第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

 (1)業績

  当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策等を背景に改善傾向が見られたが、資源価格の下落や中国をはじめとする新興国経済の減速の影響により、国内景気の下振れが懸念される状況で推移した。

  電線業界においては、建設・電販向け需要は前年同期並みで推移し、電力向けで持ち直しが見られたが、電気機械向けや輸出向けなどの需要が減少したことから、全体としては、前年度対比で減少となった。

  このような状況の下、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は1,697億12百万円(前年度比6.6%減)、営業利益は9億49百万円(前年度比23.2%減)、経常損失は14億61百万円(前年度は3億84百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は91億51百万円(前年度は2億28百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となった。

  セグメント別の業績は、次のとおりである。

  なお、当社の連結子会社であった㈱エクシムを平成27年10月1日付で昭和電線ケーブルシステム㈱が吸収合併したことに伴い、従来、「電力システム事業」に含めていた配電機器、母線、架空送電線を、当連結会計年度より「電線線材事業」に含めている。この報告セグメントの変更に伴い、前連結会計年度のセグメント情報を変更後の区分に基づき作成し、前連結会計年度比を算出している。

 

 (電線線材事業)

  建設・電販向け電線の需要は前年同期並みで推移したが、線材の需要が減少したことから、売上高は800億52百万円(前年度比7.7%減)、営業利益は10億56百万円(前年度比1.7%減)となった。

 

 (電力システム事業)

  輸出向けは低調だったが、電力会社等の需要が緩やかに回復してきたことにより、売上高は227億78百万円(前年度比3.5%減)、営業損失は4億72百万円(前年度は8億81百万円の営業損失)となった。

 

 (巻線事業)

  中国現地法人では厳しい状況が継続しているが、国内自動車用電装品向け巻線の需要が堅調に推移したことから、売上高は219億58百万円(前年度比3.3%減)、営業利益は15百万円(前年度は47百万円の営業損失)となった。

 

 (コミュニケーションシステム事業)

  国内の通信ケーブルについては道路関連を中心に堅調に推移し、光ファイバの輸出も増加したことから、売上高は217億12百万円(前年度比0.3%増)、営業利益は7億50百万円(前年度比64.4%増)となった。

 

 (デバイス事業)

  新興国経済の景気減速により複写機用ローラ等の精密デバイスやワイヤハーネスの需要が減少し、建設用免震装置の需要も低迷した影響で、売上高は212億24百万円(前年度比15.1%減)、営業損失は67百万円(前年度は9億89百万円の営業利益)となった。

 

 (その他)

  売上高は19億85百万円(前年度比0.7%増)、営業損失は4億31百万円(前年度は3億43百万円の営業損失)となった。

 

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」、「当期純損失」を「親会社株主に帰属する当期純損失」としている。

(注) 上記、各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高または振替高を含めていない。

 (2)キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度末における連結ベースの現金および現金同等物は、62億82百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億86百万円減少している。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりである。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動による資金の増加は、45億45百万円(前連結会計年度は56億24百万円の資金の増加)となった。これは、税金等調整前当期純損失を86億20百万円計上したものの、減価償却費を36億99百万円計上、減損損失を59億95百万円計上、売上債権が31億80百万円減少したこと等によるものである。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動による資金の減少は、38億46百万円(前連結会計年度は20億27百万円の資金の減少)となった。これは、主に有形固定資産の取得による支出32億41百万円、関係会社出資金の払込による支出4億38百万円等によるものである。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動による資金の減少は、22億89百万円(前連結会計年度は34億93百万円の資金の減少)となった。これは、主に借入金が15億円減少したこと等によるものである。

2【生産、受注および販売の状況】

 当社および連結子会社の生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も含まれるため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。

 このため、生産、受注および販売の状況については、「1 業績等の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて示している。なお、主要な販売先については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (セグメント情報等) 関連情報 3 主要な顧客ごとの情報」に記載のとおりである。

 

