文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、創立120周年に当たる2005年度を「第3の創業」の年と位置づけ、経営理念である「ミッション・ビジョン・基本的価値」を指針とし、“つなぐ”テクノロジーを通じて「顧客価値創造型」事業へ積極的に展開し、収益性重視のスピード感ある積極経営で豊かな社会づくりに貢献してゆく所存であります。
(2) 経営環境
経済環境としては、米中の通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国等の海外経済の動向と政策に関する不確実性等に留意が必要な経済環境となっております。
エネルギー・情報通信分野においては、国内はインフラの成熟化により、大きな需要の伸びが見込めない状況にあります。また、海外については情報通信分野において、拡大を続けていた中国における光ファイバ需要の伸びが鈍化する一方、他地域は堅調を維持するなど需要環境に変化が見られます。
エレクトロニクス分野においては、当社FPC(フレキシブルプリント配線板)、コネクタが多く使用されているスマートフォンの世界的な需要について、堅調であった主要顧客の需要動向に変化が見られる状況です。
自動車分野においては、世界の自動車生産台数については減速感が見られますが、CASE(Connectivity:コネクテッド、Autonomous:自動運転、Shared & Service:シェアリング&サービス、Electric:電動化)が主要なテーマとなるなど、自動車は100年に一度の革新期にあり、新エネルギー車の需要拡大、自動車の電子化・情報化が一層進展するものと見込まれます。
(3) 対処すべき課題
①早期事業回復に向けた戦略への転換
現在進行中の2016年度をスタートとする5か年計画「2020中期経営計画(20中期)」は、「稼ぐ力の維持強化」「財務体質の改善」を基本戦略に据え、「収益率を重視し健全な成長を図る」「顧客価値創造型企業を目指し、新陳代謝を加速して進める」「コーポレートガバナンスを確立し、併せて環境・社会側面での貢献に取り組み、企業価値の増大を図る」を基本方針として、売上高9,000億円、営業利益率7.0%以上、ROE10.0%以上、D/Eレシオ
40:60(0.66倍)の達成を目指すことといたしました。しかしながら、2019年度の業績は既に述べたとおりであり、20中期の続行は収益構造の更なる悪化を招きかねないとの判断の下、現行の20中期を断念し、基本戦略を「早期事業回復への集中」に転換することといたしました。
この20中期では、当社の強みを活かせる市場・戦略顧客への注力、当初計画に従った集中投資により事業規模は拡大しました。しかしながら、主要顧客のスマートフォン需要の減少や中国における光ファイバ価格の大幅下落など、顧客動向や市場の大きな変化に対応しきれず、「光ファイバ」「FPC」「自動車用ワイヤハーネス」の当社事業の3本柱は、いずれも大きく落ち込むこととなりました。当社の事業規模が急速に拡大するなかで、特定の市場への傾注や顧客の成長戦略への追従を重視するあまり、市場・顧客の変調に対して機動的に対応しきれなくなったこと、リソースが分散され拠点運営体制の確保や事業全体を管理するためのガバナンス体制の整備が追い付かなかったことなどが、業績悪化の大きな要因となったものと考えています。
この反省を踏まえ、2020年度は「早期事業回復への集中」を基本戦略に据え、重点施策を「既存事業の聖域なき『選択と集中』」及び「グループガバナンスの強化」の2点に絞り、事業構造改革を断行し、またグループガバナンス推進室の設置などによるリスク管理の更なる徹底を図ってまいります。当社経営として、早期の事業回復を果たすべく不退転の決意をもって臨んでまいります。
②2020年度の経営計画と事業部門ごとの重点課題
当社を取り巻く環境は、引き続き価格下落、激しい過当競争が進むものと見込まれます。加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による下押しリスクが懸念されます。各事業部門別の重点課題は下記の通りであります。
各事業部門の重点課題
『エネルギー・情報通信カンパニー』
エネルギー事業部門においては、事業継続に必要な収益を確保できる体制とするためのコスト構造に踏み込んだ改革を進めています。2019年度に改革の方向性について目途付けを完了し、順次これに沿った改革に着手しています。具体的には、配電ケーブル事業のグループ会社への統合やマレーシアにおける電力ケーブル生産拠点の廃止などを行っています。2020年度には事業構造改革の方針に従った事業の選択と集中を早急に進めます。また、2019年度までに多額の損失を計上してきた海外EPC事業(*1)は、新興国での商慣行や施工管理など事業運営の難しさ等を鑑み、撤退することといたしました。
情報通信事業部門においては、当社光ファイバの主要な市場である中国では、2020年度も光ファイバの供給過剰とこれに伴う価格下落、競争激化がいっそう進むものと見込まれます。一方、欧米では5G(第5世代移動通信システム)やIoT、データセンタ、FTTx整備(*2)を背景とした大容量通信網の構築が進んでおり、通信インフラの増強・整備の需要は引き続き堅調に推移するものと見込んでいます。加えて、足下では新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、通信容量のいっそうの増加が求められるようになっています。当社といたしましては、2019年度において多額の減損損失を計上した光ファイバ事業とファイバレーザ事業について、事業のスリム化とさらなる構造改革を行います。他方、付加価値の高い光ケーブル事業の比重を高め、収益力の向上を図ってまいります。特に、さらなる伸びが期待できる米国に加え、前年度から販売を開始した英国をはじめとする欧州を重点市場と位置付けて、当社の戦略商品「Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable™」(*3)を軸に、接続部品などの周辺機器・部品、工事、メンテナンスサービスを含めたトータルソリューションとしての販売強化に注力し、情報通信事業部門全体の早急な収益回復に努めてまいります。
