第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

[古河電工グループ理念]

 

■基本理念

世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。

 

■経営理念

私たち古河電工グループは、人と地球の未来を見据えながら、

・ 公正と誠実を基本に、常に社会の期待と信頼に応え続けます。

・ お客様の満足のためにグループの知恵を結集し、お客様とともに成長します。

・ 世界をリードする技術革新と、あらゆる企業活動における変革に絶えず挑戦します。

・ 多様な人材を活かし、創造的で活力あふれる企業グループを目指します。

 

■Core Value(コア・バリュー

古河電工グループ理念を達成し持続的に成長していく上で、特に大事にし、より強化していきたい価値観として<正々堂々><革新><本質追究><主体・迅速><共創>の5つを定め、「Core Value」としております。

 

■古河電工グループ ビジョン2030

当社グループの事業を取り巻く環境の急速な変化を捉え、目指す時間軸と事業領域を明確にした「古河電工グループ ビジョン2030」(以下、「ビジョン2030」という)を策定しております。

ビジョン2030は、「世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。」という当社グループの基本理念を踏まえ、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs*)」が 示す社会課題の解決を念頭に置いて、当社グループの2030年におけるありたい姿を描くとともに、そこへ向けて目指す時間軸と領域を明確にしております。

ビジョン2030のもと、情報/エネルギー/モビリティの各領域及びこれらの融合領域において、当社グループは社会課題の解決を目指してまいります。さらに、新領域においても、これまでにない新たな事業の創出を通じた社会課題の解決を目指してまいります。

 


古河電工グループは

「地球環境を守り」「安全・安心・快適な生活を実現する」ため、

情報 / エネルギー / モビリティが融合した社会基盤を創る。

 

 

さらに、当社グループでは、ビジョン2030を達成するために当社グループが対処すべき経営上の重要課題を「マテリアリティ」と定義し、収益機会とリスクの両面で次のとおりマテリアリティを特定しております。これらのマテリアリティに取り組むことにより、ビジョン2030を達成するとともに、SDGsの達成にも寄与してまいります。

 


*SDGs…国連で採択されたSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称であり、17のゴール・169のターゲットで構成される国際目標

 

(2) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

当社は、ビジョン2030のありたい姿からのバックキャストで中間地点としての2025年の目指す姿を定義し、その達成に向け2025年度を最終年度とする4か年の新中期経営計画「Road to Vision2030-変革と挑戦-」(以下、「25中計」という)を昨年策定し、各施策に取り組んでまいりました。


<経営環境>

25中計の前提となる当社を取り巻く経営環境は、今後非連続かつ不可逆的に変化していくものと考えております。例えば、ESG/SDGsが企業の存続に欠かせない経営課題となる、人生100年時代などを踏まえた新たなライフスタイルが広がる、人口減少・高齢化の進展により国内市場が縮小する、DX(Digital Transformation)が急速に進展する、等の変化が想定されます。

このような環境においては、Beyond5G*の実現やカーボンニュートラルの実現、安全・安心・快適に人とモノが移動の自由を享受するための次世代インフラの実現、健康寿命延伸の実現、サーキュラー・エコノミーの実現等の社会課題解決の期待がより高まるものと想定されます。

*Beyond5G…5Gの特徴(高速・大容量、低遅延、多数端末との接続)のさらなる高度化に加えて、空・海・宇宙への利用領域の拡張、超低消費電力、超高信頼などの特徴を備えることが想定されている。6G(第6世代移動通信システム)とも呼ばれる。


 

<各事業領域における市場環境の見通し>

世界経済は、回復傾向をたどるとみられます。しかし、インフレ率は高止まりしているほか、金融環境は不安定な状況にあり、リスクバランスは下振れの方向にあります。先行き不透明な状況が続くと予想されますが、当社グループが重点領域と位置づけているインフラ(情報通信、エネルギー)/自動車分野、また、注力事業と位置づけている半導体に関連する機能製品分野は、中長期では継続的な市場成長が見込まれます。

情報通信分野は、5GやIoTなど、クラウドをベースとしたサービスが様々な分野で成長しておりましたが、それに加えコロナ禍で定着したテレワークとその拡大により、データセンタ関連の光ネットワークの建設が今後も続くと考えられます。足元では世界的な光ファイバ等の需給バランスが悪化しておりますが、中長期では継続的な市場成長が見込まれます。

エネルギー分野は、国内に関しては国のエネルギー政策に伴う洋上風力を中心とする再生可能エネルギーや電力会社のリプレース需要が見込まれ、海外に関しては欧米、新興国での旺盛な需要が継続する見通しであります。

自動車分野は、半導体供給制約が緩和の方向にあるとともに、日系自動車メーカーのBEVシフトが加速するなど、今後も当該分野は継続的に成長する見通しであります。

機能製品分野は、足元ではスマートフォン・パソコン・データセンタ向けの需要が落ち込んでおりますが、中長期的には継続的な市場拡大・成長が見込まれます。

 

<25中計達成に向けた取組み(対処すべき課題)>

25中計のもと、情報/エネルギー/モビリティの各領域及びこれらの融合領域における社会課題解決型事業の強化・創出を掲げ、収益の拡大に向けた取組みとして、「資本効率重視による既存事業の収益最大化」及び「開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備」を推進してまいります。また、これらを下支えする「ESG経営の基盤強化」に取り組んでまいります。

 

 

①資本効率重視による既存事業の収益最大化

収益性・成長性等の観点から事業の位置付けを可視化し、これに則した投資配分の最適化を進め、事業ポートフォリオの見直しを含む、資本コストをより意識した経営管理と意思決定を一層加速してまいります。また、売上における高付加価値製品の比率の向上や付加価値に見合った製品価格の適正化により、収益の改善・拡大を図ってまいります。具体的には、光ファイバ等の需要拡大をとらえ、拡販を進めているローラブルリボンケーブル等の高付加価値製品の売上増を図るとともに、中南米で培ったビジネスモデルの強みを活かしネットワーキングシステム事業をグローバルに拡大してまいります。電力ケーブルシステムについては、製造能力や工事施工能力の増強等を進め、国内での電力網強靭化や再生可能エネルギー向けの海底線及び地中線を主なターゲット領域として事業基盤を確立し、収益成長を図ってまいります。また、EV化の加速に伴う自動車の軽量化ニーズの高まりに応えるため、新車種への搭載を着実に拡大しているアルミワイヤハーネスの優位性を活かし、事業拡大と収益性向上を進めてまいります。さらに、中長期的に半導体需要の拡大が見込まれることから、半導体製造用テープにつきまして、2025年度の量産開始に向け新工場建設を進めており、製造能力の増強による安定的供給及び高性能・高品質な製品の提供により、売上拡大を目指してまいります。

 

②開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備

当社グループは、素材力を核として長年培ってきた「メタル」「ポリマー」「フォトニクス」「高周波」の4つのコア技術を活用し、新たな社会課題解決型事業創出の基盤整備を図ってまいります。Beyond5G社会に向け情報通信トラフィックの増加が見込まれる中、当社のコア技術であるフォトニクス技術及び高周波技術を活かした高機能なフォトニクス製品の開発力と、光通信市場への幅広い対応力を活かし、オール光ネットワークと高効率エネルギー社会の実現に貢献してまいります。また、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、化石資源によらないグリーンLPガスの開発・製造を進めてまいります。さらに、次世代のエネルギー源として期待される核融合発電に必要な高温超電導線材の開発・製造により、環境に配慮したクリーンな電力の供給に寄与してまいります。引き続き、外部パートナーとの共創を進めるほか、デジタル技術やデータの利活用を推進し、課題解決を起点とした製品・サービスを開発・提供することを通じて、新たな提供価値の創造を目指してまいります。

 

③ESG経営の基盤強化

25中計では、特定したマテリアリティごとに2025年度の目指す姿を定め、それらを実現する施策を策定するとともに、進捗を測定するサステナビリティ指標・目標値を設定しており、それらの達成を図ることで、ESG経営の基盤を強化してまいります。持続可能な企業へ変革する上で必須となっている気候変動に配慮したビジネス活動を展開するべく、「自社のCO2を出さない・減らす」「社会のCO2を出さない・減らす」「排出されたCO2を溜める・変える」という収益機会の獲得とリスクの低減の両面からの活動により、カーボンニュートラル実現への取組みを加速してまいります。また、人的資本の強化を図るため、人材に対するグループ・グローバル共通の考え方である「古河電工グループPeople Vision」に基づき、2030年のありたい姿として「多様な人材を確保し、挑戦し続けようとする人の成長を支援する」「全員が主役で誇りを持ちワクワク働ける企業グループを目指す」「『チームで徹底的にやりきる』古河電工グループの文化を醸成する」ことを基本方針として、「人材・組織実行力」の強化に取り組んでまいります。具体的には、従業員エンゲージメントの要素を含む人材・組織実行力調査を実施し、これをモニタリングツールとして、ダイバーシティ&インクルージョン推進、リーダーシップ変革活動、経営戦略・事業戦略遂行に資する人材の採用・配置・育成施策など、人材マネジメントに関わる取組みを強化してまいります。人権マネジメントについては、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」の企業の取り組むべき3つの要件に基づき推進してまいります。その中でも「人権デューディリジェンスの実施」としては、従業員と取引先を優先して対応すべきステークホルダーとして、それぞれについて想定される人権上の課題を特定し、課題への改善策や予防策を講じてまいります。具体的には、人権問題に関する教育について当社はもとより国内外グループ会社の管理職にまで拡大し、継続的に実施してまいります。また、サプライチェーンにおける人権を含めたCSR調達実現のため、「古河電工グループCSR調達ガイドライン」に基づく自己評価調査(SAQ)について当社から国内外グループ会社の主要な取引先へと段階的に拡大してまいります。

 

 

(3) 目標とする経営指標

25中計において、資本効率を意識した事業の強化と創出を行うため、ROICやROEなどを経営指標として重視し、最終年度である2026年3月期の到達目標水準は、ROIC(税引後)6%以上、ROE11%以上、連結売上高1.1兆円以上、連結営業利益580億円以上、親会社株主に帰属する当期純利益370億円以上としております。また、25中計では、これらの財務目標に加え、各マテリアリティにおける2025年度の目指す姿を実現するための指標をサステナビリティ指標(温室効果ガス排出量削減率、管理職に占める女性比率、管理職に対する人権リスクに関する教育実施率等)として目標を設定しており、収益機会とリスクの両面から、企業価値向上に向けた取組みを実施し、これらの達成を図ってまいります。

当社グループ経営理念及びビジョン2030の実現に向けて、本中期経営計画を着実に推進してまいります。

 

2025年度の財務目標値

ROIC(税引後)

6%以上

ROE

11%以上

Net D/Eレシオ

0.8以下

自己資本比率

35%以上

連結売上高

1.1兆円以上

連結営業利益

580億円以上

親会社株主に帰属する当期純利益

370億円以上

 

 

2025年度のサステナビリティ目標値

環境調和製品売上高比率

70%

新事業研究開発費増加率(2021年度基準)

125%

事業強化・新事業創出テーマ(*1)に対するIPランドスケープ実施率

100%

温室効果ガス排出量削減率(スコープ1、2)(2021年度基準)

△18.7%(*2)

電力消費量に占める再生可能エネルギー比率

30%(*3)

(単体)従業員エンゲージメントスコア

75(*4)

(単体)管理職層に占める女性比率

7%

(単体)スタッフ新規採用者に占めるキャリア採用比率 

30%

全リスク領域に対するリスク管理活動フォロー率

100%

主要取引先に対するCSR調達ガイドラインに基づくSAQ実施率

グローバル100%

管理職に対する人権リスクに関する教育実施率

グローバル100%

 

