当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、1924年(大正13年)の創業以来、金属製品の製造販売をとおした「豊かな環境と住まいづくり」の実践により社会のお役に立たせていただくことを経営理念とし、多様性と変化の速度が増す現代において、環境に適応していく企業として、社会課題の解決に貢献していくことを経営方針としております。
当社では、経営方針に基づいて、開発・製造から販売を一貫して行い、市場におけるお客様の声を製品という形にして届けることに注力するとともに、従業員一人ひとりが働き易さ、働き甲斐を持てる会社にしていくことで、企業価値の向上、また本業を通じた社会貢献に努めてまいります。
(2) 経営環境
翌期以降の国内経済は、地政学的リスクの影響や人手不足に伴う人件費の上昇などから、エネルギー価格や物流費などの物価が高止まりする状況の下、引き続き調達コストにおいて厳しい環境が続くものと見込まれます。
また、所得・雇用環境が改善する中で、デフレからインフレへの経済状態の変化とともに、景気は持ち直しの動きとなると想定しておりますが、米国の政策動向の影響などから不確実性の高い状況で推移するとみられます。
建築関連製品事業における事業環境につきましては、国内の建設市場は、人口減少の流れから縮小傾向が続くものの、災害からの復旧・復興などの公共投資による下支えや堅調な企業収益を背景にした設備投資などから堅調な動きになると見込まれます。また、既存物件の老朽化などの問題からストック市場についても大きな需要があるとみられます。
一方で、依然として続く人手不足により建築工事物件が減少するリスクや不安定な為替相場の状況、高止まりが続く資材価格や物流費などのコスト増加などの厳しい経営環境も認識しております。
不動産賃貸事業における事業環境につきましては、多様性の進展などに伴う生活環境や消費者ニーズの変化、物価高を受け上昇傾向にある家賃などに対して、適切に対応していくことが求められるものになると考えております。
(3) 経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、不確実性の高い経営環境の中で、企業基盤を強化し、社会貢献や暮らしを豊かにする製品を提供することで、より高い価値を提供しつづけるべく、様々な施策に取り組んでまいります。
建築関連製品事業では、人口減少などにより縮小傾向にある国内市場において、新分野、新市場を開拓するとともに、強みのある商材に注力し、自社製品の価値を高めて、社会のニーズに応えていくことが課題となります。また、物価、人件費等の上昇によるコスト高の状況に対しても、迅速な対応が求められております。
当事業におきましては、既存製品の改良による利用用途の拡大、あるいは新製品をもって、環境や社会課題に対応することで新分野、新市場を開拓していくとともに、製品プロモーションにより製品認知度を高めて、需要の獲得に取り組んでまいります。また、海外市場においてもその多様な文化へ対応し、当社の知名度を拡げていくことで成長力のある市場の開拓を進めてまいります。
厳しい状況が見込まれる調達コストについては、短納期化や社会ニーズに応じた製品を提供していくことで、付加価値を高め、価格へ適切に反映させていくとともに、引き続き部品、部材の共通化やシステムの統一、事務処理業務の集約化などによって原価低減を図ってまいります。
不動産賃貸事業におきましては、当期に退去した法人テナントの新たな賃借人を早期に獲得すること、及び大規模修繕工事を行ったワンルームマンションの投資額を回収しうる高水準の入居率を維持していくことが課題となっています。
これらの課題に対しましては、法人テナント向け物件について、保有建物の建替え等の再投資も含めた効果的な活用方法の検討を進めるとともに、ワンルームマンションの居住環境の整備を進め、物件入居率を維持し、さらに高めるべく需要獲得に取り組んでまいります。
(4) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、収益性を改善するため、変化し続ける社会に応える高付加価値製品の提供により、高い収益を獲得することに取り組んでまいります。この改善を判断する指標として、限界利益(売上高から変動費を控除した利益)及び売上高経常利益率を重要視しております。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
<サステナビリティに関する方針>
当社では、経営理念と企業行動基準等に基づき、持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けて、サステナビリティに関する方針を以下のとおり定めております。
1.豊かな環境と住まいづくりの実践を通じた社会貢献
ものづくりを通じて快適な住環境を創造し、社会や人々の生活の豊かさに貢献し続けます。
2.働きやすさと働きがいの推進
