文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、2007年に「古河電工グループ理念」を制定しましたが、当社グループの事業を取り巻く環境の急速な変化を捉え、2019年5月に行動指針をCore Valueに整理し直し、同時にグループビジョンを刷新いたしました。引き続き、グローバルに成長して企業価値を高めるよう努力してまいります。
世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。
私たち古河電工グループは、人と地球の未来を見据えながら、
・ 公正と誠実を基本に、常に社会の期待と信頼に応え続けます。
・ お客様の満足のためにグループの知恵を結集し、お客様とともに成長します。
・ 世界をリードする技術革新と、あらゆる企業活動における変革に絶えず挑戦します。
・ 多様な人材を活かし、創造的で活力あふれる企業グループを目指します。
Core Value
古河電工グループ理念を達成し持続的に成長していく上で、特に大事にし、より強化していきたい価値観を
<正々堂々><革新><本質追究><主体・迅速><共創>の5つに定め、「Core Value」としております。
グループビジョン<ビジョン2030>
当社グループの事業を取り巻く環境の急速な変化を捉え、目指す時間軸と事業領域を明確にした “ビジョン2030”を2019年5月に策定いたしました。今後、次期中期経営計画に落とし込み、存在感のある企業を目指してまいります。
2016年5月に中期経営計画「Furukawa G Plan 2020 - Group Global Growth - 」を策定し、公表しております。当社グループ経営理念及びビジョンの実現に向けて、本中期経営計画を着実に推進してまいります。
前述しました中期経営計画「Furukawa G Plan 2020 - Group Global Growth - 」では、"ゆるぎない成長の実現"というスローガンを掲げ、以下の3つのテーマに取り組んでまいります。
中期経営計画「Furukawa G Plan 2020」の推進
当社グループでは、2016年策定の中期経営計画「Furukawa G Plan 2020」の施策の柱として、事業の強化と変革、特に重点領域と位置づけているインフラ(情報通信、エネルギー)/自動車分野の強化に引き続き取り組んでまいります。
本中期経営計画は2020年度を最終年度としておりますが、情報通信分野での世界的な光ファイバ及び光ファイバ・ケーブル(以下「光ファイバ等」)の需給環境の悪化や新型コロナウイルスの感染拡大等により、当面厳しい経営環境が続くと予想され、計画どおりの収益達成は非常に厳しい状況にありますが、少しでも目標に近づくことができるよう、引き続きグループを挙げて「ゆるぎない成長の実現」に向けた取組みを加速してまいります。
インフラ関連では、情報通信分野においては、世界的な光ファイバ増産により一時的に需給バランスが崩れているものの、通信トラフィック増大は継続しており、引き続き米国子会社における光ファイバ・ケーブルの生産性改善や当社グループ一体での最適地生産の実現による抜本的なコスト競争力の強化を促進することに加え、高密度多心光ケーブル等の高付加価値製品の販売を拡大してまいります。このほか、デジタルコヒーレント関連製品の次世代製品への転換促進等にも取り組み、中長期的に市場拡大が見込まれる5G(第5世代移動通信システム)の進展を背景とした事業拡大を目指してまいります。
エネルギー分野では、注力分野(国内の超高圧地中線、再生可能エネルギー分野での海底線及び地中線、アジアを中心とした海外の海底線)における需要を着実に取り込むべく、生産能力増強のための設備投資や人材の確保・育成を含む工事施工能力の増強に努めております。また、当社の強みであるメタル/ポリマーの素材技術を活かした海底線の要素技術開発に加え、国際規格に対応した海底線の開発にも取り組んでおり、長期的な観点から電力事業が成長していくための施策を推進してまいります。
自動車分野においては、グローバルでの自動車生産台数の停滞により厳しい市場環境は継続する見通しですが、自動車の軽量化を実現するアルミワイヤハーネスを中心とした生産能力増強のための設備投資を行うとともに、CASE(*1)と称される領域において、当社グループが幅広い事業分野で培ってきた多様な技術を融合させることで独自の価値提供を進め、大きな市場拡大が予想される同領域での成長を目指してまいります。このほか、先進運転支援システムで必須となる周辺監視レーダについては、従来の自動車向けに加えて建機向け製品の量産を開始しており、同製品のさらなる拡販を目指してまいります。
(*1)CASE…Connected(つながる化)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(シェアリング)、
Electric(電動化)
また、事業資産営業利益率(*2)を指標とした低採算事業・製品群の改善及び事業ポートフォリオの見直しも促進してまいります。中期経営計画の重点領域であるインフラ/自動車分野との事業シナジー等を総合的に勘案して、当期においては銅管事業の譲渡と巻線事業の再編を決定いたしましたが、今後も経営資源の再配分による最適な事業ポートフォリオ構築に向けた施策に取り組んでまいります。さらに、昨年4月に設置したグループ変革本部が牽引する、経営基盤の強化を図るための全社的な変革活動を継続してまいります。このほか、タイ子会社に東南アジア地域を統括する機能を持たせるなど、グローバルな事業活動を効率的に強化・拡大していくための体制整備も推進してまいります。
(*2)事業資産営業利益率…営業利益/事業資産(事業資産=棚卸資産+有形・無形固定資産)
さらに、インフラ/自動車分野への成長投資として、5G社会に向けた超低損失光ファイバや小型のデジタルコヒーレント関連製品、モビリティ用途への活用に向けた次世代レーダ、施工コスト削減や省力化・省人化に貢献する樹脂製の地中埋設用ケーブル保護管など、次世代製品・技術の開発に引き続き注力してまいります。加えて当社は、「古河電工グループ ビジョン2030」を実現する新事業開拓に向けた取組みとして、オープンイノベーションや産学連携等を推進しており、他社との共創の場である横浜事業所内オープンラボ「Fun Lab」を昨年度に拡充し活動を活発化しております。本年4月からスタートする北海道大学との産業創出講座やスタートアップ企業との連携強化を目指すアクセラレータ活動にも取り組んでおります。2018年8月には、米国カリフォルニア州のシリコンバレーに、当社にとって4番目となる海外研究拠点であるSilicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric (SVIL)を開設、2019年2月には次世代インフラを考案し社会実装を目指す組織として次世代インフラ創生センターを設立するなど、情報/エネルギー/モビリティが融合した領域での横断的な取組みを強化してまいります。このほか、顧客視点に立ち、価値のある「コト」の創出に向け、マーケティング部門と研究開発部門が連携し、マーケティング活動を起点とした研究開発に取り組むことで、新事業の開拓を進めてまいります。
中期経営計画「Furukawa G Plan 2020」では、連結営業利益550億円以上、親会社株主に帰属する当期純利益300億円以上、ROE10%以上を財務目標値として掲げております。事業資産営業利益率を意識した連結事業経営を推進し、注力事業・製品の強化及び低採算事業・製品の変革に取り組むことで、事業ポートフォリオの見直しを進め、収益力の強化を図ってまいりましたが、新型コロナウイルスによる自動車販売台数の大幅減少の影響等、当社グループを取り巻く経営環境が非常に不透明となっており、その影響額を合理的に見積ることが困難であるため、2020年度業績予想はまだ策定できておりませんが、昨年度に引き続き光ファイバ等の市場環境が厳しいこと等を併せて考えますと、本中期経営計画の財務目標値の達成は予断を許さない状況となっております。
(4) 経営環境
世界経済は、長期化し激化する米中間の貿易摩擦並びに欧州や中東における政治的・地政学的な緊張等、さらに本年1月以降の新型コロナウイルスの感染拡大による世界規模での経済活動の停滞により、先行き不透明な状況が続くと予想されますが、当社グループが重点領域と位置づけているインフラ(情報通信、エネルギー)/自動車分野は中長期では継続的な市場成長が見込まれます。
