本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営方針及び経営環境
当社グループでは、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」という企業としての存在意義「LIXIL Purpose」を明確化し、ステークホルダーの皆様と社会に対する持続的な価値創造の実現に取り組んでおります。また、従業員こそが当社グループの価値創造の原動力であると位置づけ、従業員が社会に貢献するという強い目的意識を持ち、日々の業務の中で「LIXIL Behaviors(3つの行動)」を実践することで、存在意義の実現に取り組んでおります。
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上記の「LIXIL Purpose」のもと、当社グループは、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水回り製品と窓、玄関ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しております。また、ものづくりの伝統を礎に、INAX、GROHE、American Standard、TOSTEMをはじめとする数々の製品ブランドを通して、世界をリードする技術やイノベーションで、人びとのより良い暮らしに貢献しております。世界150カ国以上で事業を展開する当社グループは、生活者の視点に立った製品を提供し、毎日世界で10億人以上の人びとの暮らしを支えております。
当社は、起業家精神にあふれ、高い競争力を持ち、持続的な成長を通じて社会に貢献できる組織の構築に向けて、様々な変革を進めてまいりました。当社の完全子会社であった株式会社LIXILとの合併を2020年12月に完了し、持株会社体制からより迅速な意思決定を可能にする事業会社体制へと移行して、新生LIXILとして新しいスタートを切りました。この合併は、このような組織変革における大きな節目であり、機動的な組織の構築、意思決定の迅速化やガバナンスの強化を通じてさらなる企業価値の向上につながるものと考えております。
昨年は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、誰も想像できなかったようなスピードで、社会や経済、私たちの働き方や暮らし、価値観など様々な側面で大きな変化が生まれました。当社グループは、お客様やお取引先様、従業員やその家族などあらゆるステークホルダーの安全と健康を最優先に考え、感染拡大の抑止に努めるとともに、世界の人びとの健康で快適な暮らしを支えるという企業としての使命を果たすことができるよう、事業継続に注力してまいりました。
コロナ禍において世界経済、社会はかつてない環境の変化に直面しておりますが、当社グループはこうした変化の中にも新たなビジネスの機会が生まれると考えております。例えば、「ニューノーマル」において、自宅で過ごす時間が増えることで、快適な住環境の重要性や、衛生面や健康面への関心がこれまで以上に高まっております。手を触れることなく使用できるタッチレス水栓や、非対面での荷物の集荷や受け取りが可能なスマート宅配ポストなど、「ニューノーマル」における新しいエンドユーザーのニーズに対応する幅広い製品を提供し、新しい暮らしや働き方をサポートしており、この取り組みは今後も継続してまいります。また、日本で開発された先進技術を搭載し、高いデザイン性を兼ね備えた製品を、グローバルブランドを通じて海外でも展開しており、世界に広がる営業基盤やサプライチェーンを活用することで、地域の枠を超え、世界の人々の新しい暮らしや働き方を支えております。
また、コロナ禍において、デジタル化の流れが大きく加速しております。当社では、数年前からデジタルの活用を積極的に推進してきたことから、在宅勤務への移行もスムーズに実現することができ、現在においても従業員の多様な働き方を積極的に推進しております。さらに、デジタル化によって、従業員間だけでなく、お客様やお取引先様などあらゆるステークホルダーとのコミュニケーションのあり方が変わりつつあります。日本全国に展開するショールームでは、デジタルツールを活用することで、商品の案内から見積りの作成など、お客様が自宅にいながら来館時と同じようにサービスを受けることができる「オンラインショールーム」をいち早く導入いたしました。エンドユーザーとビジネスパートナーをオンラインでつなぐ新しいデジタル環境を提供することで、購買プロセス全体の利便性を高め、新たな価値を提供しております。また、欧州では「GROHE X」という業界初となるデジタルプラットフォームを開発し、オンライン上でエンドユーザーそれぞれのニーズに応じたブランド体験を可能にするとともに、プラットフォーム上でビジネスパートナーが担当者との直接対話ができるなど、デジタルでの接点を強化しております。これまで継続的に進めてきた変革の取り組みがあったからこそ、事業環境の変化にも迅速に対応し、新たな成長機会へと変えていく力につなげることができたと考えております。
こうした中、当社グループにおいてはデジタルを活用した様々な業務変革に積極的に取り組んでおります。
「アジャイルな組織への変革」
~デジタルを活用した従業員同士のコラボレーションを加速する~
当社グループでは、2018年、世界150ヵ国で働くチームの連携を強化し、社内の透明性を高め、オープンなコミュニケーションを可能にするため、Facebook社が提供する企業向けSNS「Workplace」を導入いたしました。これにより、従来の階層的な組織構造によるトップダウン型のコミュニケーションから転換し、従業員同士の連携やオープンなコミュニケーションが活性化するとともに、従業員一人ひとりが、会社全体を俯瞰しながら、自ら思考し、行動できる環境を創り出しております。また、デジタルツールの活用によって生産性やチームワークの向上にもつながっております。
「お客様も気づいていないニーズを捉える」
~新たな顧客層の開拓に向けて、将来を見据えたビジネスモデルを構築~
当社では、持続的な成長の実現に向けて、顧客志向を強化するとともに、将来性のある事業の強化に投資を継続しております。その際、エンドユーザーの声に耳を傾け、潜在的なニーズをいち早く捉え、従来にない新しい製品の開発につなげるため、クラウドファンディングの手法を活用しております。ハウジングテクノロジー事業の新規部門である「ビジネスインキュベーションセンター」が手掛けた、取り付けるだけで住宅の玄関ドアを自動ドアへ生まれ変わらせる電動オープナーシステム「DOAC」は、クラウドファンディングの仕組みを活用した製品開発の一例です。車いすユーザーが外出、帰宅する際や、重い荷物を持っている時など、誰でもタッチレスで玄関ドアの開閉が可能になり、新しいバリアフリーリフォームを実現しております。
加えて、当社グループでは、ESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組みを通じて社会に貢献することを目指し、当社グループにて培った技術や知見を活かして、グローバルな社会課題への対応を継続的に進めてまいりました。具体的には、事業を展開する地域で特に緊急性が高く、当社グループの専門性や事業を通じて貢献できる社会課題を特定し、その解決に向けて、コーポレート・レスポンシビリティ(CR)戦略に基づく重点的な施策を推進しております。事業活動を通じて社会に貢献することは、企業としての使命であり、社会全体に利益をもたらすだけでなく、当社グループの長期的な持続可能性を高める上でも非常に重要であると考えております。
当社グループは、CR戦略の3つの優先取り組み分野として「グローバルな衛生課題の解決」、「水の保全と環境保護」、「多様性の尊重」を掲げており、それに加えて「強固なガバナンス基盤の構築」を通じて、企業としての存在意義の体現を目指しております。
「グローバルな衛生課題の解決」
世界では、約4人に1人にあたる20億人が、安全で衛生的なトイレのない環境で暮らしています。そのうち6.7億人は日常的に屋外で排泄をしています。不衛生な環境は命を脅かし、1日あたり約700人を超える5歳未満の子どもが、衛生問題に起因する下痢性疾患で亡くなっています。当社グループが取り組むのは、地域特性やニーズに合わせた課題解決です。なかでも、下水道の整備が十分ではない開発途上国の農村地域向けに開発された簡易式トイレシステム「SATO」は、これまでに38カ国以上へ約510万台を出荷し、約2,500万人の衛生環境改善に貢献してまいりました。事業を通じて衛生課題の解決に取り組んでいることは社外からも高く評価され、2019年3月期には、「第2回SDGsアワードSDGs推進副本部長(外務大臣)賞」を受賞いたしました。また、当社グループは2025年までに1億人の衛生環境を改善することを目標に掲げております。
「水の保全と環境保護」
当社グループは、「環境ビジョン2050」のもと、2050年までに事業プロセスと製品・サービスを通じて、CO₂の排出量を実質ゼロにし、水の恩恵と限りある資源を次世代につなぐリーディングカンパニーとなることを目指しております。2050年までに事業所で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指すRE100イニシアチブに参加しており、2020年10月までに海外の8つの水栓金具工場で実現いたしました。また、2026年3月期までに国内のすべての窓シリーズ商品を高い断熱性を誇る高性能窓に刷新する取り組みを進めております。一方、循環経済の実現に向けて、GROHEブランドから、初の「Cradle to Cradle®」のゴールド認証を受けた水栓金具とシャワーレールセットを発売いたしました。この認証では、環境や社会などのサステナビリティに関わる5つのカテゴリで評価されており、それぞれの製品はライフサイクルを通じた資源や水、エネルギーの利用に最大限配慮しております。
「多様性の尊重」
当社グループでは、多様性こそが競争力と独自性を高める原動力になるという考えのもと、「多様性の尊重」をコーポレート・レスポンシビリティ戦略における3つの優先取り組み分野の一つに掲げております。
組織全体としてさらなるダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進に取り組むため、2021年3月にD&I戦略と目標を更新いたしました。全社におけるD&Iの戦略目標として、2030年までに、当社の取締役及び執行役の男女比を均等にするとともに、全社の管理職についても、女性比率30%の達成を目指します。また、日本においては2030年まで新卒採用者の男女比の均等を維持するなど、地域別の目標も設定しております。社会の多様化を反映し、当社グループの製品やサービスを提供する顧客層も多岐にわたっており、ジェンダーの不均衡の是正を進めることは、全社においてさらなる変革を推進するとともに、顧客志向を徹底していく上でも非常に重要であります。新戦略のもとで、人事制度の見直しをはじめ様々な施策を推進することで、誰もがその能力を存分に発揮できるインクルーシブな組織を構築するとともに、顧客志向の強化につなげてまいります。
「強固なガバナンス基盤の構築」
当社は、当社が目指す持続的成長のためには、強固なコーポレート・ガバナンス体制の構築が必要不可欠であるとの考えのもと、取締役会・委員会・執行役が相互に連携し、経営の効率性及び透明性の向上を図り、適時・適切な監督機能を発揮することで、強固なコーポレート・ガバナンス体制を構築しております。
具体的には、当社は経営の執行と監督を明確に分離し、執行役による迅速・果断な意思決定を可能にするとともに、経営の透明性を確保することを目的に「指名委員会等設置会社」制度を採用しております。また、法定の取締役会・各委員会に加えて、当社のコーポレート・ガバナンスの継続的な充実を担う「ガバナンス委員会」を任意常設の委員会として設置し、コーポレート・ガバナンスに関連する諸事項に関して協議又は取締役会への提言を行っております。
なお、詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、起業家精神にあふれ、持続的な成長を通じて社会に貢献できる組織の構築を目指し、中期計画の4つの柱に基づいた主要施策を着実に推進しております。
[ 中期計画の4つの柱 ]
1.持続的成長に向けた組織を作る
当社グループは、変化に俊敏に対応できるような環境を構築するため、組織文化の変革を進めております。従業員が起業家精神を発揮し、活発な意見交換や実験的な取り組みを行えるような組織風土を醸成していきます。また、従業員が互いを尊重し、刺激を受け合い、熱意を持って取り組むことができるような環境を作るとともに、社会的に意義のある大きな目標の達成を通じて従業員が一つになることができるような企業を目指してまいります。
2.魅力ある差別化された製品の開発
当社グループは、多様なライフスタイル、ニーズや嗜好に対応する強いブランドを有し、こうしたブランドに対する投資とその真髄となるDNAの強化を進めることで、利益ある成長につなげていきます。また、変化する消費者ニーズや嗜好に対応できるよう、イノベーション、デザイン、品質の向上をさらに追求していきます。さらに、製品開発のための強い知的財産の基盤を持ち、短いサイクルで差別化された製品を市場投入できるよう「アセットライト」のビジネスモデルへ移行するとともに、国内の組織構造の見直しを行い、製品開発、生産、販売の機能を一組織に統合することで、製品開発サイクルのスピード向上を図ってまいります。
3.競争力あるコストの実現
当社グループは、バランスシートと利益率の改善に向け、新技術やインフラの活用により、効率的で柔軟なサプライチェーン管理体制を構築し、コスト管理を向上させます。さらに、間接部門の生産性を高め、必要とする部門に人員の再配置を行うなどの施策推進を通じて、コスト効率の向上につなげてまいります。
4.エンドユーザー・インフルエンサーへのマーケティング
当社グループは、エンドユーザー、並びに工事業者、デザイナー及び工務店などのインフルエンサーとの接点の拡充を図ります。また、オンラインショールームをはじめとする各種サービスの推進を通じて、リフォームに対するエンドユーザーの不安を取り除き、日本における新たなリフォーム需要を創出してまいります。
