第2【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。
尚、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
現在の航空機需要は激減したコロナ禍から回復し、成長軌道へ転じております。また、長期化しているウクライナ情勢を発端に再編された航空機向けチタンのグローバルサプライチェーンによる代替需要が加わり、中長期的なスポンジチタンの需要は堅調に推移することを想定しております。しかしながら、足元ではボーイング社の品質問題やストライキ等の影響により、同社民間航空機の増産計画が遅延する等、一時的にスポンジチタン需要が減少しております。加えて一般産業用途向けスポンジチタン需要は、中国経済の減速等の影響を受け減少傾向であります。
一方、コスト面では、チタン鉱石等の各種原材料価格やエネルギー価格はピークアウトしているものの、資機材価格や人件費は年々上昇しております。更に米国の追加関税や各国の報復関税による影響等、事業環境の不確実性がより一層高まっています。
このような事業環境において、スポンジチタンの工場稼働率は、一定の販売財源を確保したことから、期中の販売数量増加への対応能力は維持しつつ、販売数量見合いに引き下げております。また、チタン事業の収益性を確保するためにお客様の理解を得ながら販売価格の適正化を進めると共に、生産諸元の改善や操業条件の最適化等による徹底したコスト削減に取り組んでおります。これらの活動と併せて、各工程の自動化や生産効率の向上を図り、更に将来の生産改革に繋げていくためAIやIoT技術等の先端技術を駆使したスマートファクトリー化を推進しております。
航空機の中長期的な需要は持続的な成長が予想されることから、米国チタン展伸材製造各社は生産能力の増強を実施し、量産に向けた準備を進めています。中長期的な需給逼迫の可能性を見据えて、チタンサプライチェーンより高品質スポンジチタンの安定供給を強く要請されており、当社チタン事業の成長とチタン業界発展への貢献の観点から、本社・尼崎工場における既存のインフラを活かし、スポンジチタンの生産能力を増強することといたしました。現在、計画通りの工事完遂、早期戦力化に向けた取り組みを進めております。
一方、二つ目の中長期経営課題である事業構造の強化を図り、将来の経営ビジョンとして描く事業ポートフォリオの変革に向け、従来の商品群に積層セラミックコンデンサ(MLCC)市場に繋がる四塩化チタンを加えて一括管理する高機能事業部を新設し、高機能材料事業の育成、強化に鋭意取り組んでおります。高機能材料事業の製品群である高純度チタンや球状チタン合金粉末(合金TILOP)は今後、大きな市場成長が期待される半導体や積層造形市場に上市しており、特長ある製品や技術を武器に市場におけるプレゼンスを高め、事業成長を促進して参ります。
一方、リチウムイオン電池用SiO負極材をはじめとする当社の強みを発現できる新規事業の創出にも継続して取り組んでおります。これらの活動によってチタン事業を主軸とする成長戦略を補強し、安定成長のための経営基盤の強化を着実に推進して参ります。
現在、以下の中期経営課題に鋭意取り組んでおります。
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<中期経営課題> (チタン事業) ・生産能力増強と収益構造の強化によるチタン事業の持続的成長 (高機能材料事業) ・新規事業の開拓を含む高機能材料事業の拡大による事業ポートフォリオ変革の促進 (全社共通) ・人的資本の強化とフル活用のための環境整備 ・データサイエンス等を駆使したスマートファクトリー化による DX(デジタルトランスフォーメーション)の更なる推進 ・財務体質の健全化による安定成長基盤の構築 ・カーボンニュートラル対応をはじめ環境負荷低減に向けた多面的な活動の推進 |
それぞれの事業セグメントにおける課題は次のとおりであります。
1.チタン事業
①収益基盤の強化
・事業の継続的成長の基盤となる収益力を確保する水準への販売価格及び販売構成の適正化
・革新的な技術開発によるコスト構造の改質と環境負荷低減への貢献
・安定かつ競争力ある原料調達体制の維持とトータルコスト最適化の追求
②最適生産体制の追求
・炉当たり生産性の改善による生産能力の最大活用
・職場環境改善(自動化、業務負荷低減)による労働生産性の向上
・生産技術の高度化のためのAI等の数理工学的アプローチの積極導入
③スポンジチタン生産能力の増強
・計画通りの工事完遂(2027年度末完成)
・設備稼働に合わせた操業要員の採用と育成
・増強設備の早期戦力化に向けた客先認証の取得促進
2.高機能材料事業
①高純度チタンの顧客対応力強化による事業拡大
・技術営業による顧客対応力の強化と戦略製品によるシェア拡大
・先端ニーズを先取りした特長ある製品の開発と継続的な成長機会の捕捉
・高付加価値品の拡販とロスコスト削減による収益力の更なる強化
②四塩化チタンの事業拡大
・独立した事業体としての収益力維持
・現有設備能力における販売数量と利益の最大化
・成長が見込める積層セラミックコンデンサ(MLCC)需要の捕捉
③球状チタン合金粉末(合金TILOP)の事業基盤の強化
・合金TILOP専用工場の戦力化による事業基盤の構築
・高収益が見込める市場への参入やロスコストの削減による利益の最大化
・プロセス技術の継続的な開発と差別化製品の市場投入
④リチウムイオン電池用SiO負極材料の事業化加速
・商業生産の開始と拡販及び高付加価値市場への参入による事業基盤の構築
・品質安定化とコスト削減による高コストパフォーマンスの実現
・新製品の開発と事業拡大の検討
⑤高付加価値メニュー創出に向けた取り組みの継続
・オープンイノベーションを活用した当社保有コア技術による新規事業の探索と事業化検討
・経営資源の投入による新規事業候補の事業化検証の推進
・当社の強みを発現できる案件の追求
3.全社的取り組み
①技術開発力の強化
・省人/省力化、合理化開発により労働生産性の向上を推進
・DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)を
含めた革新的技術開発をイノベーション開発として推進
・事業ポートフォリオの変革に向けた新たな製品や事業のための探索活動の継続
②人的資本の強化
・「採用」、「育成」、「職場環境改善」を重点テーマとした人的資本強化推進
プロジェクトチームの活動継続と成果出し
・従業員が働く自信と誇り、喜びを感じられる魅力ある職場づくり
・持続的成長に向けた中期課題解決のための採用・育成計画及び人事施策の充実
③DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応推進
・蓄積データの効率的な活用による更なる品質安定化と生産効率の向上
・スマートファクトリー化全体構想の立案と推進
・基幹システムの刷新による業務改革の推進
④ESG取り組み
・環境負荷低減への貢献
・安全で健康な職場環境の構築
・人材育成とD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進
・ガバナンスの充実による持続的成長
・先端素材の開発、提供によるサステナビリティ社会への貢献
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
Ⅰ 基本方針
1.基本的考え方
当社は、環境をはじめとするサステナビリティに関する諸課題への対応は、企業の社会的責務であるとの基本認識のもと、サステナビリティに関する諸課題に、事業活動を通じて積極的に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献することを通じ、中長期的な企業価値向上を図ってまいります。
2.具体的な取組
(1)環境への取組み
<目標>2050年カーボンニュートラル実現への貢献
カーボンニュートラルの実現に向け、多面的な活動を推進し、企業価値の向上を図るとともに、グリーン社会の実現に寄与してまいります。
<取組指針>
① 製造プロセスの省エネルギー推進と革新的プロセスの追求
製品の製造プロセスにおいて、省エネルギー取組みにより環境負荷低減を継続的に推進するとともに、革新的プロセスの追求にも積極的に取り組んでまいります。
② 社会インフラへの当社製品提供を通じた温室効果ガス排出抑制への貢献
チタン及び高機能材料等の製品の提供を通じ、航空機、半導体・情報通信、エネルギー、化学プラント等様々な産業分野における温室効果ガス排出抑制に貢献してまいります。
③ グリーン調達等によるサプライチェーンを通じた環境配慮取組の推進
ステークホルダーと連携しながら、サプライチェーン全体を通じた環境配慮の取組を推進します。
<環境マネジメントシステムの推進>
ISO14001をベースとした環境マネジメントシステムを更に発展させ、環境保全取組みの継続的な改善を進めてまいります。
(2)社会への取組み
<人権の尊重>
グローバル社会の中での人権の尊重に配慮するとともに、人権の侵害を認めない企業・職場の風土づくりに継続的に取り組んでまいります。
<働きがいのある職場の実現>
1)安全と健康は経営の基盤であり、最重要課題であるとの認識のもと、従業員がその能力・活力を十分に発揮し、安全で活き活きと働き続けられる職場環境作りを目指し、安全衛生諸活動を行ってまいります。
2)国籍、人権、宗教、性別、年齢等に基づく不当な差別を排除するとともに、多様な人材が持てる能力を最大限に発揮できる環境作りに努めてまいります。
3)働き方改革の推進等を通じて、従業員がやりがいをもって働ける環境を整備してまいります。
持続的な企業価値の向上を図るためには、優秀な人材の確保、育成が不可欠であることから、人的資本に対する積極的な投資を行ってまいります。
<全てのステークホルダーとの信頼関係の構築>
取引先との相互信頼に基づくパートナーシップを構築し、公正・公平で自由な取引を行なうとともに、地域社会との共生を目指すなど、全てのステークホルダーとの信頼関係の構築を通じ、企業基盤の確立を図ってまいります。
<知的財産の活用とイノベーションの追求>
これまでの事業活動を通じて蓄積した知的財産の棚卸し・再評価を実施するとともに、イノベーションを促す機会を創造し、知的・無形資産を基盤とした新規事業の創出等を通じ、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
(3)ガバナンスへの取組み
<企業価値向上に資するコーポレート・ガバナンスの充実>
中長期的な企業価値向上につながるコーポレート・ガバナンス体制の整備を目指し、取締役会の実効性向上に向けた取組みを継続して進めてまいります。
<コンプライアンスとリスクマネジメントに関する体制整備>
1)コンプライアンスの確保は経営の基盤であり、最重要課題であるとの認識のもと、企業行動規範を制定するとともに、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会の設置等により、コンプライアンス経営を強化してまいります。
2)コンプライアンスに関わる事項について、建設的な提言や具申等を受け入れるコンプライアンス相談・通報窓口を社内及び社外に設置することにより、企業行動の法令、社会諸規範への適合性の確認を行うとともに、職場環境の改善を図ってまいります。
3)コンプライアンス・リスクマネジメント委員会の活動を通じ、環境、自然災害、ハラスメント等の人権問題、安全防災等、ESGに関連するリスクも含めた当社事業を取り巻くリスクの予防及び発生時の迅速かつ適切な対応を実践してまいります。
Ⅱ サステナビリティ経営のフレームワーク
(1)委員会設置の目的
企業を取り巻く環境が大きく変化する中、企業価値向上にはサステナビリティが重要な経営課題の一つであり、持続可能な社会の実現への貢献と当社の持続的成長の実現の両立に向けた取り組みをより一層強化する観点から、サステナビリティ委員会を設置しております。
(2)委員会の役割
委員会は、取締役会の諮問機関として設置し、環境・社会・ガバナンスといったサステナビリティに関する重要課題への対応方針について議論し、取締役会へ答申を行います。 また、委員会の下に、それら課題について具体的な検討を進める体制を構築し、持続可能な社会の実現への貢献と当社の持続的成長の実現を推進してまいります。
(3)委員会の構成
委員会は、代表取締役社長、環境部門、ガバナンス部門を総括する各執行役員(取締役)、独立社外役員、および監査等委員である取締役を委員として構成しております。
Ⅲ リスク及び機会
1.気候変動関連リスク及び機会と当社の戦略
<気候関連リスク>
今後、カーボンプライシング導入をはじめとする気候変動に関する環境規制の強化などが当社の業績及び財務状況に大きな影響を与える可能性があります。また、近年、洪水・台風に関する被害が激甚化する傾向にあり、気候変動による災害の増加により、生産量低下、サプライチェーンの混乱などが想定されます。
<気候関連機会>
気候関連問題の国際的な関心の高まりを背景に、CO2排出量が少ない製品・サービスへの需要が増加しており、耐食性に優れるチタンの需要が中長期的に増加することが期待されます。
