第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、連綿と引き継がれる「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」のもと、公正な事業活動を通して社会に貢献していくことを不変の基本方針としています。

この基本方針を堅持し、「公益を重視し、ステークホルダーの皆様との共栄を図る」という「五方よし」*(マルチステークホルダーキャピタリズム)の考え方に基づいて、ステークホルダーとの適切な協働を通じ、適正な

コーポレートガバナンスに基づく経営の透明性・公正性を確保し、その充実に取り組むことにより、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上とともに、これらのゴーイングコンサーンとしての成果については、ステークホルダーの皆様への着実な還元を図ることとしています。

* 「五方よし」:当社経営における「還元・配分」についての基本的な考え方を表現したもの(Goho Yoshi)。

 

[住友事業精神]

住友の事業は、今から約400年前、銅と銀を吹き分ける「南蛮吹き」と呼ばれる技術による銅精錬事業に遡り、その後別子銅山における鉱山業を中心に発展を遂げてきました。こうした事業の隆盛を支えてきた精神的基盤が「住友事業精神」であり、住友家初代・住友政友が後生に遺した商いの心得『文殊院旨意書』を礎とし、住友の先人により何代にもわたって深化・発展を遂げてきたものです。その要諦は、1891年に改訂された住友家法の中で「営業の要旨」として端的に示されています。

営業の要旨  ※ここでは、住友合資会社社則(1928年制定)より抜粋しました。

第一条  我が住友の営業は、信用を重んじ確実を旨とし、以てその鞏固隆盛を期すべし
第二条  我が住友の営業は、時勢の変遷、理財の得失を計り、弛張興廃することあるべしと雖も、

苟も浮利に趨り、軽進すべからず

この他にも、『技術の重視』、『人材の尊重』、『企画の遠大性』、『自利利他、公私一如』といった精神が今に至るまで脈々と受け継がれています。

 

[住友電工グループ経営理念]  ※創業100周年を機に明文化(1997年6月)

住友電工グループは、

・顧客の要望に応え、最も優れた製品・サービスを提供します。

・技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます。

・社会的責任を自覚し、よりよい社会、環境づくりに貢献します。

・高い企業倫理を保持し、常に信頼される会社を目指します。

・自己実現を可能にする、生き生きとした企業風土を育みます。

 

(2) 経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

<住友電工グループ2030ビジョン>

当社グループは、様々な社会変革が起こりつつある中で当社グループの目指す姿を示すため、2030年を節目とする長期ビジョン「住友電工グループ2030ビジョン」を策定し、2022年5月に公表いたしました。ステークホルダーの皆様のご理解のもと、当社グループが一体となり企業価値向上に取り組み、「Glorious Excellent Company*」の企業像実現を目指してまいります。

* Glorious Excellent Company:”Glorious”は「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」という精神的基盤を具現化したあるべき姿、”Excellent”は具体的・定量的な事業目標達成の意を込めています。

 

 

住友電工グループ「2030ビジョン」

グリーンな地球と安心・快適な暮らし

- その実現へ技術で挑戦し続けます -

Connect with Innovation

 

1.経営方針

「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」を堅持し、「事業を通じて公益に資する」という経営哲学のもと、常に公益を重視し、ステークホルダーの皆様との共栄を図っていくことを基本思想としています。そして、この基本思想のもと、これからも「トップテクノロジー」を追求し、グループの総合力とイノベーションにより、世界のインフラ・産業の発展を支えていきたいと考え、当社グループの存在価値(パーパス)を次のように定義しました。

 

住友電工グループの存在価値(パーパス)

トップテクノロジーを追求し、つなぐ・ささえる技術をイノベーションで進化させ、

グループの総合力により、より良い社会の実現に貢献していく

 

今後も様々なリスクに的確に対応しながら、世界で活躍する当社グループ30万人(2026年3月末現在)の従業員による新たな価値の創造を通じ、グローバル市場の多様なニーズに応え、永続的な企業価値向上に取り組んでいきたいと考えています。

 

2.2030年の社会像と事業領域

当社グループは「安心」「快適」な社会への貢献に加え、「グリーン」な環境社会の実現に、グループの総力を挙げて取り組みます。そして、この目指す社会像の実現に向けて、これからも幅広く「インフラや産業を支える製品・サービス」を提供します。

 

3.事業の方向性

「エネルギー」「情報通信」「モビリティ」を3つの注力分野と位置づけ、取り組んでいきます。

また、これらの注力3分野を支える高機能製品の提供や、グリーン化に向けた様々な取組みを展開します。

 

4.経営基盤と目標

ビジョンの実現に向けて、「的確・迅速・柔軟」に変化に対応できる強い組織づくりを進めるため、3つのグループ共有資本(人的資本・知的資本・財務資本)の充実を図るとともに、3つの推進力(研究開発・サプライチェーン・モノづくり)の強化に取り組み、中長期的な企業価値向上を目指します。

 

なお、「住友電工グループ2030ビジョン」の詳細については、当社ウェブサイトをご参照ください。(https://sumitomoelectric.com/jp/sites/japan/files/2022-05/download_documents/2030vision.pdf)

 

<中期経営計画2028>

上記の「2030ビジョン」を踏まえ、2026年度から2028年度の3か年の実行計画として「中期経営計画2028」を策定し、2026年5月に公表しました。

「中期経営計画2028」においては、「デジタル・AI」「エネルギー」「モビリティ」を「注力3分野」として位置づけ、それらの「融合領域」も含め、3か年累計で設備投資に1兆円を投じるなどして、技術力に根ざした当社グループの総合力を発揮してグローバルな変化に的確に対応し、GX(グリーントランスフォーメーション)・DX*の需要をとらえて取り組んでまいります。

目標年度の2028年度には「売上高6兆円」として2025年度実績から約1兆円の増収とともに、「営業利益:6,000億円」として2025年度実績から約5割の増益を実現し、当社グループのさらなる成長と同時に「税引前ROIC*:15%以上」を目指して資産効率の一層の向上を図ってまいります。

* DX :デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、デジタル技術を活用し、組織文化などを変革していく取組みを指すもの。

* ROIC:Return on Invested Capital(投下資産利益率)の略。

1.全体構想

「住友事業精神」「住友電工グループ経営理念」を経営のベースとして、「3つの資本」・「3つの推進力」からなる事業基盤をさらに強化するとともに、「注力3分野」及びそれらの「融合領域」を中心に事業を展開してまいります。

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全体構想図

 

2.事業戦略(「注力3分野」におけるメイントピック)

(1) 「デジタル・AI」分野

高度デジタルインフラをささえる幅広い高性能製品の投入で、北米ハイパーデータセンタ市場向けシェア向上を目指す。

(2) 「エネルギー」分野

グローバルにケーブル製造・施工能力を増強し、“現地の企業”として受注の拡大を図る。

(3) 「モビリティ」分野

ワイヤーハーネス世界シェアトップクラスの強みを活かし、グループ総合力で“グローバル・モビリ

ティ・サプライヤー”へ。

 

3.数値目標(単位:億円)

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4.「五方よし」(マルチステークホルダーキャピタリズム)

「五方よし」は、「住友事業精神」「住友電工グループ経営理念」に基づいて、これまでも当社グループの経営において実践されてきた考え方です。

マルチステークホルダー、すなわち、「お客様」「従業員」「お取引先」「地域社会」「株主・投資家」の皆様との共栄を図り、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に取り組んでまいります。

「中期経営計画2028」において、マルチステークホルダーの皆様に対し成果を分配していく上での具体的かつ定量的な以下の目標を掲げ、その実践に取り組んでまいります。

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なお、「中期経営計画2028」の詳細については、当社ウェブサイトをご参照ください。

(https://sumitomoelectric.com/jp/sites/japan/files/2026-05/download_documents/28m.pdf)

 

(3) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の世界経済は、中東情勢の緊迫化により、物流・サプライチェーンの混乱、原油価格高騰に伴う原材料・エネルギー価格の上昇が見込まれるほか、米国の通商政策見直しや中国経済の減速なども憂慮材料であり、当社グ

ループを取り巻く事業環境は予断を許さない状況が続くものと予想されます。

このような情勢のもと、当社グループは、ありたい将来像「Glorious Excellent Company」の実現を目指して、長期ビジョン「住友電工グループ2030ビジョン」で掲げている「グリーンな地球と安心・快適な暮らし」の実現に向けて、グループが一体となり企業価値向上に取り組み、その成果をステークホルダーの皆様、すなわち、「お客様」「従業員」「お取引先」「地域社会」「株主・投資家」に着実に還元・配分していくというマルチステークホルダーキャピタリズム(「五方よし」)に基づく経営を実践してまいります。

 

具体的には、長期ビジョンの実現に向けた第二ステップとして2026年度からスタートする「中期経営計画2028」を策定し、「デジタル・AI」「エネルギー」「モビリティ」の注力3分野及びそれらの融合領域において、グループの総合力を発揮し、グローバルな事業環境動向に的確に対応し、グリーン・デジタル関連需要をとらえることで、2028年度に売上高6兆円、営業利益6,000億円、税引前ROIC15%以上の達成を目指すことを掲げ、各事業においては次の施策を進めてまいります。

