(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、概ね緩やかな回復傾向が続いたものの、英国のEU離脱問題や米国の新政権発足による不確実性の高まり、新興国経済の成長鈍化による影響懸念などから、先行きへの不透明感が強まっています。
日本経済も、個人消費が伸び悩み、足踏み状態となりました。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、海外を中心に自動車用ワイヤーハーネスや光ファイバ・ケーブル、光・電子デバイス等の需要は堅調であったものの、携帯機器用FPC(フレキシブルプリント回路)の需要減少、及び円高や銅価格下落の影響が大きく、厳しいものとなりました。このような環境のもと、当連結会計年度の連結決算は、売上高は2,814,483百万円(前連結会計年度2,933,089百万円、4.0%減)と前連結会計年度比で減少しましたが、利益面では、グローバルでのコスト低減、新製品の開発・拡販を進め、営業利益は150,503百万円(前連結会計年度143,476百万円、4.9%増)、経常利益は173,872百万円(前連結会計年度165,658百万円、5.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は107,562百万円(前連結会計年度91,001百万円、18.2%増)と、それぞれ前連結会計年度に比べ増益となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
自動車関連事業
ワイヤーハーネスや自動車電装部品、防振ゴムで新規車種への採用拡大などグローバルでの需要捕捉を積極的に進め、特に中国をはじめとする海外での販売数量が増加した一方で、円高や銅価格下落の影響を受け、売上高は1,513,221百万円と28,764百万円(1.9%)の減収となりました。営業利益は98,616百万円と、円高の影響があったものの、グローバル生産拠点でのコスト低減を進め、9,962百万円の増益となりました。売上高営業利益率は6.5%と0.8ポイント上昇しました。
情報通信関連事業
円高の影響を受けたものの、光ファイバ・ケーブル、光・電子デバイスにおいて中国や米国をはじめとする海外を中心に需要が増加し、売上高は198,240百万円と13,552百万円(7.3%)の増収となりました。営業利益も21,509百万円と、需要増加に加え、データセンター向け光ケーブルの需要捕捉による採算改善やコスト低減を進めたことにより、9,606百万円の増益となりました。売上高営業利益率は10.8%と4.4ポイント上昇しました。
エレクトロニクス関連事業
電子ワイヤーで新規需要開拓により販売数量が増加した一方で、携帯機器用FPCの需要減少及び新製品生産立ち上げ遅れによる販売数量減少や価格競争激化に加え、円高の影響もあり、売上高は251,113百万円と60,908百万円(19.5%)の減収となりました。営業損失も10,898百万円と、FPCの生産量減少に伴う採算悪化の影響もあり、21,101百万円の大幅な悪化となりました。
環境エネルギー関連事業
主に銅価格下落の影響のため、売上高は621,418百万円と38,125百万円(5.8%)の減収となりました。営業利益は20,807百万円と、住友電設㈱の海外子会社で過年度の不適切会計の修正処理による損失計上があった一方で、電力ケーブルでのコスト低減、日新電機㈱で高精細・中小型FPD(フラットパネルディスプレイ)製造用イオン注入装置の需要捕捉及び採算改善が進んだことなどにより、7,403百万円の増益となりました。売上高営業利益率は3.3%と1.3ポイント上昇しました。なお、工事・プラント受注高は293,044百万円と、前連結会計年度比26,922百万円(8.4%)減少しました。
産業素材関連事業他
円高の影響などにより、売上高は303,943百万円と8,211百万円(2.6%)の減収となりました。営業利益は20,491百万円と、前連結会計年度は㈱アライドマテリアルでタングステン及びモリブデン相場下落に伴う原材料の時価評価損の計上があったほか、スチールコードで海外でのコスト低減を進め採算が改善したことなどにより、1,257百万円の増益となりました。売上高営業利益率は6.7%と0.5ポイント上昇しました。
なお、各セグメントの営業利益又は営業損失は、連結損益計算書の営業利益又は営業損失に対応しております。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より5,947百万円増加し、180,002百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は、209,233百万円(前連結会計年度比31,546百万円の収入減少)となりました。これは、税金等調整前当期純利益167,792百万円や減価償却費130,700百万円などから運転資本の増減を差し引いたことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は、194,829百万円(前連結会計年度比77,442百万円の支出増加)になりました。これは、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出175,170百万円などがあったことによるものです。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッ
シュ・フローについては、14,404百万円のプラス(前連結会計年度は123,392百万円のプラス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果、資金は4,763百万円減少(前連結会計年度は115,912百万円の減少)しました。これは、社債の発行による収入の一方、自己株式の取得による支出や配当金の支払などによるものです。
(注)本報告書の「第2 事業の状況」から「第5 経理の状況」までの金額には、特に記載のない限り消費税及び地方消費税は含まれておりません。