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当社への影響 |
当社の戦略 |
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1.5℃ シナリオ (注1) |
政策・ 法制度 |
リスク |
カーボンプライシング導入による操業コスト増 |
・製造工程の省エネルギー技術開発 ・クリーンエネルギーの調達 ・CCUS・DAC技術の導入検討 |
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機会 |
カーボンニュートラル(CN)関連製品の需要が増え軽量、耐久性に優れるチタン需要の増加 |
·チタン、高機能製品 販売促進 · 二酸化炭素排出量削減貢献 |
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市場と 技術の 移行 |
リスク |
CN対応の、研究開発、設備投資、操業コストの増加 |
・製造工程の省エネルギー技術開発 ・CCUS・DAC技術の導入検討 |
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機会 |
自動車のEV化、航空機のCFRP化 推進に伴うチタン需要の増加 |
·チタン、高機能製品 販売促進 · 二酸化炭素排出量削減貢献 |
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評判 |
リスク |
CN取り組み及び情報開示の遅れによる企業の評判悪化 |
適切な情報開示 |
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機会 |
CNへの積極的取り組みを開示し、企業の評判向上 |
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4℃シナリオ (注2) |
異常気象 |
リスク |
異常気象による原料調達先の操業停止、サプライチェーンの混乱 |
BCPによるリスク回避 |
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異常気象による工場操業・出荷停止 |
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機会 |
「国土強靭化」による需要の増加 |
·チタン、高機能製品 販売促進 · 二酸化炭素排出量削減貢献 |
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(参考:用語解説)
・CFRP : Carbon Fiber Reinforced Plastics(炭素繊維強化プラスチック)
・CCUS技術: Carbon Capture, Usage and Storage(二酸化炭素を固定化し貯蔵、活用する)技術
・DAC技術 : Direct Air Capture(二酸化炭素を直接回収する)技術
(注) 1 産業革命以前に比べて気温上昇を1.5℃以下に抑えるために必要な対策が講じられた場合のシナリオ
2 平均気温が4℃上昇するシナリオ、気候変動に対し必要な対策が講じられない場合の成り行きシナリオ
2.社会・ガバナンス関連リスク及び機会と当社の戦略
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当社への影響 |
当社の取組 |
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社
会 |
職場安全衛生 環境の整備 |
リスク |
災害発生による社会的信用の 喪失、人材流出 |
コミュニケーションの活性化を通じた安全ルール遵守の職場風土構築 機械設備のリスクアセスメント推進 製造工程の自動化、省力化の推進 |
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機会 |
安全文化の醸成 |
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働き方改革
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リスク |
労働生産性低下や人材流出 |
個々人の尊重、柔軟な働き方支援によるワークライフバランスの実現 製造工程の自動化、省力化の推進 |
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機会 |
従業員エンゲージメント向上 による組織力向上 |
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人材確保・育成 |
リスク |
要員不足、人材ミスマッチによる事業機会の喪失 |
操業を確立/維持するための要員確保 次世代を担うリーダー人材の計画的育成 経営課題に対応する人材の育成・補強 従業員各層を対象とした育成、活性化施策の展開 |
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機会 |
従業員の能力、活力、エンゲージメント向上による企業価値向上 |
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ダイバーシティ& インクルージョン |
リスク |
人材・属性の偏りによる画一的 発想と新たな事業機会喪失 |
ダイバーシティ推進体制の一層の充実 多様なソースからの採用推進 |
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機会 |
多様な価値観のコラボレーションによる革新的発想の醸成 |
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当社への影響 |
当社の取組 |
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ガ バ ナンス |
コーポレート・ ガバナンス |
リスク |
ガバナンス統制不全による企業価値の毀損 |
・取締役会の実効性評価並びに任意の委員会の答申を通じた取締役会の機能強化への継続 取組によるコーポレート・ガバナンスの更なる充実・強化 ・当社事業を取り巻く重要リスク項目の抽出とリスク管理を通じたリスクの予防、発生時の対応強化 |
