当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、創立120周年に当たる2005年度を「第3の創業」の年と位置付け、グループ経営理念である「ミッション・ビジョン・基本的価値」を指針とし、“つなぐ”テクノロジーを通じて「顧客価値創造型」事業へ積極的に展開し、収益性重視のスピード感ある積極経営で豊かな社会づくりに貢献してまいります。
(2) 経営環境
当社グループを取り巻く外部環境は、国内外において、2020年から3年間にわたって続いたコロナ禍からの回復が進む一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や、主要先進国におけるインフレ抑制を目的とした金融引き締めの動き、中国経済の回復の鈍化など、景気の先行き不透明な状況が続いております。
情報通信事業分野においては、クラウド化の進展に加え、直近では生成AIの活用の広がりにより、データトラフィックは今後も増加の一途をたどると見込まれ、FTTXやデータセンタへの投資が欧米を中心に今後も拡大することが期待されます。しかし短期的には、景気後退懸念による大手IT企業等での設備投資の鈍化に注意が必要な状況です。
エレクトロニクス分野においては、当社FPC(フレキシブルプリント配線板)、コネクタが多く使用されている主要顧客のスマートフォンの需要は堅調に推移すると見られますが、競争環境の激化や景気後退懸念による需要の動向には注意が必要です。
自動車分野においては、半導体の供給量や景気後退懸念による需要の動向には注意が必要なものの、世界の自動車生産台数は回復すると見込まれます。また、CASE(Connected:コネクテッド、Autonomous:自動運転、Shared & Service:シェアリング&サービス、Electric:電動化)が主要なテーマとなるなど、自動車は100年に一度の革新期にあり、新エネルギー車の需要拡大、自動車の電子化・情報化への取り組みが一層進展するものと見込まれます。
(3) 対処すべき課題
① 2025中期経営計画
2022年度より「持続的成長フェーズ」に踏み出した当社は、2023年度より始まる向こう3年間を見通した中期経営計画「2025年中期経営計画」(以下、25中期)を策定し、本年5月に公表いたしました。
当社グループは、創業から130年を超える歴史の中で「技術のフジクラ」として世界で戦うに足る技術を培ってきました。25中期では、当社が誇る“つなぐ”テクノロジーを基本に、「情報インフラ」、「情報ストレージ」及び「情報端末」の3つの分野において、顧客の価値創造と社会に貢献し、会社の持続的成長と企業価値の向上を目指すことといたしました。
これら3つの分野に対し、情報通信事業部門、エレクトロニクス事業部門、自動車事業部門を基軸として、適時適切な事業ポートフォリオマネジメントにより高収益企業を目指します。また、持続可能な社会の実現に向けた取り組みとしてのカーボンニュートラルは、ビジネス創出の好機であることから、当社の持つ超電導技術などの事業化を推進してまいります。
[情報インフラ分野]
戦略商品であるSWR®/WTC®を基軸とする光配線ソリューションビジネスに一層注力し、これまで一定の地位を築いてきた日本、米国、英国などでの深耕とともに、欧州やアジアでの市場・顧客開拓を進め、情報通信インフラ基盤の構築に貢献します。
[情報ストレージ分野]
通信量の増大に伴って市場の伸びが期待できるデータセンタ向けを中心に高速大容量のデータ通信に適した光配線ソリューションビジネスにかかる製品群や、当社のユニークな製品であるHDD用部品、サーマル製品などにより、データセンタ構築などに貢献します。
[情報端末分野]
当社はコネクタのみならず、電子ワイヤ、各種センサ類、サーマル製品、メンブレンスイッチなどの製品群を有しています。いずれも当社の技術を活かしたユニークかつ付加価値の高い製品であり、この強みを活かして新市場・新顧客の開拓を目指してまいります。同時に、情報端末化する自動車について、CASEの実現とその進化に貢献します。
[2025年中期経営計画の定量目標]
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2023年度計画 |
2024年度計画 |
2025年度計画 |
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連結売上高 |
7,700億円 |
8,000億円 |
8,250億円 |
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連結営業利益率 |
7.8% |
8.8% |
10.3% |
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連結株主資本利益率(ROE) |
14.4% |
14.5% |
16.5% |
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連結投下資本利益率(ROIC) |
10.7% |
10.6% |
12.8% |
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連結自己資本比率 |
44.6% |
47.2% |
51.7% |
[資本政策]
25中期のもと、持続的な成長と企業価値の向上を目指し、将来の成長に向けた事業投資・戦略投資の実行、財務体質の強化、並びに株主還元のバランスを図り、資本効率を重視した経営を実行してまいります。株主還元につきましては、連結配当性向30%を基本とすることにいたしました。
②2023年度の経営計画と事業部門ごとの重点課題
25中期の初年度となる2023年度の連結の業績予想は、売上高7,700億円(前年度比4.5%減)、営業利益600億円(同14.5%減)、経常利益550億円(同19.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は410億円(同0.3%増)といたしました。これは、北米、欧州を中心とした景気の後退と、これに起因する世界的なIT大手企業等の設備投資の鈍化が鮮明になってきていること、また為替については、2022年度において1ドル135円であったところ、2023年度は円高に振れて1ドル130円を想定レートとしていることなどを反映したことによるものです。
株主の皆様への利益還元は、25中期による配当性向を30%とする基本方針に基づき、中間配当、期末配当とも1株当たり22円50銭の合計45円(2022年度から15円増配)を予定しております。
[情報通信セグメント]
このセグメントでは、中期的にはデータ通信容量のさらなる増大が見込まれますが、昨年後半以降の欧米での景気減速の影響から需要の減少が想定されます。当社の重点戦略である光配線ソリューションビジネスに注力する中で、主戦場である北米事業を主導する当社の連結子会社 America Fujikura Ltd.の販売力と当社の高い技術力の連携強化により、さらなる飛躍を期します。