情報通信分野は、5GやIoTなど、クラウドをベースとしたサービスが様々な分野で成長しておりましたが、それに加えて新型コロナウイルスの感染拡大を受けたテレワークの急速な浸透なども踏まえ、データセンタ及びデータセンタ間を結ぶ光ネットワークの建設が今後も続くと考えられます。足元では、世界的な光ファイバ等の需給バランスが悪化しておりますが、中長期では継続的な市場成長が見込まれます。
エネルギー分野は、国内に関してはオリンピック需要ピーク後の需要減や人手不足による工期遅れが懸念される一方、新エネルギーや電力会社のリプレース需要が見込まれ、海外に関しては欧米、新興国での旺盛な需要が継続する見通しであります。
自動車分野は、CASEというキーワードに代表されるように大変革期を迎えており、今後も当該分野は継続的に成長する見通しであります。
(5) 会社の対処すべき課題
① 新型コロナウイルス問題への対処
喫緊の課題は、新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に非常に深刻な影響を及ぼしていることへの対処であります。現時点では、この感染拡大に収束の見込みは立っておらず、国内外で多岐に亘る事業活動を展開している当社グループに与える影響を正確に見通すことは極めて困難な状況ではありますが、当社グループでは緊急対応体制を立ち上げ、当社グループへの影響を最小限に抑えるべく対応に努めております。さらに産業別の動向予測に基づき複数のシナリオを立て、全社戦略及び各事業における適切な意思決定・施策を迅速かつ柔軟に講じてまいります。
② ESG経営の強化
当社グループは、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」が示す社会課題の解決を念頭に置き、2030年の当社グループのありたい姿として「古河電工グループ ビジョン2030」を定めております。当社グループに関わるすべてのステークホルダーとの適切な共創により、当社グループの中長期的な企業価値向上に加え、社会的価値向上を目指し、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)に配慮したESG経営の強化に取り組んでおります。また、本年2月にSDGsの取組みの前提となる国連グローバル・コンパクト(*1)に署名し、国連が提唱する「人権・労働・環境・腐敗防止」に関する10原則を支持しております。
加えて、ESG経営の強化に際して、新型コロナウイルスの感染拡大が収束した後の新たな価値観や生活様式への転換等を見極めながら、これらの変化にも柔軟に対応してまいります。
(*1)国連グローバル・コンパクト…各企業・団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組み作りに参加する自発的な取組み。
環境(Environment)への取組みとして、当社グループでは、気候変動が事業にもたらすリスク及び機会を経営上の重要課題と認識し、当期は、環境省が実施する「TCFD(*2)に沿った気候関連リスク・機会のシナリオ分析支援事業」に参加し、そのシナリオ分析に着手いたしました。さらに、本年1月にはTCFDの提言への賛同を表明いたしました。また、地球環境を守り、持続可能な社会の実現に貢献するため、当社グループは2030年度に事業活動により排出される温室効果ガスを2017年度比で26%削減するという目標を掲げており、本目標値はSBTi(*3)に認定されております。目標達成に向けた取組みとして、再生可能エネルギーの導入に取り組んでおり、栃木県日光市に拠点を有する銅箔事業部門において太陽光発電を設置しているほか、当社子会社の古河日光発電㈱は、水力発電により日光事業所で利用されるほぼ全ての電力を供給しております。また、三重事業所では、LPG(液化石油ガス)からエネルギー効率が高く温室効果ガス排出量の少ないLNG(液化天然ガス)へ使用燃料の切替えを実施いたしました。
(*2)TCFD…Task Force on Climate-related Financial Disclosersの略で、企業等に対し気候関連リスク及び機会に関する開示等を推奨している民間主導の気候関連財務情報開示タスクフォースのことで、2017年6月に最終報告書(TCFD提言という)が公表されております。
(*3)SBTi…Science Based Targets initiativeの略で、企業に対し、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2℃未満に抑えるために、科学的知見と整合した削減目標の設定を求めるイニシアチブ。
社会(Social)への取組みとして、本年1月に「古河電工グループ理念」に基づき、事業活動に関わるすべての人びとの人権を尊重することを定めた「古河電工グループ人権方針」を策定いたしました。このほか「多様な人材を活かし、創造的で活力あふれる企業グループを目指します」という経営理念のもと、「古河電工グループ ビジョン2030」達成に向けた当社グループの成長を牽引する従業員の多様な働き方を尊重した環境整備を進めております。本年2月には、経済産業省及び東京証券取引所から、女性の活躍推進に優れた上場企業として2018年以来2度目のなでしこ銘柄に選定されたほか、女性活躍推進の積極的な取組みが評価され、「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」の構成銘柄への採用や、4年連続で厚生労働大臣より「えるぼし」の最高ランク認定を受けました。また、健康管理に関する取組みが評価され、経済産業省から「健康経営優良法人ホワイト500」に4年連続で認定されました。さらに、テレワーク勤務制度の利用促進等の取組みを講じており、今後も個人が持てる能力を最大限発揮できるよう努めてまいります。このほか、当社グループは各拠点が所在する地域の特色を生かし、「次世代育成」、「スポーツ・文化振興」、「自然環境・地域社会との共生」の3つを柱に社会貢献活動にも積極的に取り組んでおります。
ガバナンス(Governance)への取組みとして、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、特にコーポレートガバナンスの強化に注力しております。当期においては、昨年6月の定時株主総会において、社外取締役の独立性強化及びダイバーシティの観点を踏まえ、取締役会の構成見直しを行いました。取締役会の監督機能の強化に加え、多様性のある取締役会の構成とすることで、議論が一層活発となるよう努めております。2015年以降、毎年実施しております取締役会実効性評価を当期も実施し、その中で重要課題とされていた取締役会と業務執行側との権限配分の適切性という課題への改善策として、取締役会付議基準の見直しを行ったほか、取締役会において、市場環境の変化が激しい事業についての戦略的な討議やステークホルダーの声に関する報告を実施するなど、中長期的な視点に立った議論を行いました。当期の評価結果を踏まえた今後の取組みとして、次期中期経営計画策定の議論においては、「古河電工グループ ビジョン2030」を実現するために目指すべき事業ポートフォリオ等の議論を充実させるとともに、グループ・グローバル経営に関して、グループ全体を俯瞰した観点での審議の充実を推進してまいります。このほか、委員の過半数及び委員長を社外取締役とする任意の機関である指名・報酬委員会を当期は10回開催し、次期経営体制及び役員報酬に関する議論に加え、CEOサクセッションプランを含む次世代経営人材の育成に関して、進捗状況を確認するとともに、経営人材候補の抽出・選定や育成プロセスの有効性等について議論を行いました。
当社グループの経営成績は、当社グループが製品販売・サービス提供をしている様々な市場における経済状況の影響を受けます。
当社グループの業績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 新型コロナウイルスの影響
当社は、新型コロナウイルスの感染拡大局面において、人の安全と健康の確保を最優先に事業継続を図る観点から、当社グループの国内外の拠点・各関係会社に対して感染拡大防止のための対策、感染者発生時の対応等の周知徹底を図り、新型コロナウイルスに対する必要な対応体制を整備しております。
しかし当社グループの中には、関係会社やパートナー(仕入先)の所在する国・地域における活動規制や顧客の生産活動の低下等によって一定の影響を受けている拠点・関係会社もあります。
