第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針及び経営環境

当社グループは、「私たちは、優れた製品とサービスを通じて、世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献します。」という企業理念を掲げ、事業を展開しております。加えて、「2020年までに世界で最も企業価値が高く、革新的で、信頼されるリビングテクノロジー企業となる」というビジョンと、社員の共通価値として、”Work with Respect”、”Deliver on Commitment”、”Embrace Quality”、”Inspire Passion”、”Pursue Growth”の5つからなるLIXILバリューを設定しており、国や地域を超えて全社員が一体となって力を結集する共通基盤を構築しております。

 

当社グループでは、さらなる成長と事業の強化に向けて、効率的で機動力のあるシンプルな組織の構築に注力しております。また、外部環境の変化を踏まえ、新たな課題に対応するため、次のような施策を推進しております。

 

 事業効率の向上

事業環境の変化に迅速に対応し、継続的な価値向上を実現できるよう、組織体制の簡素化を進めるなど、効率的で意思決定の早いシンプルな組織の構築を図っております。また、起業家精神を育み、ボトムアップ型の組織文化を醸成することで、さらなるイノベーションの創出を目指しております。

 

 シナジーの追求

グローバルな経営資源を有効活用し、さらなる成長を実現するべく、グループ横断的なシナジーの最大化を図っていきます。グローバル全体でのサプライチェーンの最適化、商品開発における連携強化などM&A後の事業統合プロセスの加速をさせるとともに、ガバナンスを一層強化いたします。

 

 新たなテクノロジーへの対応

国内外において、IT化の進展に伴う消費者ニーズや購買行動の変化への迅速な対応が必要とされております。競争力の源泉となる知的財産の保護を含め、デザイン、エンジニアリング、商品開発力の強化を図るべく投資を行うとともに、デジタル技術を活用したエンドユーザー向けのアプローチやスマート製品の拡充に注力いたします。

 

 リフォーム市場への注力

主要市場である日本においては、新設住宅着工戸数が減少傾向にある中、住宅ストック市場への取り組みの強化が重要課題となっております。リフォーム市場は将来的に拡大が予想されるものの、熟練した施工業者の人手不足といった構造的課題への対応や新たなリフォーム需要の喚起が求められており、省施工・短工期で住まいの性能を高めることができるリフォーム商品の拡充や、サービス提供体制の強化といった施策を推進しております。

 

(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループは、新中期経営計画「Toward Sustainable Growth(持続的成長に向けて)」を策定し、2017年11月6日に公表いたしました。この中期経営計画は、長期的に持続可能な成長の実現に向けて、2017年3月期をスタートラインとして時間軸を3つのフェーズに分け、2019年3月期から2021年3月期までの3年間を「利益率の向上」に注力する期間と位置づけております。

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[主要な数値目標]

中期経営計画では、2019年3月期から2021年3月期までの3年間で、高い収益性を確保し、財務面でも安定した組織を構築することを目指し、以下の数値目標を設定しております。

・事業利益率  7.5%

・親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) 10%以上

・純有利子負債対EBITDA比率  2.5倍以下

・親会社所有者帰属持分比率  35%

 

[戦略的施策]

4つの重点施策をグローバルに推進してまいります。

 

① 持続的成長に向けた組織を作る

当社グループは、変化に俊敏に対応できるような環境を構築するため、組織文化の変革を進めております。従業員が起業家精神を発揮し、活発な意見交換や実験的な取り組みを行えるような組織風土を醸成していきます。また、従業員が互いを尊重し、刺激を受け合い、熱意を持って取り組むことができるような環境を作るとともに、社会的に意義のある大きな目標の達成を通じて従業員が一つになることができるような企業を目指してまいります。

 

② 魅力ある差別化された製品の開発

当社グループは多様なライフスタイル、ニーズや嗜好に対応する強いブランドを有し、こうしたブランドに対する投資とその真髄となるDNAの強化を進めることで、利益ある成長につなげていきます。また、変化する消費者ニーズや嗜好に対応できるよう、イノベーション、デザイン、品質の向上をさらに追求していきます。さらに、製品開発のための強い知的財産の基盤を持ち、短いサイクルで差別化された製品を市場投入できるよう「アセットライト」のビジネスモデルへ移行するとともに、国内の組織構造の見直しを行い、2018年4月より製品開発、生産、販売の機能を一組織に統合することで、製品開発サイクルのスピード向上を図ってまいります。

 

③ 競争力あるコストの実現

バランスシートと利益率の改善に向け、新技術やインフラの活用により、効率的で柔軟なサプライチェーン管理体制を構築し、コスト管理を向上させます。さらに、間接部門の生産性を高め、必要とする部門に人員の再配置を行う「HQ-FITプログラム」などの施策推進を通じて、コスト効率の向上につなげてまいります。

 

④ エンドユーザー・インフルエンサーへのマーケティング

エンドユーザー、並びに工事業者、デザイナー及び工務店などのインフルエンサーとの接点の拡充を図ります。また、「リクシルPATTOリフォーム」をはじめとする新サービスの推進を通じて、リフォームに対するエンドユーザーの不安を取り除き、日本における新たなリフォーム需要を創出してまいります。

 

[さらなる成長に向けて]