また、将来の需要増に応じるべく、2022年度中に当社佐倉事業所においてSWR®の新工場の建設を決定いたしました。この工場は2025年度中の稼働開始を目指し、SWR®の30%増産を図るものです。新工場の建設に当たっては、DX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)の導入による省人化、省エネ化等を図ってまいります。
なお、America Fujikura Ltd.が取り扱う送電事業向けの光複合架空地線(OPGW)や地域情報化推進に用いられる全誘電体自己支持型ケーブル(ADSSケーブル)等の光ケーブル製品は、主に最終ユーザが北米電力会社向けであることから、従来同社が取り扱うこれらの製品群をエネルギー事業部門に含めていました。2023年度からは、これらの位置づけを情報通信セグメントに変更して、グループ内での一層の連携強化を図ることとしました。
[エレクトロニクスセグメント]
このセグメントでは、データセンタなどで使用されるサーバ向けやスマートフォンなどの携帯端末向け、さらには医療機器向けなど、コネクタ、電子ワイヤ、HDD部品、サーマル製品といったユニークかつ多様な製品群を有しています。高速大容量かつ高機能な電子機器は日々革新が進み、機能や特性も多様なものが求められます。当社が有する多様な製品群と固有の技術を活かし、新たな市場や顧客、新たな製品向けなど持続的に新陳代謝を繰り返し、事業を成長させてまいります。FPCは、大きな構造改革、分社化を経てスリムで強靭な体制に生まれ変わるとともに、当社の強みを活かせる分野への事業のシフトを進めてきました。一層の技術力強化及び生産性向上により、事業の強化を図ってまいります。
[自動車セグメント]
このセグメントでは、アジア、欧州、北南米の3つのブロックに分けて事業を運営しています。広く世界に拠点を有するこの事業においては、大きな構造改革を行ってきた欧州事業は採算改善が進み、黒字化を達成しました。現在、北南米事業では新車種向け製品の立上げに伴う混乱による大幅なコスト増が生じており、この混乱の早期終息を図ります。また、各ブロックにおける拠点の統廃合等を含む構造改革を進めて、この事業の再生を図ってまいります。
自動車業界はCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)などの100年に一度の変革期を迎えています。当社では、既に複数のお客様と共同して高速通信対応、電力制御システム等の開発を進めています。
[エネルギーセグメント]
このセグメントでは、産業電線事業を、三菱電線工業株式会社及び因幡電機産業株式会社との間の合弁会社である株式会社フジクラ・ダイヤケーブルに統合し、また送電・メタルケーブル事業を株式会社フジクラエナジーシステムズに分社して、それぞれ事業を運営しています。今後更に、残る事業の再編を進めて、迅速かつ効率的な事業運営を実現してまいります。
[新事業創生・研究開発部門]
持続的成長を実現していくためには、経営戦略・各事業戦略に沿って常に事業や製品・技術の新陳代謝を続けていくことが不可欠です。この部門では、製品・技術の新陳代謝を促す原動力の一つとして、以下の3つを目指して研究・開発活動を進めてまいります。
・既存事業を支える技術を世界トップレベルに維持し、革新的な新商品を創出すること
・新たな立地の検討・技術基盤の構築・事業化まで一気通貫で推進すること
・技術的な見地からフジクラの未来のあるべき姿を見定め、成長戦略の構築に貢献すること
25中期では、研究開発ビジョンを「光と無線とその先の光電融合、超電導の基盤技術で未来を創造する」と定めました。「社会課題の解決に重要なDX、GX及びフジクラの将来の事業領域」と「フジクラの現在の“つなぐテクノロジー」から当社が進んでいくべき技術の方向性を示したテクノロジープラットフォームを定め、この領域での研究開発活動を行い、新事業の創生と既存事業の強化を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
[サステナビリティ全般]
当社は、グループ経営理念に基づき、サステナビリティ実現のためには「持続可能な企業経営」のために必要とされる活動と「持続可能な社会」の構築に役立つ活動の両輪が必要と考えております。
(1)ガバナンス
当社は、サステナビリティ戦略会議規程に基づき、サステナビリティガバナンスの整備を進めています。サステナビリティ戦略会議(以下、本会議)は、ステークホルダーが要請するESGの視点を盛り込んだサステナビリティ戦略の立案及びその業務執行の監視・監督のための、報告・討議と情報共有を行っています。本会議は原則年4回開催され、議長は取締役社長CEOが務め、取締役(一部の取締役および社外役員除く)および執行役員で構成されております。
本会議では、サステナビリティ目標2025(2021年度~2025年度)の進捗確認、顧客や機関投資家・ESG評価機関などからのサステナビリティに関する要求事項の共有および対策検討などを行っております。また、気候変動ガバナンスは、サステナビリティ戦略会議の環境側面部会である地球環境委員会(委員長は環境担当役員)がグローバルに統括しています。
(2)戦略
当社は、サステナビリティに関する戦略としてサステナビリティ目標2025(以下、同目標)を掲げております。同目標は、ESGの観点にF(財務・将来)を加えた4テーマを定め、15の重点方策を設定しております。同目標は、国内外の社会課題や国際的なガイドライン、ESG評価機関の評価項目やステークホルダーからの声を参考にするとともに、フジクラグループ長期ビジョン(2030年ビジョンやフジクラグループ環境長期ビジョン2050)と連動させた目標としております。同目標の進展および達成を通じて、当社の企業価値向上に寄与することを目指しております。
詳細は、当社ホームページ内の「環境長期ビジョン(環境方針・目標)」「サステナビリティ目標2025」をご参照ください。
https://www.fujikura.co.jp/esg/environmental/index.html
https://www.fujikura.co.jp/esg/group_csr/materiality.html
(3)リスク管理
当社は、サステナビリティ目標2025(以下、同目標)で掲げた各項目の進捗確認を毎年行うことをリスク管理の一環としております。同目標は、フジクラグループ環境長期ビジョン2050と連動しており、GHG(温室効果ガス)排出量の削減目標やTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)対応などを重点施策として設定しております。毎年の進捗確認と今後の対策検討を行うことで適切な対応が図れる体制を整備しております。
・リスクマネジメント
当社は、管理すべきリスクを事業機会に関連するリスク(戦略リスク)と事業活動の遂行に関連するリスク(業務リスク)に分類しております。戦略リスクは取締役会および経営執行会議のトップマネジメントの合議により管理し、業務リスクは「フジクラリスク管理規程」に基づきリスク管理委員会が管理する体制をとっております。
