第2【事業の状況】

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

  事業課題

    現在、民間航空機メーカーでは、コロナ禍からの運行機数の急回復に伴い、民間航空機の受注残が増加しており

   ます。並行して、民間航空機エンジンメーカーにおけるMRO(メンテナンス・リペア・オーバーホール)需要も拡

   大しており、航空機産業全体が成長軌道にある中で、中長期的にはスポンジチタンの需要は堅調に推移することを

   想定しております。直近の民間航空機向けサプライチェーンにおける在庫調整局面が終了すれば、需要の増加によ

   り需要はひっ迫する見込みであり、航空機産業の成長を支えるキープレイヤーとして供給能力の確保が課題となっ

   ています。

    一方、当社は2018年のポリシリコン事業撤退以降、スポンジチタンの航空機産業に依存する事業構造が更に進ん

   でおり、会社全体の安定性やリスク分散の観点で課題を抱えております。

 

  社会課題

    持続可能な社会の実現に向け、GXは企業の社会的責任を果たすための課題と認識しています。また、我が国にお

   ける労働人口は更に減少する見込みであり、当社においても必要な人材の確保や業務の効率化・自動化が課題とな

   っています。

 

  財務課題

    資本コストや株価を意識した経営は、当社の最も重要な課題の一つであります。我が国における政策金利の正常

   化に伴い、資本コストは更に上昇する見込みであり、資本効率の改善が必要であると認識しています。また、事業

   拡大に伴い運転資金が増加しており、各種施策を実行するための資金確保も当社にとって重要な課題であります。

 

  上記課題に対処すべく、当社は中期経営計画「OTC 2030」を策定致しました。

 

   中期経営計画「OTC 2030」においては、新たにパーパス・ビジョンを掲げ、2026年度から2030年度を計画

  期間として6つの方針を設定いたしました。

 

  方針

    チタン事業の持続的な成長に向けてスポンジチタン新工場を稼働させ、生産能力増強を図り(4万トン/年か

   ら5万トン/年)、航空機需要の拡大に応える供給体制を構築し、市場におけるプレゼンスの向上を図ります。ま

   たスポンジチタンメーカーのグローバルリーダーとしての地位を確固たるものとし、世界の航空機産業の一角を担

   う企業として、さらなる国際社会への貢献を目指します。

 

    事業ポートフォリオの面では、チタン事業にて得た収益を高機能材料事業へ重点的に投入し、他の成長分野(半

   導体分野・環境分野等)の変革を図ります。なお高純度チタンや四塩化チタン等の既存の高機能材料事業において

   は、営業力の強化や生産性の向上にリソースを注入し、収益力の強化を図ります。

 

    GXの推進として、コア技術を応用したリサイクル事業への参入など環境分野における事業の創出および航空機の

   燃費向上に不可欠な素材としての地位確立を目指します。

 

    人的資本経営の推進として、「採用」「育成」「活躍」の三位一体の人材戦略による人的資本の強化を図り、

   人材への投資を起点としたエンゲージメントの維持・向上を実現します。

 

    DXの推進として全社データの一元管理により、スマートファクトリー化を実現し、生産性を向上させることに

   加え、ガバナンスの高度化に貢献するシステムを構築します。またDX人材の育成をベースとして、最新技術の活用

   を進め、プロセスの自動化などの業務変革を推進する。

 

    財務面では収益力の改善をPBR(株価純資産倍率)の維持・上昇に結び付けるために、資本コストの低減や期待

   成長率の向上に取り組みます。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

Ⅰ 基本方針

 1.基本的考え方

  当社は、環境をはじめとするサステナビリティに関する諸課題への対応は、企業の社会的責務であるとの基本認識のもと、サステナビリティに関する諸課題に、事業活動を通じて積極的に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献することを通じ、中長期的な企業価値向上を図ってまいります。

 

 2.具体的な取組

 (1)環境への取組

<目標>2050年カーボンニュートラル実現への貢献

カーボンニュートラルの実現に向け、多面的な活動を推進し、企業価値の向上を図るとともに、グリーン社会の実現に寄与してまいります。

 

<取組指針>

1)製造プロセスの省エネルギー推進と革新的プロセスの追求

 製品の製造プロセスにおいて、省エネルギー取組みにより環境負荷低減を継続的に推進するとともに、革新的プロセスの追求にも積極的に取り組んでまいります。

2)社会インフラへの当社製品提供を通じた温室効果ガス排出抑制への貢献

 チタン及び高機能材料等の製品の提供を通じ、航空機、半導体・情報通信、エネルギー、化学プラント等様々な産業分野における温室効果ガス排出抑制に貢献してまいります。

3)グリーン調達等によるサプライチェーンを通じた環境配慮取組の推進

 ステークホルダーと連携しながら、サプライチェーン全体を通じた環境配慮の取組を推進します。

 

