文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」のもと、公正な事業活動を通して社会に貢献していくことを不変の基本方針としております。こうした基本理念を堅持しつつ持続的に成長し、中長期的に企業価値を向上させていくためには、適正なコーポレート・ガバナンスに基づき経営の透明性、公正性を確保するとともに、イノベーションをキーワードに、保有する経営資源を最大限活用して成長戦略を果断に立案・実行していくことが重要であり、以下の基本的な考え方に沿って、コーポレート・ガバナンスの一層の充実に取り組んでまいります。
(ⅰ)株主がその権利を適切に行使することができる環境の整備を行う。
(ⅱ)株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、それらステークホルダーと適切に協働する。
(ⅲ)会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
(ⅳ)取締役会の戦略等基本方針決定機能及び経営の監督機能を重視し、それらの機能の実効性が確保される体制の整備及び取締役会の運営に注力する。業務執行については、権限及び責任を明確化し、事業環境の変化に応じた機動的な業務執行体制を確立することを目的として、執行役員制並びに事業本部制を導入している。また、経営の健全性確保の観点から、監査役監査の強化を図ることとし、独立社外監査役と常勤の監査役が内部監査部門や会計監査人と連携して適法かつ適正な経営が行われるよう監視する体制としている。
(ⅴ)持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、合理的な範囲で、株主との建設的な対話を行う。
[住友事業精神]
住友の事業は、今から約400年前、銅と銀を吹き分ける「南蛮吹き」と呼ばれる技術による銅精錬事業に遡り、その後別子銅山における鉱山業を中心に発展を遂げてきました。こうした事業の隆盛を支えてきた精神的基盤が「住友事業精神」であり、住友家初代・住友政友が後生に遺した商いの心得『文殊院旨意書』を礎とし、住友の先人により何代にもわたって深化・発展を遂げてきたものです。その要諦は、1891年に改訂された住友家法の中で「営業の要旨」として端的に示されています。
営業の要旨 ※ここでは、住友合資会社社則(1928年制定)より抜粋しました。
第一条 我が住友の営業は、信用を重んじ確実を旨とし、以てその鞏固隆盛を期すべし
第二条 我が住友の営業は、時勢の変遷、理財の得失を計り、弛張興廃することあるべしと雖も、
苟も浮利に趨り、軽進すべからず
この他にも、『技術の重視』、『人材の尊重』、『企画の遠大性』、『自利利他、公私一如』といった精神が今に至るまで脈々と受け継がれています。
[住友電工グループ経営理念] ※創業100周年を機に明文化(1997年6月)
住友電工グループは、
・顧客の要望に応え、最も優れた製品・サービスを提供します。
・技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます。
・社会的責任を自覚し、よりよい社会、環境づくりに貢献します。
・高い企業倫理を保持し、常に信頼される会社を目指します。
・自己実現を可能にする、生き生きとした企業風土を育みます。
(2) 経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、住友事業精神、住友電工グループ経営理念といった「今後とも変わることのない企業の人格的な価値を示す言葉であるGlorious」を堅持しながら、「Excellent、すなわち優れた業績を収める企業」、あわせて「Glorious Excellent Company」をありたい姿として目指しており、これに向けての中期的な目標として「Vision」を定めております。
2018年5月25日に公表した当社中期経営計画「22VISION」においては、「総力を結集し、つなぐ、つたえる技術で、よりよい社会の実現に貢献する」のコンセプトのもと、現在の5つの事業セグメントを強化・伸長させるとともに、イノベーションによりさらなる成長を目指しております。この成長戦略を実現するために、「モノづくり」「人材・組織」「財務」の3つの基盤を強化しながら、「モノづくり力のさらなる強化」「グローバルプレゼンスの向上」「トップテクノロジーの創出・強化」に重点的に取り組み、2022年度の最終目標として、売上高3兆6,000億円、営業利益2,300億円、ROIC*9%以上、ROE*8%以上を掲げております。
* 投下資産営業利益率(ROIC)=営業利益/(総資産-無利子負債)
* 自己資本当期純利益率(ROE)=親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本
[22VISIONの重点取り組み項目]
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ものづくり力のさらなる強化 |
・“世界トップの安全企業”を目指す ・継続的カイゼンによる“強い工場”づくり ・技術、ベストプラクティスのグローバルな共有/横展開による強み発揮 |
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グローバルプレゼンスの向上 |
・グローバル顧客のシェア向上 ・グローバルな市場環境の変化を先取りした新しいビジネスモデルの創出 ・マーケティング機能の強化 |
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トップテクノロジーの創出・強化 |
・材料からプロセスに至る幅広いコア技術の更なる強化 ・自動車、エネルギー分野の変革を先取りするイノベーション創出と迅速な事業化 ・社会変革をもたらす革新技術へのチャレンジ |
22VISIONのセグメントごとの経営戦略は次のとおりであります。
・自動車関連事業
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ありたい姿 |
ワイヤーハーネスをコアとするメガサプライヤーを目指す |
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成長戦略 |
・客先コンセプトイン活動の推進 ・社外連携強化 ・当社グループ内リソース結集による事業基盤の強化 ・グローバル顧客への拡販 ・CASE*関連新製品の創出 |
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当社の強み |
・住友電工・住友電装・オートネットワーク技術研究所の三位一体体制によるワイヤーハーネス事業の総合力と市場プレゼンス ・グローバル展開力 ・電力、通信、産業素材事業の実績と車載製品への応用 |
* CASE:自動車業界のトレンドを表す言葉で、Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared
(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとったもの。
・情報通信関連事業
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ありたい姿 |
ハイエンドの光ファイバ/接続技術・伝送デバイス/化合物半導体・アクセス機器技術をコアに、大容量ネットワーク・インターコネクト市場でリーディングサプライヤーを目指す |
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成長戦略 |
・IoT社会を支えるコア技術の追求 ・顧客の期待の一歩先を実現する独創製品の提案・開発、グローバルプレゼンスの向上 ・IoTを用いた生産技術革新、グローバル事業基盤整備 |
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当社の強み |
・大容量高速通信向け極低ロス光ファイバ製造技術 ・超多芯光ケーブル製造技術 ・光学精密成型/メカトロニクス技術 ・映像、光アクセス機器のソフトウェア開発力 ・光/無線用化合物半導体での材料からデバイスまでの垂直統合による連携開発 |
・エレクトロニクス関連事業
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ありたい姿 |
モバイル端末、移動体エレクトロニクスを中心に高機能配線と高機能部材でグローバルトップサプライヤーを目指す |
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成長戦略 |
・北米、中国、アジアを中心としたグローバルな販売・製造体制の強化 ・高精細、高速伝送、高強度軽量化等の新機能要求に対応する独創的な製品の提案・開発体制の強化 ・事業サイクルの短い顧客要求にもタイムリーに応えるモノづくり・事業基盤の強化 |
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当社の強み |
