第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

 (1)会社の経営の基本方針

  当社グループは、「いま、あたらしいことを。いつか、あたりまえになることへ。」のパーパスのもと、経営理念である「SWCCグループは、信頼の輪をひろげます。」に基づき、信頼される製品でインフラを支え、社会の安心安全に貢献する会社であり続けることを使命としております。

そして、長年積み上げてきた技術とサービスでお客様のニーズを掘り起こし、付加価値を創造する企業体として成長し続けるために、「SWCCはソリューション提案型メーカーへ!」をビジョンとして掲げております。

  また、当社グループは、ビジョンを実現するために大切にすべき価値観や行動を示した行動基準として、「「迅速」・「情熱」・「考動」で価値創造を実現する」とする「SWCCウェイ」を定めております。

 

 (2)中長期的な会社の経営戦略

  SWCCグループの中期経営計画「Change & Growth SWCC 2026」

 ①「Change & Growth SWCC 2026」策定の背景

 当社グループは、2021年11月に、前中期経営計画の構造改革フェーズから成長フェーズに移行するべく、創立90周年を迎える2026年度(2027年3月期)を最終年度とする中期経営計画「Change & Growth SWCC 2026」を策定いたしました。

 中期経営計画においては、エネルギー・インフラ事業でのSICOPLUS®戦略の展開強化と建設関連事業の収益向上施策の推進、電装・コンポーネンツ事業でのxEVシフトを捕捉する増産体制確立と高機能製品の新用途展開、通信・産業用デバイス事業での精密デバイスや高密度光ファイバ(e-Ribbon®)を中心としたグローバル事業の強化を進めることで確実に既存事業を伸ばしながら、新市場・新領域への事業拡大のための成長投資を行ってまいります。

 中期経営計画「Change & Growth SWCC 2026」の基本方針、戦略および連結業績・計数目標は以下のとおりです。

 ②「Change & Growth SWCC 2026」基本方針

 イ)基盤事業の収益力強化

 ロ)新規事業の創出

 ハ)海外事業の新展開

 ③「Change & Growth SWCC 2026」戦略

 イ)Change 構造改革のさらなる積み上げ

 ・ROIC経営の浸透による資本効率の向上

 ・DXによるバリューチェーン改革とビジネスモデル変換

 ・コーポレート・ガバナンス体制の強化

 ロ)Growth 成長フェーズへの移行

 ・社会課題解決型ビジネスの推進

 ・成長事業へのポートフォリオシフト

 ・拡大投資による成長フェーズへの移行

 ④「Change & Growth SWCC 2026」連結業績・計数目標

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 (3)経営環境および優先的に対処すべき事業上の課題

  今後の見通しにつきましては、脱炭素社会を背景に電力網の強靭化や再生可能エネルギー関連をはじめとする電力インフラ需要に加え、xEV車をはじめとする環境対応製品需要の拡大等が見込まれる一方、原材料価格の高騰や為替変動、世界的な気候変動リスクの顕在化について引き続き予断を許さない状況が見込まれます。

  その中で、当社グループは、本年4月の経営体制および商号変更に伴い新たにSWCCパーパスを策定するとともにグループの理念体系を整え、新生SWCCとして新たなスタートを踏み出しました。2年目を迎える中期経営計画「Change & Growth SWCC 2026」においては、3事業セグメントを中心とした基盤事業の強化に加え、さらなる成長フェーズへの移行に向けた取り組みを確実に進めてまいります。また、ROIC経営については、事業別ROICを設定し、各部門の業務レベルにまで浸透させるとともに、事業ポートフォリオの最適化のための見直しや事業性評価、投資判断への活用を徹底してまいります。

 

①セグメント別の状況および課題

  各セグメントの状況および課題については以下のとおりであります。

(エネルギー・インフラ事業)

  エネルギー・インフラ事業は、国内の電力インフラ、建設関連向けの電線・ケーブル、免制震部材が主体の事業となっております。

  電力インフラでは、国土強靭化対策による底堅い需要に加えて、再生可能エネルギーへのシフト、送配電網増強に伴うさらなる需要増加も見込まれることに対して、主力製品である接続部品「SICONEX®(サイコネックス)」の増産強化を進めてまいります。また、施工作業員不足の課題に対しては、接続工事技術の効率化・省力化にサステナブルな人材育成プログラムを付加した接続工事システムの展開を新たなブランド「SICOPLUS®(サイコプラス)」の下で進めてまいります。なお、人材育成プログラムにおいてはAVR®をはじめとするDXの導入により、教育期間の短縮を図ってまいります。

  建設関連向けの電線・ケーブルでは、原材料価格高騰に対して構築したスキームを活かしエネルギーコスト・ 物流費等の上昇に対し引き続き販売価格の見直しを行うとともに、製販事業統合をしたSFCC㈱において、ROICを指標にDX導入を含む経営効率の改善を進めてまいります。

 

 

(電装・コンポーネンツ事業)

  電装・コンポーネンツ事業は、電線導体用の線材や汎用モータ用の巻線等の一般汎用製品と、無酸素銅MiDIP®およびヒータ用銅合金線等の高品位線材や、環境対応車向け高機能巻線といった高機能製品が主体の事業となっております。