<環境マネジメントシステムの推進>

 ISO14001をベースとした環境マネジメントシステムを更に発展させ、環境保全取組の継続的な改善を進めてまいります。

 

 (2)社会への取組

<人権の尊重>

 グローバル社会の中での人権の尊重に配慮するとともに、人権の侵害を認めない企業・職場の風土づくりに継続的に取り組んでまいります。

 

<働きがいのある職場の実現>

1)安全と健康は経営の基盤であり、最重要課題であるとの認識のもと、従業員がその能力・活力を十分に発揮し、安全で活き活きと働き続けられる職場環境作りを目指し、安全衛生諸活動を行ってまいります。

2)国籍、人権、宗教、性別、年齢等に基づく不当な差別を排除するとともに、多様な人材が持てる能力を最大限に発揮できる環境作りに努めてまいります。

3)働き方改革の推進等を通じて、従業員がやりがいをもって働ける環境を整備してまいります。

 持続的な企業価値の向上を図るためには、優秀な人材の確保、育成が不可欠であることから、人的資本に対する積極的な投資を行ってまいります。

 

<全てのステークホルダーとの信頼関係の構築>

 取引先との相互信頼に基づくパートナーシップを構築し、公正・公平で自由な取引を行うとともに、地域社会との共生を目指すなど、全てのステークホルダーとの信頼関係の構築を通じ、企業基盤の確立を図ってまいります。

 

<イノベーションの追求>

 AI活用をはじめとするDX化を推進するとともに、社外リソースとの連携を強化することでイノベーションを促す機会を創造し、活動を通じて得た知的財産を無形資産として保護しつつ、先端素材開発への活用等を通じて中長期的な企業価値の向上と社会へ新しい価値提供を目指してまいります。

 

 (3)ガバナンスへの取組

<企業価値向上に資するコーポレート・ガバナンスの充実>

 中長期的な企業価値向上につながるコーポレート・ガバナンス体制の整備を目指し、取締役会の実効性向上に向けた取組を継続して進めてまいります。

 

<コンプライアンスとリスクマネジメントに関する体制整備>

1)コンプライアンスの確保は経営の基盤であり、最重要課題であるとの認識のもと、企業行動規範を制定するとともに、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会の設置等により、コンプライアンス経営を強化してまいります。

2)コンプライアンスに関わる事項について、建設的な提言や具申等を受け入れるコンプライアンス相談・通報窓口を社内及び社外に設置することにより、企業行動の法令、社会諸規範への適合性の確認を行うとともに、職場環境の改善を図ってまいります。

3)コンプライアンス・リスクマネジメント委員会の活動を通じ、環境、自然災害、ハラスメント等の人権問題、安全防災等、ESGに関連するリスクも含めた当社事業を取り巻くリスクの予防及び発生時の迅速かつ適切な対応を実践してまいります。

 

 

Ⅱ サステナビリティ経営のフレームワーク

 1.委員会設置の目的

 企業を取り巻く環境が大きく変化する中、企業価値向上にはサステナビリティが重要な経営課題の一つであり、持続可能な社会の実現への貢献と当社の持続的成長の実現の両立に向けた取組をより一層強化する観点から、サステナビリティ委員会を設置しております。

 2.委員会の役割

 委員会は、取締役会の諮問機関として設置し、環境・社会・ガバナンスといったサステナビリティに関する重要課題への対応方針について議論し、取締役会へ答申を行います。 また、委員会の下に、それら課題について具体的な検討を進める体制を構築し、持続可能な社会の実現への貢献と当社の持続的成長の実現を推進してまいります。

 3.委員会の構成

 委員会は、代表取締役社長、環境部門、ガバナンス部門を総括する各執行役員(取締役)、独立社外役員、および監査等委員である取締役を委員として構成しております。

 

 

 

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Ⅲ リスク及び機会

1.気候変動関連リスク及び機会と当社の戦略

 <気候関連リスク>

  今後、カーボンプライシング導入をはじめとする気候変動に関する環境規制の強化などが当社の業績及び財務状況に大きな影響を与える可能性があります。また、近年、洪水・台風に関する被害が激甚化する傾向にあり、気候変動による災害の増加に伴い、生産量低下、サプライチェーンの混乱などが想定されます。

 

 <気候関連機会>

  気候関連問題の国際的な関心の高まりを背景に、CO2排出量が少ない製品・サービスへの需要が増加しており、耐食性に優れるチタンの需要が中長期的に増加することが期待されます。

 

 