業務リスクは、コンプライアンス、品質保証、環境管理、安全衛生、情報セキュリティなど、現代社会における企業活動に伴い発生する多様な事象を、それぞれの専門組織が日常的に管理しております。当該事象を専門的に取り扱う組織は、各事業部門に対して、企業が求められている社会的要件を充足し、かつ企業の存続発展のためにとるべき行動を指し示し、最も適切な行動を選択するよう促しております。当社は単に法令遵守にとどまらず社会的な要請を意識しながら、社会、顧客、消費者、従業員、取引先、株主などの多様なステークホルダーから信任を得られるよう活動をしております。
(4)指標及び目標
・サステナビリティ目標2025の詳細
サステナビリティ目標2025では、ESGFの4テーマから、F(財務・将来)で3項目、E(環境)で5項目(4つのチャレンジ含め)、S(社会)で3項目、G(ガバナンス)5項目の設定をしております。2025年度の目標達成へ向けて毎年目標と実績を評価しております。
詳細は、当社ホームページ内の「サステナビリティ目標2025」及び「統合報告書2022」の33~34頁をご参照ください。
https://www.fujikura.co.jp/esg/group_csr/materiality.html
https://www.fujikura.co.jp/resource/pdf/csr2022_all.pdf
[気候変動]
(1)ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般のガバナンスに含まれております。詳細については、「
(2)戦略
・気候変動リスクと機会の特定
当社では経営計画に影響を与える可能性が高い気候変動リスクを特定しております。気候変動がフジクラグループの事業成長にどのような影響を与えるのかを分析するために、OECD(経済協力開発機構)、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)等の長期予測や社会的な関心事、顧客からの気候変動対応要請などを踏まえております。特定したリスクは適宜見直しを行っていきます。
詳細は、当社ホームページ内の「気候変動関連リスクと機会の特定」及び「統合報告書2022」の37~38頁をご参照ください。
https://www.fujikura.co.jp/esg/value_creation/climate-change.html
https://www.fujikura.co.jp/resource/pdf/csr2022_all.pdf
(3)リスク管理
気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティ全般のリスク管理に含まれております。詳細については、「
(4)指標及び目標
・フジクラグループ環境長期ビジョン2050
当社は、1992年に制定した「フジクラグループ地球環境憲章」にはじまり、2016年にはフジクラグループ環境長期ビジョン2050を制定しております。2050年の未来を見据え、環境負荷の最小化に向けた4つのチャレンジに取り組んでおります。
当社は、フジクラグループ環境長期ビジョン2050のチャレンジ1で掲げた2050年度までに工場からのCO2排出量ゼロを目指しております。
・CO₂排出量ゼロロードマップ
・CO₂総排出量の削減(2022年度の目標と結果)
2022年度目標:2018年度比8%以上削減(グループ全体)
2022年度CO₂排出量(グループ全体)
・Scope1:33,481トン-CO₂
・Scope2:309,823トン-CO₂
・Scope1+2:343,305トン-CO₂
2022年度結果:2018年度比 17.48%削減
その他の環境目標と指標につきましては、当社ホームページ内の「環境長期ビジョン(環境方針・目標)」「フジクラグループ2025環境管理活動指針」をご参照ください。
https://www.fujikura.co.jp/esg/environmental/index.html
・2022年度の主な取り組み
GXプロジェクトの発足
2022年4月、社内横断組織としてGXプロジェクトを立ち上げております。フジクラグループ環境長期ビジョン2050のチャレンジ1である工場CO₂排出総量「2050年ゼロチャレンジ」の実現を活動の柱とし、カーボンニュートラルを実現するために以下の活動を推進してきております。
CO₂排出量削減活動
①自社の排出するCO₂排出量の削減
・省エネ:生産性向上と事業競争力を高める革新的なものづくりの開発、従来型省エネ活動の積極展開
・創エネ:PPAによる再生可能エネルギーの導入検討
・購エネ:RE100等の要件を満たす適切な環境証書と再エネの調達
・エネルギー新戦略ワーキンググループの開催(隔月)、再エネ情報交換会の開催(毎月)
②サプライチェーンで発生するCO₂排出量の削減
・資源の再利用を推進
③製品のカーボンフットプリント削減
・ライフサイクルアセスメントの実施
・DX融合による個別製品排出量算定
・環境配慮型製品の開発
[環境に関する独自の取り組み]
①環境配慮型製品の拡大(グリーン関連製品)
当社は、製品の企画・開発・設計の段階で、環境配慮性を製品のライフサイクル全般において評価する製品環境アセスメントを実施し、環境性能の向上に取り組んでおります。基準を満たした製品は、グリーン製品、またはグリーンマインド製品として認証していて、両者を合わせたグリーン関連製品を年間60件以上登録しております。
②生物多様性確保への決意と地域コミュニティのシンボル「フジクラ 木場千年の森」
当社は、自らの事業活動が地球環境と密接な関係にあることを深く認識し、地球環境を保護するために最大の努力を尽くすことを目指し、“人にやさしい、地球環境にもやさしい企業グループ”を掲げております。フジクラグループは、2013年1月に「フジクラグループ生物多様性長期ビジョン・ロードマップ2030」を策定し、生物多様性保全に取り組んでおります。本社敷地の再開発にあたり、2010年11月に、自然空間であるビオガーデン「フジクラ 木場千年の森」を本社敷地内に創設しております。広さ2,200㎡、2つの池とそれをつなぐ小川、浮島、遊歩道などがあり、生きものたちが優先される空間として、数百年前の武蔵野台地の豊かな森や林を再現するために、在来種にこだわり設計しました。現在では、カルガモやカワセミの雛が巣立つほどに森が成長しております。
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東京都「江戸のみどり登録緑地(優良緑地)」に登録
「フジクラ 木場千年の森」が、東京都「江戸のみどり登録緑地」の優良緑地として2017年に登録されました。この制度は、建築物等の敷地において東京に自然分布している植物(在来種)を植栽することで、昆虫や鳥などの動物も含め、東京の生きものに適した環境を回復させることを目的としております。フジクラは、東京都が官民連携で進める在来種植栽プロジェクト「江戸のみどり復活事業」に参加し、在来植栽の普及に向けた方策を関係業界とともに検討してきた取り組みが評価され、登録されたものであります。
また、2022年度の取り組みとして、経団連の生物多様性宣言イニシアチブや国際OECMデータベース登録を目指す環境省の生物多様性のための30by30アライアンスに参加しております。
[人的資本・多様性]
(1)ガバナンス
人的資本・多様性に関するガバナンスは、サステナビリティ全般のガバナンスに含まれております。詳細については、「
