「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、当連結会計年度より「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、米国では回復傾向が続き、欧州も全体としては持ち直しているものの、新興国経済の成長鈍化による影響懸念などから、先行きへの不透明感が強まっています。日本経済につきましても、中国の景気減速等の影響を受け、輸出や個人消費が伸び悩むなど、足踏み状態となりました。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、米国等の海外を中心に自動車用ワイヤーハーネスや防振ゴムの需要が堅調であり、また、携帯機器用FPC(フレキシブルプリント回路)等の需要も増加しました。このような環境のもと、当連結会計年度の連結決算は、売上高は2,933,089百万円(前連結会計年度2,822,811百万円、3.9%増)と前連結会計年度に比べ増収となりました。また、営業利益も、先行投資による減価償却費や研究開発費の増加などがございましたが、円安の効果やコスト低減などもあり、143,476百万円(前連結会計年度134,457百万円、6.7%増)、経常利益も165,658百万円(前連結会計年度160,597百万円、3.2%増)と、それぞれ前連結会計年度に比べて増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は91,001百万円(前連結会計年度119,771百万円、24.0%減)と、前連結会計年度に住友スリーエム㈱(2014年9月1日付でスリーエム ジャパン㈱に商号変更)の株式売却等に伴う特別利益の計上があったため減益となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
自動車関連事業
ワイヤーハーネスと防振ゴムの米国等海外における需要が堅調で、売上高は1,541,985百万円と53,771百万円(3.6%)の増収となりました。営業利益は88,654百万円と、増収に加えコスト低減による効果があったものの、退職給付に係る数理計算上の差異を発生時に一括費用処理している一部ワイヤーハーネス連結子会社において、前連結会計年度は株価上昇などにより一時的な利益を計上しましたが、当連結会計年度は日銀によるマイナス金利導入を背景とした割引率低下などで退職給付費用が一時的に増加したことにより、598百万円の減益となりました。売上高営業利益率は5.7%と0.3ポイント低下しました。
情報通信関連事業
光・電子デバイス、光ファイバ・ケーブルについて、海外を中心に需要が増加したことにより、売上高は184,688百万円と12,677百万円(7.4%)の増収となりました。営業利益も11,903百万円と、需要の増加に加え、海底ケーブル用の極低損失光ファイバの増加やコスト低減による採算の改善もあり、8,154百万円の増益となりました。売上高営業利益率は6.4%と4.2ポイント上昇しました。
エレクトロニクス関連事業
携帯機器用FPCの需要増加により、売上高は312,021百万円と20,016百万円(6.9%)の増収となりました。営業利益も10,203百万円と、需要増に加え、コスト低減による効果もあり、4,743百万円の増益となりました。売上高営業利益率は3.3%と1.4ポイント上昇しました。
環境エネルギー関連事業
前連結会計年度に連結子会社化した住電日立ケーブル㈱の売上高を前連結会計年度の第3四半期より計上していることにより、売上高は659,543百万円と23,031百万円(3.6%)の増収となりました。営業利益は13,404百万円と、電力ケーブルにおける価格競争の激化や、海外海底ケーブル工事案件の天候不順及び想定外の布設条件悪化による工期延伸に伴う採算の低下などにより、124百万円の減益となりました。売上高営業利益率は2.0%と0.1ポイント低下しました。なお、工事・プラント受注高は319,966百万円と、前連結会計年度比26,818百万円(9.1%)増加しました。
産業素材関連事業他
㈱アライドマテリアルの携帯基地局向けの半導体放熱基板、超硬工具の需要減少により、売上高は312,154百万円と5,206百万円(1.6%)の減収となりました。営業利益も19,234百万円と、需要減に加え、㈱アライドマテリアルでのタングステン及びモリブデンの相場下落に伴う原材料の時価評価損の計上などにより、3,758百万円の減益となりました。売上高営業利益率は6.2%と1.0ポイント低下しました。
なお、各セグメントの営業利益又は営業損失は、連結損益計算書の営業利益又は営業損失に対応しております。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より3,052百万円減少し、174,055百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は、240,779百万円(前連結会計年度比87,270百万円の収入増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益154,859百万円や減価償却費131,117百万円などから運転資本の増減を差し引いたことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は、117,387百万円(前連結会計年度比30,499百万円の支出増加)になりました。これは、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出160,309百万円の一方で投資有価証券の売却による収入56,472百万円などがあったことによるものです。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッ
シュ・フローについては、123,392百万円のプラス(前連結会計年度は66,621百万円のプラス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果、資金は115,912百万円減少(前連結会計年度は64,037百万円の減少)しました。これは、借入金の返済や配当金の支払などによるものです。
(注)本報告書の「第2 事業の状況」から「第5 経理の状況」までの金額には、特に記載のない限り消費税及び地方消費税は含まれておりません。
当社及び連結子会社の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「1.業績等の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
今後の世界経済は、中国での景気減速の継続、米国の金融政策変更の影響、新興国経済の不確実性、政情不安や金融資本市場の変動による影響等により、現状の緩やかな景気回復基調に対して下振れリスクが強まることが想定されます。日本経済もこれらの影響があり、輸出や個人消費に力強さを欠く状態が継続し、先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
このような情勢のもと、当社グループは、住友事業精神と住友電工グループ経営理念を根本に据え、S(安全)、E(環境)、Q(品質)、C(コスト)、D(物流・納期)、D(研究開発)の一層の強化に努めながら、中期経営計画「17VISION」の実現に向けて取り組んでおり、各事業においては次の施策を進めてまいります。
まず、自動車関連事業では、自動車の軽量化に寄与するアルミハーネス向けに、強度を従来の銅を超えるレベルにまで高めた「高強度アルミ合金電線」を開発、これを用いたアルミハーネスが、世界で初めて、高い耐久性が求められるエンジン部分に採用されました。今後もグローバル総合部品メーカーを目指し、環境対応車向けの高電圧ハーネス、複雑化・高度化が進む自動車の電子制御に対応した電装部品などの新製品の開発・拡販を推進します。また、非日系顧客向けのシェア拡大、グローバルでの生産性の一層の向上にも注力してまいります。住友理工㈱は、自動車用防振ゴム・ホースにおいて、買収した海外事業との相乗効果の創出を加速し、グローバルでの事業拡大と収益力強化を引き続き推進してまいります。
情報通信関連事業では、光ファイバ・ケーブル、100Gbps*の高速光デバイス、携帯基地局用GaN(窒化ガリウム)デバイスについて、海外での好調な需要の確実な捕捉に引き続き取り組むほか、海底ケーブル用の極低損失光ファイバや高度道路交通システムの拡販を一層進めてまいります。また、アクセス系ネットワーク機器の海外への新製品拡販にも注力し、収益力のさらなる向上を図ってまいります。
* Gbps:gigabits per secondの略で、通信速度を表す単位。1Gbpsは1秒間に10億ビットのデータを送れることを表します。
エレクトロニクス関連事業では、携帯機器用FPCや電子ワイヤー、照射チューブについて、グローバルでの拡販を加速するとともに、東南アジアなどでの製造拠点拡充によるグローバル生産体制の最適化を進め、収益力の一層の強化を推進いたします。また、FPCのさらなる高精細・極薄・高耐熱化に取り組むとともに、省スペース高速配線材や車載用FPC等への事業拡大も進めてまいります。
環境エネルギー関連事業では、電力ケーブルについては足元では競争激化等により採算が厳しくなっておりますが、営業活動強化に加え、2016年1月に実施した設計・開発・品質保証業務の㈱ジェイ・パワーシステムズから当社への移管により、低コストで高品質な製品の開発を加速してまいります。また、2015年6月に英国・ベル
ギー間を結ぶ高圧直流海底ケーブルを受注しましたが、東南アジア等の環太平洋地域での受注を含めさらなる大型案件の獲得による収益力の向上を推進してまいります。このほか、環境対応車向けのモーター用平角巻線や電池用金属多孔体の拡販を進めるとともに、日新電機㈱での電力機器、住友電設㈱での工事を含めた当社グループの総合力を活かして、再生可能エネルギーやスマートグリッド関連事業の拡大にも注力してまいります。
産業素材関連事業では、超硬工具で新興国市場等における需要の捕捉をこれまで以上に進めるとともに、主力の自動車分野に加え、今後の伸長が期待される航空機や精密加工分野への拡販も強化してまいります。また、国内、インドネシア、メキシコなどで焼結部品の生産能力の増強を推進しております。これらにより、グローバルな営業・生産体制、原料調達の一段の強化を図ってまいります。このほか、コア技術の強化・革新を進め、超硬工具でナノ多結晶ダイヤモンド、焼結部品で自動車電動化対応製品等の新製品の開発・拡販にも、引き続き注力してまいります。
研究開発では、オリジナリティがありかつ収益力に優れた新事業、新製品の創出に努めてまいります。具体的には、新しい電力・エネルギーインフラの構築に向けてレドックスフロー電池、集光型太陽光発電装置、電力線通信応用製品の開発を加速するほか、超電導製品、マグネシウム合金製品、水処理装置、次世代通信ネットワーク用デバイス製品やデータセンター向け大容量配線材などの事業化に注力します。さらに将来に向けては、先進交通安全システムや新たな機能を発現する新材料の探索など、社会ニーズを踏まえ当社グループの特徴を生かした新製品の開発に取り組んでまいります。
