第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「事業」と「環境」を同軸にとらえ、地球が求める真の企業へと成長していくことを目指すため、経営の基本方針として、「G&G(Global&Green)」を掲げています。Global(グローバル)では、国内にとどまらず、世界を舞台とするGlobalな視点と活動を、Green(グリーン)では、世界環境をしっかりと見据えたGreenの理念と実践をそれぞれ主旨としています。

この「G&G」は、当社及びグループの戦略的キーワードであり、企業アイデンティティです。

 

(2) 目標とする経営指標

上記(1)「会社の経営の基本方針」に記載のとおり、当社グループは「G&G」を着実に展開すべく、品質・コスト・サービス等でたえず世界水準を見据えて、地球レベルの活動へのアクセスを目指しております。

その上で、経営指標としては経常利益の確保を重視するほか、収益性改善を目的とした資本コストを上回るROEの維持及びPBRの向上、連結配当性向30%程度及びDOE3%程度を目安とした継続的かつ安定的な利益還元についても目標としております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、2030年に目指すべき姿『DAIKI∞NEXT∞』を描き、その実現へのロードマップとして中期経営計画を策定しております。社会のサステナビリティへの関心が高まる中、企業の社会的責任がより重視される事業環境を鑑み、マテリアリティ(重要課題)を特定し、これらを中期経営計画に組み込んでおります。詳細は、2024年5月14日に発表しました「中期経営計画 2024-2026」をご参照ください。

① 柱Ⅰ 成長分野への投資

 ・ハイブリッド車・電気自動車・燃料電池車分野向けリサイクル合金の開発・供給

 ・高度循環型社会づくりへの挑戦

② 柱Ⅱ 経営基盤の強化

 ・経営資源の有効活用

 ・新しい生産システムの構築

 ・企業価値向上、財務基盤強化

 ・堅実・健全な経営体制

③ 柱Ⅲ 環境保全

 ・生産や流通過程における二酸化炭素排出削減

 ・製造工程で発生する埋立廃棄物ゼロ

 ・無煙・無臭化の確立

④ 柱Ⅳ 地域や社会の貢献と発展

 ・成長著しい新興国における雇用創出と地域社会への貢献

 ・周辺地域との交流と貢献

⑤ 柱Ⅴ 人材の育成と活用

 ・安全な労働環境整備による労働災害ゼロ

 ・グローカライゼーションの推進

 ・ダイバーシティの推進

引き続き、2030年に想定される対応すべき外部環境(地球環境や社会環境)の変化と、当社グループの事業活動に及ぼす影響(リスクと機会)を考察した上で、「G&G」の経営コンセプトのもと、持続的・安定的な経営の確立と企業価値の向上に努め、更なる飛躍に繋げてまいります。

 

(4) 経営環境及び会社の対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、わが国経済では雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果もあって、内需を中心に底堅い成長が続くことが期待されます。ただし、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、世界経済においては、通商政策などアメリカの政策動向による影響などが、我が国の景気を下押しするリスクとなっており、加えて、金融資本市場の変動等の影響に十分留意する必要があります。

当アルミニウム二次合金業界におきましては、トランプ政権から繰り出されるアルミニウム製品及び自動車に対する追加関税において、関税対象国、規模・期間、企業の対応、さらには各国の報復措置の中身等、当面は不確実性の高い状況が続くものと見込まれております。

こうした中、引き続き、当社アルミニウム二次合金生産拠点において最適となる生産・販売量を確保しつつ、原材料の選別精度向上や、価格変動にも対応できうる購買体制を構築するなど、時代の変化に敏速に対応し、社業の発展に万全を期する所存であります。
 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

 ①ガバナンス

サステナビリティを推進する組織として、2022年度に代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティに関する基本方針や戦略、計画の策定、目標とすべき指標の設定等について審議を行うとともに、取組状況のモニタリング等を実施し、取締役会に報告や提言を行う体制を整備しています。

また、委員会の下部組織として、サステナビリティ課題に関連する関係部署から招集されたメンバーで構成する分科会を設置し、分科会で議論した内容は、サステナビリティ委員会を通じて定期的(原則年1回以上)に取締役会に上程・報告され、取締役会は必要に応じて対策を決議し、監督・指示を行っています。

 

 <サステナビリティ推進体制>


 