当社への影響

当社の戦略

1.5℃シナリオ

(注1)

政策・

法制度

リスク

カーボンプライシング導入による操業コスト増

製造工程の省エネルギー技術開発

クリーンエネルギーの調達

CCUS・DAC技術の導入検討

機会

カーボンニュートラル(CN)関連製品の需要が増え軽量、耐久性に優れるチタン需要の増加

チタン、高機能製品 販売促進

二酸化炭素排出量削減貢献

市場と

技術の 移行

リスク

CN対応の、研究開発、設備投資、操業コストの増加

製造工程の省エネルギー技術開発

CCUS・DAC技術の導入検討

機会

自動車のEV化、航空機のCFRP化

推進に伴うチタン需要の増加

チタン、高機能製品 販売促進

二酸化炭素排出量削減貢献

評判

リスク

CN取組及び情報開示の遅れによる企業の評判悪化

適切な情報開示

機会

CNへの積極的取組を開示し、企業の評判向上

4℃シナリオ

(注2)

異常気象

リスク

異常気象による原料調達先の操業停止、サプライチェーンの混乱

BCPによるリスク回避

異常気象による工場操業・出荷停止

機会

「国土強靭化」による需要の増加

チタン、高機能製品 販売促進

二酸化炭素排出量削減貢献

(参考:用語解説)

・CFRP  : Carbon Fiber Reinforced Plastics(炭素繊維強化プラスチック)

・CCUS技術: Carbon Capture, Usage and Storage(二酸化炭素を固定化し貯蔵、活用する)技術

・DAC技術 : Direct Air Capture(二酸化炭素を直接回収する)技術

(注) 1 産業革命以前に比べて気温上昇を1.5℃以下に抑えるために必要な対策が講じられた場合のシナリオ

2 平均気温が4℃上昇するシナリオ、気候変動に対し必要な対策が講じられない場合の成り行きシナリオ

 

2.社会・ガバナンス関連リスク及び機会と当社の戦略

 

 

当社への影響

当社の戦略

 

職場安全衛生

環境の整備

リスク

災害発生による社会的信用の

喪失、人材流出

コミュニケーションの活性化を通じた安全ルール遵守の職場風土構築

機械設備のリスクアセスメント推進

製造工程の自動化、省力化の推進

機会

安全文化の醸成

 

働き方改革

 

リスク

労働生産性低下や人材流出

個々人の尊重、柔軟な働き方支援によるワークライフバランスの実現

製造工程の自動化、省力化の推進

機会

従業員エンゲージメント向上

による組織力向上

人材確保・育成

リスク

要員不足、人材ミスマッチによる事業機会の喪失

操業を確立/維持するための要員確保

次世代を担うリーダー人材の計画的育成

経営課題に対応する人材の育成・補強

従業員各層を対象とした育成、活性化施策の展開

機会

従業員の能力、活力、エンゲージメント向上による企業価値向上

ダイバーシティ&

インクルージョン

リスク

人材・属性の偏りによる画一的発想と新たな事業機会喪失

ダイバーシティ推進体制の一層の充実

多様なソースからの採用推進

機会

多様な価値観のコラボレーションによる革新的発想の醸成

 

 

当社への影響

当社の戦略

ナンス

コーポレート・

ガバナンス

リスク

ガバナンス統制不全による企業価値の毀損

取締役会の実効性評価並びに任意の委員会の答申を通じた取締役会の機能強化への継続

取組によるコーポレート・ガバナンスの更なる充実及び強化

当社事業を取り巻く重要リスク項目の抽出とリスク管理を通じたリスクの予防、発生時の対応強化

機会

意思決定の透明性向上、迅速化による経営基盤確立

コンプライアンス

リスク

抵触事案発生による社会的信用の失墜、企業価値毀損

コンプライアンス教育、啓発活動の継続実施

従業員意識調査やモニタリング、相談、通報への対応を通じた課題抽出と改善取組

機会

ステークホルダーの信用獲得

従業員エンゲージメント向上

 

 

Ⅳ マテリアリティの設定

当社は、GRIスタンダード、SDGs、ESG評価機関の評価項目、世界のメガトレンドなどを参照し、マテリアリティ(重要課題)の候補テーマを選定したうえで、サステナビリティ委員会において、当社の「サステナビリティ基本方針」を踏まえ、中長期的企業価値向上の観点から各候補テーマの重要度を検討し、以下のマテリアリティを特定しております。

 

1.環境負荷低減への貢献

 

指標・目標

 

指標

目標

2025年度実績

気候変動の緩和

生産プロセスにおけるCO2削減

(Scope1,Scope2の合計)

2030年度 46%削減への挑戦

(2013年度比)