当社及び連結子会社の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「1.業績等の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」のもと、公正な事業活動を通して社会に貢献していくことを不変の基本方針としております。こうした基本理念を堅持しつつ持続的に成長し、中長期的に企業価値を向上させていくためには、適正なコーポレート・ガバナンスに基づき経営の透明性、公正性を確保するとともに、イノベーションをキーワードに、保有する経営資源を最大限活用して成長戦略を果断に立案・実行していくことが重要であり、以下の基本的な考え方に沿って、コーポレート・ガバナンスの一層の充実に取り組んでまいります。
(ⅰ)株主がその権利を適切に行使することができる環境の整備を行う。
(ⅱ)株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、それらステークホルダーと適切に協働する。
(ⅲ)会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
(ⅳ)取締役会の戦略等基本方針決定機能及び経営の監督機能を重視し、それらの機能の実効性が確保される体制の整備及び取締役会の運営に注力する。業務執行については、権限及び責任を明確化し、事業環境の変化に応じた機動的な業務執行体制を確立することを目的として、執行役員制並びに事業本部制を導入している。また、経営の健全性確保の観点から、監査役監査の強化を図ることとし、独立社外監査役と常勤の監査役が内部監査部門や会計監査人と連携して適法かつ適正な経営が行われるよう監視する体制としている。
(ⅴ)持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、合理的な範囲で、株主との建設的な対話を行う。
[住友事業精神]
住友の事業は、今から約400年前、銅と銀を吹き分ける「南蛮吹き」と呼ばれる技術による銅精錬事業に遡り、その後別子銅山における鉱山業を中心に発展を遂げてきました。こうした事業の隆盛を支えてきた精神的基盤が「住友事業精神」であり、住友家初代・住友政友が後生に遺した商いの心得『文殊院旨意書』を礎とし、住友の先人により何代にもわたって深化・発展を遂げてきたものです。その要諦は、明治24年に改訂された住友家法の中で「営業の要旨」として端的に示されています。
営業の要旨 ※ここでは、住友合資会社社則(昭和3年制定)より抜粋しました。
第一条 我が住友の営業は、信用を重んじ確実を旨とし、以てその鞏固隆盛を期すべし
第二条 我が住友の営業は、時勢の変遷、理財の得失を計り、弛張興廃することあるべしと雖も、
苟も浮利に趨り、軽進すべからず
この他にも、『技術の重視』、『人材の尊重』、『企画の遠大性』、『自利利他、公私一如』といった精神が今に至るまで脈々と受け継がれています。
[住友電工グループ経営理念] ※創業100周年を機に明文化(1997年6月)
住友電工グループは、
・顧客の要望に応え、最も優れた製品・サービスを提供します。
・技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます。
・社会的責任を自覚し、よりよい社会、環境づくりに貢献します。
・高い企業倫理を保持し、常に信頼される会社を目指します。
・自己実現を可能にする、生き生きとした企業風土を育みます。
(2) 会社の対処すべき課題
今後の世界経済は、欧米における政策の不確実性、新興国経済の下振れリスク、政情不安や金融資本市場の変動による影響等により、さらに不安定となることが懸念されます。日本経済も個人消費等に力強さを欠く状態が継続し、先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
このような情勢のもと、当社グループは、住友事業精神と住友電工グループ経営理念を根本に据え、S(安全)、E(環境)、Q(品質)、C(コスト)、D(物流・納期)、D(研究開発)のさらなる進化に努めながら、中期経営計画「17VISION」の最終年度にあたる2017年度を、中期目標の達成に向けた仕上げの年として、各事業において次の施策を進めてまいります。
まず、自動車関連事業では、グローバル総合部品メーカーを目指し、自動車の軽量化に寄与し耐久性に優れた高強度アルミハーネス、環境対応車向けの高電圧ハーネス、複雑化・高度化が進む自動車の電子制御に対応した電装部品や高速通信用コネクタなどの開発・拡販を加速してまいります。また、海外系顧客向けのさらなるシェア拡大に努めるとともに、一層のコスト低減にも注力してまいります。住友理工㈱では、自動車用防振ゴム・ホースにおいて、買収した海外事業の拠点、販路、技術などを活かして、グローバルでの拡販を図りつつ、引き続き体質強化に努めるとともに、収益力の向上に取り組んでまいります。
情報通信関連事業では、光ファイバ・ケーブル、100Gbps*の高速光デバイス、携帯基地局用GaN(窒化ガリウム)デバイスについて、海外での堅調な需要の確実な捕捉に引き続き取り組むほか、海底ケーブル用の極低損失光ファイバ、超多心光ケーブルをはじめとするデータセンター関連製品や、高度道路交通システムの拡販を一段と進めてまいります。また、アクセス系ネットワーク機器の新製品拡販にも引き続き注力し、収益力のさらなる向上を図ってまいります。
* Gbps:gigabits per secondの略で、通信速度を表す単位。1Gbpsは1秒間に10億ビットのデータを送れることを表します。
エレクトロニクス関連事業では、携帯機器用FPCについて2016年度は需要減少や競争激化に加え、新製品の生産立ち上げ遅れにより採算が厳しくなりましたが、グローバルでの徹底した品質改善・コスト低減と拡販に注力するとともに、当社グループの総合力を活かし、さらなる高精細・極薄・高耐熱化による新製品開発や車載市場等への事業拡大に取り組み、収益改善を進めてまいります。また、電子ワイヤー、照射チューブについても、グ
ローバルでの生産強化と拡販を加速してまいります。