 ②戦略

大紀アルミグループは、「事業」と「環境」を同軸にとらえたG&G<Global&Green>の経営コンセプトのもと、アルミニウムのリサイクルを通じて、社会の発展に貢献するとともに、地球環境保全のための継続的な改善を推進しています。

企業に対して、事業活動を通した社会課題解決を求める声が高まり、サステナビリティ推進の強化が問われる中、大紀アルミグループはG&Gのもと、サステナビリティ基本方針を定め、これまでも、そしてこれからも、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)におけるさまざまな施策に取り組んでいきます。

 

 ③リスク管理

大紀アルミグループは、2030年に目指す姿を掲げ、その達成に向け、マテリアリティを特定し、中期経営計画を通じて取り組みを進めています。その中で、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指すサステナビリティ経営の構成要素として、サステナビリティに関するマテリアリティを特定しています。

当社グループにおけるリスク管理の詳細については、「第一部企業情報第2 事業の状況3 事業等のリスク」、気候変動におけるリスク管理の詳細については「第一部企業情報第2 事業の状況2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)気候変動」、人的資本に関するリスク管理の詳細については「第一部企業情報第2 事業の状況2 サステナビリティに関する考え方及び取組(3)人的資本」をご参照ください。

 

 

 ④指標及び目標

  マテリアリティに関する指標や2030年に目指す姿(指標)は以下のとおりです。

マテリアリティ

目標

2030年に目指す姿

おもな活動

気候変動への対応

脱炭素社会へ貢献するため、

生産や流通過程における二酸化炭素排出量を削減する

CO2排出量▲30%

(Scope1・2・3合計)

・気候変動関連リスクの識別及び評価 

・気候変動関連リスクに関する分析、対策の立案

・気候変動関連リスクに関する対策の推進、

 進捗管理

脱炭素社会・高度循環型社会へ貢献するため、リサイクル原料活用を推進する

リサイクル原料選別技術・システム構築

水平リサイクルシステムの構築

・スクラップ選別技術、能力向上のための対策の

 立案・実装

・ユーザーニーズに即したリサイクル合金開発、

 リサイクル原料供給

安全な労働環境

安全対策・教育を徹底し、安全な労働環境を整備する

労働災害ゼロ

・安全パトロール実施 

・VRを活用した安全教育実施

・危険作業(箇所)排除のための対策実施

人権への配慮

人権デュー・ディリジェンス

実施及び、結果を踏まえ、人権に配慮した取り組みを実行する

ハラスメントゼロ

グループ全体で人権デュー・ディリジェンス実施

・人権方針の策定、周知

・人権問題への対応

・人権リスクの特定、対策の立案・実施

人材の育成と活用

育児と仕事を両立できる職場づくり

男性育児休業取得率100%

・育児休業制度の周知

・育児休業取得促進のための対策の立案・実施

人材育成のための投資を強化し、働きがいを創出する

年間教育研修コスト

20万円以上/人

・従業員エンゲージメント向上のための対策の

 立案・実施

・キャリアビジョン可視化のための人材育成プ

 ラン作成 

・研修制度の再構築・運用

ダイバーシティの推進

人材の多様性、及び登用・処遇における機会均等を確保する

女性管理職数6名以上

・女性活躍・両立支援のための対策の立案・実施

・性別・国籍にとらわれない採用活動の継続 

・人事評価制度の再構築・運用

グローバル企業として、ローカル人材の経営参画を推進する

グローカル人材管理職比率70%

・グローカル人材・候補生の育成プラン作成

・グループネットワークを活かした来日出向者制

 度運用

 

 

 

(2)気候変動

 2015年の「パリ協定」、2018年のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)「1.5℃特別報告書」、2021年のCOP26で 採択された「グラスゴー気候合意」を経て、気候変動対応の重要性がますます高まる中、当社グループにおいても、気候変動への対応を経営のマテリアリティと位置づけ、リサイクルを通じて、地球環境保全と省資源・省エネルギーへ貢献するという環境方針に基づき、気候変動リスク及び脱炭素社会への移行に取り組んでいます。

 

①ガバナンス

 気候変動リスクを管理する組織として、サステナビリティ委員会の下にTCFD分科会を設け、リスク・機会の抽出、シナリオ分析や財務的影響及び対応策を議論する体制を整備しました。TCFD分科会で議論した内容は定期的(原則年1回以上)に取締役会に上程・報告され、取締役会は必要に応じて対策を決議し、監督・指示を行っています。