(*1) 2022年度に設定したテーマが対象。

(*2) 環境目標2030改定に伴い基準年度と目標値を改定。従来の2017年度基準で△42%に相当。

(*3) 環境目標2030改定に伴い目標値を改定。

(*4) 2022年度に目標値を新たに設定。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ共通

当社グループは、「世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。」を基本理念とし、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」が示す社会課題の解決を念頭に描いた当社グループの2030年におけるありたい姿「古河電工グループ ビジョン2030」(以下、ビジョン2030)を定めております。当社グループは、ビジョン2030の達成に向け、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指すESG経営を推進しています。

 

 ガバナンス

当社グループのサステナビリティに関する議論を集約し、実行の質・スピードをさらに高めることを目的として、「サステナビリティ委員会」を設置しています。サステナビリティ委員会は、委員長を社長、副委員長を戦略本部長、委員を経営層で構成され、サステナビリティに関する基本方針、収益機会・リスクのマテリアリティに関する基本的事項及びサステナビリティに関する基本的な情報開示等の当社グループのサステナビリティに関する課題についての審議並びに当該事項に関する進捗状況の確認をし、取締役会に提案・報告を行っています。事務局はサステナビリティ推進室が担当し、原則、年に2回開催します。また、リスクのマテリアリティに関する事項は、当社グループの経営上のリスクとも密接に関わることから、リスクマネジメント委員会と連携して対処しています。

 


 

当社グループでは、2018年度よりESG経営への取り組みを加速させ、取締役会、経営会議及びサステナビリティ委員会で気候変動や人的資本を含めたサステナビリティに関係する議論を拡充させています。また、取締役会には、気候変動や人的資本を含めたサステナビリティに関する進捗状況を四半期ごとに報告・共有しています。

 

<当社グループのサステナビリティに関する主な議論>

取締役会

2018年11月 古河電工グループ ビジョン2030策定

2018年11月 「People Vision」策定と人事部中期施策

2018年11月~2019年12月 マテリアリティの特定

2019年4月 古河電工グループCSR行動規範改定

2021年2月 古河電工グループ環境ビジョン2050策定

2021年7月~8月 古河電工グループサステナビリティ基本方針策定

2022年5月 サステナビリティ指標・目標設定、マテリアリティの見直し

2022年12月 25中計における人事施策の取組み状況及び方向性

2023年3月 2025年度サステナビリティ目標の一部改定

経営会議

2018年10月 人事部中期施策と「People Vision」策定

2018年11月~2019年5月 古河電工グループ ビジョン2030策定

2018年11月~2020年9月 マテリアリティの特定及び開示

2019年1月 環境目標2030設定とSBT(2℃)認定申請

2019年4月 古河電工グループCSR行動規範改定

2020年1月 国連グローバル・コンパクト署名、古河電工グループ人権方針策定、TCFD賛同

2020年12月~2021年2月 古河電工グループ環境ビジョン2050策定

2021年11月~2022年2月 環境目標2030改定とSBT(WB2℃)認定申請

2022年7月~8月 古河電工グループサステナビリティ基本方針制定

2022年11月 人的資本経営の考え方を踏まえた人事施策の方向性

2022年12月 環境目標2030改定とSBT(1.5℃)認定申請

2023年2月 人材・組織実行力強化活動及び人的資本指標開示

サステナビリティ

委員会

2022年3月 サステナビリティ指標・目標設定、マテリアリティの見直し

2022年9月 古河電工グループ責任ある鉱物調達方針策定

2023年3月 2025年度サステナビリティ目標の一部改定

 

 

 リスク管理

当社グループは、委員長を社長、副委員長をリスクマネジメント本部長、委員を経営層で構成した「リスクマネジメント委員会」を設置し、当社グループのリスク管理、内部統制、コンプライアンスについての課題を審議し、監督・推進する体制をとっています。同委員会では、経営視点及びオペレーショナル視点のリスク評価などによりリスクを俯瞰し、全社的に対応すべき重要リスクを定め、優先的に対応しています。

「気候変動」と「人材・組織実行力」は、影響度大及び発生可能性大の経営視点の重要リスクとして認識しています。

詳細については、「3 [事業等のリスク]」を参照してください。

また、分野別には、品質管理、安全衛生(健康を含む)、環境、防災・事業継続マネジメント(BCM)など重要度が高いとされるリスクについては、特別委員会を設置して重点的に管理する体制をとっており、事業活動に関するリスク管理体制の強化を図っています。これらの体制に加え、取締役会、経営会議、稟議等により重要な意思決定を行う際には、当該事案から予測されるリスク等を資料等に明示し、これらを認識した上で判断することとしています。

 


 

 

 戦略

<古河電工グループのESG経営とマテリアリティ>

当社グループは、ビジョン2030の達成に向け、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指すESG経営を推進しています。当社グループでは、ビジョン2030を達成するために当社グループが対処すべき経営上の重要課題を「マテリアリティ」と定義し(※)、マテリアリティの特定プロセス(後述)に従って、収益機会とリスクの両面でマテリアリティを特定しています。収益機会のマテリアリティは資本効率の向上、リスクのマテリアリティは資本コストの低減に資するものとして、特定したマテリアリティに取り組み、ビジョン2030の達成を目指します。また、マテリアリティと関連性の深いSDGsの達成にも貢献していきます。


 

※ 当社グループのESG経営において、「マテリアリティ」は、ビジョン2030を達成するために当社グループが対処すべき経営上の重要課題と定義しており、財務・会計上における重要課題(業績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある項目)とは、異なる意味で使用しています。

 

<マテリアリティの特定と見直し>

収益機会の観点から、当社グループが事業活動を通じて様々な社会課題を解決していくためには、従来のプロダクト・アウトの考え方からアウトサイド・イン・アプローチへの転換が必要不可欠と考え、「社会課題解決型事業の創出」をマテリアリティとして特定しました。その具体例として、ビジョン2030で描く社会の基盤となる「次世代インフラを支える事業の創出」、カーボンニュートラルやサーキュラー・エコノミーの実現に貢献する「環境配慮事業の創出」をサブ・マテリアリティとしています。また、自ら積極的に変革する企業を目指すという思いを表した「Open, Agile, Innovative」と、外部との共創に注力する「多様なステークホルダーとのパートナーシップの形成」を通じて「社会課題解決型事業の創出」を推進し、資本コストを含めた資本効率を向上していきます。

一方、リスクの観点からは、企業が持続的な成長をしていく上で「気候変動に配慮したビジネス活動の展開」は必須であるため、環境(E)のマテリアリティとしました。また、自ら積極的に変革する企業になるための「人材・組織実行力の強化」を社会(S)のマテリアリティ、コーポレートガバナンス、グループガバナンス及びサプライチェーンマネジメントをサブ・マテリアリティとする「リスク管理強化に向けたガバナンス体制の構築」をガバナンスのマテリアリティとし、ESG経営の基盤強化を推進し、資本コストを低減していきます。

 


 

<マテリアリティの特定プロセス>

マテリアリティの特定及び見直しは、Step1~Step3 のプロセスで行います。まず、Step1では「外部要因」と「内部要因」を参考に社会課題を洗い出し、重複項目を整理した上で項目リストを作成します(現在、29項目に整理されています)。Step2では「株主・投資家にとっての重要度」と「ビジョン2030達成にとっての重要度」の2軸に対して重要度評価(高・中・低)をし、優先順位付けを行います。Step3で、優先度の高い項目をマテリアリティ項目として特定します。特定したマテリアリティ項目は、ビジョン2030達成に向けた重要課題として収益機会及びリスク側面で類型化・再整理し、収益機会のマテリアリティ及びE・S・G各々のリスクのマテリアリティとして表現します。

 



 

 

<2030年に向けた価値創造プロセス>

「中期経営計画2022-2025」(以下、25中計)は、ビジョン2030達成に向けたマイルストンとして位置づけられています。2030年におけるありたい姿から遡るバックキャスティングによって示された2025年の姿に向かって、現在からのフォワード・ルッキングの考え方で策定された25中計を確実に実行していきます。25中計では、特定したマテリアリティごとに2025年度の目指す姿を定め、それらを実現する施策を策定するとともに、進捗を測定・管理するサステナビリティ指標・目標を設定しています。

当社グループは、これまで素材力を核とした「メタル」「ポリマー」「フォトニクス」「高周波」の4つのコア技術を強みに、特定市場に限定されない開発力と提案力によって、お客様の信頼を培ってきました。

25中計で設定した財務目標・サステナビリティ目標を達成し、当社グループが持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するために、資本効率を意識した事業の強化と創出を行い、オープンイノベーションや外部パートナーとの共創、知的資産の活用を含めた当社グループの強みを強化し、新しいビジネスモデルの構築を進めます。2025年に向けて、情報・エネルギー・モビリティ分野での収益を安定化させ、社会課題解決型事業の強化を通じて成長し、情報/エネルギー/モビリティの融合社会へ貢献していきます。また、2030年に向かって、ビジョン2030で描く融合社会の基盤となる「次世代インフラを支える事業」、カーボンニュートラルやサーキュラー・エコノミーの実現に貢献する「環境配慮事業」などの社会課題解決型事業の創出によって飛躍をしていきます。

事業の強化に関しては、光ファイバ等の需要拡大をとらえ、拡販を進めているローラブルリボンケーブル等の高付加価値製品の売上増を図るとともに、中南米で培ったビジネスモデルの強みを活かしネットワーキングシステム事業をグローバルに拡大していきます。電力ケーブルシステムについては、製造能力や工事施工能力の増強等を進め、国内での電力網強靭化や再生可能エネルギー向けの海底線及び地中線を主なターゲット領域として事業基盤を確立し、収益成長を図ります。また、EV化の加速に伴う自動車の軽量化ニーズの高まりに応えるため、新車種への搭載を着実に拡大しているアルミワイヤハーネスの優位性を活かし、事業拡大と収益性向上を進めていきます。さらに、中長期的には半導体需要の拡大が見込まれることから、半導体製造用テープについて、2025年度の量産開始に向け新工場建設を進めており、製造能力の増強による安定的供給及び高性能・高品質な製品の提供により、売上拡大を目指します。

新事業の創出に関しては、Beyond5G(以下、B5G)社会に向け情報通信トラフィックの増加が見込まれる中、当社のコア技術であるフォトニクス技術及び高周波技術を活かした高機能なフォトニクス製品の開発力と、光通信市場への幅広い対応力を活かし、オール光ネットワークと高効率エネルギー社会の実現に貢献していきます。また、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、化石資源によらないグリーンLPガスの開発・製造を進めてまいります。さらに、次世代のエネルギー源として期待される核融合発電に必要な高温超電導線材の開発・製造により、環境に配慮したクリーンな電力の供給に寄与していきます。

一方、当社グループが持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するために、資本コスト低減に向けた経営基盤の強化も行います。特に、気候変動対応、人材・組織実行力の強化及びガバナンス体制の構築をリスクのマテリアリティとして経営基盤を強化していきます。

持続可能な企業へ変革する上で必須となっている「気候変動に配慮したビジネス活動」を展開し、カーボンニュートラル実現への取り組みを加速していきます。また、人的資本の強化を図るため、人材に対するグループ・グローバル共通の考え方である「古河電工グループPeople Vision」に基づき、「人材・組織実行力」の強化に取り組んでいきます。具体的には、従業員エンゲージメントの要素を含む人材・組織実行力調査を実施し、これをモニタリングツールとして、ダイバーシティ&インクルージョン推進、リーダーシップ変革活動、経営戦略・事業戦略遂行に資する人材の採用・配置・育成施策など、人材マネジメントに関わる取り組みを強化していきます。人権マネジメントについては、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」の企業の取り組むべき3つの要件に基づき推進してまいります。その中でも「人権デューディリジェンスの実施」としては、従業員と取引先を優先して対応すべきステークホルダーとして、それぞれについて想定される人権上の課題を特定し、課題への改善策や予防策を講じていきます。また、サプライチェーンにおける人権を含めたCSR調達実現のため、「古河電工グループCSR調達ガイドライン」に基づく自己評価調査(SAQ)について当社から国内外グループ会社の主要な取引先へと段階的に拡大していきます。

