文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「世界水準の製品を創り出すことにより、持続的な成長を遂げ、永遠の存在を目指す」こと、「有意義な製品とサービスを供給することにより社会に貢献する」こと、「国際社会に共生する一員であることを意識するとともに、法規等を遵守し、環境保全に努力する」こと、「すべての関係者・機関に調和のとれた満足を提供することを目標とする」こと、「互いの価値を認め合う人々の集団であり、熱意をもって向上・革新へ挑戦していく」ことを基本理念として掲げており、これらの理念を基本の経営方針とし、企業価値の向上を目指してまいります。
(2)経営環境及び経営戦略等
IoTの進展、AIの活用、5Gの実用化、車の自動化・電装化等、当社が得意とする高性能かつ高信頼性が要求される伝送路マーケットは拡大を続けており、当社グループが今後も持続的に安定した成長を遂げていく環境にあると考えております。引き続きこれらの分野への新製品の開発、生産体制の強化に取り組み、事業の基盤を固め、売上、利益の拡大に努めてまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
売上高、営業利益、経常利益等を重要な経営指標としております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 電線・加工品事業の拡大
ビッグデータ関連市場の拡大に対応したサーバ・ストレージ及びハイパフォーマンスコンピュータ/車載機器/半導体製造装置/FA用カメラ/医療機器等の高速・大容量・低遅延伝送化に対応した各種の高精度ケーブル及び加工品の製品開発を図ります。太陽光発電市況に応じてエネルギー産業関連ケーブルの売上拡大を図ります。電源コードやその他の電線・加工品事業につきましては、各分野における当社の強みを活かせる事業展開を図ります。
② 電子・医療部品事業の拡大
ネットワークの高速化や放送と通信の融合に対応した各種伝送装置の製品開発を図ります。用途の広がりや各種の要求特性に応じた医療用チューブ等の製品開発を図ります。
③ 事業環境に対応した国内/国外生産拠点の見直し
事業環境に対応した国内/国外生産拠点の見直しを進めます。フィリピン新拠点の構築を進め、車の電装化に伴う車載用ケーブルの需要の伸びに対応した生産力・供給力の増強と品質保証力のさらなる強化を図るとともに、車載用ケーブル生産のみならず生産拠点のグローバルネットワーク化に努めます。
④ 市場ニーズへの対応
市場ニーズによる製品の多様化・短命化、海外品台頭等による価格競争の激化、顧客のSCM対応による小ロット・短納期化等の経営環境著変に対応するには、原点に返った業務プロセスの見直しが不可欠であります。特に製品及び事務品質の向上による不具合の撲滅、SCMを意識した生産フローの見直しによる棚卸資産の適正化が肝要と考えております。その為に、正確で迅速な意思決定の支援ができる柔軟性のあるコンピュータシステム確立を目指し基幹システムの見直しを実施しています。
⑤ 組織・人事面について
本部/事業部制による業務執行を基盤としつつ、重点的な分野についてはマーケットや製品特性等を基準に括った部門横断的な複数のビジネスユニットとのマトリックス組織を採っております。ビジネスユニットは重点分野の中期戦略を半年毎に経営層と議論し、戦略策定力やマネジメント力の向上を図っております。各事業戦略上に必要な人材の獲得並びに事業戦略底上げのための人材の多様化に努めてまいります。また、連結国内関係会社2社及び同国外関係会社20社との連携を進め、為替/材料リスク削減、総資産の圧縮等も含め、連結収益力の向上を図ります。
⑥ CSRについて
CSRの観点から企業としての環境保全活動につきましては、環境方針に基づき、ISO14001の環境マネージメントシステムの継続的改善及び環境負荷物質の管理に注力いたします。また、当社グループ事業関連法規(国外も含め)の遵守は当然のことながら、社会的通念上の常識、倫理に照らしたコンプライアンス企業経営を更に推進いたしてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社が入手可能な情報等に基づいて判断したものであります。
① 事業環境について
当社グループが関わる事業分野における製品の多様化/短命化に対し、当社グループは、製造/販売/技術一体となり、マーケット密着提案型で、マーケットニーズの先取りを図ることにより、対応いたしております。
また、海外品台頭による価格競争が激化している電源コード等の分野におきましては、中国を主とした海外生産への移管によるコスト削減/品質の強化の徹底により、対抗いたしております。なお、価格競争力のある高機能/高精度のケーブル等は国内生産、量産品は海外生産とグループ内分業体制は進んでおり、今後も同体制を強化することにより、マーケットニーズに対応いたしてまいります。
顧客のSCM対応による小ロット/短納期要請に対しては、EDI(電子データ交換)、VMI(納入業者在庫管理)等を受け入れ、顧客ニーズの充足に努めております。顧客のグリーン調達に対する環境負荷物質管理については、製品の含有物質や材料調達先まで追跡できる管理システムを構築いたしております。
しかしながら、当社グループが関わる情報通信/半導体製造装置/放送/医療分野等における技術の進歩は激しく、顧客の購買政策の変化等が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 銅/石油製品の価格変動が業績に与える影響について