 

 <気候変動リスクへの対応に係るガバナンス・リスク管理体制>


 

 ②戦略

 中長期的なリスクの一つとして「気候変動」をとらえ、関連リスク及び機会を踏まえた戦略と組織のレジリエンスについて検討するため、IEA※1やIPCC※2による気候変動シナリオ(2℃未満シナリオ及び4℃シナリオ)を参照し、2050年までの長期的な当社グループへの影響を考察し、当社の製品事業を対象にシナリオ分析を実施しました。

 ※1 IEA:国際エネルギー機関

 ※2 IPCC:国連気候変動に関する政府間パネル

 

また、2℃未満シナリオ、4℃シナリオにおいて、事業への影響が特に大きいと想定されるリスクと機会を特定しました。

<気候変動リスクの一覧>


 

シナリオ分析を通じて特定されたリスクと機会への対応策を、今後、大紀アルミグループが注力すべきマテリアリティととらえ、中期経営計画を通じて取り組みを進めていきます。

 

 

 ③リスク管理

 気候関連のリスク及び機会について、サステナビリティ委員会に設置されたTCFD分科会がシナリオ分析を実施しています。また、同分科会において、気候関連リスクに関する分析、対策の立案と推進を行い、その進捗管理を行うプロセスを構築しています。

 気候変動リスクを管理するTCFD分科会と、全社的なリスクを統括・管理するリスク管理室は互いに連携し、一元的なリスク管理を行っています。

 

 <リスク管理体制図>


 

 ④指標及び目標

大紀アルミグループでは、中期経営計画において、CO2排出量削減を指標とし、2030年度のCO2排出量を2019年度比30%削減※とする目標を掲げています。詳細は、「サステナビリティレポート」をご参照ください。

※大紀アルミグループの合金生産拠点におけるScope1・2及び3(カテゴリー1・4の主要部分)を対象範囲としています。

 

 

シナリオ

要因

インパクト評価

当社事業への影響

当社の対応策

2℃未満(移行)

 

カーボンプライシングの

導入による操業コスト増加

↓↓↓

 

(リスク:大)

・炭素税・排出量取引の導入、

 または炭素価格が上昇した場合、

 自社製品の製造にかかるScope

 1・2の排出量に応じて炭素税等

 の支払コストが増加し、収益を圧

 迫するリスクがある

・脱炭素目標の達成に向け、省エネ

 設備への投資コストが増加する

・省エネの取り組みを継続し、生産や流通過程

 における二酸化炭素排出量を削減する

再エネ使用推進による

エネルギー調達コスト増加

↓↓

 

(リスク:中)

・脱炭素目標の達成に向け、再エネ

 調達コストが増加する

・脱炭素目標の達成に向け、燃料転

 換関連コストが増加する

・生産過程でのさらなる再エネ移行を推進する

 太陽光発電の設置を通じての外部調達コスト

 の抑制費用対効果の高い再生ECOプランの購

 入

・新規調達先の開拓など安定した再エネ調達体

 制を構築する

スクラップ原料の需要増加

↓↓↓

 

(リスク:大)

・リサイクル率の向上や水平リサイ

 クル推進により、国内外でスクラ

 ップ原料の需要が旺盛となり、ス

 クラップ調達価格が上昇する

・原料サプライチェーン構築によりスクラップ

 集荷体制を強化する

・顧客の工場発生のスクラップ集荷を強化する

・地域に根差した集荷による、「回収」から

 「製品まで」のリサイクルループを確立する

高品位スクラップ原料の需要増加

↓↓

 

(リスク:中)

・スクラップ原料の格上げ工程(不

 純物除去・無害化)のためのコス

 トが増加する

・選別技術強化のため、新規設備へ

 の投資コストが増加する

・取扱量を増加させ、格上げ工程での原単位コ

 ストを削減する

・リサイクル率向上を目指す顧客と連携し、ク

 ローズドループリサイクルの推進、普及に努

 め、資源効率の良い素材としてアルミニウム

 のリサイクル特性の認知度を高める

二次合金地金(リサイクル合金)の用途拡大につながる技術革新

↑↑

 

(機会:中)

