第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

 (1)業績

  当連結会計年度におけるわが国経済は、既存設備の維持・更新を中心に設備投資は底堅く推移したが、米国新政権への移行や英国のEU離脱決定等により各国政策の不確実性が高まり、先行きは不透明な状況で推移した。

  電線業界においては、自動車向けは堅調に推移したが、建設・電販向け等を中心に電線全体の需要は減少傾向で推移した。

  このような状況のもと当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は1,552億32百万円(前年度比8.5%減)、営業利益は42億34百万円(前年度比345.8%増)、経常利益は24億46百万円(前年度は14億61百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は19億76百万円(前年度は91億51百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となった。

  セグメント別の業績は、次のとおりである。

  なお、当第1四半期連結累計期間および当第3四半期連結累計期間より報告セグメントの区分をそれぞれ変更しており、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度のセグメント情報を変更後の区分に基づき作成し、前連結会計年度比を算出している。

 

 (電線線材事業)

  国内の建設・電販向け電線や線材需要が低調だった影響で減収となったが、固定費削減等の効果により売上高は695億63百万円(前年度比12.3%減)、営業利益は14億69百万円(前年度比46.9%増)となった。

 

 (電力システム事業)

  国内向け需要が底堅く推移し、前年度に実施した子会社統合等の効果もあり、売上高は238億41百万円(前年度比1.5%増)、営業利益は7億82百万円(前年度は4億63百万円の営業損失)となった。

 

 (巻線事業)

  銅価格の下落により減収となったが、国内自動車用電装品向け巻線の需要が堅調に推移したことから、売上高は197億90百万円(前年度比9.9%減)、営業利益は2億46百万円(前年度比1,519.7%増)となった。

 

 (コミュニケーションシステム事業)

  国内の通信ケーブル需要は低調だったものの、固定費削減等の効果により、売上高は203億61百万円(前年度比6.2%減)、営業利益は10億69百万円(前年度比33.9%増)となった。

 

 (デバイス事業)

  デバイス事業は総じて減収となったが、固定費削減等の効果により、売上高は198億89百万円(前年度比6.3%減)、営業利益は9億90百万円(前年度は67百万円の営業損失)となった。

 

 (その他)

  売上高は17億86百万円(前年度比10.0%減)、営業損失は2億92百万円(前年度は4億31百万円の営業損失)となった。

(注) 上記、各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高または振替高を含めていない。

 (2)キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度末における連結ベースの現金および現金同等物は、51億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億89百万円減少している。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりである。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動による資金の増加は、78億42百万円(前連結会計年度は45億45百万円の資金の増加)となった。これは、主に減価償却費を29億28百万円計上、たな卸資産が19億79百万円、売上債権が8億92百万円それぞれ減少したこと等によるものである。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動による資金の減少は、22億18百万円(前連結会計年度は38億46百万円の資金の減少)となった。これは、主に有形固定資産の取得による支出27億30百万円、投資有価証券の売却による収入5億24百万円等によるものである。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動による資金の減少は、65億6百万円(前連結会計年度は22億89百万円の資金の減少)となった。これは、主に借入金の返済によるものである。

2【生産、受注および販売の状況】

 当社および連結子会社の生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も含まれるため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。

 このため、生産、受注および販売の状況については、「1 業績等の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて示している。なお、主要な販売先については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (セグメント情報等) 関連情報 3 主要な顧客ごとの情報」に記載のとおりである。

 

3【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。

 (1)経営方針

  当社グループは、「信頼」をキーワードとしたグループ経営理念を掲げ、昭和電線グループ各社は、常にステークホルダー(利害関係者)からの信頼を深められるように企業価値のさらなる向上を目指している。

 (2)経営環境

  今後の見通しについては、首都圏再開発を中心に国内建設・電販向け電線需要は底堅く推移すると見込まれているが、人手不足等により建設工期の延伸や物流費の増加等による影響が懸念される。また、地政学リスクが為替や資源価格に及ぼす影響も合わせて懸念され、依然として先行き不透明な経営環境にある。このような環境下、「中期経営計画2016~2018」で掲げた施策である「構造改革」と「成長分野への取り組み強化」を両輪として推進していく。

