第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社は、“つなぐ”テクノロジーを通じて「顧客価値創造型」企業を目指します。

 当社では、2016年度を初年度、2020年度を最終年度とする2020中期経営計画を策定しており、基本方針として下記の3点を掲げております。

 ・収益率を重視し、健全な成長を図る。

 ・顧客価値創造型企業を目指し、新陳代謝を加速して進める。

 ・コーポレートガバナンスを確立し、併せて環境・社会側面での貢献に取り組み、企業価値の増大を図る。

 

(2) 経営戦略等

 前述の2020中期経営計画における成長戦略として、下記の4点を推進してまいります。

 ①戦略顧客の深耕…戦略顧客に密着することで、更なる事業の成長を図るとともに、新たな事業機会を捉える。

 ②新規事業創出のスピードアップ…新規事業推進の体制強化を図る。自動車関連・産業用機器・医療機器を重点分野と位置づけ注力する。

 ③オープンイノベーション…ポートフォリオ、バリューチェーンのミッシングピースを補い、新たな顧客価値を生む。技術開発、事業開発、事業の成長のスピードアップを図る。

 ④経営改革・事業構造改革…コーポレートガバナンス・コードへの対応を図るとともに、多様化した事業に対する意思決定の質・スピードの向上、経営基盤の強化を図る。

 

(3) 目標とする経営指標

 当社は継続的な収益性の向上を経営の優先課題の一つとして位置づけており、2020年度に売上高9,000億円、営業利益率7.0%以上、ROE10.0%以上、D/Eレシオ40:60(0.66倍)を達成することを中期的な経営目標として掲げております。

 

(4) 経営環境

 エネルギー・情報通信カンパニー分野においては、国内はインフラの成熟化により、大きな需要の伸びが見込めない状況にある一方、海外においては需要拡大の余地が大きく、特に光関連の需要に関しては、継続的に大きなインフラ投資を行っている中国や、データセンタ投資が拡大している欧米等、旺盛な状況です。

 エレクトロニクスカンパニー分野においては、当社FPC(フレキシブルプリント配線板)、コネクタが多く使用されているスマートフォンの世界的な需要について、近年主要顧客の出荷台数の伸びが鈍化してきている一方、当社が取り扱っている製品の使用数は増加傾向であります。

 自動車電装カンパニー分野においては、継続的な成長を続ける中国と、堅調な北米を中心として、世界の自動車生産台数は今後も成長する見通しであります。

 

(5) 対処すべき課題

①エネルギー・情報通信カンパニー

 エネルギー事業部門では、国内の送配電事業及び産業用電線事業は、事業継続に必要な収益を確保できる体制とするため、事業のコスト構造に踏み込んだ改革を進めます。また、ミャンマー、ブラジルなど海外での事業基盤の確立を図ってまいります。情報通信事業部門では、世界各地の光ファイバ網整備やデータセンタ向けの事業の旺盛な需要に応えるため供給能力の強化を図ります。

②エレクトロニクスカンパニー

 FPC(フレキシブルプリント配線板)及びコネクタは、スピーディな対応を通じて戦略顧客との関係の深化を図りつつ、効果的に設備投資を実行してまいります。

③自動車電装カンパニー

 欧州及び中国における、低コスト・高効率な生産体制の構築を進め、人件費の上昇や必要人員の確保といった課題の解決を図ります。また、顧客への対応力を高めて事業を強化します。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 需要動向

 当社グループの経営成績は、製品が主としてインフラ用や最終消費財の部品などであるため、景気循環の影響を受けることはもとより、各マーケットの設備投資の動向や顧客の購買政策の変化等によって影響を受けます。

(2) 為替レートの変動

 当社グループは、実需の範囲内で通貨ヘッジ取引を行い、外貨建売上取引等における為替変動による悪影響を最小限に抑える努力をしておりますが、必ずしも為替リスクを完全に回避するものではないため、為替レートの変動は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの事業には、アジアを中心とする海外における製品の生産、販売が含まれており、各地域における現地通貨建ての収益、費用、資産等の各項目は連結財務諸表作成のため、円換算しており、換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