当社グループは、電線ケーブル等銅を主たる原材料とした製品を有しています。これらの製品の販売価格については、ロンドン金属取引所の市況価格を反映した銅建値に基づいて決定するという商習慣が広く普及しており市況価格変動リスクがあります。なお、銅の購入方法は、毎月末に必要数量を主要メーカー複数社等と価格交渉し、その時点で、一番安い価格を提示したメーカー等から購入しております。
石油化学製品類の原材料や副資材の調達については、当社の使用する代表的な非鉛PVCコンパウンドは自社配合品であり、当社の主要な購入先(海外関係会社含む)から適切なる価格で安定的に供給されております。
しかし、中長期にわたる市況価格上昇は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 為替レートの変動が業績に与える影響について
当社グループは、実需の範囲内でヘッジ取引を行い、外貨建取引における為替変動リスクの排除に努力いたしておりますが、完全に回避することは、困難であります。また、ヘッジ取引の一部は、時価法を採用いたしております。従って、為替レートの変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの在外連結関係会社は、主に現地通貨建で個別財務諸表を作成しておりますが、連結財務諸表作成に際しては、円換算いたしております。従って、換算時の為替レートにより、個別財務諸表の各項目の現地通貨における価値が変わらなくとも、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
④ 法的規制について
当社グループは、日本国内のみならず事業展開する各国において、事業の許認可、国家安全保障、独占禁止、通商、為替、租税、特許、環境等、様々な法的規制を受けております。
当社グループは、これらの法的規制の遵守に努めておりますが、将来これらの法的規制を当社グループが遵守できない場合、また、当社グループの営む各事業の継続に影響を及ぼすような法的規制が課せられる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
特に、当社グループは、電気用品安全法の適用を受ける製品を製造販売しております。受検漏れのないように関係法令の遵守に向けた対応として、業務マニュアルや関連資料の整備、並びに年度計画に基づく受検業務を実施しておりますが、万が一、受検漏れが発生した場合、品質上の問題はありませんが、該当製品の出荷停止及び回収(廃棄)となり、かつ顧客の信用が失われ、業績に影響を及ぼす可能性もあります。
⑤ 外国における事業リスクについて
当社グループは、中国、フィリピン等に複数の生産拠点を有し、当社グループ主要製品を生産(中国における生産比率は4割強)いたしております。その為、投資/金融/輸出入に関わる法制の変更、外資系企業に適用される法人税/増値税等の税制変更等は、当社グループの生産/事業運営に支障をきたす可能性があります。当社グループ連結関係会社の外貨建債権/債務、及び同売上(輸出)/仕入(輸入)は、為替レートの変動により、影響を受ける可能性があります。
⑥ 事故・災害に係るリスクについて
当社グループは、全ての生産設備を対象に定期的な設備点検を行っております。しかしながら、生産設備で発生する火災や停電を完全に防止することはできません。また、地震、津波、台風、洪水等の自然災害、テロ、戦争、感染症の蔓延等の事由により生産設備に被害を受け、操業が停止する可能性があります。
こうした災害に遭遇した場合、製品製造ができなくなり、顧客への製品納入の遅延、売上の低下及び修復費用等により、当社グループの業績に影響する可能性があります。
⑦ 製品の欠陥について
当社グループは、日本国内及び事業展開する各国において認められている品質管理基準に従って製品を製造しておりますが、将来にわたって全ての製品に欠陥が無く、製造物賠償責任請求及びリコール等に伴う費用が発生しないという保証はありません。当社グループは、製造物賠償責任請求については保険に加入しておりますが、最終的に負担する賠償額を全て賄えるという保証はなく、製品の欠陥が当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 知的財産に係るリスクについて
当社グループは、製品等の開発、製造、販売、その他事業活動により、第三者の知的財産権を侵害しないよう、製品設計段階における特許調査等により、細心の注意を払っております。
一方、特許権、意匠権、その他知的財産権の取得により、当社グループが蓄積してきている特徴ある技術、ノウハウの保護に努めております。しかしながら、製品の精密化、製品技術の多様化、海外での事業活動の拡大等により当社グループの製品が、意図せず第三者の知的財産権を侵害した場合、販売差し止め、設計変更等に伴うコストにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。一方、第三者による当社グループの知的財産権侵害を完全に防止する事ができない可能性もあり、その場合、当社グループ製品が十分なる市場を確保できない可能性があります。また、当社グループが、製品を製造する場合、第三者の知的財産権が必要となる可能性もあり、その場合、不利な条件でのライセンス受容の可能性もあります。
⑨ 研究開発(新商品開発)について
当社グループは、今後成長が期待できる新規分野を慎重に選択し、人的・物的資源を継続的に投入し、新規製品開発を推進いたしております。
しかしながら、市場のニーズに合致し、資源の投入に見合った付加価値を生む魅力ある製品を継続的に開発できる保証はありません。その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性もあります。
⑩ 新型コロナウイルス感染症に関するリスク
