第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「事業」と「環境」を同軸にとらえ、地球が求める真の企業へと成長していくことを目指すため、経営の基本方針として、「G&G(Global&Green)」を掲げています。Global(グローバル)では、国内にとどまらず、世界を舞台とするGlobalな視点と活動を、Green(グリーン)では、世界環境をしっかりと見据えたGreenの理念と実践をそれぞれ主旨としています。

この「G&G」は、当社及びグループの戦略的キーワードであり、企業アイデンティティです。

 

(2) 目標とする経営指標

上記(1)「会社の経営の基本方針」に記載のとおり、当社グループは「G&G」を着実に展開すべく、品質・コスト・サービス等でたえず世界水準を見据えて、地球レベルの活動へのアクセスを目指しております。

その上で、経営指標としては経常利益の確保を重視するほか、収益性改善を目的とした資本コストを上回るROEの維持及びPBRの向上、連結配当性向30%程度及びDOE3%程度を目安とした継続的かつ安定的な利益還元についても目標としております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、2030年に目指すべき姿『DAIKI∞NEXT∞』を描き、その実現へのロードマップとして中期経営計画を策定しております。社会のサステナビリティへの関心が高まる中、企業の社会的責任がより重視される事業環境を鑑み、マテリアリティ(重要課題)を特定し、これらを中期経営計画に組み込んでおります。詳細は、2024年5月14日に発表しました「中期経営計画 2024-2026」をご参照ください。

① 柱Ⅰ 成長分野への投資

 ・ハイブリッド車・電気自動車・燃料電池車分野向けリサイクル合金の開発・供給

 ・高度循環型社会づくりへの挑戦

② 柱Ⅱ 経営基盤の強化

 ・経営資源の有効活用

 ・新しい生産システムの構築

 ・企業価値向上、財務基盤強化

 ・堅実・健全な経営体制

③ 柱Ⅲ 環境保全

 ・生産や流通過程における二酸化炭素排出削減

 ・製造工程で発生する埋立廃棄物ゼロ

 ・無煙・無臭化の確立

④ 柱Ⅳ 地域や社会の貢献と発展

 ・成長著しい新興国における雇用創出と地域社会への貢献

 ・周辺地域との交流と貢献

⑤ 柱Ⅴ 人材の育成と活用

 ・安全な労働環境整備による労働災害ゼロ

 ・グローカライゼーションの推進

 ・ダイバーシティの推進

引き続き、2030年に想定される対応すべき外部環境(地球環境や社会環境)の変化と、当社グループの事業活動に及ぼす影響(リスクと機会)を考察した上で、「G&G」の経営コンセプトのもと、持続的・安定的な経営の確立と企業価値の向上に努め、更なる飛躍に繋げてまいります。

 

(4) 経営環境及び会社の対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、わが国経済では雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。世界経済においては、米国経済では雇用環境の底堅さを背景に景気後退を回避し、また、新興国経済でも底堅い成長が続く見通しです。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、加えて、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分留意する必要があります。

当アルミニウム二次合金業界におきましては、懸念される経済減速リスクは存在するものの、自動車生産の受注残消化、及び半導体不足の更なる解消や、各国の経済対策の効果等に伴い緩やかな景気回復による自動車生産の増加も見込まれております。

こうした中、引き続き需要に見合う効率的な生産、原材料の価格変動にも対応できうる購買体制を構築するなど、時代の変化に敏速に対応し、社業の発展に万全を期する所存であります。
 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

 ①ガバナンス

サステナビリティを推進する組織として、2022年度に代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティに関する基本方針や戦略、計画の策定、目標とすべき指標の設定等について審議を行うとともに、取組状況のモニタリング等を実施し、取締役会に報告や提言を行う体制を整備しています。

また、委員会の下部組織として、サステナビリティ課題に関連する関係部署から招集されたメンバーで構成する分科会を設置し、分科会で議論した内容は、サステナビリティ委員会を通じて定期的(原則年1回以上)に取締役会に上程・報告され、取締役会は必要に応じて対策を決議し、監督・指示を行っています。

 

 <サステナビリティ推進体制>


 

 ②戦略

大紀アルミグループは、「事業」と「環境」を同軸にとらえたG&G<Global&Green>の経営コンセプトのもと、アルミニウムのリサイクルを通じて、社会の発展に貢献するとともに、地球環境保全のための継続的な改善を推進しています。

企業に対して、事業活動を通した社会課題解決を求める声が高まり、サステナビリティ推進の強化が問われる中、大紀アルミグループはG&Gのもと、サステナビリティ基本方針を定め、これまでも、そしてこれからも、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)におけるさまざまな施策に取り組んでいきます。

