第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社グループが判断したものである。

 

 (1)会社の経営の基本方針

  当社グループは、経営理念である「信頼の輪を広げます」のもと、信頼される製品でインフラを支え、社会の安心安全に貢献する会社であり続けることを使命としている。そして、長年積み上げてきた技術とサービスでお客様のニーズを掘り起こし、付加価値を創造する企業体として成長し続けることをビジョンとして掲げている。

  当社グループは、1936年の創業から90周年を迎える2026年に向けた昭和電線グループの経営構想である「SWCC VISION2026」を策定しており、変わりゆく時代においてもその使命を忘れることなく、「迅速」「情熱」「考動」でお客様と社会に一層貢献していくことを方針としている。

 

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 (2)中長期的な会社の経営戦略

  当社グループは、2019年11月に中期経営計画「Change SWCC2022」を見直し、ローリングプラン(2019)を策定した。その中で、連結業績、計数目標を見直し、2022年度目標を売上高2,000億円、営業利益100億円とした。まずは建設、電力、通信の基盤事業の生産性向上や事業見直しにより収益力を強化し、モビリティ、インダストリ(医療、工場自動化)の分野を含めたワイヤリング事業などさらなる成長を生み出す新規事業への投資、海外の製造拠点への移転等を加速させていくことを戦略として掲げた。この目標達成のための施策を下記に示す。

 

①基盤事業の収益力強化

・事業構造改革…国内生産体制の強靭化による収益力改善と安定製造

・事業収益性評価…ROIC経営導入による投下資本効率改善、低採算事業の対処と不採算事業の撤退

・グループ調達による集中購買と開発購買の推進

・AI、IoTを活用したスマートファクトリー構想

 

②新規事業の創出

・グループ横断の製販技プロジェクトチームによる新規事業の創出

・コアコンピタンス・要素技術の創出とニーズ発掘による新製品開発

・メーカー系IT企業で培ったIT技術によるDXソリューションの推進

 

③海外事業の新展開

・ワイヤハーネス・電子ワイヤ事業および銅・巻線事業の拡大

・海外ガバナンス体制強化

 

  グループを挙げてこの目標を達成する体制を構築するため、2019年度より従来の製品別のセグメント体制から市場分野別のセグメント体制に変更した。これは当社グループが攻めるべき市場を明らかにしてステークホルダーの皆様にわかりやすい分類とすること、ガバナンスを強化してグループの力を集約させることが目的である。また、これに合わせて監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行を行い、取締役会と業務執行を行う執行役員会の役割と権限を明確にした。本変革の特徴は、各セグメントの担当執行役員にグループ会社各社社長以上の権限を与え、より迅速な経営判断ができる体制の構築をしたことである。また、新たに投下資本利益率(ROIC)を連結業績、計数目標に加え、資本コストを意識した事業運営を推進することとした。これにより、継続的な構造改革を行うとともに新規事業創出に資源を集中し、企業価値向上を加速させることが可能となる。

  また、当社グループはSDGsへの対応にも積極的に取り組んでいる。これまで行ってきた環境改善活動に資するボランタリープラン(5か年計画)はすでに第6次を重ね、CO2排出量の削減や資源ごみの有効活用などで環境改善活動に貢献してきた。本年は、さらに2050年の地球温暖化防止、資源有効活用、水資源の有効活用についての長期ビジョンと達成に向けた2030年までの中期目標も策定し、環境負荷ゼロを目指して活動を開始した。

 

 (3)経営環境及び対処すべき課題

  当社グループを取り巻く経営環境としては、基盤事業である国内インフラ需要は国土強靭化やインフラ更新による需要が継続すると見込まれている。また、産業機器や環境配慮型自動車などの需要においても中長期的には拡大することが見込まれている。しかし、本年に入り、新型コロナウイルス感染症が全世界で拡大し、その感染拡大防止策やインバウンド需要の消失により国内経済にも影響が及んでいる。当社グループの基盤事業である建設、電力、通信事業においても、建設現場の閉鎖やサプライチェーンの乱れなどによる影響が発生しており、これは当面継続するものと想定している。

しかし、このような状況にあっても、当社グループは2019年度に見直した中期経営計画を踏襲し、積極的に事業構造改革、新規事業の推進を実行していく。

また、本期間中は財務体質の改善を推進する過程であるとの認識から、有利子負債削減および自己資本比率の改善を優先課題としている。設備投資については、国内生産体制の強靭化、新製品開発、海外拠点拡大投資等の中期経営計画の施策を着実に進める。