世界人口の増加、とりわけ中間層の拡大により、住宅用の建材や設備に対する需要は今後も拡大すると見込まれます。当社グループは、中期経営計画を通じて自己の強みを再定義し、世界で最も尊敬される強力なブランドを有し、独自性の高い製品・サービスを提供する企業として、さらなる飛躍を目指します。また、組織の機動力を高め、イノベーションを追求し、これまで以上に速いスピードで差別化された製品・サービスを生み出すことで、将来の売上成長につなげてまいります。

 

2【事業等のリスク】

当社グループでは、事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、それらについてグループ共通の基準(事業計画への影響度と発生可能性等)で評価を行い、対処すべきリスクの優先順位を決定するというリスク評価を行っております。

これらに基づき重要と判断したリスクは、当社グループの各レベルにおいて、当該リスクの内容に応じた対策を立案、実行し、対策の進捗状況をモニタリングし、継続的に改善する活動を展開しております。

 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。

なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済環境に関するリスク

① 経済状況の変動

当社グループにおける営業収入は、日本国内における需要に大きく影響を受けます。特に住宅着工戸数や建設会社の建設工事受注高の大幅な変動は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、中国、タイなどのアジア、欧州や北米など海外諸国において生産活動及び販売活動を行っており、これらの国々において戦争、内乱、紛争、暴動、テロ等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、リフォーム戦略の強化や海外展開可能な商品の開発等を実施しております。また、外部の第三者機関等を通じて政治情勢、財政状態、政策変更等を定期的にモニターすることにより、海外における政情不安等のリスクが顕在化する兆候を早期に把握するよう努めております。

 

② 為替相場の変動

為替変動は、当社グループの外貨建取引から発生する資産及び負債の円貨換算額に重要な影響を与える可能性があります。また、外貨建で取引されている商品の価格及び売上収益等にも重要な影響を与える可能性があります。このような状況に対処するため、日本の財務部門の他に、中国、シンガポール、ドイツ、米国に1か所ずつ計4拠点の「リージョナル・トレジャリー・センター」を設置し、各拠点において月次で為替をモニターするとともに、必要に応じヘッジ手続きを実行することにより、為替変動の影響を低減しております。

 

③ 金利の変動

当社グループの資金調達は、主として金融機関からの借入等の有利子負債によっており、市場金利が著しく上昇した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。このような状況に対処するため、日本の財務部門の他に、中国、シンガポール、ドイツ、米国に1か所ずつ計4拠点の「リージョナル・トレジャリー・センター」を設置し、各地域における資金管理業務等を集約することにより、資金調達の効率化及び安定化を進めております。また、各国の金利を月次でモニターするとともに、状況に応じ固定金利化等を検討できる体制を構築しております。

 

(2)当社グループの事業活動に関するリスク

① 競合他社との競争・商品価格の下落

当社グループは、事業を展開する多くの市場において激しい競争に直面しております。そのため、当社グループにとって常に有利な価格決定をすることは困難な状況にあります。当社グループは高品質で魅力的な商品を市場へ投入できるリーディングカンパニーと自負しておりますが、価格面において競争優位に展開できる保証はなく、当社グループの商品・サービスが厳しい価格競争に晒され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、当社グループはコスト削減や訴求力の高い商品の開発に取り組んでおります。

 

② 新商品の開発

当社グループは、「私たちは、優れた製品とサービスを通じて、世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献します。」を企業理念として活動しております。高品質の健康かつ快適で安全な住空間の創造を実現するために常に技術と顧客ニーズを的確に把握し魅力ある商品開発を行っておりますが、市場や業界のニーズの変化に適切に対応できなかった場合には、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、革新的なスタートアップ企業との提携やグローバル情報ネットワークの活用を通じて消費者ニーズの変化に迅速に対応する体制を構築し、当該ニーズを満たす魅力ある商品を開発するため、衛生陶器の新素材である「アクアセラミック」を代表とする先進技術の開発、デザイン力の強化及び商品プラットフォームの統一によりスピード感のある商品開発に努めております。

 

③ 他社との提携・企業買収等の成否

当社グループは、企業買収及び資本参加を含む投資による事業の拡大を企画することがあります。対象事業とのシナジー効果を最大限に高めるために当社グループの企業文化や経営戦略との統合を図っておりますが、期待された利益やシナジー効果をあげられる保証はありません。また、これらを実行するにあたっては、対象事業の財務内容や契約関係等についての詳細な事前調査を行い極力リスクを回避するように努めておりますが、買収後に偶発債務の発生や未認識の債務等が判明する可能性も否定できません。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、統合に関するグローバル共通のポリシーを策定し、統合後のレビューやモニタリングプロセスを設計、運用しております。また、統合後においては、シナジー創出に向けて効率的でフラットかつシンプルな組織構造の構築を目的とし組織変革を推進しております。

 

