第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「世界水準の製品を創り出すことにより、持続的な成長を遂げ、永遠の存在を目指す」こと、「国際社会に共生する一員であることを意識するとともに、法規等を遵守し、環境保全に努力する」こと、「すべての関係者・機関に調和のとれた満足を提供することを目標とする」こと、「有意義な企業活動を展開することにより社会に貢献する」こと、「互いの価値を認め合う人々の集団であり、熱意をもって向上・革新へ挑戦していく」ことをヒューテックグループの基本理念として掲げており、これらの理念を基本の経営方針とし、企業価値の向上を目指してまいります。

 

(2)経営環境及び経営戦略等

 IoTの進展、AIの活用、5Gの実用化、車の自動化・電装化等、当社が得意とする高性能かつ高信頼性が要求される伝送路マーケットは拡大を続けており、当社グループが今後も持続的に安定した成長を遂げていく環境にあると考えております。引き続きこれらの分野への新製品の開発、生産体制の強化に取り組み、事業の基盤を固め、売上、利益の拡大に努めてまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 売上高、営業利益、経常利益等を重要な経営指標としております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 電線・加工品事業の拡大

 ビッグデータ関連市場の拡大に対応したサーバ・ストレージ及びハイパフォーマンスコンピュータ/車載機器/半導体製造装置/FA用カメラ/医療機器等の高速・大容量・低遅延伝送化に対応した各種の高精度ケーブル及び加工品の製品開発を図ります。太陽光発電市況に応じてエネルギー産業関連ケーブルの売上拡大を図ります。電源コードやその他の電線・加工品事業につきましては、各分野における当社の強みを活かせる事業展開を図ります。

② 電子・医療部品事業の拡大

 ネットワークの高速化や放送と通信の融合に対応した各種伝送装置の製品開発を図ります。用途の広がりや各種の要求特性に応じた医療用チューブ等の製品開発を図ります。

③ 事業環境に対応した国内/国外生産拠点の見直し

 事業環境に対応した国内/国外生産拠点の見直しを進めます。フィリピン新拠点の構築を進め、車の電装化に伴う車載用ケーブルの需要の伸びに対応した生産力・供給力の増強と品質保証力のさらなる強化を図るとともに、車載用ケーブル生産のみならず生産拠点のグローバルネットワーク化に努めます。

④ 市場ニーズへの対応

 市場ニーズによる製品の多様化・短命化、海外品台頭等による価格競争の激化、顧客のSCM対応による小ロット・短納期化等の経営環境著変に対応するには、原点に返った業務プロセスの見直しが不可欠であります。特に製品及び事務品質の向上による不具合の撲滅、SCMを意識した生産フローの見直しによる棚卸資産の適正化が肝要と考えております。その為に、正確で迅速な意思決定の支援ができる柔軟性のあるコンピュータシステム確立を目指し基幹システムの見直しを実施しています。

⑤ 組織・人事面について

 本部/事業部制による業務執行を基盤としつつ、重点的な分野についてはマーケットや製品特性等を基準に括った部門横断的な複数のビジネスユニットとのマトリックス組織を採っております。ビジネスユニットは重点分野の中期戦略を半年毎に経営層と議論し、戦略策定力やマネジメント力の向上を図っております。各事業戦略上に必要な人材の獲得並びに事業戦略底上げのための人材の多様化に努めてまいります。また、連結国内関係会社2社及び同国外関係会社18社との連携を進め、為替/材料リスク削減、総資産の圧縮等も含め、連結収益力の向上を図ります。

⑥ CSRについて

 CSRの観点から企業としての環境保全活動につきましては、環境方針に基づき、ISO14001の環境マネージメントシステムの継続的改善及び環境負荷物質の管理に注力いたします。また、当社グループ事業関連法規(国外も含め)の遵守は当然のことながら、社会的通念上の常識、倫理に照らしたコンプライアンス企業経営を更に推進いたしてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

 2000年に制定された当社グループ基本理念「わが社は、世界水準の製品を創り出すことにより、持続的な成長を遂げ、永遠の存在を目指す。」に基づき、持続可能性を最重要理念のひとつと考えております。経営会議直轄の機関であり、経営会議により指名された委員長のもと、各部門から選出された委員12名により構成されるリスク管理委員会において、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、評価し、取締役並びに執行役員等により構成される経営会議に報告することで、適切に監視し管理する体制を構築しております。

