第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「いま、あたらしいことを。いつか、あたりまえになることへ。」のSWCCパーパスのもと、経営理念である「SWCCグループは、信頼の輪をひろげます。」に基づき、信頼される製品でインフラを支え、社会の安心安全に貢献する会社であり続けることを使命としております。

 そして、長年積み上げてきた技術とサービスでお客様のニーズを掘り起こし、付加価値を創造する企業体として成長し続けるために、「SWCCはソリューション提案型メーカーへ!」をビジョンとして掲げております。

 また、当社グループは、ビジョンを実現するために大切にすべき価値観や行動を示した行動基準として、「「迅速」・「情熱」・「考動」で価値創造を実現する」とする「SWCCウェイ」を定めております。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループでは、2022年度を起点とし2026年度を最終年度とする中期経営計画「Change & Growth SWCC 2026」を2021年11月に公表しました。そして2024年5月、2年間の進捗と足元の事業環境変化を織り込んだ「Change & Growth SWCC 2026 ローリングプラン2024」を公表しました。ローリングプランでは、3つの基盤事業の強化に伴うオーガニック成長を見込み、2026年度の利益目標をアップサイドに見直しましたが、当連結会計年度において、エネルギー・インフラ事業の事業環境が想定以上に好調であり、計画を大きく上回り推移したことから、2025年2月、2026年度の営業利益および株主還元の目標をさらに上方修正いたしました。

 

 その折に開示しましたローリングプランの位置づけと主な数値目標は以下のとおりですが、2025年3月に株式を取得した㈱TOTOKUの業績を織り込んだ2026年度の数値目標については「SWCC VISION 2030」を具体化する新たな中期経営計画の公表と共に、2026年2月にお知らせする予定です。なお、新たな中期経営計画の策定においては、2025年度にスタートした新経営体制で推し進める「Change & Growth」の主な取り組みである、1.成長牽引事業のさらなる強化、2.第2の成長事業の確立、3.DX経営の加速、を含む成長ステージへのあらたな戦略を具体化していくものです。

 ローリングプランの位置づけと主な財務数値目標は以下のとおりです。

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(3)経営環境および優先的に対処すべき事業上の課題

 当社グループを取り巻く経営環境につきましては、少子高齢化による労働人口減少、米国の関税政策に伴う原材料価格の上昇やサプライチェーンの混乱、さらに国際情勢の不透明化など、先行きに対する不確実性はより一層高まっております。その中で、当社が直面する主要課題の一つである労働力不足への対応として、特に、エネルギー・インフラ事業において、2024年問題による施工面および物流面への労働力不足に対し、「製品(ユニバーサルデザインの推進)」「人(サステナブル人材教育の確立)」「物流(ロジスティクスのDX推進)」の3つの視点から、省力化・省人化・作業効率化を推進し、着実に対策を推進しております。

 さらに、会社の対処すべき課題として、2025年2月7日に開示いたしました「持分法による投資損失および貸倒引当金繰入額(営業外費用)の計上ならびに業績予想の修正に関するお知らせ」に記載のとおり、中国の持分法適用会社の対応につきましては、中国の政府機関等と協力しながら対処に努めてまいります。

 

①セグメント別の状況および課題

各セグメントの状況および課題については以下のとおりであります。

(エネルギー・インフラ事業)

 エネルギー・インフラ事業は、国内の電力インフラ、建設関連向けの電線・ケーブル、免制震部材が主体の事業となっております。

 電力インフラ事業は、国土強靭化対策による底堅い需要に加えて、再生可能エネルギーへのシフト、データセンターの市場拡大や送配電網増強に伴う旺盛な需要に対し、主力製品である高電圧電力ケーブル用コネクタ「SICONEX®(サイコネックス)」の増産投資が旺盛な需要を捉え受注を拡大したことを受けて、2025年度からさらなる第二期増産投資に着手します。また、少子高齢化や2024年問題を背景とする施工作業員不足の課題に対しては、施工人財開発センターにてDX教材活用・模擬施設訓練・知識習得・現場OJTによる技術者の早期育成プログラムを実施して優秀な人材を確保してまいります。さらにスキルレスなユニバーサルデザインケーブルの浸透等をとおして省力化、省人化、作業効率化を推進することで旺盛な需要に対応できる体制を構築してまいります。

 国内の建設関連向け電線・ケーブル事業は、工事現場の働き方改革による大型案件の遅れや資材価格の高騰により、一時的に需要が調整局面にありますが、今後については、大型プラントやデータセンター向け案件が堅調に推移しており、需要は底堅く継続すると見込んでいます。合弁会社のSFCC㈱では、この調整期間を活用して三重事業所をマザー倉庫化して在庫管理を強化し、キャッシュ・フローの改善を図っていきます。さらに、顧客の購買利便性を高める営業支援ツール「Web Sales Office」の拡充などDXを通じた各種生産性向上施策を進め、さらなる収益改善に取り組んでまいります。

 

(電装・コンポーネンツ事業)

 電装・コンポーネンツ事業は、電線導体用の線材や汎用モータ用の巻線等の一般汎用製品と無酸素銅MiDIP®およびヒータ用銅合金線等の高品位線材や、環境対応車向け高機能巻線といった高機能製品が主体の事業となっておりますが、2025年度より通信・産業用デバイス事業とともに通信・コンポーネンツ事業として統合いたします。

 特にモビリティおよび半導体領域を成長分野とし、素材製品の付加価値をより高めるべく、2025年3月に㈱TOTOKUの株式を取得し子会社化いたしました。半導体製造工程などにおける両社の技術開発のほか、製造、営業・マーケティング等に係るリソースをクロスセルや共同開発により融合させることで、事業の成長を実現していきます。

 

(通信・産業用デバイス事業)

 通信・産業用デバイス事業は、通信ケーブル、家電や産業機器向けのワイヤハーネス、複写機向けデバイスが主体の事業となっておりますが、2025年度より電装・コンポーネンツ事業とともに通信・コンポーネンツ事業として統合いたします。

 通信ケーブルは、通信トラフィックの増大によるオフィスネットワーク向け需要の取り込みや海外のテレコム・データコム市場の拡大およびADAS市場拡大に伴う需要捕捉に注力してまいります。

 また、グローバルに事業を展開する㈱TOTOKUの技術開発、製造、営業・マーケティング等に係るリソースをクロスセルや共同開発により融合させることで、事業の成長を実現していきます。

 

(その他)