・成長市場をリードする顧客との強固なパートナーシップ ・高速伝送、高耐熱、高精細化、多孔質、電子線照射等、独自の材料開発・設計・加工技術 ・高機能配線材・保護材・機能製品等、グローバル顧客に対応できるサプライチェーン |
・環境エネルギー関連事業
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ありたい姿 |
環境エネルギー関連製品及びシステムをグローバルに提供するトータルサプライヤーを目指す |
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成長戦略 |
・電力インフラ市場でのグローバルなプレゼンス向上 ・再エネ増加やEV等普及で変化するエネルギー市場に対応する製品・システムの提供 ・自動車の電動化、環境対応を支える新製品開発 |
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当社の強み |
・国内トップの事業基盤、実績 ・高付加価値新製品を生み出す特長技術 ・インフラに関わる多種多様な製品群とサービス ・エネルギーシステムに関する企画提案力 ・有力な関係会社を含めたグループ総合力 ・原材料から製品までの一気通貫での開発体制 |
・産業素材関連事業他
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ありたい姿 |
世界トップレベルの材料技術を活かした高性能・高機能製品のグローバルサプライヤーを目指す |
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成長戦略 |
・コア技術の強化・革新 ・顧客への提案力強化 ・海外事業展開の加速 |
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当社の強み |
・材料開発力:独自材料/リサイクル技術で他社と差別化 ・モノづくり力:生産技術力ならびに製品評価を活かした顧客製造ラインの高度化/効率化に寄与 ・グローバル供給体制:顧客のグローバル対応をサポート |
(3) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の経済情勢は、新型コロナウイルスの新たな変異株の感染拡大リスクが残るほか、ウクライナ情勢など急速に高まる政治的・地政学的リスクや、半導体の供給不足等による自動車生産の減産、資材価格高騰・物流混乱の長期化なども憂慮材料であり、引き続き不透明な展開が続くものと予想されます。
このような情勢のもと、当社グループは、「Glorious Excellent Company」を目指して、社員の健康と安全、サプライチェーンの維持確保を引き続き最優先としつつ、製造業の基本であるS(安全)、E(環境)、Q(品質)、C(コスト)、D(物流・納期)、D(研究開発)のレベルアップに努めてまいります。資本効率向上の取り組みにおいては、重要指標としているROICの改善に向けて、棚卸資産残高や営業債権・債務残高の最適化、設備投資案件の厳選実施に努めるとともに、高採算品へのシフトや資材価格・物流費の売値への転嫁などの取り組みを一層強化してまいります。これらにより、中期経営計画「22VISION」の最終年度である2022年度を、中期目標の仕上げの年として、各事業において次の施策を進めてまいります。
自動車関連事業では、世界的な半導体供給不足等の影響で自動車生産動向が不透明な状況下、一層のコスト低減と生産の効率化に取り組み、需要変動に耐えうる筋肉質な事業体質の構築をさらに進めてまいります。併せて、ワイヤーハーネスをコアとするメガサプライヤーの実現に向け、客先への提案型マーケティングの強化により、電動車向けの高電圧ハーネス、高速通信用のコネクタといったいわゆるCASE関連の新製品創出・拡販、軽量化のニーズに対応したハーネスのアルミ化を加速するとともに、海外系顧客の一層のシェア拡大に取り組んでまいります。住友理工㈱では、自動車用防振ゴム・ホースなどにおいて、グローバル対応の深化や国内外事業拠点の統合・集約、コスト削減によって収益力の回復を図ることに加え、次世代自動車に向けた新製品開発にも注力してまいります。
情報通信関連事業では、クラウドサービス*市場の拡大や第5世代移動通信システム(5G)の本格立ち上がりに対し、超多心光ケーブルをはじめとする各種光ケーブルや光配線機器、光デバイス等のデータセンター関連製品の生産能力増強と需要の確実な捕捉に努めるほか、海底ケーブル用の極低損失・大容量光ファイバ、5G基地局用の電子デバイス、高速大容量通信を可能とするアクセス系ネットワーク機器など、社会動向や市場ニーズに応じた高機能製品の開発・拡販に引き続き取り組んでまいります。また、徹底したコスト削減にも取り組み、収益性の改善に努めてまいります。
* クラウドサービス:従来は利用者が手元のコンピュータで利用していたデータやソフトウェアを、ネットワーク経由で、サービスとして利用者に提供するもの。
エレクトロニクス関連事業では、FPC(フレキシブルプリント回路)においては、微細回路形成技術を活かした高機能品の拡販や生産性改善による収益力向上に引き続き取り組むとともに、車載用途への拡販、高周波化に対応した新製品の開発を加速してまいります。照射架橋技術を活かした電動車の電池端子用リード線(タブリード)、電動パーキングブレーキ用電線、熱収縮チューブ、さらにはフッ素樹脂加工技術を活かした水処理製品についても、多様な客先ニーズを捕捉して事業の拡大を図ってまいります。また、㈱テクノアソシエとの事業シナジーの拡大にも引き続き取り組んでまいります。
環境エネルギー関連事業では、電力ケーブルについて、国内の設備更新需要の捕捉に引き続き取り組むほか、脱炭素社会に向けて世界的に市場が拡大している国家・地域間連系線や風力発電など再生可能エネルギー関連の受注拡大に努めるとともに、コスト低減、品質向上、新製品開発、プロジェクトマネジメント強化に注力してまいります。また、電動車向けのモーター用平角巻線については、増加する需要を着実に取り込むためのグローバルな生産能力増強とコスト低減による収益力の向上を進めてまいります。さらに日新電機㈱や住友電設㈱を含めたグループ総合力を活かして、一層の受注拡大に努めてまいります。
産業素材関連事業では、超硬工具においては、グローバルな販売力強化により堅調な需要を確実に捕捉するとともに、電動車部品や航空機部品用工具の新規開拓も進め、市場シェアの拡大に努めてまいります。焼結部品は、今後の事業発展に向けて、電動車向けの拡販と、グローバルに展開する各製造拠点のコスト競争力の一段の強化に取り組んでまいります。PC鋼材やばね用鋼線については、グローバルな製造販売体制の強化と新製品の開発により収益力の向上を図ってまいります。
研究開発では、オリジナリティがありかつ収益力に優れた新事業・新製品の創出に努めてまいります。具体的には、超電導製品、SiC(シリコンカーバイド)パワー半導体デバイス、レドックスフロー電池などの新事業に注力するほか、5つの現事業セグメントを支える次世代の製品として、ポスト5G及び次世代移動通信システム、データセンター、光海底通信用途などの伝送機器、デバイス、光ファイバやエレクトロニクス製品、また環境負荷低減に寄与する電力ケーブル材料や車載・産業用の材料など、社会ニーズを踏まえた新製品の開発にも産官学の連携による社外の知見も積極的に活用して注力してまいります。また、製造現場でのAIやIoT活用による生産革新にも取り組むとともに、事業部門や営業部門との連携を一層強化し、研究開発活動のさらなる活性化とスピードアップを進めます。
また、法令遵守や企業倫理の維持は、当社経営の根幹をなすものであり、企業として存続・発展するための絶対的な基盤と考えております。今後とも、住友事業精神の「萬事入精(ばんじにっせい)」「信用確実」「不趨浮利(ふすうふり)」*という理念のもと、社会から信頼される公正な企業活動の実践に真摯に取り組んでまいります。なお、住友事業精神と住友電工グループ経営理念の基本的な価値軸はSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)にも相通ずるものであると考えており、特に環境への取り組みにおいては、2030年までにパリ協定要求レベルの温室効果ガス排出量削減を目指し、2050年カーボンニュートラルの達成に向けた対応を強化してまいります。
* 萬事入精:まず一人の人間として、何事にも誠心誠意を尽くすべきとの考え。
信用確実:何よりも信用を重んじること。
不趨浮利:常に公共の利益との一致を求め、一時的な目先の利益、不当な利益の追求を厳に戒めること。
最後に、様々な社会変革が起こりつつある中で当社グループの目指す姿を示すため、2030年を節目とする長期ビジョン「住友電工グループ2030ビジョン」を策定し、2022年5月に公表いたしました。この長期ビジョンでは、「グリーンな地球と安心・快適な暮らしの実現」に向け、当社グループが総力を結集し、さまざまな価値を提供していくための方向性について説明しております。また、この長期ビジョンのもとでの具体的な事業計画として、2023年度より3カ年を区切りとする中期計画を策定し、刻一刻と変化する事業環境に的確に対応して中長期的な企業価値向上を果たすべく経営の舵を取ってまいります。