また、当社グループでは、企業としての存在意義(パーパス)を果たすため、高い競争力を持ち、持続的な成長ができる、より機動的で起業家精神にあふれた企業となるための取り組みを続けております。この達成に向けて、ガバナンス体制の強化や成長を加速させ、財務体質を強化するための事業ポートフォリオの最適化、基幹事業における生産性と効率性を高め、シナジーを創出するための積極的な取り組みなど、事業の変革を推進しております。これらの取り組みを通じて、中期的な指標としては事業利益率を7.5%まで高めること、及びネット有利子負債EBITDA倍率を3.5倍以下まで改善することを目標としております。
こうした経営の基本的方向性のもと、まずは財務体質の改善と組織の簡素化に取り組むことで成長基盤を整備し、利益率の向上に注力してまいりました。当社グループでは、中長期的に目指す経営の方向性を「LIXIL Playbook」としてまとめ、全社で共有しております。LIXIL Playbookは、当社グループの持続的成長に向けて、以下の4つの優先課題に加え、従業員がその能力を存分に発揮できる環境の整備を、戦略実行を支える基盤として明確化しております。
[ 「LIXIL Playbook」における4つの優先課題と進捗状況 ]
① 組織の簡素化と基幹事業への集中
当社グループは、前連結会計年度に引き続き、Permasteelisa S.p.A. (2020年9月)、株式会社LIXILビバ(2020年11月)等、子会社の株式譲渡を実施いたしました。これは、基幹事業である水回り事業及び住宅建材事業へのさらなる注力を図り、当社グループの統合強化によるシナジーの最大化や効率化を目指す取り組みの一環であります。加えて、バランスシートの強化、キャッシュ・フローの改善や債務の削減、運転資本効率の改善等により、財務基盤の強化を図ることができ、基幹事業において収益性の高い成長分野にさらなる投資を行うことが可能となりました。
また、上述のとおり、当社は、当社の完全子会社であった株式会社LIXILとの合併を2020年12月に実施し、純粋持株会社から事業会社として事業運営を行う体制に移行いたしました。加えて、国内組織体制の簡素化を実施したことにより、意思決定の迅速化を図り、さらには生産性を向上させ、当社グループの最大市場である日本において事業運営にかかるコストを削減することができるものと考えております。
② 日本事業の収益性改善
日本は当社グループにとって最大の市場であり、グローバルに展開するイノベーションを生み出すという重要な役割を担っています。一方で、国内では人口減少に伴い、新築住宅市場も縮小しています。そのような中、国内事業は高コスト体質と従来型の人事システムという課題を抱えており、市場の変化に左右されやすい事業構造となっておりました。厳しい事業環境においても持続的な発展をしていくためには、国内事業の生産性と収益性を高め、キャッシュジェネレーターへと転換させていかなくてはなりません。
当社グループは、国内事業の活性化に向けた包括的な人事プログラム「変わらないと、LIXIL」を推進し、実力主義に基づく組織文化への転換を進めております。国内においては、顧客志向の徹底や、あらゆる世代のキャリア開発支援、従業員のエンゲージメント強化を目的とした施策を実施しております。また、人事施策の一つとして早期退職優遇制度(キャリアオプション制度)を導入し、多くの日本企業が直面する従業員の年齢構成の課題にも対応しております。
③ ウォーターテクノロジー事業における海外事業の成長促進
当社グループは、グローバルシェアの拡大を目指し、水回り事業を中心に各国、各地域で収益性の高いカテゴリへの参入に注力するとともに、グローバルな資産とブランド・ポートフォリオを活かして地域ごとの戦略を強化してまいります。また、当社グループは差別化されたブランド・ポートフォリオを有しており、これを戦略的に活用しながら、世界市場で事業を展開することで、さらなる成長を目指します。
④ イノベーションによる長期的な成長基盤の確立
当社グループは、新規事業に時間とリソースを投入していかない限り長期的に持続可能な成長は達成できないものと考えており、この取り組みを通じて将来に向けた成長につながる機会を生み出しております。例えば、ビジネスのデジタル化と自動化は、このようなイノベーションを創出する機会となりました。日本で導入したオンラインショールームは、購買プロセス全体における利便性を高めることで、エンドユーザーに新しい価値を提供しております。また、デジタル化により、ビジネスパートナーと競合するのではなく、彼らをサポートするという全く新しいデジタル環境を構築し、競合他社に対して大きな優位性を確立することができました。
前連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の拡大により、誰もが想像できなかったようなスピードで、社会や経済、私たちの働き方や暮らし、価値観等様々な側面で大きな変化が生まれました。そのような環境の中で、当社グループは、お客様やお取引先様、従業員やその家族等あらゆるステークホルダーの安全と健康を最優先に考え、感染拡大の抑止に努めるとともに、世界の人びとの健康で快適な暮らしを支えるという企業としての使命を果たすことができるよう、事業継続に注力してまいりました。
中長期的にみますと、当社の売上収益の約7割を占める日本市場においては、新設住宅着工戸数の減少が続くことが予想されており、新型コロナウイルス感染症の影響によりさらに需要の減退は加速することが見込まれております。また、消費者ニーズの変化や急速なデジタル化の進展により、旧来のビジネスモデルを転換させることは喫緊の課題となっております。このような環境下において、競争力のさらなる強化と持続可能な成長の実現に向けて、従業員の働き方や企業文化の変革をスピーディーに進め、変化に迅速に対応していくことが必要です。成熟した市場に対応した事業構造への転換を進め、コスト競争力を強化し、拡大するリフォーム需要とオンライン化が進むエンドユーザーの消費行動に対して、より迅速に対応してまいります。
当社グループは、「ニューノーマル」における健康、快適、安心・安全な暮らしの実現に向けて、そして「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」のために、引き続き経営陣と従業員が一丸となって邁進してまいります。
当社グループでは、事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、それらについてグループ共通の基準(事業計画への影響度と発生可能性等)で評価を行い、グループ内での事業規模の違いや外部環境の変化等に基づき、経営者の目線からリスク間の相対的な関係を考慮した上で対処すべきリスクの優先順位を決定しております。
また、リスクの洗い出しに際して、リスクを戦略リスクとオペレーショナルリスクに分類しており、それぞれ以下のように定義しております。
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戦略リスク |
事業戦略の策定及び遂行により獲得を企図する成果が予定通り獲得できない程度及びその発生可能性であり、健全な範囲で事業成果を獲得するために敢えて選択して取るリスク |
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オペレーショナルリスク |
戦略遂行を支えるオペレーション上の事象による損失額及び事象発生可能性であり、事業遂行上一定以下に抑制すべきリスク |
これらに基づき、リスクにおける重要性を判断した上で、当社グループの各事業、管理部門、マネジメントの各レベルが当該リスクに応じた対策を立案、実行し、対策の進捗状況をモニターし、継続的に改善する活動を展開しております。
また、監査委員会は取締役会及び各委員会への参加、重要書類の閲覧、会計監査人とのコミュニケーション等を通じて、対処すべき優先順位の高いリスクについて適切な対策が実行されているかモニターしております。なお、上記に加えて、必要に応じて各事業及び子会社に対する現地往査も実施しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクについて、影響度、発生可能性、重要性の前年からの変化をリスクマップに一覧化し、詳細な情報を記載しております。なお、当社グループでは、各リスクについてグループ共通の基準で評価した結果を一元的に管理するために、戦略リスクとオペレーショナルリスクを同一のリスクマップに表示しております。
なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(新型コロナウイルス感染症に関するリスク)
2019年11月に発生が確認された新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により経済及び社会活動が急激に停滞したことに伴い、当社グループの業績に少なからず影響を及ぼす結果となりましたが、地域によってバラツキはあるものの、国内事業・海外事業とも概ね回復の方向に向かっております。新型コロナウイルス感染症の拡大による最大の懸念は、グローバルに展開する当社グループの従業員及び家族の安全と健康が損なわれる点、及び各拠点における職場の労働安全衛生を担保することが困難となることにより、人的被害が発生する可能性がある点です。また、労働安全衛生に加え、政府による移動制限処置等の影響を受けて職務環境へのアクセスが困難となり、従来通りに業務が行えなくなる可能性もあります。
サプライチェーンへの影響においては、今後、感染が再度拡大し、各国においてロックダウン(都市封鎖)が再実施された場合には、原材料の供給遅延や従業員の出社停止に伴う工場の操業度の低下又は生産停止等が発生する可能性があります。新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動への影響については不確定要素が多く、状況変化が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、その影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.追加情報」に記載のとおりであります。
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発生可能性 |
高 |
影響度 |
中 |
重要性の前年 からの変化 |
減少 |
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対応策 |
当社グループでは、従業員及び家族の命の安全確保を最優先に対応しております。具体的には、感染拡大を防止するため、出張・移動・出社の制限、感染予防法の周知、感染発生時の対応準備、感染発生時の報告フロー整備などを行っております。また、当社グループでは、在宅勤務の環境整備と運用を従来から推進しており、従業員が安心して働ける環境を構築するとともに、事業活動を従来通り継続することに努めております。 事業活動の継続にあたっては、原材料調達状況及び生産状況の的確な把握と対応、自社グループ他拠点への調達・生産の移管、代替品の検討、重要な部品の複数購買実施により、製品の世界市場での安定供給に努めております。 |
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経営方針等 との関連性 |
- |
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(リスクマップ及び凡例)
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事業等のリスク |
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- |
☆ |
新型コロナウイルス感染症に関するリスク |
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戦略リスク |
事業横断的なリスク |
(1) |
経済状況の変動に関するリスク |
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(2) |
為替相場・金利の変動に関するリスク |
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(3) |
新製品の開発に関するリスク |
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(4) |
原材料等の供給に関するリスク |
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(5) |
環境に関するリスク |
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(6) |
事業再編に関するリスク |
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(7) |
他社との連携・企業買収等に関するリスク |
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(8) |
人材の獲得と育成及びダイバーシティ推進に関するリスク |
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(9) |
設備等の操業度に関するリスク |
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事業特有のリスク |
ウォーターテクノロジー事業 |
(10) |
販売チャネルに関するリスク |
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(11) |
ブランドに関するリスク |
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ハウジングテクノロジー事業 |
(12) |
競合他社との競争・製品価格に関するリスク |
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オペレーショナルリスク |
(13) |
災害・事故・感染症等に関するリスク |
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(14) |
情報セキュリティに関するリスク |