(3) 材料価格の変動

 当社グループの製品の主要な材料である銅の価格は、国際的な需給動向等の影響により変動しますが、銅価格の急激な変化による仕入価格の変動が即座に製品価格に反映されるとは限らないため、銅価格の著しい変動によって当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。

(4) 製品の欠陥

 当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しておりますが、全ての製品について欠陥が無く、将来に品質クレームが発生しないという保証はありません。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額すべてをカバーできるという保証はありません。重大なクレームや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや、当社グループの社会的評価に重大な影響を与え、売上が減少するなどの悪影響につながる可能性があります。

 

(5) 法的規制等

 当社グループの事業活動においては、事業展開する各国の様々な法的規制の適用を受けております。このような規制には、事業・投資を行うために必要な政府の許認可、商取引、輸出入に関する規制、租税、金融取引、環境に関する法規制等があります。当社グループはこれらの規制を遵守し事業活動を行っておりますが、将来において法的規制の重要な変更や強化が行われた場合、当社グループがこれらの法規制に従うことが困難になり事業活動が制限されたり、規制遵守のためのコスト負担が増加すること等により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 訴訟、規制当局による措置その他の法的手続等

 当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に関するリスクを有しております。訴訟、規制当局による措置その他の法的手続により、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局により課徴金等が賦課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手段は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 政治経済情勢

 当社グループは、エネルギー・情報通信カンパニー、エレクトロニクスカンパニー、自動車電装カンパニー等、国内外にて事業展開しているため、当社グループの経営成績は各国の政治情勢、新興国の経済の変動などの影響を受けることがあります。

 

(8) 金利の変動

 当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を実施しておりますが、金利が上昇した場合には、支払利息が増加し、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(9) 知的財産

 当社グループは、特許権、その他の知的財産権の取得により自社技術の保護を図ると共に、第三者の知的財産権に対しても細心の注意を払っております。しかし、製品の構造・製造技術の多様化や、海外での事業活動の拡大等により、当社グループの製品が意図せず他社の製品の知的財産権を侵害した場合、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があります。また、第三者が当社グループの知的財産権を侵害しても、各国の法制度等の相違により、適切な保護が得られるとは限らず、当社グループの事業活動や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 情報の流出

 当社グループは、事業遂行に関連して多くの個人情報や機密事項を有しております。これらの情報の秘密保持については、最大限の対策を講じておりますが、予期せぬ事態により情報が外部に流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループのイメージの低下や損害賠償の発生などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 災害等のリスクについて

 当社グループは、国内外に多数の工場を有しており、当該地域において大規模な地震や台風などによる風水害などの自然災害が発生し、生産設備に被害を受けた場合、操業停止に伴う生産能力の低下、設備修復による費用増など、当社グループの生産体制、財政状態、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

①経営成績

 2017年度のわが国経済は、米国の政策不安など懸念材料がある一方で、企業収益や雇用環境の改善などを背景に、緩やかな回復基調で推移しました。

 当社では、2016年度を初年度、2020年度を最終年度とする2020中期経営計画を策定しており、継続的な収益性の向上を経営の優先課題の一つとして位置づけております。なお、目標とする経営指標については、2020年度に売上高9,000億円、営業利益率7.0%以上、ROE10.0%以上、D/Eレシオ40:60(0.66倍)を掲げております。

 当期におきましては、当社グループの売上高は7,400億円(前年度比13.2%増)、営業利益は343億円(同0.3%増)となりました。経常利益は、営業外収益62億円及び営業外費用64億円を計上し、341億円(同4.8%増)となりました。特別利益としては、政策保有株式その他の投資有価証券売却益など合計10億円を計上し、特別損失としては、国内外の拠点整理等にかかる事業構造改善費用や南米のEPC事業が不振であったことに伴う出資金評価損など合計65億円を計上しました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は183億円(同42.3%増)、営業利益率は4.6%(前年度は5.2%)、ROEは8.7%(前年度は6.4%)となりました。