住友電工グループ「2030ビジョン」策定
当社グループの目指す姿を示すため、2030年を節目とする長期ビジョン「住友電工グループ2030ビジョン」を策定いたしました。株主様をはじめステークホルダーの皆様のご理解のもと、当社グループが一体となり企業価値向上に取り組み、「Glorious Excellent Company」の企業像実現を目指してまいります。
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住友電工グループ「2030ビジョン」 グリーンな地球と安心・快適な暮らし - その実現へ技術で挑戦し続けます - Connect with Innovation |
住友電工グループ「2030ビジョン」の具体的な内容は、以下のとおりです。
(経営方針)
「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」を堅持し、「事業を通じて公益に資する」という経営哲学のもと、常に公益を重視し、ステークホルダーの皆様との共栄を図っていくことを基本思想としています。そして、この基本思想のもと、これからも「トップテクノロジー」を追求し、グループの総合力とイノベーションにより、世界のインフラ・産業の発展を支えていきたいと考え、当社グループの存在価値(パーパス)を次のように定義しました。
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住友電工グループの存在価値(パーパス) トップテクノロジーを追求し、つなぐ・ささえる技術をイノベーションで進化させ、 グループの総合力により、より良い社会の実現に貢献していく |
今後も様々なリスクに的確に対応しながら、世界で活躍する当社グループ28万人の従業員による新たな価値の創造を通じ、グローバル市場の多様なニーズに応え、永続的な企業価値向上に取り組んでいきたいと考えています。
(2030年の社会像と事業領域)
当社グループは「安心」「快適」な社会への貢献に加え、「グリーン」な環境社会の実現に、グループの総力を挙げて取り組みます。そして、この目指す社会像の実現に向けて、これからも幅広く「インフラや産業を支える製品・サービス」を提供します。
(事業の方向性)
「エネルギー」「情報通信」「モビリティ」を3つの注力分野と位置づけ、取り組んでいきます。
また、これらの注力3分野を支える高機能製品の提供や、グリーン化に向けた様々な取組みを展開します。
(経営基盤と目標)
ビジョンの実現に向けて、「的確・迅速・柔軟」に変化に対応できる強い組織づくりを進めるため、3つのグ
ループ共有資本(人的資本・知的資本・財務資本)の充実を図るとともに、3つの推進力(研究開発・サプライ
チェーン・モノづくり)の強化に取り組み、中長期的な企業価値向上を目指します。
また、2023年度から3カ年毎に、中期計画として具体的な事業計画を策定いたします。
当社グループは、「グリーンな地球と安心・快適な暮らし」づくりにこれからも技術で挑戦し続けます。
<当社Webサイト 特集ページ>
https://sumitomoelectric.com/jp/company/segvision2030
当社グループでは、グループ横断的な主要リスクについては、各リスクを所管するコーポレートスタッフ部門や当該部門担当の取締役等(「役付取締役、役付執行役員」をいう。)が主催する各種委員会がグループ内に展開する対応策や事故事例・防止策に従い、各部門が所管事業の遂行に伴うリスクを再評価のうえリスク管理を行い、また、部門固有のリスクについては、専門的知見を有するコーポレートスタッフ部門や外部専門家の支援を適宜受けながらリスクの軽減等を行うこととしております。
これらの活動を推進するため、各部門及び関係会社ごとに年1回「リスクの棚卸し」を実施しており、様々なリスクが発生した場合の影響度、発生頻度などの評点化を行い、総合的に評価したうえで、優先的に取り組むべき「重要リスク」を抽出し、対策を検討・実施しております。
これらの活動は、経営会議メンバーで構成するリスク管理委員会が、リスク管理規程に従い統轄しており、棚卸しの中で全社共通的に重要と考えられるリスクについてはコンプライアンス・リスク管理室より本委員会へ報告され、メンバー間で認識の共有化と対策の検討が行われるとともに、監査役、内部監査部門及び各リスクを所管する各コーポレートスタッフ部門とも連携しながらリスクをモニタリングする体制を敷いております。
このようなリスク管理体制のもと、また、幅広い分野にわたってグローバルに展開する当社の事業活動も考慮のうえ、当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクを以下のとおり記載しております。ただし、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(政治経済情勢・需要変動・法律・規制の変更等に係るリスク)
当社グループは、自動車関連、情報通信関連、エレクトロニクス関連、環境エネルギー関連及び産業素材関連他の各需要分野にわたって事業を展開しております。また、地域的には、日本の他、米州、アジア、欧州、北アフリカ等に進出しております。これまで、当社では事業継続の観点から、生産拠点の一国集中を避けて複数拠点の分散を行うことでリスクの軽減を図ってきたため、当社グループの経営成績、財政状態ならびにキャッシュ・フローは、特定の地域・取引先・製品・技術等に過度に依存する状況にはありませんが、各分野や各地域に特有の需要変動や、技術革新に起因する製品ライフサイクル短期化、また、国内外の政治情勢の影響を受けることがあります。海外におけるテロ・暴動等のリスクに対しては、リスクコンサルタント等の専門家や政府関係機関等より情報収集を行うとともに、有事の際には現地拠点の安全確認、現地情報の社内展開を行っております。さらに、欧米、中国、東南アジアに地域コーポレート会社を設置し、必要に応じて弁護士やコンサルタント等の専門家と契約するなどしてコーポレート機能を強化して、リスク管理の側面からも各地域における関係会社の支援をしております。
なお、当社グループ製品の多くは、最終消費財の部品や社会インフラ用の素材・システムなどであるため、景気循環の影響を受けることはもとより、顧客の購買政策の変化や設備投資に対する政策的判断、競合会社との価格競争激化などの影響を受けることがあります。
また、各市場において、以下のように完全には回避することの困難なリスクが存在しており、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・輸入規制や関税率の引き上げ等により、売上が減少、もしくは原価率が悪化するリスク
・各国の国内及び国際間取引に係る租税制度の変更等により税金コストが上昇するリスク
・外貨規制、ハイパーインフレーション、テロ、感染症等により投資資金の回収が不可能となるリスク
(コンプライアンス全般に係るリスク)
当社グループは、グローバルに事業を遂行するにあたり、国内外の各種法令の適用を受けております。これらの法令違反行為や企業倫理に悖る行為を行うことにより、法令に基づく処罰、訴訟の提起及び信用・評判の失墜など当社グループの経営に重大な影響を与える可能性があります。
当社グループでは、コンプライアンスは、経営の根幹をなすものであり、存続・発展していくための絶対的な基盤であるとして、住友事業精神の「萬事入精」「信用確実」「不趨浮利」という理念に基づき、社会から信頼される公正な企業活動の実践に取り組んでおります。具体的には、社長が委員長を務めるコンプライアンス委員会の下、コンプライアンス・リスク管理室が世界各拠点の法務部門等と連携しながら、当社グループにおける各コンプライアンス活動全体の調整・確認を行うとともに、コンプライアンスの基本姿勢を示す行動規範の制定、コンプライアンスの意識・理解を高める教育の実施、及び内部通報制度の周知・積極的な利用の呼びかけなどを通じて、法令違反行為及び企業倫理に悖る行為の発生可能性を低減するよう努めております。
特に競争法違反及び贈収賄に係るリスクは、欧米を含む厳しい各国法令が適用され、違反時のリスクが高いと考えられます。違反時には、当局への罰金の支払い、役職員個人への刑罰、株主代表訴訟、顧客との取引停止及び信用・評判の失墜など当社グループの経営に重大な影響を与える可能性があります。関連規程の制定、対面研修・Eラーニングの実施、各部・各社におけるこれらのコンプライアンスを担う責任者の設置、ならびに内部通報制度の周知・積極的な利用の呼びかけなどの対応策を実施することにより、運用面でも違反行為の発生可能性を低減するように努めております。
(気候変動のリスク)
当社グループは、気候変動の原因となる温室効果ガスの排出量を削減するために省エネルギーや再生可能エネル
ギーの導入に努めておりますが、排出規制の強化による太陽光発電施設等の導入やグリーン電力購入に伴うコスト、ならびに炭素税の増税による燃料調達コストの上昇が業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループはグローバルに事業を展開していることから、各国・各地域において、気候変動が一因とされる集中豪雨や大型台風の被害を受ける可能性がありますが、下記の「災害等のリスク」に記載する対応策を実施し、リスクに対処しております。