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(15) |
訴訟その他法的手続きに関するリスク |
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(16) |
製造物責任や補償請求に関するリスク |
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(17) |
繰延税金資産の回収可能性に関するリスク |
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(戦略リスク)
[事業横断的なリスク]
(1) 経済状況の変動に関するリスク
当社グループは、日本国内において販売活動を行っており、その売上収益は日本国内における需要、景気、物価の変動、産業・業界の動向に影響を受けます。特に、新設住宅着工戸数や建設会社の建設工事受注高の大幅な変動、ウッドショックと呼ばれる木材価格の高騰等は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、中国、タイなどのアジア、欧州や北米など海外諸国において生産活動及び販売活動を行っており、これらの国々において戦争、内乱、紛争、暴動、テロ等が発生した場合には、当該国及び周辺地域における販売活動だけでなく、原材料の価格面や数量面で調達安定性を脅かし、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
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発生可能性 |
高 |
影響度 |
高 |
重要性の前年 からの変化 |
同水準 |
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対応策 |
日本での販売活動において、日本国内における人口減少に伴う新設住宅着工戸数減少の予想を踏まえ、新築市場におけるシェアの拡大の取り組み、中高級品市場への拡販、リフォーム戦略の強化を進めております。また、海外での生産・販売活動においては、外部の第三者機関等を通じて政治情勢、政策変更等をモニターすることにより、政情不安等の地政学リスク顕在化の兆候の早期把握や、代替調達先の確保による製品・原材料を含めた適切な在庫水準の維持により、安定的な供給体制の構築に努めております。 |
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経営方針等 との関連性 |
①[持続的成長に向けた組織を作る]事業領域を常に再定義し続ける |
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(2) 為替相場・金利の変動に関するリスク
当社グループは海外諸国において事業を展開しているため、為替変動は、当社グループの外貨建取引により発生する資産及び負債の円貨換算額に重要な影響を与える可能性があります。また、外貨建で取引されている製品の価格や売上収益等にも重要な影響を与える可能性があります。さらに、当社グループの資金調達は、主として金融機関からの借入や社債の発行等の有利子負債によっており、市場金利が著しく上昇した場合には当社グループの資金調達に係る金利負担が増加し、借入や社債発行による資金調達の難航や支払利息・社債利息が増加する等、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
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発生可能性 |
高 |
影響度 |
中 |
重要性の前年 からの変化 |
同水準 |
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対応策 |
日本の財務部門において、運転資金及び投融資による資金需要を把握し、投資審査委員会で全ての案件を審査する体制を構築しております。また、日本の財務部門の他に、中国、シンガポール、ドイツ、米国に1か所ずつ計4拠点の「リージョナル・トレジャリー・センター」を設置し、各拠点において為替の市場動向を月次でモニターするとともに、必要に応じヘッジ手続きを実行することにより、為替変動の影響を低減しております。また、当該「リージョナル・トレジャリー・センター」に各地域における資金管理業務等を集約することにより、資金調達の効率化及び安定化を進めております。 |
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経営方針等 との関連性 |
①[持続的成長に向けた組織を作る]事業領域を常に再定義し続ける |
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(3) 新製品の開発に関するリスク
当社グループは、高品質の健康かつ快適で安全な住空間の創造を実現するために、常に技術と顧客ニーズを的確に把握し、魅力ある製品開発を行っております。しかしながら、市場や業界のニーズ変化に対応できない、あるいは十分な開発投資を維持できず上市に至らない等の場合、将来の成長鈍化と売上収益の低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
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発生可能性 |
低 |
影響度 |
中 |
重要性の前年 からの変化 |
同水準 |
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対応策 |
革新的なスタートアップ企業との提携やグローバル情報ネットワークの活用を通じて、消費者ニーズの変化に迅速に対応する体制を構築しております。また、当該ニーズを満たす魅力ある製品を開発するため、衛生陶器の新素材である「アクアセラミック」を代表とする先進技術の開発やデザイン力の強化及び製品プラットフォームの統一により、スピード感のある製品開発に努めております。さらに、新製品の開発活動時はステージゲートの設定・運用、上市後は新製品業績の管理により、市場トレンドと開発戦略が適合しているか確認しております。 その他の取り組みとして、クラウドファンディングを活用し、市場に対して新しい価値を提供する製品を試験的に販売することで、消費者のニーズや嗜好のトレンドの収集を行っております。 また、コストや納期よりも品質を最優先する風土の醸成に努めております。具体的には、「お客さまから選ばれるLIXIL Qualityを実現しよう!」という品質テーマを掲げ、すべての組織が「お客さまの満足」という同じ方向を向き、相互にカバーしながら結果につながるよう努めております。 |
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経営方針等 との関連性 |
②[魅力ある差別化された製品の開発]イノベーション ②[魅力ある差別化された製品の開発]ブランド ②[魅力ある差別化された製品の開発]デザイン ④[エンドユーザー、インフルエンサーへのマーケティング]エンドユーザー ④[エンドユーザー、インフルエンサーへのマーケティング]総合メーカーとしての戦略 |
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(4) 原材料等の供給に関するリスク
当社グループの生産活動においては、資材、部品、その他のサービス等の供給品を適宜に調達しております。そのため、業界の需要増加や事業展開国におけるインフレ等による原材料価格の高騰、コモディティの価格変動や重要な物的資源(石油、アルミ、木材やステンレス等)の調達可能性の変動の結果、売上原価が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、資材、部品、その他のサービス等の供給品は、欠陥や欠品により当社グループの製品の信頼性や評判に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、生産・販売活動と密接に関わる物流業務に関して、石油価格の変動や人件費の高騰を背景に物流費が変動することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
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発生可能性 |
低 |
影響度 |
中 |
重要性の前年 からの変化 |
同水準 |
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対応策 |
原材料価格高騰部分の販売価格への転嫁、複数購買の実施、より採算性の高いサプライヤーへの集約、取引先の信用情報調査の実施、取引先との定期的なコミュニケーションの実施、定期的な品質テスト、安全在庫量の確保等により、安定的な供給体制の構築に努めております。また、物的資源の再利用を研究することによるリサイクルを推進しております。さらに、物流効率の改善に取り組むことで物流費の安定化を図っております。 |
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経営方針等 との関連性 |
③[競争力あるコストの実現]サプライチェーンの質的向上 |
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(5) 環境に関するリスク
当社グループは、「LIXIL環境方針」に基づき、地球環境保全に向け様々な活動を行っております。特に近年においては、気候変動の影響を受けて省エネ関連の法規制強化や炭素税導入等新たな法規制が整備されることにより、従来は問題視されることのなかった生産・販売活動が法令違反に該当する可能性が増加しております。また、今後世界的な脱炭素化の流れが加速していくことにより、化石燃料を使用する製造プロセスの見直しが必要となる可能性があります。当社グループの事業活動に起因する重大な環境汚染等が発生した場合や異常気象による製造設備への損害等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、昨今の環境問題に対する意識の高まりと、脱炭素化の動きを鑑み、「重要性の前年からの変化」を「同水準」から「増加」に変更しております。
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発生可能性 |
中 |
影響度 |
中 |
重要性の前年 からの変化 |
増加 |
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対応策 |
ISO14001もしくは環境マネジメントシステムによる環境関連法令の洗い出しや遵守の点検ルールを定め、運用状況について定期的に審査を実施しております。「環境パフォーマンスデータ報告ガイドライン」を整備・運用することで、当社グループ全体の目標管理とモニタリング体制を強化し、当社グループ全体での環境負荷削減を推進しております。また、当社グループ独自の環境マネジメントシステムに基づく内部監査を実施しており、対象を子会社へと順次拡大しております。さらに、内部監査で指摘があった事項については、フォローアップを行い、改善の実施を確認することで、環境マネジメントシステムの効果的な運用につなげています。また、2050年に向けた長期的な脱炭素技術の開発や導入を促進していくために、製造技術や製品材料の研究を進めております。 |
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経営方針等 との関連性 |
①[持続的成長に向けた組織を作る]尊敬され、誇りを持てる会社になる |
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一方で、SDGsの目標6に掲げられているとおり、世界には下水や衛生施設の設置が行き届いていないことにより屋外での排泄を余儀なくされている人々が数多く存在します。また、水質汚染や渇水により十分な水資源へのアクセスが無い地域においては、より効率的な水資源の活用を前提とした排泄物を処理する仕組みや節水技術が求められております。
このようなニーズに対応するために、当社グループは、2025年までに1億人の人々の衛生環境を改善し、生活の質向上につなげることを目指しております。具体的にはトイレの設置が行き渡っていない開発途上国の農村部における簡易式トイレシステム「SATO」の展開と事業としての黒字化、トイレは設置されているものの水の供給量が限られる都市部における活用を目指したマイクロフラッシュトイレシステムの開発、屋外トイレの設置が困難なスラムにおける活用を目指したポータブルトイレシステムの開発を進めております。
さらに、パリ協定及びSDGsの目標13に掲げられているとおり、CO2削減のため、製造・販売活動の見直しや気候変動による影響を低減するための取り組みを実施することが以前に増して企業に求められております。また、世界的な人口増加や経済成長に伴い、持続可能な資源利用や節水・浄水技術に対する需要が高まっております。
このようなニーズに対応するために、当社グループは、「環境ビジョン2050」を定め、気候変動対策を通じた緩和と適応(事業プロセスと製品・サービスによる温室効果ガスの排出を実質ゼロにする)、水の持続可能性を追求(節水や水の循環利用、浄水技術などを通じて、水の環境価値を創造する)、資源の循環利用を促進(循環型社会への変革に貢献し、限りある資源を未来につなぐ)の分野に注力いたします。事業プロセスにおいては、工場やオフィスでの徹底した省エネ活動や、再生可能エネルギーの利用、製造プロセスのエネルギー効率化に向けた技術開発を推進してまいります。また、各地域の水関連の問題に対する事業へのリスクを把握し、水使用効率の改善や循環利用、排水管理などの適切な施策を実施することで、事業を行う地域で継続した水の利用を可能にする環境の維持に努めております。さらに、廃棄物の削減や適切な管理を徹底するとともに、サプライヤーと協働し、新規に投入する資源の最小化や、リユースやリサイクルをさらに促進することで、社会とともに資源の循環利用を加速させる仕組みを構築してまいります。