 (3)対処すべき課題

① 中期経営計画への取り組み

  当社グループは、平成28年5月11日に公表した「中期経営計画2016~2018」を掲げ、基本方針である構造改革と成長分野への取り組み強化を推進してきた。構造改革では、電力システム事業やデバイス事業等で生産体制の見直しや人員再配置による効率化等を積極的に実施してきた。成長分野への取り組み強化では、自動車、鉄道、道路、防災・減災、医療の5分野へ経営資源を集中したことで「中期経営計画2016~2018」の最終年度の利益目標である営業利益35億円、経常利益20億円、親会社株主に帰属する当期純利益12億円を平成28年度に達成することが出来た。

  また、当社グループは、中期経営計画の基本方針である「構造改革」と「成長分野への取り組み強化」を推進するため、持株会社機能の見直しを実施した。平成29年4月1日には当社連結子会社である昭和電線ケーブルシステム㈱が、昭和電線デバイステクノロジー㈱および昭和電線ビジネスソリューション㈱を吸収合併したことで、さらなる「組織の効率化による生産性向上」と「経営資源の結集による顧客ニーズへの対応力強化」を推進する。一方、海外では中国事業の方向性を見直し、収益改善に努めていく。中期経営計画の平成30年度利益目標は2年前倒しで達成したため、当社グループの長期ビジョンや次期中期経営計画の策定に着手していく。

② コーポレートガバナンスへの取り組み

  当社グループは、コーポレートガバナンス・コードに定められた各原則の趣旨に基づき、より実効的なコーポレートガバナンスの実現に向けて継続的に取り組んでいくことを基本方針としている。

  当該取り組みの一環として、当事業年度においては、当社の取締役会が適切に機能していることを検証するために、その実効性に関する分析・評価を実施した。全取締役および全監査役を対象とする質問票への回答を中心に分析・評価した結果、取締役会全体としての実効性は相応に確保されていると判断するとともに、中長期的な経営の方向性に関する議論についてはより充実させていくべきであるとの共通認識を得ている。取締役会の実効性の評価については定期的に実施しながら取締役会の運営等の改善を図っていくとともに、今後策定していく当社グループの長期ビジョンの中にも反映していく。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。

(1)主要な原材料等に係るリスク

 当社グループが製造・販売している電線・ケーブルの主要な原材料である銅の購入価格は、ロンドン金属取引所の取引価格と連動しているが、その価格は需給関係と異なる投機的要素によっても変動する。一方で、当社グループの販売価格は原則として銅価格にスライドして設定しているが、銅価格が大幅に変動した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

 また、ポリエチレン等の石油化学製品をはじめその他の原材料についても、価格が大幅に変動した場合には、同様に当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

(2)為替および金利の変動リスク

 当社グループは国内取引における円貨建取引の割合が高いものの、一部取引については米ドルその他の外国通貨建取引もあることから、為替リスクを最小限に抑えるためヘッジを行うことを基本としているが、外国為替レートの変動によっては為替損失が発生し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

 また当社グループは相当額の有利子負債を抱えており、当該有利子負債の削減に努めているが、金利が大幅に上昇した場合には金融費用の負担が増加し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(3)投資に係るリスク

 当社グループの海外拠点の多くは中国・東南アジア地区に集中しており、当該地区においては法規範の改正、人材の育成・確保、パートナー企業動向、社会基盤整備状況、為替動向等に関するリスクを内在していることから、リスクの発生により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(4)品質問題に係るリスク

 当社グループでは、製品の品質に関しては、常にその特性に応じた最適な品質保持を心がけて管理しているが、予期せぬ事情により製品の欠陥に基づく損失補償または訴訟等の問題に発展する可能性が皆無ではないことから、その場合には多額の費用の発生により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(5)コンプライアンスに係るリスク

 当社グループは、国内および海外で継続的に事業展開する上で、各規制当局より様々な規制を受けるとともに、取引先等の多様な関係者に対して契約上・取引上の義務を負っている。当社グループは、コンプライアンスの観点からも法令・契約の遵守に努めているが、法令・契約違反の事象が生じた際には、各規制当局から処分・制裁等を受け、また取引先等の関係者らから損害賠償請求等を受ける可能性があり、その場合には、事業上の機会の逸失や多額の費用等の発生により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