 

環境エネルギー関連事業では、電力ケーブルにおいては、国内の設備更新需要等の捕捉に加え、脱炭素化に貢献する国家・地域間連系線や再生可能エネルギー関連の受注に努めるとともに、欧州での新拠点立上げ、コスト低減、品質向上、新製品開発、プロジェクトマネジメント強化にも注力してまいります。電動車向けのモーター用平角巻線においては、コスト低減による収益力の向上と、電動車の高電圧化に対応する次世代品の開発を進めてまいります。また、日新電機㈱との一層のシナジー創出に取り組むとともに、受変電設備においては国内の設備更新需要の確実な捕捉、生産能力増強、環境配慮製品の開発・提案強化に、イオン注入装置や電子線照射装置においては国内外での拡販に取り組んでまいります。

情報通信関連事業では、生成AIの急速な普及によるデータセンター関連市場の一層の拡大が期待されるなか、この需要を確実に捕捉すべく、光ケーブル、光コネクタ等光配線製品、光デバイス、インジウムリン(InP)基板などの生産能力増強、データ伝送の更なる高速化、低遅延化、及び、低消費電力化を実現する新製品の開発に注力し、事業拡大に努めてまいります。また、海底光ケーブル用の極低損失光ファイバ、世界で初めて量産に成功したマルチコアファイバ、高効率な無線通信用デバイス、新方式採用が進むアクセス系ネットワーク機器など、低消費電力等の環境性能を含めた高機能製品の開発・拡販を継続・加速するとともに、徹底したコスト削減による収益性の改善に努めてまいります。

 

自動車関連事業では、モビリティの「つなげる」パートナーとして「つながる」ビジネスの拡大を目指し、一層のコスト低減と資産効率化の徹底、軽量化ニーズに対応したアルミハーネスのさらなる拡販、生産自動化やコスト低減に繋がる新設計・新工法の拡充など従来ハーネスの進化に取り組んでまいります。また、グループ内連携、顧客との協業やパートナー関係の深化により、電動車向けの高電圧ハーネス、高速通信用のコネクタなど今後も拡大が見込まれるCASE*市場をとらえた新製品創出・拡販にも努めてまいります。そして、2026年2月に完全子会社化した住友理工㈱とのさらなるシナジー創出に取り組むとともに、自動車用防振ゴム及びホースなどの分野において、既存事業の収益力強化を図り、今後の事業成長に向けては、次世代モビリティ向けの新製品開発に重点をおいて取り組んでまいります。

* CASE:自動車業界のトレンドを表す言葉で、Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとったもの。

 

エレクトロニクス関連事業では、微細回路形成技術を活かしたFPC製品やCASE対応製品、高周波化に対応した新製品の開発を加速するとともに、徹底したコスト低減を進めてまいります。照射架橋技術を活用した耐熱・高機能電線、熱収縮チューブに加えて、多孔質分離膜製品においても、多様な客先ニーズを捕捉して事業の拡大を図ってまいります。また、㈱テクノアソシエとの連携強化にも取り組んでまいります。

 

産業素材関連事業では、超硬製品においては、グローバルな営業力の強化により、主力の自動車分野に加えて、建設機械、農業機械、エレクトロニクス分野等での需要を確実に捕捉するとともに、電動車、航空機、半導体、再生可能エネルギー関連などの新規開拓も進め、市場シェアの拡大に努めてまいります。また、タングステン原料の安定調達に向けたリサイクル能力増強にも取り組んでまいります。焼結製品は、電動車や非車載向けの新製品開発・拡販とコスト競争力の一段の強化を図ってまいります。PC鋼材やばね用鋼線は、グローバルな製造販売体制の強化と新製品開発による収益力の向上に取り組んでまいります。

研究開発では、多様な技術創出の「要」となる研究開発の活性化・スピードアップを目指し、DXを活用した材料開発やプロセス開発の高度化・効率化、オープンイノベーション、社外連携に取り組んでまいります。具体的には、現行事業の技術進化として、事業部門・営業部門との密な連携強化を通じた顧客とのパートナーシップ関係を活かし、中期経営計画で掲げた3つの注力分野において、「デジタル・AI」では情報伝送の高速大容量・小型省電力化、「エネルギー」では高効率な長距離送電網と大容量・低損失の送電系統実現、「モビリティ」ではワイヤーハーネスの高機能化などに取り組んでまいります。また、新たな事業領域への挑戦として、脱炭素関連技術、サーキュラーエコノミー関連技術、量子・半導体・ロボティクス関連技術などのテーマにも取り組んでまいります。

最後に、法令遵守や企業倫理の維持は、当社経営の根幹をなすものであり、企業として存続・発展するための絶対的な基盤と考えております。今後とも、住友事業精神の「萬事入精(ばんじにっせい)」「信用確実」「不趨浮利(ふすうふり)」*という理念のもと、社会から信頼される公正な企業活動の実践に真摯に取り組んでまいります。また、住友事業精神と住友電工グループ経営理念のもと、サステナビリティを巡る課題である、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等の危機管理を通じて、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。

* 萬事入精:まず一人の人間として、何事にも誠心誠意を尽くすべきとの考え。

信用確実:何よりも信用を重んじること。

不趨浮利:常に公共の利益との一致を求め、一時的な目先の利益、不当な利益の追求を厳に戒めること。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ

① ガバナンス

「住友」には400年以上の歴史があり、その根底には「住友事業精神」という精神的基盤があります。「住友事業精神」は、「商事は言うに及ばず候へ共、万事情(精)にいれらるべく候」(「萬事入精」)をはじめ、「信用を重んじ確実を旨とし、以てその鞏固隆盛を期すべし」(「信用確実」)、「時勢の変遷、理財の得失を計り、弛張興廃することあるべしと雖も、苟も浮利に趨り、軽進すべからず」(「不趨浮利」)に代表され、「技術の重視」「人材の尊重」「企画の遠大性」「自利利他、公私一如」などとともに、私たち「住友」グループの共有財産として脈々と受け継がれています。

住友電工グループとしては、歴代の経営を貫いてきた「住友事業精神」が今日のサステナビリティ経営の考え方と相通じるものであり、「住友事業精神」を堅持してきたからこそ、1897年の創業以来の持続的な発展を遂げて今日に至っていると考えています。

今後とも、住友電工グループとしては、「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」を礎として、「公正な事業活動を通じて社会に貢献していく」という不変の経営方針のもと、中長期的な企業価値の向上に取り組み、ゴーイングコンサーンとしての成果を「五方よし」という「マルチステークホルダーキャピタリズム」の考え方に立って「お客様」「従業員」「お取引先」「地域社会」「株主・投資家」という主要な5つのステークホルダーに着実に分配・還元し、さらなる持続的な発展につとめてまいります。

このような「基本方針」に基づき、中長期的な経営計画のもと、サステナビリティを巡る取組みを着実に進め、価値創造ストーリーについては「統合報告書」で、その補完となる資料・データについては「CSRブック」で、社内外への発信とともに、ステークホルダーの皆様との対話につとめてまいります。

当社グループでは、上記の基本方針のもと、サステナビリティ経営の推進にあたり、社長を委員長とする「サステナビリティ経営推進委員会」を設置しています。本委員会では、サステナビリティを巡る課題、すなわち、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等の危機管理などへの対応について、「CSR」「GX」「人材・D&I」の各推進委員会から計画と進捗の報告を受けています。さらに、統合報告書の発行など非財務情報の開示に関する事項、サステナビリティ経営に関する方針や取組みの進め方など、横断的な課題と取組みについても広く議論しています。半年に1回の頻度で開催している本委員会の活動状況は開催後に取締役会へ報告するとともに、委員会で取り扱った議題のうち、取締役会への付議が必要なものについては個別に審議・報告を行うなど、サステナビリティ経営を取締役会が監督する体制を構築しています。

 

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② 戦略

「中期経営計画2028」における当社グループのサステナビリティへの主な取組みは次のとおりであります。

 

<環境(Environment)>

(グリーンな地球環境を目指すオペレーション)

a.CO2排出量削減(Scope1+2)

・2050年のカーボンニュートラルを見据え、エネルギー生産性1.5倍を目指した省エネの徹底と環境投資強化

・敷地外創エネ(※1)を含む再生可能エネルギー導入の拡大

b.CO2排出量削減(Scope3)

・グリーン調達・物流への取組み強化

・LCAへの取組み強化

c.サーキュラーエコノミー推進

・リサイクル材料使用促進(銅・アルミ・レアメタル・樹脂など)

・リサイクルしやすい製品設計・材料開発

・不良低減や分別による廃棄物削減、水資源循環

d.環境汚染防止

・環境事故ゼロ、環境負荷物質削減

・TNFD(※2)フレームワークに基づく評価と情報開示

 

(事業を通じた地球環境への貢献)

・グリーン・デジタル関連製品の売上

 

(「エコ活動2030」の推進)

・生物多様性保全・地域清掃等の身近なエコ活動の拡充(地域社会と連携した取組み強化)

 

※1 太陽光発電等による電力創出

※2 自然関連財務情報開示タスクフォース

 