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機会 |
意思決定の透明性向上、迅速化による経営基盤確立 |
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コンプライアンス |
リスク |
抵触事案発生による社会的信用の失墜、企業価値毀損 |
コンプライアンス教育、啓発活動の継続実施 従業員意識調査やモニタリング、相談、通報への対応を通じた課題抽出と改善取組 |
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機会 |
ステークホルダーの信用獲得 従業員エンゲージメント向上 |
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Ⅳ マテリアリティの設定
当社は、GRIスタンダード、SDGs、ESG評価機関の評価項目、世界のメガトレンドなどを参照し、マテリアリティ(重要課題)の候補テーマを選定したうえで、サステナビリティ委員会において、当社の「サステナビリティ基本方針」を踏まえ、中長期的企業価値向上の観点から各候補テーマの重要度を検討し、以下のマテリアリティを特定しております。
①環境負荷低減への貢献
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指標・目標 |
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指標 |
目標 |
2024年度実績 |
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気候変動の緩和 |
生産プロセスにおけるCO₂削減 (Scope1,Scope2の合計) |
2030年度 46%削減への挑戦 (2013年度比) 2050年度カーボンニュートラルへの挑戦 |
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再生可能エネルギー によるCO₂削減 |
太陽光発電能力増強 |
307t-CO2 削減 (太陽光発電量 733MWh) |
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先端素材供給による最終製品 使用時のCO₂削減 |
チタン製品によるCO₂削減貢献の定量化と公表 |
CO2削減貢献定量化検討中 (日本チタン協会として取組) |
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資源循環対応 |
水のリサイクル率(循環冷却水) |
90%以上を維持 |
96.6% |
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廃棄物の再資源化 |
有価物の販売 |
6,859ton |
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②安全で健康な職場環境の構築
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指標・目標 |
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指標 |
目標 |
2024年度実績 |
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従業員が安心して働ける環境の整備 |
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休業度数率 |
休業度数率
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死亡・重大災害件数 |
死亡・重大災害件数 |
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安全に関する階層別教育 受講者数 |
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ストレスチェックの実施と 有効活用 |
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継続実施中 |
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働き方改革 |
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③人材育成とダイバーシティの推進
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指標・目標 |
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指標 |
目標 |
2024年度実績 |
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人材育成 |
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ダイバーシティ& インクルージョン |
管理職に占める海外経験を 有する者の比率 |
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管理職に占める中途採用者の 比率 |
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新卒及び総合職中途採用者に 占める女性比率 |
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女性総合職社員に占める 管理職比率 |
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④ガバナンスの充実による持続的成長
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指標・目標 |
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指標 |
目標 |
2024年度実績 |
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コーポレート・ガバナンス |
取締役会実効性向上と評価 |
