第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、年初からの円高や新興国の経済減速など企業収益の下振れリスクが増大しました。こうしたなか、当社グループの海外市場は全体的に伸び悩みましたが、国内の放送市場・電設市場における大型物件の受注など国内販売が好調で全体の業績を牽引しました。

 このようななか、当社グループは、前期に引き続き国内外においてアクティブBNC、光製品、AVコンソール製品などの販促活動を積極的に行うと共に、製造コストダウンや品質向上をはかるなど収益性の改善と顧客満足度の向上に努めてまいりました。

 この結果、連結売上高10,655百万円(前連結会計年度比2.3%増)、営業利益1,796百万円(前連結会計年度比12.4%増)、経常利益1,850百万円(前連結会計年度比9.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,263百万円(前連結会計年度比7.7%増)となりました。

 

 なお、当社グループの報告セグメントは所在地別の業績を基にしたものであり、その主な概要は次のとおりです。

(日 本)

 日本市場は、放送・電設市場が好調だったことから、売上高は6,808百万円(前連結会計年度比10.5%増)、セグメント利益は1,270百万円(前連結会計年度比80.4%増)となりました。

(米 国)

 米国市場は光製品の販促活動に注力してまいりましたが、売上高823百万円(前連結会計年度比18.0%減)となりました。減収と円高による影響でセグメント利益は75百万円(前連結会計年度比38.1%減)となりました。

(韓 国)

 韓国経済の停滞により売上高は953百万円(前連結会計年度比14.1%減)となりました。減収と円高による影響でセグメント利益は87百万円(前連結会計年度比64.7%減)となりました。

(中 国)

 中国経済はスローダウンしているものの放送市場の設備投資が堅調であったため、売上高は1,433百万円(前連結会計年度比2.4%増)となりましたが、円高による影響でセグメント利益は319百万円(前連結会計年度比26.3%減)となりました。

(シンガポール)

 ASEAN地域の市場は停滞しており、売上高は398百万円(前連結会計年度比2.7%減)となりました。減収と円高による影響でセグメント利益は38百万円(前連結会計年度比59.4%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、税金等調整前当期純利益1,880百万円の計上から法人税等の支払い571百万円、配当金の支払い296百万円等の支出や売上債権の増加268百万円があり、前連結会計年度末に比して1,035百万円増の6,287百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動では、税金等調整前当期純利益1,880百万円の計上に対し、売上債権の増加268百万円と法人税等の支払い571百万円等の支出があり、1,269百万円の入金超となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動では、有形・無形固定資産取得による支出103百万円がありましたが、定期預金の組替えによる入金超249百万円により、120百万円の入金超となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動では、期末配当及び中間配当の支払い等により297百万円の支出超となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年1月1日

至 平成28年12月31日)

前連結会計年度比(%)

日本(千円)

2,294,467

98.9

中国(千円)

923,787

87.6

合計(千円)

3,218,255

95.4

(注)1.上記の金額は生産子会社の製品販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当社グループは、日本及び中国で生産を行っております。

 

(2) 受注状況

 当社及び連結子会社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年1月1日

至 平成28年12月31日)

前連結会計年度比(%)

日本(千円)

6,808,581

110.5

米国(千円)

823,821

82.0

韓国(千円)

953,267

85.9

中国(千円)

1,433,830

102.4

台湾(千円)

159,997

78.2

シンガポール(千円)

398,642

97.3

インド(千円)

77,537

合計(千円)

10,655,679

102.3

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.インドは当連結会計年度より販売実績を集計しているため前連結会計年度比は記載しておりません。

 

3【対処すべき課題】

 当社を取り巻く経営環境は、経済のグローバル化による競争の激化、新興国の台頭、為替相場の変動等大きく変化しており、特に、下記の課題についての対処が不可欠となります。

(1)新興市場開拓

 先進国の成長率が低下するなかで、新興国は今後も高い成長率を維持することが見込まれます。当社グループの成長にとって、新興国の成長を取り込むことは不可欠です。

 

(2)電子機器のビジネス拡大

 当社は、ケーブル、コネクタ、ハーネスがビジネスの3本柱となっておりますが、これに加えて、電子機器を柱の一つに育てることにより経営の安定をはかると同時に成長のエンジンとしてまいります。

 

(3)価格競争力強化

 国内外において価格競争は年々厳しくなっております。これに対応するため製造子会社の稼動率、生産効率を高めコストダウンをはかり価格競争力を強化してまいります。

 

(4)顧客のニーズにあった製品開発

 テレビ放送の4K、8K化などにより、顧客ニーズは変化しておりますので、これに迅速に対応してまいります。

 