<社会(Social)>

a.DE&Iの推進

・多様な視点・経験・技術の融合により、新たな価値を創造

b.社会貢献活動の実践

c.エンゲージメント向上

・企業価値創造への共感と貢献への実感

<ガバナンス(Governance)>

a.コンプライアンスの遵守

・法令・企業倫理の遵守をサプライチェーン含めグローバルに徹底

 

(※)当社グループでは、「Code of Conduct/行動規範」において、法令遵守に加え、公正競争、

贈賄防止、機密情報や知的財産の保護、人権尊重、環境保全等について基本方針を規定しています。

b.ガバナンスの強化

・経営の透明性・公平性を確保し、その充実に取り組む

c.リスクマネジメント体制の充実

・取締役等で構成する「リスク管理委員会」の下でのリスク軽減・最小化

 

③ リスク管理

当社グループでは、サステナビリティ、人的資本及び気候変動に関するリスク管理も含めて、各リスクについての評価及び対応を、重要性の判断基準を定める「リスクマネジメントの基本方針(※)」に沿って、リスクの軽重を判断した上で実施しております。グループ横断的リスクについては、各リスクを所管するコーポレートスタッフ部門や、当該部門の担当役員が主催する委員会が対応策をグループ内に展開し、各事業の遂行に伴う固有リスクについては、各事業部門が主体で管理を行うこととしています。

 

※「リスクマネジメントの基本方針」

・業績への影響や品質と安全性の確保

・安定的供給の社会的使命

・従業員、顧客、取引先、地域社会及び株主・投資家等のステークホルダーとの良好な関係維持

・法令遵守及び企業倫理の維持

・住友事業精神、グループ経営理念及びグループ企業行動憲章に表された事項

 

④ 指標及び目標

当社グループのサステナビリティへの取組みに関する主な指標及び目標は次のとおりであります。

 

<環境(Environment)>

a.CO2排出量削減(2018年度対比削減率)(※)

Scope1+2 2028年度30% 2030年度50%

Scope3    2028年度22% 2030年度30%

b.グリーン・デジタル関連製品売上高 2028年度3.5兆円

c.2030年度に向けて20以上の国/地域で300件以上/年の地球にイイこと

※当社グループのCO2排出量の目標については、2026年5月に策定・公表した「中期経営計画2028」において

見直しました。

(https://sumitomoelectric.com/jp/company/segmid-term2028)

 

<社会(Social)>

a.社会貢献活動への拠出額は税引後利益の1%を目安に実施

 

(2) 人的資本

① ガバナンス

(1) サステナビリティ ① ガバナンス」に記載のとおり、「サステナビリティ経営推進委員会」を設置し、サステナビリティを巡る取組みの基本方針を制定するとともに、人材の多様性の確保を含む人材の育成や社内環境整備への対応につき、具体的な目標や進め方の議論等を行っています。

 

② 戦略

当社グループでは、ありたい将来像として「Glorious Excellent Company」を掲げ、「五方よし」(マルチステークホルダーキャピタリズム)の考えに立ち、目指す社会像である「安心して暮らせる社会」「快適で住みやすい社会」「グリーンな環境社会」の実現に向け取り組んでいます。

これらの実現のため、当社グループは「中期経営計画2028」で掲げる注力3分野(デジタル・AI、エネル

ギー、モビリティ)における「事業戦略」と、人的資本を含む3つの資本と3つの推進力という経営の「事業基盤」を車の両輪として、中長期的な企業価値向上を図っています。

人的資本の強化にあたっては、住友事業精神における「人材の尊重」の考え方に立脚し、人材の育成や社内環境整備を進めるとともに、成長の成果を、従業員を含むステークホルダーに着実に還元することとしています。なお、当社グループにおける人材の育成に関する方針及び取組み、並びに社内環境整備に関する方針及び取組みは、「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (1) 人材戦略に関する基本方針等」をご参照ください。

 

③ リスク管理

(1) サステナビリティ ③ リスク管理」をご参照ください。

人的資本に関しては、人事部、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン部及び人材開発部が中心と

なって、「人材・D&I推進委員会」での審議内容を踏まえ、関係するコーポレートスタッフ部門と連携しながら目標や取組み方針を策定します。その内容を踏まえ、各事業部門は自部門の目標を設定のうえ活動を推進しています。

 

④ 指標及び目標

第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (1) 人材戦略に関する基本方針等」をご参照ください。

 

(3) 気候変動(TCFD(※)提言に沿った情報開示)

※TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース

① ガバナンス

当社グループでは、「住友電工グループ企業行動憲章」の中で「地球環境への配慮」を掲げ、地球環境保全について自主的、積極的に行動し、持続可能な社会づくりに貢献しています。また、「(1) サステナビリティ ①ガバナンス」に記載のとおり、「サステナビリティ経営推進委員会」を設置し、サステナビリティを巡る取組みの基本方針を制定するとともに、気候変動問題をはじめとする地球環境への対応につき、具体的な目標や進め方の議論等を行っています。さらに、専門的見地から具体的な方策を検討するため、「GX推進委員会」を設け、温室効果ガス排出削減など、気候変動に関する取組みを推進しています。

② 戦略

当社グループでは、社内で使用するエネルギーの削減と再エネ比率の向上、提供する製品・サービスを通じての温室効果ガス排出削減に取り組んでいます。また、世界的な平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑制するシナリオと、平均気温が4℃上昇するシナリオを設定して気候変動に伴うリスク及び機会が事業に及ぼす影響を分析し、今後の取組みについて検討を行っています。なお、シナリオ分析の結果については、当社ウェブサイトをご参照ください。          (https://sumitomoelectric.com/jp/sustainability/tcfd)

③ リスク管理

(1) サステナビリティ ③ リスク管理」をご参照ください。

気候変動に関しては、安全環境部が中心となって、「地球環境推進責任者会議」での審議内容を踏まえ、関係するコーポレートスタッフ部門と連携しながら目標や取組み方針を策定します。その内容を踏まえ、各事業部門は自部門の目標を設定のうえ活動を推進しています。

 

④ 指標及び目標

当社グループでは、2030年及び2050年の温室効果ガス排出削減目標を設定し、生産活動やサプライチェーンにおける温室効果ガス排出削減に取り組んでいます。なお、2030年目標(※)については、国際的イニシアチブ「SBTi(Science Based Targets initiative)」からの認定の更新手続きを進めています。目標達成を目指し、自助努力により「地球環境への負荷を最小化する」という観点から、「省エネ」に最大限注力するとともに、

「創エネ」にも取り組み、未達分を「購エネ」によって補完することを基本方針として温室効果ガス排出削減を推進します。その具体的な手段として、地球環境への負荷を最小化するという観点から、生産性向上や新技術導入による「省エネ」、太陽光発電などによりグリーンエネルギーを創り出す「創エネ」、再エネ電力調達による「購エネ」の3つに分けて、具体的なターゲットを設けて活動を展開しています。なお、2024年度は、温室効果ガス排出量(Scope1+2)を2018年度比で20.4%削減することができました。2025年度の実績については、2026年10月頃に当社ウェブサイトにて公表予定であります。     (https://sumitomoelectric.com/jp/sustainability/tcfd)

今後も2030年度目標の達成に向け、着実な取組みを推進していきます。

 

※当社グループのCO2排出量の目標については、2026年5月に策定・公表した「中期経営計画2028」において

見直しました。

(https://sumitomoelectric.com/jp/company/segmid-term2028)

 

温室効果ガス排出削減目標と実績

2030年

目標

2030年までに、Scope1+2(※):50%削減、Scope3(※):30%削減(2018年度対比)

2050年

目標

2050年までに、カーボンニュートラルの達成(温室効果ガス排出実質ゼロ)

(※)Scope1+2:当社グループ自らによる温室効果ガスの直接排出と、他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出

Scope3  :Scope1+2 以外の間接排出

 

温室効果ガス排出量(Scope1+2)

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温室効果ガス排出量(Scope3)

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3【事業等のリスク】

(リスクマネジメントの目的・体制・活動)

当社グループでは、事業活動の遂行や経営上の目標・戦略の達成に対して、阻害要因や悪影響の可能性のある要因をリスクとして把握・分析・評価し、リスクの軽減・最小化を図っております。

当社グループでは、役付取締役及び役付執行役員で構成されるリスク管理委員会においてリスクマネジメント体制、方針の策定、危機発生時の対策本部設置を含むリスクマネジメント活動全般を統括しており、情報収集及び展開、リスク管理教育の企画・実施などは、リスク管理実務委員会において行っております。また所管のリスクマネジメントを推進するため、リスク管理委員会の承認を得て社長もしくは当該部門担当の役付役員を長とする各種委員会を設置しております。さらにリスクが顕在化した場合は、当該部門が適宜リスク管理委員会に報告し、必要に応じた指示を受けております。加えて取締役会規則に従い、取締役会に報告しております。

当社グループでは、各部門及び関係会社ごとに毎年度「リスクの棚卸し」を実施しており、様々なリスクが発生した場合の影響度、発生頻度などの評点化を行い、総合的に評価したうえで、優先的に取り組むべき「重要リスク」を抽出し、対策を検討・実施しております。