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継続実施中 |
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コンプライアンス意識調査の継続実施と評価、改善 |
コンプライアンス 意識調査評価の活用 |
継続実施中 |
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コンプライアンス リスク マネジメント |
各部教育計画の策定と実行 |
- |
継続実施中 |
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内部通報件数 |
1件 |
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品質管理教育 |
品質教育の計画的実施 |
継続実施中 |
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人権の尊重 |
国連指導原則、人権デューデリジェンスへの対応 |
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継続実施中 |
⑤先端素材の開発・提供によるサステナビリティ社会への貢献
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指標・目標 |
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指標 |
目標 |
2024年度実績 |
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研究開発投資 |
売上高に占める研究開発費の割合 |
2%以上 |
2.6% |
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先端素材開発への投資 |
研究開発費に占める新規事業開発の割合 |
50%以上 |
50.7% |
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DXの推進 |
基幹システムのERP化 |
- |
製造系システム再構築の検討中 |
⑥地域社会への貢献
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指標・目標 |
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指標 |
目標 |
2024年度実績 |
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地域の環境防災 活動への積極的参画等 |
各種地域行事への積極的参加等 |
- |
継続実施中 |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)需要変動等によるリスク
当社の輸出向け金属チタン(スポンジチタン、インゴット)の主要用途は高品質の航空機用であり、航空機メーカーの受注並びに航空機のメンテナンス需要の変動や海外の金属チタンメーカーの動向により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
国内向け金属チタンの多くも、電解プラント向けやプレート式熱交換器向け等の一般産業用として、展伸材メーカーから海外向けに直接または間接的に輸出されております。
そのため、チタン事業全体といたしましても世界経済の変動や多国間の通商問題等の国際的な環境要因により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
また、高機能材料事業につきましてもチタン事業と同様に、世界経済の変動や多国間の通商問題等の国際的な環境要因により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
このため、製品の新たな用途開拓、魅力ある製品の提供によりその影響を最小限にするべく努めております。
また、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化の影響は、資源・エネルギー価格の高騰や欧米の航空機メーカーによる脱ロシア依存をはじめとしたサプライチェーンの再編等多岐にわたると想定しております。
(2)為替変動によるリスク
当社の輸出売上高の殆どが米ドル建てであり、当社全体の売上高に占める輸出の割合は、当事業年度実績で69.7%となっております。輸入原材料の米ドル建てでの仕入や、電力、LNG等の間接的な米ドルでの支払いを含めても、米ドルの受取超過になる傾向にあり、為替の変動により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
また、当社は為替の変動に関して為替予約取引によるヘッジを行うなど、為替リスクを低減すべく努めておりますが、為替リスクを完全に排除することは困難であり、為替が大きく円高に振れた場合は、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
(3)金利変動によるリスク
当事業年度末における有利子負債残高は437億円となります。
当社は長期借入金に関して、固定金利での調達を実施しておりますが、中長期的な金融情勢の変動に起因する金利率の変動により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があると想定しております。
(4)電力供給制限及び料金の変動によるリスク
当社の製造工程においては、大量の電力を消費するため、設備の改良による電力エネルギーの効率化及び改善に日々努めておりますが、電力の供給に制限があった場合、また電力会社の発電構成の見直しや原油価格の変動等により電力料金の大幅改定があった場合、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
また、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化の影響は、電力供給及び料金にも影響をもたらし、結果として当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
(5)原料市場の需給変動及び価格変動によるリスク