現時点では、この感染拡大に収束の見込みは立っておらず、今後の事態の展開によっては、当社グループ全体の事業活動や財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループでは緊急対応体制を立ち上げており、環境の変化や当社グループへの影響を見極めながら、必要な対応策を迅速かつ柔軟に講じてまいります。
(2) 原料及び燃料価格の変動
当社グループの主要原料の一つである銅・アルミ等の非鉄金属の価格は、ロンドン金属取引所の市況価格に連動しており、需給関係や投機的取引、世界情勢等により変動します。製品販売価格は、基本的には「地金価格+加工賃相当」となっており、地金価格は顧客とあらかじめ取り決めたルールに従い、市況を反映して変動することから、相場が変動した場合でも概ね転嫁できると考えております。また、先物取引を利用したヘッジ等も実施し、価格変動による影響を最小限にするよう努めておりますが、市況価格が急激に変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、ポリエチレン等合成樹脂及び燃料である重油やLPG、LNGについても、世界情勢や市場の動向により予想外の価格変動が起こる可能性があり、製品の売値への転嫁が遅れ、あるいは滞った場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 原料の調達リスク
当社グループは、原材料の調達において事業継続計画(BCP)を作成して複数購買や在庫数量の適正化等を推進しており、自然災害や事故等による供給不安に対して、被害を最小化し迅速な事業復旧が図れるよう日頃から活動しております。
しかし、一部の原材料については特定の購入先に供給を依存せざるを得ないものもあり、その購入先が供給遅延、供給不足、あるいは製造の終了等により当社グループとの購入契約上の義務を果たせなくなった場合、当社グループは原材料を市場又は他の購入先から調達しなければなりませんが、有利な価格で調達できる保証はなく、また、これにより当社製品の出荷を予定通り行うことができなくなる可能性があります。
(4) 為替変動
当社グループは、連結財務諸表作成にあたって、在外連結子会社の現地通貨建の財務諸表を円換算して取り込んでおります。そのため、為替レートが変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの調達及び販売活動は、米ドルを始め、人民元やブラジルレアル、タイバーツなど様々な通貨で行われております。輸出入取引金額の範囲内において為替予約等を行い、為替相場の変動による影響を最小限に抑えるよう努めておりますが、すべての変動リスクを回避することはできず、特にヘッジ手段が限られる新興国通貨の円に対する急激な為替変動が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループにおいては、米ドルに対し1円円高につき年間で約3~4億円の減益が予想されます。
(5) 金利の上昇リスク
当社グループの借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの残高は、当連結会計年度末現在において2,511億円であります。財務体質改善の方針のもと、有利子負債の削減に取り組む一方、固定金利での長期借入等により金利変動リスクに対する対応策をとっておりますが、短期借入金利が上昇した場合、支払利息が増加し、当社グループの経営成績が悪化する可能性があります。
(6) 製品の欠陥
当社グループは、国内外の各種規格・基準及び永年の経験に培われた品質管理基準に従って各種製品の製造、サービスの提供を行っております。しかし、そのすべてについて欠陥が無く、将来に予期せぬ損失補償が発生しないという保証はありません。とりわけ、電力ケーブル、通信ケーブル、自動車用部品等に関連する製品については、欠陥の内容によっては多額の追加コストが発生する可能性があります。
上記のリスクに対応するため、当社グループは、製造物賠償責任保険に加入して損害賠償請求に備えているほか、一段上の品質の実現を目指し、「品質強化プロジェクト」と「RFDプロジェクト」(RFD=Risk Free Design)の2つのプロジェクトを推進し、品質の改善と未然防止設計、問題解決力の向上に努めております。しかしながら、保険の範囲を超える大規模な損失補償や損害賠償請求につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社連結子会社が製造した自動車用部品に関連し、当該部品を組み込んだ自動車について市場回収措置(リコール)が行われており、当社及び当社連結子会社が部品の販売先である㈱東海理化電機製作所から費用の一部の分担に関して協力を要請され、交渉を行ってまいりました。
しかし、合意には至らず、米国において、同社の子会社から当社の連結子会社に対して損害賠償請求訴訟が提起されております。当該部品は同国以外へも納入されているため、その他の国においても順次法的手続きが取られる可能性があります。
当社としては、裁判等において、当社グループの見解の正当性を明らかにする所存であり、また、合理的に見積りが可能な費用負担見込み額についてはすでに引当処理を行っておりますが、裁判等の結果によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2019年12月に上記米国裁判所の勧めにより、和解交渉を再開いたしました。
また、上記とは別に、当社連結子会社が製造した自動車用部品に関連し、当該部品を組み込んだ自動車について市場回収措置(リコール)が行われており、当社及び当社連結子会社は部品の販売先と費用負担に係る協議を開始しております。
(7) 資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。また、保有する投資有価証券の評価基準及び評価方法として、時価のあるものは期末の時価を適用し、時価のないものについては発行会社の財務状況や今後の見通しを総合的に勘案し、減損の必要性を判定しております。
市況や事業環境の悪化によって、当社グループが保有する資産の市場価格が著しく低下する場合や、資産の収益性が低下する場合には、当該資産について減損損失が発生する可能性があります。
(8) 税務に関わるリスク
当社グループでは、国内外で事業展開する上で、各国の国内及び国際間取引に係る租税制度の変更や移転価格税制などの国際税務リスクについて細心の注意を払っております。また、税務に関する基本方針を定め、税務コンプライアンスに対する役職員の意識向上に努めておりますが、税務当局との見解の相違等により、追加の税金コストが生じる可能性があります。
(9) 知的財産に関するリスク
当社グループでは、知的財産リスクを、権利侵害リスク・技術流出リスク・契約リスク・模倣品リスクの4つに分類し、継続的にリスク対応を喚起しております。
例えば権利侵害リスクについては、当社グループが事業活動を行うにあたり、第三者の権利を侵害しないようあらかじめ十分な調査を行い、必要に応じて実施許諾を受ける等の措置を講じており、技術流出リスクについては、開発現場、生産現場の技術秘匿や、タイムスタンプシステムを導入した情報保全強化等の対策を行っております。また、国内外のグループ会社への教育・研修の実施、知的財産リスク低減の取組みについての情報展開など、法令を遵守する体制の整備にも努めております。
しかし、第三者から知的財産に関する権利を侵害したとして訴訟を提起された場合、あるいは第三者から当社グループの権利を侵害された場合には、第三者との間にそれらの権利に関する交渉や係争が生じます。知財係争では、製造・販売等の差し止めや多額の損害賠償金・和解金が発生することがあり、それらの差し止めや支払義務が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの技術が第三者に流出し、製品やソフトウエアが模倣された場合には、企業競争力が低下する可能性があります。
(10) 環境保全に関するリスク
当社グループには、製造工程において大気・水質・土壌汚染等の原因となりうる物質を使用している事業所、子会社があります。これらの物質の管理には万全の注意を払い,万が一外部に漏洩した場合においてもその拡大を最小限に抑えるための対策を講じておりますが、それにも関わらず環境保全上の問題が発生した場合や、環境関連法令の改正等により新たな設備投資や対策費用が必要となった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があるほか、土地の使用・処分等に制限が生じるリスクがあります。