・リサイクル率向上や水平リサイク

 ル推進により、二次合金地金(リ

 サイクル合金)の利用対象が広が

 り、需要が増加し、売上が拡大す

 る

・「新塊」→「リサイクル原料」を用いたリサ

 イクル合金開発を強化する

・開発した二次合金について顧客のご要望に応

 じて調整し製品化する

・国内外の自動車メーカー・バッテリーメーカ

 ーへのアプローチとコネクションづくりを行

 う

EV市場の拡大

↓↓

 

(リスク:中)

・車体軽量化のため、重量の7割を

 占める鋼材に替わって、アルミニ

 ウムの適用部位が増え、かつ、環

 境配慮の点から、二次合金地金

 (リサイクル合金)需要が増加

 し、車体用合金の売上が拡大する

・EV分野向けに顧客と提携し、車体用アルミニ

 ウム二次合金の研究・技術開発を行う

・国内外の自動車メーカー・バッテリーメーカ

 ーへのアプローチとコネクションづくりを行

 う

・EV市場の拡大により、内燃機関用

 アルミニウム二次合金の需要が減

 少し、売上が減少する

・従来のガソリン車用部品に加えて、新たにEV

 用部品に対応するアルミニウム二次合金地金

 を開発・販売する

4℃(物理)

 

異常気象の激甚化による大規模自然災害頻発

↓↓

 

(リスク:中)

・異常気象による自然災害(台風、

 豪雨、落雷等)による建物被害、

 及び洪水による浸水等、生産拠点

 の操業停止、物流機能不全による

 調達遅延が発生し、損害が発生す

 る。また、設備被害修繕費や損害

 保険料の負担が増加する

・被災状況を想定した復旧計画の具体的な策定

 と継続的な見直し・実践を徹底する

・BCPを強化し、他拠点での代替生産の体制を

 整備する

平均気温の上昇

 

(リスク:小)

・高温化による生産拠点の労働環境

 が悪化し、作業者の生産効率が下

 がり、収益性が低下する。また、

 空調コストが増加する

・暑熱環境下での作業者の身体的負担を減らす

 ため、生産システムの自動化を推進する

 

 

 

(3)人的資本

 当社グループを取り巻く国内外の外部環境の変化がますます激しくなる中で、当社では、VISION 2030「DAIKI∞NEXT∞」の実現に向けて、その原動力である人材一人ひとりの活躍支援が不可欠と捉えております。

 当社グループでは、性別・性的指向・性自認・年齢・国籍・人種・民族・出身地・宗教・信条・思想・社会的身分・障がいの有無・疾病の有無などにかかわらず、一人ひとりの個性を多様性として活かし、挑戦・革新し続ける風土の醸成や仕組みの充実を推進する方針であります。そして、従業員の「個」の最大化を支援・育成し、その層を厚くすることが、人的資本の拡充に繋がると考えます。

 これらの考え方を踏まえ、当社グループでは、人材の育成及び社内環境整備について推進しております。具体的方針については、次のとおりであります。

 

①ガバナンス

 当社グループは、リサイクルを通じて地球環境保全と省資源・省エネルギーに貢献し続けるための原動力は「人材」という資産であり、特に「多様な個を活かす環境整備」を重要なテーマと考えております。そして、役員及び従業員一人ひとりが働きやすい環境を実現し、その能力や個性を最大限に活かしていくため、ダイバーシティ&インクルージョン推進を宣言し、管理部及びダイバーシティ推進室を中心とした体制を整備しております。

 

≪ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言≫

 1.多様性(ダイバーシティ)の尊重

  大紀アルミグループは、役職員のみならず、自らの事業活動において影響を受けるすべてのステークホルダーに

 ついて、性別・性的指向・性自認・年齢・国籍・人種・民族・出身地・宗教・信条・思想・社会的身分・障がいの

 有無・疾病の有無・経済状況・家族関係・家庭環境などの属性や差異を受け容れ、これらの多様性を尊重します。

 2.包摂性(インクルージョン)の推進

  大紀アルミグループは、役職員のみならず、関係する全ての人々の人権が尊重され、様々な属性や差異が差別さ

 れることなく受け容れられ、その多様な強みを掛け合わせて、その能力や個性を最大限に活かして活躍できる環境

 の確立を目指します。

 3.意識啓発と環境整備

  大紀アルミグループは、多様性の尊重と包摂性の推進に向けて、大紀アルミグループ内での意識啓発及び環境整

 備に努めます。とりわけ、ハラスメントや差別を取り除くため、適切な教育による役職員の意識の変革・向上に取 

 り組みます。その上で、働き方改革の推進や人事制度の充実等により、組織の生産性向上やエンゲージメント向上

 に努めます。

 

