本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営方針及び経営環境
当社グループは、「私たちは、優れた製品とサービスを通じて、世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献します。」という企業理念「LIXIL CORE」を掲げ、事業を展開しております。また、「LIXIL Behaviors」として3つの行動指針「DO THE RIGHT THING(正しいことをする)」、「WORK WITH RESPECT(敬意を持って働く)」、「EXPERIMENT AND LEARN(実験し、学ぶ)」を定めております。これは、日々の仕事の中で、当社グループの従業員一人ひとりがどのように考え、行動すべきかを示したものであります。LIXIL Behaviorsを体現することで、目的意識を持ち、起業家精神に溢れた組織を作り、持続的な成長を実現してまいります。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、新経営計画(New Management Plan)を策定し、2019年5月13日に公表いたしました。この新経営計画は、これまでに築いてきた強固な事業基盤のもとで、グループ資産の有効活用を通じて成長機会の獲得や構造改革、グループ経営体制とプロセスの刷新を進めることにより、当社の潜在能力を最大限に引き出し、企業価値の向上につなげることを目指しております。
[ 背景 ]
新経営計画は、「Diversity」「Beyond」「Team Leadership」という3つの基本理念に基づき策定いたしました。
・「Diversity」とは、当社グループがこれまでの進化のステージを通じ、グローバルなブランドや先進技術をはじめ、築きあげてきた資産や人材の多様性を示しており、この多様性を活用することで、成長力を高め、企業価値の向上につなげてまいります。
・「Beyond」とは、すでに複数の戦略や施策が望ましい方向へと進捗している中で、それらの取り組みを継続するだけでなく、既存の枠組みを超えて挑戦を続けていく姿勢を示しております。
・「Team Leadership」とは、様々なマネジメントスタイルを持つリーダーが、オーナーシップと自己規律を持ち、権限委譲を図ることにより、事業規模と多様性を十分に活用することができるという考え方であります。
[ 戦略的方向性 ]
3つの基本理念に基づき、ビジネス及びマネジメントに関する戦略的方向性を明確化いたしました。注力する5つの主要領域は次のとおりであります。
<ビジネスの方向性>
① Capture / 捉える
自社の既存資産を有効活用することにより、幅広いビジネス機会を捉えていきます。国内市場では、製品ラインナップや生産の最適化、シェア拡大を目指すほか、海外市場では、シャワートイレの成長戦略の推進やGROHEブランドのグローバル展開といった水回り事業の強化、ペルマスティリーザ社などの事業再生を進めます。
② Transform / 変革する
国内のチャネル強化や、グローバル全体での生産性の飛躍的な改善、新たな顧客体験やB to Bビジネス創出に向けたデジタル化の推進といった変革を推進します。
③ Create / 創造する
健康面に着目した健康増進ソリューションなど、住まいやワークスペースに新たな価値を生み出す複合的ソリューションを提供します。また、世界市場向けにウォーターマネジメントビジネスを展開するなど、革新的なビジネスモデルを通じて新たな成長を目指します。
<マネジメントの方向性>
④ Re-enhance / 再強化する
コーポレートガバナンス並びにコンプライアンス体制の再構築を行うとともに、グループ経営体制を導入し、持株会社が中長期的な観点から企業価値の最大化に注力する体制を整えます。
⑤ Ahead / 将来を見据える
社内における次世代経営リーダーの育成、新しいコーポレート・レスポンシビリティ(CR)活動の推進、LIXIL Behaviors(3つの行動)などを通じたグループ内のつながりの再構築を行い、当社グループを次のステージへと導きます。
[ 財務目標 ]
当社グループは、これらの戦略的方向性に基づき、以下の財務目標を設定しております。
2024年3月期までに達成する数値目標として売上収益2兆円、事業利益率6.3%を掲げております。
(注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
(注)CAGR:年平均成長率 Compound Annual Growth Rate
当社グループは新経営計画の推進を通じて、グローバルな資産の活用、先進的なビジネスモデルの構築や商品の展開を進め、持続可能な社会の発展に貢献できる企業を目指してまいります。
(特別調査委員会からの最終報告書の受領について)
当社は、2019年2月8日に「当社子会社における不適切な取引行為に係る特別調査委員会設置に関するお知らせ」において公表しましたとおり、当社の連結子会社である株式会社LIXILリニューアルにおいて、当社に対して適切な報告が行われていなかった可能性があること、及び売上高の一部を早期に計上するという不適切な会計処理を行っていた可能性があることについて、当該事象の詳細及び当社連結財務諸表への影響度を含め、事実関係解明のために特別調査委員会を設置し、また再発防止策の検討を行うため、調査を実施してまいりました。
一連の調査の結果、当社は2019年3月29日に特別調査委員会より最終報告書を受領いたしました。最終報告書においては、その他の子会社において発見された類似取引事例を含む判明事実の詳細、原因分析、再発防止策の提言及び当社連結財務諸表への影響度等が記載されております。当社としましては、本件を真摯に受け止め、既に特別調査委員会からの提言を踏まえた具体的な再発防止策を立案し順次実行に移しておりますが、今後もコンプライアンス意識の再徹底と当社グループの内部統制のさらなる強化に取り組んでまいります。
なお、本件による当社の連結財務諸表への影響は軽微であると判断し、過去の決算訂正は行わないことといたしました。
当社グループでは、事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、それらについてグループ共通の基準(事業計画への影響度と発生可能性等)で評価を行い、対処すべきリスクの優先順位を決定するというリスク評価を行っております。
これらに基づき重要と判断したリスクは、当社グループの各レベルにおいて、当該リスクの内容に応じた対策を立案、実行し、対策の進捗状況をモニタリングし、継続的に改善する活動を展開しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。
なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済環境に関するリスク
① 経済状況の変動
当社グループにおける営業収入は、日本国内における需要に大きく影響を受けます。特に住宅着工戸数や建設会社の建設工事受注高の大幅な変動は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、中国、タイなどのアジア、欧州や北米など海外諸国において生産活動及び販売活動を行っており、これらの国々において戦争、内乱、紛争、暴動、テロ等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、リフォーム戦略の強化や海外展開可能な商品の開発等を実施しております。また、外部の第三者機関等を通じて政治情勢、財政状態、政策変更等を定期的にモニターすることにより、海外における政情不安等のリスクが顕在化する兆候を早期に把握するよう努めております。
② 為替相場の変動
為替変動は、当社グループの外貨建取引から発生する資産及び負債の円貨換算額に重要な影響を与える可能性があります。また、外貨建で取引されている商品の価格及び売上収益等にも重要な影響を与える可能性があります。このような状況に対処するため、日本の財務部門の他に、中国、シンガポール、ドイツ、米国に1か所ずつ計4拠点の「リージョナル・トレジャリー・センター」を設置し、各拠点において月次で為替をモニターするとともに、必要に応じヘッジ手続きを実行することにより、為替変動の影響を低減しております。
③ 金利の変動
当社グループの資金調達は、主として金融機関からの借入等の有利子負債によっており、市場金利が著しく上昇した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。このような状況に対処するため、日本の財務部門の他に、中国、シンガポール、ドイツ、米国に1か所ずつ計4拠点の「リージョナル・トレジャリー・センター」を設置し、各地域における資金管理業務等を集約することにより、資金調達の効率化及び安定化を進めております。また、各国の金利を月次でモニターするとともに、状況に応じ固定金利化等を検討できる体制を構築しております。
(2)当社グループの事業活動に関するリスク
① 競合他社との競争・商品価格の下落
当社グループは、事業を展開する多くの市場において激しい競争に直面しております。そのため、当社グループにとって常に有利な価格決定をすることは困難な状況にあります。当社グループは高品質で魅力的な商品を市場へ投入できるリーディングカンパニーと自負しておりますが、価格面において競争優位に展開できる保証はなく、当社グループの商品・サービスが厳しい価格競争に晒され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、当社グループはコスト削減や訴求力の高い商品の開発に取り組んでおります。
② 新商品の開発
当社グループは、「私たちは、優れた製品とサービスを通じて、世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献します。」を企業理念として活動しております。高品質の健康かつ快適で安全な住空間の創造を実現するために常に技術と顧客ニーズを的確に把握し魅力ある商品開発を行っておりますが、市場や業界のニーズの変化に適切に対応できなかった場合には、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、革新的なスタートアップ企業との提携やグローバル情報ネットワークの活用を通じて消費者ニーズの変化に迅速に対応する体制を構築し、当該ニーズを満たす魅力ある商品を開発するため、衛生陶器の新素材である「アクアセラミック」を代表とする先進技術の開発、デザイン力の強化及び商品プラットフォームの統一によりスピード感のある商品開発に努めております。
③ 他社との提携・企業買収等の成否
当社グループは、企業買収及び資本参加を含む投資による事業の拡大を企画することがあります。対象事業とのシナジー効果を最大限に高めるために当社グループの企業文化や経営戦略との統合を図っておりますが、期待された利益やシナジー効果をあげられる保証はありません。また、これらを実行するにあたっては、対象事業の財務内容や契約関係等についての詳細な事前調査を行い極力リスクを回避するように努めておりますが、買収後に偶発債務の発生や未認識の債務等が判明する可能性も否定できません。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、統合に関するグローバル共通のポリシーを策定し、統合後のレビューやモニタリングプロセスを設計、運用しております。また、統合後においては、シナジー創出に向けて効率的でフラットかつシンプルな組織構造の構築を目的とし組織変革を推進しております。
④ 事業再編の成否
当社グループは、経営の効率化及び競争力の強化のため、不採算事業からの撤退、子会社や関連会社の再編、製造拠点や販売・物流網の再編及び人員の適正化等による事業の再構築を行うことがあります。これらの施策に関連して、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、持株会社及びテクノロジービジネスの経営陣、各グループ会社の取締役及び執行役と社員とのコミュニケーション強化によって当社グループの経営戦略の浸透を図るとともに、持株会社による事業・地域ポートフォリオマネジメントを強化することにより、事業の再構築を実施した後において、テクノロジービジネス間のシナジー効果の最大化や、戦略実効性の向上が実現するよう努めております。また、大規模な事業再構築を生じさせない組織の構築に向けて、M&Aにおける買収先企業のPMI強化の一環として、ガイドラインのアップデートやPMI推進体制、進捗報告プロセスを明確化することにより、有効かつ適切なPMIプロセスの整備・運用による子会社ガバナンスの強化に努めております。
⑤ 原材料等の供給不足・供給価格の高騰
当社グループの生産活動にあたっては、資材、部品、その他のサービス等の供給品を適宜に調達しております。その中には、業界の需要増加や原材料の高騰により多額の支払が必要になる可能性があります。また、資材、部品、その他のサービス等の供給品は、欠陥や欠品により当社グループの商品の信頼性や評判に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの原因により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、商品スワップの利用、複数購買の実施、取引先の信用情報調査の実施、取引先との定期的なコミュニケーションの実施、定期的な品質テスト、安全在庫量の確保等を実施し、安定的な供給体制の構築に努めております。