  なお、中期経営計画「Change SWCC2022」ローリングプラン(2019)連結業績、計数目標は以下のとおりである。

(単位:億円)

 

2019年度実績

2020年度予想

2022年度目標

売上高

1,711

1,620

2,000

営業利益

86

60

100

経常利益

78

55

95

親会社株主に帰属する

当期純利益

54

40

66

営業利益率

5.0%

3.7%

5%以上

配当性向

8.2%

11.2%

約20%

有利子負債

423

385

380以下

DEレシオ

107%

90%

70%以下

純資産

399

435

550以上

自己資本比率

32.3%

35.0%

38%以上

(注)DEレシオは自己資本で算出している。

 

各セグメントの状況および課題については以下のとおりである。

① エネルギー・インフラ事業

  エネルギー・インフラ事業は、国内の電力インフラ、建設関連向けの電線・ケーブル・免制震部材が主体の事業となっている。2019年度は、国内インフラ強化のための国土強靭化対策、首都圏再開発、再生可能エネルギーの幹線連系等の需要により堅調に推移した。

  電力インフラは国内の国土強靭化対策により引き続き需要が見込まれるため、工事の人手不足解消が課題であり、部品開発や工事の自動化、省人化を図りながら需要の取り込みを継続して進めていく。

  建設関連向けの電線・ケーブルの需要は、足元では新型コロナウイルス感染拡大防止対策等による一時的な建設工事延期に伴い、一部先送りされている。また、中長期的には人口減に伴う新設住宅着工戸数の減少等により建設需要の縮小は避けられないと予想し、同事業における販売業務の効率化と顧客サービス向上を目的に、古河電気工業㈱との共同販社であるSFCC㈱を設立した。

  今後、さらなる業務改善による収益力強化が課題である。

 

 

② 通信・産業用デバイス事業

  通信・産業用デバイス事業は、国内やアジア圏向けの通信ケーブル、家電や産業機器向けのワイヤハーネス、複写機向け精密デバイスが主体の事業となっている。2019年度は、海外向け光ファイバ需要は減少したが、国内の建設関連向けやデータセンター向け通信ケーブルは堅調に推移した。

  2020年度は、働き方改革や在宅勤務の増加によるトラフィック数の増加、国内の5Gサービス拡大などの国内の需要増大が見込まれていることから、この需要取り込みに引き続き注力する。

  ワイヤハーネスは、需要増加が見込まれる海外での生産体制拡大に向け、中国浙江省嘉興市に新たな工場を建設し、同市にある嘉興昭和機電有限公司を拡張移転する計画を進めている。

  精密デバイスは、今後のサプライチェーンの変化に対応するため、昭和電線ケーブルシステム㈱海老名工場にある製品開発部門と一部生産ラインを同社相模原事業所に移転し、製品開発力の強化を図ると共に、海外向けの生産ラインをベトナムにある同社の100%子会社であるSWCC SHOWA(VIETNAM) CO.,LTD.に移管し、地産地消をさらに加速させる。なお、2022年3月末までに昭和電線ケーブルシステム㈱海老名工場の売却を予定している。

 

③ 電装・コンポーネンツ事業

  電装・コンポーネンツ事業は、電線導体用の線材や汎用モータ用の巻線等の一般汎用製品と、無酸素銅MiDIP®およびヒータ用銅合金線等の高品位線材や高出力モータ用の高機能巻線等の高機能製品が主体の事業となっている。2019年度は、一般汎用巻線は電気機械向けを中心に需要が低迷したが、自動車向けの無酸素銅MiDIP®およびヒータ用銅合金線、車載向け巻線の需要が堅調であった。

  今後、環境配慮型自動車の需要が益々高まってくることを見据え、無酸素銅MiDIP®の生産量を2022年度までに50%増産の製造体制構築を進めている。さらには、ヒータ用銅合金線の用途拡大に向けた開発、製造体制の強化を推進する。

  コロナ禍による市場の低迷の影響が顕著に出る事業であることから、今後の市場の動きに注意していく。

 

④ その他事業(新規事業を含む)

  その他事業に含めている新規事業では、モビリティ、インダストリ、ITを軸に新たな事業創出に向けて取り組みを推進している。モビリティでは、CASE、MaaS関連の車載向け製品へ注力しており、インダストリでは、新型コロナウイルス禍で加速することが見込まれる遠隔医療やスマートワーク化へのシステム、ネットワーク機器需要の取り込みを推進している。

 

 