当社が購入しているチタン原料等の原料価格及びそれらの輸送に関わる海上運賃等は国際的な市況、為替相場、法規制、自然災害、地政学的リスク等により影響を受けます。調達先の分散や調達先との関係強化などを通じてこれらの安定調達に努め、またチタン原料等の価格変動の当社製品価格への転嫁にも努めておりますが、チタン原料の需給バランスが崩れることにより調達量が制約されたり購入価格が大きく変動する場合、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
(6)自然災害及び感染症等によるリスク
当社の製品は全て自社工場で生産されており、大規模地震や台風等の自然災害、感染症等の大規模流行、戦争やテロ、暴動が発生した際の損害を最小限に抑えるため、緊急対応策の準備、連絡体制の整備、定期的な見直しや訓練の実施等を行っております。しかし、これら大規模災害等により直接的に被害を受ける、もしくは物流網や供給網の混乱、インフラの障害等により事業活動に支障が生じた場合には、売上高や受注高の減少、生産コストの上昇や復旧コストの発生等により当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
当社は調達先の複数化や適正在庫の確保、並びに感染拡大を防止するための衛生管理の徹底やテレワークを行うなど、各種対応に努めておりますが、ほかにも様々なサプライチェーンの停滞による資材等の調達懸念、変異株の再流行による事業活動の制限などにより、生産活動が停滞し、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
(7)重大な生産トラブルによるリスク
当社では、全ての設備の予防保全に努めるとともに設備の安全審査、保安管理体制の強化を図り、その維持及び改善に万全を期しておりますが、万一重大な生産トラブルが発生した場合、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。また、予期せぬ設備の調整不足や操業条件の不具合による生産トラブルが発生し所定の生産量や製品品質が確保できない場合、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
(8)品質に関するリスク
当社は、素材メーカーであり、その社会的使命は、顧客が満足する製品及びサービスを安定的に供給することであると考えております。そのため、組織的な対応・維持及び継続的な改善のためのインフラ投資を行い、品質管理に万全を期しておりますが、万が一、品質不良、品質事故等が発生した場合は、対策コストの発生や、当社製品への評価の低下により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
(9)競合会社との競争等によるリスク
チタン事業におきましては、国内外に存在する競合他社による競争力のある新製品(新素材)の発売、価格競争の激化、低価格品などへの需要シフト等に対応するため、当社独自の製品開発・生産技術・品質保証体制を活かし、競合他社との差別化を図っておりますが、競合他社との競争激化等により当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
(10)情報の流出によるリスク
当社は事業活動において顧客情報等を入手することがあり、また営業上・技術上の秘密情報を保有しており、システムを構築し事業活動を行っております。当社はサイバー攻撃等による不正アクセスや情報漏洩等を防ぐため、管理体制を構築し適切な安全措置を講じております。しかし、顧客情報の漏洩や滅失等の事故が発生した場合には、損害賠償や社会的信用の低下等により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。また、営業上・技術上の秘密情報の漏洩や滅失等の事故が発生した場合や、第三者に不正使用された場合、サイバー攻撃等によるシステム障害が発生した場合には、生産や業務の停止、競争優位性の喪失、社会的信用の低下等により当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
(11)財務制限条項への抵触によるリスク
当社は借入金の一部を、当社メイン銀行を主幹事とするシンジケートローンにて調達を行っており、財務制限条項付融資契約について、財務制限条項に抵触した場合、期限の利益を喪失し当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
尚、当該契約に付された財務制限条項の内容は、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 (貸借対照表関係)※3 財務制限条項をご参照下さい。
(12)固定資産の減損損失の計上によるリスク
当社が保有している固定資産について、将来のキャッシュ・フローの見積りに変動が生じた場合、固定資産の減損が発生し減損損失の計上により当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)繰延税金資産の金額の変動によるリスク
当社では繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しております。
しかしながら、今後将来の課税所得の予測・仮定に変動が生じた場合、繰延税金資産の金額の変動により当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)気候変動によるリスク
カーボンプライシング導入をはじめとする気候変動に関する環境規制の強化などにより、当社の財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。
また、近年、洪水・台風に関する被害が激甚化する傾向にあり、気候変動による災害の増加により、生産量低下、サプライチェーンの混乱などが想定されます。
尚、気候変動関連リスク及び機会と当社の戦略の詳細は 第2 事業の状況、2 サステナビリティに関する考え方及び取組をご参照下さい。
(15)人的資本の確保・育成によるリスク
当社では、事業の維持・成長に必要な人材の確保のために、多様な背景を持つ社員一人ひとりが持てる能力や専門性を最大限発揮し、活き活きと働くことが出来るよう、職場環境の整備や人材育成の取組を進めています。しかし、今後、少子化や人材の流動化の加速、また労働市場の需給バランスの変化などによって人材の確保が想定どおりに進まない場合には、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
(16)知的財産に関するリスク
