第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。

 (1)経営方針

  当社グループは、「信頼」をキーワードとしたグループ経営理念を掲げ、昭和電線グループ各社は、常にステークホルダー(利害関係者)からの信頼を深められるように企業価値のさらなる向上を目指している。

 (2)経営環境

  今後の見通しについては、国内では建設・電販向け等を中心とするインフラ関係の需要は底堅く推移すると見込まれているが、人手不足等による工期延伸等が発生することが懸念され、先行き不透明な環境が見込まれている。その様な環境下ではあるが、当社グループは創立90周年を迎える2026年までのビジョン「SWCC VISION2026」を掲げ、平成30年度からの5か年を対象とする中期経営計画「Change SWCC2022」を策定した。基盤事業で収益性を改善し、新たな分野での事業化を目指して事業活動を進めていく

 (3)対処すべき課題

① 昭和電線グループのビジョン「SWCC VISION2026」

 イ 当社グループは、創立90周年を迎える2026年度までに目指す「ありたい姿」をビジョンとして掲げ、社会的使命の実践と安定成長の両立を目指す。

 ビジョン  :環境に応じて変化し、企業価値を最大化できる企業

 ミッション:社会に必要とされ、生活を支えるソリューションを提供する

 バリュー  :「迅速」・「情熱」・「考動」によって、お客様のニーズを掘り起こす

 

 ロ 「SWCC VISION2026」連結業績、係数目標

(単位:億円)

 

2017年度実績

VISION2026

売上高

1,681

1,950

営業利益

62.7

90.0

経常利益

48.9

86.0

親会社株主に帰属する当期純利益

37.3

55.0

営業利益率

3.7

4.6

配当性向

4.0

約30%

有利子負債

490

300以下

DEレシオ

149%

50%以下

純資産

334

600以上

自己資本比率

26.5%

40%以上

 

(注)DEレシオは自己資本で算出している。

 

② 昭和電線グループの中期経営計画「Change SWCC2022」

 イ 「Change SWCC2022」策定の背景

 当社グループは、2016年5月11日に公表した「中期経営計画2016~2018」の基本方針である構造改革と成長分野への取り組み強化を推進し、2018年度の利益目標である、親会社株主に帰属する当期純利益12億円を2016年度ならびに2017年度で達成することができた。

 上記結果を受けて、当社グループは「SWCC VISION2026」に基づき中期経営計画「Change SWCC2022」を策定した。

 

 ロ 「Change SWCC2022」基本方針

(i)事業収益力強化

 ・グループ経営資源の結集[構造改革]

 ・他社との提携

 ・業務の労働生産性向上

(ii)新事業の創出

 2018年1月に新設したイノベーション推進センターを中心に、当社グループのコアコンピタンスを活かし、オープンイノベーション、リバースイノベーション、パートナーシップにより、新事業の立ち上げを推進する。

(iii)海外事業の新展開

 今後人口増加とともに経済成長が見込まれている東南アジアを中心に事業を展開していく。

 ・中国合弁事業の成長戦略

 ・デバイス事業の成長戦略

 ・海外パートナーとの協業

 

 ハ 「Change SWCC2022」目標数値(連結業績)

(単位:億円)

 

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

売上高

1,750

1,800

1,850

1,900

1,950

営業利益

45

47

55

60

70

経常利益

35

39

49

54

64

親会社株主に帰属する当期純利益

26

29

33

36

43

 

③ コーポレートガバナンスへの取り組み

 当社グループは、コーポレートガバナンス・コードに定められた各原則の趣旨に基づき、より実効的なコーポレートガバナンスの実現に向けて継続的に取り組んでいくことを基本方針としている。

 当社は、取締役会が適切に機能していることを検証するために、事業年度ごとに、その実効性に関する分析・評価を実施することとしている。具体的には、全取締役および全監査役を対象とする質問票への回答に基づき、取締役会においてその評価結果および課題を共有し、今後の取締役会のあり方について建設的な議論を行うこととしている。

