当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、2011年10月に純粋持株会社体制へ移行しました。当社は、傘下に事業会社であるサンエツ金属株式会社、日本伸銅株式会社及びシーケー金属株式会社を持つ持株会社です。経営理念として、①良いものだけを、安く、早く、たくさん生産することで社会に貢献します。②努力するに値するプロの仕事と、努力して働くほど報われる働きがいのある職場を提供することで、社会に貢献します。③期待され、期待に応え、期待を超えるため、弛みない努力を重ねます。を掲げ、『地味だけど凄い価値の創造』を目指しております。
当社グループの主力事業である「伸銅事業」と「配管・鍍金事業」は、いずれも国内市場は成熟し、今後とも需要が漸減するものと推測されています。当社グループといたしましては、新製品の開発による市場開拓と、M&Aによる事業拡張に注力することで、企業価値の向上に努めます。
伸銅事業では、新素材の開発と、特殊材の品揃えに注力します。また、スケールメリットを追求するだけでなく、トップシェアにふさわしいブランドイメージの定着による差別優位化を目指します。さらに、当社完全子会社であるサンエツ金属株式会社と連結子会社日本伸銅株式会社との伸銅事業におけるシナジーを追求します。
配管・鍍金事業では、株式会社リケンと配管機器の開発・生産拠点を統合したことによる相乗効果を追求し、また、溶融亜鉛鍍金における新技術を開発・実用化することで差別優位化を推進します。
当社グループの経営状況を判断するための客観的な指標は経常利益です。伸銅事業の業績は、主要原材料である銅の相場の影響を受けて、営業利益が変動するリスクをヘッジするためのデリバティブ取引を行うことで経常利益段階での利益を安定化させているためです。2025年3月期の経常利益の目標は65億円としております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
(1)ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティ経営をグループ全社で推進すべく、サステナビリティ課題への対応方針等について、毎月開催される「グループ経営会議」で協議・決定しています。また、各事業子会社において半期に一度開催される「ISOマネジメントレビュー」においては、「グループ経営会議」で協議・決定された環境課題への対応方針等を共有し、環境課題に対する実行計画を策定し、その進捗をモニタリングしています。
取締役会は、「グループ経営会議」で協議・決定された内容の報告を受け、当社グループのサステナビリティ課題への取組についての監督を行っています。
(2)リスク管理
当社グループでは、各事業子会社の各部門長が、年1回、サステナビリティ課題等に係るリスク管理状況を評価し、影響度が大きいと分析されたリスク等が、内部統制マニュアルに定められた事由に該当する場合には、リスク項目及び管理方法の見直しを行ったうえで、リスク管理責任者である監査・規格管理室長に報告しています。監査・規格管理室長は、全社リスクを統合・評価し、「グループ経営会議」の議長である代表取締役社長に報告しています。
当社グループでは、上記プロセスを経て、特に重要と評価された環境課題について、取締役会による監督体制の下、当社グループにおける企業リスクの一つとして、戦略に反映し、対応しています。
(3)戦略
当社グループは経営理念の一つである「努力するに値するプロの仕事と、努力して働くほど報われる働きがいのある職場を提供することで、社会に貢献します。」に基づき、性別・年齢・国籍等にかかわらず、すべての社員に対して働きがいのある職場を提供すべく、以下の人材育成方針及び社内環境整備方針を掲げて具体的取組を行っており、GPTW JAPAN主催の2024年版日本における「働きがいのある会社」ランキング中規模部門において、第10位にランクインしています。
■人材育成方針
・「人事申告制度」により、やる気のある社員に対しては、各種プロジェクトへの参画等、多様な仕事を経験させ、活力を生み出す適材適所の人材配置を行います。
・各人のライフステージに応じた働き方を社員が選択する「働き方選択制度」を完備します。
・社員の成長を促進すべく各種の研修会を開催し、通信講座を開講することで、充実した教育機会を提供します。
■社内環境整備方針
社員一人ひとりが働きがいを感じ、成長意欲を高く持ち続けるには、仕事を通じた成功体験の積み重ねにより、成長を実感することが大切ですが、それには安心して健康的に働ける職場環境が必要だと考えています。そのため、当社グループでは、「夜勤レス」を推進することで、働きやすい職場環境を提供します。
(4)指標及び目標
環境課題への対応として、伸銅事業においては鉛やカドミウム等、環境負荷物質を制限した環境対応材を開発し拡販に注力しており、2024年3月期の伸銅事業の製品販売量に占める環境対応材の比率は48.0%となっています。配管・鍍金事業では、環境負荷物質を一切使用していない「CKeめっきスーパー」を開発し、事業展開を行っており、当社グループの溶融亜鉛鍍金加工重量に占める比率は100%となっています。
また、伸銅事業では、CO2排出量が圧倒的に少ないリサイクル原料の使用比率を高めるべく、原料仕入先各社との良好な関係の構築に取り組んでおり、2024年3月期において外部購入原料に占めるリサイクル原料の比率は96.3%となっています。
当社グループは、M&Aによる業容の拡大を図る一方で、省エネコンサルタントからの指導により得られたノウハウを各事業子会社間で共有する等、継続的に省エネ対策に取り組んでいます。2024年3月期のCO2排出量(Scope1、Scope2)は、78,446t-CO2となり、2014年3月期比で21.5%減少しています。