  高機能製品は、自動車減産の影響が前年度より生じておりますが、今後のxEV車需要の急回復を見込み、無酸素銅MiDIP®、ヒータ用銅合金線および車載向け平角巻線の増産計画について進めてまいります。

 

(通信・産業用デバイス事業)

  通信・産業用デバイス事業は、国内やアジア圏向けの通信ケーブル、家電や産業機器向けのワイヤハーネス、複写機向け精密デバイスが主体の事業となっております。通信ケーブルでは、通信トラフィックの増大に伴うインフラやオフィス向けの需要の取り込みに注力してまいります。

  ワイヤハーネスは、中国・ベトナムの2拠点体制による生産拠点の多元化と、現地調達・地産地消の推進により、中国・東南アジアをはじめとする旺盛な家電向け需要の取り込みに注力してまいります。

  精密デバイスは、サプライチェーンの変化に対応するため、海外向けの生産ラインをベトナム子会社のSWCC SHOWA(VIETNAM) CO., LTD.に移管しており、地産地消をさらに加速させてまいります。

 

(その他)

  モビリティ、インダストリ、ITを軸に新たな事業創出に向けて取り組みを推進しております。IT事業の強化としては、㈱アクシオにおいてクラウドでのID管理マネージドサービスを中心とするゼロトラスト事業の拡大を推進しております。また、当社グループでは、これまで培ってきた技能やデータと DX に関する技術やツールを掛け合わせ、新しいビジネスモデルを創出する「SWCC Smart Stream(スマートストリーム)事業」を推進してまいります。

 

②当社グループ製品の不適切な品質管理に関する調査結果および再発防止策

  2021年2月、外部から、当社子会社で事業会社の昭和電線ケーブルシステム㈱が製造および販売する製品の品質管理に関する指摘を受け、同年7月21日付で当社グループ製品の品質試験に関する不整合の判明と特別調査委員会の設置について、また同年10月29日付で当社グループ製品の品質試験の不整合に関する調査結果の報告について公表いたしました。

  その後も、当社は、昭和電線ケーブルシステム㈱の製品品質に対する信頼性をより高めるために引き続き調査を行っておりましたが、調査の結果、一部の製品について不適切な品質管理があったことを把握いたしました。いずれの事例についても特定のお客様との間で定められた仕様に基づき製造された製品が対象であり、汎用製品は含まれておりません。当社では、品質の健全性に問題が無いことを確認し、お客様へのご説明を真摯に進めてまいりました。そして、社内調査チームによる調査が全て終了いたしましたので、2023年1月20日付で今回の調査結果の報告について公表いたしました。

  当社では、前回の調査結果を受けて、計測データ管理システムの早期導入、コンプライアンス意識を確立する体系的な教育制度の整備および実施等の再発防止策を引き続き進めておりますところ、今回の調査結果を受けて、さらなる再発防止策として、適切な人事ローテーションの実施、品質保証部門の独立性確保の促進および監督機能の強化、品質保証部門全体での人員の適正化、検査標準の見直し、コンプライアンス基本方針の周知を図ることに加え、グループ全体の品質マネジメントシステムを強化するため、品質・環境管理統括室を品質管理に特化した社長直轄の品質管理統括室に再編し、品質保証業務の監査・モニタリングを進めております。

  なお、本件による業績への影響につきましては、軽微と判断しております。また、昭和電線ケーブルシステム㈱は、2023年4月1日を効力発生日とする吸収合併により当社に吸収されております。

 

 (4)2023年度のグループ経営方針

  2023年度も引き続きエネルギー価格や原材料価格の高止まりによる事業への影響は免れない状況が見込まれますが、SWCCパーパスを基軸として、中期経営計画達成に向けた変革を着実に実行するとともに、市場や環境の変化に応じた柔軟でスピード感のある判断と施策を実施することで、このような経営環境下にあってもより一層、経営体質を強化し資本効率を高めてまいります。その観点から2023年度のSWCCグループ経営方針は次の5点としております。

 

 ・Changeの精神に基づく継続的な改革

 ・Growth戦略のための施策の具体化と実行

 ・資本効率の向上

  (ROIC経営の考え方の浸透、キャッシュフロー経営の深化とバランスシートの圧縮)

 ・品質管理および安全優先の取り組みの徹底

  (信頼を取り戻すための覚悟と仕組みづくり)

 ・エンゲージメントの向上

  (働きやすい職場づくりと健康経営の推進)

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループは1936年の創業以来社会インフラを支える企業として様な社会課題解決型ビジネスに取り組み持続可能な社会の発展に貢献してまいりましたサステナビリティの取り組みについては経営上の重要課題であるとの認識からこれまでも力を入れてまいりましたが昨年から新たにサステナビリティ委員会を設置し、「サステナビリティ基本方針の策定やマテリアリティ(重要課題)の特定などサステナビリティ経営に向けた取り組みを加速させるためのガバナンスおよびリスク管理体制の整備や施策の展開を図ってまいりましたマテリアリティに紐づくKPIや施策は経営戦略全般との整合性がとられておりこれを推し進めることで事業戦略や財務戦略との相乗効果が生まれてまいります