 当事業年度を対象に実施した評価結果の概要としては、前事業年度と同様に、概ね適切と評価し得る取締役会の構成や運営に基づく自由闊達な審議の状況等から、取締役会全体としての実効性は相応に確保されていると判断している。また、前回課題とされた中長期的な経営の方向性等に関する事項についての審議の充実については、特に中期経営計画の策定等の過程においてより意識されることで着実に改善がなれてきているものと認識している。一方で、取締役会における議題(審議事項)については、コンプライアンスや内部統制も含め、さらに重要性やリスクに応じた選定が必要であり、経営会議等の他の会議体との関係も踏まえながら見直しを図っていくべきであるとの共通認識を得ている。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。

(1)主要な原材料等に係るリスク

 当社グループが製造・販売している電線・ケーブルの主要な原材料である銅の購入価格は、ロンドン金属取引所の取引価格と連動しているが、その価格は需給関係と異なる投機的要素によっても変動する。一方で、当社グループの販売価格は原則として銅価格にスライドして設定しているが、銅価格が大幅に変動した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

 また、ポリエチレン等の石油化学製品をはじめその他の原材料についても、価格が大幅に変動した場合には、同様に当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

(2)為替および金利の変動リスク

 当社グループは国内取引における円貨建取引の割合が高いものの、一部取引については米ドルその他の外国通貨建取引もあることから、為替リスクを最小限に抑えるためヘッジを行うことを基本としているが、外国為替レートの変動によっては為替損失が発生し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

 また当社グループは相当額の有利子負債を抱えており、当該有利子負債の削減に努めているが、金利が大幅に上昇した場合には金融費用の負担が増加し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(3)投資に係るリスク

 当社グループの海外拠点の多くは中国・東南アジア地区に集中しており、当該地区においては法規範の改正、人材の育成・確保、パートナー企業動向、社会基盤整備状況、為替動向等に関するリスクを内在していることから、リスクの発生により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(4)品質問題に係るリスク

 当社グループでは、製品の品質に関しては、常にその特性に応じた最適な品質保持を心がけて管理しているが、予期せぬ事情により製品の欠陥に基づく損失補償または訴訟等の問題に発展する可能性が皆無ではないことから、その場合には多額の費用の発生により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(5)コンプライアンスに係るリスク

 当社グループは、国内および海外で継続的に事業展開する上で、各規制当局より様々な規制を受けるとともに、取引先等の多様な関係者に対して契約上・取引上の義務を負っている。当社グループは、コンプライアンスの観点からも法令・契約の遵守に努めているが、法令・契約違反の事象が生じた際には、各規制当局から処分・制裁等を受け、また取引先等の関係者らから損害賠償請求等を受ける可能性があり、その場合には、事業上の機会の逸失や多額の費用等の発生により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

 なお、現在ブラジルの競争当局が、当社グループを含む複数の事業者グループを対象に、電力ケーブルの取引に係る競争法違反の疑いで調査を行っているが、当該調査について、現時点で当社グループの経営成績等への影響の有無を予測することは困難である。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりである。

①財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産合計は1,238億93百万円で、前連結会計年度末より43億65百万円増加している。その内訳としては、流動資産の増加24億86百万円、固定資産の増加18億79百万円である。流動資産の増加は、主にたな卸資産が27億81百万円増加したこと等によるものである。固定資産の増加は、主に退職給付に係る資産が18億84百万円増加したこと等によるものである。

 当連結会計年度末における負債合計は904億16百万円で、前連結会計年度末より4億56百万円減少している。その内訳としては、流動負債の増加9億22百万円、固定負債の減少13億79百万円である。流動負債の増加は、主に支払手形および買掛金が10億36百万円増加したこと等によるものである。固定負債の減少は、主に長期借入金が12億51百万円減少したこと等によるものである。

 当連結会計年度末における純資産の合計は334億77百万円で、前連結会計年度末より48億22百万円増加している。これは、主に利益剰余金が37億37百万円、その他の包括利益累計額合計が18億69百万円それぞれ増加したこと等によるものである。

 