 (4)2020年度経営方針

  2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大による事業への影響を免れない状況となっている。しかし、当社グループでは、新型コロナウイルス禍による非常事態を通して経営と業務を見直し、経営体質を強化して経済の立ち上がりに備える時期ととらえ、市場、環境の変化に応じた様々な施策を推進している。その観点から、2020年度のグループ経営方針は次の4点としている。

・コーポレートと事業セグメントが一体となり、柔軟性やスピード感ある判断と施策の実施

・業務革新による基盤事業の収益力強化

・ROIC経営の考え方の浸透、資本コストを意識した事業改革の推進強化

・新規事業の立上げの取り組みを堅持、発展の道筋をつける

 なお、ROICの2019年度実績値、2020年度計画値は以下のとおりとなっている。

 

2019年度実績

2020年度計画値

ROIC

7.3%

5.1%

 

 

2【事業等のリスク】

 当社グループにおいて、リスクとは、経営の目的の達成を阻害する潜在的な要因であると定義している。

 また、リスクを適切に管理することは、経営上極めて重要な課題であると認識していることから、当社グループはリスクマネジメント委員会を中心とするリスクマネジメント体制を整備している。具体的な本委員会の構成としては、グループCEOを委員長、当社グループの取締役および当社の執行役員を委員としている。グループCEOのリスクマネジメント統括のもと、本委員会にて、リスクマネジメントの対策、計画、実施状況および年間を通したマネジメントサイクルの結果を、適時に取締役会へ報告している。

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 リスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主要リスクであるか否かについては、リスクマネジメント委員会にてリスクを識別、分析、評価をして判断している。具体的には、グループ各社から挙げられたリスクを定量的に数値化するなどの分析を行い、その上で当社グループとして重要な影響を及ぼす可能性があるリスクを主要なリスクとして評価している。評価した主要リスクとしては、以下のようなものがある。また、主要リスクについてはグループのリスク管理責任者を明確にしている。さらに、本委員会の指示のもと、担当部門が規則、ガイドラインの制定および教育研修などを行うと同時に、事業の継続発展を確保するためにリスク管理レベルの向上に必要な体制を整備している。

 なお、本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものである。

 

(1)感染症に係るリスク

 新型コロナウイルスの感染拡大が続いているが、当社グループでは、従業員の安全確保と社内外の感染抑止を最優先に取り組んでいる。また、事業への影響を最小限に抑えるべく、グループCEO指揮のもと新型コロナウイルス緊急対策本部を設置し、情報収集と必要な対応を行っている。しかしながら、今後の感染拡大の経過によっては、市場の縮小、サプライチェーンの寸断や当社グループ、取引先の操業停止や事業拠点の閉鎖などの事業活動の制限等による影響により、当社グループの財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。

(2)主要な原材料等に係るリスク

 当社グループでは、電線・ケーブル等の銅を主要な原材料とする製品が多く、その購入価格を決定する際の指標となるロンドン金属取引所(LME)での取引価格は、国際的な需給だけでなく投機的取引の影響も受けながら常に変動している。

  こうした銅価格の変動によるリスクを最小限に抑えるため、計画的に安定調達を行うとともに、銅価格にスライドした販売価格の設定を行っている。また、当社グループは先物取引を利用したヘッジ等により価格変動による影響を最小限にするよう努めているが、製品価格への転嫁が困難な場合や相場が大きく下落する局面では損失が発生し、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性がある。

  また、ポリエチレン等の石油化学製品をはじめその他の原材料についても、ナフサ等の価格が大幅に変動する可能性があり、製品の売値への転嫁等により影響を最小限にするよう努めているが、同様に当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性がある。

 

(3)金利に係るリスク

 当社グループでは、銅等の原材料調達のための運転資金や設備投資のための長期安定的資金を必要としており、当事業年度末現在の有利子負債は423億円であり、総資産に占める割合は34.5%である。

 これに対して、棚卸資産の圧縮による運転資金の削減や保有資産の売却による資金調達、グループファイナンスによる資金運用の効率化を実施することで有利子負債の削減に取り組んでいるが、金利が大幅に上昇した場合には金融費用の負担が増加するおそれがあり、また、金利変動のリスクに対しても、金利スワップ等のヘッジ取引により一定限度まで低減しているが、過度に上昇した場合や中長期的に上昇した場合には、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性がある。

(4)為替に係るリスク

  当社グループでは、海外売上高比率が8.2%であることもあり、国内での円貨建取引が中心であるが、一部の海外での取引の決済は米ドルその他の外国通貨建で行われている。

  また、海外子会社等については、現地通貨で財務諸表を作成したものを連結財務諸表作成時に円換算するため、その間の為替レートの変動により影響を受けることがある。加えて、外貨建債権債務を保有している子会社等では、期末における評価替、同負債に係る返済、利払い等において、為替レートの変動による差損益が生じることがある。