 なお、当社は、2022年5月、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明しました。気候変動は、事業活動にとってリスクとなる一方、収益機会の獲得にもつながります。当社は、これら気候変動に関するリスク・機会の特定と対処が経営上の重要課題であるという認識のもと、TCFDの提言に沿って、気候変動関連リスク・機会に関する「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4項目について積極的な情報開示を進めております。

 

(1)ガバナンス

 以下は、当社グループのサステナビリティ経営に係るガバナンス体制です。

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 当社グループは、グループの経営理念に基づき、環境・社会・ガバナンスなどの観点において持続可能な企業運営を行うべく、グループCEOを委員長とし、各事業部門および人事・環境・調達等に関する管理部門の担当執行役員・フェローで構成される、「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティに関する経営上の課題について、事務局であるサステナビリティ推進部が事業部門・管理部門における課題や対応策を集約し、「サステナビリティ委員会」でそれらについて議論した上で、グループの「サステナビリティ基本方針」の立案、マテリアリティ(重要課題)の特定、機会とリスクに基づく戦略の推進、取締役会へのサステナビリティ課題と対応に関する報告や提言などを行っております。

 

(2)戦略

①サステナビリティ戦略

 当社グループは、(1)ガバナンスに記載している体制のもと、サステナビリティの取り組みについて、経営上の重要課題であるとの認識から力を入れており、方針の策定や重要課題の特定を行っております。具体的には以下のとおりです。

 

イ)サステナビリティ基本方針

 当社は、サステナビリティ推進体制の強化とともに、活動の基本となる「サステナビリティ基本方針」を策定しており、本方針のもと、さまざまな社会課題に対応する企業行動を実践しております。サステナビリティ基本方針は以下のとおりです。

(サステナビリティ基本方針)

 SWCCグループは、信頼とイノベーションにより、「社会課題の解決」と「企業価値向上」を図り、サステナブルで豊かな未来社会を創ります。

・優れた技術とイノベーションを通じ、お客様へ高い品質の製品・サービスを提供します。

・クリーンでグリーンなエネルギーの普及を図り、地球環境の保全に努めます。

・「共感」「共存」「共栄」の精神で、地域やバリューチェーンとのつながりを大切にします。

・個性や多様性を活かした働き方を推し進め、エンゲージメントの向上を図ります。

・役職員の人間性と倫理観を高め、良き企業文化を醸成します。

 

ロ)マテリアリティの特定

当社グループでは、「サステナビリティ基本方針」に基づき「マテリアリティ(重要課題)」を特定し、サステナブル経営に向けた取り組みを加速させるための施策を展開しております。

「マテリアリティ」は、4つのステップを踏まえ、当社とステークホルダーの双方に影響の大きい社会課題を抽出し優先課題を特定したもので、技術、環境、地域、人、ガバナンスによる5つのテーマがあり、それぞれの行動方針を以下のとおり定めております。

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また行動方針に基づき評価指標を設定し、指標ごとに中期および単年度目標を掲げ、目標達成に向けPDCAを回しながら取り組んでおります。2022年度には16の指標を設定し、中期の目標年度は2025年または2026年としております。

 

②気候変動に関する戦略

当社グループは、事業インパクトについて、事業セグメントごとに「1.5℃シナリオ(脱炭素社会実現シナリオ)」と「4℃シナリオ(温暖化進展シナリオ)」の2つのシナリオを策定し、グループの環境統括部門、対象事業のセグメント長および外部専門家からなるワーキンググループを設置し、シナリオ分析を実施したうえで、主要セグメントにおけるリスクおよび機会の特定ならびに今後の対応の策定を行っております。

また、気候変動について、これまでの実績を踏まえ2025年度および2030年度CO排出削減目標を見直すとともに再エネ導入率についても意欲的な目標を掲げ、これを推進するグリーンエナジープロジェクトのもと、目標達成に向けて国内外の製造拠点におけるオンサイト型自家消費太陽光発電サービス(PPAモデル)の導入推進や非化石由来のエネルギー調達促進、新技術による高効率・省エネ設備の導入など各種施策を推進しております。

 

※シナリオ分析および主要セグメントにおけるリスク・機会の詳細はこちらをご覧ください。

https://www.swcc.co.jp/jpn/news/images/220525B_PRESS_RELEASE.pdf

 

③人的資本戦略

当社グループでは、SWCCパーパスを推進力に経営戦略と人事戦略が連動して、持続的に従業員エンゲージメントを向上させていくことが企業価値創造の源泉であると認識しております。そのような認識のもと、当社グループは「マテリアリティ」の1つとして「人(ひとが輝く)」を設定しており、全従業員が事業環境の変化に柔軟に対応し、社会課題を解決していくための様々なアイデアを出し合う「変化」と「挑戦」に満ちた企業風土を醸成するとともに、社員の成長が当社グループの成長につながる仕組みづくりを推進しております。

当社グループは、「マテリアリティ」における3つの行動指針に従い、以下のような取り組みを行っております。

 

イ)多様な人材活用の促進(Diversity & Inclusion)

多様な考え方や経験、働き方を受入れ、組織運営に活かしていくダイバーシティ経営が不可欠であり、年齢、性別、国籍を問わず能力を十分に発揮していくための機会と制度を整えることが必要であると考えております。