④ 事業再編の成否

当社グループは、経営の効率化及び競争力の強化のため、不採算事業からの撤退、子会社や関連会社の再編、製造拠点や販売・物流網の再編及び人員の適正化等による事業の再構築を行うことがあります。これらの施策に関連して、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、持株会社及びテクノロジービジネスの経営陣、各グループ会社の取締役及び執行役と社員とのコミュニケーション強化によって当社グループの経営戦略の浸透を図るとともに、持株会社による事業・地域ポートフォリオマネジメントを強化することにより、事業の再構築を実施した後において、テクノロジービジネス間のシナジー効果の最大化や、戦略実効性の向上が実現するよう努めております。また、大規模な事業再構築を生じさせない組織の構築に向けて、M&Aにおける買収先企業のPMI強化の一環として、ガイドラインのアップデートやPMI推進体制、進捗報告プロセスを明確化することにより、有効かつ適切なPMIプロセスの整備・運用による子会社ガバナンスの強化に努めております。

 

⑤ 原材料等の供給不足・供給価格の高騰

当社グループの生産活動にあたっては、資材、部品、その他のサービス等の供給品を適宜に調達しております。その中には、業界の需要増加や原材料の高騰により多額の支払が必要になる可能性があります。また、資材、部品、その他のサービス等の供給品は、欠陥や欠品により当社グループの商品の信頼性や評判に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの原因により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、商品スワップの利用、複数購買の実施、取引先の信用情報調査の実施、取引先との定期的なコミュニケーションの実施、定期的な品質テスト、安全在庫量の確保等を実施し、安定的な供給体制の構築に努めております。

 

(3)法的規制・訴訟に関するリスク

① 公的規制による損害

当社グループは、事業展開をする上で国や公的機関から事業や投資の許認可、特許権その他の知的財産権、環境規制等の様々な公的規制を受けております。これらの公的規制は、時間の経過とともに変化することが予想され、当社グループの事業運営に支障をきたし、新たな公的規制を遵守するためのコスト増加につながる可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、新たな公的規制の変更に対応するために必要な方針と手順を策定し、定期的に各海外拠点の担当者と情報交換の場を持つことにより、公的規制の変更の予兆を早期に捉え対策が打てるような体制を構築しております。

 

② 製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生

当社グループが提供する商品・サービスには、欠陥が生じるリスクがあり、またリコールが発生する可能性もあります。大規模な製造物責任賠償やリコールにつながるような場合には、多額の支払が生じるとともに、当社グループの商品の信頼性や評判に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、開発及び設計の各段階で品質に関するゲートを設け、当該問題を解決しなければ開発や設計を進めさせないルールを定め運用することにより、商品・サービスが大規模な製造物責任賠償やリコールにつながる可能性を低減しております。

 

③ 訴訟その他法的手続きによる損害賠償

当社グループが国内及び海外において事業展開をする上で、訴訟その他の法的手続の対象になる可能性があります。また、当社グループが訴訟その他の法的手続の当事者となった場合は多額の損害賠償金等が発生する可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、適時に弁護士等の外部専門家に相談できる体制を構築しております。

 

④ 環境に関する規制や問題の発生

当社グループは、「LIXILグループ環境方針」に基づき、地球環境保全に向け様々な活動を行っております。しかしながら、環境汚染等の環境リスクを完全に防止又は軽減できる保証はありません。当社グループの事業活動に起因する重大な環境汚染等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、ISO14001もしくは環境マネジメントシステムによる環境関連法令の洗い出しや遵守の点検ルールを定め、運用状況について定期的に審査を実施しております。

 

(4)情報セキュリティに関するリスク

当社グループでは業務を遂行する中で顧客情報をはじめとする様々な個人情報を取り扱う機会があり、厳格な情報管理が求められておりますが、不測の事態により個人情報の遺漏が発生した場合には、社会的信頼の失墜を招くとともに多額の費用負担が生じる可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、個人情報管理の推進機関を設置し、関連する規程類を整備し、適切な研修を継続して行うなど個人情報管理の強化に努めております。なお、サイバー攻撃全体への対応としてCSIRT (シーサート: Computer Security Incident Response Team)を設置し、外部からの不正アクセスを常時監視するとともに、有事の際に適切な対応を実現する体制を構築しています。

 

(5)災害・事故等に関するリスク

当社グループは、国内及び海外諸国の複数の拠点において生産活動及び販売活動を行っていることから、各地で発生する地震や台風等の自然災害によって、当社グループの生産、物流、販売及び情報管理関連施設等の拠点に甚大な被害を被る可能性があります。また、仮に国内及び海外諸国にて大規模な地震等の自然災害が発生した場合には、生産活動の停止や商品供給の遅延等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、重大な労働災害、設備事故等が発生した場合に事業活動の停止や制約が生じる可能性があります。これらの自然災害等による影響を完全に防止又は軽減できる保証はありませんが、このような状況に対処するため、特に国内拠点においては、事業や財務への影響の低減を目的として、工場の分散、耐震工事の実施等により自然災害等発生時の影響を低減した上で、早期に復旧できるようBCP計画の策定及び定期的な見直しを実施しております。

 

(6)会計上の見積りに関するリスク

当社グループは、財務諸表の作成にあたり会計上の見積りが必要な事項については、合理的な基準に基づき見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、金額の見直しや実際の結果と異なる場合があり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

① 債権の貸倒れ

当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しておりますが、実際の貸倒れが当該前提等を大幅に上回り、貸倒引当金の計上が不十分となる可能性があります。また、経済状態全般の悪化や取引先等の信用不安等による前提条件等の見直しにより、貸倒引当金の積み増しを行う可能性があります。これらの結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、国内においては取引先の信用力チェックや与信枠の設定に関して規程やマニュアルを整備するとともに、定期的に債権検討会議を開催し、債権の回収が不能となる可能性が高い取引先については取引先ごとの経営改善状況及びリスク低減策のモニタリングを実施しております。