(2)戦略
フジクラグループは、人財価値とエンゲージメントの向上が社会的価値を創出し、企業価値の最大化につながるという確信に立ち、社員が良質な体験を得られる組織を実現していきます。また、当社が持続的に成長していく上で、人財への投資は最も優先すべき最重要テーマであり、以下の4つの人財マネジメントの方向性を基軸とし、必要な施策や取り組みを通じて会社と社員双方の“ウェルビーイング”の実現を目指します。
[人財マネジメントの方向性]
①多様な価値観や考え方を受け入れ、お互いを尊重し合う職場環境と柔軟な働き方を追求します
②キャリア形成に必要な学習機会を提供し、社員の成長を後押しします
③担う役割と貢献および成果に応じて公正に評価・処遇します
④「一人ひとりが主役」となれる組織づくりと適所適材の配置を行います
(3)リスク管理
人的資本・多様性に関するリスク管理は、サステナビリティ全般のリスク管理に含まれております。詳細については、「
(4)指標及び目標
[当社における具体的取り組み]
①多様な人財及び働き方の多様性
当社はキャリア採用(経験者採用)、障がい者雇用を積極的に実施し、多様な属性や異なる考えを取り入れることで組織の成長を加速させます。また、多様な人財が働きやすい環境の整備の一例として、2021年1月にテレワーク勤務規程、2023年1月に副業・兼業規程を制定いたしました。多様な働き方を設けることで、社員のエンゲージメントと生産性・創造性の向上に寄与いたします。
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項目 |
指標等 |
21年度実績 |
22年度実績 |
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ハラスメント |
・ハラスメント防止教育の受講率 |
96% |
99% |
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ワークライフバランス |
・従業員一人あたり月平均残業時間 |
16.8時間/月 |
21.6時間/月 |
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・有給休暇取得率 |
57.3% |
64.3% |
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・テレワーク利用率 (注)2 |
59.6% |
54.4% |
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・男性の育児休業等取得率 |
27.0% |
56.1% |
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・副業・兼業申請者数 |
- |
7名 |
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採用 |
・キャリア採用(経験者採用)比率 (注)3 |
41% |
25% |
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・障がい者雇用率 (注)4 |
2.5% |
2.6% |
(注)1.各指標は、提出会社における実績であります。(障がい者雇用率を除く)
2.テレワーク勤務可能な従業員の労働日数を分母とし、テレワーク勤務を実施した日数を分子として実施率を算出しております。
3.21年度は新卒採用者数を絞り込んだ結果、キャリア採用者数の比率が高くなりました。
4.当社は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく特例子会社である株式会社フジクラキューブを運営することでグループ一体として雇用促進を図っております。雇用率については、グループの取組結果を記載しています。
②キャリア形成に向けた支援
自律的なキャリア形成に向け、社員が自ら手を上げることで、自身のキャリア形成において必要な学習機会を得ることが出来る自発的な研修制度を設けております。
また、階層別のキャリアデザイン研修を開始したほか、昇格した企画専門職全員と人事部門の管理職がキャリア面談を実施し、社員が自律的にキャリアを考える契機とすることを目的とした取組みを進めております。
上記に加え、2017年から次世代、次々世代の経営者となり得る経営人財の継続的な輩出が、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するとの考えに立ち、選抜型の経営人財育成プログラムを実行しております。
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項目 |
指標等 |
21年度実績 |
22年度実績 |
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人財育成 |
・自発的な研修受講/試験受験延べ人数(TOEIC等の試験受験,オンライン英会話/学習ツール・社外講習・通信教育の受講など) |
1,292名 |
1,233名 |
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・キャリア面談の実績 |
110名 |
85名 |
(注)1.各指標は、提出会社における実績であります。
③評価と処遇について
当社の人事制度においては職種と役割に応じた評価・報酬制度を導入しております。国籍、性別、新卒/キャリア入社等で、昇格や処遇に差を設けておりません。また、人事評価(考課)においてもエクイティ(公平性)を重視することで、社員各人が備えている能力を最大限発揮できる環境の整備に努めております。
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項目 |
指標等 |
21年度実績 |
22年度実績 |
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Diversity, Equity & Inclusion (DE&I) |
・女性管理職比率 |
3.9% |
3.9% |
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・男女の人事評価結果における差異(注)2 |
(企画専門職) |
98.1% |
97.7% |
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(管理職) |
103.3% |
102.5% |
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(注)1.各指標は、提出会社における実績であります。
2.男女の人事評価結果における差異は、発揮されている能力や行動特性を人財育成に活かすために評価している人事評価結果を数値換算した上で、男性の人事評価結果に対する女性の人事評価結果の割合を示しています。なお、本指標は、いわゆる総合職層である「企画専門職」および「管理職」を対象として集計しています。
④適所適材の配置