 インダストリ、ITを軸に新たな事業創出に向けて取り組みを推進しております。IT事業の強化としては、㈱アクシオにおいてクラウドでのID管理マネージドサービスを中心とするゼロトラスト事業の拡大を推進しております。また、当社グループでは、これまで培ってきた技能やデータとDXに関する技術やツールを掛け合わせ、新しいビジネスモデルを創出する「SWCC Smart Stream(スマートストリーム)事業」を推進してまいります。

 

②品質向上に向けた取り組み

 当社グループは、法令・規制、お客様との合意事項を遵守し、お客様に寄り添い、迅速な技術開発、サービスとものづくりを実現するため、グループ営業力を発揮して、お客様のニーズを確実に共有し、販・技・製一体での新たなサービスを提案するとともに、お客様に信頼いただける品質優先のものづくりを実現いたします。また、お客様、従業員、地域社会などのすべてのステークホルダーに満足を得られる品質活動を推進しております。

 また、品質におけるコンプライアンスに関し、法令・法規、お客様との合意事項を遵守することを基本方針とし、品質不正を防止するためのチェック機能の強化、品質コンプライアンス教育の拡充を進めるとともに、トップマネジメントと第一線の社員とのコミュニケーション強化として、タウンホールミーティングなどを実施しております。

 さらに、当社グループでは、2018年度より失敗コストの概念を導入し、品質向上に取り組んでおります。製品の企画・開発、設計、製造、検査、納入に至るまでのプロセスにおいて、品質管理体制を構築し、2026年度に品質起因による失敗コストを、2021年度比50%減とする目標の達成に向け取り組みを継続し、内部失敗コスト削減を重点的に取り組んでおります。

 あわせて、ものづくりの基盤強化にむけ、モノづくり人財開発センターおよび2035ファクトリーPJを新たに立ち上げるとともに、DX取り組みの一環として、品質データのデジタル化に取り組むことにより、検査記録および合否判定の自動化も進めております。品質データのデジタル化では、全社報告会をとおし各部門の取り組みを共有化することにより、全体のレベルアップを図っております。

 

(4)2025年度のグループ経営方針

 2025年度におきましても、先行き不透明な国際情勢を背景とした事業環境への影響は免れない状況が見込まれます。SWCCパーパスを軸に、多様性に富んだ従業員のエンゲージメント向上に取り組みながら、中期経営計画「Change & Growth SWCC 2026 ローリングプラン2024」の達成に向けた変革を着実に推進してまいります。あわせて、市場や経営環境の変化に応じて柔軟かつ迅速な意思決定と施策を実行することで、厳しい経営環境下においても経営体質の一層の強化と資本効率の向上を図り、持続的に成長する高収益企業を目指してまいります。こうした考えのもと、2025年度の当社グループの経営方針を以下のとおり定めております。

(ⅰ)「Change & Growth」のスローガンのもと、果断な構造改革と積極的な成長戦略の継続

(ⅱ)ROIC経営のさらなる高度化による、フリーキャッシュフローの最大化と資本効率向上

 

 

(ⅲ)安全・快適な職場づくりと業務改革に向けたIT戦略による、生産性の向上

(ⅳ)ゼロ災への強いこだわり「ご安全に!」、信頼に応える「品質遵守」の徹底

(ⅴ)新たな価値創造に向けた人材開発と現場改善の強化

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

 当社は、1936年の創業以来、社会インフラを支える企業としてさまざまな社会課題解決型ビジネスに取り組み、持続可能な社会の発展に貢献してまいりました。当社では、「サステナビリティ委員会」を設置し、「サステナビリティ基本方針」策定や「マテリアリティ(重要課題)」の特定など、サステナビリティ経営に向けた取り組みを推進するための体制構築や施策の展開を図っております。マテリアリティに紐づくKPIや施策は、経営戦略全般との整合性がとられており、事業戦略、財務戦略との三位一体で企業価値を高めてまいります。

 

(1)ガバナンス

 以下は、当社グループのサステナビリティ経営に係るガバナンス体制です。

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 当社グループは、グループの経営理念に基づき、環境・社会・ガバナンスなどの観点において持続可能な企業運営を行うべく、取締役会の諮問機関として、CEO 社長執行役員を委員長とし、委員長が任命する各事業セグメントおよび人事、環境、調達などを担当する執行役員・フェローで構成される、「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティに関する経営上の課題(※)について、事務局であるサステナビリティ推進部が事業部門・管理部門における課題や対応策を集約し、「サステナビリティ委員会」でそれらを協議し、機会やリスクにもとづく推進計画と進捗状況をまとめ、取締役会へ報告や提言を行っております。

(※)後述する、環境保全、気候変動、人的資本、人権尊重も含みます。

 

(2)戦略

 当社グループは、(1)ガバナンスに記載している体制のもと、サステナビリティへの対応は、経営戦略を遂行する上で重要視しており、基本方針の策定やマテリアリティの特定を行い、定期的な進捗確認を行っております。

①サステナビリティ戦略

 当社は、サステナビリティ推進体制の強化とともに、活動の基本となる「サステナビリティ基本方針」を策定しており、本方針のもと、さまざまな社会課題に対応する企業行動を実践しております。サステナビリティ基本方針は以下のとおりです。

(サステナビリティ基本方針)

 当社グループは、信頼とイノベーションにより、「社会課題の解決」と「企業価値向上」を図り、サステナブルで豊かな未来社会を創ります。

・優れた技術とイノベーションを通じ、お客さまへ高い品質の製品・サービスを提供します。

・クリーンでグリーンなエネルギーの普及を図り、地球環境の保全に努めます。

・「共感」「共存」「共栄」の精神で、地域やバリューチェーンとのつながりを大切にします。

・個性や多様性を活かした働き方を推し進め、エンゲージメントの向上を図ります。

・役職員の人間性と倫理観を高め、良き企業文化を醸成します。

 

②マテリアリティの特定

 当社グループでは、「サステナビリティ基本方針」に基づき「マテリアリティ」を特定し、サステナブル経営に向けた取り組みを加速させるための施策を展開しております。

 「マテリアリティ」は、当社とステークホルダーの双方に影響の大きい社会課題を抽出し優先課題を特定したもので、技術、環境、地域、人、ガバナンスによる5つのテーマがあり、それぞれの行動方針を以下のとおり定めております。

