第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、1917年の創業以来100年にわたり、金属・プラスチック・紙・ガラス等、それぞれが持つ特性を活かし、人々のライフスタイルや社会の変化に応じて、さまざまな素材の容器を世の中に送り出してまいりました。

当社グループは、2016年4月に制定した東洋製罐グループの経営思想のもと、次の100年に向けて、素材の開発と加工の技術を軸に、人々の暮らしをより豊かにし、環境にやさしいしくみを拡げ、さらなる発展と進化を目指しております。

〔東洋製罐グループの経営思想〕

経営理念

常に新しい価値を創造し、持続可能な社会の実現を希求して、人類の幸福に貢献します。

信条

・品格を重んじ、あらゆる事に日々公明正大に努めます。

・一人ひとりの力を最大限に発揮し、自己の成長と共に社会の繁栄に努めます。

ビジョン

・世界中の人に必要とされる斬新で革新的な技術と商品を提供するグループを目指します。

(2)目標とする経営指標

2018年度から2020年度までの「東洋製罐グループ第五次中期経営計画」では、最終年度である2020年度において、連結売上高8,200億円、営業利益500億円の達成等を数値目標として掲げております。

当社グループを取り巻く事業環境がより一層厳しさを増すことが想定されるなか、数値目標の達成は難しい状況にありますが、グループの総力を結集し、本中期経営計画の諸施策を着実に遂行することで、業績の向上に努める所存であります。

(3)中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題

当社グループは、飲料・食品・生活用品などの生活必需品向けの容器をはじめ、人々の生活に密接に関わる製品を提供するとともに、ニーズの変化を的確に捉え、斬新で革新的な製品・サービスの研究開発に取り組んでおります。また、当社グループは、容器を社会インフラの一つであると考えており、新型コロナウイルス感染症の拡大や災害時のような緊急事態においても、総合容器メーカーとしての供給責任を果たしてまいります。

当社グループを取り巻く事業環境は、国内における包装容器の市場規模拡大が見込まれないと予想されるなか、労働力不足にともなう人件費や物流費の高騰、お得意先における飲料用ペットボトルの自社製造の拡大など、厳しさを増しております。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、家庭内消費の増加にともなう容器の需要増も一部では見込まれるものの、イベント・レジャー・外食産業等における消費の低迷による需要減などが懸念されております。

このような事業環境下において、2018年度から2020年度までの「東洋製罐グループ第五次中期経営計画」(以下、「本中期経営計画」といいます。)は最終年度を迎えます。本中期経営計画において、2018年度を「創業的出直し」の年として位置づけ、東洋製罐グループの成長戦略とその成長戦略を支える組織構造・企業風土改革、財務・資本政策を進めることを基本戦略とし、持続的な成長を目指しております。

本中期経営計画の概要およびその進捗状況は次のとおりです。

〔「東洋製罐グループ第五次中期経営計画」における基本戦略〕

お客さま・社会へ常に新しい価値を提供いたします

東洋製罐グループが有する素材開発・成形加工・エンジニアリングの3つの技術を融合させ、人々の暮らしをより豊かにし、環境にやさしい新しいしくみを提案いたします。

<進捗状況>

・当社グループは、以下のとおり、消費者やお得意先などのニーズを汲み、あらゆる素材を取り扱う当社のシーズをもとに開発した多岐にわたる付加価値製品をもって、市場の開拓に努めております。

-「aTULC」と新開発の蓋の組み合わせによりワインの保存・フレーバー保持期間を2倍に延長

-日本酒向けの飲料缶充填機をコンパクト化し、地域イベントなどの小ロット生産に対応することで、充填設備レンタル事業によって地域創生に貢献

-海洋プラスチックごみ問題への対応として、プラスチックの使用量削減を目的としたプラスチック素材から紙素材への切り替え需要に応える各種紙容器を開発

-環境に配慮したEV・ハイブリッド車向けの車載用二次電池の需要増に対応し、ニッケルめっき鋼板を増産

永続的な成長を支えるための組織構造・企業風土改革を進めます

次の3つの方針を軸として各種施策を実行いたします。

■機動的な事業運営を実現させる組織再編

■規模・機能・立地の適正化

■リーディングカンパニーに求められる社会的責任の実践

<進捗状況>

・当社の連結子会社である東洋製罐株式会社は、アルコール飲料向けのアルミ缶の需要拡大にともなう生産能力増強を目的として、同社石岡工場にIoTを活用し、自動化・省人化を進めたアルミ飲料用空缶製造設備を増設することを決定いたしました。東洋製罐株式会社は、当該アルミ飲料用空缶製造設備において、製造工程における省資源・省エネルギー化の促進による環境負荷低減および新技術導入による世界最軽量のアルミ缶製造の実現を目指しております。なお、当該設備は2021年4月以降の稼働を予定しております。

③成長戦略投資と財務の健全性を両立させる財務・資本政策を進めます

次の2つの方針を軸として各種施策を実行いたします。

■適切な経営資源の配分による成長戦略投資の実践

■環境変化に柔軟に対応した財務・資本政策の実践

<進捗状況>

・当社の連結子会社であるBangkok Can Manufacturing Co., Ltd.は、タイにおける飲料用空缶の需要増に対応することを目的として新工場を建設いたしました。なお、新工場は、2019年11月より稼働しております。

・東洋製罐株式会社は、豊橋工場において、今後の伸長が見込まれるフィルムパウチやプラスチックカップといった軟包装容器の製造・販売を行っております。同容器の増産対応および生産性の大幅な向上を目的として、新工場棟を建設いたしました。なお、新工場棟は、2020年6月より順次稼働しております。

・今後の成長投資に向けた資産・財務の健全化および資本効率の改善によって企業価値の最大化を図ることを目的として、本中期経営計画の期間内において、300億円規模の自己株式の取得を決定し、2018年度に199億円分(9,523,300株)、2019年度に99億円分(5,265,300株)、累計299億円分(14,788,600株)の自己株式を取得いたしました。