(災害等のリスク)
当社グループは、阪神・淡路大震災や東日本大震災といった巨大地震、又は集中豪雨、大型台風等により被害を受けた経験を踏まえ、大規模自然災害が発生した際も重要業務を継続し、迅速な復旧を図るため、事業継続計画(BCP)の策定と、BCPの継続的な改善を図る事業継続マネジメント(BCM)を推進するなど、従来より対策を講じております。
一方、当社グループはグローバルな事業展開を拡大していることから、各国・各地域において巨大地震や風水害等の直接的な被害を受ける可能性があることに加え、顧客の被災や物流網の寸断、電力不足等により生産活動が計画通り進まない可能性があります。また、当社グループの国内拠点の一部が、30年以内に70%程度の確率で発生が見込まれる南海トラフ地震や首都直下地震の想定被災地域あるいは沿岸地域等に存在していることもあり、大規模な地震が発生した場合には津波や液状化等による重大な被害を受ける可能性があり、当社グループの生産活動をはじめとする事業活動全般に影響を及ぼす可能性があるほか、売上減少や修繕費用の支出を余儀なくされるなど、当社グループの経営成績及び財政状態等に大きな影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対処するため、当社グループでは、当社各拠点及び各関係会社で同時開催する「統合防災訓練」を毎年2回、継続的に開催し、防災意識を高めております。また、対策本部設置による情報伝達・共有訓練も同時に行っております。
さらに、建屋の耐震改修を進め、主要な建屋は現行の耐震基準と同等以上の耐震性能を確保するようにしております。また、災害時も重要システムが停止しないよう、伊丹コンピュータセンターのバックアップセンターを横浜に設置し、年に1回、復旧訓練(BCP訓練)を実施しております。
(感染症に関するリスク)
当社グループでは2008年以降、新型インフルエンザへの対策として「行動計画ガイドライン」を策定し、BCPの策定や危機管理体制の構築を進めてきました。
今般の新型コロナウイルス感染症においても、上記ガイドラインやBCPの見直し、在宅勤務等リモートワークの積極的な活用をはじめ、感染拡大防止策の徹底を図り、製造部門においても、業務の中でいわゆる「三つの密」(密閉空間、密集場所、密接空間)が生じぬよう最大限の配慮をし、従業員の健康と安全の確保を最優先に、操業を継続しております。しかしながら、提出日現在、本感染症の世界的な流行による経済への影響は長期化しており、当社グ
ループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(産業事故等のリスク)
当社グループは、各製造拠点において火災・爆発、感電、有害物質の漏洩等について、点検と対策を計画的に進め、産業事故や環境汚染等の公害事故の発生防止を実施しております。特に火災については、他社及び当社グループで過去に発生した事故・ヒヤリ分析から未然防止に向けた活動を積極的に進めております。
産業事故については、重要設備の停止による生産活動への悪影響を最小限に抑えるために、日常的及び定期的な設備保全を行う一方、老朽化更新を計画的に進めております。環境汚染等の公害事故については、環境保護を含めた各国規制の把握不全ならびに新たな法・規制改正といったリスクが存在します。これらのリスクに対処するため、当社グループでは、各製造拠点においてグループ共通の管理基準に基づく厳格な自己管理のもと操業を行っております。また、施設診断やコンプライアンス(法令遵守)監査を実施することで、公害事故の発生の未然防止及び再発防止策の立案に努めております。しかしながら、予期せぬ事態により産業事故や公害事故が発生し、当該事故が当社グループの業務及び地域社会に大きな影響を及ぼした場合、これに伴い生ずる社会的信用の失墜、補償等を含む事故対応費用、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(人材確保に係るリスク)
当社グループは、多岐にわたる事業領域においてグローバルに製造事業を展開しております。こうした事業活動を支える人材の確保や流出防止ができない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、人材の育成と活用を経営の最重要事項として位置づけており、住友事業精神にある「事業は人なり」の精神を今に受け継いできております。こうした考え方に立脚し、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、働きやすい環境整備や健康経営の推進などを通じて、あらゆる人材が、仕事を通じて成長し、自己実現し、社会に貢献できる会社を目指し、人材・組織基盤づくりに注力することとし、競争力のある報酬処遇制度を整備し、各種施策を進めることで、人材の確保や流出防止に努めるとともに、ものづくり教育や高度な専門性を磨く研修などを通じ、人材の育成にも努めております。また、ものづくり人材や高度な専門性、技術を保有する人材の採用を進めるため、世界各地においてグローバルまたは各地域で活躍する人材の採用活動を行い、人材確保に努めております。
(金利の変動によるリスク)
当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を実施しております。当社グループでは、設備投資のための長期安定的な資金を必要とするため、長期固定金利の長期借入や社債発行による調達が中心となっていることから、金利の短期的な変動による影響は比較的受けにくくなっておりますが、金利が中長期的に上昇した場合は、長期借入や社債等による資金調達コストを上昇させ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(為替レートの変動によるリスク)
当社グループは世界各地で製造・販売活動を展開し、グループ各社は所在国通貨やそれ以外の通貨で売買等取引を行っており、各通貨の短期的な為替変動による変動リスクがあります。
当社グループでは、売買等取引通貨の一致、為替予約取引等の手段により各通貨の短期的な為替変動による影響を最小限にとどめるようにしておりますが、中長期にわたる大幅な為替変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、在外連結子会社及び在外持分法適用関連会社の個別財務諸表を主に現地通貨ベースで作成しており、連結財務諸表の作成時に円換算しております。従って、現地通貨ベースでの業績に大きな変動がない場合でも、期末円換算時の米国ドル、ユーロ等の為替レート変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。
(原材料等の調達に係るリスク)
当社グループは、電線・ケーブルなど銅を主たる原材料とした製品を多数有しております。このうち主要な製品の販売価格については、ロンドン金属取引所の市況価格を反映した銅価格に基づいて決定するという商慣習が普及しており市況価格変動リスクを回避しております。しかし一部の製品についてはこのような価格決定方法を採用していないため、数年に一度起こる急激な市況価格の上昇は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、価格転嫁交渉により損益への影響は最小限にとどまると考えております。
その他の非鉄金属、鉄鋼、石油化学製品、半導体等の原材料や副資材の調達についても、当社グループでの共同購買など有利購買活動を強化しておりますが、各産業の構造変化による諸資材の急激な市況価格の上昇や需給の逼迫が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また希少金属については、国策により供給量が限定され、必要量の調達が困難となる可能性があり、他の原材料や副資材についても、供給者の倒産、自然災害、感染症の蔓延、戦争、テロ、ストライキ、交通機能の障害等により、必要量の調達が困難となる可能性があるため、代替が効かない重要部材は戦略的に備蓄を行う等の対策を講じ、影響を最小限にとどめるよう取り組んでおります。
(保有有価証券の時価の下落によるリスク)
当社グループは、取引先との長期的・安定的な関係の構築・強化や、事業・技術提携の円滑化を主たる目的として、ROE、ROICへの影響や寄与等を勘案し、中長期的な企業価値向上に資するかという観点より、取引先等の政策保有株式を保有しております。保有目的に適さなくなった株式、あるいは中長期的な企業価値の向上に資することのなくなった株式は処分の検討を行っております。また原則、売買目的の株式は保有していないため、株式市況の変動が経営に直接与えるリスクは比較的小さいと考えられますが、株式市況が大幅に悪化した場合は、自己資本比率を低下させる可能性があります。
(退職給付債務に係るリスク)