(*1)EPC事業とは、電線・ケーブルの供給並びに敷設工事の設計及び施工を一体として提供する事業を言い
ます。(Engineering:設計、Procurement:調達、Construction:建設)
(*2)FTTx整備とは、通信事業者の電話局から、住宅、ビル等までの光ファイバ網整備を言います。
(*3)当社の戦略商品「Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable™」は、従来に比べ大容量・軽量・細径で工事費
も削減可能な光ケーブルです。
『電子電装・コネクタカンパニー』
(エレクトロニクス事業部門)
主力のFPC事業は、これまで品質・技術力に磨きをかけることで主要顧客の信頼を得て、その成長戦略に応え、ビジネスを展開してまいりました。しかしながら、スマートフォン需要の頭打ちによる競争環境の激化と需要変動に対し、柔軟かつ機動的に対応できなかったこと、そして自らの能力評価に過信があったことなどが大きな損失を計上するに至った主な要因と分析しています。QCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)そしてサービスまで含めた事業全般にわたり自己の能力を改めて評価し、それに見合った受注をすることで収益力の回復を図ります。また、厳しい競争環境は今後も続くことから、更なる事業構造改革、競合他社に対し優位性を持つ品質の改善、よりいっそうのコスト低減活動を強化してまいります。
(自動車事業部門)
2017年度下期に大きな損失を計上したことを契機として、欧州市場におけるワイヤハーネス事業は、現地のマネジメント体制に大きな課題があることが明らかになりました。これまでの体制を刷新することで、本社からの統制を強め、顧客の要請に柔軟かつ機動的に対応してまいります。引き続き東欧からモロッコへの生産拠点の移管と事業構造改革をさらに進め、能力に応じた受注をすることで収益力を回復します。また、需要低迷の続く中国向けを含むアジア市場においても事業構造改革を進め、自動車用ワイヤハーネス事業全体で『稼ぐ力』を取り戻します。
また、成長戦略の一環として、「CASE」の分野で新たな事業機会を得るため、自動車用ワイヤハーネス事業で培ってきた基盤を活用した電子部品事業の展開を図ってまいります。
③品質管理に関する取り組み
2018年8月31日付で公表いたしました品質不適切事案の判明以降、このような事態を二度と起こさないよう、是正策及び再発防止策の徹底によりグループ全体におけるガバナンスの向上と品質管理体制の強化を図ってまいりました。具体的には、ガバナンス改革として、品質保証部門の独立性確保、増員・教育訓練等による実効性の強化や、電子システムによる人為的な操作を排除する仕組みの導入などを行ってまいりました。また、品質コンプライアンス意識の向上として、品質コンプライアンスを最優先すべしとする全社方針の明確化とその浸透活動や、グループ全社員を対象とした品質コンプライアンス研修などを行い、これらの実施を継続することとしています。加えて、内部通報制度の周知、徹底を図っています。
当社といたしましては、引き続き「フジクラ クオリティ方針」に基づく適正な品質管理を重要課題として位置づけ、当社の持続的な成長を実現してまいります。
『フジクラ クオリティ方針』
1.「品質」を根幹に据えた経営を追求し、お客様に最高のクオリティの製品とサービスを提供する。
2.社員一人ひとりが、品質コンプライアンスの重要性を改めて強く意識し、法令、公的規格及びお客様との
契約事項等を遵守して、品質不適切行為を二度と起こさない。
3.常に職場内でのコミュニケーションを図り、風通しの良い企業風土を醸成し、品質コンプライアンス上の問
題を認識した際は速やかに上司へ報告を行う。
④新規事業、研究開発
2020年度は、大きく落ち込んだ主要3事業を中心とした稼ぐ力の再生が最重要課題です。一方、再生を果たした後の持続的な成長のためには、新規事業の創出、新製品の開発の歩みを止めてしまうわけにはいきません。2017年3月に策定した「2030年ビジョン」で掲げた「Advanced Communication(高度情報化社会への貢献)」「Energy & Industry(多様なエネルギーの活用と効率的なマネジメント)」「Life-Assistance(クオリティオブライフの向上)」「Vehicle(次世代モビリティ社会への貢献)」の4つの市場分野におけるオープンイノベーションを通じた新たな価値の創出を目指し、市場ニーズや需要の動向などを見極めながら、当社のコア事業・技術を活かせる重点テーマに絞り込んで、新規事業の創出、新製品の開発を継続してまいります。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 需要動向