2021年4月には「女性活躍推進プロジェクト」を発足し、女性のキャリア形成の支援および意識醸成と啓発活動を推進しており、管理職における女性比率を高めていくことを目標としています。2022年には、理工系分野に興味のある女子中高生らを対象に当社グループの職場見学会や女性エンジニアとの交流を行う「理工チャレンジ(リコチャレ)」にも参画しました。2023年4月からは同プロジェクトを「ダイバーシティ推進プロジェクト」へと進化させ、広くアンコンシャス・バイアスへの気づきを与える取り組みを推進しております。

 

ロ)みらいへの人材育成

人材育成につきましては、当社グループが求める人材像である「先見性とバランス感覚を備え、変革やリスクを恐れないチャレンジ精神を持ったリーダー」、「高度な専門知識・技術・独創性を持って社会的な課題を解決できるプロ人材」、「信頼を重んじ、公平さと高い倫理観を持って行動できる社会人」となるような人材を育成していくために以下の施策を行っております。

カテゴリ

テーマ

施策

人材

外部からの刺激を受け、挑戦するためのマインドセットの実施

・サクセッションプラン(研修)

・異業種交流研修

・各種セミナー・階層別研修

場の提供

多様な人材のアイデアを実現する場の提供

・社長直轄プロジェクト

・提案制度

・SWCCグループ社内ベンチャー制度

・技術報告会・改善活動発表会

時間

新たな価値創造に取り組む時間の確保

・シェアードサービス化の推進

・SPS活動(改善・全体最適)

・どこでもワーク(テレワーク推進他)

 また、構造改革の推進や成長フェーズへの移行に際し、求められる人材スキルの変化に対応する人材を確保するため、以下のような人事制度を導入しております。

・必要な特定スキルを持つ即戦力人材、高度専門人材のいわゆる「ジョブ型採用」の強化

・適所適材配置の実現のため、ジョブチャレンジ制度・社内公募制度といった会社と従業員の要望をマッチングさせる制度の拡充

・挑戦する従業員の努力や成果がより適正に反映される処遇制度

 

ハ)エンゲージメントの向上(働きがいのある仕事・職場づくり)

当社グループでは、事業戦略を達成していくために必要な人的資本の維持向上を図るために、エンゲージメントの向上や心身の健康保持増進が重要であるとの認識のもと、社内の環境整備に力を入れております。当社グループが行っている社内環境整備は以下のとおりであります。

 

 

(エンゲージメントの向上に関する施策)

 上記①および②に記載した各種施策に加えて、従業員の意識改革を図るため、2022年度に実施したストレスチェック結果などを活用し、課題のある職場に対して人事部門によるヒアリングやフォローアップを実施しております。また、あわせて課長職に対する教育研修により職場環境の改善の支援を進めています。さらに、CEOによるタウンホールミーティングにより経営の方針を従業員に伝えるとともに現場の意見集約を実施し、経営に反映するなどの対応を実施しております。

 

(健康保持増進に関する施策)

  従業員の心身の健康保持増進は、健全かつ安定した優秀な人材確保による労働生産性の向上や、従業員の創造性の向上などによる企業の競争力の強化への寄与が期待できることから、2019年4月に「グループ健康経営宣言」を策定し、当社グループの抱える課題を踏まえて作成した健康経営戦略マップを活用し、着実に当社の健康課題の解決を図っております。また、グループ会社を含めた各社・各拠点全体および健康保険組合との連携のもとで健康経営を推進すべくグループ横断の組織として衛生分科会を立ち上げ、継続的なフォローを行っております。当事業年度に行った具体的な取り組みは以下のとおりです。

<具体的な取り組み(2022年度)>

1)健康増進の支援活動

・健康セミナー(生活習慣、ストレッチ運動等)

・健康保険組合による子宮頸がん検診補助の実施への移行

2)社内全面禁煙化の推進

・禁煙デーの実施

・安全衛生委員会による禁煙化施策の検討

・健康保険組合による禁煙外来補助の実施

 

(3)リスク管理

 当社グループの全社的なリスクマネジメントに関しては、「リスクマネジメント委員会」を中心とするリスクマネジメント体制を整備しております。具体的には、グループCEOを委員長とし、当社の執行役員・フェロー全員を委員とするリスクマネジメント委員会にて、事業部門で実施したリスクの評価や対応策を議論のうえ、リスクマネジメント計画やリスク施策の進捗管理を実施し、取締役会に報告を行っております。また、リスク統括部門として経営管理部内にリスクマネジメント部署を設置し、規則・ガイドラインの制定、教育研修およびモニタリングの実施等、グループ全体のリスク管理を統括し、事業の継続発展のために不可欠な全社的なリスクマネジメント体制の強化を図っております。

 さらに、事業部門や管理部門で定常的に発生するリスクへ迅速に対応するため、リスク事象が発生した場合に担当部門よりリスク統括部門へ迅速にリスク情報を提供する仕組みとなる「リスク一報制度」を導入し、緊急かつ重大な事象についてはリスクマネジメント委員や常勤監査等委員と情報共有し、対応を協議・検討しております。

 なお、環境、社会、ガバナンス関連のリスクについては、サステナビリティ委員会の事務局であるサステナビリティ推進部とも連携・情報共有を図っております。サステナビリティ委員会は全社的な「リスク」と「機会」について対応方法を検討し、審議内容を定期的(年2回以上)に取締役会に報告します。