最後に、法令遵守や企業倫理の維持につきましては、当社の経営の根幹をなすものであり、企業として存続・発展するための絶対的な基盤と考えております。なかでも競争法コンプライアンスは最重要の課題と位置付け、2010年6月に「競争法コンプライアンス規程」を制定して以来、グループ全体でその強化に取り組んでまいりました。今後も、住友事業精神の「萬事入精」「信用確実」「不趨浮利」という理念のもと、社会から信頼される公正な企業活動の実践に真摯に取り組んでまいります。
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。本項の将来に関する記載は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(政治経済情勢・需要変動等に係るリスク)
当社グループは、自動車関連、情報通信関連、エレクトロニクス関連、環境エネルギー関連及び産業素材関連他の各需要分野にわたって事業を展開しております。また、地域的には、日本の他、米州、アジア、欧州、北アフリカ等に進出しております。このため、当社グループの経営成績、財政状態ならびにキャッシュ・フローは、特定の取引先・製品・技術等に過度に依存する状況にはありませんが、各分野や各地域に特有の需要変動や、技術革新に起因する製品ライフサイクル短期化、また、各国の政治情勢などの影響を受けることがあります。なお、当社グループ製品の多くは、最終消費財の部品や社会インフラ用の素材・システムなどであるため、景気循環の影響を受けることはもとより、顧客の購買政策の変化や設備投資に対する政策的判断などの影響を受けることがあります。
(法律・規制の変更等によるリスク)
当社グループは、日本以外にも世界各地に製造子会社、販売子会社等を有しております。各市場において、下記のように完全には回避することの困難なリスクが存在しており、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・輸入規制や関税率の引き上げ等により、売上が減少、もしくは原価率が悪化するリスク
・各国の国内及び国際間取引に係る租税制度の変更等により税金コストが上昇するリスク
・外貨規制、ハイパーインフレーション、テロ、新型インフルエンザ等の感染症等により投資資金の回収が不可能となるリスク
(訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に係るリスク)
当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に関するリスクを有しております。訴訟、規制当局による措置その他の法的手続により、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手段は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、自動車関連事業分野の競争法違反行為により損害を被ったとして、米国等において集団訴訟が当社及び当社子会社に対して提起されているほか、一部の自動車メーカーと損害賠償に関する交渉を行っており、このうち、ワイヤーハーネス関連製品の取引に関する米国での集団訴訟の原告の一部である間接購入者原告と、2015年9月に和解合意(和解金:50百万米ドル)に至っております。
(災害等のリスク)
当社グループは、阪神・淡路大震災や東日本大震災により被害を受けた経験を踏まえ、地震等の防災対策を実施しております。当社グループの拠点の一部は、南海トラフ地震や首都直下地震の想定被災地域あるいは沿岸地域等に存在していることもあり、大規模な地震が発生した場合には津波や液状化等による重大な被害を受ける可能性があります。また、グローバルな事業展開を拡大していることから、各国・各地域において地震や風水害等の直接的な被害を受ける可能性があることに加え、顧客の被災や物流網の寸断、電力不足等により生産活動が計画通り進まない可能性があります。
(産業事故等のリスク)
当社グループの製造拠点において、火災・爆発等の産業事故や環境汚染等の公害事故が発生し、当社グループの業務及び地域社会に大きな影響を及ぼした場合、これに伴い生ずる社会的信用の失墜、補償等を含む事故対応費用、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(金利の変動によるリスク)
当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を実施しております。当社グループでは、設備投資のための長期安定的な資金を必要とするため、長期固定金利の長期借入や社債発行による調達が中心となっております。そのため、金利の短期的な変動による影響は比較的受けにくくなっておりますが、金利が中長期的に上昇した場合は、長期借入等による資金調達コストを上昇させ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(為替レートの変動によるリスク)
当社グループは、在外連結子会社及び在外持分法適用関連会社の個別財務諸表を主に現地通貨ベースで作成しており、連結財務諸表の作成時に円換算しております。従って、現地通貨ベースでの業績に大きな変動がない場合でも、円換算時の米国ドル、ユーロ等の為替レート変動が業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは世界各地で製造・販売活動を展開しております(当連結会計年度における海外売上高比率59.5%)。為替予約取引等の手段により主要通貨の短期的な為替変動による影響を最小限にとどめるようにしておりますが、中長期にわたる大幅な為替変動は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(原材料等の調達に係るリスク)