これら社会課題への取り組みを推進することにより、現在のみならず将来の事業展開国・地域における当社グループの持続的な成長と、存在意義及びブランドイメージの向上を実現することを目指しております。
(6) 事業再編に関するリスク
当社グループは、経営の効率化及び競争力強化のため、不採算事業からの撤退、子会社や関連会社の再編、製造拠点や販売・物流網の再編及び人員の適正化等による事業の再構築を行うことがあります。これらの施策に関連して、事業再編後の組織において当社グループと対象事業の戦略が整合しておらず、全体として最適な戦略に基づき経営資源が配分されないこと等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
さらに、投融資等の意思決定の際に、事業戦略、領域、展開国等に内在するリスクが体系的に識別されず、投資実行後に当初想定していた利益やシナジー効果を実現できないこと等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度において、事業構造を簡素化し、基幹となる事業への経営資源の集中を図るため、一部の非中核事業の売却を進めた結果当該リスクが低減したことから、「重要性の前年からの変化」を「同水準」から「減少」に変更しております。
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発生可能性 |
低 |
影響度 |
中 |
重要性の前年 からの変化 |
減少 |
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対応策 |
当社取締役及び執行役を含め、経営陣と従業員とのコミュニケーション強化を図ることにより、当社グループの経営戦略の浸透を図っております。 当社グループにおける事業・地域ポートフォリオマネジメントを強化することにより、事業再編後の組織において、シナジー効果の最大化や戦略実効性の向上が実現するよう努めております。大規模な事業再編を生じさせない組織の構築に向けて、M&Aにおける買収先企業のPMIを強化しております。その一環として、ガイドラインの策定を通じて、PMI推進体制及び進捗報告プロセスを明確化することにより、有効かつ適切なPMIプロセスの整備・運用による子会社のガバナンス強化を推進しております。さらに、当社又はその子会社による会社の新設、事業再編等を含む投融資に関する事項(投融資案件)については、その内容や金額的重要性に応じて、投資審査委員会やM&A委員会による審査や決議をする体制を整えております。 |
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経営方針等 との関連性 |
①[持続的成長に向けた組織を作る]事業領域を常に再定義し続ける ③[競争力あるコストの実現]間接部門費の削減 |
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(7) 他社との連携・企業買収等に関するリスク
当社グループは、企業買収及び資本参加を含む投資による事業の拡大を企画することがありますが、買収・投資実行後にグループ全体に内在するリスク及びオポチュニティを適時・的確に識別することができず、当初想定した利益やシナジー効果を実現できない、あるいは買収後に偶発債務の発生や未認識の債務等が判明する可能性があります。さらに、事業拡大後、当社グループと対象事業の戦略が整合しておらず、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
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発生可能性 |
低 |
影響度 |
低 |
重要性の前年 からの変化 |
同水準 |
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対応策 |
統合時における対応策として、統合に関するグローバル共通のポリシーを策定し、統合後のレビューやモニタリングプロセスを効率的に整備・運用する体制を強化しております。また、統合後においては、シナジー創出に向けて効率的でフラットかつシンプルな組織構造の構築を目的とし、意思決定の迅速化を含めた組織変革を推進しております。 投融資案件については、その内容や金額的重要性に応じて、投資審査委員会やM&A委員会による審査や決議をする体制を整えております。また、買収先企業のPMI強化の一環として、ガイドラインの策定を通じて、PMI推進体制及び進捗報告プロセスを明確化することにより、有効かつ適切なPMIプロセスの整備・運用によりガバナンスを強化しております。 なお、対応策については2015年に発覚した当社の海外子会社であったJoyou AGにおいて不適切な会計処理が行われていた事実(Joyou問題)への再発防止策を踏まえたものであります。 |
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経営方針等 との関連性 |
①[持続的成長に向けた組織を作る]事業領域を常に再定義し続ける |
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(8) 人材の獲得と育成及びダイバーシティ推進に関するリスク
当社グループが継続的に事業を発展させるためには、専門技術に精通した人材や、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成を継続的に推進していくことが必要となります。しかしながら、特に日本国内においては少子高齢化に伴う労働人口の減少等もあり、必要な人材を継続的に獲得するための競争は厳しく、人材獲得や育成が計画通りに進まない場合には、長期的観点から業務運営の効率性が損なわれ、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
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発生可能性 |
低 |
影響度 |
中 |
重要性の前年 からの変化 |
同水準 |
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対応策 |
当社グループにおいて、継続的な事業の発展のためにグループ全体で女性のさらなる活躍、障がいのある従業員のための取り組み、性的マイノリティに関する取り組みを推進しており、地域ごとに人事制度の改定や拡充を行うほか、風土を醸成するために社内イベント等を行っております。例として、アメリカやアフリカにおいては人種における平等にもフォーカスし、取り組みを行っております。 日本において、新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開するほか、人事・教育体系の充実や65歳以上の退職技術者の嘱託雇用等により技術継承を促進し、従業員の定着と育成に努めております。また、グローバルで活躍できる人材を育成するために、各プログラム(海外派遣研修(注)、選抜型の育成プログラム、eラーニング等)を実施しております。多様なバックグラウンドを持つ従業員が個性や能力を十分に発揮し活躍できるよう、ダイバーシティ・マネジメントを推進しており、多様な人材を受け入れる企業文化の醸成、テレワーク等の職場環境の整備、エキスパート制度等の新たな人事制度の構築に取り組んでおります。 さらに、「シェアード・サービス・センター」をアジアのみならず、欧米諸国及び日本においても設立し、各地域におけるガバナンスを強化するとともに、間接業務の集約化や効率化を図ることにより、日本国内あるいはグローバルにおける将来の労働環境に左右されない柔軟な組織を構築することを目指しております。加えて、「報酬・福利厚生委員会」を設置し、グローバルでの処遇の公平性・透明性に向けた取り組みを強化しております。 (注)海外派遣研修について、2021年3月期は新型コロナウイルス感染症の拡大により実施しておりません。2022年3月期より再開予定であります。 |
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経営方針等 との関連性 |
①[持続的成長に向けた組織を作る]尊敬され、誇りを持てる会社になる ①[持続的成長に向けた組織を作る]従業員の行動様式こそが競争力となる |
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近年、高齢化の進行による高齢世帯の増加及び障がい者人口の増加に対応した製品の必要性が高まっております。また、SDGsの目標5にて掲げられているとおり、企業に対して高齢者や障がい者の雇用だけでなく、ジェンダー格差の是正に対する取り組みも求められております。
このようなニーズに対応するために、多様性から生み出される活力を起業家精神醸成の源ととらえ、将来へ向けた成長とイノベーションを達成するために、「LIXILダイバーシティ&インクルージョン宣言」を採択し、グループ内にて実行しております。また、組織の変革と事業戦略の実現に向けてダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の取り組みを加速させることを目的に、2020年9月にD&I委員会を設立いたしました。多様な人材を組織内に定着させるために、組織全体に平等性と包括性を浸透させるための施策を強化するとともに、インクルージョンの文化を醸成し、あらゆるレベルにおいて多様な人材の採用、登用をすすめることができるよう、ベンチマークを設定し、進捗をモニターしてまいります。
これらの取り組みにより、現在のみならず将来の事業展開国・地域における当社グループの持続的な成長と存在意義及びブランドイメージの向上を実現することを目指しております。
(9) 設備等の操業度に関するリスク
当社グループの主要な事業では、多様な製品の製造を行っているため、製造拠点となる工場等の生産設備を数多く所有しており、その展開地域も多岐に渡っております。当該生産設備について、需給の変動、労働力の減少や災害の発生等をはじめとする様々な要因で操業度が低下する可能性があります。操業度の低下により、当初想定した収益を獲得できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
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発生可能性 |
低 |
影響度 |
低 |
重要性の前年 からの変化 |
同水準 |
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対応策 |
当社CFO直轄組織がガバナンス強化の取り組みの一環として国内外子会社の業績管理プロセスを推進することにより、遊休資産の発生や業績悪化に伴う固定資産の減損兆候を早期に捉えることを可能とし、業績悪化の兆候を把握した際には適時に対策が打てる体制を構築しております。また、当社グループ全体としての効率を重視した事業用資産の稼働状況や遊休状態の有無のモニタリング及び不動産管理を行っており、関係部署へ定期的に確認を行っております。 また、包括的な損害保険への加入により、財務的損失をカバーするよう努めております。 |
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経営方針等 との関連性 |
①[持続的成長に向けた組織を作る]事業領域を常に再定義し続ける |
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[事業特有のリスク]
<ウォーターテクノロジー事業>
(10) 販売チャネルに関するリスク
当社の連結子会社であるASD Holding Corp.は様々な需要に応じて幅広い製品を展開しておりますが、近年特に北米を中心として流通構造の変革が起きております。具体的には、エンドユーザーへの直接的な販売の拡大が起きており、ASD Holding Corp.においても、ECを活用したウェブサイトでの自社製品の販売等を含め、ビジネスの転換を図り、売上の伸長やコスト構造の改革に努めております。しかしながら、このような販路の転換に対して、想定していた顧客数が確保できない等の理由により、その売上成長が鈍化、もしくはコスト構造の改革が計画通りに進まない場合、当社グループが計上しているのれんについて減損損失が発生する可能性があります。
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発生可能性 |
中 |
影響度 |
中 |
重要性の前年 からの変化 |
同水準 |
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対応策 |
販売チャネルの拡大を進めるために、正規代理店における販売計画を強化するとともに、住宅設備関連の施工会社等への販路を柔軟に拡大することで自社製品の販売促進に努めております。また、エンドユーザーからの直接需要を効率的に取り込むことを目指し、自社のECサイトを活用しております。さらに、安定した販売活動を支え、運営上の安全性を担保するため、目的に応じ適切な管理システムを導入することで情報漏洩やサイト運営に支障が出ることを事前に防ぐ体制を整えております。また、コスト構造の改革については、当社グループ全体としての効率を重視した製造拠点の選択など、ASD Holding Corp.のみに留まらない改革を進めております。 |
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経営方針等 との関連性 |
②[魅力ある差別化された製品の開発]ブランド |
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(11) ブランドに関するリスク
当社グループの保有する数あるブランドのうち、GROHEブランドは富裕層をターゲットとした洗練されたブランドとして認知されておりますが、競争の激しい環境において更なる販路の拡大を目指し、従来の欧州中心のビジネスのみならず、アジアやアフリカ等の新興国への展開を進めております。新興国への販路拡大のためには従来よりも柔軟な価格対応や、地域特有のニーズに応える製品の開発が求められることがあります。しかしながら、これらの施策を実施した結果、様々な文化的背景を持つ地域で意図されたシグネチャーエレメンツに対する認識を維持できなくなる可能性があり、これまで当社の連結子会社であるLIXIL Europe S.à r.l.が維持してきたGROHEブランドの価値が棄損し、その売上成長が鈍化、もしくは利益率が低下した場合、当社グループが計上しているのれんについて減損損失が発生する可能性があります。