 


※1 4つのコア技術:メタル、ポリマー、フォトニクス、高周波

※2 知的資産の活用強化を含む。

※3 B5G:Beyond5G

 

④ 指標と目標

<サステナビリティ指標と目標>

25中計においては、各々のマテリアリティにおける2025年度の目指す姿を実現するためのサステナビリティ指標(KPI)と2025年度サステナビリティ目標を設定しており、収益機会とリスクの両面から、企業価値向上を図っていきます。

 

マテリアリティ

サステナビリティ指標

範囲

実績

目標 ()は参考値

2022年度

2022年度

2023年度

2025年度

社会課題解決型事業

の創出

環境調和製品売上高比率

グループ

65.0%

64%

66%

70%

Open, Agile, Innovative/多様なステークホルダーとのパートナーシップの形成

新事業研究開発費増加率

(2021年度基準)

グループ

116%

115%

125%

125%

事業強化・新事業創出テーマに対するIPランドスケープ実施率

グループ

40%

30%

45%

100%※1

 

 

 

マテリアリティ

サステナビリティ指標

範囲

実績

目標 ()は参考値

2022年度

2022年度

2023年度

2025年度

気候変動に配慮したビジネス活動の展開

温室効果ガス排出量削減率(スコープ1、2)

(2017年度基準)

グループ

△37%

(見込)

△17.7%

△21.2%

(△42%)※2

(2021年度基準)

△18.7%※3

電力消費量に占める再生可能エネルギー比率

グループ

20%

(見込)

11.5%

12.0%

30%※3

人材・組織実行力

の強化

従業員エンゲージメントスコア

単体

65

測定開始

65※4

75※4

管理職層に占める女性比率

単体

4.8%

4.5%

5%

7%

新規採用者に占めるキャリア採用比率※5

単体

45.7%

30%※6

30%※6

30%※6

リスク管理強化に向けたガバナンス体制

の構築

全リスク領域に対するリスク管理活動フォロー率

グループ

100%

93%

100%

100%

主要取引先に対するCSR調達ガイドラインに基づくSAQ実施率

グループ

グローバル34%

グローバル20%

グローバル40%

グローバル100%

管理職に対する人権リスクに関する教育実施率

グループ

グローバル100%

国内開始

グローバル100%※7

グローバル100%※7

 

※1 2022年時点で設定した事業強化・新事業創出テーマに関して、全件実施を意味します。

※2 環境目標2030の改定に伴い、基準年を2021年度に変更しましたが、従来の2017年度基準に当てはめた場合の削減目標も参考値として示しています。

※3 環境目標2030の改定に伴い、2025年度目標を改定しました。

※4 2022年度に、2025年度目標値を新たに設定しました。

※5 新規採用者は新卒採用者及びキャリア採用者を示し、その対象は管理職層、総合職、一般職です。

※6 各年度30%程度維持することを意味します。

※7 各年度グローバル100%を継続することを意味します。

 

(2)気候変動

当社グループは、気候関連リスク及び機会が経営上の重要課題であるという認識のもと、2020年1月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しました。TCFD提言に沿った情報開示を進め、ステークホルダーの皆様との信頼関係の強化に繋げていきます。

また、当社グループは、機関投資家を代表とするCDPの質問書に対して、2008年度より気候変動について回答しています。2022年度のCDP気候変動は「A-」評価、CDPサプライヤーエンゲージメントは「A」評価を受けました。

 



 

 ガバナンス

「(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

 リスク管理

当社グループは、「リスクマネジメント委員会」を設置し、当社グループ全体のリスク管理、内部統制、コンプライアンスについての課題を審議し、監督・推進する体制をとっています。

詳細については、「(1)サステナビリティ共通 ②リスク管理」を参照してください。

気候変動や自然災害などの気候関連リスクは、環境リスクの最重要課題として位置づけ、気候関連リスクへの事前戦略については主に「古河電工グループ環境委員会」(以下、環境委員会)、リスク発生後の事業継続対策については主に「中央防災・BCM推進委員会」で定期的に議論されています。

環境委員会は、委員長をリスクマネジメント本部長とし、事業経営を担当する統括部門長や事業部門長、本部長などの経営層によって、3ヶ月に1回定期的に開催され、気候変動に関連する課題などを審議し、経営会議や取締役会に提案・報告します。2022年度は、2050年カーボンニュートラルへの取り組みを加速するため、環境目標2030の改定やSBT1.5℃認定の申請について議論し、経営会議に提案・報告をしました。インターナルカーボンプライシング(Shadow price)は、2019年度から試算しています。事業部門ごとの炭素価格の見える化により、脱炭素化に向けた気候変動リスク回避への準備を促しています。環境委員会における四半期ごとの評価・掲示効果により、未達成の部門については再生可能エネルギーの導入計画が推進されます。

中央防災・BCM推進委員会は、委員長をリスクマネジメント本部長とし、事業部門長や事業所長などの委員によって、3ヶ月に1回定期的に開催され、事業継続マネジメント(BCM)の構築、自然災害等を含む事業継続リスクの特定をし、その特定プロセスを推進・管理しています。

 


 

 

 戦略

<当社グループの気候関連リスク(移行リスク、物理リスク)及び機会の検討期間の定義>

中 期

2025年度まで

中期経営計画2022-2025、サステナビリティ目標の達成年度までの期間

長 期

2030年度まで

ビジョン2030、環境目標2030達成年度までの期間

超 長 期

2050年度まで

環境ビジョン2050達成年度までの期間

 

 

<シナリオ分析>

□2019年度は環境省が実施する「TCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」に参加し、インフラ事業(情報通信ソリューション事業の光ファイバ・ケーブルとエネルギーインフラ事業の電力ケーブル)について、2020年度は自動車部品事業について、2021年度はAT・機能樹脂事業と銅条・高機能材事業について、気候関連リスク(移行リスク、物理リスク)及び機会を特定し、シナリオ分析を実施しました。

□2021年度までは、TCFD提言が推奨する「2℃以下のシナリオを含む異なる気候関連のシナリオ」を検討するに当たり、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照し、「2℃以下シナリオ」と「4℃シナリオ」の検討を、事業分野別に段階的に進めてきました。

□2022年度は、2050年カーボンニュートラルへの取り組みを加速するため、環境目標2030を改定し、SBT1.5℃認定にも申請しました。それに伴い、従来シナリオ分析を実施してきた事業のシナリオについても、「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」に見直しました。

 

<2030年における事業への影響度評価>

区分

特定した気候関連リスク・機会の項目

事業への影響度

1.5℃

4℃

移行

リスク

政策・規制

温室効果ガス排出への炭素税課税

市 場

再エネ調達コストの増加

素材(銅・アルミ・樹脂)への炭素税課税による調達コストの増加

物理

リスク

急 性

異常気象による大規模災害(大型台風、豪雨、豪雪、落雷)による建物被害

気候災害等による納入先、調達先のサプライチェーンの寸断

洪水・渇水による沿岸部工場の操業停止

慢 性

平均気温上昇による空調コストの増加

市 場

スマートシティの普及や通信トラフィック急増に伴う5G/B5G整備加速による売上・収益増

情報通信、半導体メモリ、5G・スマホ関連製品需要増加による売上・収益増

再エネの普及に伴う基幹系送電網増強、海底ケーブル需要増加による売上・収益増

自動車電動化・軽量化に伴う製品需要増加による売上・収益増

製品及びサービス

カーボンニュートラルやサーキュラー・エコノミー対応要請に伴う低・脱炭素化製品・リサイクル製品の要求増による販売増

 

 

 

<カーボンニュートラル実現に向けた取り組み>

シナリオ分析の実施によって、気候関連の機会及びリスクを特定し、収益機会の獲得とリスクの低減の両面からカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを進めています。

収益機会については、25中計期間において既存事業の収益安定化と新事業創出に向けた基盤整備を進め、2030年にはそれぞれの分野において社会課題を解決することによりカーボンニュートラル実現に貢献していきます。例えば、既存事業の強化として電力ケーブル事業の再生可能エネルギー普及拡大、新事業の創出として情報通信分野のB5G社会の実現や、グリーンLPガスによる地産地承できる社会基盤の構築などに取り組んでいます。

また、リスクについては超長期目標として環境ビジョン2050を策定し、事業活動における温室効果ガス排出量(スコープ1、2)を2050年ゼロにするチャレンジ目標とバリューチェーン全体で温室効果ガス排出量を削減することを目標に掲げています。そこからのバックキャスティングによる環境目標2030、25中計のサステナビリティ目標において温室効果ガス排出量削減の目標を設定し、温室効果ガス排出量削減に取り組んでいます。

※ 地産地承:地産地消に加えて地域の資源や文化を次世代に承継することを表現しました。

 

 指標と目標

<古河電工グループ環境ビジョン2050>(2021年3月策定)

環境ビジョン2050では、環境に配慮した製品・サービスの提供及び循環型生産活動を通じ、バリューチェーン全体で持続可能な社会の実現に貢献することを掲げています。脱炭素社会への貢献としては、バリューチェーン全体で温室効果ガス排出削減を目指し、2050年の事業活動における温室効果ガス排出量(スコープ1、2)ゼロを、チャレンジ目標としています。

 

<環境目標2030>(2022年12月改定)

環境ビジョン2050の実現に向け、マイルストンとなる環境目標2030を改定しました。脱炭素社会への貢献として、2030年目標を以下のとおりに見直しました。

(1)事業活動における温室効果ガス排出量(スコープ1、2) :2021年度比42%以上削減

(2)バリューチェーンにおける温室効果ガス排出量(スコープ3):2021年度比25%以上削減

スコープ1:自社工場・オフィスからの直接排出
スコープ2:自社が購入した電力、熱などの使用による間接排出
スコープ3:スコープ1、2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

なお、当社グループの2030年温室効果ガス削減目標は、SBT(Science Based Targets, 科学的知見と整合した温室効果ガス排出量削減目標)のwell-below2℃(2℃を十分に下回る基準)を、2022年7月に取得しています。


 

<2025年度サステナビリティ指標>

25中計では、マテリアリティである「環境配慮事業の創出」及び「気候変動に配慮したビジネス活動の展開」の進捗を測定するサステナビリティ指標として、「環境調和製品売上高比率」、「温室効果ガス排出量削減率(スコープ1、2)」及び「電力消費量に占める再生可能エネルギー比率」を設定しました。

 

<実績と目標>

指標

★:サステナビリティ指標

範囲

基準年度

実績

目標 ()は参考値

チャレンジ目標

2021年度

2022年度

2022年度

2023年度

2025年度

2030年度

2050年度

★環境調和製品

売上高比率

グループ

61.9%

65.0%

64%

66%

70%

★温室効果ガス排出量削減率

(スコープ1、2)

グループ

2017

△29.0%

△37%

(見込)

△17.7%

△21.2%

(△42%)※1

(△59%)※1

排出量ゼロ

2021

△18.7%※2

△42%※2

★電力消費量に占める再生可能

エネルギー比率

グループ

10.9%

20%

(見込)

11.5%

12.0%

30%※3

温室効果ガス排出量削減率

(スコープ3)

グループ

2019

△1.0%

(算定中)

△4%

△6%

(△12%)※4

(△26%)※4

2021

△11%※2

△25%※2

 