  当社グループでは、為替レートの変動に対するリスクを債権・債務の均衡化、為替予約等のヘッジ取引により一定限度まで低減しているが、過度な変動があった場合には、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性がある。

(5)品質問題に係るリスク

 当社グループでは、製品の品質に関しては、常にその特性に応じた最適な品質保持を心がけて品質管理の徹底に努めており、当社の品質管理部門を中心とする品質マネジメント体制を構築している。

  しかしながら、品質保持の取り組みの範囲を超えて重大な品質問題等が発生した場合には、当社グループの製品・役務に係る欠陥・不良等に起因する損失補償や製造物責任訴訟等の問題に発展する可能性が皆無ではなく、さらに当社グループの信用の毀損に繋がるおそれもある。

  このようなリスクに対しては、継続的な品質管理体制の強化に努めるだけでなく、賠償に備えた保険の加入なども行っているが、全ての損害を填補できるとは限らないことから、その場合には多額の費用の発生により当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性がある。

(6)設備投資に係るリスク

 当社グループでは、電線・ケーブル等をはじめとする社会インフラ整備に必要不可欠な製品を製造しており、その品質の安定と生産性の向上のために、将来の受注動向や減価償却費の推移等を勘案しながら、計画的に新規製造設備の導入や既存設備の改良・更新を進めている。

  しかしながら、経営環境や受注動向に著しい変動が生じた場合や、既存設備の老朽化が想定を超えて進展した場合には、当初の設備投資計画の見直しを迫られるおそれもあり、その場合には、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性がある。

(7)海外事業展開に係るリスク

 当社グループの海外における事業展開やその拠点は、主に中国に集中しており、同国における法制度や行政上の取り扱い等の変更によっては、当社グループの同国内での事業活動に支障をきたすおそれがあり、また、人民元のレートの大幅な調整や、中国経済の失速は、当社グループの業績に直接的な影響を及ぼしかねない。

  このようなリスクに対しては、当社グループは、パートナー企業との連携をさらに強化するとともに、ベトナムをはじめとする中国以外の海外事業展開を推進するなどにより、リスクの低減に努めているが、事業計画を見直さなければならない程度にリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性がある。

 

(8)コンプライアンスに係るリスク

 当社グループは、国内および海外において事業展開する上で、各規制当局より各種法制・税制に関する規制を受けるとともに、取引先等に対しては、契約上・取引上の義務を負っている。このため、当社グループは、社内規程の整備や従業員への教育等を通じて、コンプライアンスの徹底を図っているが、それにも係わらず、法令・契約等に違反する事象が生じた場合には、各規制当局から処分・制裁等を受け、また取引先等の関係者から損害賠償や取引の停止を求められるなどにより、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性がある。

  また、移転価格税制に関するリスクについては、当社グループ内における海外子会社等との取引価格には、細心の注意を払い決定しているが、税務当局との見解に相違が生じた場合には、税負担の増加等により、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性がある。

  なお、ブラジルの競争当局が、当社グループを含む複数の事業者グループを対象に、高圧電力ケーブルの取引に係る競争法違反の疑いで調査を行っていたが、本年4月15日にブラジル競争当局より、制裁金支払いを命ずる決定を受けた。制裁金の金額は、旧㈱エクシム(現昭和電線ケーブルシステム㈱)に対して420,955.66ブラジルレアル(約8百万円)および同社の元従業員1名に対して100,000.00ブラジルレアル(約2百万円)となっており、業績への影響は軽微と判断している。本決定はこれまでの当社グループの主張に沿わないものであり、当局の事実認定や法令の適用についても疑義があり得ると考えているが、提訴した場合の費用など、経済合理性等の観点も含めて今後適切に対応する。

(9)知的財産権に係るリスク

 当社グループは、技術とノウハウに関する権利保護に注力しているが、第三者から知的財産権を侵害されるおそれがあり、また、当社グループの製品または技術に対して、第三者から権利侵害を主張されるおそれもある。自らの知的財産権を保護するためには訴訟等を通じた対応も必要となり、その場合には、多額の費用と経営資源が費やされるおそれがあり、さらに第三者の権利侵害の申し立てが認められた場合には、重要な技術が利用できなくなるなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性がある。