当社グループを取り巻く事業環境は、より一層厳しさを増すことが想定されますが、本中期経営計画の諸施策を着実に遂行することで、持続的な成長を目指してまいります。

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況および経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当社およびグループ各社は、継続的な事業活動に影響を及ぼすおそれのあるさまざまなリスクの発生を未然に防止し、当社およびグループ各社の経営基盤の安定化を図るとともに、危機が発生した場合に事業活動を早期に復旧し、継続させるために策定した「グループリスク及び危機管理規程」に基づき、リスクマネジメント体制の強化を推進しております。当社は、グループのリスク管理および危機管理ならびにコンプライアンスを横断的に統括するグループリスク・コンプライアンス委員会を設置しており、同委員会は、重要リスクに関する情報の確認、改善および予防措置を講じております。当社およびグループ各社では、それぞれの管理体制のもとで危機管理規程や危機対応マニュアル等の策定、リスク管理状況のとりまとめなどを行っております。また、当社は、グループとしての確固たるリスク・危機管理体制を構築することを目的として、2019年10月1日付で、常設のリスク・危機管理を統括する専門部門として「リスク危機管理統括室」を設置しております。

なお、以下のリスクが顕在化する可能性の程度や時期、リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響につきましては、家庭内消費の増加にともなう容器の需要増も一部では見込まれるものの、イベント・レジャー・外食産業等における消費の低迷による需要減などが懸念されており、業績に与える影響としては、2021年3月期の上半期において、売上高で176億円の減少、営業利益で54億円の減少を見込んでおります。当社グループでは、2020年2月以降、当社およびグループ各社の役員等で構成される新型コロナウイルス危機対策会議をグループ横断的に適宜開催し、海外子会社を含む当社グループ全体を包括した対策を展開しております。従業員の健康を守りながら、社会機能維持として欠かせない飲料・食品・生活用品に携わる当社グループの事業活動に万全を期するため、同会議のもと、本社および営業所等において在宅勤務を推進したほか、各工場の操業においては感染防止策を徹底するなど、感染拡大の防止を図っております。

(1)天候・自然災害・事故リスク

当社グループの主力事業である飲料容器事業においては、その事業の性質上、需要期の天候が業績に重大な影響を及ぼします。飲料容器の需要がピークを迎える上半期において、冷夏や長梅雨などの予想しにくい気象状況の変動や、予期せぬ自然災害の発生等に起因する需要の減少が、当社グループの業績および財務状況に大きな影響を与えることになります。

また、地震や台風などの大規模な自然災害が発生し、当社グループの生産設備等に甚大な被害を与えた場合、当社グループの業績および財務状況に好ましくない影響を与える懸念があります。

当社グループでは、継続的な事業活動に影響を及ぼすおそれのあるさまざまな自然災害・事故リスクの発生時に被害を最小限に抑えるため、設備対応、調達先の分散、生産拠点におけるバックアップ体制の構築、適正在庫の確保などの対応をとっております。

(2)コンプライアンスリスク

企業の社会的責任が近年ますます重要視されるなか、企業活動における遵法精神を徹底させるとともに、経営上のリスクを回避しながら経営資源を効率的かつ適正に運用していくことで業績を向上させていくことが求められております。

当社グループにおいてもこうした状況を踏まえ、コンプライアンス体制の強化は最も重要な経営課題と認識し、その実現に向けてグループを挙げて努力しております。しかしながら、リスク管理体制の不備により企業の社会的責任を問われる事態が生じる可能性が全く無いとは言い切れず、そのような事態が生じた場合は、当社グループの信用もしくは評価が大きく毀損され、当社グループの継続的な事業活動に影響を及ぼすおそれがあります。当社グループでは、コンプライアンス体制強化のため、以下の施策に取り組んでおります。

・当社グループが遵守・実践すべき枠組みを示す「グループ企業行動憲章」および「グループ企業行動規準」を制定し、役員および従業員に対して周知・教育を実施

・内部通報制度である東洋製罐グループコンプライアンス相談窓口を設置

・グループ全体のコンプライアンスに関する取り組みを統括するグループリスク・コンプライアンス委員会を設置し、同委員会のもと、役員および従業員に対して教育研修を実施

・コンプライアンスに対する意識や行動について再認識するための期間として、毎年10月をグループコンプライアンス推進月間と定め、啓発活動を実施

・社内外のコンプライアンスに関する情報を取りまとめた「コンプライアンス通信」の定期的な発行のほか、電子メールやデータベースを活用した情報の発信・周知を実施

このほか、当社および当社の連結子会社である東洋製罐株式会社は、2018年2月6日に飲料缶の取引に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会による立ち入り検査を受け、以降、同委員会の調査に全面的に協力してまいりましたが、2019年9月26日、東洋製罐株式会社は、同委員会より排除措置命令および課徴金納付命令を受けました。

当社は、これらの事実を厳粛に受け止め、2019年12月20日開催の取締役会において、当社グループにおける独占禁止法遵守体制の確立を目的として、「カルテル決別宣言」を決議いたしました。

カルテル決別宣言

当社グループは、独占禁止法を遵守した公正かつ自由な競争を行い、競争関係にある他の事業者との間で独占禁止法に違反する行為または違反を疑われる行為を行いません。

当社グループは法令遵守体制の一層の強化と再発防止策の徹底を図るべく、以下の事項に取り組んでおります。

a.独占禁止法遵守に関する規程類の厳格化

b.独占禁止法遵守教育の継続的実施

c.独占禁止法違反行為に対する懲戒処分の明確化

d.適切な人事ローテーションの実施

e.内部監査の強化

f.内部通報制度の利用促進

これに加え、グループ各社が制定している「独占禁止法等遵守規程」について、2020年4月30日付で、持株会社である当社において同規程を新たに制定し、グループ各社に独占禁止法等遵守を強く推進するとともに自らも遵守し、公正かつ自由な競争に基づく事業活動を行っております。

