第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。

 (1)経営方針

  当社グループは、「信頼」をキーワードとしたグループ経営理念を掲げ、昭和電線グループ各社は、常にステークホルダー(利害関係者)からの信頼を深められるように企業価値のさらなる向上を目指している。

 (2)経営戦略等

  経営戦略等については、「1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等(4)対処すべき課題」に記載のとおりである。

 (3)経営環境

  今後の見通しについては、国内の建設関連やインフラ関連、自動車関連向け高付加価値製品等の需要は堅調に推移すると見込んでいるが、海外向け光ファイバは5G投資を控えた端境期が継続すると見込まれている。また、米中貿易摩擦による景気停滞の長期化も懸念される。その様な環境下ではあるが、当社グループは中期経営計画「Change SWCC2022」の施策を推進して、基盤事業の収益力を強化し、新たな分野での事業化や海外の今後の需要取り込みを目指して事業活動を進めていく。

 (4)対処すべき課題

  当社グループは「SWCC VISION2026」に掲げたありたい姿に向けて、2018年度から2022年度までの5か年間を対象とする中期経営計画「Change SWCC2022」を策定し、推進している。

① 昭和電線グループのビジョン「SWCC VISION2026」の概要

  当社グループは、創立90周年を迎える2026年度までに目指す「ありたい姿」をビジョンとして掲げ、社会的使命の実践と安定成長の両立を目指す。

 

  ビジョン  :環境に応じて変化し、企業価値を最大化できる企業

    ミッション:社会に必要とされ、生活を支えるソリューションを提供する

    バリュー  :「迅速」・「情熱」・「考動」によって、お客様のニーズを掘り起こす

② 昭和電線グループの中期経営計画「Change SWCC2022」の基本方針

  先の「中期経営計画2016~2018」を第1ステップとし、この「Change SWCC2022」を第2ステップと位置付ける中で、当該中期経営計画では、引き続き経営基盤の強化を図っていくとともに、成長戦略へと移行していくための3つの基本方針を定めている。

イ 事業収益力強化

  当社グループは、経営基盤をより強固とするために引き続き収益性を重視した構造改革に取り組んでいく必要があると考えている。

  以下がそのための重点施策の項目となるが、営業体制や生産拠点の再編等によりグループ経営資源を結集していくとともに、他社との提携も視野に入れながら基盤事業の収益力強化を図っていく。合わせて当社グループのコーポレート・ガバナンス体制についても抜本的な見直しを図っていく。

・グループ経営資源の結集[構造改革]

・他社との提携

・業務の労働生産性向上

ロ 新事業の創出

  当社グループは、今後の成長のためには、市場の拡大が見込まれる自動車用電線や医療・FA・ネットワーク分野等に注力していくことで、新たな収益の柱となる事業を育てていく必要があると考えている。

  そのためには、グループ横断体制の下で、当社グループのコアコンピタンスを活かした新製品や技術の開発を進めていく。さらにオープンイノベーションについても積極的に取り入れていくことで、グループ外の技術も活用した新事業の立ち上げを推進していく。

 

ハ 海外事業の新展開

  当社グループは、今後予想される日本国内における需要構造の変化を踏まえて、海外市場での新たな需要の取り込みにこれまで以上に注力していく必要があると考えている。

  以下がそのための重点施策の項目となるが、中国の富通集団グループをはじめとする海外パートナーとの協業を強化していくとともに、今後も人口増加と経済成長が見込まれる東南アジアを中心に事業を展開していく。

・中国合弁事業の成長戦略への移行

・デバイス事業(主にはワイヤハーネス)の成長戦略への移行

・海外パートナーとの協業の強化

③ 「SWCC VISION2026」および「Change SWCC2022」の連結業績、係数目標

  2026年度までの連結業績および係数目標は、以下のとおりである。

  なお、「Change SWCC2022」の計画数値については、利益計画を前倒しで達成したことから現在見直しを行っており、見直し後の数値は、2020年3月期第2四半期決算発表と合わせて公表する予定としている。

(単位:億円)

 

2018年度実績

2019年度予想

2022年度

(Change SWCC2022)

2026年度

(VISION2026)