従業員一人ひとりの個性や価値観を尊重し、安心・安全で働きやすい職場と働きがいのある環境づくりをめざ
すことで、従業員のエンゲージメントを高め、会社の持続的な成長に貢献します。
3.気候変動と環境保全への取り組み
従業員一人ひとりが環境意識を持ち、事業活動を通じて気候変動への対応や環境保全に取り組んでいきます。
(1)ガバナンス
当社は、取締役管理本部長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。当委員会は、取締役会の監督のもと、サステナビリティに関する取組の審議・進捗管理の役割を担っており、審議内容や進捗状況を取締役会へ定期的に報告します。
(2)戦略
① 気候変動について
わが国は、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。当社では、カーボンニュートラルに向けた温室効果ガス排出量削減について従業員へ周知し、一人ひとりの意識向上に努めております。
当社の取組として、工場内への太陽光パネルの設置による再生可能エネルギーの導入や、各拠点における消費電力の大きい蛍光灯からLED照明への変更を進め、温室効果ガス排出量の削減を推進しております。また、環境への配慮を行った製品の開発、販売の拡大に取り組むことにより環境負荷の低減に貢献してまいります。
② 人的資本について
人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、当社は、「従業員一人ひとりが働きやすさと働きがいを持てる会社に」という目標を掲げ、従業員の成長を支援する機会の提供や、従業員と企業が持続的に成長できる環境の実現を目指してまいります。
当社の取組として、各部門において必要な能力を育成する研修を実施している他、女性が活躍できる環境づくりを推し進めるとともに、女性の積極的な採用を行っております。また、当社は健康経営を実践しており、健康経営優良法人(大規模法人部門)に5年連続で認定されております。
(3)リスク管理
当社は、(1)ガバナンスに記載のとおり、サステナビリティ委員会を設置しております。当委員会がサステナビリティに関する取組の審議・進捗管理を行い、サステナビリティに関するリスク及び機会を識別、評価、管理する体制としております。
(4)指標及び目標
① 気候変動について
当社は、当事業年度に温室効果ガス排出量算定システムを導入いたしました。当システムにより算定した当事業年度の排出量は、Scope1が
② 人的資本について
新卒及び中途採用に占める女性労働者の割合について、当事業年度実績は21.4%であり、女性労働者の割合の増加を目標に積極的な採用を行ってまいります。また、有給休暇取得率について、当事業年度実績は75.2%であり、引き続き有給休暇の取得を奨励してまいります。その他の人的資本に関する指標及び目標については、今後の状況に応じて検討を行ってまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。また、以下に記載のリスク項目は、当社の事業に関するすべてのリスクを網羅するものではなく、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経済動向による影響
当社の事業活動は、そのほとんどを国内市場において展開しており、国内の建設及び住宅建築の市場に大きく依存する経営環境にあります。当社では、新製品の開発、製品用途の新たな提案などにより事業領域の拡大に努めております。
しかしながら、公共投資や企業の設備投資の減少、少子高齢化に伴う人口や世帯数の減少による住宅需要の縮小など、国内経済の動向によっては、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 知的財産権に関するリスク
当社は、製品または技術について、特許等を出願することで自社の知的財産権を保護するとともに、第三者の知的財産権を侵害しないよう注意を払っております。
しかしながら、出願する特許等が認められず、権利の保護が得られない、あるいは、第三者より知的財産権について提訴されるなどの事態が生じる場合があります。そのような事態が生じた場合、多額の訴訟関連費用等の発生や知的財産権の利用に何らかの制約を受けることなどにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 公的規制に関するリスク
当社は、生産活動における排気、排水、廃棄物等の処理の規制、建設業等の事業許認可、独占禁止法、下請法、租税等に関する法令等の適用を受けております。これらの法令・規制等を遵守できなかった場合、事業許可の取り消しや入札停止などにより事業活動に制限を受け、売上高の減少や課徴金等の支払いなどにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、コンプライアンス推進体制の構築に努めるとともに、全役職員への教育啓蒙活動を随時実施していくことで、コンプライアンスへの意識向上を図っております。