※1 基準年を2021年度に変更しましたが、従来の2017年度基準に当てはめた場合の削減目標も参考値として示しています。

※2 2022年度に環境目標2030を改定し、それに伴い、2025年度目標も改定しました。

※3 環境目標2030の改定に伴い、再生可能エネルギー比率の2025年度目標値も引き上げました。

※4 基準年を2021年度に変更しましたが、従来の2019年度基準に当てはめた場合の削減目標も参考値として示しています。

 

(3) 人的資本(人材の多様性を含む。)

 ガバナンス

「(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

 リスク管理

当社グループは、「リスクマネジメント委員会」を設置し、当社グループ全体のリスク管理、内部統制、コンプライアンスについての課題を審議し、監督・推進する体制をとっています。

詳細については、「(1)サステナビリティ共通 ②リスク管理」を参照してください。

 

 戦略

■2030年のありたい姿に向けた基本方針

当社グループでは、「古河電工グループ ビジョン2030」(以下、ビジョン2030)達成のための経営上の重要課題(マテリアリティ)として、「人材・組織実行力の強化」を掲げ、ありたい姿「古河電工グループPeople Vision」に向けて、次の3点を基本方針としています。

①多様な人材を確保し、挑戦し続けようとする人の成長を支援する。

②全員が主役で誇りを持ちワクワク働ける企業グループを目指す。

③「チームで徹底的にやりきる」古河電工グループの文化を醸成する。

 


 

■25中計における人材マネジメント戦略

「経営戦略・事業戦略」の実現と「組織と人材の実行力向上」の両立と、それを支える「ガバナンスの強化」をグループ一体で推進します。

具体的な活動の実行にあたり、人と組織について、「個人」「組織」「意識・心・文化」「行動・システム」という4つの視点と、「エンゲージメント」「リーダーシップ、チームマインド」「組織風土、コミュニケーション」「能力・スキル」「組織構造デザイン、人員構成」「情報の流れ、調整・意思決定の仕組み」という

6つの要素による枠組みを設定し、活動の全体像を把握するとともに、日常の事業活動の中で、意識的に改善に向けた取り組みを行っていきます。

具体的には、従業員エンゲージメントの要素を含む人材・組織実行力調査「フルカワEサーベイ」を実施して人材・組織の状態を可視化し、結果を踏まえた改善施策を事業活動に反映するというPDSサイクルを回すことで、取り組みを推進します。


 

※ PDSサイクル:Plan Do See のサイクル

 

■エンゲージメント(個人×意識・心・文化)

基本方針②「全員が主役で誇りを持ちワクワク働ける企業グループを目指す」活動を進めるにあたり、「フルカワEサーベイ」における「持続可能なエンゲージメント」のスコアを25中計におけるサステナビリティ指標として目標を設定し、各種施策を着実に実行していきます。

エンゲージメントは、6要素のうち、他の5つの要素と密接につながっていることから、人材・組織実行力向上の総合的な指標として活動を行ないます。

 

■リーダーシップ、チームマインド(組織×意識・心・文化)

基本方針③「『チームで徹底的にやりきる』古河電工グループの文化を醸成する」するために、リーダーシップ変革の取り組みを行っています。

「チームで成果を上げる」組織を目指し、2020年に「良いチームをつくる」リーダーとなるための大事な1つの心構えと6つの行動原則「古河電工流上司心得七則(フルカワセブン)」を定めました。役員及び課長以上の管理職が周囲に「行動宣言」し日々実践するとともに、360度フィードバックによる振り返りを実施し、さらなる行動変容に繋げています。取り組みを開始して3年が経過し、リーダーの意識・行動に良い変化が見られ、チームにおけるメンバーの関係性が改善してきました。今後は、チーム活動と成果との結びつきによりフォーカスし、チーム力のさらなる強化に向けた取り組みを加速していきます。

 

■組織風土・コミュニケーション(組織×意識・心・文化)

基本方針①「多様な人材を確保し、挑戦し続けようとする人の成長を支援する」に基づき、多様な人材を受け入れ活かす環境・風土づくりを推進しています。

 

(1) ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進

D&Iを「人材・組織実行力の強化」における重要な要素と位置づけ、社長直下のHK・D&I委員会を設置し、全社を挙げて積極的な取り組みを展開しています。※ HK:「働き方改革」

 

1) 女性活躍推進

企業成長の基盤として特に意思決定層の多様性確保が重要と考え、管理職層の女性比率を25中計におけるサステナビリティ指標に設定し、取り組みを進めています。女性従業員の絶対数が少ないことを最大の課題と捉え、採用から中核人材の育成・登用まで、すべての局面でパイプラインを維持・強化する取り組みを粘り強く進めるとともに、女性自身やその上司がキャリアアップを前向きに捉えられるよう、上司のリーダーシップ変革、フィードバック強化、柔軟な働き方の整備、自律的なキャリア形成支援といった全社的な組織風土・環境整備も並行して実施しています。

これらの取り組みが評価され、女性活躍推進法に基づく優良企業「えるぼし」三段階目に認定されている他、2022年度には、女性活躍推進に優れた上場企業「なでしこ銘柄」に3度目の選定をされました。



 

 

2) 働き方改革

生産性と働きがいの向上をねらいとする「ワークスタイル変革」と、当社グループのCore Valueの体現を促進することを狙いとした「組織風土改革」の両面から、さまざまな施策を推進しています。

個人の挑戦や成長を支援し、個々人がより能力を発揮するための施策として、妊娠・出産、育児、介護などの多様なライフイベントと業務との両立を支援する制度や、各種休暇制度、フレックスタイム制やテレワーク制度等を拡充し、従業員のワークライフバランスの向上に取り組んでいます。

2007年より仕事と子育ての両立支援に積極的に取り組んでいる企業「くるみん」認定事業主として、積極的に子育て支援の充実に取り組んでいます。


 

 

3) 障がい者雇用推進

社会的責務を果たすだけでなく、企業成長の基盤として多様な人材や組織の可能性を追求するD&Iの観点から、障がい者の方に働いていただける環境の拡大を目指し、積極的な取り組みを進めています。グループ各社及び特例子会社古河ニューリーフ㈱を通じた採用活動に加え、リモートワークやバリアフリー等、職場環境の更なる改善や働き方改革を進め、より働きやすい環境を整備していきます。

 

(2) 健康経営の推進

従業員の「心と身体の健康づくり」を重要な経営課題と認識し、2017年に「古河電工グループ健康経営宣言」を制定しました。経営的な視点から戦略的に従業員の健康管理・健康づくりに取り組む「健康経営」を推進することで、従業員一人一人のwell-being向上を目指しています。

具体的には、以下のようなユニークな取り組みを行っています。

・2025年に向けた「産業保健の中期5ヵ年計画」を策定し、従業員のヘルスリテラシーや身体機能の向上等を5つの柱として健康づくり活動を推進

・従業員一人一人の健康意識を相互に高めるため、社内の挨拶には製造業として愛着のある「ご安全に!」とともに「ご健康に!」を使用

・2015年に「喫煙対策5か年計画」を策定、2020年に全社で敷地内全面禁煙を達成

これらの活動が評価され、2017年から7年連続で「健康経営優良法人」に、上位500社に顕彰される同ホワイト500にも5度にわたり認定されています。また、2023年はこれに加え、2度目となる「健康経営銘柄」にも選定されました。



 

 

(3) 理念浸透

2007年にグループ理念を定め、同理念を達成し持続的に成長していく上で、特に大事にし、より強化していきたい価値観を「Core Value」として定めています。グループ理念とCore Valueの浸透に向けたワークショップを定期的に開催するとともに、日常的な会議の場での振り返りなどを行ない、浸透に向けた取り組みを継続して実施しています。

 

■能力・スキル(個人×行動・システム)

基本方針①「多様な人材を確保し、挑戦し続けようとする人の成長を支援する」に基づき、経営戦略・事業戦略の実現と、多様な人材の挑戦と成長の支援の両面の観点から、各種施策を展開しています。

研修・トレーニングにおいては、リーダーシップ開発、「対話」による関係性構築、論理的思考に基づく問題解決スキル習得に関するプログラムに注力する他、将来の経営を担うグローバル人材育成プログラムを2006年より継続的に実施しています。

また、2021年度にキャリアサポート室を立ち上げ、年代・階層別のキャリアデザイン研修やキャリア形成に役立つセミナーの開催、個別のキャリア面談実施など、従業員の自律的キャリア形成を支援する取り組みを拡充しています。

2022年度は、これらの取り組みに加え、企業と個人、双方の成長の観点から必要とされる能力・スキルと現状とのギャップの可視化、及び能力・スキル獲得に向けた仕組みづくりといった、リスキリング施策の検討を開始しました。

 

 

■組織構造デザイン・人員構成(組織×行動・システム)

基本方針①「多様な人材を確保し、挑戦し続けようとする人の成長を支援する」に基づき、経営戦略・事業戦略に必要な体制及び人材の整備を目指し、要員管理の取り組みを展開しています。

 

(1) サクセッションプランと育成計画の立案

経営人材及び各組織の部長候補の育成を目的として、サクセッションプランと育成計画を策定し、実行しています。

経営人材については、外部アセスメントを活用した人材プールの形成や外部研修への派遣を進めるとともに、育成計画に基づくタフアサインメントを含む計画的な異動を進めています。また、社外取締役が過半を占める指名・報酬委員会において、経営人材育成の仕組みの適正性及び運用状態をモニタリングするとともに、執行役員の登用やCEOサクセッションプランに関して複数年かけて計画的に取り組んでいます。

2022年度は、サクセッションプランの対象範囲を部長層まで拡大して、事業戦略を実現するための組織のあり方・後継者育成について各部門と人事部門との定期的な議論を進めています。

 

(2) キャリア採用の強化

経営戦略・事業戦略の実現に必要な専門性の強化や複数視点からのアプローチを意図し、多様な人材のキャリア採用を積極的に行っています。

キャリア採用者数の増加に伴い、採用チャネルの拡大、採用プロセスの見直し、オンボーディングプログラムの整備を行い、入社時のアンマッチを防ぎ、早期立ち上がりと定着の支援を図っています。

 

■情報の流れ・調整・意思決定の仕組み(組織×行動・システム)

(1) 目標管理制度の運用見直しとフォロー

基本方針②「全員が主役で誇りを持ちワクワク働く」を実現するため、業績向上と挑戦する風土づくりと人材育成を目指して、2021年の人事制度改定時に、①フィードバック機会の増加と質の向上、②資格等級で定める役割期待と個々人の目標の難易度の確認、③個人目標の積み上げと組織目標の整合の確認 の3点に着目し、目標管理制度の運用を見直しました。

さらに、目標管理の実施状況のモニタリング、フィードバック実施の徹底、運用上の悩みや好事例の共有など、フォローも充実させ、個々人が主体的に高い目標に挑戦し、自身の成長と組織の貢献を感じられるよう、活動を進めています。

 

(2) 労務ガバナンスの強化

労務分野におけるリスク低減に向け、当社グループが進出している各国の法令に基づいた労務コンプライアンスの遵守状況の確認と改善指導を計画的に進めています。

 

 指標と目標

エンゲージメント(個人×意識・心・文化)

持続的なエンゲージメントのスコア

 当該サーベイのグローバル製造業基準値83を参考に、2030年度の目標を85に設定しました。

 

2022年度

2024年度

2025年度

2030年度

実績 単体

65

目標 単体 

70

75

85

目標 グループ

85

 

※Eサーベイのグループ調査は2023年度よりグループ実施。

 

<参考指標>

 

2022年度

離職率 実績 単体

3.5%

 

 

■組織風土・コミュニケーション(組織×意識・心・文化)

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進

管理職層に占める女性比率

 

2022年度

2025年度

2030年度

実績 単体

4.8% 

- 

- 

目標 単体

4.5% 

7% 

15% 

 

 

<参考指標>

 

2022年度 実績

単 体

国内グループ(※)