2050年度カーボンニュートラルへの挑戦

再生可能エネルギー

によるCO2削減

太陽光発電能力増強

319トン-CO2 削減

(太陽光発電量 770MWh)

先端素材供給による最終製品

使用時のCO2削減

チタン製品によるCO2削減貢献の定量化と公表

CO2削減貢献定量化検討中

(日本チタン協会として取組)

資源循環対応

水のリサイクル率(循環冷却水)

90%以上を維持

97%

廃棄物の再資源化

有価物の販売

5,957トン

 

2.安全で健康な職場環境の構築

 

指標・目標

 

指標

目標

2025年度実績

従業員が安心して働ける環境の整備

休業度数率

休業度数率 0.7以下

休業度数率

0(2025年)

死亡・重大災害件数

死亡・重大災害件数 0

死亡・重大災害件数 0件(2025年)

安全に関する階層別教育

受講者数

125(2025年)

ストレスチェックの実施と

有効活用

継続実施中

働き方改革

年次有給取得日数

13日/人・年以上

18.1日/人・年

年間総実労働時間

2,000時間未満

1,928時間/人・年

3年未満離職率

30%未満

20.0%

男性育児休暇取得率向上

50%以上

76.9%

 

3.人材育成とダイバーシティの推進

 

指標・目標

 

指標

目標

2025年度実績

人材育成

総研修受講時間

15,741時間

ダイバーシティ&

インクルージョン

管理職に占める海外経験を

有する者の比率

10%以上

17.5%

管理職に占める中途採用者の

比率

20%以上

49.1%

新卒及び総合職中途採用者に

占める女性比率

20%以上

10.2%

女性総合職社員に占める

管理職比率

2030年度15%以上

7.1%

障がい者雇用率

2.5%以上

2.3%

 

 

4.ガバナンスの充実による持続的成長

 

指標・目標

 

指標

目標

2025年度実績

コーポレート・ガバナンス

取締役会実効性向上と評価

継続実施中

コンプライアンス意識調査の継続実施と評価、改善

コンプライアンス

意識調査評価の活用

継続実施中

コンプライアンス

リスク

マネジメント

各部教育計画の策定と実行

継続実施中

内部通報件数

6件

品質管理教育

品質教育の計画的実施

継続実施中

人権の尊重

国連指導原則、人権デューデリジェンスへの対応

継続実施中

 

5.先端素材の開発・提供によるサステナビリティ社会への貢献

 

指標・目標

 

指標

目標

2025年度実績

研究開発投資

売上高に占める研究開発費の割合

2%以上

1.8%

先端素材開発への投資

研究開発費に占める新規事業開発の割合

2028年度50%以上

2030年度70%以上

36.8%

DXの推進

基幹システムのERP化

製販統合システム再構築の検討中

 

6.地域社会への貢献

 

指標・目標

 

指標

目標

2025年度実績

地域の環境防災

活動への積極的参画等

各種地域行事への積極的参加等

継続実施中

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)需要変動等によるリスク

 当社の輸出向け金属チタン(スポンジチタン、インゴット)の主要用途は高品質の航空機用であり、航空機メーカーの受注並びに航空機のメンテナンス需要の変動や海外の金属チタンメーカーの動向により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

 国内向け金属チタンの多くも、電解プラント向けやプレート式熱交換器向け等の一般産業用として、展伸材メーカーから海外向けに直接または間接的に輸出されております。

 そのため、チタン事業全体といたしましても世界経済の変動や多国間の通商問題等の国際的な環境要因により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

 また、高機能材料事業につきましてもチタン事業と同様に、世界経済の変動や多国間の通商問題等の国際的な環境要因により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

 このため、製品の新たな用途開拓、魅力ある製品の提供によりその影響を最小限にするべく努めております。

 また、中東情勢を起因とする資源・エネルギー価格の高騰により、航空機メーカーの受注並びに航空機のメンテナンス需要の変動が生じ、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります

 

 

(2)為替変動によるリスク

 当社の輸出売上高の殆どが米ドル建てであり、当社全体の売上高に占める輸出の割合は、当事業年度実績で76.3%となっております。輸入原材料の米ドル建てでの仕入や、電力、LNG等の間接的な米ドルでの支払いを含めても、米ドルの受取超過になる傾向にあり、為替の変動により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

 また、当社は為替の変動に関して為替予約取引によるヘッジを行うなど、為替リスクを低減すべく努めておりますが、為替リスクを完全に排除することは困難であり、為替が大きく円高に振れた場合は、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

 

(3)金利変動によるリスク

 当事業年度末における有利子負債残高は498億円となります。

当社は長期借入金に関して、大半は固定金利での調達を実施することで、将来の金利変動リスクをヘッジする施策を講じておりますが、中長期的な金融情勢の変動に起因する金利率の変動により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があると想定しております。