(3)事業・経営リスク

①経済状況の変化

世界経済および日本経済における景気の後退あるいは停滞、少子高齢化の進行による人口減少や、それらにともなう個人消費の低迷および為替の変動は、売上高や利益の減少につながる懸念があります。

②原材料・エネルギー価格の変動

当社グループが製造販売する製品は、原価に占める原材料・エネルギー費用の割合が大きく、その価格変動が、当社グループの業績および収益性に影響を及ぼします。

なお、当社グループは原材料価格が上昇した場合、製品価格への転嫁に努めておりますが、その達成状況および進捗の度合いによっては、当社グループの収益性が低下する懸念があります。

③価格競争の激化

当社グループが主として事業を展開する容器市場においては、競合他社との価格競争激化およびお得意先各社における容器の自社製造の拡大が続いており、当社グループの価格交渉力の低下や製品価格の下落傾向を強める懸念があります。

当社グループは、消費者やお得意先などのニーズの変化を的確に捉え、あらゆる素材を取り扱う当社のシーズをもとに開発した多岐にわたる斬新で革新的な製品・サービスをもって、競合他社との差別化を図り、価格競争力を強化してまいります。

④研究開発

技術立社を目指す当社グループにとって継続的かつ効果的な研究開発投資は不可欠なものである一方、その成果は不確実なものであり、多額の支出を行ったとしても必ずしも成果に結びつかないというリスクを抱えております。特に新製品・新技術などの研究開発投資が今後十分なリターンを生み出さない場合には、当社グループの将来の成長性および収益性を低下させる懸念があります。

⑤投融資(企業買収・資本参加・設備投資等)

当社グループは、事業基盤の強化および事業の拡大を目的として企業買収や資本参加等を積極的に実施しているほか、さらなる企業価値向上のために、生産・販売・研究開発の各分野において積極的かつ効果的な投資を行っておりますが、期待する成果が十分に得られなかった場合、当社グループの業績および収益性に大きな影響を与える懸念があります。

投融資にかかるリスク管理として、当社は「投資管理委員会」を設置しており、投融資の意思決定の手続きと判断基準を明確にし、実行後の評価と評価に基づく案件の継続・撤退の基準を設定するなど、精査を行っております。また、同委員会において、投融資を行った案件について定期的にモニタリングを行っており、当初の期待どおりの効果が得られず、グループ全体の収益性に対してマイナスに寄与するとみなされる案件については撤退の判断を行い、将来の収益性の低下リスクを低減することとしております。

⑥取引先の信用リスク

当社グループの取引先の信用不安により、予期せぬ貸倒リスクが顕在化し、追加的な損失や引当金の計上が必要となる場合、当社グループの業績および財務状況に好ましくない影響を与える懸念があります。

当社グループの販売先は比較的信用リスクが低い顧客が多いものの、信用リスクの高い顧客においては、商社を通じた取引形態あるいは債権回収期間の短縮を行うほか、新規顧客との取引を開始する前には十分な信用調査を行うなど、リスクの低減に努めております。

⑦人材確保と育成

当社グループの将来にわたる継続的な成長と発展には有能なリーダーの存在の有無が大きな影響を与えるため、優秀な人材の確保と育成は当社グループの発展には不可欠なファクターであり、優秀な人材を確保または育成できなかった場合には、当社グループの将来の成長に好ましくない影響を与える懸念があります。

優秀な人材の確保については、主要なグループ会社において、現在はグループ各社で行っている大卒定期採用を、2021年度よりグループ一括での採用に切り替え、グループ事業の広がりの中でのキャリア形成を通じて、グループを牽引するリーダーの育成を図ります。これに加え、主要なグループ会社において、将来のリーダー候補を選抜し、研修と戦略的な配置の中で育成する中核人材マネジメントの仕組みを2017年度より導入しております。

 

⑧敵対的企業買収

当社は株式公開会社であるため、当社株式を公開買付けまたは市場取引等で大量に取得する者が現われる可能性があります。当社グループの企業価値および株主共同の利益を毀損することが明らかな敵対的企業買収が行われた場合、当社グループの業績、財務状況および経営に好ましくない影響を与える懸念があります。

⑨訴訟のリスク

当社グループが国内外で事業活動を遂行していくうえで、訴訟の対象となるリスクがあります。具体的には、契約上の債務不履行、製造する製品の欠陥にともなう製造物責任、役員および従業員との労働契約・関連法令にともなう責任および第三者の権利侵害などにより、損害賠償等の多大な費用を要する可能性があります。

当社グループでは、これらの訴訟リスクを低減するため、契約のひな型において当社グループが負担する法的責任の明確化、当社グループにおける各事業部門が法務部門等の専門部署および外部専門家と連携し、実際に訴訟を提起された場合の当社グループの業績および財務状況への影響を最小限化するほか、グループ包括賠償保険の付保等を行っております。

(4)情報セキュリティリスク

当社グループが保有する個人情報および業務上知り得た情報等の保護についてはさまざまな対策を講じておりますが、予期せぬ事態によりこれらの情報が流出する可能性が全く無いとは言い切れず、そのような事態が生じた場合、当社グループの信用もしくは評価が毀損され、業績等に影響を与える懸念があります。

当社グループでは、情報管理に関する各種規程類を策定し、定期的に役員および従業員への教育および啓発活動を実施しているほか、コンピュータシステムについては情報を保護するための各種対策を取っております。また、当社は、情報管理体制の強化を目的として、2019年10月1日付で、グループの情報管理を横断的に統括する「グループ情報管理委員会」を設置したほか、当社の情報管理を統括する「情報管理委員会」を設置いたしました。