(10)情報管理に係るリスク

 当社グループは、事業活動の過程で、取引先等の個人情報や当社グループおよび取引先の技術、製造、販売、研究開発等に関する機密情報を保有している。

  これらの情報へのサイバー攻撃や不正アクセス、不適切な取扱いによる情報流出等を防ぐため、情報セキュリティシステムに関する技術的な強化や情報管理に関する社内規程の整備、従業員への教育に努めているが、流出等のリスクは完全には回避できないため、その場合には、金銭的補償や信頼回復に向けた対応に多額の費用を要するなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性がある。

(11)人材の確保および育成に係るリスク

 当社グループでは、長年培ってきた技術・技能を有する人材の高齢化や流動化が進む中、今後の事業運営を確実に推進していくために、優秀な人材や事業運営上必要となる資格者の確保と育成に努めるとともに、IoT(Internet of Things)やRPA(Robotic Process Automation)の活用による省人化や業務の効率化にも注力している。

  しかしながら、これらの人材の確保等が十分に行えない場合には、組織編制上の制約や事業上の機会の逸失に繋がるおそれもあり、その場合には、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性がある。

(12)災害等に係るリスク

  当社グループでは、大規模な地震・台風・洪水等の自然災害(気候変動による異常気象の影響を含む。)や火災等の事故の発生による製造拠点の操業停止や物流機能の麻痺等に備え、事前に想定されるリスクに対して円滑な初期対応を講じるために、サプライチェーンを含めたBCP(事業継続計画)を策定するとともに、製造拠点ではインフラ設備の強靭化投資を計画的に実施し、リスク低減に努めている。

  しかしながら、電力不足・物流の停滞などにより社会インフラ機能そのものの低下が長期化するなど、計画的な生産活動に大幅な制限が生じた場合には、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性がある。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりである。

①財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産合計は1,225億21百万円で、前連結会計年度末より16億44百万円減少している。その内訳としては、流動資産の減少23億97百万円、固定資産の増加7億53百万円である。流動資産の減少は、主に受取手形及び売掛金が減少したことによるものである。固定資産の増加は、主に有形固定資産が増加したことによるものである。

 当連結会計年度末における負債合計は825億39百万円で、前連結会計年度末より59億97百万円減少している。その内訳としては、流動負債の減少59億16百万円、固定負債の減少80百万円である。流動負債の減少は、主に短期借入金の返済によるものである。固定負債の減少は、主に長期借入金の返済によるものである。

 当連結会計年度末における純資産の合計は399億81百万円で、前連結会計年度末より43億53百万円増加している。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益54億65百万円を計上した一方で、その他の包括利益累計額合計が7億85百万円減少したこと等によるものである。

 当社グループは2019年11月に中期経営計画「Change SWCC2022」ローリングプラン(2019)を策定し、その中で財務体質の健全化を財政政策の優先方針としている。当連結会計年度末の有利子負債は前連結会計年度末より43億54百万円減少423億3百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度比で4.2ポイント増の32.3%となった。その結果、DEレシオは当連結会計期間末で107%となり、前連結会計年度比で27ポイントの改善となった。

②経営成績の状況

   当連結会計年度におけるわが国経済は、第3四半期までの景気は輸出が引き続き弱含むなか、内需に支えられ緩やかな回復基調で推移したが、第4四半期になり新型コロナウイルス感染が全世界で拡大し、その感染拡大防止策やインバウンド需要の消失による急激な需要の落ち込みが見られるようになり、経済への影響が懸念される状況となった。

   電線業界においては、建設・電販向けや自動車向けが堅調に推移したものの、電気機械向け等が減少したことから、電線全体の需要は前年度並みとなった。

  このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は1,711億42百万円(前年度比3.4%減)営業利益は86億9百万円(前年度比29.7%増)経常利益は78億64百万円(前年度比40.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は54億65百万円(前年度比19.6%増)となった。

  セグメント別の業績は、次のとおりである。

  なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分をそれぞれ変更しており、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度のセグメント情報を変更後の区分に基づき作成し、前連結会計年度比を算出している。

 

(エネルギー・インフラ事業)

  国内インフラは、首都圏再開発等による建設関連向けの需要が当第3四半期まで高水準であったこと、また電力インフラは国土強靭化対策、再生可能エネルギー向け需要が堅調に推移したことから、売上高は885億10百万円(前年度比2.1%増)営業利益は61億21百万円(前年度比42.4%増)となった。

 

(通信・産業用デバイス事業)

  海外向け光ファイバ需要の減少により売上高は減少したが、堅調に推移した国内建設関連向けやデータセンター向け通信ケーブル需要へ生産体制をシフトし、収益を改善した。その結果、売上高は304億86百万円(前年度比6.8%減)営業利益は25億14百万円(前年度比38.7%増)となった。