当社グループの経営成績は、製品が主としてインフラ用や最終消費財の部品などであるため、景気循環の影響を受けることはもとより、各マーケットの設備投資の動向や競合環境、サプライヤの動向、顧客の購買政策の変化や信用状況等によって影響を受けます。
(2) 為替レートの変動
当社グループは、実需の範囲内で通貨ヘッジ取引を行い、外貨建売上取引等における為替変動による悪影響を最小限に抑える努力をしておりますが、必ずしも為替リスクを完全に回避するものではないため、為替レートの変動は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業には、アジアを中心とする海外における製品の生産、販売が含まれており、各地域における現地通貨建ての収益、費用、資産等の各項目は連結財務諸表作成のため、円換算しており、換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
(3) 材料価格の変動
当社グループの製品の主要な材料である銅の価格は、国際的な需給動向等の影響により変動しますが、銅価格の急激な変化による仕入価格の変動が即座に製品価格に反映されるとは限らないため、銅価格の著しい変動によって当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。
(4) 製品の欠陥
当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しておりますが、全ての製品について欠陥が無く、将来に品質クレームが発生しないという保証はありません。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額すべてをカバーできるという保証はありません。重大なクレームや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや、当社グループの社会的評価に重大な影響を与え、売上が減少するなどの悪影響につながる可能性があります。
(5) 法的規制等
当社グループの事業活動においては、事業展開する各国の様々な法的規制の適用を受けております。このような規制には、事業・投資を行うために必要な政府の許認可、商取引、輸出入に関する規制、租税、金融取引、環境に関する法規制等があります。当社グループはこれらの規制を遵守し事業活動を行っておりますが、将来において法的規制の重要な変更や強化が行われた場合、当社グループがこれらの法規制に従うことが困難になり事業活動が制限されたり、規制遵守のためのコスト負担が増加すること等により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 訴訟、規制当局による措置その他の法的手続等
当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に関するリスクを有しております。訴訟、規制当局による措置その他の法的手続により、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局により課徴金等が賦課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手段は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 政治経済情勢
当社グループは、エネルギー・情報通信カンパニー、電子電装・コネクタカンパニー(エレクトロニクス事業部門、自動車事業部門)等、国内外にて事業展開しているため、当社グループの経営成績は各国の政治経済や環境情勢、新興国の経済の変動等の影響を受けることがあります。
(8) 金利の変動
当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を実施しておりますが、金利が上昇した場合には、支払利息が増加し、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 知的財産
当社グループは、特許権、その他の知的財産権の取得により自社技術の保護を図ると共に、第三者の知的財産権に対しても細心の注意を払っております。しかし、製品の構造・製造技術の多様化や、海外での事業活動の拡大等により、当社グループの製品が意図せず他社の製品の知的財産権を侵害した場合、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があります。また、第三者が当社グループの知的財産権を侵害しても、各国の法制度等の相違により、適切な保護が得られるとは限らず、当社グループの事業活動や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 情報の流出
当社グループは、事業遂行に関連して多くの個人情報や機密事項を有しております。これらの情報の秘密保持については、最大限の対策を講じておりますが、予期せぬ事態により情報が外部に流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループのイメージの低下や損害賠償の発生などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 災害等のリスクについて