当社グループは、電線・ケーブルなど銅を主たる原材料とした製品を多数有しております。このうち主要な製品の販売価格については、ロンドン金属取引所の市況価格を反映した銅建値に基づいて決定するという商慣習が普及しており市況価格変動リスクを回避しております。しかし一部の製品についてはこのような価格決定方法を採用していないため、急激な市況価格の上昇は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その他の非鉄金属、鉄鋼、石油化学製品類等の原材料や副資材の調達についても、当社グループでの共同購買など有利購買活動を強化しておりますが、急激な市況価格の上昇が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、原材料等の在庫について、市場価格の急落が、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。また希少金属については、産地や供給者が限定されていること等により必要量の調達が困難となる可能性があります。さらに、他の原材料や副資材についても、供給者の倒産、自然災害、戦争、テロ、ストライキ、交通機能の障害等により、必要量の調達が困難となる可能性があります。
(保有有価証券の時価の下落によるリスク)
当社グループは、取引先との長期的・安定的な関係の構築・強化や、事業・技術提携の円滑化を主たる目的として、関係取引先等の株式を保有しております。売買目的の株式は保有していないため、株式市況の変動が経営に直接与えるリスクは比較的小さいと考えられますが、大幅な株式市況の悪化は自己資本比率を低下させる可能性があります。
(退職給付債務に係るリスク)
当社グループは、従業員の退職給付債務及び費用について、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づき算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、具体的には、株式や債券等の価格下落に伴う年金資産の時価減少や、長期金利の低下に伴う割引率の引き下げなどにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(知的財産に係るリスク)
当社グループは、特許権、意匠権、その他の知的財産権の取得により自社技術の保護を図ると共に、他社の知的財産権に対しても細心の注意を払っております。しかし、製品の構造・製造技術の多様化や、海外での事業活動の拡大、それに伴う流通経路の複雑化等により、当社グループの製品が意図せず他社の知的財産権を侵害した場合、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があります。また、各国の法制度や執行状況の相違により、他社が当社グループの知的財産権を侵害しても常に必要な保護が得られるとは限らず、当社グループの製品が十分な市場を確保できない可能性があります。
(情報の流出によるリスク)
当社グループは、事業遂行に関連して多くの個人情報や機密情報を有しております。
これらの情報の秘密保持については、最大限の対策を講じておりますが、予期せぬ事態により、情報が外部に流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループのイメージの低下や損害賠償の発生などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(製品およびサービスの欠陥によるリスク)
当社グループは、所定の品質基準に基づき、製品およびサービスの品質保持に万全の注意を払っておりますが、予期せぬ事態により、大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような品質問題が発生する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
当社及び連結子会社は「技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます」という経営理念の下、伸長分野に焦点を合わせ、オリジナリティがありかつ収益力のある新事業・新製品の開発に努めております。また、将来の技術ニーズを踏まえ、当社グループの次代の成長を担う新規研究テーマの発掘・育成にも積極的に取り組んでおります。
自動車関連事業、情報通信関連事業、エレクトロニクス関連事業、環境エネルギー関連事業、産業素材関連事業他の各主要事業分野における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりであります。
また、当連結会計年度における研究開発費の総額は110,839百万円であります。
(1) 自動車関連事業
ワイヤーハーネス及び車載エレクトロニクス機器については、当社、住友電装㈱、及び両社の共同出資による㈱オートネットワーク技術研究所を中心に、当社固有の材料技術・解析技術を活かして安全、快適、環境のニーズに対応した新製品の開発を行っております。
