第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 中期経営計画「VENTURE-5」 経営理念、ビジョン、サステナビリティ基本方針及び全社戦略について

① 経営理念について

 経営理念:開拓者精神をもって、成長のために飽くなき挑戦をし続け、お客様と共に、社会から必要とされる製品を提供していく。

当社グループは、北海道・小樽の地に誕生してから100年に亘り事業を営んで参りましたが、次の100年を始めるにあたり、我々自身の使命をより明確に表した経営理念であるべきとの想いから、刷新を決定致しました。我々自身がどのような存在であったか、そして、この先、どのような存在であるべきか、その想いを込め策定しております。

② ビジョンについて

1.我々は、お取引先様から、また社会から強く必要とされる存在であるため、常に社会的責任を明確にすると共に、各事業分野において「この点がNo.1」と言い切れる明確な特長を持った製品サービスを開発、提供します。

2.我々の製品、サービスを世界中の人々へ提供できるよう、新たな事業拠点の設立を積極的に進めて参ります。

3.我々は国籍、性別、年齢に関係なく、事業に貢献する人を正当に評価する、フェアな企業集団であり続けます。

経営理念を次の100年を見据えた使命とするならば、ビジョンについては2030年を目途に、当社グループはどのような存在になっているべきなのか、を表したものとして策定致しました。

③ サステナビリティ基本方針について

経営理念およびビジョンの実現を目指すにあたり、企業としての基本姿勢、行動原則を表したサステナビリティ基本方針を策定致しました。当社グループは、各事業分野において成長を続け、中長期的な企業価値の向上を図るためには、その活動が環境・社会と調和する持続可能なものでなければならないことを深く認識し、これを実践するために、事業活動において直接的・間接的にかかわる様々な社会課題の解決に向けて積極的に取り組むこととしております。

その基本方針としてサステナビリティ基本方針を策定すると共に環境方針、製品安全方針、労働安全衛生・健康方針およびサステナビリティ調達方針を策定し、2050年までにカーボンニュートラルを目指す新たな気候変動対策目標を設定致します。

④ 全社戦略について

1.人的資源の最適化

成長の源泉である人的資源を最適化するために、適切な人事制度、教育制度の確立と、価値創出に貢献できる人材確保のための積極的な投資を行います。

2. 国内事業の再編

稼ぐ力=お客様へ高い価値を提供できるか否かを最重要視し、事業の取捨選択に取り組みます。

3.海外事業の拡大

東南アジア諸国を中心とした新興国への事業投資をこれまで以上に加速させ、事業規模、利益の拡大を目指します。

4.新規事業開発

M&Aを積極的に活用し国内、海外問わず、当社グループの知見を活かし得る新たな事業領域へ進出して参ります。

経営理念およびビジョンの実現を目指すにあたり、サステナビリティ基本方針に沿いながら、当社グループが一丸となり、確実に実行していくべき方策として全社戦略を策定しております。

 

 

(2) 経営環境及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

① 経営環境

清涼飲料業界の国内市場は成熟しており、天候などが消費動向に影響を与えるものの、毎年同じ規模で推移しております。インドネシアおよびベトナムの飲料市場は拡大を続けており、今後も継続的な市場の伸びが予想されます。

 ② 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、2022年5月に中期経営計画「VENTURE-5」を策定し、初年度の目標達成に向けて取り組んでまいりました。しかしながら、コロナ禍からの回復基調など前向きな変化がみられた一方、ウクライナ問題の長期化を背景としたエネルギーコストの高騰、また円安の進行による想定を超えた原材料価格の高騰など厳しい外部環境の変化もあり、これらは看過できない状況にあると認識しております。さらに当社グループにおいても容器事業のうち飲料缶事業を廃止するなど、計画の前提条件は大きく変化いたしました。

このため当社は、2022年度の実績を踏まえ、改めて2023年度から2026年度までの計画を見直すことといたしました。

 

中期経営計画「VENTURE-5」ローリング グループ連結数値計画

 

2026年度計画

2022年度実績

売上高

105,000百万円

93,660百万円

営業利益

6,100百万円

△456百万円

営業利益率

5.8%

DEレシオ

0.6倍以下

0.9倍

ROE

6.5%

自己資本比率

42.3%

39.2%

 

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

現下の国内経済は、インバウンド需要が活発化し、各種政策の効果もあって緩やかな回復が続くことが期待されますが、世界的な金融引き締めや中国経済の先行き懸念など海外景気の下振れが、国内景気に影響を与えることが懸念されます。また、中東情勢や物価の上昇、円安傾向の続く為替動向等、先行きが不透明な状況が続くものとみられます。