また、当社グループでは過去の製造状況等に伴う土壌汚染や、アスベスト・PCB等の有害物質の処理について、引当金を計上して適切に管理を行っておりますが、関連法規制の強化等によって追加の対策費用が発生する可能性があります。
(11) 海外での活動
当社グループの生産及び販売活動は、米国、ヨーロッパ、アジア及び南米等でも行われており、当社の各部門が海外関係会社を所管するとともに、各本部部門が事業横断的に統制しております。当社ではこれまでも国内外の関係会社も含めたリスクアンケートや意識調査を実施し、リスク低減活動を行ってまいりましたが、これをさらに拡充してリスク管理の強化を図ります。
しかしながら、海外市場では予期しない法律または規制の変更や労働争議、感染症流行等の各種リスクが存在し、それらは当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、重要な製造拠点を有する新興国での投資や為替、金融、輸出入、環境等に関わる法制や諸規程の変更、社会インフラの脆弱さ等の要因により、事業運営に支障をきたす可能性があります。
これらに加え、当社グループの事業活動に関連する国、地域におけるナショナリズムやポピュリズムの台頭、国際関係の緊張の高まり、紛争・政情不安、金融システム不安等により、治安・安全面のみならず、当社のサプライチェーンへの影響を通じ、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(12) 法令違反等
当社は毎年定期的にコンプライアンス自主点検を行うとともに、国内外でコンプライアンスセミナーを開催し、競争法規制や贈収賄防止の観点からも社内教育を行うなど、コンプライアンス体制の構築及び維持に努めております。その一方で、当社グループは、国内外で事業展開する上で規制当局から様々な法規制を受けており、規制強化や法令解釈の厳格化により、事業制限や費用の増加等の可能性があります。また、法令違反等の事象が生じた場合には、各規制当局からの処分・制裁、取引先等関係者からの損害賠償請求、社会的評価の悪化等により、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は、自動車用部品カルテルに関し、ブラジル競争法当局の調査を受けております。また、電力ケーブルカルテルに関し、当社の持分法適用の関連会社である㈱ビスキャスに対しブラジル当局による調査が行われておりましたが、2020年4月15日に当局より課徴金の賦課決定が下され、同社ではこの決定を受容することといたしました。
加えて、米国での一連の自動車用部品カルテルによる損害の賠償を求める集団訴訟や、自動車用部品カルテルに関して米国の一部の州の司法当局から提起された州法違反に基づく訴訟などにおいて、当社や当社連結子会社がその被告となっております。このほか、自動車用部品カルテルを含む過去の競争法違反行為に関して、自動車メーカーなどの顧客から現在請求されているものも含め、当社または当社関係会社が民事賠償金を支払う可能性があります。
(13) 工事の採算悪化
当社グループは、国内外において公共性の高い電力事業に携わっているため、電力会社の設備投資の減少に伴う著しい市場の縮小は当社の受注額の減少を招きます。
また、当社グループは個別工事において厳正な原価管理を行っておりますが、競合他社との受注競争が激化した場合や、工事途中での設計変更、建設資材及び労務費の高騰、海底ケーブル敷設工事においては台風等天候の影響による追加費用の発生等、想定外の原価発生により工事原価が上昇した場合には、事業の収益性が低下する可能性があります。
加えて、品質管理には万全を期しているものの、万が一重大な瑕疵や事故が発生し、またそれに伴う工期遅れが生じた場合、その修復費用や損害賠償金の支払、長期間に渡る瑕疵補修保証の延長等が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、海外工事案件については物品の一部及び施工の多くの部分を現地調達する必要があるため、当該国における法規制の変更や施工業者の状況の変化、政情不安、災害、疫病の発生、為替レートの変動等、国内事業と比較して多くのリスクを抱えております。これらのリスクが顕在化した結果、工期遅れによる遅延損害金の支払、外貨契約の円換算収支の悪化等、採算が大きく悪化する可能性があります。
(14) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、業務遂行にあたって様々な機密情報や個人情報を保有し、また情報システムを構築・保有し運用しております。情報セキュリティに関するリスクに対しては、情報セキュリティ基本方針のもと、組織的・人的対策やネットワークセキュリティ強化等の技術的対策により、情報資産の保護に努めておりますが、サイバー攻撃や不正アクセス等の外的要因や人為的要因等により情報が流出しそれが不正に使用された場合、あるいはシステム障害が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 自然災害等の影響
当社はISO22301による事業継続マネジメント(BCM)を促進しており、事業継続計画(BCP)の策定、安否確認システムによる役職員の安全確保に取り組んでおります。
一方、当社グループは、国内外に、調達・製造・物流・販売・研究開発拠点等を有しております。耐震性と安定した通信環境が確保された施設にデータセンタを設置するなど、有事に備えた対策を講じておりますが、大規模な地震や津波、火災、台風、洪水等の災害(気候変動によって発生するものも含む)や、感染症大流行、戦争、テロ行為等によりサプライチェーンが寸断された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(業績等の概要)
(1) 業績
当期の世界経済は、米国においては、雇用環境の改善を背景に個人消費の拡大が堅調に推移したことで、全体として緩やかな経済成長が持続しましたが、長期化し激化する米中間の貿易摩擦並びに欧州や中東における政治的・地政学的な緊張等による影響により、中国及び欧州における経済成長に弱さが見られました。さらに本年1月以降、中国発の新型コロナウイルスの感染拡大が世界規模での経済活動の停滞を招き、世界全体で先行きの見えない不安定な経済環境となりました。
わが国の経済は、上半期は民間設備投資が底堅く推移しておりましたが、昨年9月の台風15号による風水害など大きな自然災害が相次いだことや10月の消費税増税の影響などから個人消費が冷え込んだことに続き、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大したことに伴い、景気は急激に悪化してまいりました。
このような環境の下、当社グループでは、中期経営計画「Furukawa G Plan 2020」に基づき、重点領域であるインフラ(情報通信、エネルギー)/自動車分野の強化に引き続き取り組んでまいりました。インフラ関連では、情報通信分野において、光ファイバ及び光ファイバ・ケーブル(以下あわせて「光ファイバ等」という)の需給バランスの悪化による価格下落が続くなか、高付加価値製品の拡販やグローバル最適地生産によるコスト競争力向上の取組みを進めました。エネルギー分野においては、引き続き国内の超高圧地中線、再生可能エネルギー分野の海底線及び地中線並びにアジアにおける海底線を注力分野としております。当期は、国内の超高圧地中線の需要を着実に取り込んだほか、アジアでの海底線案件等の受注実績を積み重ねました。また、今後さらなる需要拡大が予想される海底線の生産に対応するための設備増強等も計画どおり実行しており、重点領域と位置付けている当分野の強化を引き続き推進してまいります。自動車分野では、下期にかけて世界的な自動車生産台数の減少が影響し、ワイヤハーネスをはじめとする自動車部品の販売は低迷しましたが、中長期的な北米市場向けワイヤハーネスの販売拡大に向けて製造能力増強を目的とする設備投資を決定するなど、引き続きグローバルでの事業展開を進めてまいります。
また、昨年4月にグループ変革本部を設置し、当社グループ全体の収益力向上及び組織実行力強化のための施策に取り組んでおり、これらの成果も徐々に表れ始めております。