2016年より社員が自ら手を挙げて特定のポジションへの異動を申請することが出来るキャリアチャレンジ制度を導入しております。社員一人ひとりの自主性を促し、自律的な組織をつくることでイノベーションの創出につながることを期待しております。また、当社はグローバルに事業を展開していることから、各国、地域に根ざした商習慣を身に付ける必要性が高く、早期から海外駐在の経験等を積むことが出来る環境を備えており、グローバルで活躍できる人財の輩出に注力しております。
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項目 |
指標等 |
21年度実績 |
22年度実績 |
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人財ポートフォリオ |
・キャリアチャレンジ(社内公募)の募集件数 |
3(注)2 |
56 |
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・総合職に占める海外勤務割合(経験者数) |
24.7%(456名) |
21.1%(307名)(注)3 |
(注)1.各指標は、提出会社における実績であります。
2.構造改革実施期間中につき募集を一時休止したことによる影響です。
3.2022年度の構造改革による人員構成の変化による影響です。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 需要動向
当社グループの経営成績は、製品が主としてインフラ用や最終消費財の部品などであるため、景気循環の影響を受けることはもとより、各マーケットの設備投資の動向や競合環境、サプライヤの動向、顧客の購買政策の変化や信用状況等によって影響を受けます。
(2) 為替レートの変動
当社グループは、実需の範囲内で通貨ヘッジ取引を行い、外貨建売上取引等における為替変動による悪影響を最小限に抑える努力をしておりますが、必ずしも為替リスクを完全に回避するものではないため、為替レートの変動は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業には、海外における製品の生産、販売が含まれており、各地域における現地通貨建ての収益、費用、資産等の各項目は連結財務諸表作成のため、円換算しており、換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
(3) 原材料等の調達及び価格変動に関するリスク
当社グループは、事業に必要な原材料や副資材、重要な希少資源などの調達において、計画的かつ安定的な数量の確保に取り組んでおります。しかしながら、サプライチェーンの混乱や需給の逼迫、供給元の方針変更、資源の枯渇等により必要量の確保に至らなかった場合や、これらの原材料等の価格ならびにエネルギー価格の高騰が著しく進んだ場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
また、当社グループの製品の主要な材料である銅の価格は、国際的な需給動向等の影響により変動しますが、銅価格の急激な変化による仕入価格の変動が即座に製品価格に反映されるとは限らないため、銅価格の著しい変動によって当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。
(4) 製品の欠陥
当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しておりますが、全ての製品について欠陥が無く、将来に品質クレームが発生しないという保証はありません。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額すべてをカバーできるという保証はありません。重大なクレームや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや、当社グループの社会的評価に重大な影響を与え、売上が減少するなどの悪影響につながる可能性があります。
(5) 法的規制等
当社グループの事業活動においては、事業展開する各国の様々な法的規制の適用を受けております。このような規制には、事業・投資を行うために必要な政府の許認可、商取引、輸出入に関する規制、租税、金融取引、環境に関する法規制等があります。当社グループはこれらの規制を遵守し事業活動を行っておりますが、将来において法的規制の重要な変更や強化が行われた場合、当社グループがこれらの法規制に従うことが困難になり事業活動が制限されたり、規制遵守のためのコスト負担が増加すること等により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 訴訟、規制当局による措置その他の法的手続等
当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に関するリスクを有しております。訴訟、規制当局による措置その他の法的手続により、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局により課徴金等が賦課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手段は、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 政治経済情勢
当社グループは、エネルギー・情報通信事業部門、電子電装・コネクタ事業部門(エレクトロニクス事業部門、自動車事業部門)等、国内外にて事業展開しているため、各国の政治経済や環境情勢及び新興国の経済の変動、並びに紛争・テロの発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 金利の変動
当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を実施しておりますが、金利が上昇した場合には、支払利息が増加し、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 知的財産
当社グループは、特許権、その他の知的財産権の取得により自社技術の保護を図ると共に、第三者の知的財産権に対しても細心の注意を払っております。しかし、製品の構造・製造技術の多様化や、海外での事業活動の拡大等により、当社グループの製品が意図せず他社の製品の知的財産権を侵害した場合、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があります。また、第三者が当社グループの知的財産権を侵害しても、各国の法制度等の相違により、適切な保護が得られるとは限らず、当社グループの事業活動や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業遂行に関連して多くの個人情報・顧客情報を含む機密事項を有しております。これらの情報の秘密保持については、最大限の対策を講じておりますが、第三者によるサイバー攻撃やコンピューターウイルス感染等の予期せぬ事態により情報が外部に流出する可能性があり、その結果、当社グループのイメージの低下や損害賠償の発生等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、同様の予期せぬ事態により、当社グループの情報システム及びネットワークの正常な運営が妨げられた場合、事業の停止や生産効率の低下、復旧のための費用増など、当社グループの生産体制、経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 災害等のリスクについて