環境エネルギー関連事業では、2016年11月にサウジアラビアの国営石油公社サウジアラビアン・オイル・カンパニーと海底電力ケーブルの長期納入契約を締結しました。さらに2017年3月にドイツのシーメンス社と高電圧直流送電分野で連携協力することに合意しました。同社のコンバーター、当社の高圧直流電力ケーブルといった先端技術をもとに、お客様に対し最適なソリューションの提供を進め、これらの取組みにより、グローバルでの拡販を加速してまいります。また、コスト低減による収益力向上や品質の強化に引き続き取り組んでまいります。このほか、環境対応車向けのモーター用平角巻線や電池用金属多孔体の拡販を進め、さらに日新電機㈱や住友電設㈱とも連携し、再生可能エネルギーやスマートグリッド関連事業の拡大にも注力してまいります。
産業素材関連事業では、2016年9月に米国大手焼結部品メーカーであるキーストーン社を買収しましたが、これにより当社焼結部品事業の米国におけるプレゼンスを向上させ、さらなるグローバルビジネスチャンスの獲得に取り組んでまいります。超硬工具では、中国、台湾、インド等新興国市場における需要捕捉をこれまで以上に進めるとともに、引き続き原料調達体制の強化を図ってまいります。また、主力の自動車分野に加え、今後の伸長が期待される航空機や精密加工分野向けの新製品開発と拡販を加速いたします。このほか、PC鋼材やばね用鋼線についても、グローバル生産体制の拡充と拡販に注力してまいります。
研究開発では、オリジナリティがありかつ収益力に優れた新事業、新製品の創出に努めてまいります。具体的には、新しい電力・エネルギーインフラの構築に向けてレドックスフロー電池、集光型太陽光発電装置、電力線通信応用製品の事業化に向けた開発と国内外での実証試験を加速するほか、超電導製品、マグネシウム合金製品、水処理装置、SiC(シリコンカーバイド)パワー半導体デバイスや次世代通信ネットワーク用製品などの事業化に注力します。さらに将来に向けては、先進交通安全システムや新たな機能を発現する新材料の探索など、社会ニーズを踏まえ当社グループの特徴を生かした新製品の開発に注力するとともに、製造現場でのAI*やIoT*活用による生産革新、サイバーセキュリティ対策にも積極的に取り組んでまいります。
* AI :Artificial Intelligence(人工知能)の略。
* IoT:Internet of Thingsの略。パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器に限らず、あらゆる「モノ」
がインターネット等のネットワークに接続されること。
最後に、法令遵守や企業倫理の維持は、当社経営の根幹をなすものであり、企業として存続・発展するための絶対的な基盤と考えております。なかでも競争法コンプライアンスは最重要の課題と位置付け、2010年6月に「競争法コンプライアンス規程」を制定して以来、グループ全体でその強化に取り組んでまいりました。今後も、住友事業精神の「萬事入精(ばんじにっせい)」「信用確実」「不趨浮利(ふすうふり)」*という理念のもと、社会から信頼される公正な企業活動の実践に真摯に取り組んでまいります。
* 萬事入精:まず一人の人間として、何事にも誠心誠意を尽くすべきとの考え。
信用確実:何よりも信用を重んじること。
不趨浮利:常に公共の利益との一致を求め、一時的な目先の利益、不当な利益の追求を厳に戒めること。
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(政治経済情勢・需要変動等に係るリスク)
当社グループは、自動車関連、情報通信関連、エレクトロニクス関連、環境エネルギー関連及び産業素材関連他の各需要分野にわたって事業を展開しております。また、地域的には、日本の他、米州、アジア、欧州、北アフリカ等に進出しております。このため、当社グループの経営成績、財政状態ならびにキャッシュ・フローは、特定の取引先・製品・技術等に過度に依存する状況にはありませんが、各分野や各地域に特有の需要変動や、技術革新に起因する製品ライフサイクル短期化、また、各国の政治情勢などの影響を受けることがあります。なお、当社グループ製品の多くは、最終消費財の部品や社会インフラ用の素材・システムなどであるため、景気循環の影響を受けることはもとより、顧客の購買政策の変化や設備投資に対する政策的判断などの影響を受けることがあります。
(法律・規制の変更等によるリスク)
当社グループは、日本以外にも世界各地に製造子会社、販売子会社等を有しております。各市場において、下記のように完全には回避することの困難なリスクが存在しており、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・輸入規制や関税率の引き上げ等により、売上が減少、もしくは原価率が悪化するリスク
・各国の国内及び国際間取引に係る租税制度の変更等により税金コストが上昇するリスク
・外貨規制、ハイパーインフレーション、テロ、新型インフルエンザ等の感染症等により投資資金の回収が不可能となるリスク
(訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に係るリスク)
当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に関するリスクを有しております。訴訟、規制当局による措置その他の法的手続により、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手段は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、自動車関連事業分野の競争法違反行為について、一部の自動車メーカーと損害賠償に関する交渉を行っております。
(災害等のリスク)
当社グループは、阪神・淡路大震災や東日本大震災により被害を受けた経験を踏まえ、地震等の防災対策を実施しております。当社グループの拠点の一部は、南海トラフ地震や首都直下地震の想定被災地域あるいは沿岸地域等に存在していることもあり、大規模な地震が発生した場合には津波や液状化等による重大な被害を受ける可能性があります。また、グローバルな事業展開を拡大していることから、各国・各地域において地震や風水害等の直接的な被害を受ける可能性があることに加え、顧客の被災や物流網の寸断、電力不足等により生産活動が計画通り進まない可能性があります。