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 また、行動方針に基づき評価指標を設定し、指標ごとに中期および単年度目標を掲げ、目標達成に向け取り組んでおります。2022年度には16の指標を設定し、中期経営計画(Change & Growth 2026)に準じ、中期目標を2026年度としておりますが、環境に関するテーマは、第7次環境自主行動計画で目標とする2025年度としております。2025年度は㈱TOTOKUのグループインといったグループ再編を反映し、第8次環境自主行動計画の策定をはじめ、マテリアリティ全体の指標やKPIの見直しにも着手してまいります。

 

[環境保全の取り組み]

当社グループでは、環境理念および単年度の環境方針と重点テーマを定め、環境保全活動に取り組んでおります。また、環境中長期計画「Green Plan 2050」を掲げ、長期ビジョンおよび2030年度目標を実現するための5ヶ年計画として、第7次環境自主行動計画を推進しております。第7次環境自主行動計画では、日本国内のグループ全事業場を対象とし、地球温暖化防止、資源の有効活用、水資源の有効活用を柱に据え、事業活動を通じて排出される温室効果ガスや廃棄物を削減するとともに、資源の有効活用を図ることを推進しております。

イ 温室効果ガスの削減

 地球温暖化防止に関する指標は、COを代表とする温室効果ガスで示します。事業活動におけるCOの削減施策は、全社横断的なプロジェクトチーム「Green Energy Project」のもと、以下のような具体策を検討しております。

・省エネの深耕(設備更新、技術転換による生産方法見直し)

・自社内における創エネ(自家消費型太陽光発電の導入)

・非化石由来のエネルギー(燃料、電気)調達によるカーボンオフセット

 また、プロジェクトでは、現状グループ内で排出するScope1(燃料)、Scope2(電気)の削減に取り組んでおりますが、今後は、Scope3(サプライチェーン)の中でも影響度の大きいカテゴリ1(購入した製品・サービス)の排出量削減にも取り組んでまいります。

ロ 資源の有効活用

 限りある資源を有効活用し、生産活動によって排出されるさまざまな廃棄物を削減するとともに、さらに廃棄されたものが埋立等の最終処分とならないよう、廃棄物の解体・分別を促進し、電線・ケーブルの生産過程で生じた廃プラスチックに関しては、サーマル利用に加え、マテリアル再生を図るなど資源循環に取り組んでおります。

 また、生産活動で使用される水についても、冷却水の循環利用や漏水等の点検を進め、投入量の削減に取り組んでおります。

 

[気候変動への対応]

 当社は、2022年5月、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明しました。気候変動は、事業活動にとってリスクとなる一方、収益機会の獲得にもつながります。当社は、これら気候変動に関するリスク・機会の特定と対処が経営上の重要課題であるという認識のもと、TCFDの提言に沿って、気候変動関連リスク・機会に関する「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4項目について積極的な情報開示を進めており、脱炭素社会に向けた重要指標にCO排出量を掲げ、2030年度までにCO排出量(Scope1+Scope2)を2013年度比50%減とする目標を掲げました。

 また、戦略の分野においては、事業セグメントごとに「1.5℃シナリオ(脱炭素社会実現シナリオ)」と「4℃シナリオ(温暖化進展シナリオ)」の2つのシナリオ下でリスク・機会を分析し、事業への影響および今後の対応策をまとめております。

 シナリオ分析および主要セグメントにおけるリスク・機会の詳細はこちらをご覧ください。

https://www.swcc.co.jp/jpn/news/images/240830AA_PRESS_RELEASE.pdf

 

[人的資本戦略およびその取り組み]

 当社グループでは、経営戦略を踏まえ「変革」「挑戦」「成長」を人事戦略の柱に、組織風土の刷新、人的資本投資の仕組みづくり等の課題に取り組んでおります。省人化・オートメーション化により年齢、性別に関係なく活躍できる製造現場への変革を進め、研修制度やキャリア形成の仕組みを高度化し、1人当たりの収益性向上による平均年収の向上につなげてまいります。また、従業員持株会制度活性化により、社員と会社の価値共有も進めております。当社は今後もこれまで取り組んできた人的資本経営をさらに推し進め、「ひとが輝く」企業を目指します。

 当社グループは、「マテリアリティ」における3つの行動指針に従い、以下のような取り組みを行っております。

イ 多様な人材活用の促進(DE&I(Diversity, Equity & Inclusion))

 多様な考え方や経験、働き方を受け入れ、組織運営に活かしていくダイバーシティ経営が不可欠であり、年齢、性別、国籍を問わず能力を十分に発揮していくための機会と制度を整えることが必要であると考えております。

 2021年4月には「女性活躍推進プロジェクト」を発足し、女性のキャリア形成の支援および意識醸成と啓発活動を推進しており、管理職における女性比率を高めていくことを目標としております。2022年度以降、理工系分野に興味のある女子中高生らを対象に当社グループの職場見学会や女性エンジニアとの交流を行う「理工チャレンジ(リコチャレ)」にも参画しています。2023年4月からは同プロジェクトを「ダイバーシティ推進プロジェクト」へと進化させ、広くアンコンシャス・バイアスへの気づきを与える取り組みを推進しております。

 

ロ みらいへの人材育成

 人材育成につきましては、当社グループが求める人材像である「先見性とバランス感覚を備え、変革やリスクを恐れないチャレンジ精神を持ったリーダー」、「高度な専門知識・技術・独創性を持って社会的な課題を解決できるプロ人材」、「信頼を重んじ、公平さと高い倫理観を持って行動できる社会人」となるような人材を育成していくために以下の施策を行っております。

 

 

カテゴリ

テーマ

施策

人材

外部からの刺激を受け、挑戦するためのマインドセットの実施

・サクセッションプラン(研修)

・異業種交流研修

・各種セミナー・階層別研修

・外部人材の獲得と育成

場の提供

多様な人材のアイデアを実現する場の提供

・社長直轄プロジェクト

・提案制度

・SWCCグループ社内ベンチャー制度

・技術報告会・KAⅠZEN発表会

・各種eラーニング等の提供

時間

新たな価値創造に取り組む時間の確保

・シェアードサービス化の推進

・SPS活動(改善・全体最適)

・どこでもワーク(テレワーク推進他)

 また、構造改革の推進や成長フェーズへの移行に際し、求められる人材スキルの変化に対応する人材を確保するため、以下のような人事制度を導入しております。

・必要な特定スキルを持つ即戦力人材、高度専門人材のいわゆる「ジョブ型採用」の強化

・シニア・エルダー社員に対する処遇の改善による次世代への事業継承の強化

・適所適材配置の実現のため、ジョブチャレンジ制度・社内公募制度といった会社と従業員の要望をマッチングさせる制度の拡充

・様々な施策の実現と多様性を発揮できる組織となるために、アルムナイ採用の促進、第二新卒の採用拡大、内定辞退者への就職支援のための就職ファストパス制度の拡充

・挑戦する従業員の努力や成果がより適正に反映される処遇制度

・自律・学習する社員に対する資格報奨金の支給拡充やeラーニング等の学びの場の提供

 