ワイヤーハーネスについては、次世代車載システムに対応できるハーネスアーキテクチャを構築し、それに必要な要素技術の開発を進めております。また、環境対応としてハーネスの軽量化に取り組んでおり、銅に比べ軽量なアルミを使ったワイヤーハーネスを量産し、さらに高強度な電線を開発し適用範囲拡大の取組みを進めております。市場規模が拡大してきたEV(Electric Vehicle)・HEV(Hybrid Electric Vehicle)用高圧ハーネスやコネクタ、バッテリー内配線モジュールの開発等にも取り組んでおります。車載エレクトロニクス機器に関しては、電源系、情報系のネットワーク化に対応すべく、電源制御機器や半導体デバイス、ボディ制御ECU、さらにゲートウェイ等の通信機器などの次世代車載LAN(Local Area Network)製品の開発を進めております。
一方、新製品の開発効率化や高いレベルの品質確保に向け、要素技術開発や信頼性確保に不可欠な試験・分析・評価・解析技術の開発を推進しております。環境試験装置や分析装置等の評価設備の充実を図るとともに、CAE(Computer-Aided Engineering)技術を用いたシミュレーション技術も充実させております。
住友理工㈱では、事業を取り巻く環境がダイナミックに変化する中、将来の成長・発展に結びつく新事業の創出に向けて、コア技術である高分子材料技術と総合評価技術をベースに外部技術の融合・協業を促進し、スピー
ディーな新技術の創出とタイムリーな商品開発を目指しております。自動車分野においては、小型軽量化・環境性能向上に対応し、高い安全基準を満たす技術開発や次世代自動車への新製品開発に取り組んでおります。一昨年より、高機能ゴムと精密加工技術を融合した燃料電池(FC)自動車に搭載されるFCスタック向けゴムシール材「セル用ガスケット」を量産し、さらなる性能向上に向けて技術開発を続けております。
当事業に係る研究開発費は68,402百万円であります。
(2) 情報通信関連事業
光通信関連製品、ネットワーク・システム製品などの分野において、総合的に研究開発を行っております。
光通信関連製品では、光ファイバ通信のさらなる高速化・長距離化に向けて、海底ケーブル用途の低損失低非線形光ファイバの研究開発を進め、量産安定化技術とさらなる特性向上に取り組んでおります。その結果、当社の「海底ケーブル用極低損失光ファイバの開発と実用化」に対する取組みが高く評価され、一般財団法人光産業技術振興協会より「第31回櫻井健二郎氏記念賞」を2016年1月に受賞しました。
また、伝送容量の飛躍的な拡大に向けて、1本の光ファイバに複数本のコアが形成されたマルチコア型光ファイバの開発に取り組み、光ファイバ構造・製造方法の検討、複数のコアへの光入出力デバイスなど、実使用上の課題解決に向けた研究を進めております。一例として、長距離大容量伝送用途に適した新型の結合型マルチコア光ファイバを開発し、空間分割多重用光ファイバにおける伝送損失と空間モード分散の世界記録を更新したことを
2016年3月の国際展示会(OFC)で発表しました。
一方で、データセンタにおける情報機器内や情報機器間の高速大容量伝送に適した光配線製品を従来のテレコム光通信で培った技術で開発を進めております。特に、データセンタ内で使用される新型光コネクタや情報機器内の高密度光配線を実現する光部品などの製品開発を進めております。
そのほか、光ファイバ製造技術を活用した新材料の開発、光ファイバ実装・光学設計などの基盤技術を活用した新製品の開発を進めており、エレクトロニクスやライフサイエンスなどの新たな分野への光技術の展開を図っております。
デバイス関連分野では、数十mの短距離伝送から数千kmの長距離伝送に対応するハイエンドの光通信用デバイス、及び高速、高出力特性を有する無線通信用電子デバイス技術を活かして、新製品をいち早く市場に投入することにより、事業拡大に努めております。
光通信用デバイス関連製品においては、イーサネットに代表される支線系用10/100Gbpsの製品開発を終え、100Gbps対応では、さらなる小型省電力化、長距離化を目指し、開発を継続しております。高性能受発光素子、広帯域内製IC、波長多重機能を高密度集積した超小型光サブアセンブリ(OSA)を開発し、CFP4/QSFP28(現行製品比、容積約1/10、消費電力約1/3)と呼ばれる光トランシーバを製品化するとともに、次世代の400Gbps対応開発も進めております。数百kmから数千kmの幹線系対応として、コヒーレント伝送デバイスを開発しております。波長多重技術を用いることにより、数Tbps伝送を可能とします。構成要素である波長可変半導体レーザ、光多値位相変調デバイス、ホモダイン光受信デバイスは、化合物半導体を用いた光集積回路技術を用いて製品化しつつあります。それらを用いた光トランシーバの開発も進めております。ごく短距離の数十mの建屋内配線市場においても、100Gbps以上の大容量化が検討されており、キーデバイスとなる超低消費電力で光学実装性の優れた面発光型半導体レーザ(VCSEL)の高速化、多波長化を進めております。
無線通信デバイス関連製品では、世界に先駆けて高効率・高出力のGaN(窒化ガリウム)トランジスタを開発し、携帯基地局用途に製品化しました。本製品は低消費電力化やLTEへの移行など市場の要請に合致し、国内外で既存のSi(シリコン)トランジスタからGaNへの移行を牽引しました。現在は、LTEに次ぐ第5世代携帯無線用途を見据え、更なる効率改善を図るとともに、微細化技術開発を推し進めることにより、20GHzから80GHz帯までを視野に入れた高周波/広帯域化を実現する計画としております。