当社グループを取り巻く環境につきましては、消費者物価の上昇による家計引き締めが懸念される状況下において、サプライチェーン全体の労務費等の上昇を受けた適正な価格転嫁等の対応が求められる難しい局面が続いています。また、少子化の進展により人材の確保がますます困難になる中、価値創出に貢献できる多様な人材の確保・育成、気候変動への対応等、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを求められる厳しい状況が続くものと思われます。

このような状況の中、当社グループは、2022年度からスタートしている中期経営計画「VENTURE-5」の目標達成に向けて取り組んでまいりました。しかしながら、上記のとおり計画の前提条件が大きく変化いたしましたことから、当社は2022年度の実績を踏まえて2023年度から2026年度までの計画を見直し、改めて2026年度の営業利益61億円、営業利益率5%超、ROE6.5%、連結DEレシオ0.6倍をグループ連結経営指標として定めました。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループでは、気候変動への対応を重要な経営課題の一つとして取り組みを推進するため、代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会を設置しております。リスク管理委員会・サステナビリティ委員会(年2回開催)では、毎回気候変動に関するリスクと機会の議論を行い、方針の策定や取り組み強化に向けた討議を行っております。

代表取締役社長が責任を担う取締役が出席する会議では、当社グループが取り組んでいるサステナビリティ活動をモニタリングした結果が報告され、活動内容における策定・目標の方向性を確認し、適切に推進・監督しております。

 

(2)戦略

気候関連のリスク及び機会が当社グループのビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響を評価するため、当社グループでは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、IEA(国際エネルギー機関)などの気候関連シナリオを参考にシナリオ分析を継続的に実施しています。これらのシナリオをもとに1.5℃~2℃(主にSSP1-1.9、SSP1-2.6、RCP2.6、SDS、NZEを使用)及び4℃(主にSSP5-8.5、RCP8.5を使用)の気温上昇時の世界を想定し、重要なリスク及び機会を以下のとおり特定しました。

 

リスクの分類・種類

時間軸

事業/財務影響

当社の対応・検討方針

1.5℃~2℃

4℃

移行

リスク

政策・

法規制

カーボンプライシングの強化

中期

新たな炭素税の導入やGHG排出権取引制度の強化によるコストの増加

カーボンプライシングは強化されない

政策・法規制のモニタリング

省エネ設備投資及び再エネ電力調達や排出権取引推進

プライマリープラスチックを使用した製品への課税

中期

プラスチック税導入による操業コストの増加

プラスチック税は導入されない

再生材使用比率の向上

技術

環境配慮型プラスチック製品への対応

短~

中期

環境配慮型プラスチック製品への対応による開発コスト・原材料調達コスト増加

環境配慮型プラスチック製品の需要は変化しない

環境配慮型プラスチック製品の販売促進

原材料購買戦略の策定

市場

消費者の環境意識変化

中期

環境配慮型製品への対応遅れによる売上減少

消費者の環境意識は向上しない

市場動向のモニタリング

環境配慮型製品の開発

原材料価格の変化

短期

炭素税の導入により原材料調達コスト上昇

新たな炭素税は導入されない

再生材使用比率の向上

評判

環境配慮型製品への対応遅れによる取引停止

短~

中期

お客様からの取引停止による売上減少

取引停止は起こらない

環境配慮型製品の開発

事業戦略の適時開示

物理

リスク

急性

物理的

リスク

洪水の増加

長期

操業停止による売上減少

操業停止による売上減少

事業継続計画の策定及び強化

慢性

物理的

リスク

渇水の発生

短~

中期

取水制限による売上減少

取水制限による売上減少

2030年までに水原単位7%削減(2019年度比)

食品原料の収量減少

短~

中期

食品原料の収量減少による缶詰の売上減少

食品原料の収量減少による缶詰の売上減少

ブランドオーナーとの協働

従業員の熱中症リスク上昇

長期

健康被害の増加

労働生産性の低下による売上減少

健康被害の増加

労働生産性の低下による売上減少

職場環境改善

 

 

 