(4) 原材料等の調達に関するリスク
当社の製品製造に使用している主な材料は、アルミ、ステンレス、スチール等であり、それら原材料の価格は市況の影響を受けて変動し、当該変動を適切に販売価格へ反映させる必要があります。また、当社は原材料やその加工品等を海外からも調達しております。そのため、投機的な市況の変動や地政学的な世界情勢の変化などにより、原材料価格の想定を超えた変動やサプライチェーンが停滞し原材料等の確保が困難となるなど、予期せぬ事態が生じた場合は、材料費や売上原価等のコスト増大などから当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当事業年度におきましては、材料価格の高止まりの影響により仕入コストが押し上げられております。
当社としましては、顧客との適切な価格での取引を進めるとともに、幅広い調達先からの柔軟な供給を図るなど安定的なサプライチェーンの構築に努めております。
(5) 固定資産の減損
当社では、各工場において生産機械設備等の多くの固定資産を保有している他、倉庫などの土地、建物について自社保有しております。これらの固定資産に対して、適切な収益性を確保するべく、生産性の向上に日々努めております。
しかしながら、今後、経営環境の変化により固定資産の収益性に著しい低下が生じた場合、適正な減損処理を行うことにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 為替変動の影響
当社では、一部原材料について海外からの輸入により調達するとともに、海外顧客に対して製品の輸出により販売を行っております。また、当該輸出入取引について、一部を米ドルによって取引しております。そのため、為替レートの変動によっては、売上高や利益及びキャッシュ・フローなど当社の経営成績及び財政状態に想定外の影響を及ぼす可能性があります。当事業年度におきましては、為替レートが大きく円安に振れており、材料費等に影響を受けております。
当社としましては、為替レートの変動に細心の注意を払うとともに、幅広い調達先を確保する他、適正な価格での取引を進めることなどにより、安定した取引を行える体制の構築に努めております。
(7) 特定顧客への依存
当社は製品販売において、多様なニーズに応える製品提供により、幅広い顧客獲得に努めておりますが、そのうち、杉田エース株式会社に対する売上高が20%程度あります。当該会社に急な事業方針の変更、業績等の変化が生じた場合には、当社の売上高や売上債権の評価など経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 製品の欠陥
当社では、ISO9001の品質マネジメントシステムのもと品質管理体制を整備、運用するとともに、製造物責任における賠償については、PL保険に加入しております。
しかしながら、不測の事態により製品の欠陥やリコールが生じる場合、PL保険の不担保や賠償額を十分に補填できない場合などの状況が生じるおそれがあります。
このような場合、クレーム関連の多大なコストの発生、売上の減少など、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 情報管理に関するリスク
当社は、顧客や一般ユーザーの個人情報や機密情報の保護について、社内管理体制の整備、外部委託業者の指導及び当社従業員に対する情報管理やセキュリティ教育などの対策を推進しております。
しかしながら、当社の想定外の事象により、ホームページの通信障害や情報の漏洩などが起きる場合があります。この場合、当社の信用の低下による売上高の減少や賠償責任の発生等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 自然災害等
地震や風水害等の自然災害や火災等の事故災害などの発生により、従業員への被害や建物・設備の損壊などにより、当社の生産体制や事業活動に著しい支障が生じる場合等があります。また、治療法の確立していない感染症等の拡大によって、経済状況の悪化や感染症のパンデミックによる一部事業の停止など円滑な事業運営が困難になる可能性があります。
当社では、従業員の安全確保のため、災害時行動要領を規定するとともに、企業財産包括保険への加入、社内業務のデジタル化の推進、状況に係わらず製品を提供し続けることのできる生産体制の構築に努めておりますが、上記のような状況が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善していく中で、円安の状況を受けてインバウンド需要が拡大し、緩やかな回復傾向となりました。一方で、中東やウクライナ情勢など地政学的なリスクの影響によりエネルギー価格などの物価は依然として高止まりの状況にあり、米国の政策動向など世界経済の下振れリスクも多く、国内経済の行き先は不透明な状況が続いております。