3【対処すべき課題】

  当社グループは、平成26年5月13日に中期経営計画「GROWTH 2016」を掲げ、平成32年に開催が決定した東京オリンピック・パラリンピックや社会資本の老朽化対策等に向けて需要の伸びが期待される市場を求め、事業展開を進めてきた。しかし、当社グループを取り巻く事業環境は、人手不足による建築工期の延伸、電力会社設備投資の回復の遅れ、新興国経済の景気減速等の影響により、中期経営計画「GROWTH 2016」で想定していた環境と大きく乖離してしまった。

  その様な状況下、当社グループは、事業環境の変化に合わせて子会社の統廃合等を実施してきたが、新たに策定した平成28年度から平成30年度(平成31年3月期)までの3か年を対象とする「中期経営計画2016~2018」の下、さらなる収益構造改善に向けた取り組みを進めていく。

  「中期経営計画2016~2018」の基本方針は、次のとおりとしている。

 (1) 構造改革

  当社グループは、以下に掲げる構造改革について、今後具体的な施策を実施していく。

 ①事業会社再編・組織のスリム化(持株会社機能の見直しとグループ内事業会社の再編)

 ②資産の有効活用(生産拠点および配置の最適化・集約ならびに遊休地活用の検討)

 ③不採算事業の再生に向けて(部門間連携・グループ内協業の強化、品種撤退を含めた抜本的改革の実施)

 ④海外事業の再生に向けて(海外現地法人(巻線事業)の構造改革継続、デバイス事業(ワイヤハーネス)での海外生産体制見直し)

 (2) 成長分野への取り組み強化

  当社グループは、コア事業である建設・電販向けを中心とする電線線材事業を基盤事業と位置付ける一方で、以下に掲げる成長分野へ資源を投下していく。

 ①自動車分野(巻線、アルミ電線)

 ②鉄道分野(車両用電線、電力機器部品、防振ゴム)

 ③道路分野(同軸ケーブル、分岐ケーブル)

 ④防災・減災分野(消防用電線、電力機器部品)

 ⑤医療分野(レントゲンケーブル、光ファイバケーブル加工品、LANケーブル)

 

  なお、当社グループは、上記基本方針に基づき財務体質の改善に向けた取り組みについても強化していく。

 

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。

(1)主要な原材料等に係るリスク

 当社グループが製造・販売している電線・ケーブルの主要な原材料である銅の購入価格は、ロンドン金属取引所の取引価格と連動しているが、その価格は需給関係と異なる投機的要素によっても変動する。一方で、当社グループの販売価格は原則として銅価格にスライドして設定しているが、銅価格が大幅に変動した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

 また、ポリエチレン等の石油化学製品をはじめその他の原材料についても、価格が大幅に変動した場合には、同様に当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

(2)為替および金利の変動リスク

 当社グループは国内取引における円貨建取引の割合が高いものの、一部取引については米ドルその他の外国通貨建取引もあることから、為替リスクを最小限に抑えるためヘッジを行うことを基本としているが、外国為替レートの変動によっては為替損失が発生し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

 また当社グループは相当額の有利子負債を抱えており、当該有利子負債の削減に努めているが、金利が大幅に上昇した場合には金融費用の負担が増加し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(3)投資に係るリスク

 当社グループの海外拠点の多くは中国・東南アジア地区に集中しており、当該地区においては法規範の改正、人材の育成・確保、パートナー企業動向、社会基盤整備状況、為替動向等に関するリスクを内在していることから、リスクの発生により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(4)品質問題に係るリスク

 当社グループでは、製品の品質に関しては、常にその特性に応じた最適な品質保持を心がけて管理しているが、予期せぬ事情により製品の欠陥に基づく損失補償または訴訟等の問題に発展する可能性が皆無ではないことから、その場合には多額の費用の発生により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(5)コンプライアンスに係るリスク

 当社グループは、国内および海外で継続的に事業展開する上で、各規制当局より様々な規制を受けるとともに、取引先等の多様な関係者に対して契約上・取引上の義務を負っている。当社グループは、コンプライアンスの観点からも法令・契約の遵守に努めているが、法令・契約違反の事象が生じた際には、各規制当局から処分・制裁等を受け、また取引先等の関係者らから損害賠償請求等を受ける可能性があり、その場合には、事業上の機会の逸失や多額の費用等の発生により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