(3)法的規制・訴訟に関するリスク
① 公的規制による損害
当社グループは、事業展開をする上で国や公的機関から事業や投資の許認可、特許権その他の知的財産権、環境規制等の様々な公的規制を受けております。これらの公的規制は、時間の経過とともに変化することが予想され、当社グループの事業運営に支障をきたし、新たな公的規制を遵守するためのコスト増加につながる可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、新たな公的規制の変更に対応するために必要な方針と手順を策定し、定期的に各海外拠点の担当者と情報交換の場を持つことにより、公的規制の変更の予兆を早期に捉え対策が打てるような体制を構築しております。
② 製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生
当社グループが提供する商品・サービスには、欠陥が生じるリスクがあり、またリコールが発生する可能性もあります。大規模な製造物責任賠償やリコールにつながるような場合には、多額の支払が生じるとともに、当社グループの商品の信頼性や評判に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、開発及び設計の各段階で品質に関するゲートを設け、当該問題を解決しなければ開発や設計を進めさせないルールを定め運用することにより、商品・サービスが大規模な製造物責任賠償やリコールにつながる可能性を低減しております。
③ 訴訟その他法的手続きによる損害賠償
当社グループが国内及び海外において事業展開をする上で、訴訟その他の法的手続の対象になる可能性があります。また、当社グループが訴訟その他の法的手続の当事者となった場合は多額の損害賠償金等が発生する可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、適時に弁護士等の外部専門家に相談できる体制を構築しております。
④ 環境に関する規制や問題の発生
当社グループは、「LIXILグループ環境方針」に基づき、地球環境保全に向け様々な活動を行っております。しかしながら、環境汚染等の環境リスクを完全に防止又は軽減できる保証はありません。当社グループの事業活動に起因する重大な環境汚染等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、ISO14001もしくは環境マネジメントシステムによる環境関連法令の洗い出しや遵守の点検ルールを定め、運用状況について定期的に審査を実施しております。
(4)情報セキュリティに関するリスク
当社グループでは業務を遂行する中で顧客情報をはじめとする様々な個人情報を取り扱う機会があり、厳格な情報管理が求められておりますが、不測の事態により個人情報の遺漏が発生した場合には、社会的信頼の失墜を招くとともに多額の費用負担が生じる可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、個人情報管理の推進機関を設置し、関連する規程類を整備し、適切な研修を継続して行うなど個人情報管理の強化に努めております。なお、サイバー攻撃全体への対応としてCSIRT (シーサート: Computer Security Incident Response Team)を設置し、外部からの不正アクセスを常時監視するとともに、有事の際に適切な対応を実現する体制を構築しております。
(5)災害・事故等に関するリスク
当社グループは、国内及び海外諸国の複数の拠点において生産活動及び販売活動を行っていることから、各地で発生する地震や台風等の自然災害によって、当社グループの生産、物流、販売及び情報管理関連施設等の拠点に甚大な被害を被る可能性があります。また、仮に国内及び海外諸国にて大規模な地震等の自然災害が発生した場合には、生産活動の停止や商品供給の遅延等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、重大な労働災害、設備事故等が発生した場合に事業活動の停止や制約が生じる可能性があります。これらの自然災害等による影響を完全に防止又は軽減できる保証はありませんが、このような状況に対処するため、特に国内拠点においては、事業や財務への影響の低減を目的として、工場の分散、耐震工事の実施等により自然災害等発生時の影響を低減した上で、早期に復旧できるようBCP計画の策定及び定期的な見直しを実施しております。
(6)会計上の見積りに関するリスク
当社グループは、財務諸表の作成にあたり会計上の見積りが必要な事項については、合理的な基準に基づき見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、金額の見直しや実際の結果と異なる場合があり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 債権の貸倒れ
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しておりますが、実際の貸倒れが当該前提等を大幅に上回り、貸倒引当金の計上が不十分となる可能性があります。また、経済状態全般の悪化や取引先等の信用不安等による前提条件等の見直しにより、貸倒引当金の積み増しを行う可能性があります。これらの結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、国内においては取引先の信用力チェックや与信枠の設定に関して規程やマニュアルを整備するとともに、定期的に債権検討会議を開催し、債権の回収が不能となる可能性が高い取引先については取引先ごとの経営改善状況及びリスク低減策のモニタリングを実施しております。
② 退職給付に係る負債の変動
当社グループの従業員の確定給付制度債務及び勤務費用等は、割引率等の基礎率に基づいて算出されております。これらの基礎率の変動は、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があり、特に割引率の低下は当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、この影響を最小限にすべく厚生年金の代行部分の返上及び確定拠出年金制度やキャッシュバランス制度への移行等の施策を実施しております。
③ 固定資産価値の減少