当期の業績につきましては、情報通信ソリューション事業では、需給バランスの悪化による光ファイバ等の価格下落に加え、米国子会社の光ファイバ・ケーブルの生産性改善に時間を要したこと、また主にエレクトロニクス関連市場の市況低迷による電装エレクトロニクス材料事業及び機能製品事業での売上の伸び悩み等があったことから、当社グループ全体の売上は減少いたしました。損益面では、エネルギーインフラ事業の損益が改善し黒字転換、また情報通信ソリューション事業を中心にコスト低減の取組みの成果はあったものの、市況低迷の影響が大きく、さらに本年1月以降は新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済全体への影響もあり、減益となりました。
これらの結果、連結売上高は9,144億円(前期比7.8%減)、連結営業利益は236億円(前期比42.3%減)となりました。また、連結経常利益は228億円(前期比41.7%減)となりました。さらに投資有価証券売却益など149億円を特別利益に、投資有価証券評価損や火災損失など70億円を特別損失として計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は176億円(前期比39.4%減)となりました。なお、海外売上高は4,188億円(前期比11.0%減)で、海外売上高比率は45.8%(前期比1.6ポイント減)となりました。
単独の業績につきましては、売上高は4,407億円(前期比7.0%減)、営業利益は5億円(前期比89.7%減)、経常利益は120億円(前期比47.0%減)、当期純利益は182億円(前期比15.5%減)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、従来「電装エレクトロニクス」に含めていた一部事業について、開発を更に加速すべく管理所管の見直しを行い、報告セグメントの区分を「サービス・開発等」に変更しております。
これに伴い、前年同期比較の数値は、前連結会計年度の数値を変更後の区分方法及び配賦方法で組み替えた数値との比較となっております。
〔インフラ〕
情報通信ソリューション事業では、中国に端を発する光ファイバ等の世界的な需給バランスの悪化による価格下落及び米国子会社の光ファイバ・ケーブルの生産性改善に時間を要したこと等により、売上は減少いたしました。損益面においても、デジタルコヒーレント関連製品が増収となり利益に寄与し、またコスト低減の取組みの成果はあったものの、光ファイバ・ケーブルの市況悪化の影響が大きく、減益となりました。一方、エネルギーインフラ事業では、台風15号の被害を受けた千葉事業所内の電力ケーブル製造工場で一時操業停止を余儀なくされたものの、国内の超高圧地中線の更新需要の取り込み等により売上は増加し、前期の一過性の損失計上がなくなったことに加え、中国子会社の損益が改善したことにより、黒字転換いたしました。
これらの結果、当セグメントの連結売上高は2,809億円(前期比2.4%減)、連結営業利益は17億円(前期比77.0%減)となりました。また、単独売上高は942億円(前期比1.9%減)となりました。
情報通信ソリューション事業では、米国子会社における光ファイバ等の生産性改善及びコスト低減施策などを継続して実行し、抜本的なコスト競争力の強化に努め、強い事業基盤の構築を実現してまいります。また、光ファイバ等を製造する三重事業所においては、生産性の改善を目的にIoTを活用したスマート工場の実現等に取り組んでまいります。
エネルギーインフラ事業では、本年4月に営業を開始した昭和電線ホールディングス㈱と共同出資の建設・電販市場向け汎用線販売会社において、両グループの特長ある製品群の拡販及び物流の効率化に取り組んでまいります。
〔電装エレクトロニクス〕
自動車部品事業において、下期にかけて世界的に自動車生産台数が低迷したことによりワイヤハーネスの売上が落ち込んだことに加え、電装エレクトロニクス材料事業では、スマートフォン等の需要低迷及び米中貿易摩擦の長期化に伴う景気減速の影響により、エレクトロニクス関連市場の需要が伸び悩み、コネクタやリードフレーム用の伸銅品等の販売が低調に推移したほか、銅価下落の影響もあり売上は減少いたしました。損益面では、電動車用途の巻線の売上が好調に推移しましたが、自動車部品事業における売上の減少、同事業における将来に向けた研究開発費及び設備投資による償却費の増加が影響し減益となりました。
これらの結果、当セグメントの連結売上高は5,093億円(前期比9.3%減)、連結営業利益は148億円(前期比23.9%減)となりました。また、単独売上高は2,846億円(前期比8.4%減)となりました。
自動車部品事業では、自動車の軽量化に向けたアルミワイヤハーネスの生産拡大や、コスト・品質面の最適化のため、アジア地域での生産体制の整備・強化を引き続き推進してまいります。
また、当セグメントにおいては、中期経営計画の重点領域であるインフラ/自動車分野との事業シナジー等を総合的に勘案して、銅管事業の譲渡と巻線事業の再編を決定いたしました。銅管事業(当社子会社の奥村金属㈱及びFurukawa Metal (Thailand) Public Co., Ltd.の当社保有株式全部を含む)を、日本産業パートナーズ㈱傘下の特別目的会社へ譲渡することを決定しております。また、世界最大の巻線メーカーであるSuperior Essex Inc.と合弁会社を設立し、主に電動車用途の巻線の供給体制を整備し、グローバルでの拡販を進めるために、当社グループの巻線事業の一部を同社の巻線事業と統合することも決定いたしました。
〔機能製品〕
AT・機能樹脂事業において、地中埋設用のケーブル管路材の一部の売上は好調に推移したものの、サーマル・電子部品事業、メモリーディスク事業及び銅箔事業では、データセンタ及びスマートフォン向け製品をはじめとするエレクトロニクス関連市場の需要が低迷したことや、昨年6月に台湾の銅箔事業子会社において火災が発生し工場の一部が焼失した影響などから、当セグメントの事業全体で売上及び利益が減少いたしました。
これらの結果、当セグメントの連結売上高は1,159億円(前期比22.4%減)、連結営業利益は75億円(前期比44.8%減)となりました。また、単独売上高は596億円(前期比7.9%減)となりました。
上述の台湾子会社における火災では、近隣の皆様、関係当局の皆様、お客様をはじめ多くの方々に多大なご迷惑をおかけしましたが、お客様からの強いご要望に応えるべく工場の復旧を進めております。同社では、今後、需要拡大が想定される高機能回路箔など高付加価値製品の製造・販売の強化に努めてまいります。
〔サービス・開発等〕
物流、不動産の賃貸、水力発電、新製品研究開発、各種業務受託等による当社グループ各事業のサポート等を行っております。
当セグメントの連結売上高は503億円(前期比3.6%増)、連結営業損失は3億円(前期比6億円の悪化)となりました。また、単独売上高は22億円(前期比12.7%増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、551億円(前連結会計年度比+82億円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、製品補償引当金の増減額△107億円等があったものの、税金等調整前当期純利益+308億円、減価償却費+294億円等により+419億円(前連結会計年度比△45億円)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に電装エレクトロニクス分野への投資を拡大したことに伴い、有形固定資産の取得による支出△473億円、投資有価証券の売却及び償還による収入+109億円等により、△331億円(前連結会計年度比△21億円)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、コマーシャル・ペーパーの純増減額+150億円等があったものの、配当金の支払い、有利子負債の返済等により△2億円(前連結会計年度比+192億円)となりました。
当社グループの生産・販売品目は、広範かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額または、数量で示すことはしておりません。
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