ハ エンゲージメントの向上(働きがいのある仕事・職場づくり)

 当社グループでは、経営戦略に紐づく人事戦略を展開するうえで、エンゲージメントの向上が最重要課題との認識のもと、新たに役員報酬の評価項目に加えるとともに、社内の環境整備に力を入れております。当社グループが行っている社内環境整備は以下のとおりであります。

(エンゲージメントの向上に関する施策)

 2024年度は、2023年度より福利厚生サービスの拡充や健康経営の推進など、社員満足度向上に重点を置いた施策を実施し、引き続き、過去最高益達成につなげることができました。2024年度はより一層の社員満足度向上とさらなる発展につなげるため、満足度向上の測定から、会社への貢献意欲を測定することの重要性を考慮し、エンゲージメントの測定を専門とした調査会社に刷新し、測定を行いました。

 2025年度は、前年度のエンゲージメントの調査結果をふまえ、測定結果に応じた改善施策をさらに導入していきます。引き続き、SWCCパーパスをグループ全体でより深く共有・浸透させ、「変革や挑戦をおそれないマインドセットへの転換」を推進するとともに、経営と現場の対話をさらに深め、各職場のエンゲージメント向上のためのPDCAを回す仕組みを構築してまいります。

 また、エンゲージメント向上が人事戦略の3つの柱である「終わりなき変革」「新たな挑戦」「持続的成長」を推進するプラットフォームであるとの認識のもと、これらを可視化する指標・KPIを設定し、管理していく予定です。

 

(教育による人的資本価値向上に向けた施策)

 2024年度における従業員一人当たりの年間研修時間は、2023年度の平均16時間から23時間へと増加し、約1.4倍となりました。当社は、2026年度までに「社員一人当たり年間40時間以上の研修・学習時間の確保」を目標として掲げており、その内訳として、会社主催による学習時間を25時間、自律的な学習時間を15時間と設定しております。この目標の達成に向けて、部門単位での学習活動を方針展開に基づき新たに管理対象とし、あわせて社員個人の自律型学習時間を目標管理制度に組み込むことで、運用体制の強化を図っております。さらに、部門および個人の学習目標の達成を支援するため、資格報奨金制度における対象資格の拡充および取得促進を進めるとともに、eラーニングの内容を充実させることで、学習機会のさらなる拡大を図っております。

(健康保持増進に関する施策)

 健康経営は、企業の持続的な成長を図るための経営戦略の一つであり、従業員の心身の健康保持増進は、健全かつ優秀な人材の安定した確保に基づく労働生産性の向上・従業員の創造性向上等による企業競争力強化への寄与が期待できることから、2023年4月に、SWCCグループ「健康経営宣言」を発出し、着実に当社グループの健康課題の解決を図っております。

 また、グループ各社・各拠点および健康保険組合との連携のもとで健康経営を推進すべくグループ横断の組織として衛生分科会を設置し、継続的なフォローを実施しております。

 当事業年度に実施した主な取り組みは以下のとおりです。

<主な取り組み(2024年度)>

1)健康増進の支援活動

・健康教育の提供(保健師による講習会、eラーニングなど)

・産業医によるラインケアサポート

2)受動喫煙の防止

・段階的に禁煙化を実施(2024年4月1日より敷地内全面禁煙化)

・健康保険組合による禁煙外来補助の実施

 

[人権尊重への対応]

 2024年1月に、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、「国際人権章典」、「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」などの国際規範を支持し、新たに「SWCCグループ人権方針」を策定しました。本方針は、当社グループすべての役職員に対して適用するとともに、当社グループの事業活動に関わるサプライヤーを含むビジネスパートナーに対しても、内容への理解や支持を期待し、人権尊重への取り組みを求めております。

 「SWCCグループ人権方針」では、人権尊重への取り組み項目として、(1)差別の禁止、(2)強制労働、児童労働の禁止、(3)ハラスメントの禁止、(4)平等な機会の提供、(5)労働基本権の尊重、(6)労働安全衛生を掲げており、当社グループが直接・間接的に影響を及ぼす可能性のある人権への負の影響を特定し、防止・軽減を図るとともに、その取り組みの実効性を評価しております。こうした人権デュー・ディリジェンスの状況は、半期毎にリスクマネジメント委員会に集約され、取締役会へ報告します。また、人権侵害が生じた場合には是正と救済を行うとともに、未然防止を図るため役職員に対する定期的な教育・啓発も進めてまいります。

 

(3)リスク管理

 当社グループの全社的なリスクマネジメントに関しては、「リスクマネジメント委員会」を中心とするリスクマネジメント体制を整備しております。具体的には、取締役会の諮問機関として、CEO 社長執行役員を委員長とし、委員長が任命する当社の執行役員・フェローで構成されるリスクマネジメント委員会にて、事業部門で実施したリスクの評価や対応策を議論のうえ、リスクマネジメント計画やリスク施策の進捗管理を実施し取締役会に報告を行っております。また、リスク統括部門として法務・コンプライアンス部内にリスクマネジメント部門を設置し、規則・ガイドラインの制定、教育研修およびモニタリングの実施等、グループ全体のリスク管理を統括し、事業の継続発展のために不可欠な全社的なリスクマネジメント体制の強化を図っております。

 さらに、事業部門や管理部門で定常的に発生するリスクへ迅速に対応するため、リスク事象が発生した場合に担当部門よりリスク統括部門へ迅速にリスク情報を提供する仕組みとなる「リスク一報制度」を運営しており、報告されたリスク事象のうち緊急かつ重大な事象についてはリスクマネジメント委員や常勤監査等委員と情報共有しながら適切な初期対応を取ることで、グループ経営への影響を最小化するべく取り組んでおります。

 また、環境、社会、ガバナンス関連のリスクについては、サステナビリティ委員会の事務局であるサステナビリティ推進部とも連携・情報共有を図っております。サステナビリティ委員会は全社的な「リスク」と「機会」について対応方法を検討し、審議内容を定期的(年2回以上)に取締役会に報告しております。

 なお、優先度の高い事業リスクの抽出とともに、「気候変動」に関するリスク管理、「人権尊重」に関するデュー・ディリジェンスは当体制内で扱っております。

 