当社は、各国の知的財産法を遵守し、他社と差別化できる技術と知的財産権を蓄積しグローバルに事業競争力を強化してきましたが、知的財産の保全手続きにつきましては、各国の法制度や執行制度の相違により、第三者による当社の知的財産権への侵害に対して十分な保護が得られるとは限らず、当社の事業が脅かされ当社の経営成績が影響を受ける可能性が考えられます。
また、第三者から知的財産権の侵害によるクレームや訴訟提訴等を受け、当社に不利な判断がなされた場合は、当社の事業活動、経営成績が影響を受ける可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国経済は、外国人入国者数の増加によるインバウンド需要もあり、国内消費の回復によって雇用や所得環境の改善がみられ、緩やかに景気回復が続きました。一方で人手不足の深刻化や資源・エネルギー価格の高止まり、物価高によるインフレの問題、為替相場及び株価の急激な変動といった不安要素が顕在化しております。また、海外経済も緩やかな回復基調にあるものの、インフレと金融引き締め策、中国での長期化する不動産市場低迷、ウクライナや中東情勢の地政学的リスクの継続、加えてアメリカの関税政策の見直し等により、その先行きは不透明さが急速に高まってきております。
当社を取り巻く事業環境について、チタン事業におきましては航空機需要が回復から成長軌道となっている事や世界的なチタンのサプライチェーン再編の影響が継続しており、スポンジチタンの需要は堅調に推移してきました。しかしながら、足元では航空機製造の主要メーカーであるボーイング社において、品質問題に加え約2ヵ月間続いたストライキ等により、サプライチェーンへの一時的な影響が生じております。また、高機能材料事業においても、半導体市場における調整局面が継続しております。
こうした中、当事業年度の売上高は51,914百万円(前年同期比6.2%減)、営業利益は10,088百万円(前年同期比21.7%増)、経常利益は9,076百万円(前年同期比3.0%減)、当期純利益は7,090百万円(前年同期比26.8%減)となりました。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるチタン事業の売上高は販売価格是正や円安効果があったものの、取引先における在庫積が前年度で完了、当年度は実需見合いの調達に移行した事やボーイング社による品質問題や約2ヵ月間続いたストライキ等の影響により、航空機用途向けが主体である輸出スポンジチタンの売上高は前年同期比4.0%減となりました。また、一般産業用途向け主体の国内スポンジチタンも、電解プラント向けやプレート式熱交換器向け需要の大幅な減少等により同17.1%減となりました。この結果、チタン事業の売上高は47,947百万円(前年同期比8.3%減)となりました。
損益につきましては、販売価格是正や操業改善といった収益改善や円安効果等により営業利益は9,901百万円(前年同期比17.7%増)となりました。
当事業年度における高機能材料事業の売上高は半導体市場の調整局面が継続しているものの、半導体関連のスパッタリングターゲット用高純度チタンの販売量が一部の取引先のスポット受注により増加したことから、3,966百万円(前年同期比31.2%増)となりました。
損益につきましては、同製品の販売増効果により営業利益は187百万円(前年同期は126百万円の損失)となりました。
損益につきましては、実需見合いの調達に移行した事やボーイング社のストライキ等の影響はありましたが、チタン事業における販売価格是正や円安効果等により、営業利益は10,088百万円(前年同期21.7%増)、経常利益は9,076百万円(前年同期3.0%減)、当期純利益は7,090百万円(前年同期26.8%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末と比べ1,356百万円減少し、4,619百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益等により2,859百万円の収入となりました(前事業年度は2,098百万円の収入)。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により3,475百万円の支出となりました(前事業年度は3,016百万円の支出)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額等により694百万円の支出となりました(前事業年度は524百万円の支出)。
③生産、受注及び販売の実績
a生産実績
当事業年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
チタン事業 |
57,227 |
10.5 |
|
高機能材料事業 |
5,483 |
82.4 |
|
合計 |
62,710 |
14.4 |
(注) 金額は、販売価格によっております。
b受注実績
当事業年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
チタン事業 |
48,813 |
△4.3 |
12,343 |
7.6 |
|
高機能材料事業 |
4,015 |
28.7 |
935 |
5.5 |
|
合計 |
52,829 |
△2.4 |
13,279 |
7.4 |
c販売実績
当事業年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
チタン事業 |
47,947 |
△8.3 |
|
高機能材料事業 |
3,966 |
31.2 |
|
合計 |
51,914 |
△6.2 |
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先 |
第27期 |
第28期 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
住商メタレックス㈱ |
34,341 |
62.1 |
33,368 |
64.3 |
|
神鋼商事㈱ |
11,393 |
20.6 |
8,126 |
15.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 当社の当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当社チタン事業においては、航空機需要の回復から成長軌道となっていること及び、世界的なチタンのサプライチェーン再編の影響により、スポンジチタンの需要は堅調に推移してきました。しかしながら足元では、航空機製造の主要メーカーであるボーイング社において、品質問題に加え約2ヵ月続いたストライキ等により、サプライチェーンへの一時的な影響が生じております。