 

(2)戦略

 当社グループは気候変動が国や地域を超えて深刻な影響を及ぼす問題であると認識しております。気候変動に関する戦略は「第2 事業の状況 3 事業等のリスク ⑪ 気候変動に関するリスク」に記載しております。

 また、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針として、当社グループは基本理念において「互いの価値を認め合う人々の集団」であることを定めております。多様な視点や価値観の存在が持続的な成長に必要不可欠なものであることを認識し、ジェンダー・国際性・職歴等の属性を問わず、女性、外国籍者、中途採用者の管理職への登用を進め、中核人材の一定の割合を占めております。

 

 

(3)指標及び目標

 当社グループは、基本理念として「1. わが社は、国際社会に共生する一員であることを意識するとともに、法規等を遵守し、環境保全に努力する。」ことを掲げております。企業活動を行うにあたり、地域や国内といった限られた範囲だけではなく、広く国際社会の中において多種多様な存在とともに生きる一員であること念頭におきながら、活動に必要な各地の法令・制度を守り、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引を実施すること、気候変動問題への配慮など必要な地球環境を保っていくことに努めております。

 サステナビリティに関する指標としましては、国際社会に共生する一員が負うべき責任として気候変動に対して取り組むべく、自社の排出する温室効果ガスの削減が必要であると考えております。当社排出量の把握のみならず、当社グループの排出量を把握することを2024年3月期の目標とし、削減に向けた取り組みを計画してまいります。

 人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標としましては、持続的な成長には会社の意思決定に多様な人材による見識が必要と考え、当社では女性の活躍を推進しております。2023年3月31日時点の当社グループの女性従業員の比率は57.8%でありますが、管理職に占める女性の比率は18.7%となります。従業員における女性の比率と管理職に占める女性の比率が同等となることを目標とし、引き続き女性の活躍推進に努めてまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社が入手可能な情報等に基づいて判断したものであります。

① 事業環境について

 当社グループが関わる事業分野における製品の多様化/短命化に対し、当社グループは、製造/販売/技術一体となり、マーケット密着提案型で、マーケットニーズの先取りを図ることにより、対応いたしております。

また、海外品台頭による価格競争が激化している電源コード等の分野におきましては、中国を主とした海外生産への移管によるコスト削減/品質の強化の徹底により、対抗いたしております。なお、価格競争力のある高機能/高精度のケーブル等は国内生産、量産品は海外生産とグループ内分業体制は進んでおり、今後も同体制を強化することにより、マーケットニーズに対応いたしてまいります。

 顧客のSCM対応による小ロット/短納期要請に対しては、EDI(電子データ交換)、VMI(納入業者在庫管理)等を受け入れ、顧客ニーズの充足に努めております。顧客のグリーン調達に対する環境負荷物質管理については、製品の含有物質や材料調達先まで追跡できる管理システムを構築いたしております。

しかしながら、当社グループが関わる情報通信/半導体製造装置/放送/医療分野等における技術の進歩は激しく、顧客の購買政策の変化等が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② 銅/石油製品の価格変動が業績に与える影響について

当社グループは、電線ケーブル等銅を主たる原材料とした製品を有しています。これらの製品の販売価格については、ロンドン金属取引所の市況価格を反映した銅建値に基づいて決定するという商習慣が広く普及しており市況価格変動リスクがあります。なお、銅の購入方法は、毎月末に必要数量を主要メーカー複数社等と価格交渉し、その時点で、一番安い価格を提示したメーカー等から購入しております。

石油化学製品類の原材料や副資材の調達については、当社の使用する代表的な非鉛PVCコンパウンドは自社配合品であり、当社の主要な購入先(海外関係会社含む)から適切なる価格で安定的に供給されております。

しかし、中長期にわたる市況価格上昇は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 為替レートの変動が業績に与える影響について

当社グループは、実需の範囲内でヘッジ取引を行い、外貨建取引における為替変動リスクの排除に努力いたしておりますが、完全に回避することは、困難であります。また、ヘッジ取引の一部は、時価法を採用いたしております。従って、為替レートの変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの在外連結関係会社は、主に現地通貨建で個別財務諸表を作成しておりますが、連結財務諸表作成に際しては、円換算いたしております。従って、換算時の為替レートにより、個別財務諸表の各項目の現地通貨における価値が変わらなくとも、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