この活動は、リスク管理委員会が、リスク管理規程に従い統括しており、リスクの棚卸しの中で全社共通的に重要と考えられるリスクについてはコンプライアンス・リスク管理室より本委員会へ報告され、メンバー間で認識の共有化と対策の検討が行われるとともに、監査役、内部監査部門及び各リスクを所管する各コーポレートスタッフ部門とも連携しながらリスクをモニタリングする体制を敷いております。

グループ横断的な主要リスクについては、各リスクを所管するコーポレートスタッフ部門や当該部門担当の取締役等が主催する委員会がグループ内に展開する対応策や事故事例・防止策に従い、各部門が所管事業の遂行に伴うリスクを再評価のうえリスクマネジメントを行っております。また、当該部門が部門に固有のリスクについても、適宜

コーポレートスタッフ部門や外部専門家の支援を受けながらリスクの軽減等を行っております。

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このようなリスクマネジメント体制のもと、また、幅広い分野にわたってグローバルに展開する当社の事業活動も考慮のうえ、当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクを以下のとおり記載しております。ただし、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(政治経済情勢・需要変動・法律・規制の変更等に係るリスク)

当社グループは、環境エネルギー関連、情報通信関連、自動車関連、エレクトロニクス関連及び産業素材関連他の各需要分野にわたって事業を展開しております。また、地域的には、日本の他、米州、アジア、欧州、中東、北アフリカ等に進出しております。これまで、当社では事業継続の観点から、生産拠点の一国集中を避けて複数拠点の分散を行うことでリスクの軽減を図ってきたため、当社グループの経営成績、財政状態ならびにキャッシュ・フローは、特定の地域・取引先・製品・技術等に過度に依存する状況にはありませんが、各分野や各地域に特有の需要変動や、技術革新に起因する製品ライフサイクル短期化、また、国内外の政治情勢の影響を受けることがあります。海外におけるテロ・暴動・紛争等のリスクに対しては、リスクコンサルタント等の専門家や政府関係機関等より情報収集を行うとともに、有事の際には現地拠点の安全確認、現地情報の社内展開を行っております。さらに、欧米、中国、東南アジアに地域コーポレート会社を設置し、必要に応じて弁護士やコンサルタント等の専門家と契約するなどしてコーポレート機能を強化して、リスク管理の側面からも各地域における関係会社の支援をしております。

なお、当社グループ製品の多くは、最終消費財の部品や社会インフラ用の素材・システムなどであるため、景気循環の影響を受けることはもとより、顧客の購買政策の変化や設備投資に対する政策的判断、競合会社との価格競争激化などの影響を受けることがあります。

また、各市場において、以下のように完全には回避することの困難なリスクが存在しており、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

・地政学的な環境の変化、輸出入規制や関税率の引き上げ等により、売上が減少、もしくは原価率が悪化するリスク

・各国の国内及び国際間取引に係る租税制度の変更等により税金コストが上昇するリスク

・外貨規制、ハイパーインフレーション、テロ、感染症等により投資資金の回収が不可能となるリスク

 

(コンプライアンス全般に係るリスク)

当社グループは、グローバルに事業を遂行するにあたり、国内外の各種法令の適用を受けております。これらの法令違反行為や企業倫理に悖る行為を行うことにより、法令に基づく処罰、訴訟の提起及び信用・評判の失墜など当社グループの経営に重大な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、コンプライアンスは、経営の根幹をなすものであり、存続・発展していくための絶対的な基盤であるとして、「住友事業精神」の「萬事入精」「信用確実」「不趨浮利」という理念に基づき、社会から信頼される公正な企業活動の実践に取り組んでおります。具体的には、社長が委員長を務めるコンプライアンス委員会の下、コンプライアンス・リスク管理室が世界各拠点の法務部門等と連携しながら、当社グループにおける各コンプライアンス活動全体の調整・確認を行うとともに、コンプライアンスの基本姿勢を示す行動規範の制定、コンプライアンスの意識・理解を高める教育の実施、及び内部通報制度の周知・積極的な利用の呼びかけなどを通じて、法令違反行為及び企業倫理に悖る行為の発生可能性を低減するよう努めております。

特に競争法違反及び贈収賄に係るリスクは、欧米を含む厳しい各国法令が適用され、違反時のリスクが高いと考えられます。違反時には、当局への罰金の支払い、役職員個人への刑罰、株主代表訴訟、顧客との取引停止及び信用・評判の失墜など当社グループの経営に重大な影響を与える可能性があります。関連規程の制定、対面研修・Eラーニングの実施、各部・各社におけるこれらのコンプライアンスを担う責任者の設置、ならびに内部通報制度の周知・積極的な利用の呼びかけなどの対応策を実施することにより、運用面でも違反行為の発生可能性を低減するように努めております。

(人権に係るリスク)

当社グループは、基本精神である「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」に基づく高い企業倫理の下、人権尊重の取り組みを推進しております。

具体的には、コンプライアンスの基本姿勢を規定した「住友電工グループ行動規範」にて、人権の尊重、差別・ハラスメントの禁止等を定め、社内教育を当社グループで実施しております。また、様々なステークホルダーのニーズに応え、国際基準に則った人権尊重の取り組みを推進していくことを明確に示すため、「住友電工グループ人権方針」を制定し、当社グループの事業活動における人権への影響を特定し、対応していくため人権デューデリジェンスを実施しております。

さらに、当社グループのサプライチェーンにおいても「住友電工グループサプライヤー行動規範」に基づく実態調査や働きかけ等を通じ、人権尊重の取り組みを推進しております。

上記のとおり、当社グループは、人権尊重を事業活動の大前提と認識し、グループ全体で取り組みを推進しておりますが、事業活動において人権問題が発生した場合、ステークホルダーからの信用失墜等により当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(気候変動のリスク)

当社グループでは「住友電工グループ経営理念」に基づき、地球的視野に立った、環境保全への取り組みを経営の最重要課題として位置付け、「環境方針」を制定しております。本方針のもと、これまでも省エネルギーや再生可能エネルギーの導入など、温室効果ガス排出の削減に取り組んでおりますが、さらなる排出削減を目指し、2050年までにカーボンニュートラル達成を目標に、削減目標に関してSBTi認定を取得し、グループ全体で取り組んでおります。

また、当社グループはグローバルに事業を展開していることから、各国・各地域において、気候変動が一因とされる集中豪雨や大型台風の被害を受ける可能性が高まっておりますが、下記の「自然災害や感染症に関するリスク」に記載する対応策を実施し、リスクに対処しております。

世界的に地球環境保全への取り組みが強化される中、欧州では国境炭素税や電池規則へのLCA(ライフサイクルアセスメント)などが導入されており、顧客から当社グループの製品のカーボンフットプリント(CFP)削減を求められるケースも生じております。これらへの対応不備や遅れは、機会損失となり得ます。加えて、温室効果ガス排出削減に向け、これまで以上に太陽光発電施設等の導入やグリーン電力の購入が必要となる可能性や、炭素税増税によるエネルギー調達コストの上昇などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらリスクに対しては、経営層を中心とするGX推進委員会が当社グループ全体の環境保全活動を企画・統括し、地球環境推進責任者会議が具体的活動の推進とともに、行政・顧客を含む社会動向の把握と活動への落とし込み、事業部門及び関係者の環境保全への取り組みに対する監査及び指導を通じて、リスク低減に取り組んでおります。

(自然災害や感染症に関するリスク)

当社グループは、阪神・淡路大震災や東日本大震災といった巨大地震、又は集中豪雨、大型台風等により被害を受けた経験や新型インフルエンザやコロナウイルス感染症の流行を踏まえ、大規模自然災害や感染爆発(パンデミック)が発生した際も重要業務を継続し、迅速な復旧を図るため、事業継続計画(BCP)の策定と、BCPの継続的な改善を図る事業継続マネジメント(BCM)を推進するなど、従来より対策を講じております。

一方、当社グループはグローバルな事業展開を拡大していることから、各国・各地域において巨大地震や風水害等の直接的な被害を受ける可能性があることに加え、顧客の被災や物流網の寸断、電力不足等により生産活動が計画通り進まない可能性があります。また、当社グループの国内拠点の一部が、30年以内に60%~90%程度以上の確率で発生が見込まれる南海トラフ巨大地震や首都直下地震の想定被災地域あるいは沿岸地域等に存在していることもあり、大規模な地震が発生した場合には津波や液状化等による重大な被害を受ける可能性があり、当社グループの生産活動をはじめとする事業活動全般に影響を及ぼす可能性があるほか、売上減少や修繕費用の支出を余儀なくされるなど、当社グループの経営成績及び財政状態等に大きな影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対処するため、当社グループでは、当社各拠点及び各関係会社で同時開催する「統合防災訓練」を毎年2回、継続的に開催し、防災意識を高めております。また、対策本部設置による情報伝達・共有訓練も同時に行っております。

さらに、建屋の耐震改修を進め、主要な建屋は現行の耐震基準と同等以上の耐震性能を確保するようにしております。また、災害時も重要システムが停止しないよう、伊丹コンピュータセンターのバックアップセンターを横浜に設置し、年に1回、復旧訓練(BCP訓練)を実施しております。