 後述の自動車電装カンパニーの採算悪化があったものの、エネルギー・情報通信、エレクトロニクスの両カンパニーが増収増益で大きな柱に成長し、全体として「稼ぐ力」は強化されつつあるという認識です。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

エネルギー・情報通信カンパニー

 当セグメントにつきましては、エネルギー事業部門における銅価上昇や、情報通信事業部門が海外マーケットを中心に好調に推移したこと等により、売上高は前年度比6.3%増の3,717億円、営業利益は同10.2%増の224億円となりました

 

エレクトロニクスカンパニー

 当セグメントにつきましては、FPC(フレキシブルプリント配線板)、コネクタを中心とした事業が堅調に推移したこと等により、売上高は前年度比25.0%増の1,959億円、営業利益は同38.2%増の104億円となりました。

 

 

自動車電装カンパニー

 当セグメントにつきましては、新車種の立ち上げがあった一方で、東欧製造拠点の生産効率悪化に伴うコスト増等を背景に、売上高は前年度比18.0%増の1,570億円、営業損失は31億円(前年度は営業利益25億円)となりました

 

不動産カンパニー

 当セグメントにつきましては、当社旧深川工場跡地再開発事業である「深川ギャザリア」において、前連結会計年度に追加取得した物件の収益貢献もあり、売上高は前年度比7.6%増の109億円、営業利益は同18.0%増の55億円となりました。

 

 2018年度は「20中期の成否を決める重要な年!」と位置づけ、先行投資を行っている光関連事業の立ち上がりと利益貢献、エレクトロニクスカンパニーのボリューム増による増収増益、自動車電装カンパニーの回復と再生及び下期黒字化を計画しております。

 2018年度の当社連結の業績予想につきましては、売上高7,500億円(前年度比1.3%増)、営業利益390億円(同13.6%増)、経常利益370億円(同8.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益230億円(同25.3%増)、営業利益率5.2%(前年度4.6%)、ROE10.1%(前年度8.7%)と予想しております。

 

財政状態

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較し、494億円増加の6,380億円となりました。これは主に、エレクトロニクスカンパニーにおける売上増加によるたな卸資産の増加や、情報通信事業部門における増産投資により固定資産が増加したことによるものです。

 負債の部は、前連結会計年度末と比較し、320億円増加の3,960億円となりました。これは主に、運転資金や設備投資により有利子負債が増加したことによるものです。

 純資産の部は、前連結会計年度末と比較し、174億円増加の2,419億円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益によるものです。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、たな卸資産の増加があったものの、税金等調整前当期純利益286億円、減価償却費268億円等を源泉とした収入の増加により、278億円の収入(前年度比158億円の収入減少)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を中心に343億円の支出(同262億円の支出減少)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは社債の償還による支出はあったものの、短期借入れや長期借入れによる収入を中心に96億円の収入(同67億円の収入減少)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は335億円(同28億円の増加)となりました。

 

 長期借入金を中心とした有利子負債を原資に実施した光関連事業の設備投資により、2017年度D/Eレシオは52:48(1.09倍)となりました。引き続き、世界的に旺盛な需要に対応するため、マーケットの状況を見ながら設備投資を行う予定であります。これに伴い、有利子負債の増加が見込まれますが、投資回収を図り、財務体質改善に取り組み、2020年度目標である40:60(0.66倍)に近づけていく所存です。

 

(3) 生産、受注及び販売の状況

 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額又は、数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の状況については、「(1)財政状態及び経営成績の状況」における各セグメント経営成績に関連付けて示しています。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 当社グループは、①エネルギー・情報通信、②エレクトロニクス、③自動車電装各分野の新商品並びに新技術の開発を積極的に行っております。当社グループの研究開発活動は、先端技術総合研究所が全社研究開発を、また各事業部門の開発部が部門別開発活動を進めております。