また、当社グループでは、上記「(3)戦略」において記載した、人材育成方針及び社内環境整備方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
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指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
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2/3以上 |
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有価証券報告書に記載した事業の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 材料価格変動のリスク
当社グループは、国際相場商品である銅や亜鉛を主原料としております。銅や亜鉛の相場が乱高下する場合、保有原料や工程内仕掛品などの棚卸資産等に含み益や含み損が発生する可能性があります。また、投機資金による銅や亜鉛の買占め等が行われた場合、原料不足による生産障害が発生する可能性があります。さらに、原料価格が高騰し続けた場合、販売先において黄銅以外の代替材への材質変更が行われ、黄銅製の棒・線・めっき線・精密部品の需要が減少する可能性があります。そのため、主原料である銅と亜鉛に関しては、原料相場の変動に備えたリスクヘッジのためのデリバティブ取引を締結することで、当該リスクを緩和する対応を講じております。
(2) 電力供給不安のリスク
当社グループは、電気炉を使用して、銅と亜鉛を溶解することで黄銅合金を製造しております。国内の電力供給事情が悪化し、十分な電力を確保することが困難な事態が生じた場合、生産障害が発生する可能性があります。当該リスクが顕在化する程度や時期を予測することは困難でありますが、当該リスクが顕在化した場合、電力供給事情が悪化していないグループ内の他工場で代替生産する対応を想定しております。
(3) 海外事業拠点のリスク
当社グループは、中国、台湾に現地法人を設立して、伸銅事業などを展開しております。各国の政治当局は、当社グループがその地でビジネスを展開することに対し、経済的、法的または別の面で困難な状況を生み出したり、実践的でないものにしたり、不可能にしたりする規則や制限を課す可能性があります。当該リスクに対応するために、当社の管理統括部や監査・規格管理室は、海外子会社とコミュニケーションをとることで、問題を早期発見し、是正する体制としています。
(4) 取引先の経営破綻による債権回収のリスク
当社グループでは、主要な取引先について、信用状況を適宜確認するとともに、必要と判断した先については、リスク回避のために、取引信用保険を付保するなどしておりますが、取引先が経営破綻した場合には、売上債権の全額又は一部を回収できなくなるおそれがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 自然災害・事故等のリスク
当社グループは、工場等における安全対策を徹底して実施しておりますが、大規模地震・自然災害・事故等が発生し、当社グループの工場設備や社員に被害が生じた場合や、サプライチェーンの分断が起きた場合には、業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、これらの事象の顕在化に備え、事業継続計画(BCP)を策定し、自然災害・事故等が起きていないグループ内の他工場での代替生産を可能とする体制の構築と調達先の複数化によるサプライチェーン強化に取り組んでおります。
(6) 製品クレームによるリスク
当社グループは、各種の規格、品質管理基準に従って製品を生産し、需要家のニーズに応えるべく、品質の維持・向上に万全を期しておりますが、製品に欠陥が生じ、製造物賠償責任等に伴う費用が発生する場合があります。
(7) 知的財産権を侵害するリスク
当社グループでは、現在の事業活動及び将来の事業展開に有用な知的財産権の取得に努める一方、第三者の知的財産権や事業状況の調査を行い問題の発生の防止を図っています。しかしながら、第三者から知的財産に関する訴訟等を提起されたり、第三者が当社グループの知的財産権を侵害したりする可能性は皆無とはいえず、この場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8) M&A及び事業提携において見込んだ効果を得られないリスク
当社グループは、過去において、M&A及び事業提携を有効に活用し、事業基盤を拡大、強化してきました。今後も、グループの事業拡大を加速する有効な手段のひとつとして、M&A及び事業提携を検討していく方針です。M&A及び業務提携の実施の際には、今後も十分な情報収集と検討を行っていきますが、予期し得ない経済情勢、環境変化等により、当初意図した成果が得られない可能性があります。
(9) 環境問題に関する費用の発生リスク
当社グループでは、環境規制等に即した資材の使用、製造環境の維持に努めておりますが、将来、環境規制等が改正され、新たな浄化対策、除去対策に関わる費用が必要となる場合があります。また、生産活動の過程においては、廃棄物、副産物等が発生しております。当社グループは、法規制を遵守し、的確な対応を行なっておりますが、関連法規制の強化によって業績に影響が及ぶ可能性があります。
(10) 設備投資に関するリスク
現状、大規模な設備投資は予定しておりませんが、今後、大規模な設備投資を行うことによる減価償却費の増加や、市況や事業環境の悪化によって、当社グループが保有する資産の市場価格が著しく低下する場合や、資産から生み出される収益力が低下する場合には、当該資産について減損損失が発生する可能性があり、当社グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(11) 紛争及び訴訟に関するリスク