 なお、現在ブラジルの競争当局が、当社グループを含む複数の事業者グループを対象に、電力ケーブルの取引に係る競争法違反の疑いで調査を行っているが、当該調査について、現時点で当社グループの経営成績等への影響の有無を予測することは困難である。

 

5【経営上の重要な契約等】

当社は、平成29年1月31日開催の取締役会において、当社連結子会社の昭和電線ケーブルシステム㈱が同じく連結子会社である昭和電線デバイステクノロジー㈱および昭和電線ビジネスソリューション㈱を吸収合併することについて決議した。

当該決議に基づき、昭和電線ケーブルシステム㈱、昭和電線デバイステクノロジー㈱および昭和電線ビジネスソリューション㈱は合併契約(合併の効力発生日は平成29年4月1日)を締結した。

合併に関する詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりである。

6【研究開発活動】

 当社グループは、電線線材事業、電力システム事業、巻線事業、コミュニケーションシステム事業、デバイス事業、その他新しい分野における新技術・新製品の研究開発を各事業子会社の技術開発部門が中心となって積極的に推進している。

 当連結会計年度における、当社グループの研究開発費は総額9億27百万円であり、その成果は次のとおりである。

 

 (電線線材事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱を中心に進められている。

被覆線では、環境規制で平成31年に施行されるRoHS指令フタル酸4物質規制に対応した主材料を使用し、平成29年1月より製造を開始した。

線材分野では、従来の電線、芯線販売用途だけではなく、精密加工部品や強加工が必要な部品にも使用できる高品位無酸素銅線“MiDIP™ OFC(ミディップ オーエフシー)”をブランド化し、販売を開始した。また銅銀合金線では医療関連、測定機器部品用等のニーズがあり、顧客と共同で開発を実施している。

当事業に係る研究開発費は15百万円である。

 

 (電力システム事業)

当事業における研究開発活動は昭和電線ケーブルシステム㈱を中心に進められている。

当社グループでは、小型・軽量・環境に配慮した電力用機器製品を“SICONEX®(サイコネックス)”ブランドとして展開している。国内市場向けでは、耐震性・環境面に優れた点が評価され、ダイレクトモールド機器用ブッシングおよびケーブルヘッドの適用機会が大幅に増加した。

66kV級、154kV級SICONEX®製品の標準仕様化を電力会社向けに推進し、一部で採用された。また、他の電力会社でも今後の採用に向けて推進している。

老朽化した275kV OFケーブルからCVケーブルへの引替え需要が加速しており、それに対応した超高圧ケーブル用ジョイントの製品開発が完了し、電力会社の型式申請中である。

当事業に係る研究開発費は1億77百万円である。

 

 (巻線事業)

当事業における研究開発活動は、㈱ユニマックを中心に進められている。

自動車関連分野では、当社のポリイミド樹脂に関する技術や様々な設計要求に対応したことで、適用車種の増加につながりつつある。また、細物平角線も自動車関連分野の電子部品に採用されており、今後適用範囲が拡大されるにつれて、スマートフォン等の通信機器用電子部品に搭載された極細平角線とともに、さらなる信頼性確保のための開発を進めている。

当事業に係る研究開発費は4百万円である。

 

 (コミュニケーションシステム事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱を中心に進められている。

光通信ケーブルでは、スマートフォンの普及や動画サイトの充実とともに、手軽に動画を見る機会が増えており、通信機器の高速・大容量化の要求が高まっている。第4世代移動無線通信システムでは超高速大容量通信が実現されており、無線基地局に使用される光通信ケーブルを販売している。今後、さらなる高速・大容量化を実現するため、第5世代移動無線通信システムが検討されており、これら無線基地局用に使用される光通信ケーブルの開発を進めている。通信用同軸ケーブルでは、東京オリンピック・パラリンピック等を契機に普及が見込まれる4K、8K対応TVのデータ伝送用として、広帯域・細径同軸ケーブルの開発を進めている。また、道路のトンネル内で使用されるLCX(漏えい同軸)ケーブルでは、FMラジオ放送の帯域拡大に対応したケーブルの開発を行い、広範囲の帯域の通信に対応できるVLow帯域対応漏洩同軸径ケーブルの販売を開始した。