リモートワークやオンライン会議が定着したことを受け、ネットワークやクラウド環境の二重化など、事業継続力強化に取り組んでおります。

(産業事故等のリスク)

当社グループは、各製造拠点において火災・爆発、感電、有害物質の漏洩等について、点検と対策を計画的に進め、産業事故や環境汚染等公害事故の発生防止を実施しております。特に火災については、他社及び当社グループで過去に発生した事故・ヒヤリ分析から未然防止に向けた活動を積極的に進めております。

産業事故については、重要設備の停止による生産活動への悪影響を最小限に抑えるために、日常的及び定期的な設備保全を行う一方、老朽化更新を計画的に進めております。また、これまでの労働災害の原因分析を基に再発防止策を展開し、日々安全な職場の構築・維持に努めております。

環境汚染等の公害事故については、環境保護を含めた各国規制の把握不全ならびに新たな法・規制改正といったリスクが存在します。これらのリスクに対処するため、当社グループでは、各製造拠点においてグループ共通の管理基準に基づく厳格な自己管理のもと操業を行っております。また、施設診断やコンプライアンス(法令遵守)監査を実施することで、公害事故の発生の未然防止及び再発防止策の立案に努めております。しかしながら、予期せぬ事態により産業事故や公害事故が発生し、当該事故が当社グループの業務及び地域社会に大きな影響を及ぼした場合、これに伴い生ずる社会的信用の失墜、補償等を含む事故対応費用、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(人材確保に係るリスク)

当社グループは、多岐にわたる事業領域においてグローバルに事業を展開しております。こうした事業活動を支える人材の確保や流出防止ができない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、人材の育成と活用を経営の最重要事項として位置付けており、「住友事業精神」にある「事業は人なり」の精神を今に受け継いできております。こうした考え方に立脚し、あらゆる人材が仕事を通じて成長し自己実現を図れ、社会に貢献できる会社を目指し、ダイバーシティ&インクルージョンの推進や働きやすい環境の整備、健康経営の推進を行っています。また強固な人材・組織基盤づくりのため、エンゲージメントを強化する施策や競争力のある報酬処遇制度を整備する他、各種施策を進めることで人材の確保や流出防止に努めるとともに、ものづくり教育や高度な専門性を磨く研修などを通じ、人材の育成にも努めております。また、ものづくり人材や高度な専門性、技術を保有する人材の採用を進めるため、世界各地においてグローバルまたは各地域で活躍する人材の採用活動を行い、人材確保に努めております。

(金利の変動によるリスク)

当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を実施しております。当社グループでは、設備投資のための長期安定的な資金を必要とするため、長期固定金利の長期借入や社債発行による調達が中心となっていることから、金利の短期的な変動による影響は比較的受けにくくなっておりますが、金利が中長期的に上昇した場合は、長期借入や社債等による資金調達コストを上昇させ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(為替レートの変動によるリスク)

当社グループは世界各地で製造・販売活動を展開し、グループ各社は所在国通貨やそれ以外の通貨で売買等取引を行っており、各通貨の短期的な為替変動による変動リスクがあります。

当社グループでは、売買等取引通貨の一致、為替予約取引等の手段により各通貨の短期的な為替変動による影響を最小限にとどめるようにしておりますが、中長期にわたる大幅な為替変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、在外連結子会社及び在外持分法適用関連会社の個別財務諸表を主に現地通貨ベースで作成しており、連結財務諸表の作成時に円換算しております。従って、現地通貨ベースでの業績に大きな変動がない場合でも、期末円換算時の米国ドル、ユーロ等の為替レート変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(原材料等の調達に係るリスク)

当社グループは、電線・ケーブルなど銅を主たる原材料とした製品を多数有しております。このうち主要な製品の販売価格については、ロンドン金属取引所の市況価格を反映した銅価格に基づいて決定するという商慣習が普及しており市況価格変動リスクを回避しております。しかし一部の製品についてはこのような価格決定方法を採用していないため、急激な市況価格の上昇は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、価格転嫁交渉により損益への影響は最小限にとどまると考えております。

その他の非鉄金属、鉄鋼、石油化学製品、半導体等の原材料や副資材の調達についても、当社グループでの共同購買など有利購買活動を強化しておりますが、各産業の構造変化による諸資材の急激な市況価格の上昇や需給の逼迫が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また希少金属については、産出国の政策による輸出規制や供給制限で必要量の調達が困難となる可能性があり、他の原材料や副資材についても、自然災害、感染症の蔓延、供給者の倒産、戦争、テロ、ストライキ等により、必要量の調達が困難となる可能性があるため、代替が利かない重要部材は戦略的に備蓄を行う等の対策を講じ、影響を最小限にとどめるよう取り組んでおります。

(取引先の信用リスク)

当社グループは、国内外の様々な顧客と取引を行っており、掛け売りなどの信用供与を行っています。取引相手の財政状態の悪化や経営破綻等が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。

かかるリスクへの対応として、当社グループでは、定期的な信用調査や信用リスクに応じた取引限度額の設定、債権回収状況のモニタリングなど、信用リスクの管理のための施策を実施しています。

(保有有価証券の時価の下落によるリスク)

当社グループは、取引先との長期的・安定的な関係の構築・強化や、事業・技術提携の円滑化を主たる目的として、ROE、ROICへの影響や寄与等を勘案し、中長期的な企業価値向上に資するかという観点より、取引先等の政策保有株式を保有しております。保有目的に適さなくなった株式、あるいは中長期的な企業価値の向上に資することのなくなった株式は処分の検討を行っております。また原則、売買目的の株式は保有していないため、株式市況の変動が経営に直接与えるリスクは比較的小さいと考えられますが、株式市況が大幅に悪化した場合は、自己資本比率を低下させる可能性があります。

(退職給付債務に係るリスク)

当社グループは、ポイント制の退職一時金、確定給付企業年金の他、確定拠出年金制度を導入しています。従業員の退職給付債務及び費用については、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づき算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、さらには、株式や債券等の価格下落に伴う年金資産の時価減少や、長期金利の低下に伴う割引率の引き下げなどにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

企業年金基金の年金資産運用にあたっては、運用基本方針の策定、資産構成や資産配分の決定、運用機関の選定等に際し、外部の運用コンサルティング会社の意見を聴取し、理事長の諮問機関として設けている財務担当役員や労働組合の代表者等からなる資産運用委員会に諮り助言を受けた上で、理事会、代議員会での議決を行う体制となっております。

(知的財産に係るリスク)

当社グループは、特許権、商標権等の知的財産権の取得により自社事業の保護を図るとともに、他社の知的財産権に対しても細心の注意を払っております。事業活動推進時には、知的財産権問題には十分に留意しておりますが、製品技術の進化、海外での事業活動の拡大、デジタル化の進展に伴う情報通信技術の利用やアプリの導入、流通経路の複雑化等により、当社グループの製品が意図せず他社の知的財産権を侵害した場合、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があります。当社グループ事業に関わる部品等の供給者、当社製品の顧客、事業の協業先など、多くの関係先と市場環境に関する情報を共有し、適切な契約を締結することにより、問題の発生抑止と影響の軽減を図っております。

各国の法制度や執行状況の相違により、他社による当社グループの知的財産権への侵害に対して常に十分な保護が得られるとは限らず、市場の確保が難しくなる可能性があります。このため、事業を展開する各国・地域の最新の知的財産環境情報を収集し、事業防衛に効果的な権利網の構築を図っております。

(情報の流出及びサイバーセキュリティに関するリスク)

当社グループは事業活動を通じて、自社及び顧客・取引先の営業秘密、ノウハウ、データ等の機密情報を保有しています。また国内外において30万人を超えるグループ従業員の個人情報も有しております。競争力の源泉としての機密情報や、世界的に規制強化の動きがある個人情報は、企業における管理の重要性が増しております。また、近年は、IoTやDXの活用に伴い生産システムやサプライチェーンも含めたネットワーク環境の重要性が増しており、さらにはAIの安全な活用が急務となっています。

しかしながら、サイバー攻撃が増加・巧妙化しており、当社や国内外の関係会社もしくは関係取引先等へのランサムウェア、コンピューターウイルス感染、不正アクセス等のサイバー攻撃や、故意・過失、その他予期せぬ事態から、当社製品やサービスが影響を受け、情報漏えい、システム停止や重要業務の停止等、海外拠点も含めた当社グ

ループの事業活動に影響する可能性は皆無ではありません。

このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の失墜、ブランドイメージの低下、損害賠償や規制当局による金銭的な賦課の発生(EU一般データ保護規則(GDPR)では最大当社グループ売上高の4%に上る場合がある)などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対し、機密情報や個人情報の秘密保持、情報機器やクラウドサービス等の利用については、社内規程の整備、情報開示先との契約締結、個人情報保護方針の制定・公開、それらの教育による周知徹底、事故時の報告を含む管理体制の整備を行っております。加えて、当社グループにおける情報セキュリティマネジメントの強化とセキュリティ対策の高度化、サプライチェーンのセキュリティ管理強化など、リスク低減に努めております。