当社グループは、有価証券報告書提出日現在において、業績に重大な影響を与える訴訟・紛争には関与しておりません。しかしながら、様々な事由により、今後直接又は間接的に何らかの訴訟・紛争に関与することとなる可能性は否定できず、かかる事態となった場合、その経過又は結果によっては、当社グループの業績及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 法的規制を受けるリスク
当社グループは、環境保全を中心とした法的規制の遵守が経営の重要課題であると認識し、厳格な管理を徹底しつつ事業活動を行っております。しかしながら、今後、環境関連法をはじめ、当社グループの事業に関連する様々な法的規制の強化または社会的責任の要請等に起因して事業活動に制約を受けるような事象が顕在化した場合には、環境対策費用や計画外の設備投資等のための追加負担が生じることとなり、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(13) 経済環境に関するリスク
当社グループの製品は広範囲な産業分野で使用されておりますが、経済状況の変化及び当社グループが販売している製品の需要分野の動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 代替製品の開発によるリスク
当社グループの主力製品である伸銅品は、優れた電気特性、伝熱特性、耐食性を兼ね備えることから、多種多様な用途に用いられておりますが、アルミニウムやステンレス、樹脂等の他の素材とは競合関係にあります。予期し得ない代替製品の登場により、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(15) 人材の確保と育成に関するリスク
当社グループの将来にわたる継続的な成長と発展のためには、優秀な人材の確保と育成が必要であると認識しております。必要とされる人材の採用、育成が計画どおりに進まない場合は、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
(16) パンデミック発生に関するリスク
新型コロナウイルス感染症は落ち着きを見せておりますが、新たなウイルス等の発生により大規模なパンデミックが生じ、当社グループ内において集団感染が発生した場合は、生産障害が発生する可能性があります。このような事態が発生した場合は、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
①業績
当連結会計年度における世界経済は、諸外国で物価が上昇し、金融引締めが行われました。また、ウクライナ戦争が長期化し、エネルギー価格が高騰しました。2023年10月7日以降、イスラエルとイスラム組織ハマスとの軍事衝突が続いています。
わが国経済は、外国為替市場で円安が進行し、物価が上昇しました。また、原発の再稼働が遅れ、電力料金が高騰しました。3年余り続いた国の新型コロナウイルス感染対策は解除され、経済活動は徐々に正常化しました。
2024年1月1日には、能登半島地震が発生しました。連結子会社のシーケー金属株式会社の溶融亜鉛鍍金工場では、めっき槽から亜鉛の溶湯が流れ出して火災が発生し、配管機器の製品倉庫では、高層ラックに収納していた継手類の入ったケースが落下しましたが、いずれも、ただちに復旧を果たしたため業績への影響は軽微でした。
このような経営環境の下、当社グループ(当社及び連結子会社)では、伸銅品の需要が低迷したため、完全子会社のサンエツ金属株式会社は、臨時休業日を設けて生産調整しました。また、シーケー金属株式会社は、全天候型製品倉庫を建設して物流機能を強化しました。当社グループの主要原料で国際相場商品の銅の建値は、2024年3月に最高値を更新しました。
当社グループの連結経営成績は、伸銅事業の販売量が減少したため、売上高は1,114億33百万円(前年同期比10.0%減少)となり、営業利益は79億29百万円(同4.2%減少)となりました。営業外費用として、デリバティブ損失が16億66百万円、デリバティブ評価損が5億24百万円発生したため、経常利益は60億94百万円(同29.6%減少)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は38億15百万円(同28.3%減少)となりました。
各セグメントの業績は、次のとおりであります。
伸銅
伸銅事業では、販売量は9万429トン(前年同期比13.8%減少)、売上高は935億50百万円(同11.9%減少)となり、セグメント損益は50億21百万円のセグメント利益(同10.6%減少)となりました。
精密部品
精密部品事業では、売上高は54億4百万円(前年同期比9.8%減少)となり、セグメント損益は4億52百万円のセグメント利益(同20.3%減少)となりました。
配管・鍍金