機会の分類・種類

時間軸

事業/財務影響

当社の対応・検討方針

1.5℃~2℃

4℃

リソースの効率化

GHG排出量削減に向けた設備導入

短~

中期

生産設備の高効率化により操業コスト減少

GHG排出量削減に向けた設備は導入しない

省エネ設備投資推進

製品およびサービス

飲料の需要増加

長期

気温上昇による飲料の需要増加に伴う売上増加

気温が大きく上昇することによる飲料の需要増加に伴う売上増加

飲料製造規模の拡大

環境配慮型製品の需要増加

中期

環境配慮型製品の需要増加による売上増加

環境配慮型製品の需要は増加しない

環境配慮型製品の開発

新規事業の策定

 

※時間軸 : 短期:3年以内、中期:3年~10年、長期:10年~30年

※対象範囲 : 国内海外グループ全体(サプライチェーン含む)

※財務影響 : 小:10億円未満、中:50億円未満、大:50億円以上

 

シナリオ分析を実施した結果、重要なリスクとしては1.5℃~2℃シナリオにおいてカーボンプライシングの強化によるコスト増加や環境配慮型製品への対応遅れによる取引停止、洪水による操業停止などが喫緊の課題となっていることが確認されました。また、現在公表されている水ストレス・天然資源などの文献によると、当社グループの事業は4℃シナリオになると洪水による操業停止に伴う財務影響が非常に大きくなることが改めて分かりました。

これらリスクへの対応策として、省エネ設備投資及び再エネ電力調達や排出権取引推進、環境配慮型プラスチック製品の販売促進、新たな環境配慮型製品の開発、事業継続計画の強化などの取り組みを進めてまいります。また、ICP(インターナルカーボンプライシング)を2024年度より導入し、全従業員が脱炭素の意識を高める活動を行います。

一方、重要な機会は1.5℃~2℃シナリオにおいてはGHG排出量の削減に向けた設備を導入することで、計画的にエネルギーコストを低減できること、消費者のエシカル消費意識が向上することで環境配慮型製品の需要が増加することと認識しています。両シナリオでは、平均気温が上昇する影響として清涼飲料水の需要アップの機会があると捉えました。しかし、将来的に気温上昇を抑える脱炭素経営を推進しなければ事業継続は困難になると認識しています。今後、気候変動問題への取り組みを積極的に行い、レジリエンスを高めてまいります。

引き続きお客様・社会から必要とされる製品を提供していくために、気候関連のリスクと機会を都度評価・管理し、シナリオ分析を精緻に進めて企業の持続的成長につなげてまいります。

また、当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、次のとおりであります。

・人材育成方針

「多様な変化を受け入れ、新たな価値と意欲とスピード感を持って、創造できる人材を創出する」方針のもと、事業の飛躍に向けて様々な価値観を受け入れ、能力と意欲をもって行動できる人材を育成・獲得していくことが重要なファクターとなります。

今後も一層、次世代を担う社員の成長と定着のための取組や、新しい価値観とスキルを生み出すための教育機会の確保を引き続き重点的に実行していきます。

・社内環境整備方針

サステナビリティ基本方針に基づき、「個の力を最大限に発揮できるよう、社員一人ひとりのライフステージや価値観を尊重した上で、やりがいを持って思う存分挑戦できる環境を整え、提供する」という考えに立ち、取組を進めております。

社員が安心・安全に働けるよう、労働災害防止のために労働安全教育を定期的・継続的に実施しています。また、心身ともに健やかに働くことができる職場づくりに向け、従業員への健康意識調査を実施し当社の傾向を把握しながら健康経営の取組を進めています。

働き方の選択肢が増える中で、2023年度は育児や介護を理由に離職した方やキャリアアップ(転職や学業)により退職した方を再雇用するアルムナイ採用(退職者再雇用)を導入しました。多様な働き方やワークライフバランスを実現できる施策を引き続き実行してまいります。

 

(3)リスク管理

当社は、代表取締役社長を委員長とし、原則として年2回開催する「リスク管理委員会」を中心としてグループ全体のリスク管理を統括しております。定期的にリスクの識別等を実施し、抽出された気候変動を含む個々のリスクについての対応を継続的に実施することによりリスクの極小化に努めております。また、当社グループが多数の事業を展開していることを踏まえ、個々のリスクを把握・管理するためにグループ各社の担当役員が指揮をとり、リスク管理を遂行しております。

また、不測の事態が発生した場合には、代表取締役社長を本部長とする危機管理対策本部を設置し迅速な対応を行い、損害拡大の防止と影響を最小限に止める体制を整えることとしております。

気候変動に関する移行リスク、物理的リスクについては、グループ各社で把握・識別・評価され、財務に影響を与えるリスクとして、「リスク管理委員会」にて取り組み強化に向けた討議を実施し、その結果を取締役会に提言・報告することで、適切に監督される体制を整備しています。