さらに、レーダ用途を目指し10GHz帯での高出力・高効率化を図るとともに、20GHz帯、80GHz帯(ミリ波帯)でのMMIC(Microwave Monolithic IC)の開発を進めております。これらのデバイスは、小型化、経済化を目指した、当社独自の3次元配線技術およびWLCSP(Wafer Level Chip Size Package)の特徴を生かして、適用領域の拡大、新規分野への展開を進めてまいります。
これらデバイス技術の蓄積を活かし、ライフサイエンス、環境関連、インフラや工業プロセス管理など多様な分野への応用が期待できる高感度な近赤外イメージセンサ(~3μm)の実用化開発を行うとともに、さらなる用途拡大を目指し、中赤外領域(3μm~)の量子カスケードレーザ(QCL-LD)、超格子イメージセンサの開発も進めております。
ネットワーク・システム関連分野では、情報通信技術の革新により、安全・安心・快適かつ持続可能な社会の実現を目指した情報通信機器の研究開発を推進しております。
有線通信システム関連では、10G-EPON等、より高速化した次世代システムの研究開発に、無線通信システム関連では、携帯基地局向けの新製品であるアクティブアンテナの開発と第5世代通信システムの検討、並びに
IoT(Internet of Things)に向けたモノとモノ(Machine to Machine:M2M)との通信による高度なサービス実現の基盤となる無線通信技術に取り組んでおります。安全・安心に関する技術分野では、交通社会の安全のために、交通システム制御アルゴリズムや路車協調による安全運転支援システムの開発を行っております。インフラ・プラント構造物等の劣化監視のために自社センサー技術を用いた分析技術の研究にも取り組んでおります。また、超高精細映像技術分野では、8Kの普及促進に向け、大容量画像の圧縮伝送技術に取り組んでおります。
当事業に係る研究開発費は16,926百万円であります。
(3) エレクトロニクス関連事業
マイクロ・ナノテクノロジーを駆使して、化合物半導体やエレクトロニクス関連部材などの広範な新材料や部品の開発を行っております。
化合物半導体では、情報通信を支える高速通信用の光デバイスや無線通信用電子デバイスなどに用いられるインジウムリン及びガリウムヒ素系エピタキシャルウエハの新製品開発を進めております。また、青紫色レーザダイ
オード、白色LEDやパワーデバイス等に応用されるGaN基板の高品質化に加え、それら材料からデバイス技術の研究とその応用製品の開発も行っております。これまでの発光特性と高周波特性に着眼した材料開発に加え、さらに、まったく新しい機能を有する光デバイスや電子デバイス用途の半導体材料の開発にも取り組んでおります。
エレクトロニクス関連部材では、独自の液相還元プロセスによる金属ナノ粒子粉末を用いた高導電性ペーストや回路形成用ナノインク、及び高精度印刷技術による微細回路基板を開発しております。さらに、固有の接着材料技術や微細回路形成技術を活用した携帯機器用の電子回路基板、高耐熱電子回路基板、車載向けモジュール部品や放熱部材などの開発に取り組んでおります。
当事業に係る研究開発費は3,361百万円であります。
(4) 環境エネルギー関連事業
超電導や次世代送電網の分野でのネットワーク技術を活用したエネルギーソリューション事業など、新しい分野への進出を図るとともに、蓄電池などエネルギー分野での積極的な開発を推進しております。
超電導分野では、ビスマス系高温超電導線材の特性と量産性を大幅に向上させ、世界各国のケーブルプロジェクトやモータ、マグネット用などに線材を納入するなど、商業ベースでの販売本格化を図りつつあります。2015年4月、従来と比較し、約50~60%の引張り強度の向上を実現した400メガパスカル級の超高強度超電導線材の開発に成功し、販売を開始しました。これにより、NMR(核磁気共鳴)装置などの超高磁場マグネットへの適用範囲が広がりました。
超電導ケーブル交流送電システムでは新エネルギー・産業技術総合開発機構の「高温超電導ケーブル実証プロ
ジェクト」に参画し、2012年10月から2013年12月まで1年以上にわたり、日本初の系統連系試験を成功裏に完了いたしました。また、2014年6月から本プロジェクトの後継プロジェクトとして「次世代送電システムの安全性・信頼性に係る実証研究」に参画し、実用化への研究開発に取り組んでおります。一方、直流伝送システムでは2013年3月より、経済産業省委託事業「高温超電導直流送電システムの実証研究」へ参画し、
2015年9月、太陽光発電(出力200kW)からデータセンタを500mの直流超電導ケーブルで接続し、380Vの直流送電に成功しました。
産業応用では超電導マグネットシステムの開発を進めており、2014年7月に小型軽量冷凍機冷凍型マグネットシステム(±6T-Φ70mm)の販売を開始し、磁気特性評価装置への適用、さらに産業界での実用化、用途開拓に注力しているところであります。またビスマス系とは異なる次世代の超電導線材の研究も行っており、結晶配向した金属基板、中間層、超電導層からなる薄膜超電導線の特性向上にも注力しております。
次世代送電網の分野では、自然エネルギーの導入、省エネルギー、電力網の分散管理といった社会ニーズに対応すべく、2011年6月から、当社大阪製作所において、自社開発の集光型太陽光発電装置(CPV)を含む複数の自然エネルギー発電装置と小型レドックスフロー電池(蓄電池)等を直流電力ケーブルで連結したマイクロス
マートグリッドシステムの実証試験を実施しております。さらに、2012年7月から、当社横浜製作所において、メガワット級の出力・容量を有するレドックスフロー電池と定格出力100kWのCPVから成る大規模蓄発電システムを開発し、実際の工場電力運用の中で、製品化のための実証運転を実施しております。また、電力需給逼迫時に電力使用量の調整を行うデマンドレスポンス自動化サーバ、宅内の電力使用量を最適化するシステム(HEMS)、電力線通信(PLC)によるメガソーラー監視システム、非常用の小型蓄電池やパワーコンディショナ等の開発にも注力しております。