電子ワイヤ関係では、FAイーサネットケーブルのロボット配線用ケーブルの開発や今後IoT(Internet of Things)が発展するのに伴い需要の増加が見込まれるセンサー用ケーブルやカスタム対応のインターフェースケーブル等の開発を行っている。

当事業に係る研究開発費は35百万円である。

 

(デバイス事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線デバイステクノロジー㈱を中心に進められている。

免震事業では、長周期長時間地震動や品質向上への法的改正および市場の要求に応えた免震部材の耐久性や品質管理の取り組みを、複数の大学・設計事務所・建設会社や、国から審査を委託された機関とともに実証した。これらは、日本建築学会での研究発表や国土交通大臣の免震材料認定の取得、また、当社の設計、材料、製法、検証方法の改善という成果につなげている。

制振・制音事業における振動制御製品では、船舶分野の船内騒音規制強化に伴い、制振材の需要が従来の艦船など一部の特殊船から一般商船に広がり始めているため、一般商船向けに低価格で施工作業性の良いシート型制振材(ショウダンプ®NH-S1)を開発し、日本海事協会防火構造材料認定(NK認定)を取得した。

情報機器では、複写機・プリンター・軽印刷機に使用されるカラーおよびモノクロ用定着ローラ、加圧ローラ、ベルト、パッド、コイル等の開発を継続し、省エネ・環境対応・超高画質化など年々高まる顧客要求に応える製品の市場投入を行っている。製造工程を見直し、生産革新ラインの構築および当社独自のスポンジローラの開発を顧客との緊密な協力関係の中で実施した。

ワイヤハーネス関係では、自動車用ハンドルヒーターやシートヒーターの端末加工方法を改良し、販売を伸ばしている。また、これらの技術を応用し、ピッキングロボット等の産業機器向けや高齢化社会に対応した医療・介護向け等の成長が期待される分野の製品開発も進めている

当事業に係る研究開発費は1億77百万円である。

 

 (その他)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱を中心に進められている。

超電導ケーブルシステムに関しては、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)において、平成27年度から2年間の実用化研究フェーズにあった「低コスト型超電導低電圧大電流母線の開発」は、端末付きのケーブルの性能評価試験を終了し、全業務を完了した。平成28年11月には、NEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム/省エネルギー技術開発事業の重要技術に係る周辺技術・関連課題の検討」に調査研究として「プラント内利用のための低コスト型三相同軸超電導ケーブルシステム導入のためのケーススタディー」が採用され、ケーブルの冷却性能を高めるための要素技術を開発している

また、一般社団法人日本電線工業会と当社グループで経済産業省に共同提案した「省エネルギー等国際標準開発(国際電気標準分野)超電導ケーブルの交流損失測定方法および超電導線材の臨界電流測定方法に関する国際標準化」は業務を終了し、最終報告書を提出した

富通集団有限公司と共同で天津市濱海新区濱海科技園において行っていた超電導ケーブルシステムの実証試験は、運用試験へと移行している。

工場や自動車から発生する排熱から電気エネルギーを取り出す熱電変換素子の開発では、NEDOの委託研究である「クリーンデバイス社会実装推進事業/熱発電デバイスによる中温度域独立給電型センシングモジュールの用途開拓」において、平成27年度に試作したシリサイド系熱電変換モジュールの耐久性向上に取り組み、目標とする特性を得ることができた。これらのモジュールを自動車およびバイオマスボイラーの排気系に装着し、本プロジェクトで目標としていた実装評価を計画どおりに実施できた。また、三重事業所内で実施している熱電発電の実証試験においても安定した出力が継続して得られており、1年以上に亘りデバイスの健全性が確認されている

環境負荷低減のため自動車の軽量化が進められており、当社グループでは、アルミ合金線技術を活かした細径・高強度ワイヤの開発を進めてきた。細径電線に特に要求される高い機械的強度を確保する電線の製品化の目途が立ち、量産準備を開始した。