当連結会計年度末の資産の部は、合計が前連結会計年度末に比べ234億円減少して7,946億円となりました。流動資産は前連結会計年度末比343億円減少の3,862億円、固定資産は前連結会計年度末比109億円増加の4,084億円でした。有形固定資産が249億円増加しましたが、受取手形及び売掛金が268億円、投資有価証券が183億円、たな卸資産が70億円減少しました。
流動資産から流動負債を差し引いた運転資本は、前連結会計年度末に比べ224億円減少して665億円となりました。
有形・無形固定資産は、資本的支出で531億円の増加、減価償却で294億円の減少のほか、除売却による減少等により変動しております。
負債の部では、合計が前連結会計年度末に比べ165億円減少し5,216億円となりました。借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの残高が2,511億円と前連結会計年度末比で51億円増加し、退職給付に係る負債が57億円増加しましたが、支払手形及び買掛金が198億円、製品補償引当金が107億円減少しました。
純資産の部では、親会社株主に帰属する当期純利益の増加等により利益剰余金が134億円増加したものの、その他の包括利益累計額が210億円減少し、合計が前連結会計年度末比で69億円減少しました。その結果、自己資本比率は、前連結会計年度末比0.1ポイント低下し30.2%となりました。
キャッシュ・フローの概況については、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](業績等の概要)(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度の連結売上高は、前連結会計年度比7.8%減の9,144億円、連結営業利益は、前連結会計年度比42.3%減の236億円となりました。エネルギーインフラ事業において国内及び海外での電力事業が黒字化した一方、情報通信ソリューション事業は光ファイバ等の世界的需給バランスの悪化による価格下落や、北米光ファイバ・ケーブルの生産性改善遅れにより減益、また電装エレクトロニクス事業や機能製品事業においても、データセンタ及びスマートフォン向け製品を始めとするエレクトロニクス関連市場の需要低迷の影響を受けて減益となりました。
営業外損益では、受取配当金が7億円減少しました。この結果、連結経常利益は前連結会計年度比41.7%減の228億円となりました。
特別損益は、80億円の利益(純額)となりました。投資有価証券売却益など149億円を特別利益に、投資有価証券評価損や事業構造改革費用など70億円を特別損失として計上いたしました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比39.4%減の176億円となりました。
なお、セグメント別の概況は、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](業績等の概要)(1)業績」に記載しております。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループでは、積極的な設備投資、研究開発の実施等により当面の資金需要は増加していく見込みです。
こうした資金需要に対し、営業活動を通じて獲得したキャッシュ・フローの他、金融機関からの借入、社債やコマーシャル・ペーパーの発行、資産の流動化等により資金を調達しております。また、日本、中国、及びタイにおいて、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、効率的な資金活用に努めております。
なお、短期的な支払リスクに対するバックアップラインとして、金融機関でコミットメントライン等を設定し、手元流動性の確保にも努めております。
(中期経営計画の進捗について)
当社グループは、2016年度から2020年度までの5か年の中期経営計画「Furukawa G Plan 2020」のもと、経営活動を推進しております。
当連結会計年度における経営成績は下記の表のとおりであり、主に2018年度下期以降の情報通信ソリューション事業の落ち込みにより、2020年度の経営数値目標との差異が拡大する結果となりました。
最終年度となる2020年度は、全社的に新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受ける見通しであり、業績予想については現在精査中となりますが、引き続き注力事業・製品の強化及び低採算事業・製品の改革などを進めるとともに、生産性向上による原価改善など環境変化に対応できる経営体質強化を進めてまいります。また、新型コロナウイルス収束後を見据えた事業展開、研究開発を進めるとともに、「古河電工グループ ビジョン2030」の達成に向け、ESG経営を推進してまいります。
(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、当連結会計年度末時点の状況をもとに行った見積りと当該見積りに用いた仮定のうち、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は以下のとおりであります。
(1) 製品補償引当金
製品の品質に関する補償費用の支出に備えるため、今後必要と見込まれる金額を計上しております。特に、自動車の市場回収措置(リコール)に関する引当金は、過去に当社連結子会社が製造した部品を組み込んだ自動車の不具合に対して客先が修理対応を行った場合に、当社グループが負担することが合理的に見込まれる金額に基づき計上しております。この金額は、以下の要素をそれぞれ乗じることにより算定されます。
① 対象となる車両台数
② 1台あたりの修理単価
③ 市場回収措置(リコール)の予想措置率
④ 修理費用についての客先の負担率
②及び③については過去の市場回収措置(リコール)実施実績等から、④については客先との交渉状況からそれぞれ見積を行っておりますが、それらの見積りには不確実性が含まれており、状況変化に伴い結果として引当金の追加計上もしくは戻入が必要となる可能性があります。
(2) 固定資産の減損
当社は事業部門制を採用しており、事業部門が投資の意思決定を行う際の単位となることから、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、主に事業部門をもとにグルーピングを決定しております。営業損益が継続してマイナスであるなどの減損の兆候が見られた資産もしくは資産グループについて、割引前の将来キャッシュ・フローの見積り額が帳簿価額を下回っているなどの要因により減損損失を認識すべきと判断された場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額を採用しており、正味売却価額は主に鑑定評価額により算定し、使用価値は将来キャッシュ・フローの現在価値に基づいて算定しております。なお、連結子会社についても同様の方針で検討しております。
将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは、将来の事業計画や処分価値算定における前提条件に基づいて行っているため、将来の当該資産もしくは資産グループを取り巻く状況変化に伴い、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
(3) 繰延税金資産
「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)連結財務諸表 [注記事項](追加情報)3.会計上の見積り<新型コロナウイルス感染症の影響の考え方>」をご参照ください。
(1)当社は、2019年9月26日開催の取締役会において、当社及び当社の完全子会社である古河マグネットワイヤ㈱が行っている太物巻線及びポリイミドチューブの開発、製造及び販売に関する事業を、当社が新たに設立した完全子会社に吸収分割の方法により承継すること、並びに当社の完全子会社であるFE Magnet Wire(Malaysia) Sdn.Bhd.が発行する全株式及びEssex Furukawa Magnet Wire Europe GmbHの発行済株式総数のうち当社が保有する持分のすべてを、当社の完全子会社であるFurukawa Electric Magnet Wire America, Inc.経由でSuperior Essex Holding Corp.との合弁会社であるEssex Furukawa Magnet Wire LLCに譲渡することを決議し、2019年9月27日付でSuperior Essex Holding Corp.との間で基本合意書を締結いたしました。