(4)指標及び目標

 当社グループの5つのマテリアリティテーマのうち、「環境」(気候変動を含む)と「人」に関する取り組みにおける指標およびKPIは以下のとおりです。

〔環境〕「地球にやさしい」

<マテリアリティ指標およびKPI>

指標・KPI

2024年度実績

2025年度計画

2030年度目標

2024年度所見と2025年度施策

温室効果ガス(CO)排出量

(燃料+電気)

2013年度比

50%減

2013年度比

50%減

(当初目標は45%減)

2013年度比

50%減

(目標を見直し予定)

2024年度は、各拠点での電力使用量および燃料使用量の削減とグリーン電力の導入拡大が進み、CO2排出量削減実績が2030年度目標値に到達した。2025年度はCO2削減への活動は維持しつつ、太陽光発電の増設や非化石由来の電気活用など再エネ導入率を高めていく。

再生可能エネルギーの社内導入率

(非化石由来のエネルギーを含む)

24%

30%

50%

廃棄物の

最終処分量

2018年度比

90%減

2018年度比

90%減

(当初目標は80%減)

2018年度比

85%減

(目標を見直し予定)

2024年度は、埋立から各種リサイクルへの転換を積極的に進め、最終処分量の削減が進み目標を上回る実績となった。2025年度も活動量増加による排出量の増加は想定されるも、製品設計から廃棄までの環境配慮の取り組みを継続し、資源循環を推し進める。

水使用量

2018年度比

35%減

2018年度比

35%減

(当初目標は25%減)

2018年度比

50%減

2024年度は、循環水への転換などにより使用量の多い拠点での削減が進展したことから、前年度より大幅に使用量を削減できた。2025年度以降も、循環利用、ムダ取り等により削減を図るが、引き続き活動量増加による影響が見込まれるため、2030年度目標について懸念があり、目標値の見直しも検討している。

 

 

〔人〕「ひとが輝く」

<マテリアリティ指標およびKPI>

指標・KPI

2024年度実績

2025年度計画

2026年度目標

2024年度所見と2025年度施策

管理職に占める

女性比率

7

8

8%

2024年度はSWCCarat(カラット)の活動として、従来の女性社員向けの研修のほか、アンコンシャス・バイアスへの気づき・理解促進のため、ハンドブックの発刊・同内容をテーマとしたワークショップを開催した。2025年度も同様の取り組みを継続するとともに、女性母集団拡大のため大学とのコネクションを強化する。

課長職以上に占める

女性比率

5

8

10%

従業員1人あたり

年平均研修時間

23時間

30時間

40時間

2024年度は、エキスパート向けの研修を拡充した。モノづくり人財開発センターで技術者向けの研修体系を充実させた。2025年度は技能職向けキャラバンとeラーニングを新設し、体制を強化する。総合職・業務職は、eラーニングを軸としたSWCC研修通信の定期発信による自律学習の支援と、キャリア向けの研修を開催し、組織文化醸成の強化を図る。社員の自律を推進していく取り組みとして方針展開(部門)と目標管理(個人)に「自律型学習」の項目を設定し、部門・個人の教育時間を管理していく。

 

 

指標・KPI

2024年度実績

2025年度計画

2026年度目標

2024年度所見と2025年度施策

休業災害度数率

0.66

0.23

0.23

2024年度は、休業災害は減少したが、軽微な災害が微増であった。安全衛生活動診断、教育、職場巡視を実行し、従業員の安全意識を高めるとともに、リスクアセス活動により安心・安全な職場環境を構築する。

エンゲージメント

スコア

44

45

46以上

2024年度はエンゲージメント向上施策を加速させるため、調査会社の変更を行った。さらに恒久的な取り組みとするため、2026年度目標を再設定した。2025年度は横断的な施策として「施設環境」「評価基準の透明性」の向上に取り組むほか、現場ごとに個別課題を取り上げ、解決に取り組む。長期目標をスコア55とし、実現に向けた施策を展開していく。

(注)上記指標・KPIのうち、「管理職に占める女性比率」は、当社における全管理職を対象とした女性の全管理職の割合を計算しております。また、「課長職以上に占める女性比率」は、当社における課長職以上の労働者を対象とした女性の課長職以上の労働者の割合を計算しております。なお、「課長職以上に占める女性比率」は、「第1 企業の概況 5従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております「管理職に占める女性労働者の割合」と同じものを指しております。

 

<KPI選定の理由と財務的な影響への認識>

 ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンへの取り組みやエンゲージメントスコアを高めることが、若手をはじめとする優秀な人材確保と1人あたりの生産性向上につながり、ひいては当社の変革と成長を推し進めこれまでにない成長のステージを実現することにつながると認識しております。

 

3【事業等のリスク】

 文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループにおいて、リスクとは、経営の目的の達成を阻害する潜在的な要因であると定義しております。

 また、リスクを適切に管理することは、経営上極めて重要な課題であるとの認識のもと、当社グループはリスクマネジメント委員会を中心とするリスクマネジメント体制を整備しております。当社グループのリスクマネジメント体制については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。

 リスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主要リスクについては、本委員会にてリスクを識別、分析、評価をして判断しております。具体的には、グループ各社から挙げられたリスクを影響度、発生可能性、リスク管理の脆弱性(リスクが顕在化した場合にその影響をコントロールできているか)の評価軸からリスク軽減策を実施してもなお残存するリスクを数値化して定量的に分析を行い、その上で当社グループとして重要な影響を及ぼす可能性があるリスクを主要リスクとして特定しております。また、「サステナビリティ基本方針」に基づきマテリアリティを定めていることから、それらとの関連付けやコーポレート部門で認識したリスクについても追加の上、全社的に主要リスクへの対策を行っております。なお、マテリアリティに関する詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。

 ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクもあります。それらのリスク要因のいずれによっても、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があります。なお、米国の関税政策に関しては、当社グループ全体において米国への直接および間接輸出の割合は低いことから、業績への影響は限定的であると想定しておりますが、今後も継続して事業への影響を確認し、適切な対応を取ってまいります。

 主要リスクとしては、以下のようなものがあります。

 

主要リスク

リスク項目

マテリアリティ

認識しているリスク内容

主要な取り組み

残存するリスク

自然災害等

・地球にやさしい

 