(5)次世代を担う新規事業領域の開拓

 現行の当社グループ事業における業績は安定しておりますが、将来に向けて新規事業領域を開拓すべく研究開発活動に注力してまいります。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する記載は、有価証券報告書提出日(平成29年3月21日)現在において判断したものであります。

(1)需要動向に関するリスク

  当社グループの製品は、ケーブル、ハーネス、コネクタ、機器(パッシブ・電子)からなり、主に電設業界、放送機器業界向けに販売されており、これらの業界向け製品は、平成28年12月期では当社国内売上において72%を占めております。したがって、これらの業界の設備投資動向によっては、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

(2)海外事業リスク

  当社グループは生産拠点を中国、販売拠点を米国、韓国、中国、台湾、ドイツ、シンガポール、インドに置き、その他地域は当社から直接輸出する形で海外事業を営んでおりますが、事業活動を行うにはそれらの国における認可、税制、金融、輸出入等に関する各種法的規制や経済政策等の影響を受けます。将来において、これらの規制や政策等の変更が行われ、これらを遵守することが困難になったり、遵守するためのコスト負担の増加等の理由により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

  特に中国は、当社グループ製品の販売に加え生産拠点となっていることもあり、為替変動、税制、法的規制等の変更は当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(3)銅、黄銅等の原材料価格上昇が業績に悪影響を及ぼすリスク

  当社グループ製品の主要材料である銅、黄銅等の価格上昇は、ケーブル、コネクタの仕入価格の上昇をもたらします。当社グループは可能な限り、価格転嫁を避けるべくコスト削減等の最大限の努力をいたしますが、それでも銅、黄銅等の価格上昇を吸収しきれない場合は、製品価格への転嫁による対応をはかります。しかしながら、製品価格への転嫁が遅れる場合又は当社の思惑どおりに価格転嫁が進まない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)為替レート変動リスク

  当社グループの海外売上高比率は平成28年12月期において39%となっております。外貨建売上取引等において、為替予約の適宜活用によるリスクヘッジを行うことで、為替変動による影響を最小限に抑えるよう努力しておりますが、必ずしも為替リスクを完全に回避できるものではありません。そのため、為替レート変動により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(5)外注委託リスク

  当社グループは、生産の多くを外注先に委託(平成28年12月期外注比率61%)しております。外注先において生産に支障が生じた場合に、外注先からの供給に一時的な支障が生じる可能性があり、結果として当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)品質に関するリスク

  当社グループは、品質に関して、管理体制を徹底しておりますが、予期しない品質トラブルにより多額の回収費用及び補償費用が発生する可能性があります。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険で最終的に負担する賠償額すべてをカバーできる保証はありません。多額の回収費用又は補償費用を要する品質トラブルや製造物責任賠償の対象となる事故が起きた場合等において、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

(7)研究開発リスク

  当社グループは、将来の競争力を決めるであろう研究開発のテーマを慎重に選択し、充分な経営資源を配分し研究開発活動を推進しております。しかしながら、研究開発内容が高度化すればするほど、市場のニーズに合致した製品をタイムリーかつ継続的に製品化できるとは限りません。結果としまして、製品化の遅れ等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)知的所有権

  当社グループの製品開発、販売におきましては、特許権、商標権、実用新案権、意匠権等の知的所有権が関係している場合があり、第三者の所有する知的所有権を侵害するリスクを必ずしも否定できません。その場合、訴訟をおこされる可能性があり、当社グループ製品の生産、販売に制限を受けたり、損害賠償金等の支払いが発生する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)コンピュータシステムトラブル

  当社グループの各業務は、コンピュータシステムと通信ネットワークに依存しており、これらが災害等で稼働不能となった場合、事業遂行に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度における研究開発活動の状況は下記のとおりであります。

 当社グループは、下記5つの方針に基づいて製品開発を行っております。

1.社会にとって存在価値があるもの
2.他社にない特色のあるもの
3.現在は需要がそれほど無くても将来には必要性が増すもの
4.流行品ではなく継続的に役立つもの
5.世界に普及できるもの

 具体的には、当社グループの研究開発活動は、主にケーブル、コネクタ、電子機器の研究開発活動からなり、その活動概要は次のとおりです。

1.ケーブル

 ケーブルは映像用ケーブル、音声用ケーブルからなり、いずれも世界の顧客ニーズを調査し、将来需要が見込める高性能ケーブルを開発しております。

2.コネクタ

 当社グループは、BNCコネクタ、ビデオジャックではユーザーから高い評価をいただいておりますが、更に顧客ニーズに応えるため、製品の小型化、高密度実装対応、低コスト化をはかった製品を開発しております。