詳細は、「第5[経理の状況」 1[連結財務諸表等] (1)連結財務諸表 [注記事項] (追加情報) 2.太物巻線事業における会社分割及び承継会社の株式譲渡」をご参照ください。
(2)当社は、2019年9月27日の取締役会において、当社、当社の完全子会社である奥村金属㈱及び当社の連結子会社であるFurukawa Metal(Thailand) Public Co., Ltd.が行っている銅管、銅管部品及び銅板の開発、製造及び販売に関する事業(以下「本件事業」)を、日本産業パートナーズ㈱が管理・運営する日本産業第五号投資事業有限責任組合等が間接的に出資する特別目的会社であるCTJホールディングス2㈱(以下「CTJ」)に譲渡することとし、それに伴い、当社が行っている本件事業及び奥村金属㈱の発行済株式の全部を、当社が新たに設立した完全子会社であるDaishin P&T㈱(以下「新会社」)に吸収分割の方法により承継させ、新会社の発行済株式の全部及びFurukawa Metal(Thailand) Public Co., Ltd.の当社直接出資持分全部をCTJに譲渡すること(以下「本件譲渡」)を決議し、同日付でCTJとの間で株式譲渡契約を締結いたしました。
また、当社は、2020年3月26日の取締役会において、本件譲渡の実行を条件に保有資産を譲渡することを決議いたしました。
詳細は、「第5 [経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)連結財務諸表 [注記事項] (重要な後発事象) 銅管事業における会社分割及び承継会社の株式譲渡」をご参照ください。
(3)当社は、2019年12月19日開催の取締役会において、2020年4月1日を効力発生日として、当社を承継会社、当社の連結子会社である古河ファイナンス・アンド・ビジネス・サポート㈱(以下「FFBS」)を分割会社とする吸収分割を行い、FFBSのグループ・ファイナンス並びに経理及び資材調達に関連する事業等を承継すること(以下「本吸収分割」)を決議いたしました。
本吸収分割の概要は、次のとおりであります。
①本吸収分割の目的
FFBSは、グループ・ファイナンス及び間接業務等の効率化を目的に設立され、当社及び当社国内グループ会社から業務を受託してまいりました。今般、経理及び資材部門においては当社内及び国内外のグループ会社に対し、より高度な業務を提供する必要性が増していることから、FFBSの経理及び資材調達部門と当社の経理及び資材調達部門との一体的運営が必要となってまいりました。そのため当社は、FFBSが営む事業のうち、グループ・ファイナンス並びに経理及び資材調達に関連する事業等を承継し、より効率的で適正な事業運営体制の確立を図ることといたしました。
②本吸収分割の日程
※本吸収分割は、承継会社である当社においては会社法第796条第2項に定める簡易吸収分割、分割会社であるFFBSにおいては同法第784条第1項に定める略式分割の要件を満たすため、いずれも株主総会の承認を経ることなく行うものです。
③本吸収分割の方法
当社を承継会社とし、FFBSを分割会社とする吸収分割であります。
④本吸収分割に係る割当ての内容
本吸収分割に際して、当社は、金銭その他の財産の交付は行いません。
⑤当社が承継する権利義務
承継会社である当社は、分割期日においてFFBSが営む事業のうち、後掲「⑧承継する事業部門の概要」記載の事業に関する資産、負債及び契約を承継いたします。
⑥割当ての内容の算定の考え方
本吸収分割に際して、当社は、金銭その他の財産の交付は行いません。
⑦本吸収分割の当事会社の概要
⑧承継する事業部門の概要
(ⅰ)承継する部門の事業内容
FFBSのグループ・ファイナンス並びに経理及び資材調達に関連する事業等
(ⅱ)承継する部門の経営成績
(ⅲ)承継する資産、負債の項目及び金額(2020年3月31日時点)
⑨本吸収分割後の状況
当社及びFFBSの商号、所在地、代表者の役職・氏名、事業内容、資本金等、いずれも本吸収分割による影響はありません。
(4)技術導入契約の主なものは、次のとおりであります。
当社グループは、新商品、新技術開発による新規事業の創出と展開を図るべく、国内の当社研究所等(先端技術研究所、コア技術融合研究所、自動車・エレクトロニクス研究所、情報通信・エネルギー研究所、次世代インフラ創生センター)及び海外のOFS Laboratories, LLC (米国)、Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)、SuperPower Inc.(米国)、Silicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric(米国)を中心とした研究体制を有し、積極的に研究開発へ取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発費は、注力分野及び新事業創出の強化を進めていくため、前連結会計年度比2.4%増の
①次世代の大容量光デジタルコヒーレント通信向け超小型狭線幅制御回路付信号光源(Nano ITLA)の開発に成功しました。本製品は、大幅な小型化と低消費電力化に対応し、かつ超高速光通信に用いられる多値変調の光デジタルコヒーレント通信に要求される狭線幅の特性を有しております。また、光ファイバ通信の伝送特性向上及び伝送距離拡大に有効なインコヒーレント光を用いたラマン増幅用の新しい励起光源FRSi4XXシリーズを開発しました。これらの技術は、5G時代の急激なトラフィックの増大を見据えて世界的に開発が進む600Gbps超の光デジタルコヒーレント通信を支えるキーデバイスです。引き続き次世代光ファイバ通信システムの高速化・大容量化・長距離化を支える技術開発を進め、5Gなど人々の生活利便性の向上に大きく貢献してまいります。
②光ファイバ及び光ファイバ・ケーブルについては、長距離用途におけるさらなる低コスト化、並びに光ファイバネットワークの大容量化・多心化が求められているデータセンタや大都市ネットワーク用途における省スペース化が可能な「ローラブルリボンを搭載した光ファイバ・ケーブル」のさらなる高密度化を推し進めております。また、将来の超大容量光通信における空間多重技術の長距離幹線系、加入者アクセス系への適用に向けて、国立研究開発法人情報通信研究機構が実施するプロジェクトからの委託研究である「空間多重フォトニックノード基板技術の研究開発」、「マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発」、総務省が実施する「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」を活用し、1本の光ファイバに複数のコアを含むマルチコア光ファイバを用いた、光ファイバ及び光ファイバ・ケーブルの製造技術や光ファイバの接続技術並びにマルチコア光増幅技術の検討を行っております。
③ファイバレーザの製品群として、新たに12kWのマルチモードファイバレーザを製品化しました。ビーム品質を良好に維持しつつ高出力化を行うことで、金属の厚板溶接や薄板の高速溶接が可能となり、高付加価値加工の実現及び製造コスト削減に大きく貢献しております。また、かねてより開発を進めているビームモード制御技術を活用することにより、10kW超の高出力レーザを用いた厚板溶接で課題となるスパッタ飛散の抑制、自動車用亜鉛めっき鋼板やアルミニウム合金の高速かつ高品質な溶接が可能となりました。さらに、溶接品質管理のためのモニタリング技術等の開発も進めております。これらの研究開発により、自動車や船舶における難接合材の溶接など高度な加工技術でものづくり競争力を支援し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
④国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「高温超電導高安定磁場マグネットシステム技術開発」に参画し、高温超電導線材の超電導接続の開発を実施しました。また、MRIマグネットで要求される10-12Ω以下の抵抗を達成し、超電導コイルの永久電流実現に成功しました。引き続き、実用化に向けた開発を継続してまいります。