当社グループは、ポイント制の退職一時金、確定給付企業年金の他、確定拠出年金制度を導入しています。従業員の退職給付債務及び費用については、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づき算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、具体的には、株式や債券等の価格下落に伴う年金資産の時価減少や、長期金利の低下に伴う割引率の引き下げなどにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
企業年金基金の年金資産運用にあたっては、運用基本方針の策定、資産構成や資産配分の決定、運用機関の選定等に際し、外部の運用コンサルティングの意見を聴取し、理事長の諮問機関として設けている財務担当役員や労働組合の代表者等からなる資産運用委員会に諮り助言を受けた上で、理事会、代議員会での議決を行う体制となっております。
(知的財産に係るリスク)
当社グループは、特許権、商標権等の知的財産権の取得により自社事業の保護を図るとともに、他社の知的財産権に対しても細心の注意を払っております。事業活動推進時には、知的財産権問題には十分に留意しておりますが、製品技術の進化、海外での事業活動の拡大、デジタル化の進展に伴う情報通信技術の利用やアプリの導入、流通経路の複雑化等により、当社グループの製品が意図せず他社の知的財産権を侵害した場合、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があります。当社グループ事業に関わる部品等の供給者、当社製品の顧客、事業の協業先など、多くの関係先と市場環境に関する情報を共有し、適切な契約を締結することにより、問題の発生抑止と影響の軽減を図っております。
各国の法制度や執行状況の相違により、他社による当社グループの知的財産権への侵害に対して常に十分な保護が得られるとは限らず、市場の確保が難しくなる可能性があります。このため、事業を展開する各国・地域の最新の知的財産環境情報を収集し、事業防衛に効果的な権利網の構築を図っております。
(情報の流出によるリスク)
当社グループは事業活動を通じて、自社及び顧客・取引先の営業秘密、ノウハウ、データ等の機密情報を保有しています。また国内外において20万人を超えるグループ従業員の個人情報も有しております。機密情報は、競争力の源泉として企業における管理の重要性が増しており、個人情報も、EU一般データ保護規則(GDPR)をはじめ世界的に規制強化の動きがあり管理の重要性が増しております。機密情報や個人情報の秘密保持については、管理体制の整備、社内規程の整備と周知徹底、個人情報保護方針の制定と公開、情報開示先との契約締結、情報セキュリティ(暗号化等)の強化、コンピューターウイルス感染や携帯電話等紛失時の報告体制の整備などの最大限の対策を講じております。なお、サイバー攻撃、コンピューターウイルス感染、不正アクセス、メールの誤送信、紛失・盗難などの予期せぬ事態や故意・過失により、情報が外部に流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の失墜、ブランドイメージの低下、損害賠償や規制当局による金銭的な賦課の発生(GDPRでは最大当社グループ売上高の4%に上る場合がある)などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(製品及びサービスの欠陥によるリスク)
当社グループは国内外で事業を展開していますが、グループ共通の「SEIグループ 品質管理基準」に基づいて体系化した品質管理の仕組みを各部門において構築し、製品及びサービスの品質向上や品質不正の未然防止に万全の注意を払っております。全社機能としては、各部門の業務の仕組みや運用状況の点検や監査、各階層を対象とした品質管理教育を系統立てて行い、品質管理基準の遵守に努めております。また、万一の事態に備え、製造物責任保険に加入する等の対策を講じております。しかしながら、予期せぬ事態により、製品及びサービスの欠陥等の品質問題が発生し、客先に対する製品納入の遅れや工場の生産性の低下、さらには大規模なリコールや製造物責任につながる可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の失墜、ブランドイメージの低下、製品の回収費用や損害賠償の発生などにより、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績
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|
売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
親会社株主に帰属 する当期純利益 (百万円) |
|
当連結会計年度 |
3,367,863 |
122,195 |
138,160 |
96,306 |
|
前連結会計年度 |
2,918,580 |
113,926 |
114,072 |
56,344 |
|
増減率(%) |
15.4 |
7.3 |
21.1 |
70.9 |
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン普及に伴い日本、欧米、アジア等の各々の地域で緩やかな回復が進みましたが、変異株の感染拡大により各国で経済活動の制限措置が断続的に取られたほか、世界的な半導体供給不足や資材価格高騰、物流停滞が深刻化し、さらに2022年2月以降はウクライナ情勢が緊迫化するなど、先行き不透明な状況が続きました。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、半導体等の部品不足による自動車生産の減産のほか、資材価格高騰、コンテナ不足や港湾混雑による物流費の上昇もあり、厳しいものとなりました。このような環境のもと、徹底したコスト低減とサプライチェーンの維持に取り組み、当連結会計年度の連結決算は、売上高は3,367,863百万円(前連結会計年度2,918,580百万円、15.4%増)と前連結会計年度比で増収となりました。営業利益は122,195百万円(前連結会計年度113,926百万円、7.3%増)と前連結会計年度に比べ増益、営業利益率は3.6%(前連結会計年度3.9%、0.3ポイント低下)となりました。営業外収益は、持分法による投資利益の増加などにより9,793百万円増の38,476百万円、営業外費用は、休止固定資産減価償却費の減少などにより6,026百万円減の22,511百万円となり、経常利益は138,160百万円(前連結会計年度114,072百万円、21.1%増)と前連結会計年度に比べ増益となりました。特別利益では固定資産売却益4,683百万円、投資有価証券売却益11,194百万円、子会社株式売却益3,409百万円、持分変動利益11,516百万円、退職給付信託返還益6,894百万円に加え、火災関連受取保険金2,668百万円を計上し、合計では40,364百万円となりました。特別損失では、固定資産除却損3,790百万円、減損損失6,456百万円、事業構造改善費用5,405百万円に加え、火災関連損失2,952百万円を計上し、合計では18,603百万円となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は159,921百万円となりました。ここから法人税等50,219百万円及び非支配株主に帰属する当期純利益13,396百万円を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は96,306百万円(前連結会計年度56,344百万円、70.9%増)と前連結会計年度に比べ増益となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
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売上高 |
営業利益又は営業損失 |
||||
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前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減率 (%) |
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減率 (%) |
|
|
自動車 |
1,602,042 |
1,754,195 |
9.5 |
48,198 |
12,264 |
△74.6 |
|
情報通信 |
224,576 |
239,150 |
6.5 |
24,343 |
23,398 |
△3.9 |
|
エレクトロニクス |
252,618 |
292,509 |
15.8 |
10,047 |
19,825 |
97.3 |
|
環境エネルギー |
634,191 |
833,425 |
31.4 |
25,024 |
44,024 |
75.9 |
|
産業素材他 |
302,524 |
327,883 |
8.4 |
6,660 |
23,024 |
245.7 |
|
合計 |
3,015,951 |
3,447,162 |
14.3 |
114,272 |
122,535 |