新型コロナウイルス感染症については、ワクチンの普及等による収束が期待されますが、変異株による感染の再拡大への懸念もあり、経済活動への影響は予断を許さない状況となっております。感染状況の継続・拡大によっては、当社グループや顧客の工場稼働の悪化要因になる等、当社グループの業績に影響する可能性があります。
当社グループは、衛生管理の徹底や時差出勤、テレワーク等を実施し、関係者並びに従業員の感染予防に取り組んでまいります。
⑪ 気候変動に関するリスク
気候変動は国や地域を超えて深刻な影響を及ぼす問題であり、その抑制のため多くの国や地域で温室効果ガスの排出量削減等の政策や規制の導入が進むことで、追加の対策費用の発生や事業活動の大幅な見直し等により財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが展開する国や地域の規制動向等を注視し経営への影響が最小限になるよう取り組むとともに、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)ガイダンスに沿ったシナリオ分析の実施等、気候変動に関する対応の見直しとその情報開示に取り組んでまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の厳しい状況が徐々に緩和される中で、個人消費や生産活動の持ち直しの動きがみられました。海外経済は、同感染症の影響による厳しい状況が緩和される中で持ち直しておりますが、第4四半期連結会計期間におけるウクライナ情勢の悪化等による先行きの不透明感がみられます。アジア地域において中国では感染の再拡大の影響により一部地方で経済活動が抑制されているものの、持ち直しの動きがみられました。米国では個人消費の増加から持ち直しが続く事が期待され、欧州についても景気は一部で厳しい状況が残る中で、持ち直しております。
当社グループを取り巻くエレクトロニクス業界におきましては、半導体関連の設備投資は引き続き活発な動きがみられました。車載市場や産業機器市場は堅調に推移したものの、第4四半期連結会計期間には車載市場において半導体や部材の調達難による生産調整の動きもあり、また部材価格の高騰、物流の混乱等により先行きが不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(イ)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は249億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ36億80百万円増加いたしました。主な増加は、原材料及び貯蔵品が16億21百万円、その他に含まれている前渡金が6億70百万円、受取手形及び売掛金が4億58百万円、商品及び製品が4億45百万円であります。有形固定資産は135億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億69百万円増加いたしました。主な増加は、機械装置及び運搬具(純額)が3億52百万円、建設仮勘定が2億23百万円であります。
この結果、総資産は、415億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ43億89百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は67億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億8百万円増加いたしました。主な増加は、支払手形及び買掛金が11億32百万円、短期借入金が3億84百万円、その他に含まれている預り金が2億49百万円であります。固定負債は44億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億52百万円減少いたしました。主な減少は、長期借入金が2億30百万円、その他に含まれている長期預り金が1億20百万円であります。
この結果、負債合計は、111億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億56百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は304億18百万円となり、前連結会計年度末に比べ29億33百万円増加いたしました。主な増加は、為替換算調整勘定が17億56百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が15億3百万円であり、主な減少は、剰余金の配当3億72百万円であります。
この結果、自己資本比率は73.2%(前連結会計年度末は73.9%)となりました。
(ロ)経営成績
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は278億3百万円(前連結会計年度比21.1%増)となりました。売上高が増加したことにより、営業利益は19億56百万円(同15.4%増)となりました。経常利益は20億29百万円(同6.9%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は15億3百万円(同38.9%増)となりました。
主なセグメント別の業績の概要は、以下のとおりです。
(電線・加工品)