 環境対応型製品開発の一環として、高温超電導線材、色素増感太陽電池などの商品化に向けた開発を進めています。高温超電導線材では、人工ピンの導入など、更なる特性向上とともに事業化に向けた量産技術の開発に取り組んでいます。高磁場中でも高い特性を有するイットリウム系高温超電導線材は、分析用NMRや医療用MRIなどの強磁場コイル用途において、システムのコンパクト化、高解像度化などが期待されています。国家プロジェクトで高い評価を頂くとともに、超電導線材の基礎研究では低温工学・超電導学会より「業績賞(工業技術業績)」を受賞しました。

 色素増感太陽電池においては、低照度下での高効率発電特性を利用したエネルギーハーベスティング用薄型モジュールを自立型電源として利用し、無線部に「高精度同期によるマルチホップ機能」を実装した「マルチホップ無線エネルギーハーベスト(EH)型環境センサシステム」を開発しました。このマルチホップ通信のエネルギーハーベスト化技術は、Embedded Technology & IoT Technology 2017において「IoT Technology優秀賞」を受賞しました。

 次世代大容量高速無線通信に利用されるミリ波帯通信機器や受動デバイスの開発を進めています。移動体通信フロントホール・バックホールや、固定通信網ラストマイルなどの通信インフラ用途にミリ波モジュールを提供します。このモジュールは、フェーズドアレイを用いたビームフォーミング機能により、高利得で鋭いアンテナビームを広範囲に方向制御でき、60GHz帯を用いて超高速伝送、長距離伝送を実現します。

 新しいダイレクト印刷技術を用いて透明電極フィルムの開発を進めています。このフィルムは、線幅が数マイクロメートルの高精細配線を用いることで高透過率、低抵抗を実現します。フレキシブル用途も含めた大型タッチパネルへの展開を進めています。

 ICや受動部品などをポリイミド多層配線板に埋め込んだ薄型部品内蔵基板、「WABE Package®」(Wafer And Board level device Embedded Package)の開発を進めています。3個のICチップを厚さ方向に重ねて埋め込んだ16層の超多層構造となる3チップスタック型部品内蔵基板を世界で初めて実用化しました。このような複数部品を内蔵した高精細・高多層の高密度配線板を提供し、製品の軽薄短小化に貢献していきます。

 ディープ・ラーニングを用いた人工知能(AI)の研究開発に取り組んでいます。独自の学習方法を開発し、製品製造工程での異常をAIにより可視化することにより、先進的なAIによる工程管理を進めています。このAI技術により、半導体ウエハ上の各レーザーダイオード(LD)素子の高度の外観判定を達成しました。他の製品製造工程への展開を進め、AI+IoT(Internet of Things)を導入したものづくりを推進します。

 セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は162億円であります。

 

①エネルギー・情報通信カンパニー

 長距離高速伝送システム用ファイバとして、低損失光ファイバFutureGuide®-HSCを商品化いたしました。本ファイバは国際電気通信連合の陸上長距離システム向け勧告(ITU-T G.654.E)に準拠しており、デジタル信号処理を用いた最新の伝送システムに最適な特性を有しています。

 光ファイバ1本に複数のコアを持つマルチコアファイバは、将来の大容量伝送用光ファイバの有力候補です。2017年度は、現在の汎用光ファイバと同じ外径を有し、コア数が多いファイバの開発に注力しました。日本電信電話株式会社、株式会社KDDI総合研究所、住友電気工業株式会社、古河電気工業株式会社、日本電気株式会社、千葉工業大学と共に開発を行い、世界最大の毎秒118.5テラ・ビット伝送を実現しました。(本開発の一部は国立研究開発法人情報通信研究機構殿の委託研究成果です。)今後、マルチコアファイバ技術の標準化、実用化をめざすとともに、将来の多様なデータ通信需要に対応可能な光伝送基盤の実現に貢献していきます。

 PANDA(Polarization-maintaining AND Absorption-reducing)ファイバは通信用偏波面保持光ファイバの代表的な構造で、当社が世界でトップシェアを誇る製品です。2017年度は、高密度、大容量通信に必要な集積シリコン光回路と低損失な結合を可能とする新製品を開発しました。集積シリコン光回路に必要な小コア・小クラッド径を有しながら、汎用の光ファイバとの低損失な結合も可能な特長を備えています。