 また、上記ダイバーシティ&インクルージョンの文化を企業風土として醸成させるため、まずは経営層自らがその重要性を理解・体現することが不可欠であると考えています。そのため、経営層を対象としたダイバーシティ&インクルージョン研修を実施しており、多様性を尊重する企業風土の定着を図っています。今後は、研修対象を管理職や一般社員にも順次拡大し、全社的なダイバーシティ&インクルージョン推進に繋げてまいります。

 

 

②戦略

 a.人材育成方針

当社グループは、経営コンセプトとして「G&G」を掲げ、世界とリンクするGlobalな視点と活動、そして、地球環境と向き合うGreenの理念と実践に取り組んでおります。この取り組みに向けて、行動指針として掲げる3つの指針①お客様第一主義、②現場主義、③当事者意識の徹底を体現出来る人材を育成していくことが、人材育成の基本的なコンセプトと捉えております。

このような中で、当社では、2021年度発表の中期経営計画の柱の一つ、『人材の育成と活用』を基に「~100年企業 その先へ~」を人材育成コンセプトとし、未来を創造する人材、組織づくりが持続的成長に欠かせないと考え、研修体系を新たに作り直し、階層別研修プログラムを2022年度からスタートさせました。

新研修体系の目的は、異なる拠点社員との交流を図り、対面での研修受講をメインに、中堅層の主任研修では社内の上下階層を超えた働きかけを強めることが社内活性化に繋がるとの考えから、より一層の研修内容を整備しました。

全社員を対象としており、2022年度から2024年度の3年間を育成体系移行期とし、階層や経験を問わない育成体系運用で全社員に浸透させ、また、育成課題や階層別研修以外の新たなテーマの策定などを実施しております。

2025年度以降は定着期として、通常の育成体系運用へと移行し、人材の育成へと努めてまいります。

加えて、グローバルな視点と活動を実現するための戦略として、当社グループの海外子会社への積極的な若手参画の機会創出や、実践的な英語学習の自己啓発支援等にも注力しております。

 

 <育成体系図>


 

b.社内環境整備方針

 従業員満足や自発的貢献意欲の向上を図り、これを起点としてお客様満足の向上に繋げられるように、従業員一人ひとりが働きがいを持って能力を十分に発揮できる仕組みづくりと、安心して働き続けることができる働きやすい職場環境の整備に努めていくため、ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みとして、ダイバーシティ推進室を中心に、性別や年齢などに関係なく様々な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、多様な人材が意欲を持って活躍する活力ある組織の構築を推進していきます。

 中期経営計画においても「グローカライゼーション・ダイバーシティの推進」をマテリアリティとして掲げて取り組んでおり、中核人材への女性、外国人の登用において、その比率が高まるよう人材育成及び社内環境の整備に努めていきます。

 

≪女性社員の活躍推進≫

 当社は、女性がキャリアを止めることなく活躍できる環境を整えることが重要であると考え、2025年3月末時点における女性の育児休業後復職率は100%であり、女性社員の仕事と育児の両立支援にも取り組んでおります。

 また、女性活躍推進の第一歩として、女性従業員を対象としたアンケート調査を実施し、職場におけるニーズや期待、課題の把握に努めています。本アンケートにより、女性目線での意見や働き方に関する具体的な要望を収集し、今後の制度設計や職場環境整備に反映していくことで、より多様な人材が活躍できる企業を目指してまいります。

≪男性育児休業取得の推進≫

 従業員一人ひとりが多様な働き方を選択できる環境の整備を進めており、特に男性従業員による育児休業の取得を積極的に推進しています。男性従業員の育児参加を促進するため、制度の周知徹底に加え、上司による取得推奨や、取得しやすい職場風土づくりに注力しています。2023年度における男性従業員の育児休業取得率は21.4%でしたが、2024年度においては76.9%まで向上しました。今後も、性別を問わず育児に関与できる環境整備を進め、全従業員のワークライフバランスの向上を図ってまいります。