(産業事故等のリスク)
当社グループの製造拠点において、火災・爆発等の産業事故や環境汚染等の公害事故が発生し、当社グループの業務及び地域社会に大きな影響を及ぼした場合、これに伴い生ずる社会的信用の失墜、補償等を含む事故対応費用、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(金利の変動によるリスク)
当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を実施しております。当社グループでは、設備投資のための長期安定的な資金を必要とするため、長期固定金利の長期借入や社債発行による調達が中心となっております。そのため、金利の短期的な変動による影響は比較的受けにくくなっておりますが、金利が中長期的に上昇した場合は、長期借入等による資金調達コストを上昇させ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(為替レートの変動によるリスク)
当社グループは、在外連結子会社及び在外持分法適用関連会社の個別財務諸表を主に現地通貨ベースで作成しており、連結財務諸表の作成時に円換算しております。従って、現地通貨ベースでの業績に大きな変動がない場合でも、円換算時の米国ドル、ユーロ等の為替レート変動が業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは世界各地で製造・販売活動を展開しております(当連結会計年度における海外売上高比率58.8%)。為替予約取引等の手段により主要通貨の短期的な為替変動による影響を最小限にとどめるようにしておりますが、中長期にわたる大幅な為替変動は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(原材料等の調達に係るリスク)
当社グループは、電線・ケーブルなど銅を主たる原材料とした製品を多数有しております。このうち主要な製品の販売価格については、ロンドン金属取引所の市況価格を反映した銅建値に基づいて決定するという商慣習が普及しており市況価格変動リスクを回避しております。しかし一部の製品についてはこのような価格決定方法を採用していないため、急激な市況価格の上昇は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その他の非鉄金属、鉄鋼、石油化学製品類等の原材料や副資材の調達についても、当社グループでの共同購買など有利購買活動を強化しておりますが、急激な市況価格の上昇が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、原材料等の在庫について、市場価格の急落が、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。また希少金属については、産地や供給者が限定されていること等により必要量の調達が困難となる可能性があります。さらに、他の原材料や副資材についても、供給者の倒産、自然災害、戦争、テロ、ストライキ、交通機能の障害等により、必要量の調達が困難となる可能性があります。
(保有有価証券の時価の下落によるリスク)
当社グループは、取引先との長期的・安定的な関係の構築・強化や、事業・技術提携の円滑化を主たる目的として、関係取引先等の株式を保有しております。売買目的の株式は保有していないため、株式市況の変動が経営に直接与えるリスクは比較的小さいと考えられますが、大幅な株式市況の悪化は自己資本比率を低下させる可能性があります。
(退職給付債務に係るリスク)
当社グループは、従業員の退職給付債務及び費用について、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づき算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、具体的には、株式や債券等の価格下落に伴う年金資産の時価減少や、長期金利の低下に伴う割引率の引き下げなどにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(知的財産に係るリスク)
当社グループは、特許権、意匠権、その他の知的財産権の取得により自社技術の保護を図ると共に、他社の知的財産権に対しても細心の注意を払っております。しかし、製品の構造・製造技術の多様化や、海外での事業活動の拡大、それに伴う流通経路の複雑化等により、当社グループの製品が意図せず他社の知的財産権を侵害した場合、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があります。また、各国の法制度や執行状況の相違により、他社が当社グループの知的財産権を侵害しても常に必要な保護が得られるとは限らず、当社グループの製品が十分な市場を確保できない可能性があります。
(情報の流出によるリスク)
当社グループは、事業遂行に関連して多くの個人情報や機密情報を有しております。
これらの情報の秘密保持については、最大限の対策を講じておりますが、予期せぬ事態により、情報が外部に流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループのイメージの低下や損害賠償の発生などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(製品およびサービスの欠陥によるリスク)
当社グループは、所定の品質基準に基づき、製品およびサービスの品質保持に万全の注意を払っておりますが、予期せぬ事態により、大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような品質問題が発生する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
