業は5,441億円(前年同期比3.9%減)、ビルディングテクノロジー事業は2,636億円(前年同期比20.6%減)、流通・小売り事業は1,720億円(前年同期比6.8%減)と減収となりました。
売上総利益は、220億円増加の5,636億円(前年同期比4.1%増)、売上総利益率は、前年同期比2.9ポイント良化の31.5%となりました。これは、為替換算影響による悪化があったものの、粗利率の高い海外子会社の売上伸長による増加や国内外におけるコストダウンが奏功したことなどによるものであります。
販売費及び一般管理費は、37億円増加の4,753億円、販管費比率は、前年同期比1.7ポイント悪化の26.6%となりました。これは、為替換算影響による減少に加え、一部の子会社が連結から外れたことによる減少があったものの、CM等の販促費用の増加などがあったことなどによるものであります。
これらにより、事業利益は182億円増加の883億円(前年同期比26.0%増)となり、事業利益率は3.7%から4.9%に良化しました。
営業利益は、事業利益182億円の増加に加え、子会社売却損の減少や前連結会計年度におけるJoyou AG(以下、Joyou)に関する調査費用がなくなったことなどによるその他の収支の良化103億円から、285億円増加の675億円(前年同期比73.1%増)となりました。
税引前損益は、営業利益285億円の増加に加え、前連結会計年度におけるJoyouに関する損失358億円がなくなったことによる影響や為替差損益など金融収支の良化83億円などから、731億円増加の660億円の利益(前年同期は71億円の税引前損失)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期損益は、681億円良化の425億円の利益(前年同期は256億円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。これは、法人所得税費用の増加45億円と非支配持分に帰属する当期損失の減少5億円があったものの、税引前損益が731億円増加したことによるものであります。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて880億円減少の2兆422億円となりました。流動資産は、その他の短期金融資産の減少178億円、現金及び現金同等物の減少81億円などから前連結会計年度に比べて354億円減少の8,498億円となりました。非流動資産は、為替換算による影響のほか、一部の子会社が連結範囲から外れたことなどによりその他の非流動資産が139億円減少したことなどから前連結会計年度に比べて525億円減少の1兆1,924億円となりました。
なお、資本は5,594億円(前連結会計年度は5,373億円)、親会社所有者帰属持分比率は26.8%(前連結会計年度は24.6%)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金状況は、次のとおりであります。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,325億円の資金増加となりました。前年同期に比べて114億円の増加となり、この主な要因は運転資金の変動による資金減少124億円や、一時的な利息の支払額の増加100億円があったほか、前連結会計年度に保証債務の支払額330億円があったことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出682億円のほか、子会社の売却に伴う支出51億円や定期預金の取崩し95億円などから、581億円の資金減少となりました。前年同期に比べて772億円の減少であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払172億円のほか、有利子負債の調達906億円と返済1,527億円を行ったことなどから799億円の資金減少となりました。前年同期に比べて745億円の増加であります。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、諸活動によるキャッシュ・フローの結果に換算差額による影響などを含めると、前連結会計年度末に比べて81億円減少の1,216億円であります。
なお、財務状況に関する主要指標の推移は次のとおりであります。
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2015年 3月期 |
2016年 3月期 |
2017年 3月期 |
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キャッシュ・フロー対有利子負債比率(倍) |
5.7 |
5.8 |
4.8 |
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ネットデット・エクイティ・レシオ(倍) |
1.0 |
1.3 |
1.2 |
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インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
16.2 |
16.7 |
7.7 |
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。なお、各指標は、以下により算出しております。
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:(有利子負債-現金及び現金同等物)/営業キャッシュ・フロー
ネットデット・エクイティ・レシオ:(有利子負債-現金及び現金同等物)/親会社の所有者に帰属する持分
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債及び転換社債型新株予約権付社債を対象としております。営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。また、利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(3)今後の見通し等
進行年度の見通しについては、世界経済においては英国のEU離脱による影響や米国新政権の政策に対する懸念、中国景気の減速などのリスク要因に加え、地政学的な不確実要素もあり景気は引き続き不透明感が続くものと思われます。また、日本経済においては企業の設備投資は堅調に推移するものの、個人消費の停滞や不安定な為替動向、海外景気の下振れの影響などが懸念される状況にあります。
このような認識のもと当社グループは、経営効率の改善を通じてさらなる企業価値を創造すべく活動し、株主価値を高めてまいります。
中長期的な見通しについては、「3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであり、当社グループはさらなる成長と事業の強化に向けて、効率的で機動力のあるシンプルな組織の構築に注力するとともに、外部環境の変化を踏まえ、新たな課題に対応するための諸施策を推進してまいります。