 

(4)指標及び目標

 SWCCグループの5つのマテリアリティテーマのうち、「環境」(気候変動を含む)と「人」に関する取り組みにおける指標およびKPIは以下のとおりです。

 

 

〔環境〕「地球にやさしい」

<マテリアリティ指標およびKPI>

指標・KPI

2022年度実績

2023年度計画

2025年度目標

2022年度所見と2023年度施策

CO₂排出量

Scope1+Scope2

2013年度比

37%減

2013年度比

37%減

2013年度比

45%減

2022年度は、事業再編、再エネ導入および省エネ施策の深耕により原単位あたりのエネルギー消費量は削減するも、活動量増加により排出量削減率は前年度並み。2023年度も同様の増加要因を見込むも高効率設備やさらなる再エネ導入を進める。

廃棄物の

最終処分率

2018年度比

75%減

2018年度比

80%減

2018年度比

見直し中

2022年度は、事業再編、活動量増加に伴い排出量は前年度比増加も、2025年度の目標値をすでに達成。2023年度も相模原事業所のリロケーションおよび活動量増加による排出量の増加は想定されるも、製品設計から廃棄までの環境配慮の取り組みを推し進める。

水使用量

2018年度比

9%増

2018年度比

10%減

2018年度比

20%減

2022年度は、調査精度向上により漏水箇所や不要な水使用の把握と対策を進めたものの、活動量、猛暑による冷却水使用量が増加した。2023年度は引き続き活動量の増加が見込まれるものの、工場の冷却水循環設備の導入効果により大幅な削減効果を見込む。

 

〔人〕「ひとが輝く」

<マテリアリティ指標およびKPI>

指標・KPI

2022年度実績

2023年度計画

2026年度目標

2022年度所見と2023年度施策

管理職に占める

女性比率


課長職以上に占める

女性比率

6%

 

 

2.8%

6.5%

 

 

4%

8%

 

 

10%

2022年度は、女性管理職比率の増加を目指し、女性のキャリア形成支援および啓発活動を実施。2023年度は「女性活躍推進プロジェクト」に男性メンバーを加えて「ダイバーシティ推進プロジェクト」へと発展させ、女性に限らない育児休業等の取得促進やアンコンシャス・バイアスへの気づきを与える取り組みを進める。

 

 

指標・KPI

2022年度実績

2023年度計画

2026年度目標

2022年度所見と2023年度施策

従業員1人あたり

年平均研修時間

2021年度比

1.4倍

2021年度比

1.5倍

2021年度比

4倍

2022年度は、階層別教育、品質に関する知識深耕タウンミーティング、30代、40代を対象としたSDセミナー、次世代経営候補者育成研修の実施。2023年度はこれらに加え、部門内スキルアップ勉強会の実施、360度サーベイ研修の実施、労働安全教育のための「ものづくりトレーニングセンター」での安全研修などで研修の充実を図る。

エンゲージメント

スコア

46.3

48

55以上

2022年度は、エンゲージメント教育の実施や健康経営推進により「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)ホワイト500」の認定を取得。2023年度は、安全衛生活動、多様な働き方の推進といった職場環境の改善やサンクスポイント導入など各種施策により働きがいを創出し、従業員エンゲージメントの向上を図る。

(注)1 2022年度実績については、当社および当社連結子会社であった昭和電線ケーブルシステム㈱を対象として計算しております。

2 上記指標・KPIのうち、「管理職に占める女性比率」は、当社における全管理職を対象とした女性の全管理職の割合を計算しております。また、「課長職以上に占める女性比率」は、当社における課長職以上の労働者を対象とした女性の課長職以上の労働者の割合を計算しております。なお、「課長職以上に占める女性比率」は、第1 企業の概況 5従業員の状況 (4)に記載しております「管理職に占める女性労働者の割合」と同じものを指しております。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループにおいて、リスクとは、経営の目的の達成を阻害する潜在的な要因であると定義しております。

 また、リスクを適切に管理することは、経営上極めて重要な課題であるとの認識のもと、当社グループはリスクマネジメント委員会を中心とするリスクマネジメント体制を整備しております。当社グループのリスクマネジメント体制については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりであります。

 

 リスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主要リスクについては、本委員会にてリスクを識別、分析、評価をして判断しております。具体的には、グループ各社から挙げられたリスクを数値化する等して定量的に分析を行い、その上で当社グループとして重要な影響を及ぼす可能性があるリスクを主要リスクとして特定しております。また、「サステナビリティ基本方針」に基づきマテリアリティを定めていることから、それらとの関連付けや本社で認識したリスクについても追加の上、全社的に主要リスクへの対策を行っております。なお、マテリアリティに関する詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。

 主要リスクとしては、以下のようなものがあります。

 

 主要リスク

リスク項目

マテリアリティ

認識しているリスク内容

主要な取り組み

残存するリスク

原材料・エネルギー価格変動

・みらいを創る

・地球にやさしい

 