 

(4)指標及び目標

温室効果ガス排出量削減目標

当社グループは、気候変動問題への対応に関し、温室効果ガス排出量はScope1、2の排出量を2050年度までに「カーボンニュートラル」を目指すことを長期目標として設定しました。また、Scope1、2については、2030年度までに2019年度比で30%削減(※1)、Scope3については、2030年度までに2019年度比で20%削減(※2)することを中期目標とします。

(単位 : 千t-CO2eq)

 

2019年度

実績

2020年度

実績

2021年度

実績

2022年度

実績

2030年度

2050年度

Scope1、2

210

184

185

181

147

実質排出ゼロ

Scope3

(※3)481

462

506

477

(※3)384

 

 

 

※1 2020年度 国内の排出量90%以上を占める国内2社(北海製罐㈱及び㈱日本キャンパック)を対象。

※2 2020年度 国内の排出量90%以上を占める国内4社(北海製罐㈱、㈱日本キャンパック、オーエスマシナリー㈱及びKE・OSマシナリー㈱)を対象。

※3 算定対象製品の拡大・再算定(北海製罐㈱)により修正。

 

ペットボトル資源循環目標

基本的な考え方

◎容器の機能性を保持しながら、環境負荷を踏まえた環境配慮設計を推進します。

◎資源循環サイクルに寄与すべく、再生材利用拡大(ボトルtoボトル等)を推進します。

 

『2030年までにペットボトルの「リサイクル材」使用率50%を目標とします。』

 

また、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

人材の育成に関する方針及び環境整備に関する方針に基づく指標と実績

指標

項目

実績

2021年度

2022年度

2023年度

①多様な価値観や変化を受け入れ・生み出す「人材の育成と獲得」

 

②フェアな活躍の場と安心できる職場環境の提供による「働きやすさの向上」

 

③社員がやりがいを持ちながら成長できる「働き方やキャリアの支援」

過去3年の新卒・キャリア採用者数

新卒

採用

男性

28名

9名

9名

女性

9名

1名

4名

キャリア採用

男性

13名

14名

14名

女性

9名

4名

11名

入社1年~3年目社員
一人当たりの平均研修時間数

25.5時間

16.0時間

16.1時間

ストレスチェック受検率

(目標 : 100

99.6%

98.2%

96.3

労働災害 度数率

(目標 : 1.20以下)

1.90%

1.22%

1.88

労働災害 強度率

(目標 : 0.00

0.03%

0.02%

0.03

 

(注)上記データは、提出会社及び国内連結子会社を基準としております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。当社グループでは、当社代表取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」(原則として年2回開催)が当社グループ全体のリスク管理を統括し、「コンプライアンス委員会」(原則として年4回開催)および「サステナビリティ委員会」(原則として年2回開催)との連携により定期的にリスクの識別等を実施し、抽出された個々のリスクについての対応を継続的に実施することによりリスクの極小化に努めております。また、当社グループが多数の事業を展開していることを踏まえ、個々のリスクを把握・管理するためにグループ各社においてリスク管理を遂行しており、各委員会が定期的に報告を受けています。

当社取締役会は、各委員会からの報告の受領等を通じてグループのリスク管理についての監督を行うほか、重要な経営課題については適宜グループ各社から報告を受け、審議しています。

(1) コンプライアンス

当社グループは、国内外において、法規制や政府の許認可など様々な公的規制の適用を受けて事業を行っており、これらの公的規制に違反した場合、監督官庁による処分、訴訟の提起、さらには事業活動の停止に至るリスクや企業ブランド価値の毀損、社会的信用の失墜等のリスクがあります。

当社グループでは、「コンプライアンス委員会」を設置し、法令遵守のみならず、役員・従業員が共有すべき倫理観、遵守すべき倫理規範等を「ホッカンホールディングス役職員行動規範」として制定し、当社グループにおける行動指針の遵守並びに法令違反等の予防に努めておりますが、国内外において、公的規制の新設・強化や想定外の適用、解釈の誤り等により、結果として当社グループが公的規制に抵触することになった場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 気候変動

当社グループは、気候変動に伴うリスクや機会は事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しており、2021年に「環境方針」を新たに策定し、新たな目標として2050年までの「カーボンニュートラル」を設定しました。また、この取り組みを積極的に推進するため「サステナビリティ委員会」を設置し、2022年2月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言に賛同し、この枠組みに基づき重要なリスク及び機会を特定・開示しております。