具体的には、国際標準に準拠、最新の知見を反映した情報セキュリティポリシーの下、部門・関係会社にセキュリティ責任者を任命して「業務システム」、「生産設備」、「製品」に関するリスク低減に取り組んでいます。業務システムでは、ウイルス対策や脆弱性対応などの基本対策に加え、インシデント発生時の検知・対応・復旧体制の整備など、サイバー攻撃への対応力強化を推進しています。また、セキュリティ教育や攻撃メール訓練などによる従業員の意識向上にも注力しています。生産設備では、業務と生産設備のネットワークを分離すると共に、生産設備のパソコンのセキュリティ対策を徹底しています。製品では、全社のセキュア開発運用対策標準に従って、製品・サービスのセキュリティ向上に努めています。

(製品及びサービスの欠陥によるリスク)

当社グループは国内外で事業を展開していますが、グループ共通の「住友電工グループ 品質管理基準」に基づいて体系化した品質管理の仕組みを各部門において構築し、製品及びサービスの品質向上や品質不正の未然防止に万全の注意を払っております。全社機能としては、各部門の業務の仕組みや運用状況の点検や監査、各階層を対象とした品質管理教育を系統立てて行い、品質管理基準の遵守に努めております。また、万一の事態に備え、製造物責任保険に加入する等の対策を講じております。しかしながら、予期せぬ事態により、製品及びサービスの欠陥等の品質問題が発生し、顧客に対する製品納入の遅れや工場の生産性の低下、さらには大規模なリコールや製造物責任につながる可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の失墜、ブランドイメージの低下、製品の回収費用や損害賠償の発生などにより、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

①  経営成績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

親会社株主に帰属

する当期純利益

(百万円)

当連結会計年度

5,110,171

418,173

431,274

369,508

前連結会計年度

4,679,789

320,663

309,496

193,771

増減率(%)

9.2

30.4

39.3

90.7

 

当連結会計年度の世界経済は、米国の関税政策見直しによるサプライチェーンへの影響、米中対立や中東情勢緊迫化などの地政学的リスクの高まりもあり、先行き不透明な状況が続きましたが、各国の財政・金融政策による景気下支えや、生成AIなどテクノロジー関連投資の増加もあり、全般的に底堅く推移しました。日本経済につきましても、物価上昇はありましたが、企業の設備投資が増加したほか、雇用・所得環境の改善もあり、景気は緩やかに回復しました。

当社グループを取り巻く事業環境につきましては、情報通信分野でデータセンター関連市場向け製品の需要が大きく増加したほか、自動車分野ではワイヤーハーネスの需要が、環境エネルギー分野では電力ケーブルや受変電設備などの需要が堅調に推移しました。このような環境のもと、当連結会計年度の連結決算は、売上高は、5,110,171百万円(前連結会計年度4,679,789百万円、9.2%増)と前連結会計年度に比べ増収となりました。利益面では、売上増加に加えて、品種構成の改善、徹底した生産性改善やコスト低減、売値改善に努め、営業利益は418,173百万円(前連結会計年度320,663百万円、30.4%増)と前連結会計年度に比べ増益、営業利益率は8.2%(前連結会計年度6.9%、1.3ポイント上昇)となりました。営業外収益は、持分法による投資利益の増加などにより17,920百万円増の58,616百万円、営業外費用は、支払利息の減少などにより6,348百万円減の45,515百万円となり、経常利益は431,274百万円(前連結会計年度309,496百万円、39.3%増)と前連結会計年度に比べ増益となりました。特別利益では固定資産売却益10,360百万円、投資有価証券売却益8,635百万円に加え、関係会社株式売却益79,154百万円を計上し、合計では98,149百万円となりました。特別損失では、固定資産除却損5,381百万円、減損損失7,134百万円に加え、事業構造改善費用11,749百万円を計上し、合計では24,264百万円となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は505,159百万円となりました。ここから法人税等104,013百万円及び非支配株主に帰属する当期純利益31,638百万円を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は369,508百万円(前連結会計年度193,771百万円、90.7%増)と前連結会計年度に比べ増益となりました。また、棚卸資産や政策保有株式の圧縮など資産効率の改善にも取り組み、税引前ROICは14.7%(前連結会計年度9.3%)と、前連結会計年度を上回る結果となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりです。

 

売上高

営業利益又は営業損失

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減率

(%)

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減率

(%)

環境エネルギー

1,081,344

1,178,780

9.0

78,718

90,615

15.1

情報通信

223,276

326,632

46.3

19,926

77,435

288.6

自動車

2,734,730

2,937,168

7.4

172,391

179,700

4.2

エレクトロニクス

377,248

409,096

8.4

29,311

39,528

34.9

産業素材他

372,667

388,413

4.2

20,592

31,399

52.5

合計

4,789,265

5,240,089

9.4

320,938

418,677

30.5

調整額

△109,476

△129,918

△275

△504

連結損益計算書

計上額

4,679,789

5,110,171

9.2

320,663

418,173

30.4

 

環境エネルギー関連事業は、電力ケーブル、電動車向けのモーター用平角巻線、日新電機㈱における受変電設備、住友電設㈱における電気工事などの増加により、売上高は1,178,780百万円と97,436百万円(前連結会計年度比9.0%)の増収となり、営業利益は、90,615百万円と11,897百万円の増益となりました。売上高営業利益率は7.7%と0.4ポイント上昇しました。なお、工事・プラント受注高は494,621百万円(当連結会計年度末の受注残高は447,060百万円)と、前連結会計年度比1,973百万円(0.4%)増加しました。

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ91,878百万円減少の1,010,103百万円となりました。

情報通信関連事業は、生成AI市場の拡大を背景にデータセンター向けの光配線製品、光ケーブル、光デバイスの需要が増加し、売上高は326,632百万円と103,356百万円(46.3%)の増収となりました。営業利益は、売上増加に加えて、品種構成や生産性の改善もあり、77,435百万円と57,509百万円の増益となりました。売上高営業利益率は23.7%と14.8ポイント上昇しました。

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ82,751百万円増加の367,373百万円となりました。

自動車関連事業は、ワイヤーハーネスや防振ゴムの需要が堅調に推移したことにより、売上高は2,937,168百万円と202,438百万円(7.4%)の増収となり、営業利益は、179,700百万円と7,309百万円の増益となりました。売上高営業利益率は6.1%と0.2ポイント低下しました。

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ226,861百万円増加の2,458,129百万円となりました。

エレクトロニクス関連事業は、主要顧客向けFPCの需要が増加したことにより、売上高は409,096百万円と31,848百万円(8.4%)の増収となりました。営業利益は、売上増加に加えて、生産性の改善もあり、39,528百万円と10,217百万円の増益となりました。売上高営業利益率は9.7%と1.9ポイント上昇しました。

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ45,949百万円増加の353,947百万円となりました。

産業素材関連事業他は、超硬製品、ダイヤ・CBN製品が増加したことにより、売上高は388,413百万円と15,746百万円(4.2%)の増収となりました。営業利益は、売上増加に加えて、焼結製品のコスト低減もあり、31,399百万円と10,807百万円の増益となりました。売上高営業利益率は8.1%と2.6ポイント上昇しました。

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ174,224百万円増加の1,167,756百万円となりました。

なお、各セグメントの営業利益又は営業損失は、連結損益計算書の営業利益又は営業損失に対応しております。

②  財政状態

 

資産合計

(百万円)

負債合計

(百万円)

純資産合計

(百万円)

自己資本比率

(%)

当連結会計年度末

4,824,532

1,989,533

2,834,999

56.9

前連結会計年度末

4,441,629

1,911,192

2,530,437

51.6

増減

382,903

78,341

304,562

5.3

 

当連結会計年度末の資産合計は、主に保有株式の時価上昇に伴う投資有価証券の増加に加え、年金資産の時価上昇に伴う退職給付に係る資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ382,903百万円増加し、4,824,532百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、借入金減少の一方で、繰延税金負債やコマーシャル・ペーパーの増加などにより、前連結会計年度末に比べ78,341百万円増加し、1,989,533百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、配当金支払や公開買付けによる住友理工㈱の株式取得及び住友電設㈱の株式譲渡に伴う非支配株主持分の減少などがあった一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や為替換算調整勘定の増加などにより、前連結会計年度末に比べ304,562百万円増加し2,834,999百万円となりました。自己資本比率は56.9%と、前連結会計年度末対比5.3ポイント上昇しております。

③  キャッシュ・フロー

 

営業活動による

キャッシュ・フロー

(百万円)

投資活動による

キャッシュ・フロー

(百万円)

財務活動による

キャッシュ・フロー

(百万円)

現金及び現金同等物期末残高

(百万円)

当連結会計年度

425,192

△174,862

△326,031

235,921

前連結会計年度

402,253

△223,904

△150,825

294,487

増減

22,939

49,042

△175,206

△58,566

 

まず、営業活動によるキャッシュ・フローで425,192百万円の資金を獲得(前連結会計年度比22,939百万円の収入増加)しました。これは、税金等調整前当期純利益505,159百万円と減価償却費209,842百万円との合計、すなわち事業の生み出したキャッシュ・フローが715,001百万円あり、これに運転資本の増減などを差し引いた結果であります。