〇主要原料の銅の価格変動

〇ポリエチレン等の石油化学製品の価格変動

〇電力の調達価格変動

〇都市ガスの調達価格変動

・グループ調達本部による管理強化

・計画的な安定調達実施による在庫削減

・製品価格へのスライド転嫁

・先物取引等を活用した銅価格変動リスクヘッジ

・都市ガスの固定価格契約の活用

・PPAモデルを活用した太陽光発電設備導入

・製品価格への転嫁が困難な場合や相場が大きく下落する局面で、損失が生じた場合の業績等への重要な影響

 

自然災害等

・地球にやさしい

〇以下の自然災害等による製造拠点の操業停止や物流機能の麻痺等

・大規模な地震・台風・洪水等の自然災害

・火災等の事故

・事前に想定されるリスクに対して円滑な初期対応を講じるために、BCP(事業継続計画)を策定

・製造拠点ではインフラ設備の強靭化投資を計画的に実施

・火災保険等の付保

・電力不足・物流の停滞等により社会インフラ機能そのものの低下が長期化する等、計画的な生産活動に大幅な制限が生じた場合の業績等への重要な影響

パンデミック

〇新型コロナウイルス感染症による影響

・新型コロナウイルス緊急対策本部による対応(従業員の安全確保、社内外の感染抑止等)

・オンラインツール等を活用したビジネス継続体制の構築

・感染症の継続による市場縮小、事業活動の制限による財政状態および経営成績への重要な影響

サプライチェーン寸断・喪失

・ともに生きる

 

〇サプライチェーンの寸断・喪失による原材料供給の停止、遅延

・調達先の多様化、複数購買の推進によるリスク低減

・調達先の個別管理徹底(廃業、事業撤退リスク管理)

・原材料調達の停止、遅延による事業活動や業績への影響

・調達難に起因する調達コストの増大

 

 

リスク項目

マテリアリティ

認識しているリスク内容

主要な取り組み

残存するリスク

品質問題

・より良き企業に

〇品質問題の発生(欠陥、不良品)

〇各種規格、法令、お客様との取り決め等に違反する製品の製造・販売

・品質・環境管理統括室によるモニタリング、監査統括部による監査

・品質保証業務のデジタル化推進による品質管理徹底、不正防止

・全社的教育プログラムの展開

・賠償保険の付保

・品質問題に起因する損失補償や製造物責任訴訟等

・品質問題による信頼失墜、レピュテーションの毀損

 

コンプライアンス

・より良き企業に

〇各種法令・税制に関する規制に違反するリスク

〇取引先等との契約上・取引上の義務に違反するリスク

〇社会通念上受け入れられない役職員の言動による信頼失墜

・全社的コンプライアンス意識の醸成と法務室によるチェック体制強化

・コンプライアンスに関する研修・勉強会の実施

・内部通報制度の活用による不正等の検知

・各規制当局からの処分・制裁等

・取引先等の関係者から損害賠償や取引の停止を求められる可能性

・コンプライアンスに対する意識が希薄であると判断され、信頼やレピュテーションが毀損

環境・気候変動

・地球にやさしい

・ともに生きる

 

〇環境・気候変動への対応遅延等によるビジネス影響

〇CO₂排出削減コストの増大

主要な取り組みについては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。

・環境・気候変動への対応遅れによる信頼失墜、採用や業績への悪影響

・中長期的な製造コストの増大による収益性の低下

人材の確保および

育成

・ひとが輝く

〇製造の技能承継困難による事業継続への影響

〇成長機会の逸失による業績目標達成への影響

主要な取り組みについては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。

・組織編制上の制約や事業上の機会の逸失による業績等への重要な影響

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産合計は1,566億50百万円で、前連結会計年度末より92億93百万円増加しております。その内訳としては、流動資産の増加33億38百万円、固定資産の増加59億55百万円であります。流動資産の増加は、主に棚卸資産が増加したことによるものであります。固定資産の増加は、主に投資有価証券が増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末における負債合計は882億60百万円で、前連結会計年度末より1億63百万円減少しております。その内訳としては、流動負債の減少12億99百万円、固定負債の増加11億35百万円であります。流動負債の減少は、主に支払手形及び買掛金が減少したことによるものであります。固定負債の増加は、主に繰延税金負債が増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末における純資産の合計は683億90百万円で、前連結会計年度末より94億57百万円増加しております。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益94億10百万円を計上したことによるものであります。

 当連結会計年度末の有利子負債は411億77百万円となり前連結会計年度末より20億6百万円増加しましたが、自己資本比率は前連結会計年度比で3.5ポイント増の43.1%となりました。その結果、DEレシオは当連結会計年度末で61%となり、前連結会計年度比で6ポイントの改善となりました。

 

②経営成績の状況

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限緩和による経済活動の正常化、脱炭素社会への動きの高まりに伴い国内の建設関連や電力インフラ向けの市場が活況となりましたが、一方ロシア・ウクライナ情勢の長期化等による地政学上のリスクの高まりを受けて原材料・エネルギー価格の高騰や為替変動の影響を受け、さらに自動車関連では半導体の供給不足による減産影響が続きました。

 このような環境下、当社グループの当連結会計年度の売上高は2,091億11百万円(前年度比5.0%増)、営業利益は104億74百万円(前年度比4.3%増)、経常利益は103億93百万円(前年度比5.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は94億10百万円(前年度比0.6%増)となりました。

 セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

(エネルギー・インフラ事業)

  国内の建設関連向けは、原材料等の価格高騰に対する販売価格の見直しや、合弁会社の製販事業統合による収益改善を進めながら、安定した需要を取り込んでまいりました。電力インフラ向けは、老朽化更新や再生可能エネルギー関連の安定した需要に支えられながら堅調に推移しました。これらの結果、当事業における売上高は1,133億23百万円(前年度比6.0%増)、営業利益は76億62百万円(前年度比18.5%増)となりました。

 

(電装・コンポーネンツ事業)

  重電や産業機器向けの汎用巻線の需要は堅調に推移しましたが、自動車向け高機能製品の需要は、一部欧州向け需要を取り込むも前年度上期後半より続いている自動車減産の影響を受けて低調に推移しました。これらの結果、当事業における売上高は581億42百万円(前年度比0.8%減)、営業利益は16億91百万円(前年度比28.7%減)となりました。

 

(通信・産業用デバイス事業)

  国内の通信ケーブルは、上期まで国内生産拠点再編の一部立ち上げ遅れや原材料等の価格高騰に対する販売価格の見直しの遅れによる影響を受けましたが、下期には改善されました。産業用デバイス関連では、上期に中国ロックダウン等によるサプライチェーン混乱の影響を受けたものの、材料調達の見直し等による整流化に伴い、下期は大幅に収益を回復いたしました。これらの結果、当事業における売上高は332億51百万円(前年度比12.8%増)、営業利益は17億72百万円(前年度比3.1%減)となりました。

(その他)

  売上高は43億94百万円(前年度比4.5%増)、営業利益は2億17百万円(前年度比31.1%減)となりました。

(注) 上記、各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高または振替高を含めておりません。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、39億58百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億79百万円増加しております。

 当連結会計年度においては、前年度に引き続き原材料価格の高騰により運転資金が増加したことにともない、借入金が増加しましたが、営業活動から生じたキャッシュ・フローや有形固定資産売却による収入は将来の事業規模の維持・成長のための投資(固定資産取得49億31百万円)や株主への配当(14億92百万円)等に配分されております。

 

④生産、受注および販売の状況

 当社および連結子会社の生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も含まれるため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため、生産、受注および販売の状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。なお、主要な販売先については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (セグメント情報等) 関連情報 3 主要な顧客ごとの情報」に記載のとおりであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されています。当該連結財務諸表の作成に当たっては、資産、負債、損益の計上金額ならびに関連する偶発資産および偶発債務の開示に影響する見積りを用いています。過去の実績や見積り時点で取得可能な情報に基づき、合理的と考えられる様々な要因を考慮し見積りを行っていますが、当該見積りに基づく計上金額や開示額は実際の結果と異なる場合があります。

 なお、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある会計上の見積りはありません。

 当社の採用している会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度における経営成績については、原材料・エネルギー価格の高騰や自動車の減産による収益へ影響が続きましたが、当連結会計年度を通しては、エネルギー・インフラ事業の建設関連向けや電力インフラ向け事業が好調であったことに加え、通信・産業用デバイス事業の国内通信ケーブルの生産拠点再編効果が下期以降顕在化してきたことなどから、前年度比増収・増益となりました。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、本年4月の経営体制および商号変更に伴い、新たにSWCCパーパスを策定するとともにグループの理念体系を整え、新生SWCCとして新たなスタートを踏み出しました。

 2年目を迎える中期経営計画「Change & Growth SWCC 2026」においては、3事業セグメントを中心とした基盤事業の強化に加え、さらなる成長フェーズへの移行に向けた取り組みを確実に進めてまいります。また、ROIC経営については、事業別ROICを設定し、各部門の業務レベルにまで浸透させるとともに、事業ポートフォリオの最適化のための見直しや事業性評価、投資判断への活用を徹底してまいります。

 2023年度においては、エネルギーコスト等の高騰を織り込むも、建設関連の製販統合事業におけるDXを活用した収益改善効果や、旺盛な電力インフラ需要に対応するSICONEX®の増産工事の完工、新規事業であるICT事業の本格化により、増収・増益を見込みます。

 また、ROIC経営については、事業別ROICを設定し、各部門の業務レベルにまで浸透させるとともに、事業ポートフォリオの最適化のための見直しや事業性評価、投資判断への活用を徹底してまいります。

 

⑤経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 

⑥資本の財源および資金の流動性について

 当社グループは、安定した財務基盤の強化に努めつつ、中長期的な将来の成長に向け、生産拠点の再編、強靭化および製造能力の増強等による基盤事業の収益力強化と成長牽引事業を中心とする事業強化・DXへの投資、新規事業の創出への投資にもキャッシュ・フローを戦略的に振り向けてまいります。

 また、個々の取り組みとしまして、営業活動によるキャッシュ・フローでは、収益のみならず資産効率の改善にも努めて、その最大化を目指しております。

 投資活動によるキャッシュ・フローでは、製造能力の強化や成長牽引事業への設備投資等を中心に、償却額を上回る投資額を計画しております。財務活動によるキャッシュ・フローでは、引き続き財務健全性の維持・向上に努めつつ、配当政策に基づき株主への還元を行ってまいります。