≪有給休暇取得の推進≫

 従業員の心身の健康維持と生産性の向上を目的として、年次有給休暇の計画的かつ積極的な取得を推進しています。2024年度における全社員の年次有給休暇取得率は75.6%(管理職含む) となりました。

≪職場環境ヒアリングの実施≫

 従業員のエンゲージメント向上及び職場環境の継続的改善に向けて、各事業所にダイバーシティ推進室が出向き、面談形式によるヒアリングを全従業員を対象に(3年計画)実施しています。

本取り組みにより、現場のリアルな声を把握し、職場における課題や改善ニーズを把握・対応する体制を構築しています。

≪再雇用制度≫

 原則、希望者の全員を65歳まで再雇用する制度を導入しています。2025年3月31日時点の再雇用者は22人で、全従業員の約7%となっています。

≪障がい者雇用の推進≫

 障がいの有無にかかわらず誰もが活躍できる職場環境の実現を目指し、障がい者雇用の推進に取り組んでいます。現時点では障がい者雇用率1.62%と法定雇用率を下回っているものの、雇用の受け入れ体制や業務設計の見直し、就労支援機関との連携などを通じて、継続的な改善を図っております。

≪来日出向者制度≫

 タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナムより専門性の高い来日出向者を日本国内工場に受け入れ、交流を深めています。2025年3月31日時点の来日出向者は延べ98人です。

≪コンプライアンス研修≫

 全従業員のコンプライアンス意識の向上・定着を図ることを目的として、階層別研修と同じく2022年度からスタートしました。コンプライアンス研修のテーマとして多く取り上げられる、ハラスメント研修、情報セキュリティ研修、知的財産研修を実施。次年度以降も各テーマを取り上げ、継続的に実施します。

 

 

③リスク管理

 人的資本に関する当社の全社的なリスクマネジメントに関しては、リスク管理室を中心とするリスクマネジメント体制を整備しており、「大紀アルミニウム工業所グループ人権方針」、「リスクマネジメント規程」他関係諸規定に基づき、当社の事業を取り巻く様々なリスク管理に取り組んでいます。また、管理部が社内規程類の整備、教育研修の実施等の環境整備を行っております。

 

④指標及び目標

 当社グループでは、上記「(3)人的資本 ② 戦略」において記載した、人的資本経営の取り組みについては、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組が行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

(単体)   

 

単位

2021年度~2022年度

合計(実績)

2023年度~2024年度

合計(実績)

2023年度~2024年度

合計(目標)

研修・人材開発の総時間

時間

7,500

11,900

11,400

研修・人材開発の総コスト

万円

3,000

4,800

4,800

 

 

(単体)   

 

単位

2023年3月末

(実績)

2024年3月末

 (実績)

2025年3月末

(実績)

2025年3月末

(目標)

有給休暇取得率(管理職含む)

69.7

72.6

75.6

80.0

離職率(定年退職除く)

3.4

5.3

1.8

3.0

女性社員比率

11.0

11.9

12.6

15.0

女性管理職比率

8.3

8.8

7.7

10.0

 

 

 

単位

対象

2025年3月末

(実績)

2030年

(目標)

海外子会社における
グローカル人材管理職比率

グループ

62.4

70

一人当たり年間教育研修コスト

万円

単体

8.9

20

女性管理職数

単体

3

6

男性育児休業取得率

単体

76.9

100

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 主要販売先への依存度について

当社グループの販売先は、産業界のなかでも、自動車業界を主体に限られた業態が対象となっており、売上に占める比重が大きな販売先が存在することから、その業態における景気動向或いは販売先個々の業績や社内事情に起因する取引関係の変化等が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 信用リスクについて

当社グループの販売先は、業界の頂点企業たる業容を有する先から中小企業まで多岐にわたっており、販売先の情報収集には日頃から注意を払っております。また、顧客からの代金回収については、金額、回収までの期間、回収の手段等をチェックし、常に、営業部門、管理部門の両面からチェック出来る体制としております。しかしながら、当社の全販売先に関して、財務面・資金面の状況を完璧に或いは常時把握することは困難であります。従いまして、当社の販売先が財務面・資金面で深刻な状況に直面し、その事態を当社が把握できなかった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 海外での事業展開について