当社グループは、減損会計の適用により、有形固定資産、のれん及び無形資産等の資産について、定期的に回収可能価額を算定し、減損の測定もしくは減損テストを実施しております。その結果、減損損失を計上することも予測され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、当社CFO直轄組織の「コーポレート・ファイナンシャル・ガバナンス・オフィス」がガバナンス強化の取り組みの一環として国内外子会社の業績管理プロセスを推進することにより、遊休資産の発生や業績悪化に伴う固定資産の減損の兆候を早期に捉えることを可能とし、業績悪化の兆候を把握した際には適時に対策が打てるような体制を構築しております。
④ 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、税効果会計を適用し、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得に関する見積りを含めた予測等に基づき判断を行っております。将来の課税所得の予測が変更され、将来の課税所得に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断された場合、当該繰延税金資産は減額され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、当社CFO直轄組織の「コーポレート・ファイナンシャル・ガバナンス・オフィス」がガバナンス強化の取り組みの一環として国内外子会社の業績管理プロセスを推進することにより、業績悪化の兆候を早期に捉えることを可能とし、業績悪化の兆候を把握した際には、当社経理財務部門及び税務部門が繰延税金資産の回収可能性に関して見直しの必要性を含めて適時に対策が打てるような体制を構築しております。
⑤ 長期契約に係る債権の回収及び見積り
当社グループの主にビルディングテクノロジー事業においては、海外受注案件は金額的にも大型工事が多く、かつ売上の計上から債権の回収までの期間が長期にわたることがあるため、経済状態や取引先の与信状況の変化により、一部の債権が回収不能となる、あるいは貸倒引当金の積み増しを行わなければならない状況に陥る可能性があり、これらの結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、ビルディングテクノロジー事業の受注案件の一部において、長期契約に基づく収益を認識するために、当該契約の成果が信頼性をもって見積ることができる場合、工事契約の進捗に応じて収益及び費用を認識しております。このような長期契約に基づく収益認識において、見積総原価、完成までの残存費用、見積総売価、契約に係るリスクやその他の要因について重要な仮定を設定する必要がありますが、見積りと実績が乖離した場合、当該契約に関する見積りを見直す必要が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対処するため、当社グループは、関連する業務プロセスの再設計・標準化など、各地域の実情に応じて内部統制の見直しを進めることによりガバナンスを強化するとともに、経済状態や取引先の状況変化及び見積りの前提条件の変化を早期に察知し、対策を講じることができる体制の構築を目指しております。
(7)国際税務・組織再編税制に関するリスク
当社グループは、海外諸国において生産活動及び販売活動を行っており、グループ内でも原材料や製品等の相互供給を行っていることから、移転価格税制等の国際税務リスクが潜在します。また、経営の効率化と競争力の強化のためグループ内組織再編を実施することがあり、設定するスキームによってはグループ内組織再編であったとしても時価課税取引であるとの認定を受ける可能性や消滅会社等の繰越欠損金を引き継げない可能性があり、税金費用の負担増加によって当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、当社税務部門において必要な方針と手順を策定、更新し、定期的に各海外拠点の税務担当者と情報交換の場を持つことや専門家へ適時に相談できる体制を整備することにより、再編実施時に適切なスキームを選択しうる体制を構築しております。
(8)人的資産に関するリスク
① 人材の獲得と育成
当社グループが継続的に事業を発展させるためには、専門技術に精通した人材や、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成を継続的に推進していくことが必要となります。しかしながら、特に日本国内においては少子高齢化に伴う労働人口の減少等もあり、必要な人材を継続的に獲得するための競争は厳しく、人材獲得や育成が計画通りに進まない場合には、長期的観点から業務運営の効率性が損なわれ、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開するほか、人事・教育体系の充実や65歳以上の退職技術者の嘱託雇用等により技術継承を促進するとともに、グローバル共通の人材育成計画を策定し、各プログラム(海外派遣研修、共通eラーニング等)を実行することにより社員の定着と育成に努めております。あわせて、女性の労働力確保を含め、ダイバーシティ・マネジメントを推進し、多様な社員が個性や能力を十分に発揮し活躍できるよう制度や環境の整備を進めております。また、「シェアード・サービス・センター」をアジアに設立し、アジアにおけるガバナンスを強化するとともに、間接業務の集約化や効率化を図ることにより、日本国内あるいはアジアにおける将来の労働環境に左右されない柔軟な組織を構築することを目指しております。
② 労使問題(ストライキ等)
当社グループが進出している海外の各地域や国において労働慣行の相違が存在しており、法環境の変化、経済環境の変化等予期せぬ事象を起因とした労使関係の悪化、ストライキ等労働争議が発生し長期化した場合には、事業運営に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処するため、各拠点において労使間協議を定期的に開催し、職場環境、労働条件の改善について協議しており、現在労使関係は円満に推移しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は、次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当社は2017年8月に連結子会社であるPermasteelisa S.p.A.(以下、ペルマスティリーザ社)を売却することを決定したため、IFRSの規定に基づき、同社及び同社子会社の事業等から生じた損益を非継続事業に分類しておりました。しかしながら、当連結会計年度において、ペルマスティリーザ社の株式が現状のままで売却が可能な状況ではなくなったことから、同社及び同社子会社の事業等から生じた損益を継続事業からの損益として表示しております。また、前年同期実績も同様に表示を組み替えております。概要につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 13.売却目的で保有する資産及び直接関連する負債」に記載のとおりであります。