当社グループは、国内外に多数の工場を有しており、当該地域において大規模な地震や台風などによる風水害などの自然災害が発生し、生産設備に被害を受けた場合、操業停止に伴う生産能力の低下、設備修復による費用増など、当社グループの生産体制、経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 製品の品質
当社グループは、高品質の製品の提供を目指し品質管理体制の強化に取り組んでおりますが、過去に製造販売した製品に関連する現時点で想定していない補償費用等が生じた場合や、重大な品質問題が新たに発生し、信用低下による販売活動への影響並びに品質管理体制の改善・強化等に要する費用及び補償費用等が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 新興感染症あるいは再興感染症の流行拡大について
新興感染症あるいは再興感染症の流行拡大により、政治、経済環境に制限が課されることとなった場合、当社グループのサプライチェーンの不機能等様々な事業活動の制約により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当社グループの経営成績は、為替の影響や、エネルギー・情報通信事業部門における北米向け需要が高いこと、またエレクトロニクス事業部門における品種構成の良化等により、売上高は増収、営業利益及び経常利益は増益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、特別損失として、エレクトロニクス事業部門のFPC事業及び自動車事業部門のワイヤハーネス事業等における固定資産の減損損失を計上しましたが、業績が堅調に推移したことにより、増益となりました。
このような状況のもと当社グループの当連結会計年度の売上高は8,065億円(前年度比20.3%増)、営業利益は702億円(同83.2%増)、経常利益は679億円(同99.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は409億円(同4.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
[エネルギー・情報通信事業部門]
北米向け需要が高いことに加え、為替の影響等もあり、売上高は前年度比22.8%増の4,344億円、営業利益は同71.4%増の431億円となりました。
[電子電装・コネクタ事業部門]
(エレクトロニクス事業部門)
採算重視の受注戦略による減収要因はあるものの、生産性の改善、品種構成の良化に加え、為替の影響等もあり、売上高は前年度比10.5%増の1,973億円、営業利益は同100.3%増の276億円となりました。
(自動車事業部門)
半導体不足の影響が低減したことや為替の影響等により、売上高は前年度比28.5%増の1,559億円となった一方、輸送費、人件費高騰の影響に加え、北米での新車種立ち上げに苦戦し、立上げに係る費用が増加したこと等により、営業損失は66億円(前年度は営業損失56億円)となりました。
[不動産事業部門]
当社旧深川工場跡地再開発事業である、「深川ギャザリア」の賃貸収入等が引き続き堅調に推移し、売上高はの前年度比1.0%減の108億円、営業利益は同2.9%減の50億円と、前連結会計年度並みとなりました。
2023年度については、25中期初年度としての位置づけのもと、持続的な成長と企業価値の向上を目指すべく、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」で述べました各種取り組みを進めてまいります。
①情報通信部門における、SWR®/WTC®をはじめとした光配線ソリューションビジネスの拡大、及び将来の需要増、コスト競争力の強化に向けた取り組み。
②エレクトロニクス事業部門における、ユニークな技術による技術革新への対応を通じた最先端アプリケーション創出への貢献。
③自動車事業部門における、採算重視の受注戦略及び事業規模の適正化によるワイヤハーネス事業の収益性の早期改善、及びCASEに代表される技術革新を機会とした新たなビジネスの探索。
④DX及びGXへの取り組み。
2024年3月期の当社連結の業績予想につきましては、為替が前連結会計年度に対して円高に推移すること及びマーケット環境の悪化が見込まれることから、売上高は7,700億円(前年度比4.5%減)、営業利益は600億円(同14.5%減)、経常利益は550億円(同19.0%減)を予想しております。親会社株主に帰属する当期純利益は410億円(同0.3%増)を予想しております。
②財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較し、453億円増加の6,568億円となりました。これは主に、エネルギー・情報通信事業部門における需要増により売上債権が増加したこと、及びエネルギー・情報通信事業部門の需要増や自動車事業部門における新車種量産対応などにより棚卸資産が増加したことで、流動資産が増加したことによるものです。一方で、固定資産については米国会計基準を適用する在外子会社の会計基準変更によりリース資産が増加したものの、減損損失を計上したことにより減少しております。
負債の部は、前連結会計年度末と比較し、55億円減少の3,624億円となりました。これは主に、米国会計基準を適用する在外子会社の会計基準変更によりリース債務が増加した一方で、安定した利益確保により有利子負債が減少したことによるものです。
純資産の部は、前連結会計年度末と比較し、507億円増加の2,944億円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び為替換算調整勘定の増加によるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益507億円等を源泉とした収入により、581億円の収入(前年度比178億円の収入増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を中心に97億円の支出(前年度は78億円の収入)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは借入金の返済による支出を中心に339億円の支出(前年度比30億円の支出減少)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は1,066億円(前年度比161億円の増加)となりました。
また、当社は1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」で述べました各種取り組みを通じ、持続的成長フェーズへと舵を切りました。