 

② 退職給付に係る負債の変動

当社グループの従業員の確定給付制度債務及び勤務費用等は、割引率等の基礎率に基づいて算出されております。これらの基礎率の変動は、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があり、特に割引率の低下は当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、この影響を最小限にすべく厚生年金の代行部分の返上及び確定拠出年金制度やキャッシュバランス制度への移行等の施策を実施しております。

 

③ 固定資産価値の減少

当社グループは、減損会計の適用により、有形固定資産、のれん及び無形資産等の資産について、定期的に回収可能価額を算定し、減損の測定もしくは減損テストを実施しております。その結果、減損損失を計上することも予測され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、当社CFO直轄組織の「コーポレート・ファイナンシャル・ガバナンス・オフィス」がガバナンス強化の取り組みの一環として国内外子会社の業績管理プロセスを推進することにより、遊休資産の発生や業績悪化に伴う固定資産の減損の兆候を早期に捉えることを可能とし、業績悪化の兆候を把握した際には適時に対策が打てるような体制を構築しております。

 

④ 繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、税効果会計を適用し、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得に関する見積りを含めた予測等に基づき判断を行っております。将来の課税所得の予測が変更され、将来の課税所得に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断された場合、当該繰延税金資産は減額され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、当社CFO直轄組織の「コーポレート・ファイナンシャル・ガバナンス・オフィス」がガバナンス強化の取り組みの一環として国内外子会社の業績管理プロセスを推進することにより、業績悪化の兆候を早期に捉えることを可能とし、業績悪化の兆候を把握した際には、当社経理財務部門及び税務部門が繰延税金資産の回収可能性に関して見直しの必要性を含めて適時に対策が打てるような体制を構築しております。

 

(7)国際税務・組織再編税制に関するリスク

当社グループは、海外諸国において生産活動及び販売活動を行っており、グループ内でも原材料や製品等の相互供給を行っていることから、移転価格税制等の国際税務リスクが潜在します。また、経営の効率化と競争力の強化のためグループ内組織再編を実施することがあり、設定するスキームによってはグループ内組織再編であったとしても時価課税取引であるとの認定を受ける可能性や消滅会社等の繰越欠損金を引き継げない可能性があり、税金費用の負担増加によって当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、当社税務部門において必要な方針と手順を策定、更新し、定期的に各海外拠点の税務担当者と情報交換の場を持つことや専門家へ適時に相談できる体制を整備することにより、再編実施時に適切なスキームを選択しうる体制を構築しております。

 

(8)人的資産に関するリスク

① 人材の獲得と育成

当社グループが継続的に事業を発展させるためには、専門技術に精通した人材や、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成を継続的に推進していくことが必要となります。しかしながら、特に日本国内においては少子高齢化に伴う労働人口の減少等もあり、必要な人材を継続的に獲得するための競争は厳しく、人材獲得や育成が計画通りに進まない場合には、長期的観点から業務運営の効率性が損なわれ、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開するほか、人事・教育体系の充実や65歳以上の退職技術者の嘱託雇用等により技術継承を促進するとともに、グローバル共通の人材育成計画を策定し、各プログラム(海外派遣研修、共通eラーニング等)を実行することにより社員の定着と育成に努めております。あわせて、女性の労働力確保を含め、ダイバーシティ・マネジメントを推進し、多様な社員が個性や能力を十分に発揮し活躍できるよう制度や環境の整備を進めています。また、「シェアード・サービス・センター」をアジアに設立し、アジアにおけるガバナンスを強化するとともに、間接業務の集約化や効率化を図ることにより、日本国内あるいはアジアにおける将来の労働環境に左右されない柔軟な組織を構築することを目指しています。

 

② 労使問題(ストライキ等)

当社グループが進出している海外の各地域や国において労働慣行の相違が存在しており、法環境の変化、経済環境の変化等予期せぬ事象を起因とした労使関係の悪化、ストライキ等労働争議が発生し長期化した場合には、事業運営に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、各拠点において労使間協議を定期的に開催し、職場環境、労働条件の改善について協議しており、現在労使関係は円満に推移しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は、次のとおりであります。

 

  ① 経営成績の状況

当社は2017年8月に連結子会社であるPermasteelisa S.p.A.(以下、ペルマスティリーザ社)を売却することを決定したため、IFRSの規定に基づき、同社及び同社子会社の事業を非継続事業に分類しております。このため、売上収益、事業利益、営業利益及び税引前利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を記載し、前年同期実績も同様に組み替えております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 42.非継続事業」に記載のとおりであります。

当連結会計年度における我が国経済は、昨年度以降引き続き世界経済が堅調に推移したことに伴う輸出拡大や設備投資の増加などにより、緩やかではあるものの着実な回復基調となりました。住宅投資は、持家及び貸家が昨年度の増加から一転して減少となったことなどから、新設住宅着工戸数は946千戸(前年同期比2.8%減)となりました。リフォーム市場は、全体としてほぼ前年並みの結果となりましたが、増改築工事分野については前年から落ち込んだ状況となりました。