売上高

1,771 (1,750)

1,730 (1,800)

1,950

1,950

営業利益

66    (45)

65    (47)

70

90

経常利益

56    (35)

58    (39)

64

86

親会社株主に帰属する当期純利益

45    (26)

45    (29)

43

55

営業利益率

3.8

3.8%

3.6

4.6

配当性向

4.6

6.6%

約20%

約30%

有利子負債

466

440

400以下

300以下

DEレシオ

134%

112%

90%

50%以下

純資産

356

399

470以上

600以上

自己資本比率

28.1%

31.3%

35%以上

40%以上

 

(注)1 DEレシオは自己資本で算出している。

2 2018年度実績および2019年度予想の連結業績の( )内の数値は、「Change SWCC2022」の目標数値を記載している。

3 2019年度予想の連結業績は、2019年5月10日付で開示した「2020年3月期の連結業績予想」の数値を記載している。

 

 

④ 「Change SWCC2022」の進捗

  事業収益力強化に関しては、当事業年度は、基盤事業を中心に収益性を重視した販売戦略が浸透してきたことや成長分野向けを含む高付加価値製品の拡販に努めてきたことにより、一定の成果を得ることができた。また、コーポレート・ガバナンス体制の抜本的な見直しについても検討を重ねた結果、新たな体制へと移行(事業セグメントの変更、執行役員体制の強化、監査等委員会設置会社への移行)することとした。今後はさらに、新体制の下で、グループとしてのセールス・マーケティングや調達戦略を統合的に行っていくことや、幅広い事業分野を視野に入れた他社との提携を模索することで一層の収益力の強化に努めていく。

  新事業の創出に関しては、当事業年度は、大きく利益に寄与するまでの新事業の創出には至らなかったが、引き続き、自動車分野をはじめとして新たな技術展開を見せている市場に対して、当社グループのコア技術の活用・応用について積極的に提案していく。また、2019年度からは、素材・化学分野特化型ベンチャーキャピタルへ出資し、その運営(運営期間は2019年4月1日から最長で2031年3月31日まで)にも参画していくことを決定しており、グループ外の技術も活用しながら、新事業の創出やこれに携わる人材の育成に努めていく。

  海外事業の新展開に関しては、当事業年度は、富通集団グループとの間で進めている中国事業の再編成やベトナムにおけるワイヤハーネス事業の立ち上げに注力してきた。特に、中国における巻線事業の合理化や、中国、ベトナムを含むアジア地域でのワイヤハーネス事業の強化が、当社グループにおいても喫緊の課題であり、引き続き、海外パートナーとも密に連携しながら取り組んでいく。

  これらの進捗も踏まえて、2019年度のグループ経営方針は、次の3点とした。

コーポレート機能を強化し、新たな事業セグメント体制により、収益拡大に向けたスピード感を持った判断と施策を実施する。

・新たにROIC(投下資本利益率)経営の考え方を導入し、資本コストを意識した事業運営の推進を強化する。

・新規事業の立ち上げに向けて、新たな挑戦、新たな取り組みを推進する。

  なお、ROIC計画値は以下のとおりである。

 

2018年度実績

2019年度計画値

ROIC(%)

5.6

5.5

 

  当社グループは現行の中期経営計画「Change SWCC2022」において財務体質の健全化を財務政策の最優先方針としている。2019年度においては当該方針と両立する範囲内で将来の事業規模の維持・成長のための投資を計画しており、中長期的な視点で資本コストを上回る収益率を確保し、「SWCC VISION2026」に掲げたありたい姿に向けて最適な資本構成を追求していく。

 

 

2【事業等のリスク】

 当社グループにおいて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には、以下のようなものがある。

 いずれも、CSR委員会を中心とするリスク管理体制の下、リスクの発生回避と低減に努めているが、完全には回避または低減できないため、これらのリスクの発生により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

 

(1)主要な原材料等に係るリスク

 当社グループでは、電線・ケーブル等の銅を主要な原材料とする製品が多く、その購入価格を決定する際の指標となるロンドン金属取引所(LME)での取引価格は、国際的な需給だけでなく投機的取引の影響も受けながら常に変動している。