当連結会計年度については、収入の増加及び厳選した設備投資の実行等により、ネットD/Eレシオは24:76(前連結会計年度は35:65)と、さらなる改善を進めることができました。
2023年度につきましては、25中期のもと、将来の成長に向けた事業投資・戦略投資の実行、財務体質の強化、並びに株主還元のバランスを図り、資本効率を重視した経営を実行してまいります。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額又は、数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の実績については、「(1)財政状態及び経営成績の状況」における各セグメント経営成績に関連付けて示しています。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りです。
該当事項はありません。
当社グループでは、環境問題やエネルギー問題など社会課題解決を通じた事業の持続的発展を目指し、エネルギー・情報通信事業部門、電子電装・コネクタ事業部門(エレクトロニクス事業部門・自動車事業部門)を中心に新技術並びに新商品の開発を積極的に推進しています。当社グループの研究開発活動は、新事業創生・研究開発部門、及び各事業部門内の開発部にて実施しています。
[新事業創生・研究開発部門]
情報通信サービスの多様化に伴い、高速・大容量のデータを扱う無線通信技術や、通信網を支える光技術に革新が求められています。また、データ量の増大に伴い、データセンタでの消費電力は指数関数的に増大しており、従来の化石燃料や原子力に代わる環境負荷の少ないエネルギー源が求められています。新事業創生・研究開発部門では、これらの社会課題に対し、当社既存事業とも親和性の高い「ミリ波応用」「次世代光通信」「次世代エネルギー」の3分野を中心とした研究開発をすすめています。
(ミリ波応用)
「5G」(第5世代移動通信システム)の本格普及に向けて、移動体通信基地局や、基地局への中継回線網、固定通信網ラストマイルなどの次世代大容量高速無線通信に利用されるミリ波帯通信デバイスの開発を進めています。当社は、米国IBM社よりライセンスを受けたミリ波高周波半導体(IC)技術と、当社の強みであるアンテナ設計・基板製造技術を組み合わせ、すべて自社開発で5G向けミリ波帯製品を実現します。現在サンプル出荷中の28GHz帯5G向けアンテナ一体型高周波モジュールは、アンテナ、IC、フィルタを統合しており、自社開発の強みを生かしてさらなる高性能・高機能化を目指した製品開発を行っています。当社は、ミリ波無線デバイス技術を通じて5G時代に求められる高速・大容量無線通信網の構築に貢献します。
8K映像による遠隔監視など、産業用途の自営無線通信システムに利用される60GHz帯無線通信モジュールの開発を進めています。2023年度中の製品化を目指す本モジュールは、2Gbps超の通信スピードや500m超の長距離伝送など、世界トップクラスの性能を実現するとともに、各国の無線認証を取得して出荷されるため、お客様は60GHz帯の通信・産業機器をより短期間・低コストで開発可能となります。当社は、5G向けに加え、手軽に使える自営システムに適用可能なミリ波製品を開発・提供することで、目的に応じた多彩な次世代高速無線通信網の展開をサポートします。
(次世代光通信)
将来の高密度・大容量伝送に向けて、光ファイバ1本に複数のコアを持つマルチコアファイバ(Multi-Core Fiber;MCF)の実用化に向けた開発を進めています。2022年度は、標準クラッド外径でコアが4個のMCFの評価として、288心の4コアMCFを実装したMCFケーブルをダクトに敷設し、ケーブル両端に576個の入出力デバイスを融着接続したビル間のフィールドリンクを構築し、光学特性の調査を行いました。200心を超える実用的な心数を備えたMCFケーブルでは世界初のフィールド敷設実験であり、2023年3月に米国にて開催されたOFC2023※にて発表しました。また当社は国立研究開発法人 情報通信研究機構 (NICT) の委託を受け、NTT、KDDI総合研究所、他のファイバメーカーと共に「マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発」を進めています。一方、MCFの実用化のためにはコアがひとつの汎用光ファイバとの接続技術も重要であり、その入出力デバイス、接続技術など周辺技術の確立により実用化を加速させます。
※OFC : Optical Fiber Communication Conference。光通信に関する最大規模の主要国際学会の一つ。
(次世代エネルギー)
レアアース系高温超電導線材は、液体ヘリウムを使用しない次世代の高温超電導機器を実現する製品としてエネルギー分野、医療や分析、産業機器などへの応用・展開が期待されています。当社はレアアース系高温超電導線材の開発および量産技術開発を精力的に進め、世界トップレベルの性能を実現しています。最近ではカーボンニュートラル実現のために欧米を中心に高温超電導線材を用いた核融合発電の開発が精力的に行われており、当社製品を採用したお客様より高い評価を得ています。当社は、今後も高温超電導線材の更なる長尺化、低コスト化に向けた活動を行っていくと共に、応用開発も進め、カーボンニュートラル社会の実現に向けて研究開発、事業化を進めて参ります。
セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は
[エネルギー・情報通信事業部門]
「5G」(第5世代移動通信システム)やIoT(Internet of Things)など多様な情報通信サービスの普及にともない、光ファイバケーブルの需要が世界的に拡大しています。当社では、既存設備を有効利用しながら経済的に光ファイバ網を構築する技術として、世界トップレベルの細径・高密度な光ファイバケーブル「Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable®」(以降、SWR®&WTC®)技術を用いた様々な新製品を開発し、上市しています。2022年度は、かねてより開発してきた難燃性・低発煙特性を有する難燃性光ケーブルが、欧州・北米を中心とした通信ネットワーク網等に採用されました。また、空気圧送敷設に適したAir Blown WTCは、最大心数1008心のタイプを加えることで製品ラインアップの充実を図りました。当社は今後もSWR®&WTC®の技術を活かした革新的な光ファイバケーブルを開発し、世界各国の通信ネットワークの発展に貢献していきます。