世界経済に関しては、米国、欧州、中国においてそれぞれ個人消費や投資などが引き続き堅調に推移し、貿易取引も前年から伸びを示し、各国の実質経済が押し上げられる状況となりました。加えて、アジア各国での貿易量についても二桁の高い伸びを示し、世界経済全体を底上げする牽引役を果たす結果となりました。一方で、米国が保護貿易への政策転換をより明確にしたことで、貿易摩擦のリスクが高まりつつあり、世界経済における新たな懸念材料となっております。

このような環境のもと、当連結会計年度の業績は、前連結会計年度に子会社を売却したことによる影響があったものの、積極的なマーケティング活動が奏功し国内外とも引き続き水回り設備商品が好調に推移したことなどから売上収益は1兆6,648億17百万円(前年同期比1.9%増)と増収となりました。利益面においては、増収効果や継続的なコストダウンによる粗利増があったものの、原材料価格の上昇に加え、売上増に伴う物流費の増加、マーケティング費用やITシステム償却費などの先行投資による販管費の大幅な増加などがあり事業利益は753億19百万円(前年同期比16.1%減)と減益となりました。一方で、営業利益は資産の整理に伴う一部子会社の売却益や不動産の売却益の計上、減損損失の減少などもあり809億49百万円(前年同期比16.9%増)、税引前利益は前連結会計年度に計上した為替換算影響に伴う一過性の評価益がなくなったものの、一部の関連会社に対する持分の処分益を計上したことや、借入金の返済に伴い支払利息の負担が減少したことなどにより899億97百万円(前年同期比27.6%増)とそれぞれ増益となりました。その結果、継続事業からの当期利益は684億50百万円(前年同期比42.7%増)と増益となりました。

なお、非継続事業からの当期損失は117億88百万円(前年同期は60億78百万円の非継続事業からの当期損失)となり、これらの結果、非支配持分を控除した親会社の所有者に帰属する当期利益は545億81百万円(前年同期比28.4%増)となりました。

 

(注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。

 

セグメント別の概況は次のとおりであります。なお、ペルマスティリーザ社の売却を決定したことに伴い、従来「ビルディングテクノロジー事業」に含めていた同社及び同社子会社の事業を非継続事業に分類しております。このため、前年同期との比較は、非継続事業に分類後の報告セグメントに基づき行っております。(以下、「④ 生産、受注及び販売の実績」においても同じであります。)

 

[ウォーターテクノロジー事業]

ウォーターテクノロジー事業においては、“新品の時の白さ輝きが100年つづく”新素材「アクアセラミック」を搭載したシャワートイレ一体型衛生陶器「SATIS(サティス)」、“人生を豊かに潤す”システムバスルーム「SPAGE(スパージュ)」をはじめとした中高級価格帯商品における国内外での積極的なマーケティング活動が奏功したことなどにより売上収益は7,158億61百万円(前年同期比8.1%増)、事業利益は676億73百万円(前年同期比4.0%増)と増収増益でありました。

 

[ハウジングテクノロジー事業]

ハウジングテクノロジー事業においては、窓リフォーム商品「リフレム リプラス」に代表される「リクシルPATTOリフォーム」の対象商品を拡充しリフォーム向け需要の拡大に努めるなどの施策を実施したものの、前連結会計年度に一部子会社を売却した影響から売上収益は5,352億4百万円(前年同期比1.6%減)、コストダウンによる粗利率改善に努めたものの、競争の激化や物流費の増加などもあり事業利益は275億25百万円(前年同期比29.8%減)と減収減益でありました。

 

[ビルディングテクノロジー事業]

ビルディングテクノロジー事業においては、国内受注物件における選別受注により引き続き粗利率改善に努めたものの、物件完工時期のずれなどもあり売上収益は1,069億71百万円(前年同期比3.1%減)、事業利益は34億18百万円(前年同期比37.0%減)と減収減益でありました。

 

[キッチンテクノロジー事業]

キッチンテクノロジー事業においては、インテリアとしての美しさを備えながら道具としての“使う歓び”を突き詰めたシステムキッチン「リシェルSI」など、前連結会計年度に引き続きCM投入などを通じて中高級価格帯の主力商品の拡販に注力したことにより売上収益は1,199億50百万円(前年同期比4.5%増)、加えて操業度の向上によりさらなるコストダウンが奏功したことなどから事業利益は61億60百万円(前年同期比42.7%増)と増収増益でありました。

 

[流通・小売り事業]

流通・小売り事業においては、暮らしのモデルチェンジを提案する進化型ホームセンター「スーパービバホーム大垣店」をはじめとした新規店舗の展開などにより売上収益は1,735億20百万円(前年同期比0.9%増)と増収でありましたが、利益面においてはリフォーム関連商品の粗利増に加え既存店舗の経費削減などに努めたものの、新規店舗や閉鎖店舗におけるコストアップなどもあり事業利益は69億38百万円(前年同期比5.0%減)と減益でありました。

 

[住宅・サービス事業等]