 

 

(4)電力供給制限及び料金の変動によるリスク

 当社の製造工程においては、大量の電力を消費するため、設備の改良による電力エネルギーの効率化及び改善に日々努めておりますが、電力の供給に制限があった場合、また電力会社の発電構成の見直しや原油価格の変動等により電力料金の大幅改定があった場合、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

 また、中東情勢は、電力供給及び料金にも影響をもたらし、結果として当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

 

(5)原料市場の需給変動及び価格変動によるリスク

 当社が購入しているチタン原料等の原料価格及びそれらの輸送に関わる海上運賃等は国際的な市況、為替相場、法規制、自然災害、地政学的リスク等により影響を受けます。調達先の分散や調達先との関係強化などを通じてこれらの安定調達に努め、またチタン原料等の価格変動の当社製品価格への転嫁にも努めておりますが、チタン原料の需給バランスが崩れることにより調達量が制約されたり購入価格が大きく変動する場合、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

(6)自然災害及び感染症等によるリスク

 当社の製品は全て自社工場で生産されており、大規模地震や台風等の自然災害、感染症等の大規模流行、戦争やテロ、暴動が発生した際の損害を最小限に抑えるため、緊急対応策の準備、連絡体制の整備、定期的な見直しや訓練の実施等を行っております。しかし、これら大規模災害等により直接的に被害を受ける、もしくは物流網や供給網の混乱、インフラの障害等により事業活動に支障が生じた場合には、売上高や受注高の減少、生産コストの上昇や復旧コストの発生等により当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

 当社は調達先の複数化や適正在庫の確保、並びに感染拡大を防止するための衛生管理の徹底やテレワークを行うなど、各種対応に努めておりますが、ほかにも様々なサプライチェーンの停滞による資材等の調達懸念、変異株の再流行による事業活動の制限などにより、生産活動が停滞し、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

 

(7)重大な生産トラブルによるリスク

 当社では、全ての設備の予防保全に努めるとともに設備の安全審査、保安管理体制の強化を図り、その維持及び改善に万全を期しておりますが、万一重大な生産トラブルが発生した場合、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。また、予期せぬ設備の調整不足や操業条件の不具合による生産トラブルが発生し所定の生産量や製品品質が確保できない場合、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

 

(8)品質に関するリスク

 当社は、素材メーカーであり、その社会的使命は、顧客が満足する製品及びサービスを安定的に供給することであると考えております。そのため、組織的な対応・維持及び継続的な改善のためのインフラ投資を行い、品質管理に万全を期しておりますが、万一品質不良、品質事故等が発生した場合は、対策コストの発生や、当社製品への評価の低下により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

 

(9)競合会社との競争等によるリスク

 チタン事業におきましては、国内外に存在する競合他社による新製品(新素材)の上市、価格競争の激化、低価格品などへの需要シフト等に対応するため、当社独自の製品開発・生産技術・品質保証体制を活かし、競合他社との差別化を図っておりますが、競合他社との競争激化等により当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

 

(10)情報の流出によるリスク

 当社は事業活動において顧客情報等を入手することがあり、また営業上・技術上の秘密情報を保有しており、システムを構築し事業活動を行っております。当社はサイバー攻撃等による不正アクセスや情報漏洩等を防ぐため、管理体制を構築し適切な安全措置を講じております。しかし、顧客情報の漏洩や滅失等の事故が発生した場合には、損害賠償や社会的信用の低下等により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。また、営業上・技術上の秘密情報の漏洩や滅失等の事故が発生した場合や、第三者に不正使用された場合、サイバー攻撃等によるシステム障害が発生した場合には、生産や業務の停止、競争優位性の喪失、社会的信用の低下等により当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

 

(11)財務制限条項への抵触によるリスク

 当社は借入金の一部を、当社メイン銀行を主幹事とするシンジケートローンにて調達を行っており、財務制限条項付融資契約について、財務制限条項に抵触した場合、期限の利益を喪失し当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 尚、当該契約に付された財務制限条項の内容は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 (貸借対照表関係)※3 財務制限条項」をご参照下さい。

 

(12)固定資産の減損損失の計上によるリスク

 当社が保有している固定資産について、将来のキャッシュ・フローの見積りに変動が生じた場合、固定資産の減損が発生し減損損失の計上により当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(13)繰延税金資産の金額の変動によるリスク

 当社では繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しております。

 しかしながら、今後将来の課税所得の予測・仮定に変動が生じた場合、繰延税金資産の金額の変動により当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(14)気候変動によるリスク