〇以下の自然災害等による製造拠点の操業停止や物流機能の麻痺等

・大規模な地震・台風・洪水等の自然災害

・事前に想定されるリスクに対して円滑な初期対応を講じるために、BCP(事業継続計画)を策定、見直し

・製造拠点ではインフラ設備の強靭化投資を計画的に実施

・災害保険の付保

・想定を超えた自然災害等により電力不足・物流の停滞等が生じ、社会インフラ機能そのものの低下が長期化する等、計画的な生産活動に大幅な制限が生じた場合の業績等への重要な影響

原材料・エネルギー価格変動

・みらいを創る

・地球にやさしい

 

〇主要原料の銅の価格変動

〇ポリエチレン等の石油化学製品の価格変動

 

・グループ調達本部による管理強化

・計画的な安定調達実施による在庫削減

・製品価格へのスライド転嫁

・先物取引等を活用した銅価格変動リスクヘッジ

・調達先の多様化、複数購買の推進によるリスク低減

・省エネ設備の導入

・製品価格への転嫁が困難な場合や相場が大きく下落する局面で、損失が生じた場合の業績等への重要な影響

 

 

 

リスク項目

マテリアリティ

認識しているリスク内容

主要な取り組み

残存するリスク

人材の確保および

育成

・ひとが輝く

〇営業機会の損失

〇製造の技能承継困難による事業継続への影響

〇製品やサービスの品質低下

〇成長機会の逸失による業績目標達成への影響

主要な取り組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。

・組織編制上の制約や事業上の機会の逸失による業績等への重要な影響

サプライチェーン寸断・喪失

・ともに生きる

 

〇サプライチェーンの寸断・喪失による原材料供給の停止、遅延

・調達先の多様化、複数購買の推進によるリスク低減

・代替品の確保

・調達先の個別管理徹底(廃業、事業撤退リスク管理)

・原材料調達の停止、遅延による事業活動や業績への影響

・調達難に起因する調達コストの増大

サイバーセキュリティ

・より良き企業に

〇サイバー攻撃、情報漏洩、システム障害による知的財産や顧客情報その他の機密情報の損失、レピュテーションの毀損

・CSIRTの設置、モニタリング

・年2回の訓練を通したイン

 シデント発生時の情報伝達体制の確認

・サイバーセキュリティ保険の付保

・未知の攻撃に晒された

場合の機密情報の損失やレピュテーションの毀損

・保険適用外の損失の発生

品質問題

・より良き企業に

〇品質問題の発生(欠陥、不良品)

〇各種規格、法令、お客様との取り決め等に違反する製品の製造・販売

・品質統括部門によるモニタリング、監査統括部による監査

・品質保証業務のデジタル化推進による品質管理徹底、不正防止

・全社的教育プログラムの展開

・品質部門の人財確保・育成

・賠償保険の付保

・品質問題に起因する損失補償や製造物責任訴訟等

・品質問題による信頼失墜、レピュテーションの毀損

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産合計は1,977億7百万円で、前連結会計年度末より361億24百万円増加しております。その内訳としては、流動資産の増加160億96百万円、固定資産の増加200億28百万円であります。流動資産の増加は、主に現金および預金、売掛金が増加したことによるものであります。固定資産の増加は、主に㈱TOTOKUの株式取得に伴うのれんを計上したことによるものであります。

 当連結会計年度末における負債合計は1,120億89百万円で、前連結会計年度末より276億32百万円増加しております。その内訳としては、流動負債の増加334億62百万円、固定負債の減少58億30百万円であります。流動負債の増加は、主に㈱TOTOKUの株式取得に伴い借入金が増加したことによるものであります。固定負債の減少は、主に長期借入金が減少したことによるものであります。

 当連結会計年度末における純資産の合計は856億18百万円で、前連結会計年度末より84億92百万円増加しております。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益114億円を計上したことによるものであります。

 当連結会計年度末の有利子負債は547億29百万円となり前連結会計年度末より244億46百万円増加しました。自己資本比率は前連結会計年度比で4.7ポイント減の42.3%となりました。その結果、DEレシオは当連結会計年度末で65%となり、前連結会計年度比で25ポイントの増加となりました。

 

②経営成績の状況

 当社グループを取り巻く事業環境につきましては、物価と賃金が上昇する好循環を背景に景気は緩やかな回復を見せましたが、2024年問題を背景とする労働力不足や物資高騰などが懸念される状況で推移いたしました。また、2025年に入ってからは、米国の関税政策をはじめとする経済政策動向、不安定な国際情勢など、依然先行き不透明な状況が続いております。しかしながら、国内電力インフラ向けは、脱炭素社会の実現に向けた取り組みや、半導体・デジタル分野への投資拡大、さらに工事の年間平準化の進展も相まって、好調に推移しました。また、国内建設関連向けについては、当初想定していた前年度の電線需給逼迫からの反動は見られず、堅調に推移しました。一方で、自動車関連市場では、一部国内自動車メーカーの生産・出荷停止による調整局面等の影響が続きました。

 このような環境下、当社グループの当連結会計年度の売上高は2,378億62百万円(前年度比11.2%増)、営業利益は209億35百万円(前年度比63.2%増)、経常利益は持分法適用会社に対する投資損失と債権の貸倒リスクを勘案し最大限引当を行ったことなどが影響し112億72百万円(前年度比7.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は114億円(前年度比29.0%増)となりました。

 次にセグメントの状況をご説明いたします。

 

(エネルギー・インフラ事業)

 電力インフラ向けは、戦略製品であるSICONEX®の増産投資が旺盛な需要を捉え、受注を拡大しました。さらに電力会社のレベニューキャップ対応や施工人員の適正確保を目的とする工事案件の年間平準化を背景とする構造的な収益改善に加え、年間を通じて工事案件の受注が高まったことから、大幅な増収増益となりました。また、国内建設関連向けは、エネルギー・原材料等の価格高騰を織り込んだ販売価格見直しに加え、DX推進や各種生産性向上の施策を進め、堅調に推移した需要を捕捉しました。これらの結果、当事業における売上高は1,412億10百万円(前年度比14.6%増)、営業利益は180億63百万円(前年度比68.8%増)となりました。

 

(電装・コンポーネンツ事業)

 xEV向け高機能製品は、一部国内自動車メーカーの生産・出荷停止による調整局面が続き、低調に推移しました。一方で一般汎用巻線については、重電向けが概ね堅調に推移するも、産業機械向けは低調に推移しました。これらの結果、当事業における売上高は567億61百万円(前年度比2.7%増)、営業利益は13億98百万円(前年度比14.1%減)となりました。

 

(通信・産業用デバイス事業)