  なお、ワイヤハーネスでは、国内生産拠点を海外へ移管することを決定し、今後の事業拡大に向けた準備を進めた。複写機用の精密デバイスでは、サプライチェーンの見直しや需要減少が見込まれることから国内外の拠点再編を決定し、始動した。

 

(電装・コンポーネンツ事業)

  電装品向け等の高品位線材等は堅調に推移したが、電気機械向け等の汎用巻線の需要が低迷したことにより、売上高は471億43百万円(前年度比9.8%減)営業利益は5億68百万円(前年度比30.9%減)となった。

  なお、巻線事業では国内製造会社の統合を決定し、2020年4月1日に昭和電線ユニマック㈱に集約した。今後も事業構造改革を行い収益率改善に向けた施策を継続実施する。

 

(その他)

  新規事業はシステムソリューションの売上高が減少し収益が悪化したことで、売上高は50億1百万円(前年度比9.7%減)営業利益は75百万円(前年度比58.2%減)となった。

(注) 上記、各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高または振替高を含めていない。

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、42億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億95百万円減少している。

 中期経営計画における財務政策の方針に基づき、当連結会計年度において営業活動より生み出されたキャッシュ・フロー86億96百万円(うち減価償却費30億99百万円)を、将来の事業規模の維持・成長のための投資(固定資産取得36億57百万円および関係会社出資金の払込11億53百万円)や株主への配当(2億8百万円)、借入金の返済(43億2百万円)に配分している。

④生産、受注および販売の状況

 当社および連結子会社の生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も含まれるため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。

 このため、生産、受注および販売の状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連付けて示している。なお、主要な販売先については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (セグメント情報等) 関連情報 3 主要な顧客ごとの情報」に記載のとおりである。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。

①重要な会計方針および見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されている。当該連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、損益の計上金額ならびに関連する偶発資産および偶発債務の開示に影響する見積りを用いている。過去の実績や見積り時点で取得可能な情報に基づき合理的と考えられる様々な要因を考慮し見積りを行っているが、当該見積りに基づく計上金額や開示額は実際の結果と異なる場合がある。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりである。

 特に以下の項目については、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。

 

(固定資産の減損処理)

 当社グループは、減損の兆候がある資産または資産グループについて、回収可能価額を見積り、減損の判定を行っている。回収可能価額は、使用価値または正味売却価額のいずれか高い方により測定している。回収可能価額は、事業計画や市場環境の変化により、その見積り金額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、追加の減損処理が必要となる可能性がある。

 

(繰延税金資産)

 当社グループは、予算等の損益計画に基づき将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断される将来減算一時差異および税務上の繰越欠損金について繰延税金資産を計上している。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、課税所得が減少した場合、繰延税金資産が取り崩され、税金費用が計上される可能性がある。

 

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりである。

 

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度における経営成績については、国内インフラ関連需要は堅調だったものの、海外向け光ファイバ需要の減少、電気機械向け等の巻線需要の低迷の影響から減収となった。

 営業利益や経常利益では、国内インフラ・建設関連の需要が堅調であったエネルギー・インフラ事業および通信・産業用デバイス事業が利益を押上げたことで増益となった。

親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が改善したことから増益となった。

③経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりである。

 

④経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、2018年5月11日にビジョン「SWCC VISION2026」、中期経営計画「Change SWCC2022」を公表したが、2018年度、2019年度と中計経営計画の目標利益を前倒しで達成してきたことから、中期経営計画「Change SWCC2022」ローリングプラン(2019)を策定し2019年11月5日に公表した。中期経営計画「Change SWCC2022」ローリングプラン(2019)の基本方針は、基盤事業の収益力強化、新規事業の創出、海外事業の新展開とし、基盤事業の構造改革を継続実施し新規事業の創出や海外事業における成長戦略を推し進め、中期経営計画の最終年度目標である売上高2,000億円、営業利益100億円を実現し、グループの企業価値向上を図っていく。

⑤経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載のとおりである。

 

資本の財源および資金の流動性について

 当社グループは、安定した財務基盤の強化に努めつつ、中長期的な将来の成長に向けた設備・技術投資等にもキャッシュ・フローを戦略的に振り向けていくことを検討している。中期経営計画「Change SWCC2022」ローリングプラン(2019)に沿って、中長期的な将来の成長に向けた新規事業の創出や海外事業における成長戦略等の検討を進めており、今後具体化するなかでキャッシュ・フローを振り向ける。