(5)財務・会計リスク

①減損会計

当社グループが保有する固定資産について、稼働率、収益性の低下等により減損損失を認識すべきであると判定した場合、相当程度の減損損失を計上することが予測され、当社グループの業績および財務、経営に好ましくない影響を与える懸念があります。

②退職給付債務

当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、一般的には将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼします。今後、長期金利が低下した場合および年金資産の運用利回りの悪化が生じた場合には、当社グループの収益性、業績を悪化させることになります。

③繰延税金資産

当社グループでは、将来減算一時差異等に対して、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は、将来の課税所得に関する予測等に基づき回収可能性を検討して計上しておりますが、将来の課税所得が予測と異なり、繰延税金資産の修正が必要となる場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

④会計基準および税制等の変更

日本の会計基準は、国際的な基準との調和を図るべく改訂を重ねており、今後もこの方向で推移するものと予想されます。また、日本における国際財務報告基準の適用に向けた議論が進んでいます。このような状況のなか、将来における会計基準の変更は、当社グループの業績、財務状況および業務遂行に影響を与える可能性があります。また、日本および諸外国の税制等が改正される場合においても同様の可能性があります。

当社は、連結財務諸表等の適正性を確保するため、公益財団法人財務会計基準機構へ加入し、同機構が行う研修会などに参加し、継続的な情報収集活動を行うことで、会計基準等の内容を適切に把握し、その変更等について的確に対応できる体制を整備しております。

⑤保有資産の価格変動

当社グループの保有する土地や有価証券等の資産価値が下落することにより、当社グループの業績および財務状況に好ましくない影響を与える懸念があります。

政策保有株式については、当社は、当社グループが成長し企業価値を高めていくために、事業活動における様々な取引関係の維持・強化を目的として保有する方針としております。保有の合理性を検証する方法につきましては、取締役会等において、保有にともなう便益やリスクが資本コストに見合っているか等を確認することとしており、検証の結果、保有意義が希薄と判断された銘柄については、縮減を図る方針としております。また、便益を定量的に把握しにくい銘柄については、保有目的等の定性的な情報も検証しております。

(6)製造・品質リスク

当社グループは厳格な品質管理基準に基づき多様な製品を製造・販売しておりますが、全ての製品について欠陥が皆無で、将来にわたり品質的なクレームや製造物責任が発生しないという保証はありません。こうした想定外の大規模な品質クレームや製造物責任によって多額のコスト負担の発生や当社グループの信用もしくは評価が毀損される懸念があります。

当社は、安全な製品やシステム・サービスの提供およびお客様・社会から信頼していただける企業グループとしての社会的行動の実践を図るべく、2019年4月1日付で、グループ各社の品質管理部門を統括する品質統括部を新設し、グループ内における重大品質リスクの低減を推進しております。

(7)環境リスク

当社グループの製品の製造工程における環境負荷低減への取り組みが、製造コストを押し上げることや、当社グループの企業活動に起因する想定外の環境問題が発生することにより、多額のコスト負担の発生や当社グループの信用もしくは評価が大きく毀損される懸念があります。

昨今の全世界的な海洋プラスチックごみ問題を起点として、プラスチック製品の削減に関する世論が高まっております。当社グループにおいても、プラスチック製包装容器を製造・販売しており、連結売上高のおよそ4分の1を占めておりますが、今後の状況の変化によっては販売への影響が懸念され、ひいては、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。

当社グループでは、環境に関するリスクと機会の把握・見直しを定期的に行うことで、想定外の環境問題発生の低減に努めております。当社グループは、2030年を見据えた環境目標である「Eco Action Plan 2030」を策定し、中長期的な環境負荷削減に対するグループ全体での取り組みを遂行しております。脱プラスチック問題に関しては、国のプラスチック資源循環戦略に則したプラスチック製包装容器の軽量化や代替素材への転換などの施策に取り組んでおります。

(8)カントリーリスク

当社グループは、2020年3月末現在、連結子会社74社のうち海外会社は34社、非連結子会社・関連会社・関連会社の子会社も含めるとグループ全体で101社のうち54社がアジアや欧米などにおいてグローバルな事業展開を行っております。海外におけるテロの発生、政情の悪化、経済状況の変動、為替の変動および予期せぬ法律・規制の変更等があった場合、当社グループの業績等に影響を与える懸念があります。

当社グループは、進出している海外地域における非常事態発生時の危機対応については「グループ海外事業危機管理規程」に基づき判断しているほか、新たな海外事業進出にかかる意思決定段階および当該事業活動の推進段階においてカントリーリスクについて吟味し、推進可否を判断しております。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな回復基調で推移してまいりましたが、年明け以降の新型コロナウ
イルス感染症拡大の影響により、企業収益や個人消費が急速に悪化するなど、極めて厳しい状況にあります。

このような環境下におきまして、当連結会計年度における当社グループの業績は、以下のとおりとなりました。売
上高は、包装容器関連機械設備やパウチなどのプラスチック製品の販売が増加しましたが、機能材料などの販売が減
少し、7,908億14百万円(前期比0.3%減)となりました。利益面では、原材料・エネルギー価格が下落したことなど
により、営業利益は272億71百万円(前期比7.2%増)、経常利益は284億12百万円(前期比2.3%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、独占禁止法関連損失および減損損失を計上したことにより、5億20百万円の損
失(前期は202億62百万円の純利益)となりました。

各セグメントの営業の概況は次のとおりであります。

〔包装容器関連事業〕

売上高は6,585億67百万円(前期比0.4%増)となり、営業利益は205億7百万円(前期比3.4%増)となりました。

a)金属製品の製造販売

金属製品の売上高は前期並となりました。

 

《国内》

チューハイ向けのアルコール飲料用空缶が増加しましたが、医療用医薬品向けなどの飲料用空缶が減少したほ
か、コーヒー向けのキャップが低調に推移したことにより、売上高は前期並となりました。