④ 法的規制について

当社グループは、日本国内のみならず事業展開する各国において、事業の許認可、国家安全保障、独占禁止、通商、為替、租税、特許、環境等、様々な法的規制を受けております。

当社グループは、これらの法的規制の遵守に努めておりますが、将来これらの法的規制を当社グループが遵守できない場合、また、当社グループの営む各事業の継続に影響を及ぼすような法的規制が課せられる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

特に、当社グループは、電気用品安全法の適用を受ける製品を製造販売しております。受検漏れのないように関係法令の遵守に向けた対応として、業務マニュアルや関連資料の整備、並びに年度計画に基づく受検業務を実施しておりますが、万が一、受検漏れが発生した場合、品質上の問題はありませんが、該当製品の出荷停止及び回収(廃棄)となり、かつ顧客の信用が失われ、業績に影響を及ぼす可能性もあります。

⑤ 外国における事業リスクについて

当社グループは、中国、フィリピン等に複数の生産拠点を有し、当社グループ主要製品を生産(中国における生産比率は4割強)いたしております。その為、投資/金融/輸出入に関わる法制の変更、外資系企業に適用される法人税/増値税等の税制変更等は、当社グループの生産/事業運営に支障をきたす可能性があります。当社グループ連結関係会社の外貨建債権/債務、及び同売上(輸出)/仕入(輸入)は、為替レートの変動により、影響を受ける可能性があります。

 

 

⑥ 事故・災害に係るリスクについて

当社グループは、全ての生産設備を対象に定期的な設備点検を行っております。しかしながら、生産設備で発生する火災や停電を完全に防止することはできません。また、地震、津波、台風、洪水等の自然災害、テロ、戦争、感染症の蔓延等の事由により生産設備に被害を受け、操業が停止する可能性があります。

こうした災害に遭遇した場合、製品製造ができなくなり、顧客への製品納入の遅延、売上の低下及び修復費用等により、当社グループの業績に影響する可能性があります。

 

⑦ 製品の欠陥について

当社グループは、日本国内及び事業展開する各国において認められている品質管理基準に従って製品を製造しておりますが、将来にわたって全ての製品に欠陥が無く、製造物賠償責任請求及びリコール等に伴う費用が発生しないという保証はありません。当社グループは、製造物賠償責任請求については保険に加入しておりますが、最終的に負担する賠償額を全て賄えるという保証はなく、製品の欠陥が当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 知的財産に係るリスクについて

当社グループは、製品等の開発、製造、販売、その他事業活動により、第三者の知的財産権を侵害しないよう、製品設計段階における特許調査等により、細心の注意を払っております。

一方、特許権、意匠権、その他知的財産権の取得により、当社グループが蓄積してきている特徴ある技術、ノウハウの保護に努めております。しかしながら、製品の精密化、製品技術の多様化、海外での事業活動の拡大等により当社グループの製品が、意図せず第三者の知的財産権を侵害した場合、販売差し止め、設計変更等に伴うコストにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。一方、第三者による当社グループの知的財産権侵害を完全に防止する事ができない可能性もあり、その場合、当社グループ製品が十分なる市場を確保できない可能性があります。また、当社グループが、製品を製造する場合、第三者の知的財産権が必要となる可能性もあり、その場合、不利な条件でのライセンス受容の可能性もあります。

⑨ 研究開発(新商品開発)について

当社グループは、今後成長が期待できる新規分野を慎重に選択し、人的・物的資源を継続的に投入し、新規製品開発を推進いたしております。

しかしながら、市場のニーズに合致し、資源の投入に見合った付加価値を生む魅力ある製品を継続的に開発できる保証はありません。その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性もあります。

 

⑩ 新型コロナウイルス感染症に関するリスク

新型コロナウイルス感染症については、ワクチンの普及等による収束が期待されますが、変異株による感染の再拡大への懸念もあり、経済活動への影響は予断を許さない状況となっております。感染状況の継続・拡大によっては、当社グループや顧客の工場稼働の悪化要因になる等、当社グループの業績に影響する可能性があります。

当社グループは、衛生管理の徹底や時差出勤、テレワーク等を実施し、関係者並びに従業員の感染予防に取り組んでまいります。

 