また、当社グループは、当連結会計年度よりIFRS第9号「金融商品」及びIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を適用しております。IFRS第9号及びIFRS第15号の適用による影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、台風や地震といった国内の自然災害の影響により上半期は一時的に成長が停滞したものの、下半期は世界経済が引き続き堅調に推移したことに伴う輸出の増加等により回復をみせ、緩やかではありますが底堅い成長となりました。住宅投資は、昨年度に引き続き貸家が落ち込む中、持家及び分譲住宅が伸びを示した結果、新設住宅着工戸数は953千戸(前年同期比0.7%増)となりました。
世界経済に関しては、米国、欧州における金融緩和政策の維持・継続や中国におけるインフラ投資をはじめとする国内政策強化等により先行きの不透明感は和らぎつつありますが、米中貿易協議の長期化、ブレグジット問題、中国における債務問題等への対応状況を踏まえ、その持続性については慎重に見極めるべき状況にあります。加えて、米国の貿易赤字の悪化により各国との通商協議は厳しさを増すと予想され、日本経済にも大きな影響が生じる可能性が懸念されております。
このような環境のもと、当連結会計年度の業績は、前連結会計年度に一部子会社を売却したことに加え、上半期における国内の自然災害による落ち込みの影響があったものの、期初より進めてきた新取引制度の浸透や販売体制の安定化などの諸施策により国内事業が下半期より好転したことなどから、売上収益は1兆8,326億8百万円(前年同期比0.2%増)とほぼ前年並みとなりました。利益面においては、国内事業の増収効果や継続的なコストダウンによる粗利増、販管費の抑制策などが功を奏したものの、海外事業におけるペルマスティリーザ社の業績悪化に伴う今後の物件完成までに要する工事コストの損失引当や貸倒引当金の計上等により、事業利益は127億98百万円(前年同期比83.2%減)と大幅な減益となりました。また、事業利益の減少に加え、前連結会計年度に計上した資産の整理に伴う子会社や不動産の売却益、持分法適用関連会社に対する持分の処分益がなくなったことなどから、営業損失は150億29百万円(前年同期は591億7百万円の営業利益)、税引前損失は179億90百万円(前年同期は651億0百万円の税引前利益)とそれぞれマイナスに転じる結果となりました。加えて、ペルマスティリーザ社の売却を前提として前連結会計年度に計上していた繰延税金資産の減少に伴う法人所得税費用の増加等により、非支配持分を控除した親会社の所有者に帰属する当期損失は521億93百万円(前年同期は545億81百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)と大幅な減益となりました。
(注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
セグメント別の概況は次のとおりであります。なお、報告セグメントについては従来6区分で開示しておりましたが、当連結会計年度より5区分に変更しております。変更の概要につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.事業セグメント」に記載のとおりであります。また、ペルマスティリーザ社及び同社子会社の事業等から生じる損益を継続事業からの損益として表示することとなったため、同社及び同社子会社の事業を「ビルディングテクノロジー事業」に含めております。このため、前年同期との比較は、変更後の報告セグメントに基づき組み替えて行っております。(以下、「④ 生産、受注及び販売の実績」においても同様であります。)
[ウォーターテクノロジー事業]
ウォーターテクノロジー事業においては、いつまでも新品の輝きを保つ“100年クリーン”の新素材「アクアセラミック」を搭載した衛生陶器の累計出荷台数が100万台を突破するなど販売が好調に推移したことに加え、“湯を、愉しむ。時を、味わう。”システムバスルーム「SPAGE(スパージュ)」、インテリアとしての美しさを備えながら道具としての“使う歓び”を突き詰めたシステムキッチン「リシェルSI」をはじめとした国内外の積極的なマーケティング活動を展開したことなどにより売上収益は8,331億28百万円(前年同期比0.6%増)と増収でありました。一方、利益面においてはシナジー効果による継続的なコストダウンを進めたものの、商品構成の変化に伴う粗利減や資材価格の上昇、アジア地域におけるショールーム設置等の先行投資などもあり事業利益は602億33百万円(前年同期比18.4%減)と減益でありました。
[ハウジングテクノロジー事業]
ハウジングテクノロジー事業においては、“窓”がもつ本来の価値や役割を具現化し、当社グループが持つ最新の技術・機能を融合させ開発した新しい窓「LW(エルダブリュー)」、国内最高クラスの断熱性能を実現した高断熱玄関ドア「グランデル2」など環境性能と快適性を両立する高機能商品を拡充するとともに、IoTを活用した宅配ボックス「スマート宅配ポストTB」などの社会貢献に向けた取り組みなどにより売上収益は5,408億11百万円(前年同期比1.0%増)と増収でありました。一方、利益面においては引き続きコストダウンによる粗利率改善に努めたものの、上半期に発生した国内の自然災害による工事遅延の影響や資材価格の上昇などもあり事業利益は207億19百万円(前年同期比24.7%減)と減益でありました。
[ビルディングテクノロジー事業]
ビルディングテクノロジー事業においては、国内受注物件は堅調な伸びを示したものの、ペルマスティリーザ社の収益性回復に向けた再生計画の策定にあたり全受注物件について厳格な精査を実施した結果、北米地域を主とした工事コストの引当や貸倒引当金の大幅な増加などにより売上収益は2,560億50百万円(前年同期比5.7%減)、事業損失は381億19百万円(前年同期は45億53百万円の事業利益)と減収減益でありました。
[流通・小売り事業]
流通・小売り事業においては、“理想のくらし・新たなライフスタイルを提案する”進化するホームセンター「スーパービバホーム」4店舗をはじめ新規店舗の展開による積極的な拡販に努めたことなどにより売上収益は1,763億81百万円(前年同期比1.6%増)、加えてリフォーム関連商品の売上伸長に伴う粗利増や既存店舗のコスト削減などに努めた結果、事業利益は77億52百万円(前年同期比11.7%増)と増収増益でありました。