この結果、重要な機会として平均気温の上昇による環境配慮製品の需要が挙げられる一方、自然災害の急激な増加による物理リスク、カーボンプライシングの導入による移行リスクなどが喫緊の課題として確認されており、これらに対応した事業継続計画の策定及び強化、政策・法規制のモニタリングおよび再生可能エネルギーの促進などの取り組みを進めてまいりますが、予期せぬ、または予測を超えた気候変動リスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 自然災害・感染症

当社グループは、地震、台風等の自然災害及びウイルス等の感染症の流行による操業停止をせざるを得ないような事態の発生に備え、リスク分散を実施し従業員の安全確保、災害及び感染症の未然防止等を実施しております。しかしながら、予想を超える規模の被災により建物や設備の倒壊・破損や感染症等による生産の中断等が生じた場合、お客様への製品供給が遅れること等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4) 海外事業

当社グループは、東南アジアにおいて事業展開をおこなっており、海外における緊急事態の発生に備え、海外危機管理マニュアルを制定しておりますが、海外におけるテロの発生、政情の悪化、経済状況の変動、為替の変動及び予期しえない法律・規制・不利な影響を及ぼす租税制度の変更等があった場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 資材購入価格・物流コスト・エネルギーコスト

当社グループは、原油を原料としたペット樹脂や鋼材などの購入資材及び輸送・保管に伴う物流費並びにエネルギー費が、コストとして大きな比重を占めております。資源循環社会、脱炭素社会への貢献の観点から継続的に容器の軽量化や再生可能エネルギーの促進など資源使用量の削減に取り組む一方で、資材購入価格及び物流費並びにエネルギー費が上昇した場合、製品価格への転嫁に努めておりますが、転嫁することが出来なければ収益性は大きく低下し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 市場環境

当社グループの主要な事業であります容器事業において、競合他社との価格競争及びお取引先様の内製化拡大が続いております。環境負荷低減及び利便性機能等を付与した新製品の研究開発を継続的に行ったとしても、予想を超える規模の既存製品の価格競争及びお客様の内製化拡大が実施された場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 人材確保

当社グループの事業は専門性を有した技術者により支えられており、少子高齢化に伴う労働人口の減少による採用者の減少に備え、また成長の源泉である人的資源を最適化するために適切な人事制度、教育制度の確立と、価値創出に貢献できる人材確保のための積極的な投資を行っておりますが、結果として人材の確保・定着が困難となった場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 取引先の信用リスク

当社グループは、取引先の信用状況を毎期見直す体制としておりますが、予期しえない財務状況の悪化により債権の回収に支障をきたす場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 製品の欠陥

当社グループは、様々な社会的課題や消費者課題と向き合い、顧客満足度が高く社会的に有用で安全な製品・サービスを開発し安定的に供給することにより、社会から信頼される企業を目指しており、世界的に認められている品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。しかし、すべての製品について欠陥が無く、将来的にクレームが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバー出来るという保証はありません。大規模なクレームや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコスト負担をもたらすのはもちろんのこと当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより収益が低下し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 情報セキュリティ

当社グループは、コンピューターウイルス対策や情報管理の徹底を進めております。しかしサイバー攻撃、不正アクセス及びコンピューターウイルスの侵入等により、これら情報が流出した場合並びに重要データの破壊、改ざん及びシステム停止等が生じた場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(11) 減損会計