当社グループは、国内外に多数の工場を有しており、当該地域において大規模な地震や台風などによる風水害などの自然災害が発生し、生産設備に被害を受けた場合、操業停止に伴う生産能力の低下、設備修復による費用増など、当社グループの生産体制、財政状態、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社連結子会社であるFujikura Automotive Morocco Tangier, S.A.S.において発生した火災の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (重要な後発事象)」に記載の通りです。
(12) 製品の品質
当社グループは、高品質の製品の提供を目指し品質管理体制の強化に取り組んでおりますが、過去に製造販売した製品に関連する現時点で想定していない補償費用等が生じた場合や、重大な品質問題が新たに発生し、信用低下による販売活動への影響並びに品質管理体制の改善・強化等に要する費用及び補償費用等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 新型コロナウイルス感染症について
今般発生している新型コロナウイルス感染症の流行長期化によって、当社グループの様々な事業活動が制約を受け、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、同様の未知のウイルス等によるパンデミックにより、政治、経済環境に甚大な制限が課されることとなった場合、当社グループのサプライチェーンの不機能等様々な事業活動の制約により、当社業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症対応として、在宅勤務やWeb・電話会議等を推奨し、当社グループ社員の安全確保に最大限に配慮しながら、生産の継続に尽力しております。
(14) 重要事象等について
既存事業の3つの柱である、光ファイバ、FPC、自動車ワイヤハーネス事業での損失計上により、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は385億円(前年度は親会社株主に帰属する当期純利益14億円)、純資産の部は1,721億円(前年度比28.6%減)となりました。
その結果、金融機関との間で契約している一部のシンジケートローン及び、コミットメントライン契約に定められている財務制限条項に抵触しております。
しかしながら、当社の主要な取引金融機関からは上記状況をご認識いただいた上で、既存借入金の融資継続に応じていただくご意向を受けており、当該条項の修正や契約内容の変更などについてご対応いただくこと等、金融機関の支援を得られる見通しであることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
2019年度の我が国経済は、輸出を中心に弱さが見られるものの、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。しかし、2020年1月以降の新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、足下で大幅に下押しされ、厳しい状況へと一変しました。
当社グループの事業環境といたしましては、東京オリンピック・パラリンピックなどに後押しされた建設向け電線の需要に加え米国の電力インフラ投資向け需要が好調に推移するなどの好影響はあったものの、光ファイバ及びFPC(フレキシブルプリント配線板)の競争激化、並びにモロッコでのワイヤハーネス製造の生産性低下などに加え、2020年1月以降の新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、中国に所在する拠点が一時操業を停止する事態となったこと及び欧州においてワイヤハーネスの主要顧客が生産を停止したことにより、全体として非常に厳しい経営環境となりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は6,723億円(前年度比5.4%減)、営業利益は33億円(同
87.9%減)、経常利益は13億円(同93.8%減)となりました。
特別利益として、政策保有株式その他の投資有価証券売却益等で96億円を計上しております。一方、特別損失として、エネルギー・情報通信カンパニー、電子電装・コネクタカンパニーを中心とした固定資産の減損損失172億円、ブラジルにおけるEPC事業推進のために設立した現地子会社の業績不振による事業撤退等に伴う関係会社の出資金の評価損52億円、国内外の拠点整理等にかかる事業構造改善費用38億円等、合計307億円を計上しております。また、繰延税金資産を取崩したことにより、法人税等調整額を107億円計上しております。
以上により、親会社株主に帰属する当期純損失は385億円(前年度は親会社株主に帰属する当期純利益14億円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「自動車電装カンパニー」を、従来の「エレクトロニクスカンパニー」と統合し、「電子電装・コネクタカンパニー」(エレクトロニクス事業部門、自動車事業部門)としておりますが、報告セグメントに変更はありません。
エネルギー・情報通信カンパニーにおいては、2018年度のバングラデシュ送電線工事のコスト増の反動による増益はあったものの、中国の光関連製品の競争激化を受けたこと等により、売上高は前年度比7.6%減の3,278億円、営業利益は同74.4%減の45億円となりました。
電子電装・コネクタカンパニー、エレクトロニクス事業部門においては、主要顧客に対するスマートフォン向けFPCにおいて競争激化や品種構成の変化があったこと及び、減収に伴う固定費負担増の影響により、売上高は前年度比5.4%減の1,751億円、営業損失は22億円(前年度は営業利益83億円)となりました。