《海外》

タイにおいてエナジードリンク向けの飲料用空缶が減少しましたが、ビール・清涼飲料向けのキャップが増加し
たほか、為替の影響により、売上高は前期を上回りました。

b)プラスチック製品の製造販売

プラスチック製品の売上高は前期を上回りました。

《国内》

炭酸飲料向けの飲料用ペットボトルが減少しましたが、住宅用洗剤向けの詰替用パウチなどのフィルムが増加し
たほか、検査薬向けの容器やゼリー飲料向けのパウチ用キャップが好調に推移したことにより、売上高は前期を上
回りました。

《海外》

中国においてお茶類の受託充填品の増加で飲料用ペットボトルが好調に推移しましたが、頭髪用品向けのプラス
チックボトルが減少し、売上高は前期並となりました。

c)紙製品の製造販売

アイスクリーム向けのカップが減少しましたが、コンビニエンスストア向けの弁当容器などで新規受注があった
ほか、乳製品向けなどの段ボール製品が増加し、売上高は前期並となりました。

d)ガラス製品の製造販売

清涼飲料向けなどのびん製品が増加しましたが、飲食店向けの食器などのハウスウエア製品が低調に推移したこ
とにより、売上高は前期を下回りました。

e)エアゾール製品・一般充填品の受託製造販売

染毛剤のエアゾール製品が減少したほか、頭髪用品などの一般充填品が低調に推移したことにより、売上高は前
期を下回りました。

f)包装容器関連機械設備の製造販売

国内の飲料充填設備や海外の製缶・製蓋機械などの販売が増加し、売上高は前期を上回りました。

〔鋼板関連事業〕

売上高は629億24百万円(前期比1.9%増)となり、営業利益は2億85百万円(前期比80.8%減)となりました。

電気・電子部品向けでは、車載用二次電池向けの電池材が増加し、売上高は前期を上回りました。

自動車・産業機械部品向けでは、駆動系部品材などが減少し、売上高は前期を大幅に下回りました。

建築・家電向けでは、冷蔵庫向け扉材などが減少し、売上高は前期を下回りました。

〔機能材料関連事業〕

売上高は368億11百万円(前期比10.4%減)となり、営業利益は15億21百万円(前期比55.1%減)となりました。

磁気ディスク用アルミ基板では、サーバー向けのハードディスク用途が減少したことなどにより、売上高は前期を
大幅に下回りました。

光学用機能フィルムでは、フラットパネルディスプレイの市況が悪化した影響により、売上高は前期を下回りまし
た。

その他、顔料が減少しました。

〔不動産関連事業〕

オフィスビルおよび商業施設等の賃貸につきましては、売上高は80億19百万円(前期比2.8%増)となり、営業利
益は50億41百万円(前期比5.8%増)となりました。

〔その他〕

自動車用プレス金型・機械器具・硬質合金および農業用資材製品などの製造販売、石油製品などの販売および損害
保険代理業などにつきましては、売上高は244億90百万円(前期比8.7%減)となり、営業利益は17億39百万円(前期
は3億14百万円の営業損失)となりました。

所在地別セグメントの業績は、次のとおりであります。

日本では、売上高は6,719億93百万円(前期比0.9%減)、営業利益は202億94百万円(前期比12.0%増)となりました。

アジア(タイ、中国、マレーシアなど)では、売上高は585億23百万円(前期比0.1%減)、営業利益は61億64百万円(前期比16.9%増)となりました。

その他(米国など)では、売上高は602億97百万円(前期比6.7%増)、営業利益は2億46百万円(前期比87.9%減)となりました。

資産、負債および純資産の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度末の総資産は、1兆250億95百万円となりました。現金及び預金の減少や保有上場有価証券の時価下落にともなう投資有価証券の減少等により前連結会計年度末に比べ436億86百万円の減少となりました。

当連結会計年度末の負債は、4,005億81百万円となりました。借入金等が減少したことにより前連結会計年度末に比べ183億87百万円の減少となりました。

当連結会計年度末の純資産は、6,245億13百万円となりました。自己株式の取得や保有上場有価証券の時価下落によるその他有価証券評価差額金の減少等により前連結会計年度末に比べ252億99百万円の減少となりました。

以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の58.6%から58.4%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて193億59百万円減少し、1,182億81百万円(前期比14.1%減)となりました。

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

税金等調整前当期純利益が69億27百万円、減価償却費469億93百万円、売上債権の減少による資金の増加262億2百万円、法人税等の支払額119億38百万円などにより、当連結会計年度における営業活動による資金の増加は786億89百万円(前期比42.5%増)となりました。

 

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

包装容器関連事業での設備投資を中心とした有形固定資産の取得による支出が561億6百万円があったことなどにより、当連結会計年度における投資活動による資金の減少は582億35百万円(前期比90.7%増)となりました。

 

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

借入金の借入・返済の純額による支出が264億63百万円、自己株式の取得による支出が100億1百万円あったことなどにより、当連結会計年度における財務活動による資金の減少は402億83百万円(前期比10.4%増)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

包装容器関連事業

579,605

105.5

鋼板関連事業

57,549

102.5

機能材料関連事業

36,861

93.8

報告セグメント計

674,016

104.5

その他

18,191

84.2

合計

692,208

103.9

 (注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.不動産関連事業は、生産形態をとらない事業活動のため記載しておりません。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b)受注実績

包装容器関連事業、鋼板関連事業、機能材料関連事業およびその他のうち、受注生産によるものについての当連結会計年度における受注状況は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高

(百万円)

前期比(%)

包装容器関連事業

62,582

103.9

35,093

117.2

鋼板関連事業

59,170

93.8

10,598

77.8

機能材料関連事業

25,485

90.1

2,643

137.2

その他

14,897

74.5

13,217

79.1

合計

162,135

94.5

61,553

98.9

 (注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.包装容器関連事業の金額は、包装容器関連機械設備の製造販売の一部に係るものであります。それ以外の受注実績は販売実績とほぼ同様であります。