7.2 |
|
調整額 |
△97,371 |
△79,299 |
- |
△346 |
△340 |
- |
|
連結損益計算書 計上額 |
2,918,580 |
3,367,863 |
15.4 |
113,926 |
122,195 |
7.3 |
自動車関連事業は、銅価格上昇や円安の影響により、売上高は1,754,195百万円と152,153百万円(前連結会計年度比9.5%)の増収となりました。営業利益は、資材価格の高騰やグローバルな物流混乱による物流費の大幅な増加があり、また、半導体供給不足などの影響で自動車生産の減産が相次いだことによる生産効率の低下もあり、12,264百万円と35,934百万円の減益となりました。売上高営業利益率は0.7%と2.3ポイント低下しました。
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ225,170百万円増加の1,760,585百万円となりました。
情報通信関連事業は、データセンター用の光配線機器や海底ケーブル用の光ファイバ、アクセス系ネットワーク機器などで拡販を進め、売上高は239,150百万円と14,574百万円(6.5%)の増収となりました。営業利益は、光・電子デバイスの品種構成の変化に伴う収益性の低下により、23,398百万円と945百万円の減益となりました。売上高営業利益率は9.8%と1.0ポイント低下しました。
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ16,683百万円増加の299,847百万円となりました。
エレクトロニクス関連事業は、電子ワイヤー製品や照射チューブで需要の捕捉を進めたほか、㈱テクノアソシエにおける拡販もあり、売上高は292,509百万円と39,891百万円(15.8%)の増収となりました。営業利益は、携帯機器用FPCの高機能品の売上増加に伴う採算改善もあり、19,825百万円と9,778百万円の増益となりました。売上高営業利益率は6.8%と2.8ポイント上昇しました。
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ26,970百万円増加の265,261百万円となりました。
環境エネルギー関連事業は、電力ケーブルや電動車用の平角巻線などの拡販や、住友電設㈱における電気工事の増加、日新電機㈱における受変電設備等の需要増加に加え、銅価格上昇の影響もあり、売上高は833,425百万円と199,234百万円(31.4%)の増収となり、営業利益は44,024百万円と19,000百万円の増益となりました。売上高営業利益率は5.3%と1.4ポイント上昇しました。なお、工事・プラント受注高は369,982百万円(当連結会計年度末の受注残高は384,610百万円)と、前連結会計年度比28,304百万円(8.3%)増加しました。
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ148,172百万円増加の913,024百万円となりました。
産業素材関連事業他は、超硬工具やダイヤ・CBN工具、焼結部品、PC鋼材、スチールコードなどの需要が増加し、売上高は327,883百万円と25,359百万円(8.4%)の増収となりました。営業利益は、工場の稼働率上昇に伴う収益性の改善もあり、23,024百万円と16,364百万円の増益となりました。売上高営業利益率は7.0%と4.8ポイント上昇しました。
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ95,079百万円増加の868,725百万円となりました。
なお、各セグメントの営業利益又は営業損失は、連結損益計算書の営業利益又は営業損失に対応しております。
② 財政状態
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資産合計 (百万円) |
負債合計 (百万円) |
純資産合計 (百万円) |
自己資本比率 (%) |
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当連結会計年度末 |
3,807,390 |
1,754,452 |
2,052,938 |
46.5 |
|
前連結会計年度末 |
3,381,914 |
1,489,408 |
1,892,506 |
48.2 |
|
増減 |
425,476 |
265,044 |
160,432 |
△1.7 |
当連結会計年度末の資産合計は、半導体等の部品不足による客先の減産や港湾混雑による物流停滞並びに銅価格上昇や円安の影響により棚卸資産が増加したことに加え、受取手形及び売掛金の増加などもあり、前連結会計年度末に比べ425,476百万円増加し、3,807,390百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、支払手形及び買掛金や借入金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ265,044百万円増加し1,754,452百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、配当金支払の一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や為替換算調整勘定の増加などにより、前連結会計年度末に比べ160,432百万円増加し2,052,938百万円となりました。自己資本比率は46.5%と、前連結会計年度末対比1.7ポイント低下しております。
③ キャッシュ・フロー
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営業活動による キャッシュ・フロー (百万円) |
投資活動による キャッシュ・フロー (百万円) |
財務活動による キャッシュ・フロー (百万円) |
現金及び現金同等物の残高 (百万円) |
|
当連結会計年度 |
76,002 |
△165,447 |
82,816 |
255,540 |
|
前連結会計年度 |
169,656 |
△163,430 |
△13,099 |
251,441 |
|
増減 |
△93,654 |
△2,017 |
95,915 |
4,099 |
まず、営業活動によるキャッシュ・フローで76,002百万円の資金を獲得(前連結会計年度比93,654百万円の収入減少)しました。これは、税金等調整前当期純利益159,921百万円と減価償却費180,508百万円との合計、すなわち事業の生み出したキャッシュ・フローが340,429百万円あり、これに運転資本の増減などを差し引いた結果であります。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、165,447百万円の資金を使用(前連結会計年度比2,017百万円の支出増加)しました。これは、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出174,059百万円などがあったことによるものであります。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・
キャッシュ・フローは、89,445百万円のマイナス(前連結会計年度は6,226百万円のプラス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、82,816百万円の資金の増加(前連結会計年度は13,099百万円の資金の減少)となりました。これは、社債の償還による支出や配当金の支払などがあった一方、借入金の増加による収入があったことによるものであります。
以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より4,099百万円(1.6%)増加し255,540百万円となりました。また、当連結会計年度末における有利子負債は、前連結会計年度末より174,707百万円増加し859,794百万円となり、有利子負債から現金及び現金同等物を差し引いたネット有利子負債は、170,608百万円増加し604,254百万円となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社及び連結子会社の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績」に記載のセグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績等の状況の分析
当社グループは、中期経営計画「22VISION」において、経営上の目標の達成状況を、売上高、営業利益、ROIC及びROEを重要な指標として測定することとしております。
当連結会計年度における「売上高」は3,367,863百万円(前連結会計年度比449,283百万円増)、「営業利益」は122,195百万円(前連結会計年度比8,269百万円増)、「ROIC」は4.5%(前連結会計年度比0.1ポイント低下)、「ROE」は5.7%(前連結会計年度比2.1ポイント上昇)となりました。なお、営業利益の前連結会計年度比での増減要因は以下のとおりとなっております。