自動車事業部門においては、欧州における需要の増加と、南米における新車種向け製品の量産開始による売上増があったものの、中国の自動車市場を中心に世界的に自動車需要が落ち込んだことにより、売上高は前年度比1.1%減の1,524億円、営業損失は37億円(前年度は営業損失32億円)となりました。
不動産カンパニーにおいては、当社旧深川工場跡地再開発事業である「深川ギャザリア」において新規テナントの入居等により、売上高は前年度比3.7%増の112億円、営業利益は同7.2%増の53億円となりました。
2020年度については、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」で述べました各種施策の実行に傾注してまいります。
①エネルギー事業部門における、コスト構造に踏み込んだ改革の推進・海外EPC事業の撤退。
②情報通信事業部門における、光ファイバ事業のさらなる構造改革、当社の戦略商品
「Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable™」や接続部品などを含めたトータルソリューションとしての
販売強化。
③エレクトロニクス事業部門における、マーケット環境の変化に応じた戦略の見直し・事業構造改革、品質改
善、コスト低減活動の一層の強化。
④自動車電装事業部門における欧州拠点の体制を刷新、東欧からモロッコへの生産拠点の移管の推進、アジア
地区の事業構造改革、「CASE」への取組。
以上の重点課題に対しあらゆる施策を機動的に実行して業績を回復させるべく不退転の決意をもって臨んでまいります。
2020年度第2四半期累計期間の当社連結の業績予想につきましては、売上高は2,900億円(前年同期比15.6%減)、営業利益は10億円(前年同期比82.7%減)、経常損失は20億円(前年同期は経常利益49億円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は65億円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益8億円)と予想しております。
なお、通期連結業績予想につきましては、合理的な予想の算出が可能となった段階で速やかにお知らせいたします。
②財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較し、622億円減少の5,760億円となりました。これは主に、エネルギー・情報通信カンパニーや、自動車事業部門における固定資産の減損処理により固定資産が減少したことや繰延税金資産を取崩したことと主要通貨に対して円高が進行したことに伴う為替換算の影響によるものです。
負債の部は、前連結会計年度末と比較し、65億円増加の4,039億円となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症の影響で現預金を積み増したことや関係会社投資等が増加したことにより有利子負債が増加したことによるものです。
純資産の部は、前連結会計年度末と比較し、687億円減少の1,721億円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失や為替換算調整勘定の減少によるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失による197億円の減少があったものの、減価償却費357億円および運転資金の減少を源泉とした収入の増加により、464億円の収入(前年度比44億円の収入増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を中心に394億円の支出(同87億円の支出減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは長期借入金の返済による支出はあったものの、長期借入れや社債発行による収入を中心に17億円の収入(同66億円の収入減少)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は439億円(同77億円の増加)となりました。
金融機関との間で契約している一部のシンジケートローン及び、コミットメントライン契約に定められている財務制限条項に抵触しております。
しかしながら、当社の主要な取引金融機関からは上記状況をご認識いただいた上で、既存借入金の融資継続に応じていただくご意向を受けており、当該条項の修正や契約内容の変更などについてご対応いただくこと等、金融機関の支援を得られる見通しであります。
また、2019年度D/Eレシオは63:37(1.70倍)となり、エレクトロニクス事業部門における主要顧客の需要減、光関連の中国市場の停滞といった環境の変化に伴い、設備投資については、慎重に対応し、減価償却の範囲内での設備投資を行っておりますが、2020年度目標である40:60(0.66倍)は達成できない見込みです。今年度についても、引き続き設備投資については慎重な対応を行うとともに、2020年4月に立ち上げた社長主査による経営革新委員会により、経営資源の効率化、費用削減による効率性向上、販売・購買力強化による収益性向上を強力に推進、財務状況の改善に取り組んでまいります。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額又は、数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の実績については、「(1)財政状態及び経営成績の状況」における各セグメント経営成績に関連付けて示しています。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 5 会計方針に関する事項」並びに「(追加情報)」に記載の通りです。