 通信ケーブルは販売価格見直しの効果に加え、データセンターを含む建設関連向けと車載高速通信ケーブルの需要が堅調に推移しました。また、事務機器用ローラについても、収益改善の取り組み効果に加え、個人、オフィス向けのほか産業向けの需要回復に伴い堅調に推移しました。一方で、ワイヤハーネスは、日系家電メーカーの国内および中国での販売不振の影響が続きました。これらの結果、当事業における売上高は351億16百万円(前年度比14.3%増)、営業利益は27億82百万円(前年度比101.4%増)となりました。

 

(その他)

 売上高は47億75百万円(前年度比2.1%増)、営業利益は4億78百万円(前年度比139.3%増)となりました。

(注) 上記、各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高または振替高を含めておりません。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、191億53百万円となり、前連結会計年度末に比べ119億26百万円増加しております。

 営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益207億44百万円が計上され、棚卸資産が増加したこと等により131億12百万円の収入(前期比46億28百万円収入減)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、㈱TOTOKUの株式取得による連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出、有形固定資産の取得による支出、有形固定資産の売却による収入等により71百万円の収入(前期比9億49百万円収入減)となり、フリーキャッシュ・フローは131億83百万円のプラスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により14億51百万円の支出(前期比141億75百万円支出減)となりました。

 

④生産、受注および販売の状況

 当社および連結子会社の生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も含まれるため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため、生産、受注および販売の状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。なお、主要な販売先については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (セグメント情報等) 関連情報 3 主要な顧客ごとの情報」に記載のとおりであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。当該連結財務諸表の作成に当たっては、資産、負債、損益の計上金額ならびに関連する偶発資産および偶発債務の開示に影響する見積りを用いております。過去の実績や見積り時点で取得可能な情報に基づき、合理的と考えられる様々な要因を考慮し見積りを行っておりますが、当該見積りに基づく計上金額や開示額は実際の結果と異なる場合があります。

 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

 当社グループの連結会計年度における売上高は、xEV関連市場、産業機械向けおよび白物家電市場における需要は低迷するも、電力インフラ市場において、戦略製品であるSICONEX®の増産投資が旺盛な需要を捉え、受注を拡大したほか、通信ケーブル市場向けは、データセンターを含む建設関連向けと車載高速通信ケーブルの需要が堅調に推移し、前年度比で増収となりました。営業利益については、原材料・エネルギーコストの上昇を、販売価格への転嫁や各種収益力改善の取り組みによりカバーし、前年度比で増益となりました。

③経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、2022年度を起点とし2026年度を最終年度とする中期経営計画「Change & Growth SWCC 2026」を2021年11月に公表しました。2024年5月には、2年間の進捗と足元の事業環境変化を織り込んだ「Change & Growth SWCC 2026 ローリングプラン2024」を公表しています。ローリングプランでは、3つの基盤事業の強化に伴うオーガニック成長を見込み、2026年度の利益目標をアップサイドに見直しましたが、当連結会計年度において、エネルギー・インフラ事業の事業環境が想定以上に好調であり、計画を大きく上回り推移したことから、2025年2月、2026年度の営業利益および株主還元の目標をさらに上方修正しています。

 事業別の経営戦略と今後の見通しについては、エネルギー・インフラ事業のうち電力インフラ向けは、脱炭素社会の進展を背景に、電力網の強靱化や再生可能エネルギー関連が引き続き好調に推移すると見込まれます。当社グループでは、この事業を成長牽引事業と位置付けており、2023年度に増産投資した戦略製品であるSICONEX®の生産能力の最大活用による売上拡大に加え、2025年度に第二期の増産投資に着手いたします。また建設関連は、底堅い需要が見通せるものの、工事現場の働き方改革による工程および竣工の遅れや、資材価格高騰による建設計画の見直し等による需要の調整が想定されることから、キャッシュ創出力を向上すべく、当社グループを横断した、あらたな営業サービスの提供や物流改革等に取り組みます。一方、電装・コンポーネンツ事業と通信・産業用デバイス事業は、次期連結会計年度より通信・コンポーネンツ事業として統合し、エネルギー・インフラ事業に並ぶ、あらたな成長の柱として事業拡大を目指します。特にモビリティおよび半導体領域を成長分野とし、素材製品の付加価値をより高める川下戦略を展開していますが、これをより加速すべく、2025年3月に㈱TOTOKUの株式を取得し子会社化いたしました。㈱TOTOKUは、「細く、軽く、小さく」を実現する独自の技術とノウハウに基づく高い競争優位性を有する製品群を抱えており、今後も高い成長が見込まれます。これらの製品群について、両社グループ共通の成長領域において技術開発、製造、営業・マーケティング等に係るリソースをクロスセルや共同開発により融合させることで、通信・コンポーネンツ事業の成長を実現させていきます。

 なお、足元にて不透明感が増している米国の関税政策に関しては、当社グループ全体において米国への直接および間接輸出の割合は低いことから、業績への影響は限定的であると想定し、現時点において、次期連結会計年度の業績予想には、この影響額を織り込んでおりませんが、今後も継続して事業への影響を確認し、適切な対応を取ってまいります。

 

⑤経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑥資本の財源および資金の流動性について

 当社グループは、安定した財務基盤の強化に努めつつ、中長期的な将来の成長に向け、現中計において企業価値を高めていくために必要な成長投資や戦略製品の増産投資等にキャッシュ・フローを戦略的に振り向けてまいりました。これらの投資等のための所要資金は事業で創出されるキャッシュ・フローを充当することを主とし、金融情勢や金利水準などを考慮しながら、資金需要に応じた調達に努めております。

 また、資金の流動性を確保するために、金融機関とコミットメントラインを締結するとともに、当連結会計年度末現在においては、㈱日本格付研究所(JCR)より「A-格」の格付を取得しております。また、急激な市況変動や非鉄金属相場の変動等に備えるため、手元資金は事業継続に必要な適正水準を維持する方針としております。

 今後も引き続き、収益力強化および資本効率の向上を通じたキャッシュ創出力の維持・強化により企業価値向上を実現し、株主還元の充実をはかってまいります。

 

5【重要な契約等】

(1)不動産売買契約の締結

 当社は、経営資源の有効活用を図り、成長投資の資金需要等に備えるため、2024年11月27日、以下の固定資産(土地)を大和ハウス工業㈱に譲渡する不動産売買契約を締結し、2024年11月28日に引渡しを実施いたしました。