配管・鍍金事業では、売上高は124億78百万円(前年同期比6.7%増加)となり、セグメント損益は21億37百万円のセグメント利益(同20.2%増加)となりました。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ49百万円減少し、当連結会計年度末には9億81百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は36億98百万円(前年同期比4億54百万円収入の増加)となりました。これは主に、売上債権の増加29億30百万円、仕入債務の減少10億50百万円、法人税等の支払31億96百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益が61億14百万円、減価償却費19億73百万円、棚卸資産の減少17億16百万円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は26億80百万円(前年同期比1億41百万円支出の増加)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が26億81百万円であったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は10億71百万円(前年同期比5億17百万円支出の増加)となりました。これは主に、短期借入金の減少額が3億90百万円、長期借入金の返済による支出3億35百万円、配当金の支払6億60百万円等があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年増減率(%) |
|
伸銅 |
97,725 |
△12.3 |
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精密部品 |
5,265 |
△8.9 |
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配管・鍍金 |
8,511 |
3.5 |
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合計 |
111,501 |
△11.1 |
(注)金額は製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数字によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年増減率(%) |
受注残高(百万円) |
前年増減率(%) |
|
伸銅 |
92,443 |
△11.9 |
7,066 |
△13.5 |
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精密部品 |
5,219 |
△13.3 |
709 |
△20.7 |
|
合計 |
97,662 |
△12.0 |
7,775 |
△14.2 |
(注)配管・鍍金事業は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年増減率(%) |
|
伸銅 |
93,550 |
△11.9 |
|
精密部品 |
5,404 |
△9.8 |
|
配管・鍍金 |
12,478 |
6.7 |
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合計 |
111,433 |
△10.0 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
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東泉産業株式会社 |
17,683 |
14.3 |
15,815 |
14.2 |
(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
(経営成績に関する分析)
(単位:百万円)
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売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
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2024年3月期 |
111,433 |
7,929 |
6,094 |
3,815 |
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2023年3月期 |
123,838 |
8,279 |
8,655 |
5,318 |
|
増減 (増減率%) |
△12,405 (△10.0) |
△350 (△4.2) |
△2,560 (△29.6) |
△1,502 (△28.3) |
売上高は、伸銅事業の販売数量が前年同期比13.8%減少したため、1,114億33百万円(前年同期比10.0%減少)となり、営業利益は、79億29百万円(同4.2%減少)となりました。銅や亜鉛の相場変動によって生じる損益への影響を打ち消すために行っているデリバティブ取引による営業外費用が発生したことから、経常利益は60億94百万円(同29.6%減少)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、38億15百万円(同28.3%減少)となりました。
なお、経常利益の主な増減要因は次のとおりであります。
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数量・構成 |
5.9億円 |
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相場差損益 |
△4.1億円 |
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電力費 |
△5.6億円 |
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デリバティブ損益 |
△21.8億円 |
(財政状態に関する分析)