該当事項はありません。
当社グループは、①エネルギー・情報通信、②電子電装・コネクタ、各分野の新商品並びに新技術の開発を積極的に行っております。当社グループの研究開発活動は、光応用技術R&Dセンター、電子応用技術R&Dセンター、自動車電装R&Dセンター、および材料応用技術・分析センター、新たな技術領域を創造する目的で設立した「アドバンスト・リサーチ・コア」が全社研究開発を、また各事業部門の開発部が部門別開発活動を進めています。
環境対応型製品開発の一環として、高温超電導線材、色素増感太陽電池とそれを用いたセンサシステムなどの商品化に向けた開発を進めています。高温超電導線材では、人工ピンの導入により世界トップの臨界電流特性を有する線材の開発を完了し、量産の目途が立ったことから、販売、提供を開始しました。幅広い温度域、磁場領域に適用できるレアアース系高温超電導線材は、分析用NMRや医療用MRIなどの強磁場コイル用途において、システムのコンパクト化、高解像度化などが期待されています。
色素増感太陽電池では、この太陽電池を電源としたこれまでのLoRaWAN※方式広域センサシステムに加え、独自のIoTクラウドを構築することで、センサシステムからクラウドアプリケーションまでのソリューションサービスを開始し、西日本電信電話株式会社と共同で熱中症対策システムを実施しました。
※LoRaWAN:LoRa Allianceが定めた無線ネットワーク規格の名称で、IoT向け無線規格として世界的に広く利用されています。
「5G」(第5世代移動通信システム)時代に向けて、次世代大容量高速無線通信に利用されるミリ波帯通信機器や受動デバイスの開発を進めています。移動体通信フロントホール・バックホールや、固定通信網ラストマイルなどの通信インフラ用途にミリ波モジュールを提供します。昨年、International Business Machine Corporation (以下「IBM」)より5G関連のミリ波RF-IC技術のライセンスを受けることで合意し、IBMのチップ及びパッケージ設計技術と当社のプロセス・アンテナ技術を組み合わせて、次世代28GHz帯RF-ICの開発に着手しました。この自社RF-IC製品を確立することにより、高性能な5G向けミリ波帯無線通信デバイスの開発を加速します。また、60GHz帯においては、高速無線通信を実現するミリ波無線通信モジュールを開発し、サンプル提供を開始しました。このモジュールは、世界トップクラスの2Gbps超の通信スピードと500m超の長距離伝送を同時に実現しています。
ICや受動部品などをポリイミド多層配線板に埋め込んだ薄型部品内蔵基板、「WABE Package®」(Wafer And Board level device Embedded Package)の開発、量産化を進めています。2個のICチップを厚さ方向に重ねて埋め込んだ2チップスタック型部品内蔵基板の量産出荷を開始し、世界初の技術である3個のICチップを厚さ方向に重ねて埋め込んだ超多層構造の3チップスタック型についても開発が完了しました。複数部品を内蔵した超高精細・超多層の高密度部品内蔵基板を提供し、製品の軽薄短小化に貢献していきます。
人々の健康とQOLを維持向上すべく、医用機器用極小CMOS撮像モジュールの開発を進めています。極小サイズで安価なCMOS撮像素子モジュールは、感染防止のための電子内視鏡のディスポ化を実現するとともに、極細・可撓性の特徴を活かして従来困難だった領域への可視アクセスが可能になります。本年度、大手医療機器メーカ向けに当社の光技術及び電子技術を活用した極細径撮像素子モジュールの納入を開始する予定です。また、米国ミネアポリスに医療ビジネスの開拓拠点を設けました。世界の医療機器開発の中心の一つである当地で、アンメットニーズに応える活動を展開していきます。
AI(ディープラーニング)を用いた革新的なものづくりに取り組んでいます。製品検査工程において、AIによる外観異常の検出や、AIによる複数物体からの検査対象物の抽出など、画像に関する独自のAI技術のものづくりへの適用を進めています。また画像以外にも、数値データをAIで分析することにより、異常などを予測する技術の開発も行っています。ものづくりに新しいAI技術を適用し、飛躍的に生産性を向上することを目指しています。
当社は、2020年2月に、世界的な情報サービス企業クラリベイト・アナリティクスより「グローバルイノベータ2020」に選出され、受賞しました。この賞は、保有する特許データを基に知的財産動向を分析し、世界の革新企業・機関トップ100を選出するものです。当社は日米欧中の特許ポートフォリオ強化により、その「グローバル性」を評価され初の受賞となりました。
セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は
①エネルギー・情報通信カンパニー
情報通信量の飛躍的な増大に伴う光通信ネットワーク整備に向けて、需要拡大が予想される細径ファイバ、ならびに光ファイバの低損失化の開発を進めています。