従業員女性比率

12.1% 

17.8% 

管理職女性比率

4.8% 

3.6% 

管理職候補女性比率

12.0% 

採用者女性比率

19.3% 

育児休業取得率

男性 取得率

72.0% 

56.2% 

男性 出産者数

75人 

男性 取得者数

54人 

男性 平均取得日数

36日 

女性 取得率

290.0% 

184.6% 

女性 出産者数

10人 

女性 取得者数

29人 

女性 平均取得日数

354日 

 

雇用区分別平均賃金

労働者平均

6,750千円 

 男性平均

7,015千円 

 女性平均

 4,850千円 

 女性÷男性

69.1% 

60.1% 

正規雇用労働者

6,845千円 

 男性平均

7,110千円 

 女性平均

4,943千円 

 女性÷男性

69.5% 

64.2% 

非正規労働者

4,704千円 

 男性平均

4,964千円 

 女性平均

2,912千円 

 女性÷男性

58.7% 

42.6% 

平均勤続年数

正社員

19.9年 

男性

20.3年 

女性

16.8年 

障がい者雇用率(2022年6月)

2.35% 

従業員 外国人比率

0.5% 

休暇取得

(正規社員)

取得率

66.0% 

付与日数

23.6日 

取得日数

15.6日 

所定外労働時間

正規社員 月平均

23.8時間

 

※グループは単体を含む。一部、関係会社で他社からの出向者の数字を含まない。

 

 

■能力・スキル(個人×行動・システム)

<参考指標>

 

2022年度

一人当たり調査教育費 単体 実績

70千円 

 

 

■組織構造デザイン・人員構成(組織×行動・システム)

キャリア採用の強化

新規採用者に占めるキャリア採用比率(管理職層、総合職、一般職) 

 

2022年度

~2030年度(※)

実績 単体

45.7% 

- 

目標 単体

30% 

30% 

 

   2023年度以降30%以上を維持する。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの業績、財務状況等は、当社グループが製品販売・サービス提供をしている様々な市場における経済状況の影響を受けます。

当社グループの業績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある重要なリスクには以下のようなものがあります。発生可能性と影響度の双方が中以上のものをリスク項目とし、主にどの視点でリスク認識したかにより、リスク項目は大きく「経営視点のリスク」と「オペレーショナル視点のリスク」に分類しております。各リスクに対する取り組みを進めるにあたり、特に経営視点のリスクについてはそれぞれ単独のリスクではなく、相互に連関したリスクであると認識しております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 


 

 

分類

リスク項目

リスクの内容

主要な取り組み

影響度

発生可能性

事業ポートフォリオ

・事業構成が経済動向や市場環境の変化に対応できないことによる、収益性・成長性の停滞・悪化

・M&Aや外部との提携後に発生した市場環境の悪化等による、当初の期待水準に満たない収益又は効果

・経営会議・取締役会などで定期的に事業ポートフォリオの構成を確認・検証し、必要に応じて見直しを討議・実施

・事業ポートフォリオの変革を推進する機関として、事業ポートフォリオ検討委員会を設置

・投下資本利益率(ROIC)と投下資本付加価値額(FVA)、売上高年平均成長率などの社内基準に基づいて、事業の継続・縮小・撤退を判断

・買収・提携の目的明確化と資産内容・リスクの事前把握

・リスクと収益性を踏まえた適切な投下資本額での買収・提携

・買収・提携後、早期に投下資本を回収

新事業の創出

・新事業の企画・開発と営業との連携不足による、新事業創出の遅延・中止

・新事業創出の専門組織を営業組織に統合し、テーマ分野における顧客との共創を加速

気候変動(カーボンニュートラル)

・移行リスクとして、各国の温室効果ガス排出目標・政策による炭素税による製造コストや材料調達コストの上昇

・気候変動対策が不十分であることによるサプライチェーン、製品・サービス・労働市場からの排除

・気候変動による洪水・渇水リスクの未認識による工場操業の停止

・環境ビジョン2050を策定、温室効果ガス削減についてチャレンジ目標ゼロを設定、また、環境目標2030を引き上げ、再設定

・気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同し、シナリオ分析を実施

・日光地区の水力発電利用に加え、国内外での太陽光発電の設置と購入電力の再生可能エネルギーへの転換

・気候変動による洪水・渇水リスクの把握と対応策の策定

人材・組織

・専門性を持つ人材や事業ポートフォリオマネジメントができる人材の不足により、新規事業が創出できない

・企業の持続的な成長の原動力である従業員エンゲージメントが高まらない

・人材獲得や定着、育成が不十分なことによる人材の質的量的な不足

・「古河電工グループPeople Vision」に基づき、多様な人材の確保と個々人の成長支援、従業員エンゲージメント向上、チームで成果を上げる文化の醸成の3つを柱に、「人材・組織実行力」強化施策を実施

・働き方改革を含むダイバーシティ&インクルージョン活動の推進

・リーダーシップ変革活動の継続と進化

・経営・事業戦略の実現と個々人の成長の両立を企図した各種人材マネジメント(採用・配置・育成)の取組み強化

・従業員エンゲージメントの要素を含む人材・組織実行力調査によるモニタリング

地域戦略、国際政治経済

・ロシア・ウクライナ情勢の影響拡大に伴う、国家群間での経済制裁の影響等によるサプライチェーンの寸断。特定の購入先からの供給依存による供給不足、供給停止

・米中貿易摩擦激化によるグローバル分業体制の崩壊

・世界各地域における政情不安による事業継続不能、経済安全保障規制への対応不備による輸出入不全

・サプライチェーンの多重化(購入先の複数化、製造拠点の分散)

・在庫数量の適正化

・長期契約による安定調達

・情報の入手、解析、迅速な対応

・法令・規則の遵守

・国際物流の主要ルートにおける潜在リスクの把握

人権・労働慣行

・企業としての人権尊重に対する責任を果たせず、潜在的または実際に人権への負の影響が生じることに伴う、サプライチェーン、製品・サービス・労働市場からの排除

・国連グローバル・コンパクト10原則、当社グループ人権方針に基づき、人権を尊重した事業活動を推進

・CSR調達ガイドラインの周知によりサプライチェーン上の人権リスクへの対応を強化

・当社グループ及び単体の主要取引先向けの人権デューディリジェンス(人権DD)を継続実施

 

 

分類

リスク項目

リスクの内容

主要な取り組み

影響度

発生可能性

 

災害・感染症等の影響

・異常気象によって起きる大型台風等による建物被害や洪水による工場操業の停止

・大規模な地震や津波、火災、感染症大流行等による納入先、調達先のサプライチェーンの寸断

・従業員等の大規模クラスター発生による事業継続不能

・ISO22301による事業継続マネジメント(BCM)を促進

・事業継続計画の策定、ブラッシュアップ、安否確認システムによる従業員の安全確保

・耐震性と安定した通信環境が確保された施設におけるデータセンタの設置

・サプライチェーンの多重化

[新型コロナウイルスへの対応]

・リモート等も活用し顧客との信頼関係を維持強化

・納入先、調達先の与信調査、製造拠点調査

・従業員等の在宅勤務、会議、イベントのリモート活用

・来訪者受入・会食等に関するガイドライン、発熱等体調不良時の管理報告基準等の策定

品質管理

・製品及びサービスでの欠陥の発生等により、将来に予期せぬ損失補償の発生(特に、電力ケーブル、通信ケーブル、自動車用部品等の関連製品で、欠陥の内容により多額な追加コストの発生)

・お客様の期待する品質の実現を目指し、欠陥の未然防止を図る取り組み、並びに問題解決力を向上する活動を継続

・品質管理に関するガイドラインを作成し、それに沿って品質マネジメントシステムを強化

・損害賠償請求に備える為、生産物賠償責任保険や生産物回収費用保険等に加入

法令違反等(注)

・事業展開する国内外の法令や規則に関するコンプライアンス違反

・事業展開する上で適用される国内外の法令改正、規制当局から受ける規制強化や法令解釈の厳格化による、事業制限や費用の増加等

・法令違反等の事象が生じた場合の、各規制当局からの処分・制裁、取引先等関係者からの損害賠償請求、社会的評価の悪化等

・禁輸国への輸出による行政処分、外国為替法違反、米中関係悪化による米国及び中国における輸出管理規則・法令の域外適用リスク

・海外拠点での不適切会計や粉飾決算

・各国の国内及び国際間取引に係る租税制度の変更や移転価格税制などによる税金コストの発生

・各国の税務当局との見解の相違等による追加の税金コストの発生

・当社グループ理念、Core Value、CSR行動規範を倫理法令遵守の基本とするコンプライアンス体制を構築

・毎年定期的にコンプライアンス自主点検を行うとともに、コンプライアンスセミナーやEラーニングを通じて、競争法上の規制や贈収賄防止等のテーマについて当社グループ内への教育を実施

・安全保障貿易管理や関税等に関して、関連する部署への教育及び内部監査の実施。海外輸出管理法令の専門弁護士との提携

・東南アジアや中国における地域統括会社により、当該地域内の拠点における調達、経理、人事等の業務統括の実施

・データアナリティクスを活用した財務分析による統制の実施

・税務に関する基本方針を定めることによる税務コンプライアンスに対する意識向上

・各国における税法の遵守や税制や税務行政の変更への対応策の実行

原料及び燃料価格の変動

・需給関係や投機的取引、世界情勢等の変動による、銅・アルミ等の非鉄金属やポリエチレン等合成樹脂及び燃料である重油やLPG、LNG価格の急激な変動

・市況を反映した非鉄金属、合成樹脂、燃料価格等の製品販売価格への転嫁

・先物取引を利用したヘッジ

・生産活動におけるコスト低減や省エネ化

・複数購買化による価格変動リスクの分散

 

 

分類

リスク項目

リスクの内容

主要な取り組み

影響度

発生可能性

 

情報システム、情報セキュリティ

・サイバー攻撃や不正アクセス等の外的要因や人為的要因等に起因する情報流出による不正使用、システム障害

・レガシーシステム利用によるセキュリティリスクの増加

・情報セキュリティ基本方針のもと、グループ全体へのセキュリティガバナンス強化、教育・支援活動

・ゼロトラスト視点でのネットワークセキュリティ強化等の対策による情報資産の保護

・レガシーシステム更新の中期的な取り組み実施

為替・金利・株価変動

・輸出入等の国外取引、外貨建て債権・債務の円換算金額の変動

・在外連結子会社等の現地通貨建の個別財務諸表の円換算金額の変動

(米ドルに対し1円円高につき年間で約3億円の減益を予想)

・金利上昇による資金調達コストの増加

(当連結会計年度末の有利子負債残高は3,238億円)

・年金資産の時価減少による、会社からの追加的な資金拠出の発生と退職給付費用の増加

・先物為替予約等の活用

・外貨建て取引額のバランス化

・長期固定金利を中心とした資金調達により、金利上昇による資金調達コストの増加を抑制

・キャッシュマネジメントシステム(CMS)を通じた資金効率改善や、財務体質の改善方針のもと、有利子負債を削減

・運用リスク低減を考慮した運用資産のポートフォリオの構築

研究開発・

知的財産

・技術開発の遅れ、他社新技術による代替製品の台頭

・研究開発データの改ざんによる訴訟、認証のはく奪、会社、製品の評判低下

・知的財産における第三者の権利侵害に関する交渉や係争、第三者との不十分な技術契約に伴う紛争により、事業における直接的な損害や機会損失が発生

・技術の流出により、企業競争力が低下

・高い専門性を持つ人材の確保、育成

・社外との共創により、技術開発の優位性を確保

・設計開発段階から知的財産権を取得、他社特許調査や他社による権利行使抑制のカウンター特許出願

・技術資産の創出と保全、知的財産関係の法令順守のための教育

従業員の安全・衛生

・労働災害、交通事故、疾病等による、従業員の死亡、就業不可、障害の残存、長期休業、体調不良

・製造設備への投資の意思決定の遅れによる、設備の老朽化による故障に伴う災害

・安全推進活動の3本柱(安全人間化教育による安全知識の付与と実践、本質安全化活動による設備の安全化推進、安全管理レベルの向上による安全組織の構築)の確実な実践

・産業医を中心とした産業保健体制を維持し、健診結果のフォローや指導・教育による従業員のヘルスリテラシー向上施策の実施

・産業保健中期計画に基づく年度ごとの衛生管理指針により、喫煙対策・メタボリック対策・メンタルヘルス対策・身体機能向上施策、熱中症対策の各拠点での展開

・感染症の予防対策の徹底と、産業医判断による発熱等の体調不良者への対応の徹底

・設備保全レベルの向上と維持更新計画の適正化

 