車載用ケーブルは、需要の回復、搭載車種の増加から売上を伸ばし、第4四半期連結会計期間において生産調整及び中国における都市封鎖等の影響を受けたものの、新型コロナウイルス感染拡大以前の水準を上回りました。また、エネルギー産業関連ケーブルは北米市場において売上が堅調に推移しました。半導体検査装置用ケーブルは引続き売上が堅調に増加し、その他ケーブル全般の売上も大きく伸長しました。以上により、売上高は245億79百万円(前連結会計年度比28.7%増)となりました。銅価格等の原材料高、部材の調達難、中国における都市封鎖等の影響はありましたが、需要回復による売上の増加等により、セグメント利益は22億87百万円(同39.2%増)となりました。
(電子・医療部品)
医療用特殊チューブは新型コロナウイルス感染症による当該製品を使用する症例数減少の影響もあり売上が減少となりました。ネットワーク機器は専門用途品へのシフトを進め汎用品の整理を行ったこと、及び半導体部品の調達難により売上が減少しました。以上により売上高は31億67百万円(前連結会計年度比14.7%減)となりました。売上の減少等によりセグメント利益は4億36百万円(同35.0%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の獲得9億68百万円、投資活動による資金の支出2億84百万円、財務活動による資金の支出3億5百万円、現金及び現金同等物に係る換算差額の増加が5億58百万円となり、期首に比べ9億36百万円増加し、78億71百万円(前連結会計年度比13.5%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、9億68百万円の資金の獲得(前連結会計年度は13億17百万円の資金の獲得)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益20億59百万円、減価償却費13億73百万円、仕入債務の増加7億37百万円であり、主な減少要因は、棚卸資産の増加額18億14百万円、前渡金の増加額6億14百万円、法人税等の支払額4億96百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、2億84百万円の資金の支出(同30億18百万円の資金の支出)となりました。主な増加要因は、定期預金の払戻による収入24億16百万円であり、主な減少要因は、定期預金の預入による支出16億78百万円、有形固定資産の取得による支出10億86百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、3億5百万円の資金の支出(同3億6百万円の資金の支出)となりました。主な増加要因は、長期借入による収入17億50百万円であり、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出17億68百万円、配当金の支払額3億72百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
電線・加工品(百万円) |
20,147 |
132.7 |
|
電子・医療部品(百万円) |
2,210 |
92.7 |
|
報告セグメント(百万円) |
22,357 |
127.2 |
|
その他(百万円) |
- |
- |
|
合計(百万円) |
22,357 |
127.2 |
(注)金額は製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
(ロ)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|||
|
受注高 |
前年同期比(%) |
受注残高 |
前年同期比(%) |
|
|
電線・加工品(百万円) |
27,677 |
136.7 |
7,293 |
173.9 |
|
電子・医療部品(百万円) |
3,518 |
100.7 |
1,126 |
145.3 |
|
報告セグメント(百万円) |
31,196 |
131.4 |
8,419 |
169.4 |
|
その他(百万円) |
43 |
26.4 |
8 |
37.7 |
|
合計(百万円) |
31,239 |
130.7 |
8,428 |
168.8 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
(ハ)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
電線・加工品(百万円) |
24,579 |
128.7 |
|
電子・医療部品(百万円) |
3,167 |
85.3 |
|
報告セグメント(百万円) |
27,746 |
121.7 |
|
その他(百万円) |
57 |
38.6 |
|
合計(百万円) |
27,803 |
121.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は100分の10未満でありますので記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであり
ます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討の内容
当社グループの経営成績は、電線・加工品、電子・医療部品における需要変動及び銅・石油価格等の変動、ま
た、当社グループが関わる製品群の多様化・短命化、価格競争の激化、顧客のグリーン調達強化等により影響を受けます。これらの状況を踏まえ、主に付加価値の高い製品は国内生産、量産品は海外生産と分業体制の強化、環境負荷物質のシステム管理体制の確立、高成長や安定した収益が見込まれる分野への経営資源の戦略的投入等により、競争力・収益力向上に努めております。