また、高機能材料事業においても、2022年秋からの半導体市場の低迷及び調整局面が継続しております。こうした中、当事業年度の売上高は、51,914百万円(前年同期比6.2%減)となりました。
(営業利益・経常利益)
実需見合いの調達に移行した事やボーイング社のストライキ等の影響はありましたが、販売価格是正や操業改善といった収益改善や為替相場が円安に推移したことにより、営業利益は10,088百万円(前年同期比21.7%増)、経常利益は9,076百万円(前年同期比3.0%減)となりました。
(当期純利益)
当期純利益につきましては、7,090百万円(前年同期比26.8%減)となりました。
(財政状態)
(イ)資産
当事業年度末の総資産の残高は、100,925百万円と前事業年度末と比べ7,939百万円増加いたしました。これは、製品及び原材料、固定資産が増加したことが主な要因であります。
(ロ)負債
当事業年度末の負債の残高は、58,087百万円と前事業年度末と比べ3,608百万円増加いたしました。借入金が増加したことが主な要因であります。
(ハ)純資産
当事業年度末の純資産の残高は、42,838百万円と前事業年度末と比べ4,330百万円増加いたしました。これは、当期純利益により利益剰余金が増加したことが主な要因であります。
b セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
<チタン事業>
当社チタン事業におきましては、販売価格是正や円安効果があったものの、取引先における在庫積が前年度で完了、当年度は実需見合いの調達に移行した事やボーイング社による品質問題や約2ヵ月間続いたストライキ等の影響により、航空機用途向けが主体である輸出スポンジチタンの売上高は前年同期比4.0%減となりました。また、一般産業用途向け主体の国内スポンジチタンも、電解プラント向けやプレート式熱交換器向け需要の大幅な減少等により同17.1%減となりました。この結果、チタン事業の売上高は47,947百万円(前年同期比8.3%減)となりました。
損益につきましては、販売価格是正や操業改善といった収益改善や円安効果等により営業利益は9,901百万円(前年同期比17.7%増)となりました。
当事業年度において、製造能力の維持更新を主な目的として5,141百万円の設備投資を実施しております。
<高機能材料事業>
当事業年度における高機能材料事業の売上高は半導体市場の調整局面が継続しているものの、半導体関連のスパッタリングターゲット用高純度チタンの販売量が一部の取引先のスポット受注により増加したことから、3,966百万円(前年同期比31.2%増)となりました。
セグメント損益は、同製品の販売増効果により営業利益は187百万円(前年同期は126百万円の損失)となりました。
当事業年度において、製造能力の維持更新を主な目的として283百万円の設備投資を実施しております。
※経営方針・経営戦略、経営上の目的を達成するための方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度のキャッシュ・フローの状況は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資金需要については、運転資金に加え製造設備の維持改善や研究開発等を目的とした設備投資等があります。これらの資金需要については、自己資金に加え、金融機関からの調達等により確保しております。
長期借入金の借り換えも実施しながら、安定資金の確保と財務体質の健全化に向けた取り組みを進めております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要と判断したものは、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
また、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
「ローン契約に付される財務上の特約」については、経過措置に基づき記載を省略いたします。
当社の研究開発活動は、短期的課題のみならず、中長期的視点を持ちながら、それぞれの事業戦略とも連携した計画に基づいております。
全社共通取り組みとしては労働生産性の向上、省エネルギー化に関わる開発を最重要視し、各活動においてはデータを積極的に活用するべくAI等DX技術の開発も進めております。
更には研究開発活動の活発化、更なるレベルアップに向けた人材育成も強力に推進しております。
当事業年度の研究開発費は
各事業セグメントの研究開発活動は次のとおりです。
<チタン事業>
当社のチタン事業は、業界トップクラスの製品品質、生産性を有しておりますが、更なる改善のため生産技術開発および基礎研究を加速しております。
具体的には、生産設備増強計画および現有設備改善のいずれにも寄与する生産量最大化のための生産性向上、高コスト環境にあっても事業収益性を確保するための製造設備長寿命化や生産効率改善、品質向上などのための研究開発を進めると同時に、それらのプロセスを大きく変革する革新的技術開発を推進しております。
チタン製錬等に関する技術においては、大学との共同基礎研究も継続しております。
また、課題解決の範囲を更に拡大すべく操業の過程で生じる大量のデータを分析することによる、操業最適化、および、省人化開発を強化しております。
あわせてそれを支えるデータサイエンティスト人材の育成も加速しております。
なお、当事業年度のチタン事業の研究開発費は
<高機能材料事業>
高機能材料分野では、高純度チタンの品質改善および、3Dプリンタ用途などを主なターゲットとした球状チタン合金粉末(合金TILOP)の事業成長加速に向けた品質、生産性向上、コスト改善等の研究開発に注力しております。リチウム二次電池負極材用SiOは、本開発に特化した専門組織において、品質改善、生産性向上のための研究開発を進めており、早期の事業化を視野に入れております。
更に、新規事業の創出、萌芽促進の活動については、全社を牽引する専門組織において継続して取り組んでおります。
各活動においてはデータ活用をはじめとするDX推進による開発の促進、ならびに操業最適化を強化しております。
なお、当事業年度の高機能材料事業の研究開発費は
また、研究開発活動と並行して知財活動も活発化させており、無形資産増大に向けて取り組んでおります。