 

分類

リスク項目

リスクの内容

主要な取り組み

影響度

発生可能性

 

工事プロジェクトの採算悪化

(国内外共通)

・工事途中での設計変更、建設資材及び労務費の高騰

・ケーブル敷設工事における災害、疫病の発生、海洋条件や台風等天候の影響による追加費用の発生

・重大な瑕疵や事故の発生、それに伴う工期遅れが生じた場合の、修復費用や損害賠償金の支払、長期間に渡る瑕疵補修保証の延長

・コンソーシアムを組成した場合におけるパートナー企業のプロジェクト遂行能力の不足、分担業務の不履行などが生じた場合、予想外の大幅な費用負担の増大、追加費用の発生

(海外)

・海外工事案件における当該国での法規制の変更や政情不安、為替レートの変動

・物品・工事それぞれの責任分解点・仕様と保証範囲を厳格に見極め、プロジェクト固有のリスク分析を行い、合理的な条件での契約を締結する活動を強化

・遂行段階においては、プロジェクトの進捗、採算状況等を適切にモニタリングすることによるリスクの低減

・建設工事保険等の付保によるリスクヘッジ

・コンソーシアム組成時の契約における責任関係の明確化、パートナー所管を含む工事プロジェクト全体の工事進捗管理の徹底

環境汚染・

環境規制

・製造工程における有害物質の漏洩による環境保全上の問題の発生や、環境関連法令の改正等による新たな設備投資や対策費用の発生

・土地の使用・処分等に対する制限

・過去の製造状況等に伴う土壌汚染やアスベスト・PCB等の有害物質の処理について、関連法規制の強化等による追加の対策費用の発生

・世界各国におけるRoHS指令やREACH規制等の製品含有化学物質に関わる規制に違反した場合の製品リコール、生産・販売中止などの損失・費用の発生

・当社グループの生産拠点において、環境マネジメントシステム(ISO14001)に基づき、事業活動に関連する各種環境関連法規制の順守と保全対策等の徹底

・製品含有化学物質に関わる規制について、CSR調達ガイドライン、グリーン調達ガイドラインの発行とパートナーへの遵守状況確認、及び規制の強化に対応した定期的な当社グループ内調査の実施

固定資産の減損

・市況や事業環境の悪化による収益性低下による固定資産の減損

・投資委員会や経営会議等における投資計画の適切性に関する審議

・投資後の定期的なモニタリング及びフォローアップ

資金管理

(資金調達)

・金融環境悪化により、資金調達困難に陥る可能性と資金調達条件の悪化

・当社の財務状況悪化に伴う与信力低下により、資金調達に制約が発生する可能性と資金調達条件の悪化

(与信管理)

・取引先の財政状態や資金繰りの悪化に伴い、売掛債権が回収困難となることによる貸倒損失の発生

・多様な資金調達手段の確保と、返済時期の分散化

・コミットメントラインの設定と一定水準の手元資金の確保

・資金調達コスト低減とのバランスをとりつつ長期借入割合を増加

・財務体質の改善

・取引先各社の与信状況の定期的チェックと、グループ関係会社内での与信情報共有等により、売掛金回収事故と回収遅延リスク最小化

開示・ブランド

・適切な情報開示がなされないことによる、信頼の低下

・一貫性あるコミュニケーションの不足による認知機会や、イメージ向上機会の損失

・経営に大きな影響を及ぼすと判断される情報の一元的な把握・管理や、規模・性質に応じた開示手段の選択等、適切な管理体制の構築と適時適切な情報の開示

・統一的なメッセージの複数メディア活用による発信強化

・ブランド統一のためのコンセプト、スローガン、ロゴを検討

 

(注)当社は、自動車用部品カルテルに関し、ブラジル競争法当局の調査を受けております。また、米国での一連の自動車用部品カルテルによる損害の賠償を求める集団訴訟などにおいて、当社や当社連結子会社がその被告となっております。このほか、自動車メーカーなどの顧客に対して、当社または当社関係会社が民事賠償金を支払う可能性があります。なお、これまで複数の原告・顧客等との間で和解が成立し、上記継続案件の当社決算への潜在的な金額的インパクトは大きくないものと認識しております。今後も、これまでと同様、顧問弁護士とも連携しながら、早期解決、損失の最小化に向けて対応してまいります。また、上記継続案件はいずれも自動車用部品カルテルを含む過去の競争法違反行為に関するものであり、現時点においてはこれらの行為は行われておりません。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 業績

当期の世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う社会経済活動の制限が緩和され、需要と供給の両面で景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、世界的なインフレとその抑制のための金融引締め強化や地政学的な緊張等の影響により、先行きが不透明な経済環境が続きました。

米国では、物価高止まりによる消費下押し圧力や大幅利上げ継続による住宅投資減少、さらには急激な金融引締めによる一部金融機関の経営への悪影響が生じたものの、雇用環境が個人消費を下支えし、底堅く推移しました。欧州では、新型コロナウイルス感染拡大防止のための規制が緩和されたことによる消費の持ち直しや自動車生産に回復の兆し等が見られたものの、ロシア・ウクライナ情勢の影響で加速したエネルギー価格高騰・供給制約による物価上昇が継続し、景気は減速基調で推移しました。中国では、経済成長重視の政策による下支えがあったものの、ゼロコロナ政策下での長期間に亘る厳格な行動制限や制限緩和後の感染急拡大、不動産市況低迷等が影響し、景気の回復は限定的なものとなりました。

わが国の経済は、社会経済活動の正常化が進み、緩やかな持ち直しが続いているものの、円安を背景とする物価高や原油・天然ガス、各種原材料の供給不安及び価格高騰等の影響が下押し要因となり、景気の本格的な回復には至りませんでした。

このような環境の下、当社グループでは、2030年におけるありたい姿を描き、そこへ向けての時間軸と領域を明確にした「古河電工グループ ビジョン2030」(以下、「ビジョン2030」という)からバックキャストして2025年に目指す姿の達成を見据えて策定した中期経営計画「Road to Vision2030-変革と挑戦-」(以下、「25中計」という)に基づき、「資本効率重視による既存事業の収益最大化」及び「開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備」を推進してまいりました。また、これらを下支えする「ESG経営の基盤強化」に取り組んでまいりました。

「資本効率重視による既存事業の収益最大化」については、成長性と収益性の指標を用いて事業の位置付けを可視化し、その結果に応じて経営資源を成長が見込まれる分野に集中的に配分することにより、資本効率性を意識した経営管理を推進するとともに事業ポートフォリオの見直しを図ってまいりました。この取組みにおいて、当社連結子会社である東京特殊電線株式会社の位置付けの検討を行い、昨年12月に当社所有の同社株式全てを売却いたしました。さらに、情報通信ソリューション事業においては、高付加価値製品の拡販や人員の確保及び育成強化による工場生産性の改善に注力してまいりました。また、自動車部品事業においては、コスト競争力があり変化に強い生産・供給体制の確立を推進し、加えてDX(Digital Transformation)の活用を通じた業務プロセス改善の取組みにより原価低減を図ってまいりました。

「開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備」については、カーボンニュートラルの実現に貢献する新事業創出として化石資源によらないグリーンLPガス*の合成技術の開発を進めてまいりました。本取組みを実用化に向けて加速するために昨年9月には「地産地承*エネルギープロジェクトチーム」を新設いたしました。また、次世代のエネルギー源として期待される核融合*発電の開発を進める英国の顧客に対して必要とされる高温超電導線材を供給する契約を締結いたしました。

*グリーンLPガス…バイオガス(家畜の排泄物や生ゴミなどを発酵させた際に発生するメタンガスと二酸化炭素の混合ガス)を原料に生成したLPガスのこと。

*地産地承…地域の資源や文化を次世代に承継すること。

*核融合…強力な超電導マグネットで高温プラズマ(数億度)を閉じ込め、核融合反応でエネルギーを発生させる。核融合の燃料の元は海水(重水素(2H))であり、二酸化炭素(CO2)を排出せずに発電可能で環境負荷も低いことから、核融合による発電は次世代のエネルギー源として期待されている。

「ESG経営の基盤強化」については、脱炭素社会への貢献と水・資源循環型社会への貢献等を掲げた「古河電工グループ環境目標2030」(以下、「環境目標2030」という)の達成に取り組んでおり、そこに定める温室効果ガス排出量削減目標は、SBTi(Science Based Targets initiative)によりSBT WB2℃*の認定を取得いたしました。なお、カーボンニュートラル実現への取組みを加速するため、昨年12月に環境目標2030において設定した2030年度温室効果ガス排出量削減率をより厳しい目標値に改定いたしました。さらに、本目標値をもってSBT1.5℃認定の申請をいたしました。製造時における省エネルギー化、製品設計の見直し、水力発電や太陽光発電の活用等により目標達成を目指してまいります。また、「人材・組織実行力の強化」に継続的に取り組んでおり、人と組織の現状と改善施策の効果をモニタリングするため昨年7月に当社及び国内外のグループ会社の従業員を対象とした従業員エンゲージメントの要素を含む人材・組織実行力調査を実施し、その後の活動計画に活かしております。本年3月には、女性活躍推進に優れた企業として「なでしこ銘柄」に3度目の選定を受けました。また、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組む企業として「健康経営銘柄2023」にも選定されました。加えて、特に優良な健康経営を実践している企業として「健康経営優良法人2023(ホワイト500)」に5度目の認定を受けました。さらに、2021年度にガバナンスの4つ目のサブ・マテリアリティとして追加した「人権・労働慣行」については、当社グループの管理職を対象とした人権に関する教育を人権デューディリジェンスの一環として実施するとともに、人権に関する社外の通報窓口を活用し、客観性・透明性をもった救済メカニズムの構築に努めてまいりました。

*WB2℃…well-below 2℃。世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準に抑える温室効果ガス削減目標。

当期の業績につきましては、情報通信ソリューション事業における北米での光ファイバ等の増収や電装エレクトロニクス事業におけるワイヤハーネス等の自動車部品の増収、また為替や銅地金価格高騰の影響により、グループ全体の売上は増加しました。損益面では、原燃料価格の高騰等がありましたが、価格転嫁による販売価格適正化の進捗や円安の進行等により増益となりました。

これらの結果、連結売上高は1兆663億円前期比14.6%増)、連結営業利益は154億円前期比35.1%増)、連結経常利益は196億円前期比0.1%減)となりました。連結子会社株式などの売却による投資有価証券売却益153億円などを特別利益に、関係会社事業損失23億円などを特別損失として計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は179億円前期比77.4%増)となりました。なお、海外売上高は5,490億円(前期比17.0%増)で、海外売上高比率は51.5%(前期比1.1ポイント増)となりました。

単独の業績につきましては、売上高は3,058億円前期比4.6%増)、営業損失は18億円(前期比23億円悪化)、経常利益は87億円前期比34.4%増)、当期純利益は252億円(前期比258億円改善)となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