リッツ線とそのコイル化技術を用いて、非接触給電システムの開発を行っている。用途は、主に電気自動車やプラグインハイブリッド車向けの非接触給電用であったが、産業用自動走行システムへの採用にも広がりを見せている

これらの事業に係る研究開発費は5億17百万円である。

7【財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。

(1)重要な会計方針および見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されている。当該連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、損益の計上金額ならびに関連する偶発資産および偶発債務の開示に影響する見積りと判断を行うことが必要となる。当社は、収益の認識、貸倒債権、棚卸資産、投資、法人税等に関する見積りおよび判断に対して、継続して評価を行っている。当社では、過去の実績および状況に応じて合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行い、その結果は資産および負債の簿価について判断を下すための基礎となるが、不確実性を内在しており実際の結果と異なる場合がある。

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度における経営成績については、電線線材事業等で銅価格の下落等の影響により減収となったが、「中期経営計画 2016~2018」の基本方針である「構造改革」と「成長分野への取り組み強化」を両輪として推進した結果、営業利益が増益となり、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益が黒字化した。

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの製品に係る主要原材料である銅や石油化学製品の価格変動については、必ずしも製品の販売価格に転嫁できるとは限らないことから収益を圧迫する可能性がある。また、為替リスクについても、これを最小限に抑えるためのヘッジを行うことを基本としているが、外国為替レートの変動によっては同様に収益を圧迫する可能性がある。

(4)経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、平成28年5月11日に策定した平成28年度からの新たな3か年計画「中期経営計画2016~2018」を掲げ、過度な需要の増加に頼らず利益創出ができる体質への転換を目指す。主な施策としては、事業会社再編・組織のスリム化、資産の有効活用、不採算事業および海外事業の再生といった構造改革を実施するとともに、自動車、鉄道、道路、防災・減災、医療等の成長分野へ資源の投下を加速し、グループの企業価値向上を図っていく。

 中期経営計画の平成30年度利益目標を2年前倒しで達成したため、当社グループの長期ビジョンや次期中期経営計画の策定に着手する。

(5)財政状態および資金の流動性についての分析

① 財政状態についての分析

 当連結会計年度末における資産合計は1,195億28百万円で、前連結会計年度末より35億41百万円減少している。その内訳としては、流動資産の減少40億2百万円、固定資産の増加4億61百万円である。流動資産の減少は、主にたな卸資産が19億79百万円、現金及び預金が10億89百万円それぞれ減少したこと等によるものである。固定資産の増加は、主に退職給付に係る資産の増加が13億74百万円、投資有価証券が5億52百万円、無形固定資産が2億円それぞれ減少したこと等によるものである。

 当連結会計年度末における負債合計は908億73百万円で、前連結会計年度末より64億71百万円減少している。その内訳としては、流動負債の減少53億62百万円、固定負債の減少11億8百万円である。流動負債の減少は、主に短期借入金が49億44百万円減少したこと等によるものである。固定負債の減少は、主に長期借入金が8億96百万円減少したこと等によるものである。

 当連結会計年度末における純資産の合計は286億55百万円で、前連結会計年度末より29億30百万円増加している。これは、主に利益剰余金が19億76百万円、その他の包括利益累計額合計が8億3百万円それぞれ増加したこと等によるものである。

 

② 資金の流動性についての分析

 営業活動によるキャッシュ・フローについては、前連結会計年度は45億45百万円得たのに対して、当連結会計年度は78億42百万円を得た。これは主に、減価償却費を計上、たな卸資産および売上債権がそれぞれ減少したこと等によるものである。投資活動によるキャッシュ・フローについては、前連結会計年度は38億46百万円支出したのに対して、当連結会計年度は22億18百万円を支出した。その主なものは、有形固定資産の取得等による支出である。財務活動によるキャッシュ・フローについては、前連結会計年度は22億89百万円支出したのに対して、当連結会計年度は65億6百万円を支出した。その主なものは、借入金の返済等によるものである。

 これらの活動の結果、当連結会計年度末の連結ベースの現金および現金同等物は、前連結会計年度末より10億89百万円減少し、51億92百万円となった。

(6)経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「3 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載のとおりである。