なお、今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症による制限の緩和から世界経済の回復が期待されますが、変異株による感染の再拡大への懸念、ウクライナ情勢の動向、急速な為替変動、半導体の供給不足、原材料高、部材の調達難等により予断を許さない状況にあります。当社の関連する市場においては、車載用ケーブルはカメラやアンテナをはじめとした車載搭載機器の増加、車載ネットワークの高度化から、引き続き成長が見込まれます。エネルギー産業関連ケーブルにおいても二酸化炭素排出削減をはじめとした環境への取り組みを背景に継続した需要が見込まれます。
a.経営成績の分析
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、売上高、営業利益、経常利益等を重要な経営指標としております。
売上高は、第3四半期までは新型コロナウイルス感染症の厳しい状況が徐々に緩和され、個人消費や生産活動の持ち直しにより回復基調となりましたが、第4四半期に入り部材の調達難による生産調整、中国における都市封鎖の影響による生産活動停止等の影響により売上高は伸び悩みとなりました。年間を通しては車載用ケーブル、エネルギー産業関連ケーブル及び半導体検査装置用ケーブル等は需要が回復し、売上高は増加となりました。以上の結果、売上高は278億3百万円(前連結会計年度比21.1%増)となりました。
売上総利益は、銅仕入価格上昇の一部を売上価格に転嫁したことや売上高の増加により60億3百万円(同8.6%増)となりました。
営業利益は、物流コストの上昇等により販売費及び一般管理費が2億13百万円増加したものの、19億56百万円(同15.4%増)となりました。
経常利益は、20億29百万円(同6.9%増)となりました。
特別利益は、受取保険金81百万円であります。
特別損失は、災害による損失(電線・加工セグメント)31百万円と減損損失(電子・医療部品セグメント)20百万円であります。
この結果、税金等調整前当期純利益は20億59百万円(同35.4%増)となり、法人税等合計を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は、15億3百万円(同38.9%増)となりました。
b.財政状態の分析
当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況」の「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
c.キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況」の「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
d.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの主な資金需要は、運転資金及び設備投資資金等であります。これらの資金につきましては営業活動による収入のほか、安定的な支払能力を確保するため、資金繰りの状況や金融情勢を勘案し、銀行からの借入れにより調達しております。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、さまざまな項目について会計上の見積りを行う必要がありますが、特に以下の事項は、会計上の見積りの判断が当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(棚卸資産の評価)
当社グループは、棚卸資産を収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法により評価しております。当社は見込み生産を行うことがあり、保有期間が長期にわたる棚卸資産は、販売可能性等を勘案して評価損を見積り計上しております。これらの見積りは、将来の不確実な経済環境や顧客ニーズの変化により影響を受ける可能性があります。当連結会計年度末における棚卸資産の簿価は7,092百万円であります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち想定していた収益が見込まれなくなった事業用資産について、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する方針であります。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(新型コロナウイルス感染症の影響)
会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響に関して、同感染症による制限の緩和が進み、通常の事業活動が行えていることを前提として見積りを行った結果、当連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響、及び翌連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響は軽微なものと判断しております。
該当事項はありません。
当社グループは、長年培ってきた電線・ケーブル押出技術(導体の上に絶縁体を被覆する技術)を応用した製品開発を重要なる柱として、技術変化の激しいデジタルエレクトロニクス分野に対応した高周波・高精度・高速伝送ケーブルの研究開発、次世代放送システムに対応したIP伝送装置の開発、耐環境性や特殊機能を備えたスイッチングハブの開発、及び医療分野における高性能医療用特殊チューブ等、今後の当社グループ事業の中核となる製品の研究開発を鋭意進めております。
現在の研究開発は、インキュベータ的研究開発及び製品直結型の各事業部における研究開発で推進されております。
当連結会計年度における各セグメント別の主な研究テーマ、成果は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費総額は