住宅・サービス事業等においては、健康で快適な住まいを提案する「セシボ」の新シリーズや自然の力を活かした人の暮らしにやさしいパッシブデザインの「アリエッタ VERDEA(ベルデア)」など、標準仕様でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準をクリアした新商品の拡販に注力したものの、前連結会計年度に一部子会社が連結範囲から外れた影響などから売上収益は522億98百万円(前年同期比18.8%減)、加えて貸倒引当金の計上などもあり事業利益は25億35百万円(前年同期比42.6%減)と減収減益でありました。

 

なお、セグメント別の売上収益はセグメント間取引消去前であり、事業利益は全社費用控除前であります。

 

(注)金額には消費税等を含んでおりません。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて649億66百万円増加の2兆1,071億31百万円となりました。流動資産は、為替換算影響や期末日が銀行休日であったことによる影響に加え、棚卸資産が増加したことなどから前連結会計年度に比べて629億93百万円増加の9,127億76百万円となりました。非流動資産は、為替換算による影響のほか、一部の関連会社が連結子会社となったことによりのれん及びその他の無形資産が増加したことなどから前連結会計年度に比べて19億73百万円増加の1兆1,943億55百万円となりました。

なお、ペルマスティリーザ社の売却を決定したことに伴い、当連結会計年度において、非継続事業を構成する資産を売却目的で保有する資産へ分類しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 13.売却目的で保有する資産及び直接関連する負債」に記載のとおりであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,163億62百万円の資金増加となりました。前年同期に比べて161億69百万円の減少となり、この主な要因は、借入金の返済に伴う利息の支払額の減少があったものの、営業債権及びその他の債権や棚卸資産など運転資本の変動があったことなどによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出に加え、子会社の取得による支出があったことなどから526億6百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて54億46百万円の増加であります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、子会社の上場に伴う株式売却収入や新株発行による収入などがあったものの、配当金の支払のほか、有利子負債の調達と返済を行ったことなどから438億43百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて360億56百万円の増加であります。

これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、換算差額による影響などを含めると、前連結会計年度末に比べて171億88百万円増加の1,387億51百万円であります。

なお、上記の金額はすべて非継続事業を含むキャッシュ・フローの合計額であります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

金額(百万円)

 前年同期比(%)

ウォーターテクノロジー事業

361,901

111.5

ハウジングテクノロジー事業

222,512

100.9

ビルディングテクノロジー事業

67,752

100.4

キッチンテクノロジー事業

52,275

101.5

住宅・サービス事業等

2,144

109.1

合計

706,584

106.1

 (注)金額には消費税等を含んでおりません。

 

商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

金額(百万円)

 前年同期比(%)

ウォーターテクノロジー事業

61,327

103.9

ハウジングテクノロジー事業

132,213

95.4

ビルディングテクノロジー事業

13,683

104.3

キッチンテクノロジー事業

24,689

105.8

流通・小売り事業

115,956

101.5

住宅・サービス事業等

29,300

77.8

合計

377,169

97.7

 (注)金額には消費税等を含んでおりません。

 

受注実績

 ビルディングテクノロジー事業の工事物件については、受注生産を行っております。当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高(百万円)

前年同期比

(%)

ビルディングテクノロジー事業

86,013

100.7

105,262

108.8

 (注)金額には消費税等を含んでおりません。

 

販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

金額(百万円)

 前年同期比(%)

ウォーターテクノロジー事業

715,861

108.1

ハウジングテクノロジー事業

535,204

98.4

ビルディングテクノロジー事業

106,971

96.9

キッチンテクノロジー事業

119,950

104.5

流通・小売り事業

173,520

100.9

住宅・サービス事業等

52,298

81.2

報告セグメント計

1,703,804

102.1

セグメント間取引

△38,987

112.0

合計

1,664,817

101.9

 (注)金額には消費税等を含んでおりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、分析に記載した実績値は1億円未満を四捨五入して記載しております。

 

 重要な会計上の見積り及び判断、重要な会計方針

当社グループの連結財務諸表の作成にあたって利用する重要な会計上の見積り及び判断については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5)重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載のとおりであります。また、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況に対して、事業全体及び主要なセグメントごとに重要な影響を与えた要因について経営者の視点から見た認識及び分析・評価は、次のとおりであります。

 

当社グループは当連結会計年度に全社的な変革に取り組み、着実に前進いたしました。2018年4月からの新中期経営計画の順調なスタートにつなげることができたと自信を深めております。しかしながら、こうした取り組みの進捗は、当連結会計年度の事業利益に数字という形ではまだはっきりと表れていない状況です。予想を上回る原材料価格の上昇と日本の新築住宅着工件数の減少への対応が遅れ、住宅用建材事業を展開するハウジングテクノロジー事業(以下、LHT)の業績を押し下げる大きな要因となりました。このような課題の解決に向けて、短期的な対策は既に講じており、さらに長期的な視点で、LHTの再興に向けたロードマップに基づく戦略を実行してまいります。一方、水回り設備事業を展開するウォーターテクノロジー事業(以下、LWT)は、差別化のキードライバーとしてデザイン、テクノロジー、品質、ブランドの強化を進め、日本で培った技術を海外にも展開することで、国内外において成果を生み出してまいりました。また、全社的にさらなる組織の簡素化、本社部門のコスト削減、事業ポートフォリオの最適化、バランスシートの改善に取り組んだ結果、当社グループは、より効率的で機動力のある組織となっております。その結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は2期連続で過去最高益を更新することができました。新中期経営計画の始動に向けた体制が整い、今後は目標達成に向けて戦略の実行に注力してまいります。