 カーボンプライシング導入をはじめとする気候変動に関する環境規制の強化などにより、当社の財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。

 また、近年、洪水・台風に関する被害が激甚化する傾向にあり、気候変動による災害の増加により、生産量低下、サプライチェーンの混乱などが想定されます。

 尚、気候変動関連リスク及び機会と当社の戦略の詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照下さい。

 

 

(15)人的資本の確保・育成によるリスク

 当社では、事業の維持・成長に必要な人材の確保のために、多様な背景を持つ社員一人ひとりが持てる能力や専門性を最大限発揮し、活き活きと働くことが出来るよう、職場環境の整備や人材育成の取組を進めています。しかし、今後、少子化や人材の流動化の加速、また労働市場の需給バランスの変化などによって人材の確保が想定どおりに進まない場合には、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

 

(16)知的財産に関するリスク

 当社は、各国の知的財産法を遵守し、他社と差別化できる技術と知的財産権を蓄積しグローバルに事業競争力を強化してきましたが、知的財産の保全手続きにつきましては、各国の法制度や執行制度の相違により、第三者による当社の知的財産権への侵害に対して十分な保護が得られるとは限らず、当社の事業が脅かされ当社の経営成績が影響を受ける可能性が考えられます。

 また、第三者から知的財産権の侵害によるクレームや訴訟提訴等を受け、当社に不利な判断がなされた場合は、当社の事業活動、経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

 

(17)法令等に関するリスク

 当社は、許認可、通商、環境、税制、独占禁止法等の様々な法令等の適用を受けています。また、脱炭素社会実現への取組は世界的に加速している状況にあり、炭素税等法規制が厳格化する可能性があります。当社は、法令遵守が事業活動の基盤であることを認識し、企業行動規範を制定するとともに、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会の設置等により、コンプライアンス経営の強化を図っております。万一、これらの法令等への違反が認められた場合、各規制当局からの処分、訴訟の提起や社会的信用の失墜等により、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

   当事業年度における我が国経済は、賃金上昇といった雇用・所得環境の改善や訪日外国人観光客数の回復に伴う

  インバウンド需要の堅調な推移を背景に、緩やかな景気回復基調を維持しました。一方で、物価上昇に伴う消費者

  の購買意欲の低下やインフレによる企業コスト負担の増加ならびに為替変動リスクに対する懸念が続いております。

 

   海外経済においては、主要国における金融政策の引き締めの影響や、中国経済の不動産市況低迷や内需減退に伴

  う景気減速が依然として課題となっています。また、ウクライナ情勢に起因する地政学的リスクの継続、中東情勢

  の影響によるエネルギー価格の上昇や物流コストへの影響が懸念され、原油関連資材の調達不安も加わり、企業活

  動に不安要素を加えているほか、米国の輸入関税政策や通商摩擦に関連する影響も継続していることから、世界経

  済の先行きに対する不透明感が増しております。

 

   当社を取り巻く事業環境について、チタン事業においては民間航空機需要の高まりを受け、ボーイング社、エア

  バス社といった民間航空機メーカーでは受注残が増加、民間航空機エンジンメーカーでのMRO(メンテナンス・リ

  ペア・オーバーホール)需要の増加も加わり、全般的に民間航空機サプライチェーンは成長軌道となっておりま

  す。しかしながら、足元では民間航空機メーカーを中心としたサプライチェーンにおける在庫調整の影響が生じて

  おります。また、高機能材料事業においても、AI関連を除く半導体市場における調整局面が継続しております。

 

   こうした中、当事業年度の売上高は46,952百万円(前年同期比9.6%減)、営業利益は5,524百万円(前年同期比

  45.2%減)、経常利益は6,434百万円(前年同期比29.1%減)、当期純利益は2,576百万円(前年同期比63.7%減)

となりました。

  なお、当事業年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表

注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

①財政状態及び経営成績の状況

    当事業年度におけるチタン事業の売上高は民間航空機運航機数増加に伴うエンジンのMRO(メンテナンス・リ

   ペア・オーバーホール)需要が堅調に推移した一方で、民間航空機メーカーを中心としたサプライチェーンにお

   ける在庫調整の影響により、輸出向けの売上高は前年同期比1.5%増にとどまりました。

    一方、一般産業用途向け主体の国内売上高は、需要の低迷や取引先および最終需要家での在庫調整の継続によ

   り、大幅な減少(前年同期比42.8%減)となりました。この結果、チタン事業の売上高は40,444百万円(前年同

   期比10.6%減)となりました。

    損益につきましては、国内向け販売数量の大幅な減少及び輸出向け価格フォーミュラによる販売価格下落の影

   響等により営業利益は4,654百万円(前年同期比48.1%減)となりました。

 