 

 ③リスク管理

大紀アルミグループは、2030年に目指す姿を掲げ、その達成に向け、マテリアリティを特定し、中期経営計画を通じて取り組みを進めています。その中で、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指すサステナビリティ経営の構成要素として、サステナビリティに関するマテリアリティを特定しています。

当社グループにおけるリスク管理の詳細については、「第一部企業情報第2 事業の状況3 事業等のリスク」、気候変動におけるリスク管理の詳細については「第一部企業情報第2 事業の状況2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)気候変動」、人的資本に関するリスク管理の詳細については「第一部企業情報第2 事業の状況2 サステナビリティに関する考え方及び取組(3)人的資本」をご参照ください。

 

 

 ④指標及び目標

  マテリアリティに関する指標や2030年に目指す姿(指標)は以下のとおりです。

 


 

(2)気候変動

 2015年の「パリ協定」、2018年のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)「1.5℃特別報告書」、2021年のCOP26で 採択された「グラスゴー気候合意」を経て、気候変動対応の重要性がますます高まる中、当社グループにおいても、気候変動への対応を経営のマテリアリティと位置づけ、地球環境保全と省資源・省エネルギーへ貢献するという環境方針に基づき、気候変動リスク及び脱炭素社会への移行に取り組んでいます。

 

①ガバナンス

 気候変動リスクを管理する組織として、サステナビリティ委員会の下にTCFD分科会を設け、リスク・機会の抽出、シナリオ分析や財務的影響及び対応策を議論する体制を整備しました。TCFD分科会で議論した内容は定期的(原則年1回以上)に取締役会に上程・報告され、取締役会は必要に応じて対策を決議し、監督・指示を行っています。

 

 <気候変動リスクへの対応に係るガバナンス・リスク管理体制>


 

 ②戦略

 中長期的なリスクの一つとして「気候変動」をとらえ、関連リスク及び機会を踏まえた戦略と組織のレジリエンスについて検討するため、IEA※1やIPCC※2による気候変動シナリオ(2℃未満シナリオ及び4℃シナリオ)を参照し、2050年までの長期的な当社グループへの影響を考察し、当社の製品事業を対象にシナリオ分析を実施しました。

 ※1 IEA:国際エネルギー機関

 ※2 IPCC:国連気候変動に関する政府間パネル

 

また、2℃未満シナリオ、4℃シナリオにおいて、事業への影響が特に大きいと想定されるリスクと機会を特定しました。

<気候変動リスクの一覧>


 

シナリオ分析を通じて特定されたリスクと機会への対応策を、今後、大紀アルミグループが注力すべきマテリアリティととらえ、中期経営計画を通じて取り組みを進めていきます。

 

 

 ③リスク管理

 気候関連のリスク及び機会について、サステナビリティ委員会に設置されたTCFD分科会がシナリオ分析を実施しています。また、同分科会において、気候関連リスクに関する分析、対策の立案と推進を行い、その進捗管理を行うプロセスを構築しています。

 気候変動リスクを管理するTCFD分科会と、全社的なリスクを統括・管理するリスク管理室は互いに連携し、一元的なリスク管理を行っています。

 

 <リスク管理体制図>


 

 ④指標及び目標

大紀アルミグループでは、中期経営計画において、CO2排出量削減を指標とし、2030年度のCO2排出量を2019年度比30%削減※とする目標を掲げています。詳細は、「サステナビリティレポート」をご参照ください。

※大紀アルミグループの合金生産拠点におけるScope1・2及び3(カテゴリー1・4の主要部分)を対象範囲としています。

 

 


 

(3)人的資本

 当社グループを取り巻く国内外の外部環境の変化がますます激しくなる中で、当社では、VISION 2030「DAIKI∞NEXT∞」の実現に向けて、その原動力である人材一人ひとりの活躍支援が不可欠と捉えております。

 当社グループでは、性別・性的指向・性自認・年齢・国籍・人種・民族・出身地・宗教・信条・思想・社会的身分・障がいの有無・疾病の有無などにかかわらず、一人ひとりの個性を多様性として活かし、挑戦・革新し続ける風土の醸成や仕組みの充実を推進する方針であります。そして、従業員の「個」の最大化を支援・育成し、その層を厚くすることが、人的資本の拡充に繋がると考えます。

 これらの考え方を踏まえ、当社グループでは、人材の育成及び社内環境整備について推進しております。具体的方針については、次のとおりであります。

 