また、GROHEブランドを維持する際に、テクノロジー内において一貫性のある戦略に基づいた管理がされない場合、GROHEのブランドやデザインの差別化がなされず、ブランド価値が棄損し、その売上成長が鈍化、もしくは利益率が低下した場合、当社グループが計上しているのれんについて減損損失が発生する可能性があります。
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発生可能性 |
低 |
影響度 |
高 |
重要性の前年 からの変化 |
同水準 |
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対応策 |
継続的なブランド投資によりブランド価値の維持や、製品開発を実施しております。また、グローバルでGROHEブランド及び競合他社ブランドの販売価格を継続的にモニタリング・分析し、収集した情報を元にブランド戦略に沿った価格を設定・共有した上で、当社グループ全体において統一的な施策を立案・実行できる仕組みを整備しております。その結果、競争の激しい市場においてもブランド価値を反映した価格帯を維持できるよう対応しております。さらに、ウォーターテクノロジー事業におけるGROHEブランドの位置付けについて、事業内の他ブランドとの差別化を図るため、ブランドデザインの使用に関するルールを設け、ブランド価値の維持・管理に努めております。 |
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経営方針等 との関連性 |
②[魅力ある差別化された製品の開発]ブランド ②[魅力ある差別化された製品の開発]デザイン |
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<ハウジングテクノロジー事業>
(12) 競合他社との競争・製品価格に関するリスク
当社グループは、事業を展開する多くの市場において激しい競争に直面しておりますが、特に建材・建築資材を取り扱う国内市場は当社と競合他社による寡占市場となっております。そのような環境において、当社グループにとって常に有利な価格決定をすることは困難な状況にあり、売上収益は競合他社の価格設定に影響を受けます。当社グループは、高品質で魅力的な製品を市場へ投入できるリーディングカンパニーと自負しておりますが、価格面において競争優位に展開できる保証はなく、当社グループの製品・サービスが厳しい価格競争に晒されることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
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発生可能性 |
中 |
影響度 |
中 |
重要性の前年 からの変化 |
同水準 |
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対応策 |
競合他社との激しい競争による市場価格の下落に対し、付加価値製品の市場投入による差別化を進め、販売価格の底上げに取り組んでおります。また、生産活動においても、インテリア、エクステリア、ドア製品においては、共通部分の生産を汎用設備で行うことで生産スペースを削減(プラットフォーム化)しており、2022年3月期にはサッシ製品もプラットフォーム化に着手し、投下資本効率の向上を見込んでおります。プラットフォーム化により、新製品の早いサイクルでの市場投入を可能とし、時代に合った新しい価値を常に提供し続けることも可能となります。 その他の取り組みとして、クラウドファンディングを活用し、市場に対して新しい価値を提供する製品を試験的に販売することで、価格ではなく「価値」で顧客に選ばれる取り組みを実施しております。 |
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経営方針等 との関連性 |
②[魅力ある差別化された製品の開発]ブランド |
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<ビルディングテクノロジー事業>
長期受注工事契約に関するリスク
当社は2020年5月に当社の連結子会社であったPermasteelisa S.p.A.の株式譲渡を決定し、2020年9月に株式譲渡を実行したことにより、前連結会計年度に記載しておりました「長期受注工事契約に関するリスク」については発生可能性、影響度とも大幅に減少したと判断されるため、当連結会計年度より当該リスクに係る内容及び対応策は記載しておりません。
(オペレーショナルリスク)
(13) 災害・事故・感染症等に関するリスク
当社グループは、日本国内及び海外諸国の複数の拠点において生産・販売活動を行っていることから、各地で発生する地震や台風等の自然災害、未曽有の大事故や感染症によって、当社グループの生産、物流、販売活動や情報管理関連施設等の拠点に甚大な被害を受ける可能性があります。特に、災害・事故等の発生により、当社グループの国内及び国外工場の生産活動が停止することは、市場への製品供給に深刻な影響を及ぼし、売上収益に悪影響を与える可能性があります。また、感染症の発生や拡大は当社グループ従業員の健康状態悪化による労働力の低下の可能性や、取引先の生産・販売活動の一部停止等、当社グループの事業活動に支障が出る可能性もあります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
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発生可能性 |
中 |
影響度 |
高 |
重要性の前年 からの変化 |
同水準 |
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対応策 |
特に国内拠点においては、事業や財務への影響の低減を目的として、財務的損失をカバーするため包括的な損害保険への加入、工場の分散、耐震工事の実施等により、自然災害等発生時のリスク分散体制を構築した上で、早期に復旧できるようBCP計画の策定及び定期的な見直しを実施しております。また、海外拠点についても、保険への加入等の予防策とともに、当該事象が発生した後に迅速な対応をとることができるような体制構築に努めております。さらに、感染症の影響についてはグループイントラサイトなどの社内情報共有プラットフォームに予防方法や業務を遂行する上での対応方針を掲載し、情報の周知徹底を図るとともに、WHOや各国の動向について必要な情報収集を行い、予防策を講じております。 在宅勤務の推進とデジタル技術の活用を踏まえ、有事の際の安否確認、情報共有やコミュニケーションをよりタイムリーに行えるよう努めております。なお、災害発生時の行動や対策についても従業員への周知徹底を実施しております。 |
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経営方針等 との関連性 |
①[持続的成長に向けた組織を作る]尊敬され、誇りを持てる会社になる |
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(14) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループが行う生産・販売活動及び各種事業活動は、コンピュータシステム及びコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークを利用しております。このため、通信ネットワークに生じる障害や、ネットワーク又はコンピュータシステム上のハードウェア、もしくは、ソフトウェアの不具合・欠陥、データセンターの機能停止等により事業活動に支障が出る可能性があります。また、情報システムが適切に導入・更新されていないことによるシステム上の不具合、業務の非効率、生産性低下を招き、事業活動に支障が出る可能性があります。さらに、当社グループでは、業務を遂行する中で顧客情報をはじめとする様々な個人情報を取り扱う機会があり、厳格な情報管理が求められておりますが、不測の事態により個人情報の遺漏が発生した場合には、社会的信頼の失墜を招くとともに多額の費用負担が生じる可能性があります。その結果、売上収益の減少あるいは販管費の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
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発生可能性 |
中 |
影響度 |
中 |
重要性の前年 からの変化 |
同水準 |
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対応策 |
情報セキュリティ委員会を設置し、情報セキュリティに関する社内規程の整備、不正アクセス等を未然に防止するための対策、従業員に対する教育等を実施し、更にこれらの取り組みを定期的に評価・見直すことにより、情報セキュリティマネジメントの継続的な改善を実施しております。特に、効率的で安定した事業活動の遂行を担保するため、老朽化した基幹システムの刷新を進めており、また、サイバー攻撃全体への対応としてCSIRT(シーサート: Computer Security Incident Response Team)を設置し、外部からの不正アクセスを常時監視するとともに、有事の際に適切な対応を実現する体制を構築しました。また、個人情報保護に関する法令を遵守すべく、必要な社内規程の整備、EU一般データ保護規則(GDPR)で要求されるデータ保護責任者を含む個人情報責任者の設置、適切な研修の実施を行っております。 さらに、在宅勤務につきましては、従前より導入を進めておりましたが、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、推進されたことに伴い、情報漏洩防止に関するルールの周知・徹底、理解度向上のための従業員教育の強化に努めております。 |
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経営方針等 との関連性 |
①[持続的成長に向けた組織を作る]従業員の行動様式こそが競争力となる ④[エンドユーザー、インフルエンサーへのマーケティング]インフルエンサー |
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当社グループでは、デジタルを活用した様々な業務変革に積極的に取り組んでおります。詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針及び経営環境」に記載のとおりであります。
(15) 訴訟その他法的手続きに関するリスク
当社グループが国内及び海外において事業展開をする上で、訴訟その他の法的手続の対象になる可能性があります。また、当社グループが訴訟その他の法的手続の当事者となった場合、多額の損害賠償金の発生や、事業に要するライセンスの取消し等につながる可能性があります。特に、海外においては、各国により求められる要件等が異なるため、意図せず当該要件等に違反してしまう可能性があります。上記の結果として、当社の信頼性や評判を損なう等、ブランドイメージの毀損により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
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発生可能性 |
低 |
影響度 |
中 |
重要性の前年 からの変化 |
同水準 |
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対応策 |
Legal部門が、契約審査や各国の要件調査等を通じて、訴訟その他法的手続の発生を未然に防止するよう努めるとともに、万が一訴訟その他法的手続が発生した場合には、必要に応じて外部専門家と連携しながら適時に対応し、当社グループへの悪影響を最小限に抑えることに努めております。 |
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経営方針等 との関連性 |
①[持続的成長に向けた組織を作る]従業員の行動様式こそが競争力となる |
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(16) 製造物責任や補償請求に関するリスク
当社グループが提供する製品・サービスには、欠陥が生じるリスクがあり、またリコールが発生する可能性もあります。大規模な製造物責任賠償やリコールにつながるような場合には、多額の支払が生じるとともに、当社グループの製品の信頼性や評判に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果、売上原価や販管費等が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
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発生可能性 |
低 |
影響度 |
中 |
重要性の前年 からの変化 |
同水準 |
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対応策 |
開発及び設計の各段階で品質に関するゲートを設け、当該ゲートで指摘された当該問題を解決しなければ次のゲートに進むことができないルールを定め運用することにより、製品・サービスが大規模な製造物責任賠償やリコールにつながる可能性を低減しております。また、コストや納期よりも顧客目線での品質を最優先する風土の醸成に努めております。 |
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経営方針等 との関連性 |
①[持続的成長に向けた組織を作る]従業員の行動様式こそが競争力となる ②[魅力ある差別化された製品の開発]品質 |
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(17) 繰延税金資産の回収可能性に関するリスク