当社の主要な販売市場である建設業界では、人手不足や物価高騰による資材コストの増加などの影響は続くものの、分譲マンションや賃貸物件が底堅く推移したことから、新設住宅着工数はおおむね横ばいの動きとなりました。また、堅調な企業収益等を背景に、企業の設備投資についても持ち直しの動きがみられました。
一方で、アルミ地金などの原材料価格は高止まりのまま、円安の為替相場の影響も相まって、製造コストにおいては依然として厳しい経営環境が続きました。
このような中、当社は事業領域の将来性とシェアを鑑みて選択と集中を進め、既存製品については付加価値を高めることにより、新製品については市場認知度を高めることで収益力の強化に努めてまいりました。
既存製品では、ゴミ収集庫や自転車ラックなどの主力製品の需要の獲得を図るとともに、設備投資を積極的に実施して生産能力の強化を行いました。また、事業領域を拡大するべく、高所作業の効率化をサポートするメンテナンスレールなどの認知度拡大に努めるとともに、ホームページの多言語化や海外での展示会に出展することで海外での知名度の拡大を図りました。
以上の結果、当事業年度の売上高につきましては、前事業年度比1.3%増の11,024百万円となりました。利益面では、下記において価格改定を行い収益性の改善を図りましたが、その影響が想定よりも短期間でしか生じなかったことなどから、営業利益は前事業年度比34.1%減の295百万円、経常利益は前事業年度比30.8%減の336百万円となりました。当期純利益は前事業年度に比べ25.1%減の246百万円となり、自己資本利益率は、前事業年度比0.7ポイント減の1.9%となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(セグメント売上高):当事業年度(自 2024年3月1日 至 2025年2月28日)
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
構成比(%) |
|
建築関連製品 |
10,851,217 |
101.3 |
98.4 |
|
不動産賃貸 |
173,314 |
101.1 |
1.6 |
|
合計 |
11,024,531 |
101.3 |
100.0 |
(建築関連製品)
建築関連製品におきましては、開発、製造、販売の連携を密にして、積極的な設備投資を実施し、環境・社会課題に対応する付加価値を持った製品を提供するとともに、既存製品の用途活用の拡大や新製品開発によって新たな需要の獲得に取り組んでまいりました。
エクステリア関連製品では、自転車ラックなどが集合住宅での需要が獲得できた他、公共工事等の受注も得られたことから、比較的好調に推移しました。また、ゴミ収集庫について、積極的な設備投資による生産力強化を実施してさらなる受注獲得に努めました。
円安や人件費、物価の高騰の影響による原材料の物流コストの増加に対しては、内製化などにより原価低減を図るとともに、一部製品の販売価格改定を実施してまいりました。
その結果、売上高は10,851百万円(前事業年度比1.3%増)、セグメント利益(営業利益)は、コスト増加の影響を受けて561百万円(前事業年度比18.6%減)となりました。
(不動産賃貸)
不動産賃貸関連につきましては、収益の主力でありますワンルームマンションの大規模改修を実施し、居住環境の整備を実施いたしました。改修後の入居率も高い水準を維持し、収益を確保しております。
一方で、法人向けテナントにつきましては、一部テナントの解約があり、貸借人の募集を行っている状況となりました。また、大規模改修に伴う租税公課等の一時費用や減価償却費等の増加により、原価率が上昇し、セグメント利益を減少させました。
その結果、売上高は173百万円(前事業年度比1.1%増)、セグメント利益(営業利益)は94百万円(前事業年度比3.5%減)となりました。
b.財政状態
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末に比べ154百万円減少し、9,885百万円となりました。これは、製品等の棚卸資産が211百万円増加したものの、生産用機械装置への設備投資などから現金及び預金が356百万円減少したことが主因であります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は、前事業年度末に比べ84百万円増加し、5,895百万円となりました。これは、時価評価により投資有価証券が9百万円減少したものの、生産能力の向上のための投資により有形固定資産が93百万円増加したことが主因であります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は、前事業年度末に比べ192百万円減少し、2,303百万円となりました。