①ガバナンス

 当社グループは、リサイクルを通じて地球環境保全と省資源・省エネルギーに貢献し続けるための原動力は「人材」という資産であり、特に「多様な個を活かす環境整備」を重要なテーマと考えております。そして、役員及び従業員一人ひとりが働きやすい環境を実現し、その能力や個性を最大限に活かしていくため、管理部及びダイバーシティ推進室を中心とした体制を整備しております。

 

 

②戦略

 a.人材育成方針

当社グループは、経営コンセプトとして「G&G」を掲げ、世界とリンクするGlobalな視点と活動、そして、地球環境と向き合うGreenの理念と実践に取り組んでおります。この取り組みに向けて、行動指針として掲げる3つの指針①お客様第一主義、②現場主義、③当事者意識の徹底を体現出来る人材を育成していくことが、人材育成の基本的なコンセプトと捉えております。

このような中で、当社では、2021年度発表の中期経営計画の柱の一つ、『人材の育成と活用』を基に「~100年企業 その先へ~」を人材育成コンセプトとし、未来を創造する人材、組織づくりが持続的成長に欠かせないと考え、研修体系を新たに作り直し、階層別研修プログラムを2022年度からスタートさせました。

新研修体系の目的は、異なる拠点社員との交流を図り、対面での研修受講をメインに、中堅層の主任研修では社内の上下階層を超えた働きかけを強めることが社内活性化に繋がるとの考えから、より一層の研修内容を整備しました。

全社員を対象としており、2022年度から2024年度の3年間を育成体系移行期とし、階層や経験を問わない育成体系運用で全社員に浸透させ、また、育成課題や階層別研修以外の新たなテーマの策定などを実施しております。

2025年度以降は定着期として、通常の育成体系運用へと移行し、人材の育成へと努めてまいります。

加えて、グローバルな視点と活動を実現するための戦略として、当社グループの海外子会社への積極的な若手参画の機会創出や、実践的な英語学習の自己啓発支援等にも注力しております。

 

 <育成体系図>


 

b.社内環境整備方針

 従業員満足や自発的貢献意欲の向上を図り、これを起点としてお客様満足の向上に繋げられるように、従業員一人ひとりが働きがいを持って能力を十分に発揮できる仕組みづくりと、安心して働き続けることができる働きやすい職場環境の整備に努めていくため、ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みとして、ダイバーシティ推進室を中心に、性別や年齢などに関係なく様々な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、多様な人材が意欲を持って活躍する活力ある組織の構築を推進していきます。

 中期経営計画においても「グローカライゼーション・ダイバーシティの推進」をマテリアリティとして掲げて取り組んでおりますが、現在、十分ではないと認識している中核人材への女性、外国人の登用において、その比率が高まるよう人材育成及び社内環境の整備に努めていきます。

≪女性社員の活躍推進≫

 当社は、女性がキャリアを止めることなく活躍できる環境を整えることが重要であると考え、2024年3月末時点において、女性の育児休業後復職率は100%であり、女性社員の仕事と育児の両立支援にも取り組んでおります。

≪再雇用制度≫

 当社は、原則、希望者の全員を65歳まで再雇用する制度を導入しています。2024年3月31日時点の再雇用者は21人で、全従業員の約5%となっています。

≪企業内転勤制度≫

 当社はタイ、インドネシア、フィリピン、ベトナムより専門性の高い企業内転勤者を日本国内工場に受け入れ、交流を深めています。2024年3月31日時点の企業内転勤者は延べ82人です。

≪コンプライアンス研修≫

 全従業員のコンプライアンス意識の向上・定着を図ることを目的として、階層別研修と同じく2022年度からスタートしました。コンプライアンス研修で多く取り上げられる以下のテーマより、2023年度はハラスメント研修、情報セキュリティ研修を実施。次年度以降も各テーマを取り上げ、継続的に実施します。

 

③リスク管理

 人的資本に関する当社の全社的なリスクマネジメントに関しては、リスク管理室を中心とするリスクマネジメント体制を整備しており、「大紀アルミニウム工業所 人権方針」、「リスクマネジメント規程」他関係諸規定に基づき、当社の事業を取り巻く様々なリスク管理に取り組んでいます。また、管理部が社内規程類の整備、教育研修の実施等の環境整備を行っております。

 

 

④指標及び目標

 当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人的資本経営の取り組みについては、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

(単体)   

 

単位

2021年度~2022年度

合計(実績)

2023年度~2024年度

合計(目標)

研修・人材開発の総時間

時間

7,500

11,400

研修・人材開発の総コスト

万円

3,000

4,800

 

 

(単体)   

 

単位

2023年3月末

(実績)

2024年3月末

 (実績)

2025年3月末

(目標)