    当事業年度における高機能材料事業の売上高はAI関連を除く半導体市場での需要低迷が依然継続している中

   で、前年同期には半導体関連のスパッタリングターゲット用高純度チタンの販売量において一部取引先によるス

   ポット受注増加の効果が含まれていたことから、6,507百万円(前年同期比2.5%減)となりました。

    損益につきましては、同製品の販売減影響により営業利益は870百万円(前年同期比22.8%減)となりました。

 

損益につきましては、民間航空機需要の高まりを受け、全般的に民間航空機サプライチェーンは成長軌道へ本格移行となりましたが、足元のサプライチェーン内における在庫調整の影響、また国内向けの販売数量の減少及び輸出向けの価格フォーミュラによる販売価格下落の影響もあり、営業利益は5,524百万円(前年同期45.2%減)、経常利益は6,434百万円(前年同期29.1%減)、当期純利益は2,576百万円(前年同期63.7%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

    当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末と比べ473百万円

減少し、4,145百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

    営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益等により4,169百万円の収入となりました(前事業年

度は2,859百万円の収入)。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

    投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により9,677百万円の支出となりま

した(前事業年度は3,475百万円の支出)。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

    財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入等により4,992百万円の収入となりました(前事業

年度は694百万円の支出)。

 

③生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

 当事業年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

チタン事業

44,928

△21.5

高機能材料事業

7,562

37.9

合計

52,491

△16.3

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

b 受注実績

 当事業年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

チタン事業

38,446

△16.7

9,734

△17.0

高機能材料事業

6,945

3.9

1,984

28.3

合計

45,391

△14.1

11,718

△11.8

 

c 販売実績

 当事業年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

チタン事業

40,444

△10.6

高機能材料事業

6,507

△2.5

合計

46,952

△9.6

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

第28期

第29期

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

住商メタレックス㈱

33,368

64.3

34,823

74.2

神鋼商事㈱

8,126

15.7

3,927

8.4

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 当社の当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

    当社チタン事業においては民間航空機需要の高まりを受け、ボーイング社、エアバス社といった民間航空機メ

   ーカーでは受注残が増加、民間航空機エンジンメーカーでのMRO(メンテナンス・リペア・オーバーホール)需要

   の増加も加わり、全般的に民間航空機サプライチェーンは成長軌道へ本格移行しております。しかしながら、足元

   では民間航空機メーカーを中心としたサプライチェーンにおける在庫調整の影響が一時的に生じております。

また、高機能材料事業においても、AI関連を除く半導体市場の調整局面が継続しております。こうした中、当事業年度の売上高は、46,952百万円(前年同期比9.6%減)となりました。

 

(営業利益・経常利益)

民間航空機需要の高まりを受け、全般的に民間航空機サプライチェーンは成長軌道へ本格移行となりましたが、足元のサプライチェーン内における在庫調整の影響、また国内向けの販売数量の減少及び輸出向けの価格フォーミュラによる販売価格下落の影響により、営業利益は5,524百万円(前年同期比45.2%減)、経常利益は6,434百万円(前年同期比29.1%減)となりました。

 

(当期純利益)

 当期純利益につきましては、2,576百万円(前年同期比63.7%減)となりました。

 

(財政状態)

(イ)資産

 当事業年度末の総資産の残高は、107,066百万円と前事業年度末と比べ6,140百万円増加いたしました。これは、商品及び製品、固定資産が増加したことが主な要因であります。

(ロ)負債

 当事業年度末の負債の残高は、62,754百万円と前事業年度末と比べ4,667百万円増加いたしました。借入金が増加したことが主な要因であります。

(ハ)純資産

 当事業年度末の純資産の残高は、44,311百万円と前事業年度末と比べ1,472百万円増加いたしました。これは、当期純利益により利益剰余金が増加したことが主な要因であります。

 

b セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

<チタン事業>

当社チタン事業におきましては、民間航空機運航機数増加に伴うエンジンのMRO(メンテナンス・リペア・オーバーホール)需要が堅調に推移した一方で、民間航空機メーカーを中心としたサプライチェーンにおける在庫調整の影響により、輸出向けの売上高は前年同期比1.5%増にとどまりました。

一方、一般産業用途向け主体の国内売上高は、需要の低迷や取引先および最終需要家での在庫調整の継続により、大幅な減少(前年同期比42.8%減)となりました。この結果、チタン事業の売上高は40,444百万円(前年同期比10.6%減)となりました。

セグメント損益につきましては、国内向け販売数量の大幅な減少及び輸出向け価格フォーミュラによる販売価格下落の影響等により営業利益は4,654百万円(前年同期比48.1%減)となりました。