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は556億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億13百万円増加しました。これは主に、受取手形が7億10百万円、売掛金が13億11百万円、棚卸資産が17億1百万円減少したものの、電子記録債権が50億円増加したことによるものであります。固定資産は215億3百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億71百万円増加しました。この結果、資産合計は771億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億85百万円増加しました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は203億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億60百万円減少しました。これは主に未払消費税等が3億46百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が10億10百万円、短期借入金が3億90百万円、未払法人税等が14億9百万円減少したことによるものであります。固定負債は31億91百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億14百万円減少しました。この結果、負債合計は235億32百万円となり、前連結会計年度末に比べ27億75百万円減少しました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は536億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ44億60百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が38億15百万円、その他有価証券評価差額金が前連結会計年度末に比べ3億34百万円増加したことによるものであります。この結果、自己資本比率は61.5%(前連結会計年度末は57.5%)となりました。
(当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因)
当社グループは、国際相場商品である銅や亜鉛を主要原材料として使用しています。このため、銅や亜鉛の相場が下がり局面にある場合は、保有原材料や工程内仕掛品などの棚卸資産等に含み損が発生するため、棚卸資産評価損の計上を必要としたり、製品販売価格が下落して売上高が減少したりする可能性があります。
(戦略的現状と見通し)
当社グループは、市場が成熟したり縮小したりしている分野では、M&Aなどによる業容の維持拡大と、新製品の開発による市場開拓に努めて参りました。今後とも引き続き、M&Aと製品開発に注力して参ります。
(経営者の問題認識と今後の方針について)
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するよう努めていますが、資源エネルギー価格が高騰し、各種購買品の仕入価格が上昇しています。コストアップ分を適切に製品価格へ転嫁すると同時に、より一層、新製品の開発と新市場の開拓に注力して行く所存です。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況につきましては、「業績等の概要」に記載のとおりであります。また、当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度より4億54百万円多い36億98百万円の資金を獲得しました。これは主に、売上債権の増加29億30百万円、仕入債務の減少10億50百万円、法人税等の支払31億96百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益が61億14百万円、減価償却費19億73百万円、棚卸資産の減少17億16百万円等があったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、主に有形固定資産の取得により、26億80百万円の資金を支出しました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローでは、主に短期借入金の減少により、10億71百万円の資金を支出しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは36億98百万円に対して、投資活動によるキャッシュ・フローは△26億80百万円、財務活動によるキャッシュ・フローは△10億71百万円ですので、営業活動により得た資金で、借入金を返済し、投資活動を行ったことになります。ただ、今後も継続的な設備投資が見込まれます。また、M&Aによる資金が必要になる可能性もあります。原料相場が上昇した場合にはさらに、運転資金を確保する必要があります。これらの影響によって、資金需要が増加する際には、内部留保資金に加え、取引金融機関からの借入により資金調達をすることになりますが、当社グループの自己資本比率は61.5%であり、十分な資金調達余力を保有しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、近年、①銅合金の製造技術や地球環境に配慮した銅合金における差別化技術などの開発、②各種の配管材に適応した接続方法及び継手の開発、③配管材の接続部を加工、処理する装置の開発、④環境対応型溶融亜鉛めっきにおいては、Pbを含有する溶融亜鉛めっきとの差別化技術の開発などに注力して参りました。当連結会計年度における各セグメント別の研究開発費は次のとおりであり、研究開発費の総額は
(1) 伸銅
銅合金に関する研究開発費は
(2) 精密部品
該当事項はありません。
(3) 配管・鍍金
配管事業に関する研究開発費は60百万円、鍍金事業に関する研究開発費は11百万円でした。