〔インフラ〕

情報通信ソリューション事業では、半導体の調達難に伴う生産数量減による国内ネットワーク関連製品の減収、ロシア・ウクライナ情勢に伴う減収の影響が一部あったものの、北米において光ファイバ等の需要が堅調に推移したことや工場生産性改善により増収となりました。また、原燃料価格の高騰が継続したものの、高騰分の価格転嫁の進捗、製品ミックスの改善や為替の影響などにより増益となりました。

エネルギーインフラ事業では、中国での新型コロナウイルス感染拡大による顧客工事遅延の影響で中国子会社の売上は減少したものの、国内においては地中線案件が堅調に推移したことや海底線・送水管案件のケーブル出荷・布設工事による売上を順調に計上したこと、加えて原燃料価格高騰分の転嫁を進めたことにより、増収増益となりました。

これらの結果、当セグメントの連結売上高は3,239億円前期比9.1%増)、連結営業利益は86億円(前期比66.1%増)となりました。また、単独売上高は898億円(前期比5.8%増)となりました。

情報通信ソリューション事業では、引き続き北米の光ファイバケーブル生産性向上や高付加価値製品の拡販を進め収益の増加を図るとともに、中南米において展開している、光ファイバケーブル等の製品販売だけでなく、ネットワークの設計や運用支援、アフターサービスなどをトータルで提供するネットワーキングシステム事業について、北米、欧州、アジアへの拡大を加速してまいります。さらに、半導体調達難の国内ネットワーク関連製品への影響が継続する中、半導体の戦略在庫の確保や長期先行発注、新機種への切替えにより調達難の影響を低減する施策を進めてまいります。エネルギーインフラ事業では、国内超高圧地中線、太陽光発電や洋上風力発電等の再生可能エネルギー向け海底線及び地中線など市場拡大が見込まれる分野に注力し、ケーブル製造能力や工事施工能力の増強を図るとともに、軽量かつ柔軟性に優れ建設工事の省力化・効率化に貢献するアルミCVケーブルなどの機能線及び送配電部品の拡販を進め、収益の拡大を目指してまいります。

 

 

〔電装エレクトロニクス〕

自動車部品事業では、原燃料等の価格高騰の継続、新型コロナウイルスの感染拡大による中国でのロックダウンや顧客の生産計画変更による人件費などの増加があったものの、製造工程における再生可能エネルギーの利用及び軽量化によるCO2削減への貢献など、環境に配慮した製品であるアルミワイヤハーネスの販売強化や、原燃料費増加に対する価格転嫁の進捗、さらに2021年度において東南アジア一部拠点のロックダウンに伴い発生した緊急輸送費が当期は減少したこともあり、増収増益となりました。

電装エレクトロニクス材料事業では、通信インフラ関連やパワー半導体向け製品の堅調な需要を着実に取り込んだことや銅地金価格高騰により増収となったものの、原燃料等の価格高騰の影響や下期における車載及びエレクトロニクス関連製品の需要減少があり、減益となりました。

これらの結果、当セグメントの連結売上高は6,103億円前期比21.9%増)、連結営業利益は47億円(前期比46億円増)となりました。また、単独売上高は1,527億円(前期比4.2%増)となりました。

自動車部品事業では、アルミワイヤハーネスの更なる拡販を推進するとともに、安全・安心で環境にやさしい高付加価値製品の創出に取り組んでまいります。また、原燃料価格の更なる高騰を受け、価格転嫁による販売価格の適正化を進めてまいります。さらに、顧客の生産計画の変更にも柔軟に対応できる体制を整えるとともに、DXの活用等による業務プロセスの改善を推進し、原価低減に努めてまいります。電装エレクトロニクス材料事業では、原燃料価格高騰に対応した更なる価格転嫁や、グローバル通信ネットワークを支える光海底ケーブル用及びパワー半導体用無酸素銅条の拡販、製品ミックスの改善を進めてまいります。

 

〔機能製品〕

機能製品事業では、原燃料価格等の高騰に伴う価格転嫁は進捗しているものの、主に下期以降の世界的なスマートフォンやパソコン、データセンタの需要の減少に伴うサプライチェーン上の在庫調整が、半導体製造用テープ、ハードディスクドライブ用アルミブランク材、電解銅箔の売上に影響し、減収減益となりました。

これらの結果、当セグメントの連結売上高は1,265億円前期比2.7%減)、連結営業利益は42億円前期比44.9%減)となりました。また、単独売上高は601億円(前期比2.1%増)となりました。

機能製品事業では、顧客とのコミュニケーション強化を通じてサプライチェーン上の在庫状況の把握に努め、市況の急激な変化にも柔軟に対応できる生産体制の確立や、市場・顧客のニーズに沿ってより一層他社と差別化した新製品の提案・開発を行い、収益の拡大を図ってまいります。さらに、原燃料価格高騰に対する価格転嫁を引き続き推進し、収益の確保に努めてまいります。

なお、事業ポートフォリオ見直しの一環として、昨年12月に当社連結子会社の東京特殊電線株式会社の全株式を売却いたしました。これにより、同社は当社の連結子会社から外れておりますが、同社との取引関係を従来どおり継続してまいります。

 

〔サービス・開発等〕

水力発電、新製品の研究開発、不動産の賃貸、各種業務受託等による当社グループ各事業のサポート等を行っております。なお、当社日光事業所においては、必要な電力のほとんどを再生可能エネルギー(水力発電)で賄っており、本水力発電は25中計におけるサステナビリティ目標値「電力消費量に占める再生可能エネルギー比率30%」の達成に向け、その一端を担っております。

当セグメントの連結売上高は317億円前期比8.0%減)、連結営業損失は21億円(前期比7億円悪化)となりました。また、単独売上高は33億円(前期比48.0%増)となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、520億円(前連結会計年度比△157億円)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益+303億円、減価償却費+391億円、有価証券及び投資有価証券売却損益(△は益)△153億円、仕入債務の増減額(△は減少)△87億円などにより+365億円(前連結会計年度比+498億円)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出△359億円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入+119億円などにより△217億円(前連結会計年度比+184億円)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、コマーシャル・ペーパーの純増減額△260億円や長期借入れによる収入+106億円、長期借入金の返済による支出△130億円、配当金の支払額△42億円などにより△345億円(前連結会計年度比△695億円)となりました。

 

(生産、受注及び販売の状況)

当社グループの生産・販売品目は、広範かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額または、数量で示すことはしておりません。

 

(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)

(1) 財政状態の分析

当連結会計年度末の資産の部では、合計が前連結会計年度末に比べ10億円減少して9,348億円となりました。棚卸資産が82億円、有形固定資産が91億円、投資有価証券が42億円増加しましたが、現金及び預金が177億円減少しました。

流動資産から流動負債を差し引いた運転資本は、前連結会計年度末に比べ175億円減少して1,058億円となりました。

有形・無形固定資産は、資本的支出で438億円の増加、減価償却で391億円の減少のほか、除売却による減少等により変動しております。

負債の部では、合計が前連結会計年度末に比べ180億円減少して6,038億円となりました。借入金、社債、コマーシャル・ペーパーを含む有利子負債が3,238億円と前連結会計年度末比で183億円減少しました。

純資産の部では、合計が前連結会計年度末に比べ169億円増加して3,310億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益の増加等により利益剰余金が145億円増加し、その他の包括利益累計額が98億円増加しました。その結果、自己資本比率は、前連結会計年度末比2.7ポイント上昇し32.5%となりました。

キャッシュ・フローの概況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要)(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(2) 経営成績の分析

当連結会計年度の連結売上高は、前連結会計年度比14.6%増1兆663億円、連結営業利益は、前連結会計年度比35.1%増の154億円となりました。情報通信ソリューション事業における北米での光ファイバ等の増収や電装エレクトロニクス事業におけるワイヤハーネス等の自動車部品の増収、また為替や銅地金価格高騰の影響により、グループ全体の売上は増加しました。損益面では、原燃料価格の高騰等がありましたが、価格転嫁による販売価格適正化の進捗や円安の進行等により増益となりました。

営業外損益では、持分法による投資損益が31億円悪化しました。この結果、連結経常利益は前連結会計年度比0.1%減196億円となりました。

特別損益は、107億円の利益(純額)となりました。連結子会社株式などの売却による投資有価証券売却益153億円などを特別利益に、関係会社事業損失23億円などを特別損失として計上いたしました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比77.4%増179億円となりました。

なお、セグメント別の概況は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要)(1)業績」に記載しております。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループでは、事業活動の継続及び発展のための成長投資や運転資金需要に対して、営業活動を通じて獲得したキャッシュ・フローの他、金融機関からの借入、社債やコマーシャル・ペーパーの発行等の負債性調達や、資産の流動化等により、資金調達を実施しております。具体的な調達手段については、市場環境や当社のバランスシート状況を踏まえ、経済合理性や財務構造の安定化の観点から判断しております。

また、日本、中国及びタイにおいては、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、効率的な資金活用に努めております。

手元流動性については、手元現預金とコミットメントラインにより、短期的な支払リスクをカバー出来うる水準を確保しております。

 

(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、2022年11月8日開催の取締役会において、The Carlyle Groupに属する投資ファンドであり、ケイマン諸島法に基づき2021年6月2日に設立された特例リミテッド・パートナーシップであるTTC Holdings, L.P.がその株式の100%を保有するTTCホールディングス株式会社(以下、「TTC」という)との間で、TTCが当社の連結子会社である東京特殊電線株式会社(以下、「東特」という)を非公開化するための取引の一環として行う、TTCによる東特の普通株式(以下、「東特株式」という)に対する公開買付け(以下、「本公開買付け」という)に対し、当社が保有する東特株式の全てについて本公開買付けに応募すること等を定めた応募契約(以下、「本応募契約」という)を締結することを決議し、同日付で本応募契約を締結しました。

その後、本応募契約に基づき本公開買付けに応募し、本公開買付けは2022年12月21日をもって成立しました。なお、本公開買付けの決済の開始日である2022年12月28日付で、東特は当社の連結範囲から除外されました。

詳細は、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等][注記事項](企業結合等関係)」をご参照ください。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、新商品、新技術開発による新規事業の創出と展開を図るべく、国内の当社研究所等(サステナブルテクノロジー研究所、自動車・エレクトロニクス研究所、情報通信・エネルギー研究所、インキュベーター統括部、デジタルイノベーションセンター)及び海外の OFS Laboratories, LLC (米国)、 Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)、SuperPower Inc.(米国)、 Silicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric (米国)を中心とした研究体制を有し、積極的に研究開発へ取り組んでおります。なお、2023年4月1日付で、「マテリアル研究所」を新設し、「自動車・エレクトロニクス研究所」を「エレクトロニクス研究所」に、「情報通信・エネルギー研究所」を「フォトニクス研究所」に、「デジタルイノベーションセンター」を「デジタルトランスフォーメーション&イノベーションセンター」に名称を変更し、また、「インキュベーター統括部」を廃止しその機能を事業部門・各研究所へ移管しております。

 

当連結会計年度における研究開発費は、前連結会計年度比12.3%増23,324百万円とし、各セグメントの主な成果等は以下のとおりであります。

 

(1)インフラ

次世代の大容量光デジタルコヒーレント通信向け超小型狭線幅制御回路付信号光源(Nano-ITLA)の製品化を進めております。本製品は、大幅な小型化と低消費電力化に対応し、かつ超高速光通信に用いられる多値変調の光デジタルコヒーレント通信に要求される狭線幅の特性を有しております。この技術は、Beyond5G時代の急激なトラフィックの増大を見据えて世界的に開発が進む400Gbps超の光デジタルコヒーレント通信を支えるキーデバイスです。引き続き次世代光ファイバ通信システムの高速化・大容量化・長距離化を支える技術開発を進め、人々の生活利便性の向上に大きく貢献してまいります。