②経営成績の状況

  当連結会計年度におけるわが国経済は、企業業績の回復による設備投資や個人消費に持ち直しの動きが見られたが、金融・株式市場や資源価格の変動等により先行き不透明な状況で推移した。

  電線業界においては、自動車向けが増加したものの、全体の需要はほぼ前年並みとなった。

  このような状況のもと当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は1,681億86百万円(前年度比8.3%増)、営業利益は62億76百万円(前年度比48.2%増)、経常利益は48億92百万円(前年度比100.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は37億37百万円(前年度比89.1%増)となった。

  セグメント別の業績は、次のとおりである。

 なお、当第1四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度のセグメント情報を変更後の区分に基づき作成し、前連結会計年度比を算出している。

 

 (電線線材事業)

  建設・電販向け需要はほぼ前年度並みとなったが、資源価格が上昇したことから、売上高は780億86百万円(前年度比12.3%増)、営業利益は22億57百万円(前年度比53.7%増)となった。

 

 (電力システム事業)

  国内需要が前年度並みで推移し、構造改革が損益に寄与したことから、売上高は263億55百万円(前年度比7.0%増)、営業利益は17億52百万円(前年度比121.8%増)となった。

 

 (巻線事業)

  国内需要は電装品向けが底堅く推移したことから、売上高は212億17百万円(前年度比7.2%増)、営業利益は2億46百万円(前年度比0.2%増)となった。

 

 (コミュニケーションシステム事業)

  通信ケーブルの需要は底堅く推移し、ネットワークソリューション関連の需要も回復したことから、売上高は207億86百万円(前年度比6.3%増)、営業利益は13億76百万円(前年度比29.8%増)となった。

 

 (デバイス事業)

  事業全体の需要が回復傾向で推移したことから、売上高は201億88百万円(前年度比1.5%増)、営業利益は11億35百万円(前年度比14.6%増)となった。

 

 (その他)

  売上高は15億51百万円(前年度比13.2%減)、営業損失は5億2百万円(前年度は2億92百万円の営業損失)となった。

(注) 上記、各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高または振替高を含めていない。

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金および現金同等物(以下、「資金」という。)は、46億3百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億89百万円減少している。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりである。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は、68億4百万円(前連結会計年度は78億42百万円の資金の増加)となった。これは、税金等調整前当期純利益が40億90百万円となったことに加えて、減価償却費28億77百万円が計上されていること等によるものである。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は、40億51百万円(前連結会計年度は22億18百万円の資金の減少)となった。これは、主に有形固定資産の取得による支出27億50百万円、短期貸付金の増加15億61百万円等によるものである。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は、32億95百万円(前連結会計年度は65億6百万円の資金の減少)となった。これは、主に借入金の減少および自己株式の取得によるものである。

 

④生産、受注および販売の状況

 当社および連結子会社の生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も含まれるため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。

 このため、生産、受注および販売の状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連付けて示している。なお、主要な販売先については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (セグメント情報等) 関連情報 3 主要な顧客ごとの情報」に記載のとおりである。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。

①重要な会計方針および見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されている。当該連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、損益の計上金額ならびに関連する偶発資産および偶発債務の開示に影響する見積りと判断を行うことが必要となる。当社は、収益の認識、貸倒債権、棚卸資産、投資、法人税等に関する見積りおよび判断に対して、継続して評価を行っている。当社では、過去の実績および状況に応じて合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行い、その結果は資産および負債の簿価について判断を下すための基礎となるが、不確実性を内在しており実際の結果と異なる場合がある。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度における経営成績については、電線線材事業等で銅価格の上昇等の影響により増収となり、「中期経営計画 2016~2018」の基本方針である「構造改革」と「成長分野への取り組み強化」を両輪として推進した結果、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益が増益となった。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの製品に係る主要原材料である銅や石油化学製品の価格変動については、必ずしも製品の販売価格に転嫁できるとは限らないことから収益を圧迫する可能性がある。また、為替リスクについても、これを最小限に抑えるためのヘッジを行うことを基本としているが、外国為替レートの変動によっては同様に収益を圧迫する可能性がある。