5G通信やクラウドサービスなどの高速大容量通信の拡大を背景に、既存設備を有効利用し、経済的に光ファイバケーブル網を構築する技術として、世界トップレベルの細径・高密度な光ファイバケーブル「Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable™」を開発し製品化しています。2019年度は、Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable™ 技術を用いた新たな製品として、空気圧送布設に適したAir Blown WTC(AB-WTCTM)を開発し、英国の最大手通信事業社British Telecommunications plcに本格採用されました。これらの技術をもとにしたICT事業への技術的進捗と普及への貢献が認められ、一般社団法人電気通信協会の「ICT事業奨励賞」を受賞しました。今後もSpider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable™の技術による差別化、高機能光ケーブルを開発し、日本のみならず世界各国の光通信ネットワークの構築に貢献していきます。
これらの光ケーブルの接続点に使用される防水型光コネクタ、現場付けコネクタ等の性能を向上するためにも高精度技術が一層重要になってきています。2019年度は、通信の品質向上が図れる低反射現場付けコネクタを開発しました。光コネクタを搭載した光ケーブル成端ユニット等の開発も進め、相反することもある接続のしやすさと高性能・高機能を独自の技術で解決し、製品の魅力を高めていきます。また、伝送装置周辺で使用される光コネクタの高性能化、および、高機能化にも注力しています。フロント、バックパネル光コネクタ、取り扱い性に優れた多心レンズ型光コネクタには、これまで磨いてきた高精度技術、レンズ技術を適用すべく開発を進めています。2019年度は、通信データの大容量化に対応した伝送装置やデータセンターへの適用が見込める超低損失多心光コネクタを開発しました。また、伝送装置のバックプレーンでの光コネクタの接続時に、作業効率化が図れるバックプレーンコネクタクリーナーを開発しました。
光通信機器等で使用されるPANDA※(偏波面保持機能)ファイバにおいては、次世代の小型光通信機器に使用され始めたシリコンフォトニック(SiPh)デバイスに適したTEC-PANDAファイバ(TEC:Thermally-diffused Expanded Core)を開発しました。このファイバは、スポットサイズの小さなシリコン光導波路との接続損失を低減でき、また融着時にコア径を拡大させるTEC技術により汎用光ファイバとの接続損失も低減します。
※PANDA:Polarization-maintaining AND Absorption-reducing
将来の大容量伝送用光ファイバの有力候補であるマルチコアファイバは、光ファイバ1本に複数のコアを持つファイバで、実用化に向けた開発を進めています。2019年度は、現在の汎用光ファイバと同じ外径を有し、コアが4個のマルチコアファイバの低コスト化に注力しました。国立研究開発法人情報通信研究機構の委託を受け、日本電信電話株式会社、株式会社KDDI総合研究所、他のファイバメーカと共に「マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発」を進めています。本開発の狙いは普及型MCFの早期実用化です。一方、汎用光ファイバとの接続技術も重要となっており、その入出力デバイス、接続技術などの周辺技術の確立により実用化を加速させます。今後、マルチコアファイバの実用化をめざすとともに、将来の多大なデータ通信需要に対応可能な光伝送基盤の実現に貢献していきます。
光ファイバケーブルの敷設施工の効率化のため、新型のコア調心融着接続機と多心融着接続機を開発し、上市しました。コア調心融着接続機では、施工時間の短縮と作業性の向上を実現する機能を追加しました。追加機能により、「接続された光ファイバの取り出し、補強用スリーブの位置決め、加熱器へセット」までの作業時間を従来機に比較して大幅に短縮しました。多心融着接続機では、光ファイバの位置決め部であるV溝ユニットを現地で接続心数に合わせて交換し、最適な専用機とすることができます。また、V溝に付着したゴミによる接続損失発生時にも、V溝交換により即座に対応できます。今後も引き続き融着接続技術を改善し、施工に貢献する製品を開発していきます。
金属のマーキング、溶接および切断で使用されるレーザ加工機の市場では、ビーム品質が良く、かつ小型で電力変換効率が高い光源を利用したファイバレーザへの乗り換えが加速しています。当社は、光通信用ファイバや部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発に注力してきました。2019年度は、高出力シングルモード・ファイバレーザで出力8kWを出力出来ることを確認し、製品化へ向け大きく前進しました。
また、こうしたフジクラのファイバレーザを支えている、半導体レーザの分野においても19年度は大きな進歩がありました。従来から高出力技術でトップを走ってきた当社は、昨年度、従来比3ポイント以上(64%→67%以上)の高効率化を達成しました。商用として世界トップレベルのこの半導体レーザを活用した高効率ファイバレーザの開発により、低消費電力社会に貢献していきます。
エネルギー問題がますます重要性を増す中で、省エネルギーの推進、環境負荷の低減、資源の有効活用につながるケーブル・機器の開発を積極的に進めています。航続距離延長や環境保護政策により、普及が進む電気自動車の充電インフラとして、急速充電器の設置数が増大しています。バッテリ容量の大容量化に伴う充電時間短縮のニーズに応えるため、従来の3~7倍の出力の充電器が実用化されており、液冷ケーブル用コネクタの規格化が検討されています。当社では、国内初となる400kWクラスの充電器に適用可能な高出力充電ケーブルおよびコネクタ接続端子の冷却技術を開発しています。大容量急速充電に対応する冷却効率に優れ、操作性・取扱い性に優れる充電ケーブルおよびコネクタの開発に注力しています。