⑪ 気候変動に関するリスク

気候変動は国や地域を超えて深刻な影響を及ぼす問題であり、その抑制のため多くの国や地域で温室効果ガスの排出量削減等の政策や規制の導入が進むことで、追加の対策費用の発生や事業活動の大幅な見直し等により財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループが展開する国や地域の規制動向等を注視し経営への影響が最小限になるよう取り組むとともに、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)ガイダンスに沿ったシナリオ分析により、各リスクにおける事業戦略と財務影響に関して評価を行いました。

移行リスクにおいては、政策・法規制への対応や、脱炭素化によるエネルギー・原材料価格の上昇などが見込まれますが、財務影響は限定的と予想しています。環境保全に努めるべく、エネルギー使用量や主たる材料であるプラスチックの廃棄量削減を通し、二酸化炭素排出量削減や、コスト低減を推進してまいります。また、脱炭素化に伴う技術革新や低炭素社会への移行による既存技術の陳腐化は、高速大容量伝送に対する社会ニーズに及ぼす影響は大きなものでは無いと考えられることから、事業戦略への影響も限定的と予想しております。新たな規制が制定された場合にも対応できるよう、一層研究開発に注力いたします。

物理的リスクにおいては、自然災害の増加、とりわけ河川氾濫による製造拠点の浸水リスクの高まりが懸念されることから、建物、生産設備の浸水対策強化、他拠点での代替生産計画を策定してまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から経済社会活動の正常化が進み緩やかに持ち直しましたが、物価上昇や第3四半期における急激な為替変動により、動きの一部に弱さがみられました。海外経済においても緩やかな持ち直しが続いておりますが、インフレの進行による各国の金融引締め、ウクライナ情勢の長期化と、一段と先行きが不透明となっております。

 当社グループを取り巻くエレクトロニクス業界におきましては、産業機器市場は底堅く推移しましたが、車載市場において半導体や部材の調達難による生産停滞からの回復傾向に遅れがみられ、また半導体関連の設備投資は好調に推移しましたが、第3四半期より設備投資を見直す動きがあり、先行きが不透明な状況が続いております。

 

 このような状況のもと、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

(イ)財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は284億51百万円となり、前連結会計年度末に比べ34億77百万円増加いたしました。主な増加は、原材料及び貯蔵品が17億95百万円、売掛金が10億50百万円であります。有形固定資産は125億97百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億4百万円減少いたしました。主な減少は、土地15億16百万円であります。

 この結果、総資産は、442億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ26億95百万円増加いたしました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は68億23百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億4百万円増加いたしました。主な増加は、未払法人税等2億28百万円であり、主な減少は、支払手形及び買掛金1億5百万円であります。固定負債は33億11百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億25百万円減少いたしました。主な減少は、長期借入金10億98百万円であります。

 この結果、負債合計は、101億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億20百万円減少いたしました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は341億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ37億16百万円増加いたしました。主な増加は、親会社株主に帰属する当期純利益29億55百万円、為替換算調整勘定11億10百万円であり、主な減少は、剰余金の配当3億86百万円であります。

 この結果、自己資本比率は77.1%(前連結会計年度末は73.2%)となりました。

 

(ロ)経営成績

 当連結会計年度の業績につきましては、売上高は322億24百万円(前連結会計年度比15.9%増)となりました。売上高が増加したことにより、営業利益は31億3百万円(同58.6%増)となりました。経常利益は35億1百万円(同72.5%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は29億55百万円(同96.6%増)となりました。

 

 主なセグメント別の業績の概要は、以下のとおりです。

(電線・加工品)

 半導体検査装置用ケーブルは売上が堅調に推移しましたが、第3四半期より設備投資を見直す動きがあり減速しました。産業機器用ケーブルをはじめ、その他のケーブル全般の売上は伸長しました。車載用ケーブルは各自動車メーカーの生産調整の影響を受けましたが、為替換算の影響もあり売上増加となりました。エネルギー産業関連ケーブルは第1四半期に生じた北米市場における部材調達難の影響がありましたが、売上は堅調に推移しました。以上により、売上高は281億6百万円(前年同期比14.4%増)となりました。売上の増加等により、セグメント利益は31億61百万円(同38.2%増)となりました。

(電子・医療部品)

 ネットワーク機器は専門用途品の売上が伸長しました。医療用特殊チューブについても新型コロナウイルス感染症の影響から回復したことにより売上が増加となりました。以上により、売上高は40億89百万円(前年同期比