当社グループは、税効果会計を適用し、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対してそれらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得の見積りは、マネジメントが承認した3か年分の事業計画を基礎としております。事業計画において、日本国内における人口減少に伴う住宅着工数の減少が予想される中、売上総利益率の改善や販売費及び一般管理費の削減による収益性向上を見込んでおり、これらの施策の達成には不確実性が伴います。また、税務上の繰越欠損金の繰越年数や使用上限割合が変更される等、当社グループにとって不利な税制改正が行われる可能性があります。これらの結果、繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断された場合、当該繰延税金資産は減額され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
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発生可能性 |
低 |
影響度 |
中 |
重要性の前年 からの変化 |
同水準 |
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対応策 |
事業計画の達成にあたっては、当社の予実分析部門である企画管理部門によるモニタリングを強化しており、事業計画の達成を阻む要因があれば、早期に対応できる体制を構築しております。 さらに、当社CFO直轄組織がガバナンス強化の取り組みの一環として国内外子会社の業績管理プロセスを強化することにより、業績悪化の兆候を早期に捉えるようにしております。また、税制改正にかかる情報については、当社税務部門において早期に捉えるようにしております。これらの部門が、業績悪化の兆候や税制改正にかかる情報を把握した際には、当社経理財務部門及び税務部門と協議をおこない、繰延税金資産の回収可能性に関して見直しの必要性を含めて適時に対策が打てるような体制を構築しております。 |
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経営方針等 との関連性 |
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は、次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当社は2020年5月に当社の連結子会社であったPermasteelisa S.p.A. (以下「ペルマスティリーザ社」)の株式譲渡を決定したこと(2020年9月に株式譲渡を完了済み)及び2020年6月に当社の連結子会社であった株式会社LIXILビバ(以下「LIXILビバ社」)の株式譲渡が決定したこと(2020年11月に株式譲渡を完了済み)から、連結財務諸表の作成上、ペルマスティリーザ社及び同社子会社並びにLIXILビバ社の事業をそれぞれ非継続事業に分類しております。このため、売上収益、事業利益、営業利益及び税引前利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を記載しております。また、前年同期実績も同様に組み替えております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 42.非継続事業」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により経済活動や社会活動が大きく抑制された結果、個人消費や企業収益が急速に悪化する等、極めて厳しい状況で推移いたしました。その後、社会経済の活動レベルの段階的な引き上げや新型コロナワクチンの早期普及への期待等によって持ち直しの動きはみられましたが、再度の感染拡大により緊急事態宣言が再発令される等、未だ先行きが不透明な状況が続いております。住宅投資に関しては、貸家及び分譲住宅が依然として前年割れの状況が続いており、一方で直近では持家が明るい兆しはみられるものの、新設住宅着工戸数は中長期的にも減少傾向が見込まれ、当社にとっては引き続き厳しい環境となっております。
世界経済に関しては、新型コロナウイルス感染症の拡大は日本国内よりも深刻な状況であり、主要都市のロックダウン(都市封鎖)や外出禁止令等により社会経済活動が大きく制限され、その後の各国政府の財政政策等により段階的に回復基調に戻りつつありますが、収束の目途が立たない中、日本国内と同様に景気の先行きは不透明な状況となっております。また、各国・地域における社会経済活動の制限緩和や経済対策による需要の回復に差があることに加え、世界的なコンテナ不足による海上輸送のひっ迫、原材料価格の高騰やウッドショックの深刻化等不確実な要素もあり、今後も経済動向を注視していく必要があります。
このような環境の下、当社グループの当連結会計年度における業績は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による経済活動の停止により上半期に大きく落ち込み、下半期において海外事業、特に米国と欧州を中心に需要の回復がみられたものの、売上収益は1兆3,782億55百万円(前年同期比9.0%減)と減収となりました。利益面においては、国内事業における継続的な粗利率改善活動の効果に加え、従業員の生産性向上を図る各種施策やコロナ禍における経費抑制策等による販売費及び一般管理費の削減により減収の影響を補うことができた結果、事業利益は572億88百万円(前年同期比9.6%増)と増益となりました。また、営業利益は国内事業の活性化に向けた包括的な人事プログラム「変わらないと、LIXIL」の一環として3月に実施した希望退職プログラム「ニューライフ」にかかる一時費用の発生があったものの、一部子会社の売却益の計上等により358億42百万円(前年同期比12.0%増)と増益となりました。一方で、税引前利益は前連結会計年度に計上した関連会社に対する持分の処分益109億77百万円の剥落の影響により338億4百万円(前年同期比17.4%減)、継続事業からの当期利益は163億68百万円(前年同期比41.0%減)とそれぞれ減益となりました。
また、ペルマスティリーザ社及びLIXILビバ社の売却にかかる損益を含む非継続事業からの当期利益は212億19百万円(前年同期は140億56百万円の非継続事業からの当期損失)となりました。以上の結果、非支配持分を控除した親会社の所有者に帰属する当期利益は330億48百万円(前年同期比1.6倍)と大幅な増益となりました。
(注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
セグメント別の概況は次のとおりであります。なお、ペルマスティリーザ社の株式譲渡を決定したことに伴い、従来「ビルディングテクノロジー事業」に含めていたペルマスティリーザ社及び同社子会社の事業を非継続事業に分類しております。また、LIXILビバ社の株式譲渡が決定したことに伴い、従来「流通・小売り事業」に含めていたLIXILビバ社の事業を非継続事業に分類しております。このため、前年同期実績も同様に組み替えております。(以下、「④生産、受注及び販売の実績」においても同様であります。)
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
増減額 |
増減率 |
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ウォーター 事業 |
売上収益 |
828,527 |
783,805 |
△ 44,722 |
△ 5.4% |
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事業利益 |
61,524 |
62,148 |
624 |
1.0% |
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利益率 |
7.4% |
7.9% |
0.5% |
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ハウジング 事業 |
売上収益 |
542,204 |
474,291 |
△ 67,913 |
△ 12.5% |
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事業利益 |
28,288 |
31,435 |
3,147 |
11.1% |
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利益率 |
5.2% |
6.6% |
1.4% |
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ビルディング 事業 |
売上収益 |
112,774 |
93,375 |
△ 19,399 |
△ 17.2% |
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事業利益 |
2,671 |
2,611 |
△ 60 |
△ 2.2% |
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利益率 |
2.4% |
2.8% |
0.4% |
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住宅・
サービス |
売上収益 |
54,019 |
46,556 |
△ 7,463 |
△ 13.8% |
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事業利益 |
2,984 |
2,136 |
△ 848 |
△ 28.4% |
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利益率 |
5.5% |
4.6% |
△ 0.9% |
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消去又は全社 |
売上収益 |
△ 23,075 |
△ 19,772 |
3,303 |
△ 14.3% |
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事業利益 |
△ 43,177 |
△ 41,042 |
2,135 |
△ 4.9% |
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利益率 |
- |
- |
- |
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合 計 |
売上収益 |
1,514,449 |
1,378,255 |
△ 136,194 |
△ 9.0% |
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事業利益 |
52,290 |
57,288 |
4,998 |
9.6% |
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利益率 |
3.5% |
4.2% |
0.7% |
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[ウォーターテクノロジー事業]
ウォーターテクノロジー事業においては、国内、海外ともに当連結会計年度を通して新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたことに加え、国内事業は新設住宅着工戸数の落ち込みによる需要減少や前連結会計年度における消費税増税前の需要増の反動等もあり厳しい状況となった一方で、海外事業は下半期における北米地域、欧州・中東・アフリカ地域及び中国地域の急速な需要回復等もありましたが、売上収益は7,838億5百万円(前年同期比5.4%減)と減収となりました。一方で、事業利益は売上収益の減少に伴う粗利減を商品価格の見直しや販売費及び一般管理費の抑制等で補ったこと等により621億48百万円(前年同期比1.0%増)と増益となりました。
[ハウジングテクノロジー事業]
ハウジングテクノロジー事業においては、ウォーターテクノロジー事業と同様、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたことに加え、新設住宅着工戸数の落ち込みによる需要減少や前連結会計年度における消費税増税前の需要増の反動等により、売上収益は4,742億91百万円(前年同期比12.5%減)と減収となりましたが、事業利益はプラットフォーム化の進捗に伴う生産効率の改善効果やリフォーム売上比率向上による粗利率の改善に加え、販売費及び一般管理費を抑制したこと等が奏功し、314億35百万円(前年同期比11.1%増)と増益となりました。
[ビルディングテクノロジー事業]
ビルディングテクノロジー事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、オリンピック・パラリンピック需要の収束による国内需要減等の厳しい環境もあり、売上収益は933億75百万円(前年同期比17.2%減)、事業利益は受注粗利の改善施策や販売費及び一般管理費の抑制等で補ったものの26億11百万円(前年同期比2.2%減)と減収減益となりました。
[住宅・サービス事業等]
住宅・サービス事業等においては、引き続き重点施策であるBtoCビジネス等の新事業領域の伸長があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、前連結会計年度における消費税増税前の旺盛な新築需要が減少したこと等から、売上収益は465億56百万円(前年同期比13.8%減)、事業利益は21億36百万円(前年同期比28.4%減)と減収減益となりました。
なお、セグメント別の売上収益はセグメント間取引消去前であり、事業利益は全社費用控除前であります。