 個々の取り組みとして、営業活動によるキャッシュ・フローでは、収益のみならず資産効率の改善にも努めて、その最大化を目指す。

 投資活動によるキャッシュ・フローでは、合理化や成長分野向けの設備投資等を中心に、2020年度においても償却額を上回る投資額を計画している。

 財務活動によるキャッシュ・フローでは、有利子負債の削減に努めつつ、配当政策に基づき株主への還元を行っていく。なお、足元の環境を鑑み、複数の金融機関でコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性を確保している。

 

4【経営上の重要な契約等】

当社は、2019年6月18日付で、古河電気工業㈱との間で、建設・電販市場向け汎用電線事業に関する業務提携についての基本合意書を締結していたが、共同出資による販売会社を設立し、両グループの販売部門を統合することで合意に至り、2019年10月11日に合弁契約書を締結した。

  また、当社は、第2四半期連結会計期間において、㈱フジクラとの合弁会社である㈱ユニマックについて、同社の全株式を譲り受ける株式譲渡契約を㈱フジクラとの間で締結し、2019年10月1日付で同社を完全子会社化するとともに商号を昭和電線ユニマック㈱に変更した。さらに、昭和電線ユニマック㈱は、2019年11月5日付で、同じく当社の連結子会社である多摩川電線㈱との間で、2020年4月1日を期日とする合併契約(存続会社は昭和電線ユニマック㈱)を締結した。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、エネルギー・インフラ事業、通信・産業用デバイス事業、電装・コンポーネンツ事業、新規事業における新技術・新製品の研究開発を積極的に推進している。

 当連結会計年度における、当社グループの研究開発費は総額1,255百万円であり、その成果は次のとおりである。

 

 (エネルギー・インフラ事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱および冨士電線㈱を中心に進められている。

当社グループでは、小型・軽量・環境に配慮した電力用機器製品を“SICONEX®(サイコネックス)”ブランドとして展開している。2019年度には、架空送電線から屋内変電所等の建屋内に直接送電線を引き込む壁貫通ブッシングにおいて、既に当社で実用化済みの完全乾式タイプ66/77kV壁貫通ダイレクトモールドブッシングのラインナップに、変流器(CT)を実装したタイプを新たに加え納入を開始した。

また、シロアリによる蟻害から電力ケーブルを守る方法で、従来のナイロン等の硬いプラスチックシースで保護する構造では柔軟性が悪くなることが問題とされていたが、防蟻剤とPVCコンパウンドの組み合わせにより、一般のCVケーブルと同等の柔軟性を有する新たな防蟻CVケーブルを開発した。

さらに、耐火電線では、建築物大規模化・高層化に対応した長時間(60分/925℃)の火災環境に耐えうるケーブル開発を進めている。

機器電材分野では、トンネル照明用分岐ケーブルおよびコネクタをラインナップしているが、トンネル入口警告灯照明用として遮へい付分岐ケーブルおよびコネクタ開発を進めている。

免震分野では、免震建物に設置後30年以上経過した積層ゴムの経年変化の挙動について、大学、設計事務所および建設会社とともに知見を得ており、その知見をもとに当社製品の開発、設計および材料の開発を行っている。

制振・制音分野では、鉄道騒音対策用制振材について、人手不足等を背景とした施工性向上のニーズの高まりに対して、簡易施工タイプの制振材をリリースし納入を開始した。鉄道・モノレール向け防振ゴムでは、海外需要に対応したVACD版製品の開発を進めている。騒音規制が強化された改正SOLAS条約に対応した制振材NH-S1について、施工コスト削減タイプを開発し、造船所での採用が開始された。

当事業に係る研究開発費は294百万円である。

 

 (通信・産業用デバイス事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱、冨士電線㈱および㈱ダイジを中心に進められている。

光通信分野では、5Gなど高度化サービスの普及展開に必要な無線基地局用光ケーブルの開発を進めている。また、モジュール用途の細径型光・メタル複合ケーブルの開発も進めている。

LANケーブル市場では、2019年12月に文部科学省が打ち出した「GIGAスクール構想」により10ギガビット伝送に対応したCategory 6A(Cat.6A)の需要増が見込まれているが、データセンターでは更なる高速化要求に対応すべく、25/40ギガビット伝送に対応したCategory 8(Cat.8)が規格化されており、それに対応したケーブルの開発を継続して進めている。