資産の名称および所在地

譲渡価額

帳簿価額

売却益

現況

土地 33,565.75㎡

神奈川県相模原市中央区南橋本4丁目

1番1の一部

(注)

(注)

73億円

当社相模原事業所敷地

(115,000㎡)内の南側

道路に面した区画

(注) 譲渡価額および帳簿価額につきましては、譲渡先との取り決めにより公表を控えさせていただきますが、競争入札による適正な価格での譲渡となります。

 

(2)株式の取得による子会社化

 当社は、2025年2月21日開催の取締役会において、㈱日本政策投資銀行と共同で、㈱TOTOKUの発行済み株式のすべてを取得して同社を連結子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。なお、当社は、2025年3月27日付で、㈱日本政策投資銀行と共同で、同社の全株式を取得しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 企業結合等関係」に記載のとおりであります。

6【研究開発活動】

 当社グループは、「いま、あたらしいことを。いつか、あたりまえになることへ。」のSWCCパーパスのもと、ソリューション提案型のメーカーへの進化を目指し、持続可能な社会に向けた課題解決や未来社会に貢献する研究開発を実行しております。

 基盤事業であるエネルギー・インフラ事業、電装・コンポーネンツ事業、通信・産業用デバイス事業では、高い公共性を有するインフラ、モビリティ分野に大きく関わる新製品やサービスの開発を進めております。また、次世代のビジネス領域を切り拓く既存事業と新しい領域をかけ合せ、あらたな優位性を創出する技術・研究開発を推進しております。

 当連結会計年度における、当社グループの研究開発費は総額1,991百万円であり、その成果は次のとおりであります。

 (エネルギー・インフラ事業)

 当事業における研究開発活動は、SWCC㈱、冨士電線㈱および㈱昭和サイエンスを中心に進められております。

 電力事業分野では、当社戦略製品である高電圧電力ケーブル用コネクタ「SICONEX®(サイコネックス)」を核とし、主に変電所に対し、ケーブル・機器部品・接続工事システム「SICOPLUS®(サイコプラス)」を展開しています。154kVクラスのT形終端接続部を開発、リリースし、主力製品であるSICONEX®のラインナップを拡充しました。本製品は変電所で使用される機器の省スペース化や接続工事の省力化に大きく寄与が見込まれ今後の適用拡大が期待できます。

 免震分野では、(一社)日本ゴム工業会と(一社)日本免震構造協会の共同プロジェクト「実大動的特性評価委員会」に参加し、大サイズ免震製品用試験機E-Isolationで当社製積層ゴムの動的特性が評価されました。大学および建設会社との積層ゴムや弾性すべり支承の共同研究も継続しており、成果を(一社)日本建築学会等で発表しました。これらの知見は今後、災害に有効な免震構造の発展に活用される予定です。

 除振分野では、半導体ウエハ検査装置向けアクティブ除振台の開発に注力しています。検査装置内のウエハを搭載するステージは検査効率を上げるため移動加速度が高まると同時にステージ移動時の衝撃を素早く減衰させる除振台の要求が増しています。高い制御推力と応答速度を持つVCMを搭載したアクティブ除振台を開発中であり、リリースの予定です。

 当事業に係る研究開発費は480百万円であります。

 

(電装・コンポーネンツ事業)

 当事業における研究開発活動は、SWCC㈱にて進められております。

 モビリティ分野では、サーキュラーエコノミー実現に向けグリーン車載巻線の開発をしております。導体と絶縁材料のリサイクルの技術検証や高効率な製造システムの導入を進めています。また、耐火性能を求められる車載バスバー用に耐火被覆付き平角線を車メーカーや部品メーカーに試供品を提供し、量産車への採用に向け活動を進めております。

 半導体分野では、すでに検査装置用ピン材として市場投入している銅銀合金の極細線を、高強度、高導電性といった優位性をいかし、ピン加工への展開も進めております。

 国立大学法人東京大学が中心に進めている日本初電動車への走行中給電公道実証実験にて非接触コイルユニットが採用され実証試験中です。また本技術は、大阪万博のEVバス用ワイヤレス給電コイルユニットに採用されました。

 当事業に係る研究開発費は288百万円であります。

 

(通信・産業用デバイス事業)

 当事業における研究開発活動は、SWCC㈱および冨士電線㈱を中心に進められております。

 メタルLANケーブルでは、細径・軽量化した超細径導体10G伝送用Cat.6Aの型のLANケーブルをビル用途向けに、そして耐屈曲・高遮へい機能を付加し産業用途向けに開発し、「FLANTEC®(フランテック)」のラインアップを拡充しました。

 また、モビリティ分野では車載用STQ(Shielded Twist Quad)高速伝送ケーブルに続き、より軽量な車載用同軸ケーブルの開発を進めております。

 光通信分野では、生成AIの適用拡大に従いデータセンターの建設が進展する中、各種機器の小型化、ケーブルの細径化・軽量化・高密度化が可能な戦略商品である光ローラブルリボン「e-Ribbon®(イーリボン)」のラインナップ拡充を図り、各国・各用途に合わせた、さらなる製品開発・ラインナップ拡充を進めてまいりました。

 当事業に係る研究開発費は129百万円であります。

(その他)

 当事業における研究開発活動は、SWCC㈱および㈱アクシオを中心に進められております。

 Smart Streamでは、電力インフラ業界での「作業安全・技能継承・業務効率化」の課題を解決するDXソリューションのADTPS®(Advanced Digital Transporter System)を開発しました。これは、仮想と現実の融合空間に3Dホログラム映像を組み込み、かつリアルタイムに離れた空間に体験者を“転送”します。本技術はマンホール内や鉄塔上などの点検に活用可能です。

 ICT分野では、クラウドID管理の分野で、㈱アクシオの提供サービスである『Keyspider』に加え、会社間出向や異動後の引継ぎ対応など日本特有の複雑なIDライフサイクル要件に対して、より確実なIDガバナンスを実現するため、新たに「Keyspider Plus」のサービスを開始し、更に機能の拡張・向上のために開発を進めています。

 国立大学法人東北大学に設置した「SWCC×東北大学 高機能金属共創研究所」を通じて、銅合金や超電導などの共同研究を開始しました。本研究成果は、関係学会等で発表していく予定です。また、超電導では、大電力・大電流の送配電において、省エネ効果がある超電導ケーブルシステムの開発や、NEDO委託事業の航空機用超電導推進システム用途の細径・軽量な超電導ケーブルや高強度線材の開発を進めております。

 当事業に係る研究開発費は1,092百万円であります。