3.電子機器

 当社グループは、これまでに光コンバータ、放送用カメラ内蔵光コンバータの品揃えをはかってまいりましたが、それらに加えて伝送スピード高速化に対応した光コンバータや放送局で需要の多いポータブル伝送装置を開発しております。

 以上の結果、当連結会計年度の研究開発費は510百万円となりました。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年3月21日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

  当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、当連結会計年度末における資産・負債及び当該連結会計期間の収益・費用の報告数値に影響を及ぼす見積り及び仮定を行っております。

 ただし、過去の実績や状況に応じ合理的と判断される要因に基づき見積り、仮定を行っておりますが、実際の結果はこれらの見積り、仮定と異なる場合があります。

 当社グループは、特に次の重要な会計方針の適用により見積りや仮定が連結財務諸表に重要な影響を与えると考えております。

①貸倒引当金

 当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について貸倒引当金を計上しておりますが、支払不能となった顧客が増加する等により追加引当が必要になる可能性があります。

②賞与引当金

 当社グループは、従業員へ支払う賞与につきまして、過去の実績と会社の方針を参考にして見積り金額で計上しておりますが、支給額の増加により追加引当が必要になる可能性があります。

③たな卸資産

 当社グループは、販売不能と見込まれるたな卸資産につきましては、評価減を実施しておりますが、予期せぬ不良、仕様変更によりいっそうの評価減が必要になる可能性があります。

④固定資産の減損

 当社グループは、固定資産の減損会計を適用しておりますが、将来キャッシュフローの見積額に修正が生じた場合において、当該固定資産に対して減損損失を認識する可能性があります。

⑤投資有価証券の減損

 当社グループは、投資の一環として株式及び債券等を所有しております。これら金融商品の投資価値下落に対しましては、時価が取得原価に対して50%以上下落した場合には、当該時価まで減損処理を行い、30%~50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。

⑥製品保証引当金

 当社グループは、顧客に納品した一部製品に対して、将来の製品交換及び補修費用に備えるため、今後必要と見込まれる金額を計上しておりますが、予期せぬ不良の発生等により追加引当が必要になる可能性があります。

 

(2)当社グループの財政状態及び経営成績の分析

①財政状態

(資産)

 資産合計は、前連結会計年度比755百万円増の13,888百万円となりました。これは増収増益に伴う現金及び預金増(673百万円増)、受取手形及び売掛金増(210百万円増)があったためです。

(負債)

 負債合計は、前連結会計年度比123百万円増の2,017百万円となりました。これは相対的に税率の高い日本での業績が好調であったことにより未払法人税等の増加(142百万円増)となったためです。

(純資産)

 純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益計上による利益剰余金増加を主因として前期比632百万円増の11,870百万円となりました。

②経営成績

(売上)

 当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、円高基調、米国大統領選挙、韓国大統領の弾劾による経済混乱、資源価格の高騰などの影響を受け、米国、韓国、ASEANなどの売上高は伸び悩みました。その反面、日本及び中国はテレビ局の新局舎大型プロジェクト受注、放送市場の設備投資などにより好調に推移しました。このようななか、販売面では今後の成長が期待される製品群(電子機器、光製品、AVコンソール等)の販促活動を積極的に行った結果、売上高は10,655百万円となりました。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

 売上原価は、短納期や受注量の大幅変動に柔軟に対応することにより顧客の要求に応えると共に、カナレ上海(製造子会社)からの一部生産移管も行いコストダウンをはかることにより、収益性改善に努めてまいりました結果、売上原価は売上原価率が前連結会計年度比1.1ポイント下がって6,063百万円となりました。

 販売費及び一般管理費は、経費節減に努めてまいりました効果により対売上高比の前連結会計年度比較で0.4ポイント改善し2,795百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 上記の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,263百万円と過去最高となり、1株当たり当期純利益は187円19銭となりました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績は、次の要因により重要な影響を受けます。

 ①主要な需要先である電設業界、放送業界の設備投資動向

 ②比較的価格変動の大きい銅等を材料として使用しているためそれらの価格動向

 ③海外売上比率が高くなっているため、為替相場動向

 

(4)経営者の問題意識と今後の方針について

 当社グループの経営者は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、当社グループを取り巻く経営環境(市場の構造変化、技術の高度化、他社との競合、材料値上り等)により、対応は一段と困難になるものと考えられます。このような環境下において、当社グループは将来の収益の柱とすべき新規製品の開発を進めて競争力の強化をはかってまいります。このため、経営資源を新規製品分野へ重点的に配分することにより、長期的には、従来型製品から新規製品中心へと事業構造を変えるよう努めてまいります。