 

 

④経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、平成30年5月11日にビジョン「SWCC VISION2026」と平成30年度からの新たな5か年計画「Change SWCC2022」を公表した。「Change SWCC2022」の主な施策は、事業収益力の強化、新事業の創出、海外事業の新展開とし、構造改革を継続しながら新事業や海外事業での成長戦略を進め、グループの企業価値向上を図っていく。

 

⑤経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載のとおりである。

 

⑥資本の財源および資金の流動性について

 当社グループの資金需要については、運転資金需要は銅をはじめとする原材料の調達が、投資資金需要は製造設備の合理化投資や成長分野向けの設備投資等が主なものとなる。なお、運転資金に対しては、売掛債権回収の早期化や在庫の削減等による効率化を図っている。また、資金調達においては、資金需要の動向や経済情勢および金融環境等を勘案しながら対応しているが、グループ間で資金を融通するグループファイナンスを活用することにより調達資金の効率的な運用にも努めている。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項なし。

5【研究開発活動】

 当社グループは、電線線材事業、電力システム事業、巻線事業、コミュニケーションシステム事業、デバイス事業、その他新しい分野における新技術・新製品の研究開発を各事業子会社の技術開発部門が中心となって積極的に推進している。

 当連結会計年度における、当社グループの研究開発費は総額10億46百万円であり、その成果は次のとおりである。

 

 (電線線材事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱を中心に進められている。

被覆線では、平成31年に施行される特定有害物質の使用を制限したRoHS2指令に対応した材料を使用しての製造を平成29年1月から開始しており、規制対応の確認を継続している。また、変電所等に情報通信技術の導入が進んだことで雷害対策の重要性が高まっており、雷害対策のひとつとしてリッツ線を使用した接地線、および専用端子を接続工法も含め確立した

線材では、従来用途だけではなく、精密加工部品や強加工が必要な部品にも使用できる高品位無酸素銅線“MiDIP® OFC(ミディップ オーエフシー)”をブランド化して拡販を継続実施している。また、銅銀合金線では医療機器関連、測定機器部品用等のニーズがあり、顧客と共同開発を継続実施している。

道路交通分野では、高速道路等のトンネル照明のLED化に対応すべく極コネクターを開発し、“ショウタッチ®”のラインナップに追加した

当事業に係る研究開発費は15百万円である。

 

 (電力システム事業)

当事業における研究開発活動は昭和電線ケーブルシステム㈱を中心に進められている。

当社グループでは、小型・軽量・環境に配慮した電力用機器製品を“SICONEX®(サイコネックス)”ブランドとして展開している。国内市場向けでは、耐震性・環境面・省力化に優れた点が評価され、ダイレクトモールド機器用ブッシングおよびケーブルヘッドの適用機会が大幅に増加し、154kV級のケーブルヘッドの納入を開始した

66kV級、154kV級SICONEX®製品の標準仕様化を電力会社向けに推進し、採用数が大幅に拡大した。

当事業に係る研究開発費は2億30百万円である。

 

 (巻線事業)

当事業における研究開発活動は、㈱ユニマックを中心に進められている。

自動車分野では従来用途に加え、駆動モーターやリアクトルといった新しい用途向けに対応を進めてきた結果、高耐熱性および優れた耐加工性を実現した。また、システムの高電圧化に伴う絶縁特性(PDIV特性)に優れたポリイミド平角線を開発した

細物平角線でも自動車関連分野の電子部品に採用されており、スマートフォン等の通信機器用電子部品に搭載された極細平角線とともに増量が予定されているため、さらなる信頼性確保に向けて設計・開発を実施している

当事業に係る研究開発費は6百万円である。

 

 (コミュニケーションシステム事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱を中心に進められている。