 

売上収益は、前年同期比1.9%増の1兆6,648億円となりました。水回り設備事業を展開するLWTの海外における新商品投入やシナジー効果が奏功したほか、LWTの日本事業、及びキッチン事業を展開するキッチンテクノロジー事業が、商品の差別化により、すべての商品カテゴリーにおいて市場の伸びを上回る成長率を達成したことが増収に寄与いたしました。

事業利益は、前年同期比16.1%減の753億円となりました。原材料価格の動向や新築住宅着工件数に大きく影響を受けるLHTの事業構造上の課題に対する対応の遅れが減益の主要因となりました。また、中東及び南アフリカの経済不振が、一部のLWTの業績に影響を与えました。LHTにおける課題につきましては、同事業を外部環境に左右されない体質へと変革するため、次期に向けた対策を既に講じており、さらに新組織体制の下でロードマップに基づき長期戦略を実行いたします。具体的には、差別化商品の開発及び上市サイクルの高速化、プラットフォーム化や部材の共通化による生産効率の向上、工場設備の汎用化による加工工場の集約、海外事業の拡大といった施策を推進してまいります。

非継続事業を含む親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期比28.4%増の546億円となりました。ペルマスティリーザ社の売却に伴う非継続事業からの当期損失があったものの、事業ポートフォリオの整理、遊休資産の売却、組織の簡素化のための体制変更、国内における連結納税制度適用の選択による法人所得税費用の減少などが増益に寄与いたしました。

 

資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

当社グループは、健全な財政状態を維持しつつ、事業活動に必要な資金を安定的かつ機動的に確保すべく、営業活動によるキャッシュ・フローの創出や幅広い調達手段の実現に努めております。手元流動性に関しては、非常時の決済資金相当額を常に維持することを基本とし、財務柔軟性を確保するため、銀行などの金融機関からの借入に加え、コマーシャル・ペーパー発行枠及びコミットメントラインの確保、受取手形・債権の流動化といった取り組みを通じて、調達手段の多様化を図っております。

その結果、当連結会計年度末におけるネット有利子負債は前連結会計年度末に比べて892億円減少の5,492億円となりました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,388億円となりました。

 

なお、財務状況に関する主要指標の推移は、次のとおりであります。

 

 

2015年

3月期

2016年

3月期

2017年

3月期

2018年

3月期

キャッシュ・フロー対ネット有利子負債比率(倍)

5.7

5.8

4.8

5.2

ネットデット・エクイティ・レシオ(倍)

1.0

1.3

1.2

0.9

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

16.2

16.7

7.7

15.5

(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。なお、各指標は、以下により算出しております。

キャッシュ・フロー対ネット有利子負債比率:(有利子負債-現金及び現金同等物)/営業キャッシュ・フロー

ネットデット・エクイティ・レシオ:(有利子負債-現金及び現金同等物)/親会社の所有者に帰属する持分

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債及び転換社債型新株予約権付社債を対象としております。営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。また、利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。なお、2018年3月期の主要指標を算出するにあたり、現金及び現金同等物、並びに有利子負債の金額については、売却目的で保有する資産及び直接関連する負債に分類した金額は含めておらず、また、営業キャッシュ・フロー及び利払いの金額については、非継続事業から生じた金額は含めておりません。

 

(3)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、次のとおりであります。

 

(のれんの償却停止)

当社グループは、日本基準において、のれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。

この影響により、前連結会計年度においては、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が約85億円減少しております。当連結会計年度においては、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が約105億円減少しております。

(注)1.当社は、日本基準に基づく連結決算を2016年3月期まで行なっておりました。上記の概算額を算出するにあたり、2016年3月期に存在していたのれんについては、日本基準で採用していた償却期間を用いており、2016年4月以後に発生したのれんについては、金額的重要性が乏しい場合は即時に費用処理したものとし、それ以外については償却期間を10年としております。なお、当該償却期間10年は、のれんの効果の及ぶ期間や企業結合の対価の算定の基礎とした投資の合理的な回収期間を表すものではなく、上記の概算額を算出するにあたって設定した任意の年数であります。

2.上記の前連結会計年度及び当連結会計年度の概算額には、当連結会計年度において非継続事業に分類した事業から生じる金額を含めておりません。

 

(退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理)

当社グループは、日本基準において、発生した数理計算上の差異及び過去勤務費用の全額を一括で費用処理しておりました。IFRSでは、確定給付制度の負債又は資産の純額の再測定は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識しており、直ちに利益剰余金に振り替えております。

この影響により、前連結会計年度においては、IFRSでは日本基準に比べて、税引前利益が49億85百万円減少し、その他の包括利益が35億21百万円増加しております。当連結会計年度においては、IFRSでは日本基準に比べて、税引前利益が16億59百万円増加し、その他の包括利益が13億31百万円減少しております。

(注)上記の前連結会計年度及び当連結会計年度の税引前利益の概算額には、当連結会計年度において非継続事業に分類した事業から生じる金額を含めておりません。

 