また、電力インフラの老朽化、保全工事の担い手不足が課題となる中、リアルタイムデータに基づいたスマートメンテナンスに不可欠なセンシング技術による常時監視システムの開発を進めています。エネルギー問題がますます重要性を増す中で、省エネルギーの推進、環境負荷の低減、資源の有効活用につながるケーブル・機器の開発を積極的に進めています。
なお、当セグメントに係る研究開発費は
②電子電装・コネクタカンパニー
(エレクトロニクス事業部門)
民生及び産業用の電子機器に使われるFPC・メンブレン・コネクタ・電子ワイヤ・センサ・ハードディスク・サーマル製品の開発を行っています。スマートフォンに代表されるモバイル機器は、情報通信速度の高速化や高機能化が進み、周辺機器とのつながりやすさが強く要求されています。また、自動車の電動化、情報化、知能化が加速する中で、需要が増えている自動車用電子部品は、各種環境下での高い信頼性が要求されています。
FPCについては、電子機器の高密度化や高速伝送化に対応するため、高精細FPCをコア技術とした高密度実装のトータルソリューションの提供を目的として開発を進めています。高精細FPCの対応についてはセミアディティブ法の採用を進め、高速伝送化への対応については低誘電率・低誘電損失の材料を適用した製品開発を進めています。また、車載用途としては、軽量化や立体配線を実現する配線材料のニーズが高まっており、これを実現するための技術開発を進めています。加えて、高信頼性確保のため、自動化を推進し、製造での更なる工程能力向上、検査能力向上に取り組んでいます。また、FPCとアルミ材を直接接合する技術を開発し、FPCを利用した大電流アプリケーションへの適用を目指しています。
メンブレンについては、細線印刷技術や機能性ペーストの開発を進めることでパソコン、家電、車載用など従来の需要に加え、医療、ヘルスケアといった新しい市場を開拓してまいります。さらに、ストレッチャブルメンブレンでは、ウェアラブル製品への拡販や他用途への応用も進めてまいります。
コネクタについては、「小型・低背」「堅牢」「防水」「高速伝送」「作業性」をキーワードに、高機能化(高操作性、高強度、大電流、複合化など)した製品開発を推進しています。モバイル機器用途としては、Board to Boardコネクタの小型・堅牢化、バッテリ用コネクタ等の製品バラエティ拡充を進めています。産業機器用途では、屋内照明用低背型コネクタや、4K/8K放送用、5G基地局用等のコネクタの開発を進めています。また、自動車用途についても、自動車の情報化・知能化に対応すべく、高速通信用コネクタなどの開発に注力しています。
電子ワイヤについては、エレクトロニクス市場での更なる高速、高容量データ伝送の要求に答えるべく開発を進めています。モバイル機器やウェアラブル機器などの用途では、非常に限られたスペース内で、高速な信号を伝送する用途や、高屈曲耐久を有した接続のニーズがあり、これらに貢献する機器内配線用極細ケーブルアセンブリの開発を進めています。
センサについては、高精度な増幅・温度補償済み圧力センサの製品ラインナップに加え、絶対圧計測用圧力センサ、差圧計測用センサを開発しています。また、酸素センサについても、小型化製品を開発し提供しています。
サーマル製品については、スーパーコンピュータやハイエンドサーバーの高性能化に伴い、CPUの発熱密度の増加に対応した更なる冷却性能の効率化が求められており、これらのニーズに応えるべく、水冷式クーリングユニットの高性能化を進めています。また、スマートフォン等のモバイル機器向けに、薄型省スペースの熱対策部品のニーズに応えるべく、0.4mm以下の厚さの超薄型ベーパーチャンバー、超薄型ヒートパイプ製品のさらなる熱性能の向上、薄型化の開発を進めています。
なお、当セグメントに係る研究開発費は
(自動車事業部門)
CASEの自動車業界トレンドに対応するため、ワイヤハーネスを中心としたEDS(Electric Distribution System)の分野と、エレクトロニクス事業で培った薄型配線材の技術を応用した機能モジュールの分野で、新商品・新技術の開発を推進しています。
自動車電装R&Dセンターでは、大容量高速通信に対応するハーネスと、それを用いた車載ネットワークシステムとシミュレーション技術を開発し、ワイヤハーネスの進化を支えます。従来の12V系に加えて高電圧系も含めた電源システム全体を俯瞰し、ジョイントボックスその他の電源分配システムの電子化と高機能化をさらに進め、車両一台分の電気回路シミュレーションを活用して電源供給を最適化し、低燃費化、軽量化などのカーメーカーのニーズに応えます。ワイヤハーネスのみならず、CASEで広がりを期待される新しい領域の技術に向けた開発も推進しています。
機能モジュールの分野では、シートベルトリマインダに関する保安基準の改正により、後席シートにおけるセンサ適用の検討を進めており、後席における特有の検知・非検知スペックに対応できるセンサ構造の標準化を推進しています。
欧州顧客に対しては、ドイツのFujikura Technology Europe GmbH(FTE社)を活用し、最新トレンドを把握しつつ、現地顧客との共同プロジェクトを通して、次世代車向けの研究開発活動に注力しています。
なお、当セグメントに係る研究開発費は