蓄電池分野では、リチウムイオン電池やキャパシタなどの蓄電デバイスの高性能化に貢献する集電材料として、当社独自の溶融塩めっき技術を用いた金属多孔体「アルミセルメット」を開発しており、量産化に向けた生産技術開発に注力するとともに、顧客ニーズの調査、顧客での評価を進めております。
住友電設㈱では、社会や顧客の多様化するニーズに応えるべく、太陽光発電システム用保守監視システム、監視・エネルギー管理等のビル・マネジメントシステム、工場向け総合セキュリティシステム、異常通報システム、超電導冷却システム、蓄電池システムなど、最新技術、情報化技術を活用し、省エネ技術、新工法、各種システムの開発に取り組んでおります。
日新電機㈱では、電力機器分野をはじめ、新エネルギー・環境分野及びライフサイクルエンジニアリング分野にかかわる技術開発・製品開発、並びにソリューション開発に注力しております。電力機器分野においては、縮小化、及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発とともに、太陽光発電をはじめ、多様な分散電源の増加を受けて、電力品質を維持・向上する技術研究や製品開発に取り組みました。ビーム・真空応用分野においては、新たなコーティング薄膜やその用途拡大に向けた研究開発、半導体製造用イオン注入装置や電子線照射装置などの次世代製品の研究開発に注力しております。また、新エネルギー・環境分野においては、太陽光発電用パワーコンディショナの高機能化に向けた技術研究・製品開発に注力するとともに、EMS(エネルギー管理システム)関連の技術研究並びに実証検証を進めております。
当事業に係る研究開発費は14,545百万円であります。
(5) 産業素材関連事業他
超硬合金、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、コーティング薄膜、特殊鋼線、セラミックスや鉄系焼結部品に関する当社固有の材料技術とプロセス技術を駆使し、切削用工具や超精密加工用工具、各種自動車機構部品・機能部品、家電部品等の開発を進めております。
ダイヤモンドでは、15万気圧、2000℃以上の新しい超高圧技術と独自の新プロセスにより合成した、数十nmサイズの超微細粒よりなる高硬度ナノ多結晶ダイヤモンドが従来のダイヤモンドを大きく凌駕する機械的特性を有することを実証し、次世代の高性能精密加工用工具として実用化開発に注力しております。
焼結部品の関連では、ディーゼルエンジン用燃料噴射装置部品など高周波域で優れた磁気特性を持つ圧粉軟磁性材応用製品の開発、EV・HEVなどの自動車の電動化に対応した高性能圧粉軟磁性材料の製品開発に注力しております。
また、切削工具分野で培った超硬合金技術、コーティング技術を展開すべく、新接合手法として注目されている摩擦撹拌接合ツールの開発に取り組み、非切削分野での新市場開拓を目指しております。
当事業に係る研究開発費は7,605百万円であります。
今後の成長を担う新規分野への挑戦としては、まず、農業分野において、当社独自の砂栽培、ICT技術および環境制御技術を組み合わせることで抜本的な生産性の改善を目指し「農業の工業化」に取り組んでおります。ライフサイエンス分野では当社の既存技術の応用可能性を探索しております。また次世代の電線材料として期待されるカーボンナノチューブの独自製法による長尺化にも取り組んでおります。なお、水処理分野で取り組んでいたバラスト水処理装置については、リソース有効活用の観点から研究活動を中止しております。
以上の5分野他の研究開発及びグループ全体の生産、品質などを支える解析技術の分野では、ナノスケールの構造解析や、ポリマーの分子構造解析など、世界トップレベルの分析を行っております。さらに、SPring-8などの放射光施設を利用した最先端の原子レベル解析により、レアメタルのリサイクル技術開発や知的財産権の強化などに寄与しております。なお、放射光利用の拡大を図るため、佐賀県が運営する九州シンクロトロン光研究センターに当社グループ専用のビームラインを建設中であり、2016年度下期の稼働を目指しております。また、高度な計算機シミュレーションを用いたCAE技術の開発にも注力しており、2012年度には、社内のCAE用並列計算サーバを増強し、処理能力を4倍以上に高めました。加えて、国立研究開発法人 理化学研究所が保有する「京」など、外部のスーパーコンピュータも利用しながら、生産プロセスの改善や各種新製品の設計にCAE技術を活用することで他社との差別化につながる解析技術の開発を推進しております。
その他、当社では、創業110周年の記念事業の一環として研究本館「WinD Lab」を建設し、2010年4月に竣工しました。この「WinD Lab」を研究・開発活動の中核とし、さらなる事業の成長を目指します。また、グループ全体として、これらの研究開発成果を早期に確保すべく努めるとともに、企業の社会的責任を自覚し、省エネ、省資源、環境保護に関する研究にも注力してまいります。
「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、当連結会計年度より「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。また、連結財務諸表を作成する際には、当連結会計年度末日時点の資産・負債及び当連結会計年度の収益・費用を認識・測定するため、合理的な見積り及び仮定を使用する必要があります。当社グループが採用している会計方針のうち重要なものについては、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「重要な会計方針」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