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて3,497億15百万円減少の1兆7,418億14百万円となりました。流動資産は、手元流動性確保のための短期資金の調達に伴う現金及び現金同等物の増加があった一方で、売上収益の減少に伴い営業債権及びその他の債権、及び棚卸資産が減少したことに加え、ペルマスティリーザ社及びLIXILビバ社の株式譲渡が完了し連結除外となったことにより売却目的で保有する資産をはじめ各科目における減少があったことなどから、前連結会計年度末に比べて1,050億7百万円減少の6,377億73百万円となりました。また、非流動資産は、為替換算による増加があったものの、流動資産と同様にLIXILビバ社が連結除外となったことによる各科目の減少などもあり、前連結会計年度末に比べて2,447億8百万円減少の1兆1,040億41百万円となりました。
また、資本は5,547億67百万円、親会社所有者帰属持分比率は31.7%(前年同期比7.7ポイント改善)であります。
(1) 主要子会社: ペルマスティリーザ社及びLIXILビバ社
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。なお、金額は非継続事業を含むキャッシュ・フローの合計額であります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,510億43百万円の資金増加となりました。前年同期に比べて66億58百万円の減少となり、この主な要因は、棚卸資産や営業債権及びその他の債権、営業債務及びその他の債務などの運転資本の変動に加え、継続事業からの税引前利益の減少、及び法人所得税等の支払額の増加による資金減少があったことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出に加え、子会社の売却による収入や支出があったことなどから541億51百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて128億37百万円の資金減少であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金やリース負債の支払のほか、社債の新規発行を含む有利子負債の調達と返済を機動的に行ったことなどから934億25百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて598億60百万円の資金増加であります。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、換算差額による影響などを含めると、前連結会計年度末に比べて151億99百万円増加の1,110億61百万円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
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ウォーターテクノロジー事業 |
403,705 |
94.9 |
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ハウジングテクノロジー事業 |
194,917 |
89.5 |
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ビルディングテクノロジー事業 |
56,290 |
84.2 |
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合計 |
654,912 |
92.2 |
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
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ウォーターテクノロジー事業 |
70,427 |
79.5 |
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ハウジングテクノロジー事業 |
107,441 |
78.5 |
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ビルディングテクノロジー事業 |
10,390 |
73.7 |
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住宅・サービス事業等 |
34,356 |
102.0 |
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合計 |
222,614 |
81.5 |
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
受注実績
ビルディングテクノロジー事業の工事物件については、受注生産を行っております。当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比 (%) |
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ビルディングテクノロジー事業 |
68,527 |
67.7 |
105,132 |
107.4 |
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
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ウォーターテクノロジー事業 |
783,805 |
94.6 |
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ハウジングテクノロジー事業 |
474,291 |
87.5 |
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ビルディングテクノロジー事業 |
93,375 |
82.8 |
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住宅・サービス事業等 |
46,556 |
86.2 |
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報告セグメント計 |
1,398,027 |
90.9 |
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セグメント間取引 |
△19,772 |
85.7 |
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合計 |
1,378,255 |
91.0 |
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。また、分析に記載した実績値は1億円未満を四捨五入して記載しております。
① 重要な会計上の見積り及び判断、重要な会計方針
重要な見積りを伴う会計方針とは、不確実性があり、かつ翌連結会計年度以降に変更する可能性がある事項、又は当連結会計年度において合理的に用いることができる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態および経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものであります。また、当社グループをとりまく市場の動向や為替変動などの経済情勢により、これらの見積りの不確実性は増大します。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって利用する重要な会計上の見積り及び判断については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5)重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載のとおりであります。また、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載のとおりであります。
なお、当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、ある一定の仮定を置いた上で会計上の見積りを実施し、会計処理に反映しております。その内容につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.追加情報」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況に対して、事業全体及び主要なセグメントごとに重要な影響を与えた要因について経営者の視点から見た認識及び分析・評価は、次のとおりであります。
[当連結会計年度の業績に対する評価]
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により不透明な環境下での事業運営が続いた1年でした。こうした中で、最初に注力したのが手許流動性の確保であり、次いで、投資の優先順位付け、在庫・売掛金管理の徹底、そして販管費の管理でありました。
その上で、事業ポートフォリオの見直しや、人事施策の「ニューライフ」、ハウジングテクノロジー事業におけるプラットフォーム化をベースとした生産体制への移行については、厳しい環境下ではありましたが進捗させることができ、業績面では通期で粗利率の改善、事業利益の増益を果たすことができました。
[バランスシートの強化についての目標と進展、今後の見通し]
持続的な成長の実現には、安定的かつ強固な財務基盤の構築が重要です。この認識のもと、当社では財務健全性の指標の一つとして、ネット有利子負債EBITDA倍率を3.5倍以下とすることを目指してまいりました。
当連結会計年度は、事業ポートフォリオの見直しによる複数の子会社売却、事業の収益性改善、ROICを重視した投資の優先順位付けなどの施策の結果、ネット有利子負債は前年同期比で2,522億円減少し、ネット有利子負債EBITDA倍率は目標の3.5倍まで改善をみせ、また親会社所有者帰属持分比率も前年同期比で7.7ポイント改善の31.7%となり、財務基盤の改善に大きな進展がみられたと考えております。
今後の見通しとしましては、引き続きネット有利子負債EBITDA倍率を重要視しつつ、将来のキャッシュ・フローや利益の源泉となるROICの高い成長領域に対して重点的に投資をおこない、利益率のさらなる向上、財務体質の強化に努めてまいります。また、翌連結会計年度の後半には転換社債型新株予約権付社債(600億円)の満期償還を迎えますので、今後の株価の推移や事業の状況を注視しつつ、包括的に対応を検討してまいります。
[今後の投資方針]
成長にフォーカスできる時期に到達したものの、リスクの高い投資を行う必要はないと考えております。可能性までも完全に否定はしませんが、当社が過去に行ったような大型買収などは、基本的に当面必要ないと考えております。その意味で、今後行う当社の成長投資は、生産性改善のための投資や、デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資が中心になります。
当社では、3年前にROICを社内管理指標としてグローバルで導入し、投資判断において重視しております。よって、将来のキャッシュ・フローを生む効率的な投資、すなわち新商品や差別化された商品への投資、あるいは生産性向上のためのデジタル技術等に傾斜して投資することを基本方針としております。毎期の計画策定でも、何にどの程度資金を配分するか、あらかじめ比率を定めた上で投資額を決定しており、前期よりも当期、当期よりも来期というように、年を追うごとに将来に向けてより多くのキャッシュ・フローを生み出す投資に資金を配分してまいります。
[今後の展望]
財務体質の強化については中期目標を達成することができました。しかしながら、資本効率の面ではまだ取り組むべき課題があると考えております。中でも、営業部門や管理部門の生産性向上にはデジタル化が鍵であると考えており、全社的にはアセットライトの方針を掲げていますが、DXへの投資は増やしております。
今後も投資と効果の刈り取りに努め、資本コストを上回るリターンを継続的に上げられる仕組みを強固にし、それをもって株主の皆様に対しより高い還元ができるよう努めてまいります。
[次期の見通しと通期業績予想値]
次期の見通しについては、国内・海外ともワクチン接種など新型コロナウイルス感染症の拡大防止策が講じられるなかで経済環境は持ち直しの動きが続くことが期待されますが、一方で世界的には半導体や樹脂材料、木材の供給不足による価格高騰やコンテナ不足による輸送費の上昇などのリスク要素もあり、依然として不透明な状況が続くと見込まれます。
このような事業環境のもと、当社グループは引き続き外部環境からの影響を受けにくく、かつ、利益ある持続的成長のできる経営への変革に努め、ウォーターテクノロジー事業、ハウジングテクノロジー事業を基幹事業と位置づけ、経営資源を集中させるとともに、国内事業の収益性向上を図りキャッシュジェネレーターへと進化させてまいります。また、生み出したキャッシュ・フローを海外事業の成長投資に充て、当社グループ全体の利益の伸長及び財務体質の強化を図ってまいります。
このような中、次期の通期業績予想値につきましては、国内外における経済が回復基調にあることから、堅調な年となるものと予想しております。具体的には、売上収益は1兆4,400億円(前年同期比4.5%増)、事業利益は800億円(前年同期比39.6%増)、営業利益は780億円(前年同期比1.2倍)、税引前利益は755億円(前年同期比1.2倍)、親会社の所有者に帰属する当期利益は470億円(前年同期比42.2%増)と、増収増益を見込んでおります。とりわけ、事業利益率につきましては前年同期比1.4ポイント増の5.6%とさらなる伸長を計画しております。
また、さらなる株主還元を図るため、1株当たりの配当金は中間・期末それぞれ40円、年間80円に増配を予定しております。
なお、上記の次期見通しは現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断したものであり、リスクや不確実性を含んでおります。実際の業績は、様々な要因によりこれらの見通しとは異なる結果となることがあります。
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。また、各指標は、以下により算出しております。
ROE (%):親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷((親会社の所有者に帰属する持分(前期末)+