当社及び連結子会社は「技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます」という経営理念の下、伸長分野に焦点を合わせ、オリジナリティがありかつ収益力のある新事業・新製品の開発に努めております。また、将来の技術ニーズを踏まえ、当社グループの次代の成長を担う新規研究テーマの発掘・育成にも積極的に取り組んでおります。
自動車関連事業、情報通信関連事業、エレクトロニクス関連事業、環境エネルギー関連事業、産業素材関連事業他の各事業分野における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりであります。
また、当連結会計年度における研究開発費の総額は115,155百万円であります。
(1) 自動車関連事業
ワイヤーハーネス及び車載エレクトロニクス機器については、当社、住友電装㈱及び両社の共同出資による㈱
オートネットワーク技術研究所を中心に、当社固有の材料技術・解析技術を活かして安全、快適、環境のニーズに対応した新製品の開発を行っております。
ワイヤーハーネスについては、次世代車載システムにパワー供給や情報伝送するためのハーネスアーキテクチャを構築し、それに必要な要素技術の開発を進めております。また、環境対応としてハーネスの軽量化に取り組んでおり、銅に比べ軽量なアルミを使ったワイヤーハーネスの量産、さらに高強度な電線の開発によるエンジンルーム等への適用範囲拡大を進めております。市場規模が拡大してきた電気自動車(EV)・ハイブリッド自動車(HEV)用高圧ハーネスやコネクタ、バッテリー内配線モジュールの開発等にも取り組んでおります。車載エレクトロニクス機器に関しては、電源系、情報系のネットワーク化に対応すべく、電源制御機器や半導体デバイス、ボディ制御ECU、さらにゲートウェイなど、次世代車載LAN(Local Area Network)製品の開発を進めております。
一方、新製品の開発効率化や高いレベルの品質確保に向け、要素技術開発や信頼性確保に不可欠な試験・分析・評価・解析技術の開発を推進しております。環境試験装置や分析装置等の評価設備の充実を図るとともに、CAE(Computer-Aided Engineering)技術を用いたシミュレーション技術も充実させております。
住友理工㈱では、事業を取り巻く環境がダイナミックに変化する中、将来の成長・発展に結びつく新事業の創出に向けて、コア技術である高分子材料技術と総合評価技術をベースに外部技術の融合・協業を促進し、スピー
ディーな新技術の創出とタイムリーな商品開発を目指しており、既存事業のコア技術を進化させる材料技術研究所と、先行技術研究所に体制を変更しました。自動車分野においては、新規顧客開拓を推進する体制を整え、「防振ゴム」「ホース」「ウレタン製品(制遮音品・内装品)」の既存3分野以外の自動車用新商品を開発・育成していくために、「自動車新商品開発センター」を設置しました。体圧を検知する「スマートラバー(SR)センサ」を自動車のシートに埋め込み、呼吸や心拍などのバイタル情報によってドライバーの異変を検知、危険を回避する乗員状態検知機能の実用化に向けた開発や、EV及び燃料電池自動車(FCV)向けの環境対応製品の技術開発などにも取り組んでおります。
当事業に係る研究開発費は70,894百万円であります。
(2) 情報通信関連事業
光通信関連製品、ネットワーク・システム製品などの分野において、総合的に研究開発を行っております。
光通信関連製品では、光ファイバ通信のさらなる高速化・長距離化に向けて、海底ケーブル用途の低損失低非線形光ファイバの研究開発を進め、量産安定化技術とさらなる特性向上に取り組んでおります。その一例として、
2016年度は光ファイバの低損失世界記録更新に成功し、2017年3月に光通信関係の国際学会(OFC)での発表とプレスリリースを行いました。
また、伝送容量の飛躍的な拡大に向けて、1本の光ファイバに複数本のコアが形成されたマルチコア型光ファイバの開発に取り組み、光ファイバ構造・製造方法の検討、複数のコアへの光入出力デバイスなど、実使用上の課題解決に向けた研究を進めております。
一方で、データセンタにおける情報機器内や情報機器間の高速大容量伝送に適した光配線製品を従来のテレコム光通信で培った技術で開発を進めております。特に、データセンタ内で使用される新型光コネクタや情報機器内の高密度光配線を実現する光部品などの製品開発を進めております。
これらの一例として、上記マルチコア型光ファイバと高密度光コネクタを組み合わせ、世界最高となる256コアを一括接続できる超高密度多心光コネクタも実現可能であることを2017年3月のOFCで発表しました。
そのほか、光ファイバ製造技術を活用した新材料の開発、光ファイバ実装・光学設計などの基盤技術を活用した新製品の開発を進めており、エレクトロニクス、環境・エネルギー、ライフサイエンスなどの新たな分野への光技術の展開を図っております。
デバイス関連分野では、数十mの短距離伝送から数千kmの長距離伝送に対応するハイエンドの光通信用デバイス及び高効率、高出力特性を有する無線通信用電子デバイス技術を活かして、新製品をいち早く市場に投入することにより、事業拡大に努めております。
光通信用デバイス関連製品においては、イーサネットに代表される支線系用10/100Gbpsの製品開発を終え、100Gbps対応では、さらなる小型省電力化、長距離化を目指し、開発を継続しております。高性能受発光素子、広帯域内製IC、波長多重機能を高密度集積した超小型光サブアセンブリ(OSA)を開発し、CFP4/QSFP28(現行製品比、容積約1/10、消費電力約1/3)と呼ばれる光トランシーバを製品化するとともに、次世代の400Gbps対応開発も進めております。数百kmから数千kmの幹線系対応として、コヒーレント伝送デバイスを開発しております。波長多重技術を用いることにより、数Tbps伝送を可能とします。構成要素である波長可変半導体レーザ、光多値位相変調デバイス、ホモダイン光受信デバイスは、化合物半導体を用いた光集積回路技術を用いて製品化しつつあります。それらを用いた光トランシーバの開発も進めております。ごく短距離の数十mの建屋内配線市場においても、100Gbps以上の大容量化が検討されており、キーデバイスとなる超低消費電力で光学実装性の優れた面発光型半導体レーザ(VCSEL)の高速化、多波長化を進めております。
