第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

  当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

 ①経営成績の分析

 当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、経済活動の正常化により回復の動きが見受けられるものの、世界的な物価高や金融引き締め、さらにウクライナや中東地域の情勢悪化によるエネルギーや原材料の価格高騰の影響で世界経済は減速傾向にあり、依然として景気の先行きは不透明な状況で推移いたしました。

 当社グループに関連する事業環境におきましては、設備投資においては持ち直しの動きに足踏みがみられるものの、公共投資は底堅い動きを維持しています。電線事業およびポリマテック事業の業界におきましては材料価格の高騰を受け厳しい状況が続いております。電熱線事業におきましては自動車関連分野では回復傾向がみられましたが、その他の分野で未だに需要低迷は続いており、加えて製造分野での過剰在庫の調整も続いている状況です。

 このような状況の中、当社グループにおきましては、経営方針としてESG(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))を中核に据え、持続的な成長を実現するため経営資源の充実・強化を図っております。また、原材料・サプライチェーンの見直しによるコストダウン、工場の生産性向上、品質の維持による生産力強化にも取り組んでおり、加えて、適正な在庫管理を継続的に行うことで利益確保にも取り組んでおります。

 利益面におきましては、材料価格の高騰により、営業利益と経常利益が前年同期比で減益となりました。一方、特別利益として新たな子会社の取得に伴う負ののれん発生益を計上いたしました。

 その結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は7,646百万円(前年同期比2.6%増)、営業利益は35百万円(前年同期比72.7%減)、経常利益は82百万円(前年同期比52.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は121百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失97百万円)となりました。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

[電線]

 電線事業の主要な市場である建設・電販は、一部では製造業を中心とした生産活動の持ち直しや国内回帰など明るい動きもみられましたが、建設市場においては都市部を中心とした大型案件の需要は旺盛ですが、建設工事のコスト上昇や人手不足等による工期の順延などの需給ギャップが生じたことで混乱も見受けられ、予断を許さない状況でありました。

 このような状況の中、展示会の開催なども増えたことで対面での営業活動を活発化させ、案件獲得等の強化を図りました。また、昨年末頃に一部で高圧ケーブル等の品不足問題を発端にした代替需要が発生し、ゴム電線、プラスチック電線ともに販売量が増加いたしました。国内銅価格は前期より高値の1,249千円/トン(期平均)で推移し、売上高は5,546百万円(前年同期比7.8%増)となりました。

 利益面におきましては、他社との競合、MPCからの仕入による為替の影響等がありましたが、銅価格の変動に伴う価格改正、高付加価値製品の販売強化、継続的な経費削減、生産性向上、材料関係のコストダウン等に取り組んだ結果、セグメント利益は82百万円(前年同期比99.2%増)となりました。

 

[ポリマテック]

 ポリマテック事業におきましては、営業面において新規案件獲得や積極的な営業活動を行った結果、売上高は1,450百万円(前年同期比0.1%減)とほぼ前年と同水準となりました。しかしその中で、高機能特殊チューブの売上高は41百万円(前年同期比38.9%減)となり、大幅に減少いたしました。また、第3四半期会計期間から立ち上がった新事業のLED商品販売において相当数の案件を獲得できており、今期終盤から売上に貢献できると見込んでおります。

 利益面におきましては、今年6月から取り組んでいる在庫削減について、在庫量を一定の水準で管理し成果が出ておりますが、高機能特殊チューブの販売量と生産量の減少の影響を受け、セグメント損失は50百万円(前年同期はセグメント利益7百万円)となりました。

 成形品の販売に関しては来期の拡販案件が受注できており、早ければ今期終盤から売上計上を予定しております。一方で新規顧客の開拓や建材以外の生産品目の獲得は進んでおりませんので第4四半期会計期間も引き続き注力していきます。

 

[電熱線]

 電熱線・抵抗線事業に関連する経営環境におきましては、自動車関連は回復の兆しが見えつつあるものの、主要販売分野である家電関連、産業機器関連、住設関連は中国を中心とした世界経済の失速感からの需要低迷が続いております。加えて、エンドユーザーおよび流通、部品メーカーなど各段階での過剰在庫の調整が続いているとともに、在庫消化の足取りも重い状況となっております。このような状況の中、売上高は648百万円(前年同期比23.9%減)となりました。

 利益面におきましては、販売量、生産量の減少の影響に加え、ニッケル主要消費国の中国の景気減速による需要減が意識されたことなどによりニッケル価格が急落したことの影響を受け、セグメント利益は3百万円(前年同期比95.4%減)となりました。

 今後におきましては、世界経済の回復への足取りが重いことや製造業での過剰在庫調整の長期化など厳しい状況が予想されますが、引き続き自動車のEV化やカーボンニュートラルの進展を背景に、拡大が見込めるマーケットでの新規開拓を進めるとともに、その為の取扱鋼種および関連部材の取扱拡大に引き続き注力してまいります。また、品質・信頼性の向上や生産性向上と原価低減を図り、業績の向上に努めてまいります。

 

②財政状態の分析

(資産)

 当第3四半期連結会計期間末における流動資産は7,665百万円となり、前連結会計年度末に比べ157百万円増加しました。これは主に商品及び製品が268百万円減少したものの、現金及び預金が151百万円、受取手形及び売掛金が60百万円、電子記録債権が113百万円、原材料及び貯蔵品が83百万円増加したことによるものであります。固定資産は4,529百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,087百万円増加しました。これは主に土地が902百万円、「その他(純額)」に含まれる建物が98百万円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は12,195百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,244百万円増加しました。

 

(負債)

 当第3四半期連結会計期間末における流動負債は3,381百万円となり、前連結会計年度末に比べ17百万円増加しました。これは主に電子記録債務が341百万円減少しましたが、支払手形及び買掛金が48百万円、短期借入金が171百万円、1年内返済予定の長期借入金が107百万円、未払金が38百万円増加したことによるものであります。固定負債は2,338百万円となり、前連結会計年度末に比べ824百万円増加しました。これは主に長期借入金が586百万円、「その他」に含まれる繰延税金負債が191百万円増加したことによるものであります。

 この結果、負債合計は5,720百万円となり、前連結会計年度末に比べ841百万円増加しました。

 

(純資産)

 当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は6,475百万円となり、前連結会計年度末に比べ402百万円増加しました。これは主に資本剰余金が301百万円、利益剰余金が64百万円、為替換算調整勘定が20百万円増加したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は53.1%(前連結会計年度末は55.5%)となりました。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

(3)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は2百万円であります。

  なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分

析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。