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前期営業利益 |
113,926 |
百万円 |
|
売上数量の増加 |
57,000 |
|
|
売値の低下・品種構成の変化 |
△27,000 |
|
|
物流費の増加 |
△30,000 |
|
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銅価・資材価格変動の影響 |
△36,000 |
|
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収益体質の改善 |
42,000 |
|
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為替変動の影響 |
13,000 |
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その他 |
△10,731 |
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当期営業利益 |
122,195 |
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② キャッシュ・フローの状況の分析、資本の財源及び資金の流動性に係る状況
当社グループの資金需要のうち主なものは、事業運営に必要な設備資金や運転資金であり、必要資金については自己資金の充当及び金融機関からの借入や社債発行等により調達しております。
当社グループは、中期経営計画「22VISION」において、健全かつ強固な財務体質を維持することを基本方針とし、自己資本比率を50%水準に維持することとしております。また、資金の流動性を確保するために、金融機関とコミットメントライン契約を締結するとともに、当連結会計年度末現在において、日本格付研究所(JCR)より「AA(長期)、J-1+(短期)」、格付投資情報センター(R&I)より「AA-(長期)、a-1+(短期)」の格付を取得しております。
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
③ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。また、連結財務諸表を作成する際には、当連結会計年度末日時点の資産・負債及び当連結会計年度の収益・費用を認識・測定するため、合理的な見積り及び仮定を使用する必要があります。当社グループが採用している会計方針のうち重要なものについては、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「重要な会計方針」に記載しております。また、当社グループが用いた会計上の見積りのうち重要なものについては、「第5 経理の状況」の「重要な会計上の見積り」に記載しております。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
当社及び連結子会社は、「技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます」という経営理念の下、社会の変革・伸長分野に焦点を合わせ、オリジナリティがあり、かつ収益力のある新事業・新製品の開発に努めております。また、将来の社会ニーズを踏まえ、当社グループの次代の成長を担う研究テーマの発掘・育成にも積極的に取り組んでおります。
自動車関連事業、情報通信関連事業、エレクトロニクス関連事業、環境エネルギー関連事業、産業素材関連事業他の各事業分野における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりであります。
また、当連結会計年度における研究開発費の総額は
(1) 自動車関連事業
ワイヤーハーネス及び車載エレクトロニクス機器については、当社、住友電装㈱及び両社の共同出資による㈱
オートネットワーク技術研究所を中心に、当社固有の情報通信やエネルギー関連技術を活かして、安全・快適・環境のニーズに対応した新製品の開発を行っております。
特に近年のCASEやSDGsなどの社会の大きな流れに対応するために2020年4月、当社内に新しい組織(CAS-EV開発推進部)を立上げ、従来の枠にとらわれないコンセプト・企画から技術開発まで一貫して行う開発体制を構築することで、ハーネスを起点とした新事業創出のスピードアップを進めております。
ワイヤーハーネスについては、次世代車載システムにパワー供給や情報伝送するためのネットワークアーキテクチャを構築し、システム設計を行うとともに、それに必要な要素技術の開発を進めております。例えば自動運転等で必要になる高速通信用ハーネス、コネクタ技術の開発を進めております。また市場規模が拡大してきた電気自動車(EV)・ハイブリッド自動車(HEV)用高圧ハーネスやコネクタ、バッテリー内配線モジュールの開発等にも取り組んでおります。
車載エレクトロニクス機器に関しては、CASE時代を見据えて、パワー系ネットワークは給電・分配・変換・蓄電に関わる電源機器部品などを開発し、また情報系ネットワークは車内の情報配線のハブ機能となる車載ゲートウェイの開発や高速大容量通信が可能な光通信技術などの適用も検討しております。さらに当社事業であるエネルギーや通信の社会基盤と車が繋がる変革に対応した新製品・新技術の開発にも取り組んでおります。
一方、新製品の開発効率化や高いレベルの品質確保に向け、要素技術開発や信頼性確保に不可欠な試験・分析・評価・解析技術など基盤技術の開発を推進しております。環境試験装置や分析装置等の評価設備の充実を図るとともに、DX化を推し進めCAE(Computer-Aided Engineering)技術を用いたシミュレーション技術も充実させております。シミュレーション技術は電気自動車の電費予測など自動車メーカーと同じ目線での評価にも活用しております。
また、交通インフラ関連では、交通流改善技術や車両・歩行者等のセンサの開発、モビリティサービスやコネクティッドカー管理に資するクラウド技術の開発を行っております。
住友理工㈱では、自動車分野でCASEをはじめとした技術革新に対応した製品や関連技術などについて、研究開発・技術確立を進めております。新商品開発センターでは、圧力の検知により、呼吸や心拍などの生体情報(バイタルデータ)を測定することが可能な独自開発の「スマートラバー(SR)センサ」を応用し、ドライバーモニタリングシステムを開発中であります。国立研究開発法人産業技術総合研究所との連携研究室を2020年10月に設立し、実証実験を継続しております。さらに、EVで注目される熱マネジメントへの対応製品として、車室内の断熱効果を高める薄膜高断熱材「ファインシュライト™ 」を2020年9月に発売したほか、冷却系ホースや電池用の断熱材などの開発にも着手しており、省エネや環境負荷軽減に貢献できる製品でさらなる技術開発を進めます。自動車分野以外でも、エレクトロニクス分野、インフラ・住環境分野、ヘルスケア分野においても、材料技術・センサ技術等を活かした新製品・新サービスの研究開発を進めております。
当事業に係る研究開発費は
(2) 情報通信関連事業
光通信関連製品、通信用デバイス・化合物半導体材料、ネットワーク・システム製品などの分野において、総合的に研究開発を行っております。
光通信関連製品では、光ファイバ通信のさらなる高速化・長距離化に向けて、海底ケーブル用途の低損失光ファイバの品質改善及び生産性向上に取り組んでおります。
また、伝送容量の飛躍的な拡大に向けて、1本の光ファイバ中に複数本のコアを有するマルチコア型光ファイバ、及び、関連光部品・接続技術の実用に向けた開発・実証を進めております。
一方で、従来のテレコム光通信で培った技術の展開として、データセンターにおける情報機器内や情報機器間の高速大容量伝送に適した光配線製品を開発しております。特に、新型光コネクタや情報機器内の高密度光配線を実現する光部品などの製品開発と市場開拓を進めております。
デバイス関連分野では、光通信用デバイス及び無線通信用電子デバイス関連の新製品をいち早く市場に投入することにより、事業拡大に努めております。
光通信用デバイス関連製品では、データセンター用機器等に搭載される支線系対応製品や、長距離幹線機器に対応したコヒーレント伝送用デバイスを開発しております。無線通信デバイス関連製品では、高効率・高出力のGaN(窒化ガリウム)トランジスタを開発し、携帯基地局用途に製品化しておりますが、5G及び次世代通信用にさらなる効率改善、高周波/広帯域化に取り組んでおります。また、これらデバイス技術の蓄積を活かし、多様な分野への応用が期待できる近赤外、中赤外領域の製品開発も進めております。
化合物半導体では、高速通信用の光デバイスや無線通信用電子デバイスなどに用いられるInP(インジウムリン)及びGaAs(ガリウムヒ素)系エピタキシャルウエハの新製品開発を進めております。また、青紫色レーザダイオード、白色LEDやパワーデバイス等に応用されるGaN基板の高品質化に加え、それら材料からデバイス技術の研究とその応用製品の開発も行っております。