⑤大型・高効率のフライホイールに用いられている高温超電導磁気軸受の開発を進めており、研究子会社であるSuperPower Inc.(米国)の高温超電導線材を用いた超電導コイルで、従来の4倍以上の荷重となる15トンの浮上に成功しました。また、㈱ミラプロ及び公益財団法人鉄道総合技術研究所と共同で鉄道用途に向けた超電導磁気軸受の実用化に取り組んでおります。
⑥経済産業省の委託事業「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」に受託コンソーシアムの一員として参画し、現在、運転・メンテナンス実証を実施しております。当社は、浮体式設備の動きや波・潮流に追従し水中で浮遊する浮体式風力発電用ライザーケーブルを担当しており、発電事業期間となる20年間における維持管理手法のとりまとめを行いました。
⑦情報・エネルギー・モビリティが融合した「次世代の新しいインフラ」を考案し社会実装を目指す組織として設立した「次世代インフラ創生センター」では、「古河電工グループ ビジョン2030」を具現化するため、安全・安心・快適で地球環境にやさしい社会基盤を創生すること、さらには社会的受容性のあるコストで社会基盤=スマートコミュニティを実現することを目指して、パートナーの皆様と共創しながら活動を推進しております。
以上、当該事業に係る研究開発費は
①自動車用ワイヤハーネスについては、車両軽量化への要請を背景としたアルミ電線のさらなる適用部位拡大やCASE(Connected:つながる化、Autonomous:自動運転、Shared&Services:シェアリング、Electric:電動化)対応への関連技術の開発を行っております。
②自動車用バッテリ状態検知センサについては、過充電抑制での燃費向上及び過放電によるバッテリ上がり防止などへの貢献が期待されており、拡販及び受注活動とともに、高機能化に向けた開発を行っております。また、今後予測される車載電子機器の増加や自動車の電動化に対して、電源品質を維持する電源マネジメントシステムに関連した製品の開発を行っております。
③パルス方式により複数の対象物を分離して正確に認識可能な車載用の24GHz帯周辺監視レーダの量産を行っております。さらに性能を向上させ、様々な車種の安全運転支援システムへの適用を検討しております。また、建機・農機等向け周辺監視レーダの量産開始も予定されております。今後、建機・農機等の無人化にも貢献できる周辺監視レーダの開発を進めてまいります。
④新しいワイヤレス電力伝送方法として期待される電界共振結合方式を用いて、世界で初めて4.7kWの電力を伝送することに成功しました。本方式は、軽量かつ金属異物を加熱しないという特徴を有しており、次世代の電動小型モビリティ、ロボット、無人搬送車などへのワイヤレス給電の適用を想定しております。今後は、窒化ガリウム(GaN)パワーデバイス開発の経験を活かし、さらなる小型・軽量化と大電力・高効率化により、モビリティの電動化に貢献してまいります。
⑤カーボンナノチューブ(CNT)電線開発技術については、NEDOの委託事業と環境省の補助事業を実施しております。NEDO「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」では、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)の一員として、産業技術総合研究所とともに計算・計測・プロセスの三位一体でCNT電気電導シミュレーション開発を行いました。環境省「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」では、CNT電線を用いた100W超級のモーター試作に成功、車載適用によるCO2削減効果を実証確認し、本補助事業を成功させました。NEDO事業は次年度へ継続となり、引き続きCNT電線の実用化に向けた開発を進めてまいります。
⑥シミュレーション技術及び分析技術を有効活用し、研究開発の効率化を推進しております。ワイヤハーネスなどの自動車用部品の変形・応力シミュレーション、電子機器開発においては振動・熱流体シミュレーション、レーダ開発においては電磁界シミュレーションを活用したほか、車載ソフト用のアルゴリズム構築に際してのモデルベース開発などを行いました。また、CNTなどの新材料に対しては、第一原理計算を用いた材料特性予測や先端電子顕微鏡を活用しております。Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)では、先進的なシミュレーション技術開発に取り組んでおり、車載バッテリの環境負荷を加味した基礎シミュレーションの構築やCNT生成プロセスを評価するための化学反応シミュレーションを実施しました。引き続き、シミュレーション技術及び分析技術を活用し、メカニズム解明や設計の最適化に加え、試作代替による環境負荷低減への取組みを推進してまいります。
⑦電子機器における小型化・大容量化に伴う接続部品(コネクタ、端子等)の多極化・高密度化、発熱の制御、自動車の電動化や車載電子機器の増加に伴う電装品(ワイヤハーネス等)の高電圧化・大電流化へ対応できる、高強度・高導電な銅合金及び貴金属めっきの開発を行っております。
以上、当該事業に係る研究開発費は
①植物由来のセルロース繊維の高剛性・軽量性という特長を活かし、自動車分野など様々な用途での活用が期待されるセルロース強化樹脂の高効率製造法の開発を行い、その実用化に向けた検証を行っております。また、昨今のプラスチックごみ問題に対応すべく、リサイクルされていない使い捨てプラスチックパッケージと古紙でセルロース繊維強化樹脂を製造し、そのセルロース繊維強化樹脂を使用した製品の製造・販売を行っております。さらに、古紙の代わりに使用済みの家具・建材などの木質系廃棄物を使用したセルロース繊維強化樹脂の開発にも成功しました。引き続き、国内外の行政機関、プラスチック業界及びリサイクル業界と連携し、本技術の普及を進め、地球環境の改善に貢献してまいります。
②ヒートシンク・ヒートパイプを活用した熱マネジメント(均熱・熱輸送・熱交換)技術により、データセンタ、スマートフォン、太陽光発電システム、鉄道、自動車などの情報/エネルギー/モビリティ分野の製品の薄型化・軽量化を可能とする研究開発を進めております。エレクトロニクス機器の薄型化、軽量化、高発熱化に対応する製品や次世代自動車への搭載に向けた製品の開発を行っております。
③通信ネットワークの高速化、高周波数化に対応するインフラ用大型高速サーバー・ルーター向けのプリント基板の需要が高まっております。従来、FV-WSやFZ-WSなどを代表とする高周波基板用銅箔を供給してまいりましたが、さらなる高速化に対応した次世代高周波基板用銅箔を開発しました。今後、高周波基板用銅箔の製品群を拡充し、高速通信ネットワークの需要に対応してまいります。
以上、当該事業に係る研究開発費は
①研究子会社であるSuperPower Inc.(米国)において、イットリウム系高温超電導線材の研究開発を継続しております。この高温超電導線材と当社製金属系超電導線材とを併せ用いることにより、次世代エネルギー源と期待される核融合炉、新素材や先端医薬の開発に欠かせない高磁場マグネットなど、各方面への応用が期待されます。また、顧客の旺盛な需要に応えるため、現工場の近隣地区に新工場を建設し、2020年夏に移転後再稼働・増産体制の構築を予定しております。
②オープン・イノベーションによる新事業創出を目的に2017年9月に営業部門と研究部門の連携組織として設立した先行開発センターでは、VOC(Voice Of Customer)から顧客ニーズを捉え迅速にコンセプトサンプルを作製し、新たな価値を提案する活動を推進しております。同センターでは、新事業の創出に繋げるべく、エネルギーインフラ・モビリティインフラ・ヘルスケア分野などにおいて、当社の技術を活かした実証実験を行っております。
③2018年8月に、米国カリフォルニア州のシリコンバレーに開設したSilicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric(SVIL)では、「古河電工グループ ビジョン2030」の実現に繋がる新技術を獲得することを目的として、スタートアップ企業とのオープン・イノベーションを積極的に推進しております。シリコンバレーを拠点とするアクセラレータや自動車技術協議会などが主催するイベントを通じて、スタートアップ企業情報や最新の技術動向を調査し、実証実験を実施しております。
以上、当該事業に係る研究開発費は