29.1%増)となりました。半導体部品の調達難はありましたが、売上が増加したことによりセグメント利益は7億79百万円(同78.7%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の獲得15億97百万円、投資活動による資金の支出6億77百万円、財務活動による資金の支出16億78百万円、現金及び現金同等物に係る換算差額の増加が3億86百万円となり、期首に比べ3億71百万円減少し、74億99百万円(前連結会計年度比4.7%減)となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、15億97百万円の資金の獲得(前連結会計年度は9億68百万円の資金の獲得)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益39億1百万円、減価償却費14億64百万円であり、主な減少要因は、棚卸資産の増加額21億63百万円、売上債権の増加額8億69百万円、法人税等の支払額6億67百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、6億77百万円の資金の支出(同2億84百万円の資金の支出)となりました。主な増加要因は、有形固定資産の売却による収入21億29百万円、定期預金の払戻による収入14億58百万円であり、主な減少要因は、定期預金の預入による支出24億20百万円、有形固定資産の取得による支出18億70百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、16億78百万円の資金の支出(同3億5百万円の資金の支出)となりました。主な増加要因は、長期借入による収入5億84百万円であり、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出18億2百万円、配当金の支払額3億86百万円であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(イ)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

電線・加工品(百万円)

22,112

109.7

電子・医療部品(百万円)

2,765

125.1

報告セグメント(百万円)

24,877

111.3

その他(百万円)

合計(百万円)

24,877

111.3

(注)金額は製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

(ロ)受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

電線・加工品(百万円)

27,054

97.7

6,241

85.6

電子・医療部品(百万円)

4,974

141.4

2,012

178.6

報告セグメント(百万円)

32,029

102.7

8,253

98.0

その他(百万円)

34

78.9

13

165.5

合計(百万円)

32,063

102.6

8,267

98.1

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

 

(ハ)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

電線・加工品(百万円)

28,106

114.4

電子・医療部品(百万円)

4,089

129.1

報告セグメント(百万円)

32,195

116.0

その他(百万円)

28

50.1

合計(百万円)

32,224

115.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は100分の10未満でありますので記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであり

ます。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討の内容

 当社グループの経営成績は、電線・加工品、電子・医療部品における需要変動及び銅・石油価格等の変動、ま
た、当社グループが関わる製品群の多様化・短命化、価格競争の激化、顧客のグリーン調達強化等により影響を受けます。これらの状況を踏まえ、主に付加価値の高い製品は国内生産、量産品は海外生産と分業体制の強化、環境負荷物質のシステム管理体制の確立、高成長や安定した収益が見込まれる分野への経営資源の戦略的投入等により、競争力・収益力向上に努めております。
 なお、今後の見通しにつきましては、インフレ抑制に向けた金融引締めによる景況感の不透明化、また欧米における金融不安、ウクライナ情勢の長期化と世界経済の減速が懸念されます。しかしながら、当社の関連する市場においては、車載用ケーブルはカメラやアンテナをはじめとした車載搭載機器の増加、車載ネットワークの高度化は引続き進展をみせており、当社の高速大容量伝送・高信頼性ケーブルへの変わらぬ需要が見込まれます。エネルギー産業関連ケーブルにおいても二酸化炭素排出削減をはじめとした環境への取り組みを背景に継続した需要が見込まれます。

 

a.経営成績の分析

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、売上高、営業利益、経常利益等を重要な経営指標としております。

 売上高は過去最高となりました。半導体検査装置用ケーブル、産業機器用ケーブル、その他のケーブル全般の売上は伸長しました。車載用ケーブルは各自動車メーカーの生産調整の影響を受けましたが、売上増加となりました。エネルギー産業関連ケーブルは北米市場における部材調達難の影響がありましたが、売上は堅調に推移しました。ネットワーク機器は専門用途品の売上が伸長しました。医療用特殊チューブについても新型コロナウイルス感染症の影響から回復したことにより売上が増加となりました。以上の結果、売上高は322億24百万円(前連結会計年度比15.9%増)となりました。

 売上総利益は、原材料等仕入価格上昇の販売価格への転嫁が進んだことや売上高の増加により78億28百万円(同30.4%増)となりました。

 営業利益は、人件費、研究開発費及び物流コストの上昇等により販売費及び一般管理費が6億78百万円増加したものの、31億3百万円(同58.6%増)となり過去最高となりました。