[住宅・サービス事業等]
住宅・サービス事業等においては、自分らしく賢く暮らせる住まい「Simple Life.」、自然の力を活かした人の暮らしにやさしいパッシブデザインの「アリエッタ VERDEA(ベルデア)」、ツーバイシックス(2×6)工法の「WoodsHill(ウッズヒル)」など、ライフスタイルの多様化に合わせた新商品の拡販に努めたことに加え、重点施策であるBtoCビジネスなどの新事業領域に注力したことや非新築領域の伸長もあり、売上収益は578億52百万円(前年同期比10.6%増)、事業利益は34億51百万円(前年同期比36.1%増)と増収増益でありました。
なお、セグメント別の売上収益はセグメント間取引消去前であり、事業損益は全社費用控除前であります。
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて475億87百万円減少の2兆595億44百万円となりました。流動資産は、棚卸資産の変動による影響などから前連結会計年度末に比べて209億96百万円減少の8,917億80百万円となりました。非流動資産は、為替換算による影響のほか、ペルマスティリーザ社に関連するのれん及びその他の無形資産を減損処理したことによる減少などもあり、前連結会計年度末に比べて265億91百万円減少の1兆1,677億64百万円となりました。
なお、前連結会計年度にペルマスティリーザ社の売却を決定したことに伴い、同社及び同社子会社に関連する資産を売却目的で保有する資産へ分類しておりましたが、当連結会計年度において、ペルマスティリーザ社の株式が現状のままで売却が可能な状況ではなくなったことから、当該分類を中止することといたしました。概要につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 13.売却目的で保有する資産及び直接関連する負債」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、693億51百万円の資金増加となりました。前年同期に比べて470億11百万円の減少となり、この主な要因は、税引前利益の大幅な減少に加え、営業債権及びその他の債権など運転資本の変動があったことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出があったことなどから723億28百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて197億22百万円の資金減少であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払のほか、有利子負債の調達と返済を行ったことなどから結果として15億79百万円の資金増加となりました。前年同期に比べて454億22百万円の資金増加であります。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、換算差額による影響などを含めると、前連結会計年度末に比べて26億70百万円増加の1,414億21百万円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ウォーターテクノロジー事業 |
423,788 |
102.3 |
|
ハウジングテクノロジー事業 |
224,703 |
101.0 |
|
ビルディングテクノロジー事業 |
234,093 |
106.3 |
|
住宅・サービス事業等 |
2,203 |
102.8 |
|
合計 |
884,787 |
103.2 |
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ウォーターテクノロジー事業 |
85,830 |
99.8 |
|
ハウジングテクノロジー事業 |
139,350 |
105.4 |
|
ビルディングテクノロジー事業 |
14,626 |
106.9 |
|
流通・小売り事業 |
117,061 |
101.0 |
|
住宅・サービス事業等 |
36,247 |
123.7 |
|
合計 |
393,114 |
104.2 |
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
受注実績
ビルディングテクノロジー事業の工事物件については、受注生産を行っております。当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比 (%) |
|
ビルディングテクノロジー事業 |
206,109 |
80.1 |
356,341 |
94.0 |
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ウォーターテクノロジー事業 |
833,128 |
100.6 |
|
ハウジングテクノロジー事業 |
540,811 |
101.0 |
|
ビルディングテクノロジー事業 |
256,050 |
94.3 |
|
流通・小売り事業 |
176,381 |
101.6 |
|
住宅・サービス事業等 |
57,852 |
110.6 |
|
報告セグメント計 |
1,864,222 |
100.2 |
|
セグメント間取引 |
△31,614 |
101.8 |
|
合計 |
1,832,608 |
100.2 |
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。また、分析に記載した実績値は1億円未満を四捨五入して記載しております。
① 重要な会計上の見積り及び判断、重要な会計方針
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって利用する重要な会計上の見積り及び判断については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5)重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載のとおりであります。また、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況に対して、事業全体及び主要なセグメントごとに重要な影響を与えた要因について経営者の視点から見た認識及び分析・評価は、次のとおりであります。