 こうした銅価格の変動によるリスクを最小限に抑えるため、計画的に安定調達を行うとともに、銅価格にスライドした販売価格の設定を行っているが、製品価格への転嫁が困難な場合や相場が大きく下落する局面では損失が発生し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

 また、ポリエチレン等の石油化学製品をはじめその他の原材料についても、ナフサ等の価格が大幅に変動した場合には、同様に当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

(2金利に係るリスク

 当社グループでは、銅等の原材料調達のための運転資金や設備投資のための長期安定的資金を必要としており、当連結会計年度末現在の有利子負債は466億円であり、総資産に占める割合は37.6%である。

 これに対して、棚卸資産の圧縮による運転資金の削減や保有資産の売却による資金調達、グループファイナンスによる資金運用の効率化を実施することで有利子負債の削減に取り組んでいるが、金利が大幅に上昇した場合には金融費用の負担が増加するおそれがあり、また、金利変動のリスクに対しても、金利スワップ等のヘッジ取引により一定限度まで低減しているが、過度に上昇した場合や中長期的に上昇した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(3)為替に係るリスク

 当社グループでは、海外売上高比率が9.7%であることもあり、国内での円貨建取引が中心であるが、一部の海外での取引の決済は米ドルその他の外国通貨建で行われている。

 また、海外子会社等については、現地通貨で財務諸表を作成したものを連結財務諸表作成時に円換算するため、その間の為替レートの変動により影響を受けることがある。加えて、外貨建債権債務を保有している子会社等では、期末における評価替、同負債に係る返済、利払い等において、為替レートの変動による差損益が生じることがある。

 当社グループでは、為替レートの変動に対するリスクを債権・債務の均衡化、為替予約等のヘッジ取引により一定限度まで低減しているが、過度な変動があった場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(4)品質問題に係るリスク

 当社グループでは、製品の品質に関しては、常にその特性に応じた最適な品質保持を心がけて品質管理の徹底に努めており、CSR委員会の下部組織である品質管理委員会や当社の品質管理部門を中心とする品質マネジメント体制を構築している。

 しかしながら、品質保持の取り組みの範囲を超えて重大な品質問題等が発生した場合には、当社グループの製品・役務に係る欠陥・不良等に起因する損失補償や製造物責任訴訟等の問題に発展する可能性が皆無ではなく、さらに当社グループの信用の毀損に繋がるおそれもある。

 このようなリスクに対しては、継続的な品質管理体制の強化に努めるだけでなく、賠償に備えた保険の加入なども行っているが、全ての損害を填補できるとは限らないことから、その場合には多額の費用の発生により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

 

(5)設備投資に係るリスク

 当社グループでは、電線・ケーブル等をはじめとする社会インフラ整備に必要不可欠な製品を製造しており、その品質の安定と生産性の向上のために、将来の受注動向や減価償却費の推移等を勘案しながら、計画的に新規製造設備の導入や既存設備の改良・更新を進めている。

 しかしながら、経営環境や受注動向に著しい変動が生じた場合や、既存設備の老朽化が想定を超えて進展した場合には、当初の設備投資計画の見直しを迫られるおそれもあり、その場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(6)海外事業展開に係るリスク

 当社グループの海外における事業展開やその拠点は、主に中国に集中しており、同国における法制度や行政上の取り扱い等の変更によっては、当社グループの同国内での事業活動に支障をきたすおそれがあり、また、人民元のレートの大幅な調整や、中国経済の失速は、当社グループの業績に直接的な影響を及ぼしかねない。

 このようなリスクに対しては、当社グループは、パートナー企業との連携をさらに強化するとともに、ベトナムをはじめとする中国以外の海外事業展開を推進するなどにより、リスクの低減に努めているが、事業計画を見直さなければならない程度にリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(7)コンプライアンスに係るリスク

 当社グループは、国内および海外において事業展開する上で、各規制当局より各種法制・税制に関する規制を受けるとともに、取引先等に対しては、契約上・取引上の義務を負っている。このため、当社グループは、社内規程の整備や従業員への教育等を通じて、コンプライアンスの徹底を図っているが、それにも係わらず、法令・契約等に違反する事象が生じた場合には、各規制当局から処分・制裁等を受け、また取引先等の関係者から損害賠償や取引の停止を求められるなどにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