ネットワーク・システム関連分野では、情報通信技術の革新による、Society5.0の実現を目指した情報通信機器・システムの研究開発を推進しております。
有線通信システム関連では、5G/Beyond 5G向けネットワークやデータセンター間接続を支える光伝送システムの研究開発に、無線通信システム関連では、あらゆるものを繋げるIoTを実現する5G/Beyond 5G向けの新製品の研究開発に、通信事業者とも連携しながら取り組んでおります。
当事業に係る研究開発費は
(3) エレクトロニクス関連事業
当社固有の材料技術、マイクロ・ナノテクノロジーをベースに、FPC、電子ワイヤー製品、照射架橋製品、多孔質フッ素樹脂膜製品など広範な新材料や部品の開発を行っております。FPCでは、携帯機器等向けの次世代微細回路製品、車載向けの高耐熱性電子回路製品、5Gやミリ波など高周波用途向け部材の開発に取り組んでおります。また、金属材料とセラミックスを複合化した電子デバイス用の低線膨張率の高放熱素材、独自の多孔化技術を適用した半導体用途や水処理向けの微小孔径の多孔質フッ素樹脂膜の開発にも注力しております。
当事業に係る研究開発費は
(4) 環境エネルギー関連事業
超電導や次世代送電網の分野でのネットワーク技術を活用したエネルギーソリューション事業など、新しい分野への進出を図るとともに、蓄電池などエネルギー分野での積極的な開発を推進しております。
超電導分野では、ビスマス系高温超電導線材の特性と量産性を大幅に向上させ、MRIやNMRなどのマグネット用や、世界各国のケーブルプロジェクト用などに線材を納入するなど、商業ベースでの線材販売の本格化を図りつつあります。機械強度を大幅に向上した高強度超電導線材は、超高磁場発生用の超電導マグネットに採用され、30Tを超える磁場発生に貢献しております。
産業応用では超電導マグネットシステムの開発を進めており、磁気特性評価装置への適用、さらに産業界での実用化、用途開拓に注力しているところであります。一方、レアアース系次世代超電導線材の実用化にも取り組んでおります。本線材では超電導接合技術を開発し、国立研究開発法人理化学研究所他とともに永久電流モード高温超電導コイルの実現と同コイルを用いた核磁気共鳴信号の取得に世界で初めて成功いたしました。
次世代送電網の分野では、自然エネルギーの導入、省エネルギー、電力網の分散管理といった社会ニーズに対応すべく、レドックスフロー電池(蓄電池)について、大規模システムによる実証運転を実施しております。また、分散型電源を統合的に監視し最適な制御を行うためのエネルギーマネジメントシステム、宅内の電力使用量を最適化するシステム(HEMS)、電力線通信(PLC)によるメガソーラー監視装置とAIによる異常診断サービスの開発にも注力しております。
HEVなどの環境対応車に多用されるニッケル水素電池の集電体として上市しているニッケル製セルメットを各種燃料電池向けに展開するため、高温耐久性を付与した耐熱セルメットや、耐強酸性を高めた耐食セルメットを開発しております。
一方、蓄電池分野では、リチウムイオン電池やキャパシタなどの蓄電デバイスの高性能化に貢献する集電材料として、当社独自の溶融塩めっき技術を用いた金属多孔体「アルミセルメット」を開発しており、性能の評価を進めております。
また、EVやHEV等の環境対応車の分野では、固有の高分子材料の合成技術を駆使し、駆動モーター等に適用する高性能平角巻線の開発にも取り組んでおり、モーターの高性能化に貢献する薄肉皮膜で高度な電気絶縁性を発揮する次世代平角巻線の開発に注力しております。
電力ケーブルの技術開発では、長距離直流連系線、再生エネルギー関連の需要伸長に対応すべく、超高圧直流
ケーブル、洋上風力向けケーブルや送電線路の効率的な保守監視を支援するシステム製品を開発しております。
住友電設㈱では、社会や顧客の多様化するニーズに応えるべく、脱炭素化社会実現に向けた技術、省エネルギー技術、IoTや5Gを活用した監視・エネルギー管理等のビルマネジメントシステム、工場向け統合セキュリティシステム、バーチャルパワープラント、HACCP*による食品衛生管理をクラウドで一元管理するシステムなど、最新技術、情報化技術を活用し、新技術、新工法、各種システムの開発に取り組んでおります。
* HACCP:Hazard Analysis and Critical Control Point
日新電機㈱では、電力システム改革の進展や環境意識の向上、持続可能な社会に向けた動きに対応すべく、研究開発に取り組んでおります。電力・環境システム分野においては、コンパクト化及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発と共に、太陽光発電をはじめ、多様な分散型電源が導入拡大される社会を支えるための技術研究や製品開発、並びに工場・水処理設備の進化に資する監視制御システム、EMS(エネルギー管理システム)関連やIoT関連の技術研究、製品開発及びソリューション開発を進めております。ビーム・プラズマ分野においては、新たなコー
ティング薄膜装置やその用途拡大に向けた研究開発、半導体製造用イオン注入装置や電子線照射装置など、社会を支える材料・部品・デバイスの進化に資するべく、技術研究や製品開発を進めております。
当事業に係る研究開発費は
(5) 産業素材関連事業他
超硬合金、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、コーティング薄膜、特殊鋼線、鉄系焼結部品やセラミックスに関する当社固有の材料技術とプロセス技術を駆使し、切削用工具や超精密加工用工具、各種自動車機構部品、機能部品等の開発を進めております。
切削用工具開発においては、今後、市場が伸長していく航空機分野を重点ターゲットとし、計算科学を活用した硬質合金の開発、コーティング技術開発を進めております。また切削加工のIoT化に向け、切削工具に各種センサを内蔵させたセンシングツールの開発にも取り組んでおります。
ダイヤモンドでは、超精密加工や高品位加工用工具素材として使用することを目的として、独自の原料技術や超高圧技術で機械特性を向上させた単結晶ダイヤモンド素材や新材料の開発及び精密金型・航空機部品・医療に用いられる難削材の精密加工技術の開発に注力しております。
焼結部品の関連では、自動車の電動化ニーズに対応し磁気特性と造形性に優れた圧粉軟磁性材料を使った小型・高出力モーターの開発に注力しております。
当事業に係る研究開発費は
今後の成長を担う新規分野への挑戦として、水素エネルギー社会を実現する技術開発を行っております。また次世代の電線や高強度材料として期待されるカーボンナノチューブの長尺化にも独自製法で取り組んでおります。
そのほか、当社の持つ材料技術を活かし、脱炭素社会実現のキーデバイスとして期待されているSiCパワーデバイスを、結晶(基板)から、エピ、デバイスまで一貫して製品化を進めております。2021年度は、機械学習も組み入れた当社独自技術 "MPZ®"を活用し、さらなる高品質結晶と低欠陥エピの安定製造に取り組むとともに、6インチ(150mm径)基板の加工技術を向上させました。デバイスでは、当社独自構造のV溝型トランジスタの低損失かつ高信頼性を有する特長を生かし、車載分野や産業機械分野への製品展開を進めております。並行して、市場の需要拡大の要求に応えるべく、車載用をはじめとするそれぞれの用途に適した製品の供給に向け、性能・コスト・供給能力の改善を進めております。
以上の5分野他の研究開発及びグループ全体の生産、品質などを支える解析技術の分野では、電子顕微鏡による原子構造の観察や、ポリマーの分子構造解析など、最先端技術により、モノづくりの品質強化を行っております。これに加え、公益財団法人佐賀県産業振興機構・九州シンクロトロン光研究センターに当社グループ専用のビームラインを保有し、放射光による世界トップ水準の原子スケール解析を常時利用することで、製品開発の加速や知的財産権の強化などを進めております。また、大規模計算や計算科学など高度な計算機シミュレーション技術の開発に加え、計算処理能力向上にも注力しており、生産プロセスの改善、新製品設計最適化により、製品の信頼性向上を推進しております。その他、中国・蘇州市に中国解析センターを設置し、当社グループのグローバル展開を支えております。
IoT・AI技術の分野では、グループ全体のモノづくり力強化に向け、生産性向上、検査自動化、設備故障予兆診断、安全性向上をテーマに、各種センシング、無線通信、AI・ビッグデータ分析技術の開発に取り組んでおります。
2020年度に伊丹製作所内に「CRystal Lab.」を開所し、部門横断的な研究開発の加速に取り組んでおります。大阪製作所内の研究本館「WinD Lab」を研究・開発活動の中核とし、米国カリフォルニア州のICS(Innovation Core SEI)の他、欧州・中国等の海外の研究拠点を活用して、広い視野で事業の成長を目指します。
また、グループ全体として、これらの研究開発の成果を早期に収穫すべく努めるとともに、企業の社会的責任を自覚し、先進情報通信インフラ構築、省エネ、省資源、環境保護を一層前進させる研究にも注力してまいります。