これは、未払金を含む仕入債務が60百万円、設備投資関係の電子記録債務が減少したことによりその他が142百万円、それぞれ減少したことが主因であります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は、前事業年度末に比べ32百万円減少し、271百万円となりました。これは、不動産賃貸事業の法人テナントの一部解約に伴い預り敷金等が減少したことなどからその他が19百万円、退任役員への支払いにより役員退職慰労引当金が7百万円減少したことが主因であります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ154百万円増加し、13,206百万円となりました。これは、当期純利益による増加などによって、繰越利益剰余金が163百万円増加したことが主因であります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ356百万円減少し、2,858百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は280百万円(前事業年度は165百万円の支出)となりました。これは主に、税引前当期純利益355百万円や減価償却費356百万円などの収入と棚卸資産の増加による211百万円、仕入債務の減少による63百万円、未払消費税等の減少による31百万円、法人税等の支払額115百万円などの支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は555百万円(前事業年度は530百万円の支出)となりました。これは主に、事業投資に関する有形固定資産の取得による支出555百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は82百万円(前事業年度は82百万円の支出)となりました。これは、配当金の支払額82百万円によるものであります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
|
2021年2月期 |
2022年2月期 |
2023年2月期 |
2024年2月期 |
2025年2月期 |
|
自己資本比率 |
81.1% |
80.9% |
79.5% |
82.3% |
83.7% |
|
時価ベースの自己資本比率 |
28.4% |
27.3% |
25.8% |
28.5% |
28.1% |
|
キャッシュ・フロー対有利子 負債比率 |
- |
- |
- |
- |
- |
|
インタレスト・カバレッジ・ レシオ |
175,957.7倍 |
170,847.9倍 |
299,447.3倍 |
- |
152,644.7倍 |
(注)1.各指標は、以下の計算式により算出しております。
自己資本比率 :自己資本÷総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額÷総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー÷利払い
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
4.営業キャッシュ・フロー及び利払いは、キャッシュ・フロー計算書の「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を使用しております。
5.2024年2月期は営業キャッシュ・フローがマイナスであるため、インタレスト・カバレッジ・レシオについて記載しておりません。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
セグメントのうち、建築関連製品において生産活動を行っており、当事業年度における生産実績を示すと次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
品目 |
|
|
|
金物 |
2,173,296 |
103.4 |
|
建材 |
1,522,785 |
101.9 |
|
エクステリア |
2,625,159 |
108.9 |
|
その他 |
877,367 |
96.0 |
|
建築関連製品計 |
7,198,609 |
104.0 |
(注) 金額については、製造原価で記載しております。
b.受注実績
セグメントのうち、建築関連製品の外装用パネルについては、受注生産を行っておりますが、その重要性は乏しいため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
品目 |
|
|
|
金物 |
3,423,875 |
99.2 |
|
建材 |
2,080,637 |
97.4 |
|
エクステリア |
3,462,515 |
105.0 |
|
その他 |
1,884,188 |
103.2 |
|
建築関連製品計 |
10,851,217 |
101.3 |
|
不動産賃貸計 |