 経常利益は、円安による為替差益の影響により35億1百万円(同72.5%増)となりました。

 特別利益には、秋葉原ビル売却による固定資産売却益5億64百万円が含まれております。

 特別損失には、子会社の清算に伴う為替換算調整勘定取崩額1億44百万円が含まれております。

 この結果、税金等調整前当期純利益は39億1百万円(同89.5%増)となり、法人税等合計を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は、29億55百万円(同96.6%増)となりました。

 

 

b.財政状態の分析

 当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況」の「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

c.キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況」の「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

d.資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの主な資金需要は、運転資金及び設備投資資金等であります。これらの資金につきましては営業活動による収入のほか、安定的な支払能力を確保するため、資金繰りの状況や金融情勢を勘案し、銀行からの借入れにより調達しております。

 

②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、さまざまな項目について会計上の見積りを行う必要がありますが、特に以下の事項は、会計上の見積りの判断が当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 

 (棚卸資産の評価)

 当社グループは、棚卸資産を収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法により評価しております。当社は見込み生産を行うことがあり、保有期間が長期にわたる棚卸資産は、販売可能性等を勘案して評価損を見積り計上しております。これらの見積りは、将来の不確実な経済環境や顧客ニーズの変化により影響を受ける可能性があります。当連結会計年度末における棚卸資産の簿価は9,496百万円であります。

 (固定資産の減損処理)

 当社グループは、固定資産のうち想定していた収益が見込まれなくなった事業用資産について、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する方針であります。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

(新型コロナウイルス感染症の影響)

 会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響に関して、同感染症による制限の緩和が進み、通常の事業活動が行えていることを前提として見積りを行った結果、当連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響、及び翌連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響は軽微なものと判断しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、長年培ってきた電線・ケーブル押出技術(導体の上に絶縁体を被覆する技術)を応用した製品開発を重要なる柱として、技術変化の激しいデジタルエレクトロニクス分野に対応した高周波・高精度・高速伝送ケーブルの研究開発、次世代放送システムに対応したIP伝送装置の開発、耐環境性や特殊機能を備えたスイッチングハブの開発、及び医療分野における高性能医療用特殊チューブ等、今後の当社グループ事業の中核となる製品の研究開発を鋭意進めております。

 現在の研究開発は、インキュベータ的研究開発及び製品直結型の各事業部における研究開発で推進されております。

 当連結会計年度における各セグメント別の主な研究テーマ、成果は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費総額は241百万円となっております。

 

(1)電線・加工品事業における研究開発費は185百万円であります。

・高精度、高速伝送ケーブル開発

 近年IoTの出現により、ネットワークやコンピュータの要求性能は急速に高まり、より多くのデータを保存、伝送、処理する必要があります。一方で、データの転送速度の向上に伴い伝送ロスを低減するなどデータ伝送の課題は増えています。

 送信部の波形品質特性、ケーブルの特性品質等、すべてに高い性能が要求されます。そのため実際の設計では、測定器とシミュレーションを組み合わせたトータルの開発環境も重要となります。

 半導体テスタ用ケーブルは特に高精度、低減衰量、高速伝送が重要となります。そのため、高帯域(10G以上)の伝送特性・信頼性が求められ、その顧客ニーズを可能にする高い付加価値のあるケーブル・ASSY製品の実現に向けて、当社の技術力を活かし、積極的に開発活動に取り組んでおります。又、サーバ/ストレージ用の400Gbps対応ケーブル及びそのアッセンブリ品である、QSFP-DDを始め、FA及び医療向けマシンビジョンカメラ用の各種規格ケーブル(Camera Link-HS/長距離Camera Link/10G Camera Link-HS AOC/GigEVision/10GigE/USB3Vision(TYPE-C)/USB4AOC/CoaxPress/CoaxPress Over Fiber(AOC) & Repeater/12G-SDIなど)、民生用の各種規格ケーブル(HDMI2.1(8K伝送対応)/DVI/DisplayPort/USB3.2など)、光ファイバーのもつ広帯域という利点を活かした長距離伝送を行うアクティブ光ケーブル、その他車載電子機器用ケーブル、防水ケーブル、5G通信ケーブル、セキュリティ/デジタル機器ASSY等の開発・量産化を強化しております。第5世代移動通信システム(5G)アンテナ用同軸ケーブルの普及に伴い、高速の伝送を必要とする携帯端末が増えてきており、特に初期の通信5GはSUB6(6GHz以下)の周波数帯域でサービスを展開してきましたが、ミリ波(24~28GHz、米国40GHz近辺)を中心としたサービスへの移行期にあり、これに対応したケーブルの開発も進めております。