当連結会計年度はペルマスティリーザ社を除く従来継続事業が予定通りに進捗した結果、特に国内事業においては新築、リフォーム双方の需要を取り込み力強い回復をみせたことに加え、海外事業においても水回り商品のフルラインアップを提供する取り組みが順調に推移いたしました。さらに、事業利益の改善に向けて従来継続事業のコスト構造見直しを継続するなど、事業基盤は盤石であり、今後も明るい見通しが期待できます。一方で、ペルマスティリーザ社の損失計上により親会社の所有者に帰属する当期損益が大幅な減益となりましたが、既に原因を特定し、再生計画を進めております。ペルマスティリーザ社の収益性回復を目指すとともに、当社グループの潜在能力を最大限に発揮できるよう、2019年5月に公表いたしました新経営計画に基づく主要施策を推進してまいります。
売上収益は、前年同期比0.2%増の1兆8,327億円となりました。国内事業については、ウォーターテクノロジー事業(以下、LWT)は前年とほぼ同水準となったものの、その他の国内事業は増収となり、特にハウジングテクノロジー事業(以下、LHT)の下半期における売上が好調であり牽引役となったことなどから、全体として前年同期比で増収でありました。海外事業については、LWTにおいて中国をはじめとするアジア太平洋地域が増収を牽引したことに加え、欧州・中東・アフリカ地域でも売上が好調でありましたが、アメリカでは概ね横ばい、加えてペルマスティリーザ社が受注抑制を進めた影響等により、全体として前年同期比で減収でありました。
事業利益は、前年同期比83.2%減の128億円となりました。国内事業については、下半期の需要回復や販管費の抑制などがプラスに作用した結果、LWT、LHT及びビルディングテクノロジーの国内3事業における事業利益が上半期に比し大幅に改善いたしました。一方で、海外事業については、人件費や資材価格の上昇に加え、ペルマスティリーザ社の工事コストの損失引当などを受け、大幅な減益となりました。
親会社の所有者に帰属する当期損益は前年同期から1,068億円減少し、522億円の損失となりました。これは、事業利益の減少に加え、前連結会計年度に計上した一過性の子会社や不動産の売却益、持分法適用関連会社に対する持分の処分益がなくなったこと、及びペルマスティリーザ社の売却に関連して計上した繰延税金資産の減少に伴う法人所得税費用の増加等が主な要因でありました。
資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループは、健全な財政状態を維持しつつ、事業活動に必要な資金を安定的かつ機動的に確保すべく、営業活動によるキャッシュ・フローの創出や幅広い調達手段の実現に努めております。手元流動性に関しては、非常時の決済資金相当額を常に維持することを基本とし、財務柔軟性を確保するため、銀行などの金融機関からの借入に加え、コマーシャル・ペーパー発行枠及びコミットメントラインの確保、受取手形・債権の流動化といった取り組みを通じて、調達手段の多様化を図っております。
その結果、当連結会計年度末におけるネット有利子負債は前連結会計年度末に比べて854億円増加の5,845億円となりました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,414億円となりました。
なお、財務状況に関する主要指標の推移は、次のとおりであります。
|
|
2015年 3月期 |
2016年 3月期 |
2017年 3月期 |
2018年 3月期 |
2019年 3月期 |
|
キャッシュ・フロー対ネット有利子負債比率(倍) |
5.7 |
5.8 |
4.8 |
4.8 |
8.4 |
|
ネットデット・エクイティ・レシオ(倍) |
1.0 |
1.3 |
1.2 |
0.9 |
1.1 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
16.2 |
16.7 |
7.7 |
15.5 |
14.9 |
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。なお、各指標は、以下により算出しております。
キャッシュ・フロー対ネット有利子負債比率:(有利子負債-現金及び現金同等物)/営業キャッシュ・フロー
ネットデット・エクイティ・レシオ:(有利子負債-現金及び現金同等物)/親会社の所有者に帰属する持分
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債及び転換社債型新株予約権付社債を対象としております。営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。また、利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(3)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、次のとおりであります。
(のれんの償却停止)
当社グループは、日本基準において、のれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が、前連結会計年度においては約12,000百万円、当連結会計年度においては約10,000百万円それぞれ減少しております。
(注)当社は、日本基準に基づく連結決算を2016年3月期まで行なっておりました。上記の概算額を算出するにあたり、2016年3月期に存在していたのれんについては、日本基準で採用していた償却期間を用いており、2016年4月以後に発生したのれんについては、金額的重要性が乏しい場合は即時に費用処理したものとし、それ以外については償却期間を10年としております。なお、当該償却期間10年は、のれんの効果の及ぶ期間や企業結合の対価の算定の基礎とした投資の合理的な回収期間を表すものではなく、上記の概算額を算出するにあたって設定した任意の年数であります。
(退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理)
当社グループは、日本基準において、発生した数理計算上の差異及び過去勤務費用の全額を一括で費用処理しておりました。IFRSでは、確定給付制度の負債又は資産の純額の再測定は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識しており、直ちに利益剰余金に振り替えております。
この影響により、前連結会計年度においては、IFRSでは日本基準に比べて、税引前利益が1,674百万円増加し、その他の包括利益が1,331百万円減少しております。当連結会計年度においては、IFRSでは日本基準に比べて、税引前利益が5,300百万円増加し、その他の包括利益が3,564百万円減少しております。