 なお、複数の金融機関でコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性を確保しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

      当社は2022年3月29日開催の取締役会において2023年4月1日付で当社連結子会社である昭和電線ケーブルシステムおよび昭和電線ユニマックを吸収合併し当社を純粋持株会社から事業会社とする経営体制の再編ならびに商号変更および定款一部変更について決議し2022年6月24日付で両社と合併契約を締結しました

6【研究開発活動】

 当社グループは、「SWCC VISION 2030 未来につなぐ価値を創造する」を掲げ、サステナビリティ経営のもと持続可能な社会の実現に向けた社会課題の解決に貢献する研究開発を実行しております。

 基盤事業であるエネルギー・インフラ事業、電装・コンポーネンツ事業、通信・産業用デバイス事業では、高い公共性を有するインフラ、モビリティ分野に大きく関わる「信頼」に根差した新製品やサービスの開発を進めております。また、DXによるソリューションビジネスへ展開するとともに、ヘルスケア・インダストリーといった電線事業以外の領域への新製品・商品開発や新規事業の開拓を推進しております。

 当連結会計年度における、当社グループの研究開発費は総額1,378百万円であり、その成果は次のとおりであります。

 (エネルギー・インフラ事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱、冨士電線㈱、および㈱昭和サイエンスを中心に進められております。

電力事業分野では、軽量・コンパクトで環境にも配慮した戦略製品である接続部品「SICONEX®(サイコネックス)」を用いた電力高圧ケーブル接続工事に加え、少子高齢化を背景とした就労人口減少に対応するための施工人員ソリューション「SICOPLUS®(サイコプラス)」を推進しております。また、プラグインタイプの超高圧275kVスマート気中終端接続部を製品化し、「SICONEX®」の66kV~275kVまでのフルラインナップが完成し、各電圧階級の変電所・発電所・送電線の建設工事において、大幅な工期短縮、接続作業の省力化、簡素化が可能となりました。

免震分野では、錫プラグ入り積層ゴムの基礎的な熱力学挙動を解明し、研究論文を(一社)日本建築学会で発表しました。この基礎的な研究の成果を今後の製品設計等へ反映していく予定です。また内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」で設置される大サイズ免震製品用試験機の実現に協力し、当社製品を含む縮小試験体を用いた試験機構造の検証結果を(一財)免震研究推進機構が発表しております。

当事業に係る研究開発費は512百万円であります。

 

(電装・コンポーネンツ事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱および昭和電線ユニマック㈱を中心に進められております。

高機能無酸素銅「MiDIP® OFC(ミディップ オーエフシー)」の加工性、導電性といった技術的優位性を明らかにし、モビリティ電動化に欠かせない材料として、市場ニーズに対応しています。自動車内の省スペース化や自動車組み立ての自動化などに貢献する電動車(xEV)向けの電装部品として、車載バスバー用被覆付き平角線の開発を進めております。

銅銀合金の極細線製造技術を応用した半導体市場への適用等、特に高強度、高導電性で優位性がある半導体検査装置用ピン材用途開発に注力しております。また、産業技術総合研究所とAIを利用した高機能銅合金の開発プロセスの構築に向け共同研究を行っております。顧客ニーズ、環境負荷物質含有材料の代替としてソリューション貢献を図っていきます。

当事業に係る研究開発費は18百万円であります。

 

 (通信・産業用デバイス事業)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱、および冨士電線㈱を中心に進められております。

メタルLANケーブルの技術を活用し、産業機器の自動化やプロセス制御用のインダストリー向けとして、10G伝送用Cat.6Aに対応した超細径型・耐屈曲・高遮へいタイプや高温環境・耐熱(125℃)・屋外用タイプを開発し、ラインナップ拡充を継続しております。また、車載カメラやADAS(先進運転支援システム)に用いられる細径・軽量なSPE(Single Pair Ethernet)やSTQ(Shielded Twisted Quad)ケーブルの製品化や拡販を進めております。

当事業に係る研究開発費は177百万円であります。

 

 (その他、新規事業を含む)

当事業における研究開発活動は、昭和電線ケーブルシステム㈱および㈱アクシオを中心に進められております。

ヘルスケア分野においては、低侵襲性医療における次世代ヘルスケア用途として、ロボット医療・介護、高度医療機器に必要とされる製品、感染症対策を考慮したディスポーザブル製品(カテーテルチューブなど)や、医療機関と共同研究中の医療機器用非接触給電の技術開発を進めております。

超電導システム製品では、BASFジャパン㈱戸塚工場での三相同軸超電導ケーブルシステムの実証試験の成果において2022年度NEDO省エネルギー開発賞を受賞しました。2030年のカーボンニュートラルに向けての脱炭素要求の高まりにより、国内外のお客様から超電導ケーブルについて問い合わせがあり、省エネルギー効果を明確化し市場開拓を進めています。また、NEDO委託事業として、航空機用超電導推進システムにて、大幅に小型軽量化した超電導ケーブルを開発しています。

基盤技術については、デジタル駆動型研究開発を進めております。材料やプロセスに関したインフォマティクス技術を活用し研究開発のDXを進めています。本技術は、様々な事業分野の製品開発に活用しております。

当事業に係る研究開発費は669百万円であります。