 なお、現在ブラジルの競争当局が、当社グループを含む複数の事業者グループを対象に、電力ケーブルの取引に係る競争法違反の疑いで調査を行っているが、当該調査について、現時点で当社グループの経営成績等への影響の有無を予測することは困難である。

 

5【経営上の重要な契約等】

当社は、平成27年8月26日開催の取締役会において、当社連結子会社㈱エクシムの合弁出資者である三菱電線工業㈱より同社保有株式のすべてを当社が譲り受けた上で、同じく連結子会社である昭和電線ケーブルシステム㈱が㈱エクシムを吸収合併することについて決議した。

当該決議に基づき、同日付で、当社と三菱電線工業㈱は株式譲渡契約(譲渡の効力発生日は平成27年8月26日)を締結し、昭和電線ケーブルシステム㈱と㈱エクシムは合併契約(合併の効力発生日は平成27年10月1日)を締結した。

合併に関する詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりである。

6【研究開発活動】

 当社グループは、電線線材事業、電力システム事業、巻線事業、コミュニケーションシステム事業、デバイス事業、その他新しい分野における新技術・新製品の研究開発を各事業子会社の技術開発部門が中心となって積極的に推進している。

 当連結会計年度における、当社グループの研究開発費は総額10億45百万円であり、その成果は次のとおりである。

 

 (電線線材事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱を中心に進められている。

医療分野では、レントゲン機器に使用される直流用ゴムケーブルの高電圧化対応DC 300kVケーブルを開発し、販売を開始した。鉄道車両用電線では、日本鉄道車輌工業会規格に対応した600V、1,500V用の環境配慮型耐燃架橋ポリエチレン絶縁電線(EM-TNC)について、耐熱温度120℃の登録を行った。

当事業に係る研究開発費は22百万円である。

 

 (電力システム事業)

当事業における研究開発活動は昭和電線ケーブルシステム㈱を中心に進められている。

当社グループでは、小型・軽量・環境に配慮したコンパクトな電力用機器製品を“SICONEX®(サイコネックス)”ブランドとして展開している。国内市場向けは、耐震性・環境面に優れた点が評価され、ダイレクトモールド機器用ブッシングの適用機会が大幅に増加した。より研究開発に注力すべく電力機器事業開発プロジェクトを発足した。

66kV級、154kV級SICONEX®製品の標準仕様化を国内電力向けに推進し、今後の採用に向けた検討を多くの電力会社で推進して頂いた。

また、老朽化した275kV OFケーブルからCVケーブルへの引替え需要に対応すべく同電圧レベルを含む、超高圧ケーブル用ジョイントのラインナップ充実を図っている

当事業に係る研究開発費は1億94百万円である。

 

 (巻線事業)

当事業における研究開発活動は、㈱ユニマックを中心に進められている。

マグネットワイヤ(巻線)に関しては、最近ではその需要動向から自動車関連分野の製品開発および通信機器に使用される電子部品向けが中心となっている。エコカーの戦略車種に当社の新規開発平角エナメル線が採用されて以降、適用車種拡大のために様々な設計要求に対応し、適用車種増加を図っている。電子部品分野では、当社のポリイミド樹脂に関する技術を生かし、性能を大幅に向上させた極細平角線が部品メーカーに採用され、スマートフォンに使用されている

当事業に係る研究開発費は8百万円である。

 

 (コミュニケーションシステム事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱を中心に進められている。

光通信ケーブルでは、増加が見込まれる次世代携帯基地局(4G:LTE-Advanced)に使用される光ケーブルを開発し、販売を開始した。通信用同軸ケーブルでは、東京オリンピック・パラリンピック等を契機に普及が見込まれる4K、8K対応TVのデータ伝送用として広帯域・細径同軸ケーブルの開発を進めている。また道路のトンネル内で使用されるLCX(漏えい同軸)ケーブルでは、FMラジオ放送の帯域拡大に対応したケーブルの開発を進めている

電子ワイヤ関係では、FAイーサネットケーブルのロボット配線用ケーブルの開発や今後IoT(Internet of Things)が発展するのに伴い需要の増加が見込まれるセンサー用ケーブルの開発・改良も行っている。

当事業に係る研究開発費は48百万円である。

 

 