(1)電線・加工品事業における研究開発費は
・高精度、高速伝送ケーブル開発
近年IoTの出現により、ネットワークやコンピュータの要求性能は急速に高まり、より多くのデータを保存、伝送、処理する必要があります。一方で、データの転送速度の向上に伴い伝送ロスを低減するなどデータ伝送の課題は増えています。
送信部の波形品質特性、ケーブルの特性品質等、すべてに高い性能が要求され、これまではあまり問題にならなかったレーン間のクロストークも大きな問題となります。そのため実際の設計では、測定器とシミュレーションを組み合わせたトータルの開発環境も重要となります。
半導体テスタ用ケーブルは特に高精度、低減衰量、高速伝送が重要となります。そのため、高帯域(10G以上)の伝送特性・信頼性が求められ、その顧客ニーズを可能にする高い付加価値のあるケーブル・ASSY製品の実現に向けて、当社の技術力を活かし、積極的に開発活動に取り組んでおります。又、サーバ/ストレージ用の400Gbps対応ケーブル及びそのアッセンブリ品である、QSFP-DDを始め、FA及び医療向けマシンビジョンカメラ用の各種規格ケーブル(Camera Link-HS/長距離Camera Link/10G Camera Link-HS AOC/GigEVision/10GigE/USB3Vision(TYPE-C)/USB4AOC/CoaxPress/CoaxPress Over Fiber(AOC) & Repeater/12G-SDIなど)、民生用の各種規格ケーブル(HDMI2.1(8K伝送対応)/DVI/DisplayPort/USB3.2など)、光ファイバーのもつ広帯域という利点を活かした長距離伝送を行うアクティブ光ケーブル、その他車載電子機器用ケーブル、防水ケーブル、5G通信ケーブル、セキュリティ/デジタル機器ASSY等の開発・量産化を強化しております。第5世代移動通信システム(5G)アンテナ用同軸ケーブルの普及に伴い、高速の伝送を必要とする携帯端末が増えてきている。特に初期の通信5GはSUB6(6GHz以下)の周波数帯域でサービスを展開していたが、今後はミリ波(24~28GHz、米国40GHz近辺)を中心としたサービスへの移行が予想され開発を進めております。
・医療用ケーブルの開発
AWG42より細い極細同軸はCCD内視鏡やAWG46より細い超極細のものは、超音波内視鏡などの医療用を中心として採用されております。当社は、特殊な銅合金導体をはじめ、素材レベルから検討を進め、精度・強度・機械特性・ノイズ・伝送特性等に優れた超極細同軸ケーブルの開発に取り組んで来ました。
・環境対応材料の開発
RoHS指令、REACH規制、POPs条約など環境規制が強化される中、環境への悪影響がなく且つ商品性能・価値を満足させることが要求されてきています。当社では、これら環境規制で禁止される特定有害物質を一切使用することなく、従来材料と同等以上の性能、コストパフォーマンスをだすための材料技術を蓄積し、安心して使用できる環境対応材料の開発に取り組むと共に、難燃、耐熱、耐油、低摩耗性などの高機能化要求に応えるための材料開発を進めております。
・車載製品の開発
世界各国で安全で快適なモビリティ社会の実現に向け、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転などの分野で激しい技術開発競争が繰り広げられています。
「Connected(コネクテッド)」の分野では、高速大容量、超信頼・低遅延(リアルタイム)を実現する5G通信システムの本格普及により、自動車と通信の融合に向けた取組みが世界各国で加速しています。そんな中で5G通信システムと車車間通信・路車間通信をつなぐ製品の重要性が一層求めらてれおります。
「Autonomous(自動運転)」の分野では、自動運転に不可欠なセンシングカメラ/レーザーレーダー(LiDAR)の高度化に伴い、高い信頼性と優れた高周波特性をもった製品を求められております。 このため、車載製品開発においては、より高度な製品の開発を行うだけでなく製品評価及びプロセス保証も重要な研究開発の要素として取り組んでおります。
(2)電子・医療部品事業における研究開発費は
・放送機器/ネットワーク装置の開発
放送分野での4K/8K伝送においては圧縮・伸長技術や既存通信インフラを使用することが可能となるIP伝送装置の市場ニーズに対し、各種圧縮・伸長が可能なコーデック製品や非圧縮及び圧縮映像信号をIP化する製品開発を進めてまいります。
これから進む映像信号のIPネットワーク化に向けてスイッチングハブなど映像ネットワークに特化した製品拡充を図ってまいります。
ネットワーク製品では、船舶・物流・半導体製造用スイッチングハブやシステム構築時の各種設定を簡易化できる自動設定機能付スイッチングハブ、PTP(Precision Time Protocol)機能やマルチレート対応スイッチングハブなど特殊用途や管理の簡略化に対応した製品拡充を図ってまいります。
これら製品群の5G/ローカル5GやIoT関連ネットワーク向けの10Gbpsスイッチングハブ及び搭載インテリジェンス化ソフトウェアについても開発を進めてまいります。
・医療用特殊チューブの開発
医療用関連の製品として、補強材入りチューブを中心とする製品の設計・開発をケーブル加工技術の応用とカテーテル製造に必要な新たな技術の開発により、活動しております。これらの開発活動は、高機能性材料開発、機能性多層チューブの開発、多穴チューブ(マルチルーメンチューブ)の製法開発等へと発展し、品種増加と既存品改良により売上寄与が見込まれます。また、開発及び製造は清浄度の高い生産インフラを活用し、精密構造の追及と高機能化の検討を進めております。