 なお、ブラジル経済擁護行政委員会が、当社グループを含む複数の事業者グループを対象に、電力ケーブルの取引に係る競争法違反の疑いで実施している調査に対しては、これまで当社グループは違反していない旨の反論を続けてきた。本年6月11日(現地時間)に、同委員会による第1回目の審判期日が開催されたが、提出日現在において次回の期日は定められていない。

 また、移転価格税制に関するリスクについては、当社グループ内における海外子会社等との取引価格には、細心の注意を払い決定しているが、税務当局との見解に相違が生じた場合には、税負担の増加等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(8)知的財産権に係るリスク

 当社グループは、技術とノウハウに関する権利保護に注力しているが、第三者から知的財産権を侵害されるおそれがあり、また、当社グループの製品または技術に対して、第三者から権利侵害を主張されるおそれもある。自らの知的財産権を保護するためには訴訟等を通じた対応も必要となり、その場合には、多額の費用と経営資源が費やされるおそれがあり、さらに第三者の権利侵害の申し立てが認められた場合には、重要な技術が利用できなくなるなど、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(9)情報管理に係るリスク

 当社グループは、事業活動の過程で、取引先等の個人情報や当社グループおよび取引先の技術、製造、販売、研究開発等に関する機密情報を保有している。

 これらの情報へのサイバー攻撃や不正アクセス、不適切な取扱いによる情報流出等を防ぐため、情報セキュリティシステムに関する技術的な強化や情報管理に関する社内規程の整備、従業員への教育に努めているが、流出等のリスクは完全には回避できないため、その場合には、金銭的補償や信頼回復に向けた対応に多額の費用を要するなど、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

 

(10)人材の確保および育成に係るリスク

 当社グループでは、長年培ってきた技術・技能を有する人材の高齢化や流動化が進む中、今後の事業運営を確実に推進していくために、優秀な人材や事業運営上必要となる資格者の確保と育成に努めるとともに、IoT(Internet of Things)やRPA(Robotic Process Automation)の活用による省人化や業務の効率化にも注力している。

 しかしながら、これらの人材の確保等が十分に行えない場合には、組織編制上の制約や事業上の機会の逸失に繋がるおそれもあり、その場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(11)災害等に係るリスク

 当社グループでは、大規模な地震・台風・洪水等の自然災害(気候変動による異常気象の影響を含みます。)や火災等の事故の発生による製造拠点の操業停止や物流機能の麻痺等に備え、事前に想定されるリスクに対して円滑な初期対応を講じるために、サプライチェーンを含めたBCP(事業継続計画)を策定している。

 しかしながら、電力不足・物流の停滞などにより社会インフラ機能そのものの低下が長期化するなど、計画的な生産活動に大幅な制限が生じた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりである。

①財政状態の状況

 連結会計年度末における資産合計は1,241億65百万円で、前連結会計年度末より6億47百万円増加している。その内訳としては、流動資産の増加32億2百万円、固定資産の減少25億54百万円である。流動資産の増加は、主に受取手形及び売掛金が増加したことによるものである。固定資産の減少は、主に退職給付に係る資産が減少したことによるものである。

 当連結会計年度末における負債合計は885億37百万円で、前連結会計年度末より15億3百万円減少している。負債の減少の主な要因は、当連結会計年度末の有利子負債(短期借入金、短期リース債務、長期借入金および長期リース債務の合計)が466億57百万円となり、前連結会計年度末より23億36百万円の減少となったことによるものである。

 当連結会計年度末における純資産の合計は356億28百万円で、前連結会計年度末より21億51百万円増加している。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益45億69百万円を計上した一方で、その他の包括利益累計額合計が23億34百万円減少したこと等によるものである。

 当社グループは現行の中期経営計画「Change SWCC2022」において財務体質の健全化を財政政策の優先方針としている。当連結会計年度末の有利子負債は前述のとおり前連結会計年度末より23億36百万円減少の466億57百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度比で1.5ポイント増の28.1%となった。その結果、DEレシオは当連結会計期間末で134%となり、前連結会計年度比で15ポイントの改善となった。

 なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っている。

②経営成績の状況

  当連結会計年度におけるわが国経済は、国内企業の収益改善が継続的に進むなかで設備投資など内需が堅調に推移したが、米中の貿易摩擦や中国の景気減速等の影響により輸出においては一部に弱さが見られた。

  電線業界においては、建設・電販向けや自動車向けが堅調に推移したことから、電線全体の需要は前年度対比で微増となった。

  このような状況のもと当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は1,771億74百万円(前年度比5.3%増)営業利益は66億40百万円(前年度比5.8%増)経常利益は56億3百万円(前年度比14.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は45億69百万円(前年度比22.3%増)となった。

  セグメント別の業績は、次のとおりである。

 

(電線線材事業)

  電線は建設・電販向け需要の取り込みと高機能線材需要が増加したことにより増収となった。一方、利益面では建設・電販向けの電線販売における価格競争が依然として厳しい状況で推移したため、売上高は833億39百万円(前年度比6.7%増)営業利益は15億65百万円(前年度比30.6%減)となった。

 

(電力システム事業)

  国内の電力インフラ需要は、老朽化更新や再生可能エネルギー向け需要が堅調に推移し、高付加価値製品の受注を促進したことから、売上高は288億84百万円(前年度比9.6%増)営業利益は25億42百万円(前年度比45.1%増)となった。

 

(巻線事業)

  電装品向けは堅調に推移したが、国内インフラ向けや電子部品向け等の需要が減少したことと、さらに中国連結子会社を連結対象外とした影響で減収となった。売上高は201億54百万円(前年度比5.0%減)営業利益は2億5百万円(前年度比16.6%減)となった。

 

(コミュニケーションシステム事業)

  海外向け光ファイバ需要が第4四半期に入り減速したが、国内では通信ケーブルが堅調に推移し高付加価値の付属品等の受注が増加したことから増収となった。一方、利益面では海外向け光ファイバにおける価格の大幅下落と在庫評価減の影響から減益となり、売上高は217億30百万円(前年度比4.5%増)営業利益は12億61百万円(前年度比8.4%減)となった。

(デバイス事業)

  建築用免震装置や産業用制振・制音デバイスの需要が堅調に推移し、高付加価値製品の取り込みにより、売上高は212億7百万円(前年度比5.0%増)営業利益は15億71百万円(前年度比38.4%増)となった。

(その他)

  売上高は18億56百万円(前年度比19.7%増)営業損失は5億43百万円(前年度は5億2百万円の営業損失)となった。

(注) 上記、各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高または振替高を含めていない。

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金および現金同等物(以下、「資金」という。)は、47億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億17百万円増加している。

 中期経営計画における財務政策の方針に基づき、当連結会計年度において営業活動により生み出されたキャッシュ・フロー69億1百万円(うち減価償却費30億11百万円)を借入金の返済(23億29百万円)に優先的に配分している。

 一方で、当該方針と両立する範囲内で、将来の事業規模の維持・成長のための投資(固定資産の取得28億1百万円および関係会社出資金の払込5億72百万円)や株主への配当(1億49百万円)を実施している。

④生産、受注および販売の状況

 当社および連結子会社の生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も含まれるため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。

 このため、生産、受注および販売の状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連付けて示している。なお、主要な販売先については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (セグメント情報等) 関連情報 3 主要な顧客ごとの情報」に記載のとおりである。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。

①重要な会計方針および見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されている。当該連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、損益の計上金額ならびに関連する偶発資産および偶発債務の開示に影響する見積りと判断を行うことが必要となる。当社は、収益の認識、貸倒債権、棚卸資産、投資、法人税等に関する見積りおよび判断に対して、継続して評価を行っている。当社では、過去の実績および状況に応じて合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行い、その結果は資産および負債の簿価について判断を下すための基礎となるが、不確実性を内在しており実際の結果と異なる場合がある。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度における経営成績については、新たな中期経営計画「Change SWCC2022」の施策である事業収益力強化、新事業の創出、海外事業の新展開を推進したことで、増収増益となった。