②情報通信サービスの普及にともないデータセンタにおける情報処理量が飛躍的に増大しており、次世代ネットワークスイッチ装置の実現が求められております。この次世代ネットワークスイッチ装置ではCPO(Co-Packaged Optics)と呼ばれる光電融合デバイスを用いた新しい実装形態が必要になると見込まれていることから、CPO用外部光源の製品開発を行っており、サンプルを出荷しております。今後も次世代データセンタ向けの光部品提供により大容量情報通信と高効率エネルギー社会の実現に貢献してまいります。

光ファイバ及び光ファイバケーブルについては、長距離用途におけるさらなる高性能化・低コスト化を進めております。総務省から委託を受けている「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」の成果として、マルチコアファイバによる光海底ケーブルの大容量化を実現する基盤技術を開発・実証しました。国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー)) からは、「マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発」、「Beyond5G超大容量無線通信を支える空間多重光ネットワーク・ノード技術の研究開発」及び「Beyond5G時代に向けた空間モード制御光伝送基盤技術の研究開発」を受託し、将来の超大容量光通信における空間多重技術の長距離幹線系・加入者アクセス系への適用に向けて、光ファイバ及び光ファイバケーブルの製造技術やこれらの性能検証、光ファイバの接続技術並びにマルチコア光増幅技術の向上にむけた検証を継続、推進しております。一方、データセンタ用途や大都市ネットワーク用途で光ファイバネットワークの大容量化・多心化が求められていることから、省スペース化が可能な「ローラブルリボンを搭載した光ファイバケーブル」のさらなる高密度化も引き続き推し進めております。

加工用高出力レーザの製品群として、高輝度青色レーザダイオードモジュールを搭載し、青色レーザ出力1kWを有するBlue-IRハイブリッドレーザ「BRACE®X」を販売しております。本製品は、電動モビリティ向け主要部品であるリチウムイオン電池、モータ、インバータ等の導体となる銅の溶接工程の生産性向上(品質・加工速度の向上)や製造工程の省人化に貢献することができます。これまで、光反射率が極めて高い純銅は難加工素材とされておりましたが、本製品は銅加工において高水準の品質・深度・加工速度を実現しました。さらに、溶接品質管理のためのモニタリング技術等の開発も引き続き進めております。加えて、最先端のレーザ加工装置を設置した加工ラボCALL(Chubu Advanced Laser processing Laboratory)を愛知県豊田市に開設いたしました。レーザ加工技術の向上を図るとともに、顧客へのレーザ溶接ソリューションの提案やパートナーとの共創を進められる環境を構築しました。これらの研究開発により、自動車や船舶における難接合材の溶接等、高度な加工技術でものづくり競争力を支援し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

再生可能エネルギーにより発電した電力の安定供給に貢献するため、古河電池株式会社とバイポーラ型蓄電池の共同開発を推進しております。本製品は、シンプルな構造のため電池の高容量化が実現でき、稼働時の空調コストを抑制できる高い経済性を持ち合わせた電力貯蔵用蓄電池です。2023年2月から当社平塚事業所においてバイポーラ型鉛蓄電池のシステム運用時における性能評価を中心とした実証実験を開始しました。また、再生可能エネルギー及びEVの大量導入に伴う課題へ対応するため、当社横浜事業所のコンテナ型蓄電システムをリニューアルし、太陽光発電及びEV急速充放電器を直流で接続した実証環境を構築しました。本実証環境において当社優位技術の開発を行うとともに、パートナーとの共創フィールドとして活用してまいります。

 

  以上、当該事業に係る研究開発費は11,944百万円であります

 

(2)電装エレクトロニクス

自動車用部品においては、カーボンニュートラルに向けた電動車市場の拡大に対応して、高圧ハーネス・高圧部品の開発に注力しております。電動車用コネクタ・電線については、次世代製品の開発や表面処理を含む端子材料の開発も進めております。自動車用ワイヤハーネスについては、車両軽量化へのニーズに応えるため、当社独自のα端子を活用し、アルミ電線のさらなる適用部位拡大を進めております。また、情報/エネルギー/モビリティの融合領域の新事業創出により、多様化するクルマの進化に貢献できる技術・製品の開発にも取り組んでおります。

BSS®(鉛バッテリ状態検知センサ)は、過充電抑制による燃費向上及び過放電によるバッテリ上がり防止等に貢献しており、拡販及び受注活動を進めております。また、今後予想される車載電子機器の増加やソフトウェアアップデート、自動車の電動化・自動運転化に向けて、鉛バッテリ電源を確実に提供し、安全・安心・快適な社会の実現に貢献できる製品開発を行っております。

雨、雪等の環境下でも安定して物体検知可能な車載用の24GHz帯周辺監視レーダの量産を行っております。先進安全運転支援システム高度化に適応するため、後方監視だけでなく前方監視まで機能を拡張し、体積と重量をそれぞれ約30%削減した次世代品の量産を開始しました。また汚れやホコリに強い特長を活かして建機・農機等向け周辺監視レーダの量産を開始しております。今後も、小型・高性能・高機能化を進めてまいります。

新しいワイヤレス電力伝送方法として期待され、軽量かつ金属異物を加熱し難い特徴を有する電界共振結合方式を用いて、世界トップクラスとなる9.1kWの電力伝送に成功しております。本方式を採用した電動キックボードのワイヤレス充電ポートシステムを株式会社大林組とともに開発し、実証実験を行っております。引き続き、小型・軽量化と大電力・高効率化を実現させ、モビリティの電動化に貢献してまいります。

シミュレーション技術及び分析技術を有効活用し、研究開発の効率化を推進しております。ワイヤハーネスなどの自動車用部品は変形・応力シミュレーション、電子機器開発は振動・熱流体・電磁界シミュレーションを活用したほか、車載ソフト用のアルゴリズム構築についてのモデルベース開発等を行いました。先端分析装置や手法を活用した解析を行っており、日本顕微鏡学会や日本銅学会において講演を行いました。Furukawa Electric Institute of Technology Ltd. (ハンガリー)では、先進的なシミュレーション技術開発に取り組んでおり、触媒構造解析のための分子動力学シミュレーションを実施しました。引き続き、シミュレーション技術及び分析技術を活用し、メカニズムの解明や設計の最適化に加え、試作代替による環境負荷低減への取組みを推進してまいります。

高強度・高導電な銅合金及び貴金属めっきの開発を引き続き行っております。本開発により、電子機器における小型化・大容量化に伴う接続部品(コネクタ、端子等)の多極化・高密度化、発熱の制御、電装品(ワイヤハーネス等)の高電圧化・大電流化への対応を進めてまいります。また、銅材及びめっき材のスクラップに対するリサイクルプロセスについては、カーボンニュートラルの実現へ向けて技術開発を推進してまいります。

 

  以上、当該事業に係る研究開発費は4,732百万円であります。

 

 

(3)機能製品

植物由来の素材であるセルロース繊維の高剛性及び軽量性の特長を活かし、自動車分野など様々な用途での活用が期待されるセルロース繊維強化樹脂の量産技術開発とその実用化に向けた検証を行っております。また、海洋汚染の対策やCO2排出量削減を目的に、プラスチックごみをプラスチックに再生する過程でセルロース繊維を用い、より強度を向上させて再生する技術を開発し、環境省の「プラスチック・スマート」に参加しております。加えて、当社は経済産業省が公表した「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ基本構想」に賛同しており、本研究開発を通して、カーボンニュートラル実現への取組みを推進してまいります。

情報/エネルギー/モビリティ分野に関わる製品の高発熱化、薄型化、軽量化へ対応するヒートパイプ式ヒートシンクを開発しております。当社は引き続き、データセンタの高発熱密度に対応した製品、エレクトロニクス機器の高発熱化、軽量化に対応した製品や、次世代モビリティに向けた熱技術を応用した製品の開発に注力してまいります。

5Gサービスの本格化に伴い、通信基地局用のルーター、スイッチ、アンテナや、データセンタ用のサーバー等に使用されるプリント基板の高周波化が進展しております。これにより高周波プリント基板を構成する銅箔の需要も高まっています。当社は、さらなる高周波化にも対応できる次世代高周波プリント基板用銅箔であるF0X-WSを開発し、量産化を進めております。今後も、高周波プリント基板用銅箔の製品群を拡充し、5G及びBeyond5Gに対応する高周波プリント基板用銅箔の需要に対応してまいります。

 

  以上、当該事業に係る研究開発費は2,166百万円であります。

 

(4)サービス・開発等

超電導製品部では、高機能低温超電導線材の開発・量産化を進めており、顧客のコイル製造プロセスを効率化する新商品の量産化を開始し、販売しております。また、SuperPower Inc.(米国)と連携し、低温超電導線材及び高温超電導線材の新製品の開発を進めております。

SuperPower Inc.(米国)において、イットリウム高温超電導線材の研究開発を継続しております。高温超電導線材は、当社製低温超電導線材と併せて用いることにより、次世代エネルギー源と期待される核融合炉や、新素材や先端医薬の開発に欠かせない高磁場マグネットなど、各方面への応用が期待されます。先進核融合原型炉に用いる高温超電導線材の供給をとおして海外有力顧客との関係強化が進んでおります。また、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)からの委託により開発を行う未来社会創造事業において、京都大学と連携した共同研究グループでは、交流損失の低減を達成しました。標準的な薄膜高温超電導線と比較し、交流損失が約20分の1になることを実証しております。

Silicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric(米国)では、「古河電工グループ ビジョン2030」の実現につながる社会課題解決型の新技術や新事業の創出を目的に、スタートアップを中心としたイノベーションエコシステムのステークホルダーとのオープンイノベーションを積極的に推進しております。現地アクセラレータとパートナー契約を結び、当社グループのコア技術とシリコンバレーに集まる技術やビジネスモデルを結合させ新たな顧客体験や価値創出を目指す共創機能を強化しております。さらに、現地ネットワークを活用したVOC(Voice Of Customer)の収集や北米の市場調査分析などのマーケティング機能を加え、当社技術のインキュベーション北米拠点として、その活動を開始いたしました。

技術開発及び事業開発の両方の機能を担うソーシャルデザイン統括部において、社会インフラ維持管理・ライフサイエンス・宇宙等の各領域において、当社の技術を活かした新事業開発を進めております。社会インフラ維持管理やライフサイエンスの領域では、当社が携わる製品・サービスの市場展開が加速する等、着実に社会実装が進んでおります。加えて、宇宙領域では、2023年度から新たに東京大学大学院工学系研究科と社会連携講座を開始し、事業創出を加速しております。

2022年4月に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるグリーンイノベーション基金事業「CO2等を用いた燃料製造技術開発プロジェクト/化石燃料によらないグリーンなLPガス合成技術の開発」に採択されました。この実証候補地として北海道鹿追町と包括連携協定を締結し共創を開始しております。また、北海道大学とはこれまで、温室効果ガスの削減に向けて共同研究を進めてまいりましたが、より一層連携を進めるべく寄附分野「地域元素資源利活用工学分野」を開設しました。二酸化炭素とメタンに加え様々な地域資源を最大限利活用した脱炭素社会・循環型社会の実現に向けて技術開発を進めるとともに、専門人材の育成に取り組んでおります。

⑥「いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会」オフィシャルサプライヤーとして、炬火台用燃料の一部にバイオガスを原料としたグリーンLPガスを提供しました。提供したグリーンLPガスは、栃木県畜産酪農研究センターのプラントで牛のふん尿を活用して生産したバイオガスから合成したもので、燃料の1%程度が本グリーンLPガスに置き換えられております。今後、この技術を応用させ、実用化に向けた開発を進めてまいります。

 

  以上、当該事業に係る研究開発費は4,479百万円であります