投資活動によるキャッシュ・フローでは、174,862百万円の資金を使用(前連結会計年度比49,042百万円の支出減少)しました。これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入があった一方、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出222,228百万円などがあったことによるものであります。

なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・

キャッシュ・フローは、250,330百万円のプラス(前連結会計年度は178,349百万円のプラス)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローでは、326,031百万円の資金の減少(前連結会計年度は150,825百万円の資金の減少)となりました。これは、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出や配当金の支払などがあったことによるものであります。

以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より58,566百万円(19.9%)減少し235,921百万円となりました。また、当連結会計年度末における有利子負債は、前連結会計年度末より66,068百万円減少し709,802百万円となり、有利子負債から現金及び現金同等物を差し引いたネット有利子負債は、7,502百万円減少し473,881百万円となりました。

④  生産、受注及び販売の実績

当社及び連結子会社の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため生産、受注及び販売の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①  経営成績」に記載のセグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①  経営成績等の状況の分析

当社グループは、長期ビジョン「住友電工グループ2030ビジョン」の実現に向けたマイルストーンとして2023年度からスタートした「中期経営計画2025」において、経営上の目標の達成状況を、売上高、営業利益、税引前ROICを重要な指標として測定することとしておりました。

当連結会計年度における「売上高」は5,110,171百万円(前連結会計年度比430,382百万円増)、「営業利益」は418,173百万円(前連結会計年度比97,510百万円増)、「税引前ROIC」は14.7%(前連結会計年度比5.4ポイント上昇)と、いずれの指標も前連結会計年度を上回りました。「中期経営計画2025」における目標に対する当連結会計年度の実績は以下のとおりとなり、いずれの指標も目標を超過達成する結果となりました。

 

当連結会計年度

中期経営計画2025目標

売上高(百万円)

5,110,171

4,400,000

営業利益(百万円)

418,173

250,000

税引前ROIC

14.7%

8%以上

 

なお、営業利益の前連結会計年度比での増減要因は以下のとおりとなっております。

前期営業利益

320,663

百万円

売上数量の増加

115,000

 

売値の低下・品種構成の変化

△19,000

 

銅価・資材価格変動の影響

△10,000

 

収益体質の改善

34,000

 

為替変動の影響

7,000

 

関税の影響

△5,000

 

その他

△24,490

 

当期営業利益

418,173

 

 

②  キャッシュ・フローの状況の分析、資本の財源及び資金の流動性に係る状況

当社グループの資金需要のうち主なものは、事業運営に必要な設備資金や運転資金であり、必要資金については自己資金の充当及び金融機関からの借入や社債発行等により調達しております。

当社グループは、健全かつ強固な財務体質を維持することを基本方針とし、自己資本比率を50%水準に維持することとしております。当連結会計年度末における「自己資本比率」は56.9%(前連結会計年度末比5.3ポイント上昇)となりました。

また、資金の流動性を確保するために、金融機関とコミットメントライン契約を締結するとともに、当連結会計年度末現在において、日本格付研究所(JCR)より「AA(長期)、J-1+(短期)」、格付投資情報センター(R&I)より「AA-(長期)、a-1+(短期)」の格付を取得しております。

キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③  キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 

③  重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。また、連結財務諸表を作成する際には、当連結会計年度末日時点の資産・負債及び当連結会計年度の収益・費用を認識・測定するため、合理的な見積り及び仮定を使用する必要があります。当社グループが採用している会計方針のうち重要なものについては、「第5  経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「重要な会計方針」に記載しております。また、当社グループが用いた会計上の見積りのうち重要なものについては、「第5  経理の状況」の「重要な会計上の見積り」に記載しております。

5【重要な契約等】

当社は、2025年10月30日開催の取締役会において、大和ハウス工業株式会社(以下「公開買付者」という。)との間で、①公開買付者が実施する当社の連結子会社である住友電設株式会社(以下「住友電設」という。)の普通株式(以下「住友電設株式」という。)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」という。)に、当社が所有する住友電設株式の全てを応募しないこと等に関する公開買付けに係る不応募契約書、及び、②本公開買付け成立後に、住友電設の株主を当社及び公開買付者のみとするための手続(住友電設株式の併合を含む。)を実施すること、並びに③住友電設が実施する自己株式取得により、当社が所有する住友電設株式の全てを住友電設に譲渡すること(以下、これらの取引その他これらに関連して必要となる一連の取引等を総称して「本取引」という。)等に関する完全子会社化に係る契約書(以下、総称して「本取引関連契約」という。)を締結することを決議し、本取引関連契約を締結しました。

なお、本公開買付けが成立し、本取引が実施されたため、当社は所有する住友電設株式の全てを2026年3月に譲渡しております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況」の「企業結合等関係」に記載しております。

6【研究開発活動】

当社及び連結子会社は、「技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます」との経営理念の下、社会の変革・伸長分野に焦点を合わせ、オリジナリティがあり、かつ収益力のある新事業・新製品の開発に努めております。また、将来の社会ニーズを踏まえ、当社グループの次代の成長を担う研究テーマの発掘・育成にも積極的に取り組んでおります。

環境エネルギー関連事業、情報通信関連事業、自動車関連事業、エレクトロニクス関連事業、産業素材関連事業他の各事業分野及び共通基盤技術における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりであります。

また、当連結会計年度における研究開発費の総額は162,858百万円であります。

(1) 環境エネルギー関連事業

超電導や次世代送電網の分野でのネットワーク技術を活用したエネルギーソリューション事業など、新しい分野への進出を図るとともに、蓄電池、電力ケーブルなどエネルギー分野での積極的な開発を推進しております。

超電導の分野では、MOD法(溶液塗布熱分解法)による低コスト希土類系高温超電導線材の実用化に取り組んでおります。また、世界初の安定した超電導接続技術を開発し、永久電流で磁場を発生することが可能なコイルを実現しました。これらの技術により、高温超電導線材のNMR(核磁気共鳴装置)やMRI(磁気共鳴画像)への展開や小型核融合炉用マグネットへの応用が期待できます。

次世代送電網の分野では、自然エネルギーの導入、省エネルギー、電力網の分散管理といった社会ニーズに対応すべく、レドックスフロー電池(蓄電池)について、大規模システムによる実証運転を実施しております。

導体材料、高分子材料などの当社固有の材料技術とプロセス技術、めっき技術や表面処理などの電気化学に関するコア技術を活用し、電力ケーブル分野では、長距離直流連系線、再生エネルギー関連の需要伸長に対応すべく、超高圧直流ケーブル、洋上風力ケーブル、ケーブル端末や中間接続用の機器製品を開発しております。

また、HEV(ハイブリッド自動車)等の環境対応車では、駆動モーター等に適用する高性能平角巻線の開発とともに、EV(電気自動車)の急速充電のニーズに対応する次世代の高電圧平角巻線の開発に注力しております。さらに、HEVのニッケル水素電池に使用されるニッケル多孔体に関する技術を燃料電池、水素製造装置の電極にも展開するため、高温での耐久性や強酸に対する信頼性を高めた耐熱耐食性合金の多孔体の開発も進めております。

日新電機㈱では、当社と送配電機器・エネルギーソリューション事業を強化すべく、両社の研究開発部門を融合した「日新住電エネルギーシステム開発センター」にて、環境配慮への要請の高まり、脱炭素に向けた電力システムの変化など、持続可能な社会に向けた動きへ対応すべく、研究開発に取り組んでおります。

電力・環境システム分野では、環境負荷の低減、省スペース化を狙いとする製品の開発と共に、多様な分散型電源が導入拡大される社会において電力の安定需給を支える技術や製品、システムの開発、蓄電池システムや工場・水処理設備の進化に資する運用管理、デジタル化・スマートメンテナンス関連の技術や製品、システムの開発を進めております。

ビーム・プラズマ分野では、社会を支える材料・部品・デバイスの進化に資するべく、パワー半導体用や高精細中小型フラットパネルディスプレイ製造用などのイオン注入装置、多様な材料改質に利用される電子線照射装置、ファインコーティング関連の技術研究や製品開発を進めております。

当事業に係る研究開発費は19,292百万円であります。

(2) 情報通信関連事業

光通信関連製品、デバイス関連製品、化合物半導体材料、ネットワーク・システム関連製品などの分野において、総合的に研究開発を行っております。

光通信関連分野では、光ファイバ・ケーブルの伝送容量向上や長距離化に向け、超低損失ガラス、新タイプの細径光ファイバや高耐曲げ性・高耐側圧性の光ファイバ、1本の光ファイバ中に複数のコアを有するマルチコア型光ファイバ、次世代技術である中空コア光ファイバ等、広範囲な開発を進めております。また脱炭素に向けた光ファイバ新製法開発や、世界的に強化される化学物質規制への対応にも積極的に取り組んでおります。

一方で、AIインフラ基盤として全世界的に敷設が進む大規模データセンターに必須の大容量・高密度光配線製品を開発しており、需要急増に対応するためサプライチェーン強化を図ると共に、コンピューティング能力向上と消費電力低減を両立する光電融合に向けた新技術創出にも取り組んでおります。