当社グループは、保有する固定資産について今後の業績動向や時価の下落等により収益性の低下等が認められた場合、減損損失を認識することとなり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は55,515百万円前連結会計年度末は50,936百万円)となり4,578百万円の増加となりました。これは流動資産の「その他」に含まれております未収入金が減少(1,522百万円から1,207百万円へ314百万円の減)したものの、現金及び預金の増加(10,161百万円から12,800百万円へ2,639百万円の増)、売上債権の増加(27,695百万円から29,310百万円へ1,614百万円の増)及び棚卸資産が増加(9,526百万円から10,263百万円へ737百万円の増)したことが主な要因であります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は78,535百万円前連結会計年度末は78,269百万円)となり266百万円の増加となりました。これは有形固定資産の減少(57,905百万円から55,659百万円へ2,246百万円の減)及び繰延税金資産が減少(589百万円から42百万円へ546百万円の減)したものの、投資有価証券の増加(10,980百万円から13,253百万円へ2,273百万円の増)、退職給付に係る資産の増加(232百万円から667百万円へ435百万円の増)及び無形固定資産の「その他」に含まれております借地権が増加(3,839百万円から4,180百万円へ340百万円の増)したことが主な要因であります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は37,827百万円前連結会計年度末は40,503百万円)となり2,676百万円の減少となりました。これはリース債務の増加(647百万円から1,212百万円へ564百万円の増)及び流動負債の「その他」に含まれております設備関係未払金が増加(252百万円から784百万円へ531百万円の増)したものの、短期借入金の減少(13,652百万円から11,959百万円へ1,692百万円の減)、流動負債の「その他」に含まれております未払金の減少(4,704百万円から3,508百万円へ1,195百万円の減)及び未払法人税等が減少(1,199百万円から353百万円へ845百万円の減)したことが主な要因であります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は35,353百万円前連結会計年度末は33,820百万円)となり1,532百万円の増加となりました。これはリース債務の減少(1,421百万円から900百万円へ520百万円の減)及び事業構造改革引当金が減少(1,220百万円から969百万円へ251百万円の減)したものの、長期借入金の増加(22,304百万円から24,350百万円へ2,045百万円の増)及び繰延税金負債272百万円を計上したことが主な要因であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は60,870百万円前連結会計年度末は54,880百万円)となり5,989百万円の増加となりました。これは配当金の支払567百万円がありましたものの、親会社株主に帰属する当期純利益2,719百万円の計上、その他有価証券評価差額金の増加(4,018百万円から5,657百万円へ1,639百万円の増)、為替換算調整勘定の増加(830百万円から2,076百万円へ1,245百万円の増)及び非支配株主持分が増加(4,293百万円から4,822百万円へ528百万円の増)したことが主な要因であります。

 

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度における売上高は90,933百万円(前年度比2.9%減)となりました。

利益面におきましては、営業利益は4,390百万円(前年度は営業損失456百万円)、経常利益は5,061百万円(前年度は経常利益332百万円)となりました。また、減損損失の計上等がありましたため、親会社株主に帰属する当期純利益は2,719百万円(前年度は親会社株主に帰属する当期純損失2,007百万円)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローで7,359百万円の増加前年度は9,295百万円の増加)、投資活動によるキャッシュ・フローで3,846百万円の減少前年度は4,093百万円の増加)、財務活動によるキャッシュ・フローで1,226百万円の減少前年度は13,433百万円の減少)がありました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益3,507百万円(前年度は税金等調整前当期純損失76百万円)、減価償却費6,351百万円(前年度は7,664百万円)、減損損失826百万円(前年度は5,199百万円)、売上債権の増加に伴う資金の減少額1,706百万円(前年度は178百万円)、法人税等の支払額2,102百万円(前年度は2,829百万円)が主な増減要因であります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出4,170百万円(前年度は3,794百万円)が主な増減要因であります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期及び短期借入金の返済による支出17,347百万円(前年度は19,672百万円)、長期及び短期借入れによる収入17,509百万円(前年度は7,589百万円)、リース債務の返済による支出774百万円(前年度は731百万円)、提出会社による配当金の支払額567百万円(前年度は567百万円)が主な増減要因であります。

この結果、現金及び現金同等物は、2,639百万円増加し、当連結会計年度末は12,800百万円となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメント名称

金額(百万円)

前期比(%)

容器事業

26,904

△22.4

充填事業

37,535

1.9

海外事業

19,645

8.5

 報告セグメント計

84,085

△6.1

その他

4,046

△2.3

合計

88,132

△6.0

 

(注) 1.金額は、販売価格であります。

2.「その他」の金額には、工場内運搬作業等の請負事業は生産活動を行っていないため含まれておりません。

 

b. 受注実績

当社グループにおける各事業はいずれのセグメントにおいても受注に基づく生産、販売が大部分を占めており、かつ受注から販売までの期間が短期間で受注残高の増減が僅少であることから、販売実績を受注実績とみなして差し支えありません。

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

容器事業

31,650

△11.2

充填事業

38,158

1.6

海外事業

17,004

10.0

 報告セグメント計

86,813

△2.1

その他

4,120

△17.7

合計

90,933

△2.9

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱伊藤園

19,408

20.7

20,729

22.8

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ 財政状態の分析

(容器事業)

当連結会計年度末におけるセグメント資産の残高は34,480百万円前連結会計年度末は36,007百万円)となり1,527百万円の減少となりました。これは売上債権の減少、減価償却費の計上540百万円及び減損損失の計上80百万円が主な要因であります。

 

(充填事業)