 売上高は、国内における建設・電販向け電線市場は価格競争が依然として厳しい状況であり、海外向け光ファイバ需要は第4四半期から急減速したが、エネルギー・インフラ関連が堅調に推移したことから増収となった。

 営業利益や経常利益は、エネルギー・インフラ関連需要が堅調に推移し、電力システム事業やデバイス事業の免制振事業で増益となった。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が改善したことに加え、前年度に発生した製品改修費用引当金繰入額がなくなったことにより増益となった。

③経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりである。

 

 

④経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、2018年5月11日にビジョン「SWCC VISION2026」と2018年度からの新たな中期経営計画「Change SWCC2022」を公表した。「Change SWCC2022」の主な施策は、事業収益力の強化、新事業の創出、海外事業の新展開とし、構造改革を継続しながら新事業や海外事業での成長戦略を進め、グループの企業価値向上を図っていく。

 なお、「Change SWCC2022」の計画数値については、利益計画を前倒しで達成したことから現在見直しを行っており、見直し後の数値は、2020年3月期第2四半期決算発表と合わせて公表する予定としている。

⑤経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載のとおりである。

資本の財源および資金の流動性について

 当社グループの資金需要については、運転資金需要は銅をはじめとする原材料の調達が、投資資金需要は製造設備の合理化投資や成長分野向けの設備投資等が主なものとなる。なお、運転資金に対しては、売掛債権回収の早期化や在庫の削減等による効率化を図っている。また、資金調達においては、資金需要の動向や経済情勢および金融環境等を勘案しながら対応しているが、グループ間で資金を融通するグループファイナンスを活用することにより調達資金の効率的な運用にも努めている。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項なし。

なお、当社は、2019年6月18日開催の取締役会において、古河電気工業㈱との間で、建設・電販市場向け汎用電線事業に関する業務提携、および販売部門を統合して共同出資による販売会社の新規設立に関して基本合意することについて決議し、同日付で同社およびその他の当事会社と業務提携基本合意書を締結した。

その概要は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりである。

5【研究開発活動】

 当社グループは、電線線材事業、電力システム事業、巻線事業、コミュニケーションシステム事業、デバイス事業、その他新しい分野における新技術・新製品の研究開発を各事業子会社の技術開発部門が中心となって積極的に推進している。

 当連結会計年度における、当社グループの研究開発費は総額1,119百万円であり、その成果は次のとおりである。

 

 (電線線材事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱および冨士電線㈱を中心に進められている。

当社には耐燃性架橋ポリエチレン電線としてEM-TNCがあるが、配電盤や制御盤の小型化に対応し盤内配線の作業性を向上させるためEM-TNCの柔軟性を向上させた新製品(LTNC®)を開発した。

2017年に埼玉県で発生した大規模倉庫火災を受け国土交通省は耐熱電線端末部の耐熱性能強化を義務付けた。これに対応して耐熱電線に耐火性能を付加した「小勢力回路用耐火ケーブル(EM-JSH®)」を業界で初めてリリースし納入を開始した。

線材分野では、高機能無酸素銅を(MiDIPTM OFC/ミディップ オーエフシー)ブランドとして展開し、精密加工部品や成型加工品などの商品開発を進めている。また、銅銀合金線では、高屈曲特性を生かして医療関連、精密測定機器等へ適用すべく開発を継続している。

当事業に係る研究開発費は21百万円である。

 

 (電力システム事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱を中心に進められている。

当社グループでは、小型・軽量・環境に配慮した電力用機器製品を“SICONEX®(サイコネックス)”ブランドとして展開している。当社の66/77kV・154kV用の気中終端およびブッシングのラインナップであるダイレクトモールド製品は、これまでの磁器がい管構造に代わり、固体絶縁構造(ポリマー樹脂一体構造)を適用して軽量化・耐震性・環境調和・省力化を実現しており、電力製品の標準規格である電気規格調査会規格(JEC規格)おいて規格化されることになった。