これらの光ケーブルの接続点に使用される光コネクタの高性能化、および、小型化開発を進めています。2022年度は、既存製品のSWR®&WTC®の片端末または両端末に取り付けた牽引端付きMulti-Fiber Push On (MPO) 成端ケーブルを開発完了しリリースするとともに、更なる細径化開発をいたしました。また、今後、高密度・大容量伝送が進展することを受けて、小型・高密度収容の光コネクタ開発を積極的に進めて参ります。2022年度は、現存の主力多心コネクタであるMPOの1/3のフットプリントで実装可能な、ミニ多心コネクタ(MMC)について、従来の16心に加え、24心タイプを開発しました。さらに光コネクタ接続作業部において、先端のキャップ取り外しをなくしてお客様の作業性を大きく向上させたOne-Click® Cleaner PROシリーズを開発し、リリースしました。一方、伝送装置周辺や装置基盤で使用される光コネクタの小型化、高性能化、および高機能化開発にも注力しています。2022年度は、データセンタ、長距離通信市場で必要とされる大容量高速通信伝送装置に関して、LSI近傍で光ファイバを接続する方式であるCo-Packaged Optics用に、PANDAファイバおよびSMファイバ付き多心コネクタ結線品を開発しました。
光ファイバケーブルの敷設工事等で使用される光ファイバ融着接続機や、光部品の製造等で使用される特殊光ファイバ用融着接続機を開発しています。特殊光ファイバ用融着接続機は、細径から大口径までの光ファイバを接続可能であり、2022年度はこの用途で使用される光ファイバカッタと光ファイバリコータを上市しました。光ファイバリコータは、融着接続した光ファイバのガラス部分をUV硬化樹脂で再被覆する装置です。光ファイバカッタでは従来切断前に光ファイバのたわみを防止する部材の位置合わせ作業が必要でしたが、これを『自動で位置合わせする機能』を、光ファイバリコータではUV硬化樹脂注入機構の見直し等により『作業時間約25%短縮』を実現しました。今後もより安定で、より速く、確実な作業を可能とする製品を開発することで、光ファイバの敷設効率や光部品製造効率の改善に貢献していきます。
金属のマーキング、溶接、切断で使用されるレーザ加工機の市場では、従来の固体レーザから、ビーム品質が良く、かつ小型で電力変換効率が高い光源を利用したファイバレーザへの切り換えが進んでいます。ファイバレーザでは、従来空間を伝搬していたレーザ光をファイバで導光することにより、レーザ光の扱いが安全かつ容易となり、様々な加工機やバイオ分析、医療分野などへの応用が可能となりました。当社は、光通信用ファイバや光部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発に注力してきました。2021年度からは、安定した供給が課題となっている半導体などの電子デバイス製造装置向けに、用途に応じて最適な特殊ファイバを用いたパルスファイバレーザの開発・製品化を進めており、これからも電子分野の旺盛な需要に応えていきます。
なお、当セグメントに係る研究開発費は
[電子電装・コネクタ事業部門]
民生及び産業用の電子機器に使われるフレキシブル・プリント配線板(FPC)、メンブレン※、コネクタ、電子ワイヤ、センサ、ハードディスク、サーマル製品の開発を行っています。スマートフォンに代表されるモバイル機器は、情報通信速度の高速化や高機能化が進み、周辺機器との連携が強く要求されています。また、自動車の電動化、情報化、知能化が加速する中で、近年需要が増えている自動車用電子部品は、各種環境下での高い信頼性が要求されています。
※メンブレン:銀などの金属インクを樹脂基板に印刷することにより形成した電子回路基板。
(PC事業部門)
FPCについては、スマートフォンを中心とした電子機器の高密度化や高速伝送に対応するため、高精細回路、電気特性を向上させた多層基板の開発を進めています。また、車載用途として、バッテリ監視用途などの車両の電動化や、先端運転支援システム(ADAS)に対応する製品群の技術開発を進めています。加えて、医療、ウェアラブル用途などの特殊構造の製品開発にも取り組んでおります。
メンブレンについては、印刷回路の細線化や新規機能性ペーストの商品化を進め、従来のパソコン、車載市場に加え、医療、ヘルスケアといった新しい市場を開拓しています。さらに伸縮性基板上に配線を形成したストレッチャブルメンブレンを応用した商品の開発を進め、新たな用途への展開を進めています。
(コネクタ事業部門)
コネクタについては、「小型・低背」「堅牢」「防水」「高速伝送」「作業性」をキーワードに、高機能化(高操作性、高強度、大電流、複合化など)した製品開発を推進しています。モバイル機器用途では、Board to Boardコネクタの小型・堅牢化や、バッテリ用コネクタ等の製品バラエティ拡充を進めています。産業機器用途では、NC工作機やロボット、半導体製造装置に対応した小型・防水・多芯の製品ラインナップ拡充を進めています。また5G関連の通信用途向けコネクタの開発や、自動車用途における自動車の情報化・知能化に対応すべく、高速通信用コネクタの開発に注力しています。
(電子部品事業部門)
電子ワイヤについては、エレクトロニクス市場での更なる高速、高容量データ伝送の要求に応えるべく開発を進めています。モバイル機器やウェアラブル機器では、非常に限られたスペース内で高速な信号を伝送する用途や、高屈曲耐久を有した接続のニーズがあり、これらを実現する機器内配線用極細同軸ケーブルアセンブリの開発を進めています。
センサについては、空圧機器市場や医療市場の要求に応え、また製品ラインナップを強化するため、高分解能デジタル出力圧力センサは量産フェーズに移行し、小型圧力センサは量産化に向けた開発を継続しています。
サーマル製品については、高性能化が進むスーパーコンピュータやハイエンドサーバ、市場の拡大するデータセンタ用サーバ向けに、CPUの発熱量や発熱密度の増加に対応するため水冷式クーリングユニット、及び空冷式ヒートパイプモジュールの高性能化に向けた開発を進めています。また、IGBT等パワー半導体向けに、大容量に対応したベーパーチャンバやヒートパイプ製品の高性能化に向けた開発を進めています。
なお、当セグメントに係る研究開発費は
(自動車事業部門)
自動車の高機能化に伴う電装品への小型軽量化のニーズに対応した細径・軽量電線や、半導体ヒューズや半導体リレーを内蔵した小型電源分配ボックス、CASEに代表される分野の技術革新に対応した新商品・新技術の開発を推進しています。
Connected(コネクテッド)とAutonomous(自動運転)の分野では、車載LANの高速化ニーズに対応した1G~10Gbpsの高速通信ハーネスや、10Gbps以上の超高速通信ハーネスの開発を推進しています。Electric(電動化)の分野では、車両の電動化ニーズに対応した、高屈曲細径ケーブルや高電圧電源分配ボックスなどの開発を推進しています。さらに、カーメーカーの車両開発期間短縮を実現するハーネス製造シミュレーションシステムの開発や、BCPの一環として生産自動化システムの構築を推進しています。
また、カーボンニュートラルに向けた産業政策「グリーン成長戦略」により、今後拡大が見込まれる電気自動車の充電インフラの領域においては、急速充電ケーブルコネクタの開発を推進しています。電気自動車の台数増加や搭載されるバッテリの大容量化に伴い、充電時間短縮や充電渋滞解消を目的に、高出力急速充電コネクタ規格の整備が進められています。当社では、国内初となる液冷方式のケーブルコネクタを開発し、2023年から最大出力200kW級の急速充電器への搭載を開始しました。更なる高出力化のニーズに対応するため、最大出力900kWに適合した液冷方式のケーブルコネクタの開発にも取り組んでいます。
なお、当セグメントに係る研究開発費は