 クラウドサービスやIoT技術の発展を背景に、光ファイバケーブルの需要が拡大しています。光ファイバケーブル網を経済的に構築する技術として、光ファイバを高密度で実装した細径・軽量な光ファイバケーブル「Spider Web Ribbon ®」及び「Wrapping Tube Cable®」を開発し製品化しています。昨年度は世界最高水準の細径・高密度となる3456心ケーブルを製品化しました。また、更なる細径・軽量化を実現するため、被覆径200μmの細径光ファイバを用いた「Spider Web Ribbon ®」及び「Wrapping Tube Cable®」の開発にも取り組んでいます。本ケーブルは、テレコムネットワーク用途のみならず、世界的に拡大するデータセンタ等にも導入が進んでおり、今後も製品ラインナップの拡充と高機能化に注力します。

 通信データの大容量化要求を背景に、光コネクタの高機能化にも注力しています。超多心かつ低接続損失を実現する技術に一層の磨きをかけるとともに、伝送装置に使用されるフロント、バックパネル光コネクタ、屋外で使用される多心防水型光コネクタ、取り扱い性に優れた多心レンズ型光コネクタ等製品ラインナップを充実させました。また光デバイス内で使用される高実装密度型光コネクタの開発にも注力しております。

 光ファイバケーブルを接続する融着接続装置を中心としたシステムを継続して改良しています。操作性、保守性を大幅に向上させた切断工具の新製品を発売しました。繰り返し切断により切断刃の一部は摩耗しますが、ダイヤルを回すだけで摩耗していない部分へ簡単に位置変更できます。また、光ファイバを把持するゴムクランプや切断刃自体を、お客様が交換できるようになりました。さらに、光ファイバ融着接続装置には無線機能を追加搭載しました。スマートフォンや切断工具との通信を利用した連携動作を実現し、光ファイバケーブルの接続作業性を改善しています。

 金属のマーキング、溶接及び切断で使用されるレーザ加工機の市場では、ビーム品質が良く、かつ小型で電力変換効率が高い光源を利用したファイバレーザへの乗り換えが加速しています。当社は、光通信用ファイバや部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発に注力しています。2017年度は小型・軽量化を図ったパルスファイバレーザ、小型・軽量化及び電力変換効率アップを図った高出力連続波ファイバレーザなどの新製品をリリースしました。高出力マルチモードファイバレーザでは、新たに出力8kWを製品化して製品ラインアップを拡充しました。また、シングルモードファイバレーザでは出力5kWの開発に成功しました。産業応用を踏まえたファイバレーザの高出力化の推進により、レーザ学会より「業績賞(進歩賞)」を受賞しました更なる小型・軽量化及び高出力化、電力変換効率アップを目指して研究開発を進めてまいります。

 エネルギー問題がますます重要性を増す中で、省エネルギーの推進、環境負荷の低減、資源の有効活用につながるケーブル・機器の開発を積極的に進めております。

 航続距離延長や環境政策により、ますます普及が進む電気自動車の充電インフラとして、急速充電器の設置数が拡大しています。バッテリ容量の拡大及び充電時間の短縮のため、充電器は現行の3~7倍の出力になるものと予測され、大容量急速充電に対応するためケーブル冷却機能を付加し、操作性・取扱い性に優れる充電コネクタ・ケーブルの開発に注力しております。

 また、ケーブル設備の経年化が進む中、リアルタイムデータに基づいたスマートメンテナンスに不可欠な常時監視型劣化診断システムの開発を進めています。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は103億円であります。

 

②エレクトロニクスカンパニー

 民生及び産業用の電子機器に使われるフレキシブルプリント回路基板(FPC)・メンブレン・コネクタ・電子ワイヤ・センサ・ハードディスク・サーマル製品の開発を行っています。スマートフォンに代表されるモバイル機器は、情報通信速度の高速化や高機能化が進み、周辺機器とのつながりやすさが強く要求されています。また、電気自動車普及の加速に伴い、車載向けの電子部品の需要も増えており、これらの開発にも力を入れています。自動車用電子部品は、各種環境下での高い信頼性が要求されています。