173,314 |
101.1 |
|
合計 |
11,024,531 |
101.3 |
(注)1 主な相手別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 |
当事業年度 |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
杉田エース株式会社 |
2,036,417 |
18.7 |
2,180,943 |
19.8 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末において当社が判断したものであります。
① 経営成績の分析
a.前事業年度実績との比較
(売上高)
当事業年度の売上高は、前事業年度と比べ142百万円増加し、11,024百万円となりました。これは、ゴミ収集庫の生産能力を拡大したことや集合住宅において自転車ラックの需要を獲得できたことなどからエクステリア分野の売上が伸長したことが主因であります。
また、建築関連製品事業において、一部製品の値上げとメンテナンスレールなどが製品知名度の拡大を図る中で比較的堅調に推移したことなども大きく寄与いたしました。
(売上原価)
当事業年度の売上原価は、前事業年度と比べ124百万円増加し、7,685百万円となりました。これは、円安の進行及び物価高騰の状況によって建築関連製品事業の製造コストが増加し、生産の効率化によっても製造コストの上昇を抑えきれなかったことが主因であります。
また、不動産賃貸事業につきましても、大規模改修などの設備投資により、減価償却費等の不動産原価が増加いたしました。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度と比べ170百万円増加し、3,043百万円となりました。これは、エネルギー価格や人件費の上昇による物価高騰にともなって、物流コストや労務費が増加したことが主因であります。
(営業外収益、営業外費用)
当事業年度の営業外収益は、前事業年度と比べ2百万円増加し、46百万円となりました。これは、受取保険金等が増加したことにより雑収入が増加したことが主因であります。
当事業年度の営業外費用は、前事業年度とほぼ横ばいの5百万円となりました。これは、固定資産除却損は減少したものの、事業所の再編等に伴う解約違約金等が発生したことが主因であります。
(特別利益、特別損失)
当事業年度において特別利益は、不動産賃貸事業によるテナント解約に伴う預り保証金精算益15百万円、固定資産売却益5百万円など24百万円発生しております。
当事業年度において特別損失は、ゴルフ会員権の時価が低下したことから預託金に係る貸倒引当金繰入額3百万円及びリゾート会員権の売却による会員権売却損1百万円が発生しております。
(当期損益)
当事業年度の経常利益は、前事業年度に比べて149百万円減少し、336百万円となりました。これは、販売費及び一般管理費が増加したことにより営業利益が152百万円減少したことが主因であります。これに伴い売上高経常利益率は、前年と比べ1.4ポイント減少し、3.1%となり、当期純利益は82百万円減少して246百万円、自己資本利益率は0.7ポイント減少して1.9%となりました。
b.業績予想との比較
当事業年度におきましては、賃金上昇の動きが進む中、建設コストの高止まりも一巡するとともに企業の設備投資などから市場環境は底堅く推移するものの、地政学的リスクの影響よる物価高は続き、円安などの影響もあって、調達コストにおいて厳しい環境となるとの想定の下、2024年4月5日時点において売上高11,500百万円、営業利益570百万円、経常利益600百万円、当期純利益360百万円の業績を見込んでおりました。
当該業績予想との比較・分析は以下のとおりであります。
売上高に関しましては、業績予想と比較して475百万円小さい11,024百万円となりました。
建築関連製品事業におきまして、集合住宅における需要が獲得できたことなどから、ゴミ収集庫や自転車ラックなどのエクステリア関連製品が伸長いたしました。また、高所作業の効率化をサポートするメンテナンスレールなど新分野の製品についても一定の需要を獲得することができました。
しかしながら、戸建用の物置の需要が低迷したことや外装用建材における価格競争の激化などから、開示した予想売上高には至りませんでした。
なお、不動産賃貸事業におきましては、大規模修繕などを実施し、住居者の住環境の改善を進めたことにより、入居率が高水準で推移したことで、予想売上高を達成いたしました。
利益面に関しましては、経常利益が業績予想を263百万円下回り336百万円、当期純利益は業績予想を113百万円下回り246百万円となりました。これにより、売上高経常利益率は業績予想の5.2%に対して、2.1ポイント下回る3.1%となりました。これは、当初の予測を上回る円安の進行や資材価格や運搬費など物価の高騰の影響から製造コストや販管費が増加したことが主因であります。当社ではコスト増加に対して内製化などの原価低減策に努めるとともに、価格改定を実施してまいりましたが、価格改定の効果期間が想定よりも短かったこともあり、業績予想の経常利益に至りませんでした。