有給休暇取得率(管理職含む)

69.7

72.6

80.0

離職率(定年退職除く)

3.4

5.3

3.0

女性社員比率

11.0

11.9

15.0

女性管理職比率

8.3

8.8

10.0

 

 

 

単位

対象

2030年

(目標)

 

海外子会社における
グローカル人材管理職比率

グループ

70

 

一人当たり年間教育研修コスト

万円

単体

20

 

女性管理職者数

単体

6

 

男性育児休業取得率

単体

100

 

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 主要販売先への依存度について

当社グループの販売先は、産業界のなかでも、自動車業界を主体に限られた業態が対象となっており、売上に占める比重が大きな販売先が存在することから、その業態における景気動向或いは販売先個々の業績や社内事情に起因する取引関係の変化等が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 信用リスクについて

当社グループの販売先は、業界の頂点企業たる業容を有する先から中小企業まで多岐にわたっており、販売先の情報収集には日頃から注意を払っております。また、顧客からの代金回収については、金額、回収までの期間、回収の手段等をチェックし、常に、営業部門、管理部門の両面からチェック出来る体制としております。しかしながら、当社の全販売先に関して、財務面・資金面の状況を完璧に或いは常時把握することは困難であります。従いまして、当社の販売先が財務面・資金面で深刻な状況に直面し、その事態を当社が把握できなかった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 海外での事業展開について

当社グループは、タイ・マレーシア・インドネシア・インド等に現地法人を設立し、アルミニウム二次合金地金(塊)の製造・販売事業を主体に推進しておりますが、政治的・経済的・社会的な事業環境の変化や予期せぬ事象が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 原材料の調達及び市況変動について

アルミニウム事業における原料価格や販売価格は、国際市況を反映したLME(London Metal Exchange:ロンドン金属取引所)で決定された国際相場等の市況変動の影響を受けます。
当社グループが調達する原材料の一部には、環境変化により供給源の縮小化が避けられないものがあり、また、市場性の乏しさに起因して調達に制約を受ける可能性のあるものもあります。これらの原材料の調達に支障が生じた場合や市況が急激かつ大幅に変動し原材料の価格や販売価格に影響を受けた場合など、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 

 

(5) 自然災害・社会的混乱について

当社グループは国内及び海外に事業展開しています。大規模地震や自然災害、火災等の事故、新型ウイルス等の感染症が発生した場合には、生産活動をはじめとする企業活動全般や人的資源に重大な影響、損害を与え、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 a 財政状態

(流動資産について)

当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ27億9千7百万円増加し、1,055億1千9百万円となりました。これは主に現金及び預金が14億1千4百万円、商品及び製品が12億3千3百万円、その他が25億7千1百万円それぞれ増加したことと、受取手形及び売掛金が22億9千7百万円減少したことによるものであります。

(固定資産について)

当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ26億6千6百万円増加し、331億6千万円となりました。これは主に有形固定資産が16億7千5百万円、投資有価証券が4億9百万円、退職給付に係る資産が4億6千万円それぞれ増加したことによるものであります。

(流動負債について)

当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ25億9千1百万円増加し、568億8千1百万円となりました。これは主に短期借入金が75億4千1百万円増加したことと、支払手形及び買掛金が32億7千6百万円、未払法人税等が4億2千8百万円、未払消費税等が5億2千1百万円、未払費用が5億3千万円それぞれ減少したことによるものであります。

(固定負債について)

当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ8億2千万円減少し、97億3千5百万円となりました。これは主に繰延税金負債が5億1千2百万円増加したことと、長期借入金が14億8千5百万円減少したことによるものであります。

(純資産の部について)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ36億9千2百万円増加し、720億6千2百万円となりました。これは主に利益剰余金が4億9百万円、その他有価証券評価差額金が3億6千2百万円、為替換算調整勘定が27億6千3百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 

 b 経営成績

当連結会計年度における売上高は2,626億7千1百万円(前年同期比3.8%減)、売上原価は2,496億4千3百万円(前年同期比0.2%減)、販売費及び一般管理費は84億8百万円(前年同期比9.1%減)、営業利益は46億1千9百万円(前年同期比66.4%減)となりました。セグメント別売上高は、アルミニウム二次合金売上高は2,594億9千8百万円(前年同期比3.7%減)、その他売上高は45億3千2百万円(前年同期比11.4%減)となっております。