 FPCについては、高密度化や高速伝送化に対応するため、部品内蔵基板、狭ピッチ表面実装、高精細FPCを基盤とした高密度実装のトータルソリューションの提供を目的として開発を進めています。高精細FPCには従来のサブトラクティブ法だけでなく、セミアディティブ法の採用も進めています。また、高信頼性確保のため、自動化を推進し、製造での更なる工程能力向上、検査能力向上に取り組んでいます。

 メンブレンについては、細線印刷技術や機能性ペーストの開発を進めることでパソコン、家電、車載用など従来の需要に加え、医療、ウエアラブル、ヘルスケアといった新しい市場を開拓していきます。

 コネクタについては、「小型・低背」「堅牢」「防水」「高速伝送」「作業性」をキーワードに製品開発を推進しています。モバイル機器用途としては、Board to Boardコネクタの小型・堅牢化、バッテリ用コネクタ等の製品バラエティ拡充に取り組みました。産業機器用途では、防水丸形コネクタの小型軽量化、結線/嵌合作業の改善に取り組みました。車載用、4K/8K放送用、5G基地局用等のコネクタの開発も進めています。

 電子ワイヤについては、エレクトロニクス市場での更なる高速、高容量データ伝送の要求に答えるべく開発を進めています。インターフェースケーブルとしては、USB3.1 Type-C(Gen.2) 10Gbps対応ケーブルアセンブリ品を開発し、USBの認証を取得しました。機器内配線としては、モバイル機器やウエアラブル機器などの用途に向け、高速伝送が可能で、かつ高屈曲耐久の需要に貢献するケーブルアセンブリの開発を進めています。

 センサについては、高精度な増幅・温度補償済み圧力センサの製品ラインナップを拡充すべく、開発を進めています。特に、数kPaクラスの微圧領域の圧力検知が必要とされる呼吸器関係の医療機器や産業機器などのニーズに応えるため、新たに微圧レンジ用デジタル出力圧力センサの新製品AL4シリーズを開発し、製品ラインナップを拡充しています。

 サーマル製品については、スマートフォン等のモバイル機器向けに、薄型の熱対策部品のニーズが高まっていることに応え、0.3mm厚さの超薄型ヒートパイプ及び0.4mm厚さの超薄型ベーパーチャンバーを開発しました。更なる熱性能の向上、薄型化に取り組み、開発を進めています。また、スーパーコンピュータ等の大容量冷却向けの水冷式クーリングユニットは、CPUの高性能化、ボードの高密度実装化に伴い、更なる冷却性能の効率化が求められており、これらのニーズに応えるべく開発を進めています。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は44億円であります。

 

③自動車電装カンパニー

 自動車電装においては、「環境」、「安全」、「快適」をキーワードとし、ワイヤハーネスを中心としたEDS(Electric Distribution System)の分野と、エレクトロニクス事業で培った薄型配線材の技術を応用した機能モジュールの分野で、新商品・新技術の開発を推進しております。

 2017年度の主な研究開発の成果として、EDS分野ではワイヤハーネスの軽量化を目的とした太物アルミハーネスの開発を完了し、量産準備を進めています。また、電気自動車の大電流化に対応しつつ、車両レイアウト自由度の向上に貢献するために、柔軟性が高いケーブルの開発に着手し、早期の開発完了を目指しています。

 機能モジュールの分野では、シートベルトリマインダに関する保安基準の改正により、後席シートにおけるセンサ適用の検討を開始しました。後席における特有の検知・非検知スペックに対応できる、センサ構造の標準化を進めています。

 2018年4月に、新たに「自動車電装R&Dセンター」を開設しました。「車両電動化」、「自動運転」、「コネクテッドカー」などのトレンドに沿った新技術・新製品を創出する活動を拡大してまいります。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は14億円であります。