 

 

(デバイス事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線デバイステクノロジー㈱を中心に進められている。

免震事業では、長周期長時間地震動を想定した従来よりも過酷な試験を免震部材に実施し、優れた耐久性を証明した。また、複数の大学・設計事務所・建設会社と免震部材に関する共同研究に着手し、その成果の一部は特許化のために共同出願をしている。さらに市場からの一層の品質要求に対しても各種研究を継続し、その成果を設計、材料、製法、検証方法の改善につなげている

制振・制音事業における振動制御製品では、船舶分野の船内騒音規制強化に伴い、制振材(ショウダンプNH-5)の騒音低減効果について、船内を模擬したモックアップ実験により実用性のあるデ-タを取得し電力機器では、災害対策として建物の中間階に変圧器が設置されるケ-スが増えたことにより、変圧器設置階下の騒音対策として、トップランナ-変圧器のラインナップに合わせた防振架台シリ-ズを設計、提案を開始した。鉄道車両分野では、安全面から要求される品質に対応した防振ゴム開発を行い、市場参入を果たした。

情報機器では、複写機・プリンター・軽印刷機に使用されるカラーおよびモノクロ用定着ローラ、加圧ローラ、ベルト、パッド、コイル等の開発を継続し、省エネ・環境対応・超高画質化など年々高まる顧客要求に応える製品の市場投入を行っている。顧客との緊密な協力関係を維持しパ-トナ-として、開発から製造プロセスに至るまで、高品質かつ低コスト製品を開発し、市場投入すると同時に将来技術の研究開発を継続実施している。さらに自動車用ハンドルヒーターについても採用車種拡大を目指し開発や量産に注力している。

ワイヤハーネス関係では、自動車用ハンドルヒーターやシートヒーターの端末加工方法を改良し、販売を伸ばしている。

当事業に係る研究開発費は2億12百万円である。

 

 (その他)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱を中心に進められている。

超電導ケーブルシステムに関しては、国際規格に基づき35kV単芯ケーブルシステムの型式試験を第三者認証機関の立会のもとで実施し、全試験項目合格の評価を得た。富通集団有限公司とは天津市濱海新区濱海科技園において、ケーブルの設置工事を行っているところである国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)において、2年間の実用化研究フェーズへ移行した「低コスト型超電導低電圧大電流母線の開発」について、初年度としてケーブル部、終端部の基礎検討を終了した。2015年10月にNEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム/省エネルギー技術開発事業の重要技術に係る周辺技術・関連課題の検討」に先導研究として「プラント内利用超電導ケーブルのための冷却システムの検討」が採用され、冷却についての調査を実施した。また、医療用の超電導機器に使うための特性向上を目的とした基礎研究を国立研究開発法人日本医療研究開発機構より受託し、産業用超電導線材・機器技術研究組合とともにその成果を報告した。

工場や自動車から発生する排熱から電気エネルギーを取り出す熱電変換素子の開発では、NEDOが委託するクリーンデバイス社会実装推進事業に「熱発電デバイスによる中温度域独立給電型センシングモジュールの用途開拓」が2015年6月に新たな課題として採択された。本プロジェクトでは当社の熱電変換モジュールを電源として用いたセンシングデバイスの実装検証を自動車およびボイラー用途で実施する予定である。今年度は本用途に向けた新設計のシリサイド系熱電変換モジュールの試作評価を実施し、目標とする性能を得ることができた。また、三重事業所内で実施している熱電発電の実証試験では、発電デバイスの改善により安定した出力が継続して得られており、実証デモサイトとして運用中である

環境負荷低減のため自動車の軽量化が進められており、当社グループでは、アルミ合金線技術を生かした細径・高強度ワイヤの開発を進めてきた。細径電線に特に要求される高い機械的強度を確保する目途が立ち、製品化に向けたフェーズに入っている

リッツ線とそのコイル化技術を用いて、非接触給電システムの開発を行っている。用途は、主に電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)向けの非接触給電用である。本技術は、自動車分野以外の産業機器等にも応用が期待されている。