2015年度の世界経済は、米国では回復傾向が続き、欧州も全体としては持ち直しているものの、新興国経済の成長鈍化による影響懸念などから、先行きへの不透明感が強まっています。日本経済につきましても、中国の景気減速等の影響を受け、輸出や個人消費が伸び悩むなど、足踏み状態となりました。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、米国等の海外を中心に自動車用ワイヤーハーネスや防振ゴムの需要が堅調であり、また、携帯機器用FPC等の需要も増加しました。この結果、売上高は前連結会計年度比3.9%増の2,933,089百万円、営業利益も先行投資による減価償却費や研究開発費の増加などがあったものの、円安の効果やコスト低減などもあり、前連結会計年度比6.7%増の143,476百万円、営業利益率は0.1ポイント上昇の4.9%となりました。営業外収益は、持分法による投資利益の増加により3,255百万円増の46,711百万円、営業外費用は7,213百万円増の24,529百万円となり、経常利益は前連結会計年度比3.2%増の165,658百万円となりました。特別利益では投資有価証券売却益32,186百万円を計上しました。特別損失では、固定資産除却損3,275百万円、のれんなどの減損損失12,479百万円、事業拠点の再編と研究開発テーマの一部見直しに伴う事業構造改善費用6,046百万円に加え、特別輸送費524百万円、和解金20,661百万円を計上し、合計では42,985百万円となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は154,859百万円となりました。ここから法人税等49,826百万円及び非支配株主に帰属する当期純利益14,032百万円を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比24.0%減の91,001百万円となりました。
また、各セグメントの売上高・営業利益に重要な影響を与えている主な要因は次のとおりであります。
自動車関連事業は、ワイヤーハーネスと防振ゴムの米国等海外における需要が堅調であったことにより、売上高は増収となりましたが、コスト低減による効果があった一方で、退職給付に係る数理計算上の差異を発生時に一括費用処理している一部ワイヤーハーネス連結子会社において、日銀によるマイナス金利導入を背景とした割引率低下などで退職給付費用が一時的に増加したことにより、営業利益は減少しました。情報通信関連事業は、光・電子デバイス、光ファイバ・ケーブルについて、海外を中心に需要増加、海底ケーブル用の極低損失光ファイバの増加やコスト低減による採算の改善もあり、売上高・営業利益ともに増加しました。エレクトロニクス関連事業は、携帯機器用FPCの需要増加やコスト低減による効果もあり、売上高・営業利益ともに増加しました。環境エネルギー関連事業は、前期に連結子会社化した住電日立ケーブル㈱の売上高を前第3四半期より計上していることにより、売上高は増収となりましたが、電力ケーブルにおける価格競争の激化や、海外海底ケーブル工事案件の天候不順及び想定外の布設条件悪化による工期延伸に伴う採算の低下などにより、営業利益は減少しました。産業素材関連事業他は、㈱アライドマテリアルの携帯基地局向けの半導体放熱基板、超硬工具の需要減少、㈱アライドマテリアルでのタングステン及びモリブデンの相場下落に伴う原材料の時価評価損の計上などにより、売上高・営業利益ともに減少しました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの当連結会計年度における資金の状況は下記のとおりであります。
まず、営業活動によるキャッシュ・フローで240,779百万円の資金を獲得しました。これは、税金等調整前当期純利益154,859百万円と減価償却費131,117百万円との合計、即ち事業の生み出したキャッシュ・フローが285,976百万円あり、これに運転資本の増減などを加え、法人税等の支払を差し引いた結果であります。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、117,387百万円の資金を使用しました。これは、設備投資に伴う有形固定資産の取得160,309百万円の一方で投資有価証券の売却による収入56,472百万円などがあったことによるものであります。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは、123,392百万円のプラスとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、115,912百万円の資金の減少となりました。これは、借入金の返済や配当金の支払などによるものであります。
以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より3,052百万円減少
(1.7%)し174,055百万円となりました。また、当連結会計年度末における有利子負債は、前連結会計年度末より93,694百万円減少し457,145百万円となり、有利子負債から現金及び現金同等物を差し引いたネット有利子負債は、90,642百万円減少し283,090百万円となりました。