無線通信デバイス関連製品では、世界に先駆けて高効率・高出力のGaN(窒化ガリウム)トランジスタを開発し、携帯基地局用途に製品化しました。本製品は低消費電力化やLTEへの移行など市場の要請に合致し、国内外で既存のSi(シリコン)トランジスタからGaNへの移行を牽引しました。現在は、LTEに次ぐ第5世代携帯無線用途を見据え、更なる効率改善を図るとともに、微細化技術開発を推し進めることにより、20GHzから80GHz帯までを視野に入れた高周波/広帯域化を実現する計画としております。
さらに、レーダ用途を目指し10GHz帯での高出力・高効率化を図るとともに、20GHz帯、80GHz帯(ミリ波帯)でのMMIC(Microwave Monolithic IC)の開発を進めております。これらのデバイスは、小型化、経済化を目指した、当社独自の3次元配線技術及びWLCSP(Wafer Level Chip Size Package)の特徴を生かして、適用領域の拡大、新規分野への展開を進めてまいります。
これらデバイス技術の蓄積を活かし、ライフサイエンス、環境関連、インフラや工業プロセス管理など多様な分野への応用が期待できる高感度な近赤外イメージセンサ(~3μm)の実用化開発を行うとともに、さらなる用途拡大を目指し、中赤外領域(3μm~)の量子カスケードレーザ(QCL-LD)、超格子型イメージセンサの開発も進めております。
ネットワーク・システム関連分野では、情報通信技術の革新により、安全・安心・快適かつ持続可能な社会の実現を目指した情報通信機器の研究開発を推進しております。
有線通信システム関連では、10G-EPON等、より高速化した次世代システムの研究開発に、無線通信システム関連では、携帯基地局向けの高周波増幅器モジュールの開発と第5世代通信システム向けの新製品の検討に取り組んでおります。交通インフラ関連では、信号制御アルゴリズム、自動走行支援を含む高度走行支援システムの開発を行っております。生産技術分野では、IoTに向けた高度なサービス実現の基盤となる省電力無線センサ技術、AI・データ分析技術を用いた設備故障の予兆診断等の研究にも取り組んでおります。また、超高精細映像技術分野では、8Kの普及促進に向け、大容量画像の圧縮伝送技術に取り組んでおります。
当事業に係る研究開発費は16,931百万円であります。
(3) エレクトロニクス関連事業
マイクロ・ナノテクノロジーを駆使して、広範な新材料や部品の開発を行っております。
化合物半導体では、情報通信を支える高速通信用の光デバイスや無線通信用電子デバイスなどに用いられるインジウムリン及びガリウムヒ素系エピタキシャルウエハの新製品開発を進めております。また、青紫色レーザダイ
オード、白色LEDやパワーデバイス等に応用されるGaN基板の高品質化に加え、それら材料からデバイス技術の研究とその応用製品の開発も行っております。これまでの発光特性と高周波特性に着眼した材料開発に加え、さらに、全く新しい機能を有する光デバイスや電子デバイス用途の半導体材料の開発にも取り組んでおります。
エレクトロニクス関連部材では、独自の液相還元プロセスで合成した金属ナノ粒子粉末を用いた回路形成用ナノインク及び高精度印刷技術による微細回路基板を開発しており、携帯電子機器用の次世代微細回路基板への応用開発を行っております。さらに、固有の絶縁材料技術や接着材料技術を活用した車載向けの高耐熱性電子回路基板、配線部材の開発にも取り組むとともに、金属材料とセラミックスを複合化した電子デバイス用の低線膨張率の高放熱素材、独自の多孔化技術を適用した半導体用途向けの微細多孔質フッ素樹脂膜の開発にも注力しております。
当事業に係る研究開発費は3,420百万円であります。
(4) 環境エネルギー関連事業
超電導や次世代送電網の分野でのネットワーク技術を活用したエネルギーソリューション事業など、新しい分野への進出を図るとともに、蓄電池などエネルギー分野での積極的な開発を推進しております。
超電導分野では、ビスマス系高温超電導線材の特性と量産性を大幅に向上させ、世界各国のケーブルプロジェクトやモータ、マグネット用などに線材を納入するなど、商業ベースでの販売本格化を図りつつあります。2015年4月、従来と比較し、約50~60%の引張り強度の向上を実現した400メガパスカル級の超高強度超電導線材の開発に成功し、販売を開始しました。これにより、核磁気共鳴(NMR)装置などの超高磁場マグネットへの適用範囲が広がりました。
超電導ケーブル交流送電システムでは国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「高温超電導ケーブル実証プロジェクト」に参画し、2012年10月から2013年12月まで1年以上にわたり、日本初の系統連系試験を成功裏に完了いたしました。また、2014年6月から本プロジェクトの後継プロジェクトとして「次世代送電システムの安全性・信頼性に係る実証研究」に参画し、実用化への研究開発に取り組んでおり、2017年3月末から約1年の予定で系統接続を再開し、順調に運転しております。
産業応用では超電導マグネットシステムの開発を進めており、2014年7月に小型軽量冷凍機冷凍型マグネットシステム(±6T-Φ70mm)の販売を開始し、磁気特性評価装置への適用、さらに産業界での実用化、用途開拓に注力しているところであります。またビスマス系とは異なる次世代の超電導線材の研究も行っており、結晶配向した金属基板、中間層、超電導層からなる薄膜超電導線の特性向上にも注力しております。