これらの事業に係る研究開発費は5億59百万円である。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。

(1)重要な会計方針および見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されている。当該連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、損益の計上金額ならびに関連する偶発資産および偶発債務の開示に影響する見積りと判断を行うことが必要となる。当社は、収益の認識、貸倒債権、棚卸資産、投資、法人税等に関する見積りおよび判断に対して、継続して評価を行っている。当社では、過去の実績および状況に応じて合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行い、その結果は資産および負債の簿価について判断を下すための基礎となるが、不確実性を内在しており実際の結果と異なる場合がある。

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度における経営成績については、電線線材事業で銅価格の下落等の影響やデバイス事業で新興国市場を中心に需要が減少した影響等により、厳しい状況で推移した。中期経営計画「GROWTH 2016」の基本方針に基づき収益力の強化に努めたが、売上高は減収となり、営業利益は減益、経常利益は損失に転じることとなった。また、特別損失として固定資産の減損損失等を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益も損失に転じることとなった。しかしながら、これまでに注力してきた取り組みや施策等により、電力システム事業では下期に営業利益で黒字化するなど、個々の成果も見られた。

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの製品に係る主要原材料である銅や石油化学製品の価格変動については、必ずしも製品の販売価格に転嫁できるとは限らないことから収益を圧迫する可能性がある。また、為替リスクについても、これを最小限に抑えるためのヘッジを行うことを基本としているが、外国為替レートの変動によっては同様に収益を圧迫する可能性がある。

(4)経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、平成28年5月11日に策定した平成28年度からの新たな3か年計画「中期経営計画2016~2018」を掲げ、過度な需要の増加に頼らず利益創出ができる体質への転換を目指す。主な施策としては、事業会社再編・組織のスリム化、資産の有効活用、不採算事業および海外事業の再生といった構造改革を実施すると伴に、自動車、鉄道、道路、防災・減災、医療等の成長分野へ資源の投下を加速し、早期の業績回復を目指す。

 中期経営計画の最終年度(平成30年度)の連結業績においては、売上高1,730億円、営業利益35億円、経常利益20億円、親会社株主に帰属する当期純利益12億円を見込んでいる。

(5)財政状態および資金の流動性についての分析

① 財政状態についての分析

 当連結会計年度末における資産合計は1,230億69百万円で、前連結会計年度末より149億54百万円減少している。その内訳としては、流動資産の減少62億70百万円、固定資産の減少86億83百万円である。流動資産の減少は、主に受取手形及び売掛金が31億80百万円、現金及び預金が16億86百万円それぞれ減少したこと等によるものである。固定資産の減少は、主に有形固定資産が58億41百万円、退職給付に係る資産が20億18百万円それぞれ減少したこと等によるものである。

 当連結会計年度末における負債合計は973億44百万円で、前連結会計年度末より37億57百万円減少している。その内訳としては、流動負債の減少13億45百万円、固定負債の減少24億11百万円である。流動負債の減少は、主に支払手形及び買掛金が21億27百万円減少したこと等によるものである。固定負債の減少は、主に長期借入金が18億46百万円減少したこと等によるものである。

 当連結会計年度末における純資産の合計は257億24百万円で、前連結会計年度末より111億97百万円減少している。これは、主に利益剰余金が87億73百万円、その他の包括利益累計額合計が20億93百万円それぞれ減少したこと等によるものである。

② 資金の流動性についての分析

 営業活動によるキャッシュ・フローについては、前連結会計年度は56億24百万円得たのに対して、当連結会計年度は45億45百万円を得た。これは主に、税金等調整前当期純損失を計上したものの、減価償却費を計上、減損損失を計上、売上債権が減少した等によるものである。投資活動によるキャッシュ・フローについては、前連結会計年度は20億27百万円支出したのに対して、当連結会計年度は38億46百万円を支出した。その主なものは、有形固定資産の取得等による支出である。財務活動によるキャッシュ・フローについては、前連結会計年度は34億93百万円支出したのに対して、当連結会計年度は22億89百万円を支出した。その主なものは、借入金の減少等によるものである。

 これらの活動の結果、当連結会計年度末の連結ベースの現金および現金同等物は、前連結会計年度末より16億86百万円減少し、62億82百万円となった。

(6)経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「3 対処すべき課題」に記載のとおりである。