Permasteelisa S.p.A.の株式譲渡に関する契約の解除について
当社は、2017年8月21日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社LIXILが保有するPermasteelisa S.p.A.の発行済株式の100%を、Grandland Holdings Group Limited(以下、Grandland社)に譲渡することを決定し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。
本株式譲渡契約の締結後、当社はGrandland社とともに早期の本株式譲渡の完了をめざして最大限尽力してまいりました。しかしながら、本株式譲渡につきましては、対米外国投資委員会(Committee on Foreign Investment in the United States)より、当社及びGrandland社が示した対応方法では承認できない旨の通知を受領することとなりました。
本株式譲渡契約では、予め規制当局等からの必要な許認可が得られることが契約上の前提となっておりました。そのため、当社としては、対米外国投資委員会からの通知を受領して以降、今後の方向性について検討を進めてまいりましたが、検討の結果として、本件株式譲渡契約については解除することが合理的であると判断し、2018年11月27日、売主及び買主双方の合意に基づき、取締役会において本株式譲渡契約を解除することを決定し、同日付で株式譲渡契約を解除いたしました。
概要につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 13.売却目的で保有する資産及び直接関連する負債」に記載のとおりであります。
当社グループは、「私たちは、優れた製品とサービスを通じて、世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献します。」という企業理念のもと、総合的な住環境ソリューションを提供する会社として事業を展開しております。また、「地球と調和する「暮らしの理性」を創造する」ことをテーマとし、地球環境に配慮した商品・サービスの提供をはじめ、企業活動のあらゆる場面において循環型社会を目指し、企業市民としての社会的責任を果たしてまいります。
このような理念のもと、商品開発においては確かな品質、高い技術に基づいて、快適な住生活・都市環境を実現しお客様に喜ばれる商品を市場に送り出すことを大きな役割と考えており、研究開発部門では、開口部商品、住設機器、内装建材や外装建材から住宅のパネル工法にいたるまで、健康、環境負荷低減、高齢者配慮、省資源・省エネルギーなどの様々な視点から研究を重ねております。これらの基礎研究、技術開発、商品開発は当社グループの各社における技術研究所、研究開発部門及び商品開発部門が品質保証部門等と連携のもとに取り組んでおります。
当連結会計年度の研究開発費のセグメント別の実績及び総額は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
|
セグメントの名称 |
金額 |
|
ウォーターテクノロジー事業 |
|
|
ハウジングテクノロジー事業 |
|
|
ビルディングテクノロジー事業 |
|
|
住宅・サービス事業等 |
|
|
合計 |
|
[ウォーターテクノロジー事業]
トイレでは、平常時も災害時もいつもと同じ場所・同じ使い方で、子供から高齢者まで誰でも使えるINAX災害配慮トイレ「レジリエンストイレ」を発売いたしました。システムバスルームではより心地よい入浴を実現するため、「アライズ」に広々とした“ミナモ浴槽”や“らくらくレイアウト”、水道水に含まれる残留塩素を低減し髪や肌へのダメージを抑える“うるつや浄水”を搭載いたしました。タイルでは、発売20周年を迎える「エコカラット」シリーズを清掃性に優れた「エコカラットプラス」に統合し、商品ラインナップを充実させて発売いたしました。キッチンでは並行作業が快適にできる“Wサポートシンク”にワイドタイプを追加し、発売いたしました。水栓金具では、触らずに吐水・止水ができる“キッチン用タッチレス水栓ナビッシュ”に、コンセントが不要な“乾電池式”を追加して発売いたしました。その他水回りを快適にする新製品を多数開発・発売いたしました。
[ハウジングテクノロジー事業]
サッシドアではアルミと樹脂の良さを配合したハイブリッド窓で“外と中のつながる心地よさ”を追求した「LWスライディング」を発売し、玄関ドアの「グランデル2」と共にデザイン界で権威あるRed Dot Awardを受賞しております。エクステリアでは、“住宅に調和するデザイン”をコンセプトにDesign Style開発を実施し、リアルな木目を再現した「フェンスAA」や「プラスG」などを発売いたしました。また、IOT技術を取入れた宅配ポストなどでスマートエクステリア商品の充実を図りました。内装建材では、こだわりのインテリアとして建具上位グレードの「ラフィス」を発売いたしました。また、2019年春には“暮らしが変わる収納スペース”をコンセプトに「ビィータスパネル」を発売し、デザインから暮らしまで幅広い提案を実現させております。ZEH事業では、ZEH住宅向け電気代お得サービス「建て得バリュー」を発売し、資源エネルギー庁長官賞を受賞しております。その他多くの新製品を開発・発売いたしました。
[ビルディングテクノロジー事業]
1窓あたり1時間程度で交換できる低層マンション向けリフォーム専用カバーサッシ「ビルサッシ サーモス-H RF防火戸」を発売いたしました。今後ますます高まることが予想される低層マンションのリフォーム需要に向け、高い断熱性能を有した窓への手軽なリフォームを実現させたことに加え、従来品に比べ障子のフレーム幅を最大で約30%細くし、ガラス面積を広くすることで採光性を高めております。また、より開放的な空間を求める建築家のニーズに応えるため、内観見付を60mmまでスリム化し、すっきりとした意匠と開放的な空間を実現させるビル用高意匠隠框サッシ「E-SHAPE Window TYPE-S」を発売いたしました。
[住宅・サービス事業等]
新築住宅では、断熱性能や気密性能など建物の基本性能の向上に取り組み、「アイフルホーム セシボ」、「フィアスホーム アリエッタ」、「ジーエルホーム Woods Hill(ウッズヒル)」を発売いたしました。また、地盤調査の分野においては、戸建住宅の液状化調査技術の向上にも取り組んでおります。これらの結果、ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2018の優秀賞・特別優秀賞、及びジャパン・レジリエンス・アワード2019の最優秀レジリエンス賞を受賞しております。