② キャッシュ・フローの状況の分析及び資本の財源と資金の流動性に関する情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(主な資金の需要及び財源)
当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料、商品等の購入や外注加工費等の製造費用のほか販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備投資等の資金需要の主なものは、建築関連製品事業の工場建物や機械装置、金型等の工具などの生産設備への投資によるものであります。
これらの資金需要につきましては、主に営業キャッシュ・フロー及び自己資金による他、金融機関からの借入を財源として調達する方針であります。当社としましては、強固な財務基盤を有し、また適切な財務情報の開示などを通して金融機関と良好な関係を維持しており、運転資金及び投資資金の調達に関して、問題なく調達することが可能であると判断しております。
(資金の流動性)
当社は、手元資金を売上高の3ヶ月分相当に維持することで運転資金需要に対応しており、流動性リスクを管理しております。また、突発的な資金需要が生じた際には、機動的に調達可能なように、複数の金融機関との間で合計3,050百万円の当座貸越契約を締結しております。
なお、当事業年度末において借入金の残高はありません。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたり、会計方針の選択、資産、負債、収益及び費用の報告額及び開示に影響を及ぼす見積りを行っております。経営者は、これらの見積りが必要な事項について、過去の実績、経験や見積り時点までに入手しうる情報などを総合的に勘案して、合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表作成において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。また、財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社は顧客第一に徹し、住環境や都市環境の向上に貢献するため、住宅やビル等へ提供する顧客ニーズに合った製品開発を積極的に取り組んでまいりました。当社の研究開発は、既存製品の改良などは元より、新機種の追加、新用途での製品追加、アイデアやデザイン面にも重点を置いております。
当事業年度における研究開発費の総額は
|
金物分野 |
98百万円 |
|
建材分野 |
34百万円 |
|
エクステリア分野 |
50百万円 |
|
その他 |
0百万円 |
当社は、セグメントのうち、建築関連製品において研究開発活動を行っており、当事業年度の概要は次のとおりであります。
(1)金物分野
(ハンガーレール)
ハンガーレールシリーズにおいては、新たな市場を開拓するべく、様々な提案活動及び製品開発に取り組んでおります。
マテハン関連製品にて、様々なレイアウトでの製品や資材等の自動搬送を可能にしたモーター駆動用複写を発売いたしました。工場の作業効率を向上させ、省人化に寄与する製品であり、既存のFTハンガーのレールやMTCハンガーのレールを活用できる復車となっており、より簡単に導入できるよう開発しております。
(点検口関連)
天井点検口において、顧客要望に応えて操作性(内枠ワンタッチ解錠・内枠簡易脱着)を向上させた仕様を開発した他、高所での天井裏点検作業の簡略化及び品質を向上させた製品を開発いたしました。
また、45分/60分準耐火構造に対応する耐火・気密タイプを開発いたしました。
(2)建材分野
ルーバー関連製品において、新形状のルーバーのサイズラインナップを充実させるとともに、有孔折板に14種類の和柄パターンを追加し、より多様なシーンに利用してもらえるようにいたしました。
(3)エクステリア分野
(自転車置場関連)
駐輪場屋根において、環境配慮型の製品として、両面発電型太陽電池モジュールをルーフ部分に搭載したソーラーサイクルロビー「CY-PVH」を発売いたしました。また、普段は畳んで開放的に、日差しが強い時は手動で広げて日よけとして使用できるサンシェード「AW-CS型」を開発し、新たな領域での製品展開に取り組みました。
また、自転車ラックにおいては、改修物件でも設置しやすいアルミ製スライド式ラックやファットバイク用のラック、車止めの仕様の追加など、多様な設置環境に対応できるように製品ラインナップの充実を図りました。
(ごみ収集庫関連)
顧客の使用環境に合致した選択が行えるように、市場ニーズに応じたサイズ及びカラーバリエーションを追加し、選択肢の幅を拡げました。