3.不動産関連事業は、受注形態をとらない事業活動のため記載しておりません。

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

包装容器関連事業

658,567

100.4

鋼板関連事業

62,924

101.9

機能材料関連事業

36,811

89.6

不動産関連事業

8,019

102.8

報告セグメント計

766,323

100.0

その他

24,490

91.3

合計

790,814

99.7

 (注)1.販売高には、他からの購入品の販売が含まれており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a)経営成績

(単位:百万円)

 

前期

当期

増減

増減率

売上高

793,119

790,814

△2,304

△0.3%

営業利益

25,443

27,271

1,827

7.2%

売上高営業利益率

3.2%

3.4%

0.2%

-

経常利益

27,784

28,412

627

2.3%

特別利益

20,913

2,482

△18,430

-

特別損失

16,481

23,967

7,486

-

親会社株主に帰属する当期純利益又は当期純損失(△)

20,262

△520

△20,783

-

 

売上高につきましては、チューハイ向けのアルコール飲料用アルミ缶、パウチなどのプラスチック製品、包装容器関連機械設備の販売が増加しましたが、機能材料などの販売が減少し、減収となりました。

営業利益につきましては、労働力不足を起因とした物流費の増加等がありましたが、原材料・エネルギー価格の下落等により増益となりました。

経常利益につきましては、前期においては為替差益を計上していたことなどから、営業利益に比べ増益幅は減少しました。

特別損益の内訳は以下のとおりとなります。

特別利益

移転補償金

当社の国内連結子会社における土地収用により計上したもの。

 

特別損失

①独占禁止法関連損失 120億52百万円

当社の国内連結子会社である東洋製罐㈱は、飲料缶の取引に関し、独占禁止法に違反する行為があったとして、公正取引委員会より排除措置命令および課徴金納付命令を受けた。当該課徴金納付命令に基づき計上したもの。

②減損損失 56億37百万円

主として、当社の国内連結子会社であるメビウスパッケージング㈱茨城工場のプラスチック製品製造設備(30億30百万円)、同東洋製罐㈱広島工場の飲料用空缶製造設備他(21億69百万円)について計上したもの。

③投資有価証券評価損 18億55百万円

2020年3月期末日の株価が取得価額に対して大幅に下落したことにより計上したもの。

④関係会社株式評価損等 21億11百万円

一部の海外子会社における財務状況の悪化等により計上したもの。

 

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、5億20百万円の損失となりました。

 

なお、当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症による当社グループの業績への影響は軽微であります。2021年3月期におきましては、包装容器関連事業において、家庭内消費の増加にともなう容器の需要増が一部見込まれるものの、イベント・レジャー・外食産業等における消費の低迷による容器の需要減なども懸念されており、一定期間にわたり当該影響が継続するものと考えております。

 

b)セグメント別経営成績

ⅰ)報告セグメント別の売上高及び営業利益

(単位:百万円)

報告セグメント

売上高(外部顧客)

営業利益

前期

当期

増減

増減率

前期

当期

増減

増減率

包装容器関連事業

655,671

658,567

2,895

0.4%

19,825

20,507

681

3.4%

鋼板関連事業

61,764

62,924

1,160

1.9%

1,483

285

△1,198

△80.8%

機能材料関連事業

41,072

36,811

△4,260

△10.4%

3,387

1,521

△1,865

△55.1%

不動産関連事業

7,798

8,019

220

2.8%

4,764

5,041

276

5.8%

その他

26,812

24,490

△2,321

△8.7%

△314

1,739

2,054

-

調整額

-

-

-

-

△3,702

△1,824

1,878

-

合計

793,119

790,814

△2,304

△0.3%

25,443

27,271

1,827

7.2%

 

〔包装容器関連事業〕

売上高につきましては、チューハイ向けのアルコール飲料用アルミ缶、パウチなどのプラスチック製品、包装容器関連機械設備の販売が増加しました。営業利益につきましては、労働力不足を起因とした物流費の増加等がありましたが、原材料・エネルギー価格の下落などにより増益となりました。

なお、包装容器関連事業の更なる成長に向けて当期実施又は継続中の設備投資は、以下のとおりです。

・世界的なプラスチック使用量の削減ニーズにともなう詰替用パウチなどの需要増加を背景に、今後も伸長が見込まれている軟包装容器を製造する新工場棟の建設。

・タイにおいて、飲料用空缶の需要増に対応することを目的として新工場を建設。

・プラスチックキャップの市場拡大に対応すること、また生産性向上などを目的として新工場棟を建設。

・飲料ペットボトルの軽量化に対応したプリフォーム生産設備の増強。

更に、アルコール飲料向けのアルミ缶の需要拡大にともなう生産能力増強を目的として、アルミ飲料用空缶製造設備を増設することを決定しております。新技術の導入による世界最軽量のアルミ缶製造を目指し、省エネルギーや自動化・省人化を進め環境負荷低減を図ると共に、更なる成長を目指してまいります。

 

〔鋼板関連事業〕

売上高につきましては、自動車・産業機械部品向けなどが減少しましたが、車載用二次電池向けの電池材が増加したため、全体として増収となりました。営業利益につきましては、たな卸資産在庫評価の影響等により減益となりました。なお、成長戦略投資として、販売が継続的に伸長している車載用二次電池向けのニッケルめっき鋼板製造設備の増強を2019年度から2020年度にかけて実施しております。

 

〔機能材料関連事業〕

当期は磁気ディスク用アルミ基板および光学用機能フィルムの市場の低迷により販売数量が減少したことから、大幅に減収減益となりました。なお、成長戦略投資として、今後も成長が見込まれる光学用機能フィルム製造設備の増強を2019年度から2020年度にかけて実施しております。