次世代送電網の分野では、自然エネルギーの導入、省エネルギー、電力網の分散管理といった社会ニーズに対応すべく、2011年6月から、当社大阪製作所において、複数の自然エネルギー発電装置と小型レドックスフロー電池(蓄電池)等を直流電力ケーブルで連結したマイクロスマートグリッドシステムの実証試験を実施しております。2012年7月から、当社横浜製作所において、メガワット級の出力・容量を有するレドックスフロー電池と出力100kWの集光型太陽光発電(CPV)から成る大規模蓄発電システムを開発し、実際の工場電力運用の中で、製品化のための実証運転を実施しております。2015年12月からは、北海道電力㈱南早来変電所において、大型蓄電システム(レドックスフロー電池、容量60MWh)の実証試験を実施しております(経済産業省の大型蓄電システム緊急実証事業に北海道電力㈱と共同で応募し、採択されたものです)。2016年11月には、モロッコ王国において出力1MWのCPVプラント運用実証を開始しました。2017年3月には、米国カリフォルニア州において容量8MWhのレドックスフロー電池の実証運転を開始しました(これは当社がNEDOより実証委託を受け、実施するものです)。また、電力需給逼迫時に電力使用量の調整を行うデマンドレスポンス自動化
サーバ、宅内の電力使用量を最適化するシステム(HEMS)、電力線通信(PLC)によるメガソーラー監視システム、非常用の小型蓄電池やパワーコンディショナ等の開発にも注力しております。
蓄電池分野では、リチウムイオン電池やキャパシタなどの蓄電デバイスの高性能化に貢献する集電材料として、当社独自の溶融塩めっき技術を用いた金属多孔体「アルミセルメット」を開発しており、量産化に向けた生産技術開発に注力するとともに、ニーズの調査、顧客での評価を進めております。また、EVやHEV等の環境対応車の分野では、固有の高分子材料の合成技術を駆使し、駆動モータ等に適用する高性能平角巻線の開発にも取り組んでおり、モータの高性能化に貢献する薄肉皮膜で高度な電気絶縁性を発揮する次世代平角巻線の開発に注力しております。
住友電設㈱では、社会や顧客の多様化するニーズに応えるべく、太陽光発電システム用保守監視システム、監視・エネルギー管理等のビル・マネジメントシステム、工場向け総合セキュリティシステム、異常通報システム、超電導冷却システム、蓄電池システム、バーチャルパワープラントなど、最新技術、情報化技術を活用し、省エネ技術、新工法、各種システムの開発に取り組んでおります。
日新電機㈱では、電力機器分野をはじめ、ビーム・真空応用分野、新エネルギー・環境分野、ライフサイクルエンジニアリング分野にかかわる技術開発・製品開発並びにソリューション開発に注力しております。電力機器分野においては、縮小化及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発とともに、太陽光発電をはじめ、多様な分散電源の増加を受けて、電力品質を維持・向上する技術研究や製品開発並びにシステム実証に取り組みました。ビーム・真空応用分野においては、新たなコーティング薄膜やその用途拡大に向けた研究開発、半導体製造用イオン注入装置や電子線照射装置などの次世代製品の研究開発に注力しております。また、新エネルギー・環境分野においては、太陽光発電用パワーコンディショナの縮小化及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発に注力するとともに、エネルギー管理システム(EMS)関連やIoT関連の技術研究を進めております。
当事業に係る研究開発費は16,022百万円であります。
(5) 産業素材関連事業他
超硬合金、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、コーティング薄膜、特殊鋼線、セラミックスや鉄系焼結部品に関する当社固有の材料技術とプロセス技術を駆使し、切削用工具や超精密加工用工具、各種自動車機構部品・機能部品、家電部品等の開発を進めております。
切削用工具開発においては、今後、市場が伸長していく航空機分野を重点ターゲットとし、革新的な粉末冶金技術、コーティング技術、超高圧技術により超硬合金製品、CBN製品の研究開発を進めております。
ダイヤモンドでは、15万気圧、2000℃以上の新しい超高圧技術と独自の新プロセスにより合成した、数十nmサイズの超微細粒よりなる高硬度ナノ多結晶ダイヤモンドが従来のダイヤモンドを大きく凌駕する機械的特性を有することを実証し、次世代の高性能精密加工用工具として実用化開発に注力しております。
焼結部品の関連では、ディーゼルエンジン用燃料噴射装置部品など高周波域で優れた磁気特性を持つ圧粉軟磁性材応用製品の開発、EV・HEVなどの自動車の電動化に対応した高性能圧粉軟磁性材料の製品開発に注力しております。
また、切削工具分野で培った超硬合金技術、コーティング技術を展開すべく、新接合手法として注目されている摩擦撹拌接合ツールの開発に取り組み、非切削分野での新市場開拓を目指しております。
当事業に係る研究開発費は7,888百万円であります。
今後の成長を担う新規分野への挑戦としては、農業分野において、当社独自の砂栽培、情報通信技術(ICT)及び環境制御技術を組み合わせることで抜本的な生産性の改善を目指し「農業の工業化」に取り組んでおります。ライフサイエンス分野では当社の既存技術の応用可能性を探索しております。また次世代の電線材料として期待される導電性カーボン単結晶線の長尺化にも独自製法で取り組んでおります。そのほか、材料に強みを持つ当社の特長を活かして、省エネに対応した新たなパワーデバイスであるSiCパワーデバイスを基板から一貫して開発しており、国立研究開発法人 産業技術総合研究所と協力して、つくばにSiC専用6インチ・ラインを立ち上げ、事業化に向けた活動を展開しております。
以上の5分野他の研究開発及びグループ全体の生産、品質などを支える解析技術の分野では、ナノスケールの構造解析や、ポリマーの分子構造解析など、世界トップレベルの分析を行っております。さらに、SPring-8などの放射光施設を利用した最先端の原子レベル解析により、レアメタルのリサイクル技術開発や知的財産権の強化などに寄与しております。なお、放射光利用の拡大を図るため、佐賀県が運営する九州シンクロトロン光研究センターに当社グループ専用のビームラインを建設し、2016年度下期に稼働を開始しました。また、高度な計算機シミュレーションを用いたCAE技術の開発にも注力しており、2016年度には、社内のCAE用並列計算