親会社の所有者に帰属する持分(当期末))÷ 2)
ROA (%):親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷((総資産額(前期末)+ 総資産額(当期末))
÷2)
ROIC(%):営業利益 ×(1-実効税率)÷ (営業債権及びその他の債権 + 棚卸資産 +
固定資産(のれん等無形含む)- 営業債務及びその他の債務)
ネット有利子負債:有利子負債 - 現金及び現金同等物
2.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債及び転換社債型新株予約権付社債を対象としております。また、EBITDAの算出に用いた減価償却費には、非継続事業に分類したペルマスティリーザ社及び同社子会社並びにLIXILビバ社に係る金額を含めておりません。
資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループは、健全な財政状態を維持しつつ、事業活動に必要な資金を安定的かつ機動的に確保すべく、営業活動によるキャッシュ・フローの創出や幅広い調達手段の実現に努めております。手元流動性に関しては、非常時の決済資金相当額を常に維持することを基本とし、財務柔軟性を確保するため、銀行などの金融機関からの借入や社債の発行に加え、コマーシャル・ペーパー発行枠及びコミットメントラインの確保、受取手形・債権の流動化といった取り組みを通じて、調達手段の多様化を図っております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い経営環境が急激に悪化した際のリスクに備えて、上記の基本方針とは別に新たな短期資金の調達枠を設定しております。また、当社グループ内においても設備投資案件の優先順位付け、在庫管理の徹底、販管費の縮減方策などを通じてさらなる手元流動性の確保に努めております。
その結果、当連結会計年度末におけるネット有利子負債は前連結会計年度末に比べて2,522億円減少し4,844億円となり、大幅に改善をみせております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,111億円となりました。
なお、財務状況に関する主要指標の推移は、次のとおりであります。
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2017年 3月期 |
2018年 3月期 |
2019年 3月期 |
2020年 3月期 |
2021年 3月期 |
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キャッシュ・フロー対ネット有利子負債比率(倍) |
4.8 |
4.8 |
8.4 |
4.2 |
3.6 |
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ネットデット・エクイティ・レシオ(倍) |
1.2 |
0.9 |
1.1 |
1.5 |
0.9 |
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インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
7.7 |
15.5 |
14.9 |
26.5 |
35.5 |
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。なお、各指標は、以下により算出しております。
キャッシュ・フロー対ネット有利子負債比率:(有利子負債-現金及び現金同等物)/営業キャッシュ・フロー
ネットデット・エクイティ・レシオ:(有利子負債-現金及び現金同等物)/親会社の所有者に帰属する持分
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債及び転換社債型新株予約権付社債を対象としております。営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。また、利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。なお、主要指標の算出にあたり、2020年3月期の営業キャッシュ・フロー及び利払いには、非継続事業に分類したペルマスティリーザ社及び同社子会社に係る金額を、また、2021年3月期の営業キャッシュ・フロー及び利払いには、非継続事業に分類したペルマスティリーザ社及び同社子会社並びにLIXILビバ社に係る金額を含めておりません。
(1) Permasteelisa S.p.A.の株式譲渡について
当社は、2020年5月1日開催の取締役会において、Permasteelisa S.p.A.の発行済株式の100%を、Atlas Holdings LLCに譲渡することを決定し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。なお、本株式譲渡は、2020年9月30日に実行いたしました。
概要につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 42.非継続事業 (1) Permasteelisa S.p.A.の株式譲渡について」に記載のとおりであります。
(2) 株式会社LIXILビバの株式譲渡について
当社は、2020年6月9日開催の取締役会での決定に基づき、アークランドサカモト株式会社(以下「アークランドサカモト社」)及び当社の連結子会社であった株式会社LIXILビバ(以下「LIXILビバ社」)との間で、LIXILビバ社の普通株式に対しアークランドサカモト社が実施する現金対価の公開買付け(以下「本公開買付け」)並びに本公開買付けの成立を条件とするLIXILビバ社の普通株式の株式併合及びLIXILビバ社の自己株式取得による当社保有のLIXILビバ社の全普通株式のLIXILビバ社への譲渡(以下「本株式譲渡」)を通じた、アークランドサカモト社によるLIXILビバ社の完全子会社化、その他これらに付随又は関連する取引等(総称して以下「本取引」)に関する覚書を締結すると共に、アークランドサカモト社との間で本取引に関する合意書を締結いたしました。なお、これらの締結後、本株式譲渡に必要な諸手続を経て、2020年11月9日に株式譲渡を実行いたしました。
概要につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 42.非継続事業 (2) 株式会社LIXILビバの株式譲渡について」に記載のとおりであります。
(3) 株式会社川島織物セルコンの株式譲渡について
当社は、2020年11月24日開催の取締役会において、当社の連結子会社であった株式会社川島織物セルコン(以下「川島織物セルコン社」)の発行済株式の100%を、川島織物セルコン社の自己株式の買取に応じることにより売却することを決定し、同日付で株式譲渡に関する契約を締結いたしました。なお、本株式譲渡は、2021年1月6日に実行いたしました。
概要につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 41.子会社及び関連会社等 (1) 株式会社川島織物セルコンの株式譲渡について」に記載のとおりであります。
(4) ジャパンホームシールド株式会社の株式譲渡について
当社は、2020年12月4日付で、当社の連結子会社であったジャパンホームシールド株式会社の発行済株式の100%について、みずほキャピタルパートナーズ株式会社が業務受託するMCP5投資事業有限責任組合と、関係当局の承認等が得られることを条件として譲渡することを合意し、株式譲渡契約を締結いたしました。なお、本株式譲渡は、2021年3月9日に実行いたしました。
概要につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 41.子会社及び関連会社等 (2) ジャパンホームシールド株式会社の株式譲渡について」に記載のとおりであります。
当社グループでは、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」という企業としての存在意義「LIXIL Purpose」を明確化し、ステークホルダーの皆様と社会に対する持続的な価値創造の実現に取り組んでおります。また、CR戦略の推進を通じて、国連が策定した2030年までの持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献し続けるよう、専門知識や規模を活かしながら社会課題の解決に向けて取り組んでまいります。
商品開発においては確かな品質、高い技術に基づいて、快適な住生活・都市環境を実現しお客様に喜ばれる商品を市場に送り出すことを大きな役割と考えており、研究開発部門では、開口部商品、住設機器、内装建材や外装建材から住宅のパネル工法にいたるまで、健康、環境負荷低減、高齢者配慮、省資源・省エネルギーなどの様々な視点から研究を重ねております。これらの基礎研究、技術開発、商品開発は当社グループの各社における技術研究所、研究開発部門及び商品開発部門が品質保証部門等と連携のもとに取り組んでおります。
当連結会計年度の研究開発費のセグメント別の実績及び総額は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
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セグメントの名称 |
金額 |
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ウォーターテクノロジー事業 |
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ハウジングテクノロジー事業 |
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ビルディングテクノロジー事業 |
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住宅・サービス事業等 |
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合計 |
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[ウォーターテクノロジー事業]
トイレでは、「サティスGタイプ」をフルモデルチェンジいたしました。新色追加や座りごこちにこだわり、トイレ空間での居心地の良さを追求しております。浴室では、シャワーユニット「NS」シリーズの「シャワーシステム(OG1)」に新色ブラックを追加いたしました。水栓では、既設の自動水栓から簡単・安全に取替できる「リフレッシュ自動水栓」を発売いたしました。タイルでは、「エコカラットプラス」シリーズに、リアルさにこだわったモザイク形状の「ディニタ」、「ノルディックカラー」、「陶連子(とうれんじ)」及び素材感を強調した大きな色幅の石柄デザイン「グランクォーツ」を発売いたしました。キッチンでは、「シエラS」が薄框の人造大理石トップの採用などによりデザインを刷新し、扉を2グレードから選択できるモデルチェンジをいたしました。洗面化粧台では、最高級ドレッサー「ルミシス」シリーズに、意匠性と清掃性を兼ね備えた「ハイバックベッセルタイプ」を追加いたしました。
[ハウジングテクノロジー事業]
サッシドアでは、TOSTEMの窓・玄関を刷新いたしました。意匠性を追求した内窓「インプラス for Renovation」、施工性を改善した「リプラス」、簡単に交換できる「取替シャッター」、住宅外観を美しく際立たせるハイサイズ「リシェント」及びモダンデザインの引戸を発売いたしました。また、後付けで玄関ドアを自動化できる製品「DOAC」を開発し、リモコンひとつで鍵の施開錠やドア開閉が操作できる機能が評価され、「Social Products Award 2021」を受賞いたしました。また、昨今の気候変動から、求められる耐風圧強度や耐積雪強度の性能を向上させたカーポートとテラスを発売したほか、「exsior」ブランドの「プラスG」の商品を拡充させております。ZEH対応商品の分野では、新たに「建て得ライフ」を発売いたしました。省エネ住宅工法であるスーパーウォール工法において、業界最高レベルの断熱性能にフルモデルチェンジいたしました。内装建材では、階段・手すりのデザインを強化し、更に機能壁「アクセントボード」や、耐水性・耐アンモニア性と業界初のSIAA認証抗菌機能を持つ床材を発売し、デザインから機能商材まで幅広い提案を実現させております。新しい概念“開・空・間”のもと、“理性と感性が共鳴する至高の日常生活”の提供を目指したハイエンドブランド「NODEA」を立ち上げました。
[ビルディングテクノロジー事業]
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、業界最高クラスの断熱性能を有するビル用アルミ・樹脂ハイブリッドサッシ「PRESEA-H」のラインアップの拡充を行いました。店装建材では、「リニアオートドア」を首都圏で先行発売し、国内外で3つのデザイン賞を受賞いたしました。従来にないスリムなデザインは市場でも高く評価されています。さらに、「大臣認定防火設備」として、眺望性に優れた耐熱強化ガラスを用いた高意匠カーテンウォール「E-SHAPE」、公共共同住宅のリフォーム市場向けカバー工法サッシ「PRO-SE・RF・BFG(単板ガラス)」の認定を取得し、発売いたしました。
[住宅・サービス事業等]
アイフルホームは、主力商品を「FAVO(フェイボ)」に刷新し、新型コロナウイルス感染症拡大防止に対応した“FAVO for DAYS+ #家族を守る家”や、おうち時間が増える中で、生活の変化に疲れている家族のための“FAVO for RELAX #心地よい時間を過ごす”など、新たなライフスタイル提案を発表いたしました。フィアスホームは、高い基本性能と自然のエネルギーを活用したパッシブデザインをベースに、ニーズの高い平屋住宅を「アリエッタHIRAYA」として商品化いたしました。また、GLホームでは、ツーバイシックス工法の高断熱性能を活かして、エアコン一台で一年中快適に過ごせるオリジナル全館空調システムを開発・発売いたしました。