4【経営上の重要な契約等】

Permasteelisa S.p.A.の株式譲渡について

当社は、2017年8月21日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社LIXILが保有するPermasteelisa S.p.A.の発行済株式の100%をGrandland Holdings Group Limitedに譲渡することを決定し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。

株式譲渡の概要につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 42.非継続事業」に記載のとおりであります。

 

5【研究開発活動】

当社グループは、「私たちは、優れた製品とサービスを通じて、世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献します。」という企業理念のもと、総合的な住環境ソリューションを提供する会社として事業を展開しております。また、「地球と調和する「暮らしの理性」を創造する」ことをテーマとし、地球環境に配慮した商品・サービスの提供をはじめ、企業活動のあらゆる場面において循環型社会を目指し、企業市民としての社会的責任を果たしてまいります。

このような理念のもと、商品開発においては確かな品質、高い技術に基づいて、快適な住生活・都市環境を実現しお客様に喜ばれる商品を市場に送り出すことを大きな役割と考えており、研究開発部門では、開口部商品、住設機器、内装建材や外装建材から住宅のパネル工法にいたるまで、健康、環境負荷低減、高齢者配慮、省資源・省エネルギーなどの様々な視点から研究を重ねております。これらの基礎研究、技術開発、商品開発は当社グループの各社における技術研究所、研究開発部門及び商品開発部門が品質保証部門等と連携のもとに取り組んでおります。

なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は276億1百万円となっております。

 

セグメント別の実績は、次のとおりであります。

 

[ウォーターテクノロジー事業]

洗面化粧台では高級ゾーンの「ルミシス」に素材感を高めた「ラピシアカウンター」の新色追加や、ミラーキャビネット下部へのLED照明の内蔵で、商品の魅力を強化いたしました。浴室では“温泉/SPA(スパ)”を自宅で愉しめる「SPAGE(スパージュ)」で、“癒しと覚醒”を提供する調光調色機能付き照明や、浴室全体を光で包み込むよう設計した“アクアスポット”など、新アイテムを搭載し発売いたしました。マンションリフォーム用システムバスは、“カンタン取付”で“心地いい”浴室空間を実現する新「リノビオV」として刷新いたしました。タイルでは室外から持ち込んだスギ花粉やダニのフン・死がいに含まれる環境アレルゲンの働きを抑制する、業界初のタイル「アレルピュア」を開発・発売いたしました。その他水回りを快適にする新製品を多数開発・発売いたしました。

なお、当セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は167億47百万円でありました。

 

[ハウジングテクノロジー事業]

金属製建材では、アルミと樹脂の良さを融合した高性能ハイブリッド窓「サーモスL」の防火タイプ、「FG-L」を発売するなど、一棟分の商品ラインナップが揃いました。エクステリアでは、住宅に調和するデザインをコンセプトに「カーポートSC」を発売し、世界的なデザイン賞であるIFデザインアワードやグッドデザイン賞BEST100を受賞しております。また、エクステリア照明の「美彩(Bisai)」は、3年連続でグットデザイン賞を受賞しております。内装建材では、こだわりのインテリアを求めるユーザー様に向け、新築・リノベーションの双方で人気の“男前インテリア”を実現する新シリーズ「ヴィンティア」など、デザイン性に優れた商品を多数発売いたしました。その他多くの新製品を開発・発売いたしました。

なお、当セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は89億87百万円でありました。

 

[ビルディングテクノロジー事業]

耐風圧・耐震の安心性能を強化し、また、安定した止水性と省施工性を実現した中低層用カーテンウォール/フロントサッシ「MLシリーズ」を発売いたしました。「MLシリーズ」はその施工性と、新たにラインナップした「スリム排煙外倒し窓」などの統一されたスリムなデザイン性が高く評価され、2017年度グッドデザイン賞を受賞しております。また、年々増加するマンションストックのリフォーム需要の高まりに応え、マンションリフォーム用玄関ドア「RSシリーズ」に通気性を確保できる“通気機能付きドア”を新たにラインナップいたしました。

なお、当セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は3億70百万円でありました。

 

[キッチンテクノロジー事業]

高級シリーズ「リシェルSI」をフルモデルチェンジし、発売いたしました。熱・キズ・汚れに強く、高い評価を頂いている“セラミックトップ”には、新色2色を追加して全6色とし、より幅広いLDKにコーディネートができるよう、刷新いたしました。また、美しさとお手入れのしやすさを両立させた“ハイブリッドクォーツシンク”には3色を新たに設定し、“セラミックトップ”との組み合わせでより高い意匠性を実現しております。収納性と作業性を両立させた“らくパッと収納”はデザインを一新し、収納性を向上させながら清掃性にも配慮した形状としております。

なお、当セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は14億51百万円でありました。

 

[住宅・サービス事業等]

新築住宅では、断熱性能や気密性能など建物の基本性能の向上に取り組み、「アイフルホーム セシボ」、「フィアスホーム アリエッタ VERDEA(ベルデア)」、「ジーエルホーム Woods Hill(ウッズヒル)」を発売いたしました。また、地盤調査の分野においては、戸建住宅の液状化調査技術の向上にも取り組んでおります。これらの結果、ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2017の優秀賞、及びジャパン・レジリエンス・アワード2018の最優秀レジリエンス賞を受賞しております。

なお、当セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は46百万円でありました。