当社グループは、タイ・マレーシア・インドネシア・インド等に現地法人を設立し、アルミニウム二次合金地金(塊)の製造・販売事業を主体に推進しておりますが、政治的・経済的・社会的な事業環境の変化や予期せぬ事象が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 原材料の調達及び市況変動について

アルミニウム事業における原料価格や販売価格は、国際市況を反映したLME(London Metal Exchange:ロンドン金属取引所)で決定された国際相場等の市況変動の影響を受けます。
当社グループが調達する原材料の一部には、環境変化により供給源の縮小化が避けられないものがあり、また、市場性の乏しさに起因して調達に制約を受ける可能性のあるものもあります。これらの原材料の調達に支障が生じた場合や市況が急激かつ大幅に変動し原材料の価格や販売価格に影響を受けた場合など、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 

 

(5) 自然災害・社会的混乱について

当社グループは国内及び海外に事業展開しています。大規模地震や自然災害、火災等の事故、新型ウイルス等の感染症が発生した場合には、生産活動をはじめとする企業活動全般や人的資源に重大な影響、損害を与え、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、管理部が主管部署として企業秘密の適切な管理をしております。情報システムは重要な情報等を扱います。人的ミス、機器の故障、通信事業者などの第三者の役務提供の瑕疵等により、また、外部からのサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染等による情報通信システムの不具合や不備が生じ、取引処理の誤りや遅延等の障害、情報流出等が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 固定資産の減損処理に関するリスク

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 a 財政状態

(流動資産について)

当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ221億7千万円増加し、1,276億8千9百万円となりました。これは主に受取手形及び売掛金が112億2千7百万円、商品及び製品が38億4千2百万円、原材料及び貯蔵品が78億3千8百万円増加したことによるものであります。

(固定資産について)

当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ24億4千5百万円増加し、356億6百万円となりました。これは主に有形固定資産が1億2千3百万円、投資有価証券が4億4千9百万円、投資その他の資産のその他が18億8千1百万円増加したことによるものであります。

(流動負債について)

当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ216億2千2百万円増加し、785億4百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金が22億6千4百万円、短期借入金が180億8千7百万円、未払金が7億3千7百万円増加したことによるものであります。

(固定負債について)

当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ13億4千3百万円増加し、110億7千9百万円となりました。これは主に長期借入金が8億7千4百万円、退職給付に係る負債が8千1百万円、繰延税金負債が3億2千9百万円増加したことによるものであります。

(純資産の部について)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ16億4千9百万円増加し、737億1千2百万円となりました。これは主に為替換算調整勘定が37億4千4百万円増加したことと、利益剰余金が8億6千4百万円、自己株式の取得により10億4千9百万円減少したことによるものであります。

 

 b 経営成績

当連結会計年度における売上高は2,997億9千5百万円(前年同期比14.1%増)、売上原価は2,860億3千7百万円(前年同期比14.6%増)、販売費及び一般管理費は89億2千3百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益は48億3千4百万円(前年同期比4.7%増)となりました。セグメント別売上高は、アルミニウム二次合金売上高は2,960億6千2百万円(前年同期比14.1%増)、その他売上高は53億8千9百万円(前年同期比18.9%増)となっております。

当連結会計年度においては、主要需要先である国内の自動車関連市場では、上期に発覚した一部自動車メーカーによる認証不正やリコール問題により、自動車生産活動が一部停滞しましたが、下期にかけて段階的に再開され、内需主導の成長軌道へと改善いたしました。一方、海外においては、タイ・インドネシアにおける家計債務比率の増加に伴い、金融機関が自動車ローンの貸出審査を厳格化したことによる影響を受け、自動車生産・販売台数が前年比で大きく減少しました。また、前年同期と比べて、高止まりしているスクラップ価格の影響により、特に海外連結子会社における原料価格と製品販売価格の価格差(スプレッド)が縮小した結果、経常損益につきましては、37億4千9百万円(前年同期比10.0%減)の利益となり、親会社株主に帰属する当期純利益は6億9千9百万円(前年同期比78.5%減)を計上することとなりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ9億5千3百万円増加し、72億4千4百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の減少は、主に税金等調整前当期純利益と減価償却費と減損損失を計上したことと、売上債権と棚卸資産が増加したことによる資金の減少により100億4千3百万円(前年同期は28億円の増加)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の減少は、主に有形固定資産と投資有価証券の取得による支出により42億3百万円(前年同期は36億4千3百万円の減少)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金の増加は、主に短期借入金の純増減額が増加したことと、長期借入れによる収入や返済による支出と自己株式の取得による支出と配当金の支払いにより145億6千6百万円(前年同期は22億2千2百万円の増加)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