当事業年度において、生産能力増強等を主な目的として6,448百万円の設備投資を実施しております。

 

<高機能材料事業>

当事業年度における高機能材料事業の売上高はAI関連を除く半導体市場での調整局面が依然継続している中で、前年同期には半導体関連のスパッタリングターゲット用高純度チタンの販売量において一部取引先によるスポット受注増加の効果が含まれていたことから、6,507百万円(前年同期比2.5%減)となりました。

 セグメント損益は、同製品の販売減影響により営業利益は870百万円(前年同期比22.8%減)となりました。

 当事業年度において、製造能力の維持更新を主な目的として278百万円の設備投資を実施しております。

 

※経営方針・経営戦略、経営上の目的を達成するための方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当事業年度のキャッシュ・フローの状況は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社の資金需要については、運転資金に加え製造設備の維持改善や研究開発等を目的とした設備投資等があります。これらの資金需要については、自己資金に加え、金融機関からの調達等により確保しております。

 長期借入金の借り換えも実施しながら、安定資金の確保と財務体質の健全化に向けた取組を進めております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。

 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要と判断したものは、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 また、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

  シンジケートローン契約

   当社は、金融機関との間でシンジケートローン契約を締結しており、その内容は次のとおりであります。

契約日

最終返済日

期末残高

(億円)

相手方の属性

財務制限条項

担保・保証

2022年2月24日

2027年2月26日

115

アレンジャー:

三井住友銀行

組成行:

都市銀行、

地方銀行等

有(注)

無担保・無保証

 (注)シンジケートローン契約については、財務制限条項が付されており、当該条項に抵触した場合は、期限の利益を喪失する可能性があります。財務制限条項の内容については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(貸借対照表関係)注3 財務制限条項」をご参照ください。

 

 

 

6【研究開発活動】

 当社の研究開発活動は、短期的課題のみならず、中長期的視点を持ちながら、事業戦略と連携した開発戦略に基づいており、知財戦略を加えた3つの戦略を三位一体で推進しております。

 全社共通取り組みとしては省人・省力化開発を始めとした労働生産性の向上に関わる開発を最重要視し、各活動においてはデータを積極的に活用するべくAI等DX技術の開発も進めております。

 更にはポートフォリオ変革を実現すべくイノベーション開発活動の活発化、更なるレベルアップに向けた人材育成も強力に推進しております。知財活動においては、技術開発を通して得られた知的財産を事業活動へシフトするとともに、技術開発の主軸をイノベーション開発に置き換えることを目指し「クロス戦略」を推進しております。

 当事業年度の研究開発費は848百万円であります。

 各事業セグメントの研究開発活動は次のとおりです。

 

<チタン事業>

 当社のチタン事業は、業界トップクラスの製品品質、生産性を有しておりますが、更なる労働生産性の向上、および品質向上のため生産技術開発および基礎研究を加速しております。

 具体的には、生産設備増強計画および現有設備改善のいずれにも寄与する生産量最大化のための生産性向上、高コスト環境にあっても事業収益性を確保するための製造設備長寿命化や生産効率改善、品質向上などのための研究開発を進めると同時に、それらのプロセスを大きく変革する革新的技術開発を推進しております。

 チタン製錬等に関する技術においては、大学との共同基礎研究も継続しております。

 また、課題解決の範囲を更に拡大すべく操業の過程で生じる大量のデータ分析やAI解析による操業最適化、および省人化開発を強化しております。

 あわせて、それを支えるデータサイエンティスト人材の育成も加速しております。

 なお、当事業年度のチタン事業の研究開発費は328百万円であります。

 

<高機能材料事業>

 高機能材料分野では、高純度チタンの品質改善、および3Dプリンタ用途などを主なターゲットとした球状チタン合金粉末(合金TILOP®)の事業成長加速に向けた品質、生産性向上、コスト改善等の研究開発に注力しております。リチウム二次電池負極材用SiO(一酸化珪素)は、本開発に特化した専門組織において、品質改善、生産性向上のための研究開発を進めており、早期の事業化を視野に入れております。

 更に、先端素材開発、新規事業の創出、萌芽促進の活動については、全社を牽引する専門組織をハブに全社横断的に継続して取り組んでおります。

 各活動においてはデータ活用をはじめとするDX推進による開発の促進、ならびに操業最適化を強化しております。

 なお、当事業年度の高機能材料事業の研究開発費は519百万円であります。

 

 また、企業価値向上に向けたブランディングにも力を入れます。ブランド価値向上は、企業の信頼性や市場競争力を高める重要な要素です。この統合的な取り組みが当社の成長を促進し、持続的成長とイノベーションを創出します。