また、お客様からの「手軽にLANパッチコードを利用したい」というニーズに応えるべく、伸縮自在なLANカールコード「スーパーカール」をラインナップした。

一方、工場・製造現場等の過酷な環境においてもオフィス環境と同様なイーサネットシステムの採用が年々増加している背景から、産業用に対応した防水・防塵性の高い「丸型ねじ込み式コネクタ(M12コネクタ)」付きケーブル、高温環境やノイズ環境でも使用可能な125℃耐熱高遮へいLANケーブルや、ロボットの可動部に使用可能な細径型の耐屈曲高遮へいLANケーブルの開発も進めている。

情報機器では、複写機・プリンター・商業印刷機に使用される様々な部品の開発を継続し、省エネルギー・環境対応・超高画質化など年々高まる顧客要求に応える製品の市場投入を継続している。さらに当社コアコンピタンスである押出し技術を活用したチューブ製品の量産を開始した。

 

ワイヤハーネス関係では、自動車用ハンドルヒーターやシートヒーターの端末加工方法を改良し、販売を伸ばしている。また、半導体製造装置やロボット等の産業機器向けや高齢化社会に対応した医療・介護向け等の成長が期待される分野の製品(アシスト機器など)およびスマート家電の開発も進めている。

当事業に係る研究開発費は145百万円である。

 

 (電装・コンポーネンツ事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱、昭和電線ユニマック㈱を中心に進められている。

線材では、高機能無酸素銅を(MiDIP® OFC/ミディップ オーエフシー)ブランドとして展開しており、主に車載用途の巻線素材として拡販を進めている。当社のコアコンピタンスである無酸素銅製造技術をさらに高めるために低レベル酸素濃度を連続的に計測するシステム導入に向けての開発を進めていて、さらなる技術力アップと無酸素銅の増産を進めている。また当社無酸素銅は他の無酸素銅に比べて柔らかく冷間鍛造においても優位であることから精密加工部品や成型加工品などの伸銅製品への商品開発を進めている。

また、銅銀合金は高強度と高導電性を両立し高屈曲特性の特長を備えた銅合金であり、高導電率特性を生かして自動車の快適性を求めたシートヒーター、ハンドルヒーターへの製品展開をしており、多様化した市場ニーズに合わせた製品開発を進めている。さらにこれらの銅銀合金線の特長を活かした新用途への製品開発を進めている。進歩が著しいカテーテル治療などの医療関連、小型・高性能化が進む産業用ロボット用ケーブルや精密測定機器関連等、高強度・高導電性・高屈曲性へのニーズに応えるための開発を進めている。

巻線では、車載機器関連分野において高耐熱性および高効率・高信頼性巻線が求められており、ポリイミド樹脂に関する技術やその材料に適合した製造技術の確立により、耐熱性に優れた高電圧仕様のエナメル平角線を量産し、拡販・増産につながっている。現在は、材料開発に加え、巻線構造の最適化により性能向上を図っている。

また、5G機器やサーバーに使用される電子部品向けとして、耐熱性および耐加工に優れた材料を開発、これを絶縁被覆として使用し、弊社独自の加工技術により製造した巻線を上市した。顧客での使用条件にも適合しており、今後、ICT、IoTの進展に伴い、適用拡大が期待される。

当事業に係る研究開発費は6百万円である。

 

 

 (新規事業・その他)

事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱を中心に進められている。

自動車電線・応用製品では、環境負荷低減のため自動車の軽量化が進められており、当社グループでは、アルミ合金線技術を活かし、高い機械的強度を確保した細径電線の製品化に成功し、納入を継続している。また、リッツ線とそのコイル化技術を用いて、非接触給電システム用部材の開発を行っており、今後無人搬送車用、ロボット等への適用拡大が期待される。

ヘルスケア分野においては、遠隔医療・医療情報システムや、手術室における4K8Kなどで高度化する高精細医用映像システムに不可欠な高速・大容量ネットワークを支える配線部材、システム構築の提供について検討している。また、次世代ヘルスケアの実現として、高度医療機器に必要とされる商材の技術開発を進めている。

超電導応用製品では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)により公募・採択された「プラント内利用のための低コスト型三相同軸超電導ケーブルシステムの開発」において実証試験フェーズに進む事を承認された。2019年9月よりBASFジャパン㈱戸塚工場において実証試験線路の建設を開始、2020年3月末までに冷却システムとの接続を除く工事を終了した。

また、九州大学、産業技術総合研究所を主体とするNEDO委託事業である航空機用先進システム実用化プロジェクト「革新的航空機用推進システムの研究開発」に再委託先として参画し、航空機用軽量超電導ケーブルと端子の開発を担当、2019年9月より研究を開始した。本プロジェクトは航空機のCO2排出量を削減する為に必須のシステム開発であり、米国のボーイング社も注目している。

当事業に係る研究開発費は808百万円である。