光通信ケーブルでは、スマートフォンの普及や動画サイトの充実とともに、手軽に動画を見る機会が増えており、通信機器の高速・大容量化の要求が高まっている。今後、さらなる高速・大容量化を実現するため、第5世代移動無線通信システム(5G)が検討されており、これら無線基地局用に使用される光通信ケーブルの開発を継続実施している。道路のトンネル内で使用されるLCX(漏えい同軸)ケーブルでは、FMラジオ放送の帯域拡大に対応したケーブルの開発を行い、広範囲の帯域の通信に対応できるV-Low帯域対応漏洩同軸ケーブルや各種ケーブル・コネクタをラインナップして販売を実施している

電子ワイヤでは、IoT(Internet of Things)/M2M(Machine to Machine)による、工場のネットワーク化が発展することに伴い、ネットワークケーブルとして産業イーサネットケーブル、フィールドバスケーブルの開発を実施している。また、今後需要の拡大が見込まれる、産業機器用センサケーブルやカスタム対応のインターフェースケーブル等の開発も実施している

当事業に係る研究開発費は88百万円である。

 

(デバイス事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱を中心に進められている。

免震事業では、長周期長時間地震動や法的改正および市場の要求に応えた免震部材の耐久性や品質管理の取り組みを、複数の大学・設計事務所・建設会社や、国から審査を委託された機関とともに実証した。これらは、日本建築学会での研究発表や公的機関による性能評定の取得、また、当社の設計、材料、製法、検証方法の改善等の成果につなげている

また、30年経過した免震建物の振動試験を行う共同研究に参加して、免震建物および免震部材の経年変化を確認し問題がないことを検証した。その成果が(一社)日本免震構造協会から評価され、2017年度に第18回日本免震構造協会賞の普及賞を受賞した。

制振・制音事業では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた首都圏再開発や既存建物改修案件向け振動制御製品の需要が高まっており、特定天井基準に対応した各種防振装置や

4Dシアターを含めたシネマコンプレックスの製品開発を実施している。

精密デバイス事業では、複写機・プリンター・軽印刷機に使用されるカラーおよびモノクロ用定着ローラ、加圧ローラ、ベルト、パッド、コイル等の開発を継続し、省エネルギー・環境対応・超高画質化など年々高まる顧客要求に応える製品の市場投入を継続して行っている。また、低コスト要求に応えるために製造工程の省人化を図った生産革新ラインを構築して稼働を開始した。さらに当社独自のスポンジローラを開発し量産準備を進めている

ワイヤハーネス関係では、自動車用ハンドルヒーターやシートヒーターの端末加工の技術を応用し、成長が期待される産業機器向けの自動化・省人化システム用センサー、モーター等や医療機器向けの高齢化社会に対応した医療・介護・介助向け等の製品開発を実施している

当事業に係る研究開発費は1億27百万円である。

 

 (その他)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱を中心に進められている。

エネルギーロス削減が期待される超電導ケーブルシステムに関しては、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として「戦略的省エネルギー技術革新プログラム/実用化開発」に平成29年6月に採択された「プラント内利用のための低コスト型三相同軸超電導ケーブルシステムの開発」を進めている

工場や自動車から発生する排熱から電気エネルギーを取り出し再利用する熱電変換素子の開発では、NEDOの委託研究である「クリーンデバイス社会実装推進事業/熱発電デバイスによる中温度域独立給電型センシングモジュールの用途開拓」において試作したシリサイド系熱電変換モジュールのさらなる耐久性向上に取り組んできた。排熱発電の用途として想定される自動車用途、工業用途への適用を考慮した開発・評価を継続実施している

環境負荷低減のため自動車の軽量化が進められており、当社グループでは、アルミ合金線技術を活かした細径・高強度電線の開発を進めてきており、顧客が要求する高い機械的強度を確保した細径電線の製品化を完了した。また、自動車の電動化が急速に進む中で当社製品の採用を拡大するために各種合金・加工方法・絶縁被覆の次世代環境対応製品の開発を実施している。さらに、リッツ線とそのコイル化技術を用いて、非接触給電システムの開発を実施している。用途は、主に電気自動車やプラグインハイブリッド車向けであったが、産業用自動走行システムへの採用が拡大している

これらの事業に係る研究開発費は5億78百万円である。