当連結会計年度末におけるセグメント資産の残高は55,097百万円前連結会計年度末は56,891百万円)となり1,793百万円の減少となりました。これは売上債権の増加及び株式会社日本キャンパックにおけるペットボトル充填関連設備の取得等の設備投資1,020百万円がありましたものの、減価償却費の計上4,202百万円及び減損損失の計上758百万円が主な要因であります。

 

(海外事業)

当連結会計年度末におけるセグメント資産の残高は25,751百万円前連結会計年度末は22,093百万円)となり3,657百万円の増加となりました。これは減価償却費の計上1,173百万円がありましたものの、PT.HOKKAN DELTAPACK INDUSTRIにおける飲料用パッケージ製造設備の取得等の設備投資1,774百万円、現金及び預金の増加及び売上債権の増加が主な要因であります。

 

(その他)

当連結会計年度末におけるセグメント資産の残高は4,549百万円(前連結会計年度末は5,448百万円)となり898百万円の減少となりました。これは化粧品等製造販売事業を営む株式会社コスメサイエンスについて、2024年3月29日付で全株式を譲渡したため、同日より連結の範囲から除外したことが主な要因であります。

 

 

ロ 経営成績の分析

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、人流の増加によってインバウンド需要は増加しており、また雇用および所得環境に持ち直しの動きがみられるなど、経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに回復しているものの、円安の進行やウクライナ問題の長期化に起因する原材料価格やエネルギーコストの高騰など、厳しい状況で推移しました。また、金利や為替相場といった金融資本市場の変動リスクや中国経済の先行き懸念などによる景気減速への懸念もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような状況の下、当社グループは2023年5月に新中期経営計画VENTURE-5のローリングを公表し、連結経営指標をアップデートするとともに、中長期的な事業構造改革に取り組んでまいりました。その結果、当連結会計年度における当社グループ連結業績は、主要子会社である北海製罐株式会社における飲料缶事業の廃止等に伴い売上高は90,933百万円前年度比2.9%減)となりましたものの、減価償却費の負担軽減等により、営業利益は4,390百万円(前年度は営業損失456百万円)、経常利益は5,061百万円(前年度は経常利益332百万円)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は2,719百万円(前年度は親会社株主に帰属する当期純損失2,007百万円)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次の通りであります。

なお、当連結会計年度より、従来報告セグメントとしていた「機械製作事業」について、報告セグメントから除外し、「その他」に含めて記載する方法に変更しております。これに伴い、前連結会計年度との比較および分析は、変更後の区分に基づいております。

また、「その他」の化粧品等製造販売事業を営む株式会社コスメサイエンスについては、2024年3月29日付で全株式を譲渡したため、同日より連結の範囲から除外しております。

 

[容器事業]
(メタル缶)

エアゾール用空缶につきましては、ホビー用塗料の受注が増加しましたものの、主力の殺虫剤関連製品やエアコン洗浄剤等では、値上げによる買い控えの影響により販売が落ち込みましたため、前年を下回る結果となりました。

食品缶詰用空缶につきましては、水産缶詰では、主にサバやサンマなど青魚缶詰の販売が市況に連動して低調に推移したことにより、前年を下回りました。また、農産缶詰においては、スイートコーン缶詰の販売不振の影響により前年を下回りました。以上により、食品缶詰用空缶全体では前年を下回る結果となりました。

美術缶につきましては、旅行その他外出の増加により菓子缶や業務用スパイス缶の販売が好調に推移しましたため、前年を上回る結果となりました。

(プラスチック容器)

①飲料用ペットボトル

飲料用ペットボトルにつきましては、市況に連動した買い控えや暖冬により加温販売向け耐熱ボトルの販売が落ち込みましたものの、値上げの進捗により前年並みに推移しました。プリフォームでは、リサイクル材を使用した小型用の販売が好調に推移しましたため、プリフォームを含む飲料用ペットボトル全体としては、前年を上回りました。

②食品用ペットボトル

食品用ペットボトルにつきましては、醤油、つゆ市場を含めた調味料市場の販売低迷の影響を受けましたものの、当社ボトルの採用が拡大したほか、PET素材の二重構造バリアボトルの大容量容器の販売が好調でありましたため、前年を上回りました。

③その他

その他のプラスチック製容器包装につきましては、化粧品・ヘルスケア用では前年を下回りましたものの、農薬・園芸用は好調に推移いたしました。また、バッグインボックスにつきましても、外食産業向けドリンクサーバー用等の販売が増加したことにより、前年を上回る結果となりました。