デバイス関連分野では、光通信用デバイス及び無線通信用電子デバイス関連の新製品をいち早く市場に投入することにより、事業拡大に努めております。光通信用デバイス関連製品では、データセンター用機器等に搭載される支線系対応製品や、長距離幹線機器に対応したコヒーレント伝送用デバイスを開発しております。無線通信デバイス関連製品では、高効率・高出力のGaN(窒化ガリウム)トランジスタを開発し、携帯基地局用途に製品化しておりますが、5G及び次世代通信用にさらなる効率改善、高周波/広帯域化に取り組んでおります。また、これらデバイス技術の蓄積を活かし、多様な分野への応用が期待できる近赤外、中赤外領域の製品開発も進めております。

化合物半導体材料では、高速通信用の光デバイスや無線通信用電子デバイスなどに用いられるInP(インジウムリン)及びGaAs(ガリウムヒ素)系エピタキシャルウエハの新製品開発を進めております。

ネットワーク・システム関連分野では、持続可能で強靭な社会を支える情報通信機器・システムの研究開発を推進しております。光・無線技術及びその融合技術を活用し、5G/Beyond 5G向けネットワークやオール光ネットワーク、データセンターを支える光伝送システム、無線伝送システム及びそのコアとなる部品、さらにこれらの運用管理を支えるデジタルツインの実現を目指してセンシング技術や統合管理システム等の研究開発に、通信事業者とも連携しながら取り組んでおります。

当事業に係る研究開発費は22,233百万円であります。

(3) 自動車関連事業

近年の自動車関連製品の開発においては、従来にも増して顧客目線の開発・提案が求められております。当社では㈱オートネットワーク技術研究所にてマーケティングから製品開発まで一貫して行う研究開発体制を整備し、変化の激しい事業環境に対応するため、方針決定の迅速化や効率化を図っております。CASEやSDGsなどの社会ニーズの大きな変化と当社が持つ技術シーズをマッチングさせるマーケティング活動を強化するとともに、顧客密着型の活動を深化させ、当社が得意とする情報通信やエネルギー関連技術を活かしたワイヤーハーネスやエレクトロニクス製品などの新製品の開発を行っております。

ワイヤーハーネスに関しては、顧客とともに、次世代車両における電力供給や情報伝送を担うネットワークアーキテクチャを構想し、システム設計やそれに必要な要素技術の開発を進めております。高速通信分野では自動運転やSDV(Software Defined Vehicle)等の進展により将来必要とされる超高速通信に向けて、車載光ハーネス・光コネクタの開発を推進しております。車両の製造革新に対しては、モジュール生産に必要となるモジュール対応ワイヤーハーネスの開発を進めております。本格普及が進む電動車(BEV・PHEV・HEV・FCEV)向けでは、高圧ハーネス・コネクタ、バッテリー内配線モジュールなどの製品開発に取り組んでおります。電動車の高電圧化・大電流化により大きな課題となる電磁ノイズ対策製品の開発も進めております。GX、CE(サーキュラーエコノミー)に対する研究活動も強化しており、ワイヤーハーネスから金属・樹脂などを分離・再生する技術開発にも取り組んでおります。

エレクトロニクス機器に関しては、給電・分配・変換・蓄電に関わる車載電源機器や、車内の情報配線のハブ機能となる車載ゲートウェイなどの開発を進めております。車両と社会インフラ側の電力・通信ネットワークとの連携拡大を見据え、新たなシステムやサービスの開発にも取り組んでおります。

一方で、新製品の開発効率化や高いレベルの品質確保に不可欠な試験・分析・評価・解析などの基盤技術の研究開発も推進しております。CAE(Computer-Aided Engineering)技術やAIを活用したDX化を推進することで、材料選定・性能予測サイクルを短縮し、顧客に対するタイムリーな提案を実現しております。今後の電磁ノイズの高周波化に対応するための高精度計測技術やノイズ測定環境の構築も進めております。

交通インフラ関連分野では、交通事故削減や自動運転社会に向けたインフラ機器・クラウド技術の研究開発を推進しております。具体的にはコネクティッドカー管理システム等の開発を行っております。

住友理工㈱では、ワイヤーハーネスと、ホースやバイタルセンサー等を組み合わせたシステムや製品の開発を推進しております。

自動車用品事業においては、振動や騒音の低減、流体制御性能の高度化による製品の高付加価値化を図るとともに、当社のコア技術の深化を目的とした研究開発を進めております。

EVの普及に伴い注目される熱マネジメント分野では、当社のコア技術から生まれ、優れた断熱効果を持つ薄膜高断熱材「ファインシュライト」の技術を基に、電池用断熱材の開発を進めております。さらに、冷却系ホースや

バッテリー冷却プレート「クールフィットプレート」の開発及び拡販を強化しており、社会や顧客ニーズヘの迅速な対応を図っております。また、独自の加硫シミュレーション技術の確立による、設計から量産工程まで一貫したDXを推進しております。これを活用することで、より高精度な製品設計と、量産における高い競争力の実現を目指してまいります。

当事業に係る研究開発費は108,280百万円であります。

(4) エレクトロニクス関連事業

導体材料、高分子材料などの当社固有の材料技術とプロセス技術、めっき技術や表面処理などの電気化学に関するコア技術を活用し、FPC、電子ワイヤー製品、照射架橋製品、多孔質フッ素樹脂膜製品などの開発を行っております。FPCでは携帯機器向けの微細回路製品、データセンター向けの高速伝送用配線材、5Gやミリ波などの用途に適用する高周波製品の開発に取り組んでおります。また、電子デバイス用の高熱伝導度で低線膨張率の放熱素材、フッ素樹脂フィルムの独自の多孔化技術を適用した半導体製造プロセス向けの微小孔径の多孔質膜の開発にも注力しております。

当事業に係る研究開発費は4,896百万円であります。

(5) 産業素材関連事業他

超硬合金、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、コーティング薄膜、特殊鋼線、鉄系焼結部品やセラミックス、摺動樹脂コーティングに関する当社固有の材料技術とプロセス技術を駆使し、切削用工具・研削用工具や超精密加工用工具、各種自動車機構部品、機能部品等の開発を進めております。

切削用工具・研削用工具開発においては、今後、市場が伸長していく航空機分野及び半導体分野を重点ターゲットとし、計算科学を活用した硬質材料の開発、コーティング技術開発を進めております。

ダイヤモンドでは、超精密加工や高品位加工用工具素材として使用することを目的として、独自の原料技術や超高圧技術で単結晶ダイヤモンド素材や新材料開発及び精密加工技術開発に注力しております。また、量子センサ用ダイヤモンド素材開発にも取り組んでおります。

当事業に係る研究開発費は8,157百万円であります。

今後の成長を担う新規分野への挑戦として、水素エネルギー社会を実現する技術開発を行っております。

以上の各事業分野の研究開発及び生産、品質などを支える解析技術の分野では、電子顕微鏡による原子構造の観察や、ポリマーの分子構造解析など、最先端技術により、モノづくりの品質強化を行っております。これに加え、公益財団法人佐賀県産業振興機構・九州シンクロトロン光研究センターに当社グループ専用のビームラインを保有し、放射光による世界トップ水準の原子スケール解析を常時利用することで、製品開発の加速や知的財産権の強化などを進めております。また、大規模計算や計算科学など高度な計算機シミュレーション技術の開発、AI活用にも注力しており、本技術を活用することで新製品設計最適化、生産プロセスの改善による信頼性向上を推進しております。その他、中国・蘇州市に中国解析センターを設置し、当社グループのグローバル展開を支えております。

研究開発・モノづくりを強化するためにDX技術の開発も進めてまいります。また、DX技術の中核であるAI活用を一層加速いたします。新材料の研究開発においては、原子配置情報から量子力学計算と同等の高精度でエネルギーや力を予測する「NNP(ニューラルネットワークポテンシャル)」技術の導入を推進します。製造工程においては、炉内温度や成分量など従来計測が困難だった物理量をAIで推定する「ソフトセンサ」技術を活用し、製品品質の早期安定化を図ります。さらに、フィジカルAIおよびロボット技術に関する研究開発を深化させ、製造現場の自動化に向けた基盤技術の確立に努めます。併せて、セキュリティリスクの低減と、全社的にAIを安全かつ円滑に活用できる基盤整備にも注力してまいります。

大阪製作所内の研究本館「WinD Lab.」を研究・開発活動の中核とし、2020年度に伊丹製作所内に開所した「Crystal Lab.」並びに横浜製作所内の情報通信分野の研究開発拠点が連携して部門横断的な研究開発の加速に取り組んでおります。なお、生成AIの拡大に伴い、今後も需要増が見込まれるデータセンター関連製品の研究開発を強化するため、横浜製作所内に新たな研究開発棟が完成、稼働予定であり、データセンター向けの光コネクタや光接続部品の技術開発を加速します。海外においても米国カリフォルニア州のICS(Innovation Core SEI,Inc.)の他、欧州・中国等に設けた研究拠点を活用して、広い視野で事業の成長を目指してまいります。また、グループ全体として、これらの研究開発の成果を早期に収穫すべく努めるとともに、企業の社会的責任を自覚し、先進情報通信インフラ構築、省エネ、省資源、環境保護を一層前進させる研究にも注力してまいります。