当連結会計年度においては、主要需要先である国内の自動車関連市場では、半導体や部品供給不足の解消が進み国内自動車生産の復調傾向を受け、アルミ二次合金の需要は戻りつつあります。しかしながら、原料であるアルミスクラップの品薄感が意識され価格が高止まりする一方で、特に東南アジア向け部品輸出において力強さを欠いたことから、本格的な需要回復には至っておりません。また、海外連結子会社において、高止まりしているスクラップ価格の影響により、原料価格と製品販売価格の価格差(スプレッド)が縮小した結果、経常損益につきましては、41億6千7百万円(前年同期比70.0%減)の利益となり、親会社株主に帰属する当期純利益は32億4千4百万円(前年同期比66.6%減)を計上することとなりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ14億2千1百万円増加し、62億9千万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は、主に税金等調整前当期純利益を計上したことと、売上債権が減少したことによる資金の増加と、仕入債務と未払又は未収消費税等が減少したことによる資金の減少により28億円(前年同期は261億6千5百万円の増加)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の減少は、主に投資有価証券の売却による収入と有形固定資産の取得による支出により36億4千3百万円(前年同期は45億8千万円の減少)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金の増加は、主に短期借入金の純増減額が増加したことと長期借入れによる収入や返済による支出と配当金の支払いにより22億2千2百万円(前年同期は216億6千万円の減少)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

当社グループ(当社及び連結子会社)の生産、受注及び販売の状況につきましては、製品の種類、性質、製造方法、販売市場等の類似性から判断して、同種・同系列のアルミニウム製品を製造販売していることにより、セグメントの重要性が乏しいため、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に含めて記載することといたしました。

また、当社グループは主として見込生産によっておりますので、受注及び受注残高について記載すべき事項はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております

 

 a 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

 b 固定資産の減損処理

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度におけるわが国経済は、物価高による消費下押しに加え、足もとでは自動車認証不正問題や能登半島地震の影響もあり、景気はこのところ一部に足踏みもみられますが、緩やかに回復しつつあります。一方、世界経済においては引き締め的な金融環境を背景に、緩やかな減速傾向が継続いたしました。

このような経済環境の下、主要需要先である国内の自動車関連市場では、半導体や部品供給不足の解消が進み国内自動車生産の復調傾向を受け、アルミ二次合金の需要は戻りつつあります。しかしながら、原料であるアルミスクラップの品薄感が意識され価格が高止まりする一方で、特に東南アジア向け部品輸出において力強さを欠いたことから、本格的な需要回復には至っておりません。

この結果、当社グループの連結売上高につきましては、前年同期と比べて製品販売価格及び販売数量が低下したこと等から、アルミニウム二次合金地金1,680億6千万円(前年同期比8.0%減)、商品・原料他946億1千1百万円(前年同期比4.7%増)で、これらを併せた売上高総額は2,626億7千1百万円(前年同期比3.8%減)となりました。

収益面につきましては、特に海外連結子会社において、高止まりしているスクラップ価格の影響により、原料価格と製品販売価格の価格差(スプレッド)が縮小したこと等から、営業利益46億1千9百万円(前年同期比66.4%減)、経常利益41億6千7百万円(前年同期比70.0%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は32億4千4百万円(前年同期比66.6%減)を計上することとなりました。

なお、当社グループの生産実績につきましては、アルミニウム二次合金地金1,771億9千9百万円(前年同期比11.1%増)となりました。

 

また、当社グループのアルミニウム二次合金地金の販売数量につきましては、48万3千トンと前期に比べ6.3%減となりました。 

事業別セグメントの状況は、次のとおりであります。

アルミニウム二次合金事業は、 上記のとおり当社グループは、前年同期と比べて製品販売価格及び販売数量が低下したこと等から、売上高は2,594億9千8百万円(前年同期比3.7%減)となりました。海外連結子会社において、高止まりしているスクラップ価格の影響により、原料価格と製品販売価格の価格差(スプレッド)が縮小したこと等から、セグメント利益(営業利益)は43億9千8百万円(前年同期比66.7%減)の利益となりました。

その他の事業セグメントについては、ダイカスト製品事業が厳しい状況で推移したことにより、売上高は45億3千2百万円(前年同期比11.4%減)、セグメント利益(営業利益)は2億2百万円の利益(前年同期比62.1%減)となりました。

 

キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品及び原料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資の取得等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、事業戦略上重要課題となっている研究開発に取り組んでおり、その推進のために必要な種々の試験設備の充実につとめております。

現在、技術開発に従事している人員は13名であります。

主な研究開発

鋳造用アルミニウム合金材料の多様化に応えるため新合金材料の開発や既存合金材料の改良、溶湯処理技術の改善・強化及び原料前処理技術の開発に取り組んでおります。

また、よりコンパクトな溶解保持兼用炉、自動注湯装置などの開発を行っております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、126百万円であります。