 

・医療用ケーブルの開発

 AWG42より細い極細同軸はCCD内視鏡やAWG46より細い超極細のものは、超音波内視鏡などの医療用を中心として採用されております。当社は、特殊な銅合金導体をはじめ、素材レベルから検討を進め、精度・強度・機械特性・ノイズ・伝送特性等に優れた超極細同軸ケーブルの開発に取り組んで来ました。

 今後の医療現場においては、超音波CT画像診断から実際の患部映像での診察要求が増加しております。当社は長年培った医療用ケーブル技術と超小型センサーの加工技術を融合し、新たな映像分野へも取り組んでおります。

 

・環境対応材料の開発

 RoHS指令、REACH規制、POPs条約など環境規制が強化される中、環境への悪影響がなく且つ商品性能・価値を満足させることが要求されてきています。当社では、これら環境規制で禁止される特定有害物質を一切使用することなく、従来材料と同等以上の性能、コストパフォーマンスをだすための材料技術を蓄積し、安心して使用できる環境対応材料の開発に取り組むと共に、難燃、耐熱、耐油、低摩耗性などの高機能化要求に応えるための材料開発を進めております。

 

・車載製品の開発

 世界各国で安全で快適なモビリティ社会の実現に向け、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転などの分野で激しい技術開発競争が繰り広げられています。

 「Connected(コネクテッド)」の分野では、高速大容量、超信頼・低遅延(リアルタイム)を実現する5G通信システムの本格普及により、自動車と通信の融合に向けた取組みが世界各国で加速しています。そんな中で5G通信システムと車車間通信・路車間通信をつなぐ製品の重要性が一層求められております。

 「Autonomous(自動運転)」の分野では、自動運転に不可欠なセンシングカメラ/レーザーレーダー(LiDAR)の高度化に伴い、高い信頼性と優れた高周波特性をもった製品を求められております。 このため、車載製品開発においては、より高度な製品の開発を行うだけでなく製品評価及びプロセス保証も重要な研究開発の要素として取り組んでおります。

 

(2)電子・医療部品事業における研究開発費は53百万円であります。

・放送機器/ネットワーク装置の開発

 放送分野での4K/8K伝送においては圧縮・伸長技術や既存通信インフラを使用することが可能となるIP伝送装置の市場ニーズに対し、各種圧縮・伸長が可能なコーデック製品や非圧縮及び圧縮映像信号をIP化する製品開発を進めてまいります。

 これから進む映像信号のIPネットワーク化に向けてスイッチングハブなど映像ネットワークに特化した各種製品拡充を図ってまいります。

 ネットワーク製品では、船舶・物流・半導体製造用スイッチングハブやシステム構築時の各種設定を簡易化できる自動設定機能付スイッチングハブ、PTP(Precision Time Protocol)機能やマルチレート対応スイッチングハブなど特殊用途や管理の簡略化に対応した製品拡充を図ってまいります。

 これら製品群の5G/ローカル5GやIoT関連ネットワーク向けの10Gbpsスイッチングハブ及び搭載インテリジェンス化ソフトウェアについても開発を進めてまいります。

 

・EV充電器のOCPP対応コントローラの開発

 電気自動車(EV)用普通充電器についてすでに販売をしており、その充電器の遠隔操作により、充電などの課金や充電器の保守・運用などをコントロールするためのOCPP(Open Charge Point Protocol)対応コントローラの開発により、充電インフラの拡充に対応できる製品開発を進めてまいります。

 

・医療用特殊チューブの開発

 医療用関連の製品として、補強材入りチューブを中心とする製品の設計・開発をケーブル加工技術の応用とカテーテル製造に必要な新たな技術の開発により、活動しております。これらの開発活動は、高機能性材料開発、機能性多層チューブの開発、多穴チューブ(マルチルーメンチューブ)の製法開発等へと発展し、品種増加と既存品改良により売上寄与が見込まれます。また、開発及び製造は清浄度の高い生産インフラを活用し、精密構造の追及と高機能化の検討を進めております。