当社グループ(当社及び連結子会社)の生産、受注及び販売の状況につきましては、製品の種類、性質、製造方法、販売市場等の類似性から判断して、同種・同系列のアルミニウム製品を製造販売していることにより、セグメントの重要性が乏しいため、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に含めて記載することといたしました。

また、当社グループは主として見込生産によっておりますので、受注及び受注残高について記載すべき事項はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております

 

 a 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

 b 固定資産の減損処理

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項 (9) 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度におけるわが国経済は、一部に足踏みが残るものの、雇用・所得環境の改善を背景に持ち直しの動きが見られ、景気は緩やかに回復いたしました。

このような経済環境の下、主要需要先である国内の自動車関連市場では、上期に発覚した一部自動車メーカーによる認証不正やリコール問題により、自動車生産活動が一部停滞しましたが、下期にかけて段階的に再開され、内需主導の成長軌道へと改善いたしました。一方、海外においては、タイ・インドネシアにおける家計債務比率の増加に伴い、金融機関が自動車ローンの貸出審査を厳格化したことによる影響を受け、自動車生産・販売台数が前年比で大きく減少しました。EV市場においては、環境意識が最も高くBEV(バッテリー式電気自動車)シフトを掲げていた欧州市場が、BEVに対する販売奨励金の打ち切りや条件厳格化等により販売が減少し、BEV生産計画を見直しする自動車メーカーも相次ぎました。また、本田技研工業と日産自動車における経営統合に向けた検討、そして協議打ち切りなど、世界的な自動車業界の構造転換の動きも見られました。

この結果、当社グループの連結売上高につきましては、アルミニウム二次合金地金1,907億7千2百万円(前年同期比13.5%増)、商品・原料他1,090億2千2百万円(前年同期比15.2%増)で、これらを併せた売上高総額は2,997億9千5百万円(前年同期比14.1%増)となりました。

また、収益面におきましては、前年同期と比べて、高止まりしているスクラップ価格の影響により、特に海外連結子会社における原料価格と製品販売価格の価格差(スプレッド)が縮小したことや、主要需要先である自動車メーカーの販売不振の影響を受けた生産量減少に伴う利益縮小等から、営業利益48億3千4百万円(前年同期比4.7%増)、経常利益37億4千9百万円(前年同期比10.0%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は6億9千9百万円(前年同期比78.5%減)を計上することとなりました。なお、2025年4月30日に公表しました「特別損失の計上に関するお知らせ」のとおり、連結子会社であるダイキアルミニウム インダストリー インディアの固定資産減損損失として特別損失14億5千4百万円の計上を含んでおります。

 

また、当社グループのアルミニウム二次合金地金の販売数量につきましては、47万5千トンと前期に比べ1.6%減となりました。 

事業別セグメントの状況は、次のとおりであります。

アルミニウム二次合金事業は、 上記のとおり当社グループは、前年同期と比べて製品販売価格が上昇したことにより、売上高は2,960億6千2百万円(前年同期比14.1%増)となりました。海外連結子会社において、高止まりしているスクラップ価格の影響により、原料価格と製品販売価格の価格差(スプレッド)が縮小したこと等から、セグメント利益(営業利益)は44億4千万円(前年同期比0.9%増)の利益となりました。

その他の事業セグメントについては、ダイカスト製品事業が堅調な状況で推移したことにより、売上高は53億8千9百万円(前年同期比18.9%増)、セグメント利益(営業利益)は3億8千8百万円の利益(前年同期比91.7%増)となりました。

 

キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品及び原料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資の取得等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、事業戦略上重要課題となっている研究開発に取り組んでおり、その推進のために必要な種々の試験設備の充実につとめております。

現在、技術開発に従事している人員は12名であります。

主な研究開発

鋳造用アルミニウム合金材料の多様化に応えるため新合金材料の開発や既存合金材料の改良、溶湯処理技術の改善・強化及び原料前処理技術の開発に取り組んでおります。

また、よりコンパクトな溶解保持兼用炉、自動注湯装置などの開発を行っております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、124百万円であります。