 

〔その他〕

自動車用プレス金型・機械器具・硬質合金などにおいて売上高が減少しましたが、減価償却費等諸費用が減少したため、増益となりました。

 

なお、セグメント別の売上高及び営業利益の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」にも詳細を記載しております。

 

 

c)財政状態

財政状態等の推移                                 (単位:百万円)

 

2015年度

2016年度

2017年度

2018年度

2019年度

現金及び預金

169,185

173,859

153,937

141,955

124,643

有形・無形固定資産の投資額

41,744

43,413

51,069

57,664

58,899

有利子負債

189,434

163,716

141,681

168,153

141,488

自己株式

△24,776

△24,778

△24,779

△20,002

△30,003

純資産

702,204

725,838

720,207

649,812

624,513

総資産

1,148,351

1,140,003

1,113,994

1,068,781

1,025,095

自己資本比率

55.2%

57.6%

58.2%

58.6%

58.4%

今後の成長に向け設備投資は増加傾向にありますが、有利子負債は減少傾向で推移しております。

総資産及び純資産は減少傾向にありますものの、自己資本比率は一定の範囲内で推移しております。

 

なお、2018年度から2020年度までの「東洋製罐グループ第五次中期経営計画(以下、「本中期経営計画」といいます。)」におきまして、成長戦略投資と財務の健全性を両立させる財務・資本政策を掲げております。

この中で、過度な有利子負債に依存しない財務の健全性を維持することを基本方針としており、財務の健全性を確保する考え方として、正味有利子負債残高は、営業利益と減価償却費の合計値の範囲内としております。この方針の下、以下のとおり許容範囲内に収まっており、財務の健全性を確保しております。

(単位:百万円)

 

2018年度

2019年度

正味有利子負債残高

26,198

16,845

営業利益+減価償却費

70,611

74,264

(注)正味有利子負債残高=有利子負債-現預金

また、資本効率の改善による企業価値最大化を目的として、2018年度~2019年度において市場買付による自己株式を取得しました。(2018年度に199億99百万円、2019年度に99億99百万円、累計299億99百万円実施。)なお、2018年度において自己株式の消却(247億79百万円)を実施しております。

引き続き成長戦略投資と財務の健全性を両立させた財務・資本政策を推進し、企業価値を向上してまいります。

 

d)経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

e)経営戦略の現状と見通し

本中期経営計画の2年目である2019年度は、夏場の天候不順や2018年度に相次ぎ発生した自然災害の影響などにより飲料容器の販売が減少したほか、機能材料において市況悪化にともなう需要低迷があったことなどにより、数値目標として掲げた「連結売上高8,100億円、営業利益400億円」に対し、実績は連結売上高7,908億円、営業利益272億円となり、売上高・利益面ともに計画を下回る結果となりました。

なお、本中期経営計画の内容および諸施策の進捗状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

f)経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

g)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標、達成状況等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a)当期のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

(単位:百万円)

 

前期

当期

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

55,230

78,689

23,459

投資活動によるキャッシュ・フロー

△30,537

△58,235

△27,698

フリー・キャッシュ・フロー

24,692

20,453

△4,238

財務活動によるキャッシュ・フロー

△36,498

△40,283

△3,784

現金及び現金同等物に係る換算差額

△293

470

764

現金及び現金同等物の増減額

△12,100

△19,359

△7,259

(注)フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。

 

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

債権流動化等により売上債権が減少したことなどから、営業活動による収入は増加しました。

 

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

包装容器関連事業における成長戦略投資を中心とした有形固定資産の取得による支出は、以下のとおりであります。

有形固定資産の取得による支出の推移                      (単位:百万円)

 

2015年度

2016年度

2017年度

2018年度

2019年度

有形固定資産の取得による支出

△35,831

△40,085

△48,531

△51,673

△56,106

 

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

長短借入金は全体として残高の圧縮に努め、また財務・資本政策の取り組みの1つとして、資本効率の改善を目的とした自己株式の取得を実施しました。

配当は安定的かつ継続的におこなうことを基本としていることから、配当金の支払による支出は前期並となりました。

 

b)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

ⅰ)主要な資金需要および財源

翌連結会計年度の当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等にかかる投資であります。

また、成長市場に向けた国内・海外事業への投資および事業構造改革投資をM&Aなどの形態と組み合わせて行うことを検討しております。

これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローおよび自己資金のほか、金融機関からの借入および社債発行等による資金調達を主な財源として対応いたします。

安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題として認識しており、主要な取引先金融機関に対して適時適切な情報開示を行うことにより、良好な取引関係を維持しております。

加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しております。

ⅱ)資金の流動性

手許の運転資金につきましては、当社および一部を除く国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。現在、手許キャッシュは、突発的な資金需要に対応するため売上高の1ヵ月から2ヵ月分の水準を保持しており、今後もこの水準で運営していく予定です。さらに、これを上回る突発的な資金需要に対しては、迅速かつ確実に資金を調達できるように金融機関とコミットメントライン契約を締結し、流動性リスクに備えております。

 

当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。

③重要な会計方針の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額に影響を与える見積もりを必要とします。経営者は、これらの見積もりについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積もりと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(追加情報)」に記載しております。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。

a)繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産については将来の課税所得に関する予測等に基づき回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額等を考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上していますが、将来の課税所得が予測と異なり、繰延税金資産の修正が必要となる場合には、当社グループの経営成績や財務状況に影響を与えます。

b)固定資産の減損

当社グループは管理会計上の区分(事業用資産は主として工場別もしくは営業所別、賃貸用資産および遊休資産は物件別)を基準に資産のグルーピングを行っております。収益力が著しく低下している資産グループについて、将来キャッシュ・フローの見積もりを行い、収益力の回復が見込めなかった資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。当社グループが保有する固定資産について、稼働率、収益性の低下等により減損損失を認識すべきであると判定した場合、相当程度の減損損失を計上することが予測され、当社グループの経営成績や財務状況に影響を与えます。

c)退職給付債務

退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率など見積りに基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、一般的には将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼします。長期金利が低下した場合および年金資産の運用利回りの悪化が生じた場合には、当社グループの経営成績や財務状況に影響を与えます。