サーバを増強し、処理能力を4倍以上に高めました。加えて、国立研究開発法人 理化学研究所が保有する「京」など、外部のスーパーコンピュータも利用しながら、生産プロセスの改善や各種新製品の設計にCAE技術を活用することで他社との差別化につながる解析技術の開発を推進しております。
そのほか、大阪製作所内の研究本館「WinD Lab」を研究・開発活動の中核とし、さらなる事業の成長を目指します。また、グループ全体として、これらの研究開発成果を早期に確保すべく努めるとともに、企業の社会的責任を自覚し、省エネ、省資源、環境保護に関する研究にも注力してまいります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。また、連結財務諸表を作成する際には、当連結会計年度末日時点の資産・負債及び当連結会計年度の収益・費用を認識・測定するため、合理的な見積り及び仮定を使用する必要があります。当社グループが採用している会計方針のうち重要なものについては、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「重要な会計方針」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
海外を中心に自動車用ワイヤーハーネスや光ファイバ・ケーブル、光・電子デバイス等の需要は堅調であった一方、携帯機器用FPCの需要減少、及び円高や銅価格下落の影響が大きく、この結果、売上高は前連結会計年度比4.0%減の2,814,483百万円、営業利益はグローバルでのコスト低減、新製品の開発・拡販を進め、前連結会計年度比4.9%増の150,503百万円、営業利益率は0.4ポイント上昇の5.3%となりました。営業外収益は、持分法による投資利益の減少により1,992百万円減の44,719百万円、営業外費用は3,179百万円減の21,350百万円となり、経常利益は前連結会計年度比5.0%増の173,872百万円となりました。特別利益では投資有価証券売却益14,432百万円を計上しました。特別損失では、固定資産除却損4,331百万円、事業拠点の再編に伴う事業構造改善費用6,046百万円に加え、和解金10,135百万円を計上し、合計では20,512百万円となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は167,792百万円となりました。ここから法人税等41,447百万円及び非支配株主に帰属する当期純利益18,783百万円を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比18.2%増の107,562百万円となりました。
また、各セグメントの売上高・営業利益に重要な影響を与えている主な要因は次のとおりであります。
自動車関連事業は、ワイヤーハーネスや自動車電装部品、防振ゴムで新規車種への採用拡大などグローバルでの需要捕捉を進め、特に中国をはじめとする海外での販売数量が増加した一方で、円高や銅価格下落の影響を受け、売上高は減収、円高の影響の一方で、グローバル生産拠点でのコスト低減を進め、営業利益は増加しました。情報通信関連事業は、円高の影響の一方で、光ファイバ・ケーブル、光・電子デバイスにおいて中国や米国をはじめとする海外を中心に需要が増加し、データセンター向け光ケーブルの売上による採算改善やコスト低減も加わり、売上高・営業利益ともに増加しました。エレクトロニクス関連事業は、電子ワイヤーで新規需要開拓により販売数量が増加した一方で、携帯機器用FPCの需要減少及び新製品生産立ち上げ遅れによる販売数量減少や価格競争激化に加え、円高やFPCの生産量減少に伴う採算悪化の影響もあり、売上高・営業利益ともに減少。環境エネルギー関連事業は、主に銅価格下落の影響のため、売上高は減収、住友電設㈱の海外子会社で過年度の不適切会計の修正処理による損失計上があった一方で、電力ケーブルでのコスト低減、日新電機㈱で高精細・中小型FPD製造用イオン注入装置の需要捕捉及び採算改善が進んだことなどで、営業利益は増加しました。産業素材関連事業他は、円高の影響などにより、売上高は減収、前期は㈱アライドマテリアルでタングステン及びモリブデン相場下落に伴う原材料の時価評価損の計上があったほか、スチールコードで海外でのコスト低減を進め採算が改善したことなどで、営業利益は増加しました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの当連結会計年度における資金の状況は下記のとおりであります。
まず、営業活動によるキャッシュ・フローで209,233百万円の資金を獲得しました。これは、税金等調整前当期純利益167,792百万円と減価償却費130,700百万円との合計、即ち事業の生み出したキャッシュ・フローが298,492百万円あり、これに運転資本の増減などを差し引いた結果であります。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、194,829百万円の資金を使用しました。これは、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出175,170百万円などがあったことによるものであります。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは、14,404百万円のプラスとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、4,763百万円の資金の減少となりました。これは、社債の発行による収入の一方、自己株式の取得による支出や配当金の支払などによるものであります。
以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より5,947百万円増加
(3.4%)し180,002百万円となりました。また、当連結会計年度末における有利子負債は、前連結会計年度末より53,844百万円増加し510,989百万円となり、有利子負債から現金及び現金同等物を差し引いたネット有利子負債は、47,897百万円増加し330,987百万円となりました。