66/77kV・154kV 機器用コンパクト製品およびスマート製品は、変電所のコストダウン・工事の省力化に優れることから電力会社の変電所に適用が拡大している。特に66/77kV機器用コンパクト製品は電力会社の変圧器標準化にともない標準部品として採用されることになった。さらに、老朽化が進む275kVクラスの超高圧変電所のリニューアルに対応するため機器接続用275kVスマート終端接続部をラインナップに加え、このほど、国内電力設備に初適用された。

当事業に係る研究開発費は248百万円である。

 

 (巻線事業)

当事業における研究開発活動は、㈱ユニマックを中心に進められている。

自動車関連分野では、高耐熱性および高効率・高信頼性巻線が求められており、当社ではポリイミド樹脂に関する技術やその材料に適合した製造技術の確立により、耐熱性に優れた高電圧仕様のエナメル平角線を量産し、拡販・増産につながっている。現在は、さらなる高電圧化および信頼性確保のための材料開発を進めている。

当事業に係る研究開発費は3百万円である。

 

 

 (コミュニケーションシステム事業)

事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱および冨士電線㈱を中心に進められている。

光通信分野では、2020年頃に開始が想定される第5世代移動無線通信システムの無線基地局用に使用される光通信ケーブルおよび光応用製品の開発を進めている。

LANケーブル市場では、クラウドサービスやデータセンター需要増に伴い、伝送速度の高速化要求が年々高まる中、超高速化に対応すべく25/40ギガビット伝送方式のケーブルが米国TIAで新たに規格制定された。それに対応した新規格ケーブルの開発を進めている。

一方、主に工場内で使用される産業用ネットワーク市場についてもオフィス環境と同様な伝送方式(イーサネットシステム)の採用が増加しており、耐摩耗性に優れたノンハロゲンウレタンシース品、125℃耐熱製品、10ギガビット伝送対応製品をラインナップした。さらに産業用に対応した防水・防塵性の高い「丸型ねじ込み式コネクタ(M12コネクタ)」付きケーブルや伸縮自在なコードの開発を行っている。

当事業に係る研究開発費は39百万円である。

 

(デバイス事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱および㈱ダイジを中心に進められている。

制振・制音事業では、人手不足等を背景に鉄道騒音対策用制振材の施工性向上に対するニーズが高まっており、2019年度より市場投入すべく開発に着手した。建築分野は、首都圏を中心に増加している音響施設(各種ホール、スタジオ、シネコン)向け防振装置の開発を進めている。

情報機器では、複写機・プリンター・軽印刷機に使用される様々な部品の開発を継続し、省エネルギー・環境対応・超高画質化など年々高まる顧客要求に応える製品の市場投入を継続している。さらに当社独自のスポンジローラを開発し量産を開始した。

ワイヤハーネス関係では、自動車用ハンドルヒーターやシートヒーターの端末加工方法を改良し、販売を伸ばしている。また、半導体製造装置やロボット等の産業機器向けや高齢化社会に対応した医療・介護向け等の成長が期待される分野の製品(アシスト機器など)の開発も進めている。

当事業に係る研究開発費は121百万円である。

 

 (その他)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱を中心に進められている。

自動車電線・応用製品では、環境負荷低減のため自動車の軽量化が進められており、当社グループでは、アルミ合金線技術を活かした細径・高強度電線の開発を進めてきており、顧客が要求する高い機械的強度を確保した細径電線の製品化に成功し、2018年度から納入を開始した。また、リッツ線とそのコイル化技術を用いて、非接触給電システム用部材の開発を行っており、コイル単体で形状保持可能なハイブリット巻きコイルを開発した。非接触給電技術は、産業分野での採用も期待されており、今後無人搬送車用、ロボット等への適用拡大が期待される。

超電導応用製品では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)により公募・採択された「プラント内利用のための低コスト型三相同軸超電導ケーブルシステムの開発」で、2018年度末には国際規格であるCIGRE TB 538準拠の形式試験を実施し、2019年度からは実証試験フェーズへ移行することが決定した。本件は、三相同軸型ケーブル構造の採用とプラント内の冷熱ラインを冷却に使用し、システム全体のコスト低減および省エネルギー効果を実証するものである。

これらの事業に係る研究開発費は685百万円である。