 

なお、新型コロナウイルス感染症は、経済、企業活動等に広範な影響を与える事象であり、将来に与える影響については不確実性が高く、今後の感染拡大や収束時期等を予測することは困難であります。当社グループは、当連結会計年度末時点で入手可能な情報等を踏まえて、今後、2021年3月期の一定期間にわたり当該影響が継続するとの仮定の下、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。

土地売買契約(売却)・移転補償契約

契約会社   東洋ガラス機械株式会社

契約先    横浜市

契約締結日  2019年4月25日

対象物件   横浜市旭区川井本町75,76番地(面積 6,847.49㎡)

売却金額   2,733百万円(移転補償金を含む)

特記事項   最終的な引渡は2022年3月に予定しております。

5【研究開発活動】

当社グループは多様化する市場ニーズに対応するため、当社綜合研究所、東洋製罐株式会社テクニカルセンターおよび東洋鋼鈑株式会社技術研究所などの研究機関により、次世代に向けた技術開発を目的として積極的に研究開発に取り組んでおります。

当連結会計年度における研究開発費の総額は15,307百万円であります。

各セグメントごとの研究開発活動の概要は次のとおりであります。

[包装容器関連事業]

当連結会計年度における包装容器関連事業の研究開発費は12,972百万円であります。

金属製品の製造販売分野における主要な研究課題は、環境配慮型容器であるTULCの新成形方式の開発およびさらなる軽量化に関する研究、TULCの意匠性をさらに高めるための形状、材料および印刷に関する研究、TULCにおける内容物の適用拡大および実用化に関する研究、意匠性に優れた印刷・加飾技術の実用化に関する研究、アルミDI缶の環境に配慮した成形加工システムの実用化に関する研究、アルミDI缶の意匠性をさらに高めるための形状および印刷に関する研究、アルミボトル缶の軽量化に関する研究、内容物の保存性をより高めつつ環境に配慮した缶用水性塗料の実用化に関する研究、環境対応とコストダウンを両立させる諸材料への変更に関する研究、金属材料の表面処理における環境対応に関する研究、缶の新たな用途展開を図るための充填・殺菌・密封検査技術に関する研究、リチウムイオン二次電池向け外装材などの新たな用途展開に向けた金属製品製造技術を応用した成形加工技術に関する研究などであります。

プラスチック製品の製造販売分野における主要な研究課題は、環境に配慮した飲料用軽量ペットボトルおよび飲料用軽量キャップの実用化に関する研究、環境に配慮したリサイクル材活用技術の開発に関する研究、飲料用ペットボトルのガスバリア性向上技術の開発に関する研究、持ちやすさや携帯性、開閉性を高めた新形状ボトルの実用化に関する研究、減容化および廃棄性の向上により環境負荷を低減した新形状ボトルの実用化に関する研究、パウチ用ラミネート材料の無溶剤システムの実用化に関する研究、酸素吸収性能を付与し内容物の保存性を高めたポリオレフィンボトルの実用化に関する研究、フードロスに配慮し内容物の滑落性を向上させたポリオレフィンボトルの実用化に関する研究、容器内の酸素吸収性能と外部酸素遮断技術を付与したカップの実用化と密封検査技術に関する研究、ポリオレフィンボトル・チューブにおける加飾技術の実用化に関する研究、詰替機能を向上させたパウチの実用化に関する研究、レトルト可能な再封機能付きパウチの開発および実用化に関する研究、電子レンジ加熱に適した自動蒸気抜き機能付きパウチ・カップの開発および実用化に関する研究、新しい充填・殺菌技術を用いたペットボトル・パウチ・カップにおける容器製造から充填殺菌までを一貫して行う生産システムの実用化に関する研究、酸素吸収性接着剤を適用した透明酸素吸収フィルムの実用化に関する研究、パウチにおける加飾技術の実用化に関する研究などであります。

③紙製品の製造販売分野における主要な研究課題は、成形性に優れた遮光紙コップの開発に関する研究、環境対応としてプラスチック容器の代替紙製容器や紙蓋の開発に関する研究などであります。

④ガラス製品の製造販売分野における主要な研究課題は、ガラスびんのコーティングおよび加飾技術の開発に関する研究、品質保証のための検査機の開発に関する研究などであります。

⑤エアゾール製品・一般充填品の受託製造販売分野における主要な研究課題は、2種類の液体を同時に吐出可能としたエアゾールシステムの適用拡大に関する研究、ドローンにエアゾール製品を搭載し、遠隔操作で内容物を吐出可能とするシステムの開発に関する研究などであります。

⑥包装容器関連機械設備の製造販売分野における主要な研究課題は、生産効率向上や省人化を可能とする加工システムの開発に関する研究などであります。

[鋼板関連事業]

当連結会計年度における鋼板関連事業の研究開発費は1,729百万円であります。主要な研究課題は、環境負荷の少ない缶用材料の開発に関する研究、電気・電子部品および自動車部品用に機能性を高めた表面処理鋼板の開発に関する研究などであります。

[機能材料関連事業]

当連結会計年度における機能材料関連事業の研究開発費は570百万円であります。主要な研究課題は、ハードディスクの大容量化に対応可能なアルミ基板の開発に関する研究、光学用機能フィルムの生産性向上に関する研究、電子材料用セラミック素材の開発に関する研究、水耕栽培用肥料の開発に関する研究などであります。

[不動産関連事業]

該当事項はありません。

[その他]

当連結会計年度におけるその他の事業の研究開発費は35百万円であります。