 

以上の結果、容器事業全体の売上高は31,650百万円前年度比11.2%減)となりましたものの、前連結会計年度末で廃止いたしました飲料用スチール空缶事業を除いた比較では前年度比4.7%増となり、営業利益は1,674百万円(前年度は営業損失1,289百万円)となりました。

 

[充填事業]

(缶製品)

缶製品につきましては、通常缶は缶コーヒーの販売不振の影響で低調に推移し、リシール缶(ボトル缶)につきましても値上げの影響等により、前年並みに推移する結果となりました。

(ペットボトル製品)

ペットボトル製品につきましては、大型ペットボトルではお客様による値上げの影響等により2リットル製品は低調でありましたものの、1リットル製品は好調に推移しており、また、小型ペットボトルにつきましては、夏場の記録的な猛暑および残暑の影響により、堅調に推移しましたため、前年並みに推移する結果となりました。

以上の結果、乳製品受託製造および食品の受託製造を含めた充填事業全体の売上高は38,158百万円前年度比1.6%増)となり、営業利益は2,908百万円前年度比76.0%増)となりました。

 

[海外事業]

インドネシアにおいては、新型コロナウイルス感染症からの回復、および政府による金融政策の効果、家計消費の堅調な伸長等に支えられ、経済は安定した成長を維持しています。ホッカン・デルタパック・インダストリ社では、原材料価格の下落に伴い、主力製品であるカップの販売価格も下がりましたが、旺盛な需要を背景に積極的な営業活動を行った結果、プリフォームやカップの販売が好調に推移し、前年を上回る結果となりました。また、ホッカン・インドネシア社では、主要なお客様からの受注が堅調に推移しましたため、前年を上回る結果となりました。

ベトナムにおいては、日本キャンパック・ベトナム社では、清涼飲料市場は依然として厳しい状況であり、前年を下回る結果となりました。

以上の結果、海外事業全体の売上高は17,004百万円前年度比10.0%増)となり、営業利益は1,277百万円前年度比64.9%増)となりました。

 

[その他]

機械製作事業では、液体小袋充填機の販売は好調に推移しましたものの、産業用機械等の大型案件の受注が減少したことにより、前年を下回る結果となりました。

以上の結果、化粧品等製造販売、工場内運搬作業等受託を含めたその他売上高は4,120百万円(前年度比17.7%減)となり、営業利益は368百万円(前年度比442.3%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ キャッシュ・フローの分析

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

 

ロ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び設備投資等であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくこととしております。

運転資金につきましては、当社及び国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入しており、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度において、当社グループは変化の激しい時代に対応すべく、グループ各社との連携を深め、将来の利益創出を方向付ける技術開発、商品開発などの研究開発活動を行ってまいりました。研究開発費の総額は596百万円であります。

セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

(1) 容器事業

容器包装の市場において、プラスチック容器の設計指針やリサイクルのための包装設計ガイドラインなど、循環型社会へ向けた製品設計が世界共通の課題として必要になってきました。開発部門では、製品価値の向上と3R+Renewable及びGHGの削減をコンセプトに開発を進めています。

プラスチック容器においては、リサイクルPET材料(rPET)を使用した製品ラインナップの拡充、及び容器の軽量化開発を行っています。新製品開発として、フードロス削減に貢献する醤油の鮮度保持PET二重容器の技術を応用した製品開発を進めており、環境適性や付加価値の高い新たな製品の実用化を目指しています。また、グループ会社との連携によりPETボトル以外のプラスチックリサイクルの開発を進めています。容器包装に要求される世界基準をクリアし、環境負荷の低減に重点を置いた製品開発を行っています。

メタル容器においては、環境対応として、金属材料の使用量を削減するための粉乳缶、美術缶の軽量化(ゲージダウン)の開発を継続しています。また、鋼板へのデジタル印刷とUV硬化ベースコート、仕上げニスの開発により、版不要、ブランド変更時間大幅短縮、作業環境改善、スキルレス化を可能にするとともに、ガスオーブンを使用しない製造プロセスの開発に取り組んでいます。欧米の食品安全に対する規制強化には、優先的に対応しています。特にPFAS、BPAへの対応は、代替材料への変更を優先した材料選定・開発・切り替えを行います。製造効率の改善については、エアゾール缶、美術缶を優先して金型設計や製造条件の適正化を進めており、成果も得られていますことから、今後も継続してまいります。

研究開発費の金額は、568百万円であります。

(2) 充填事業

充填技術の向上ならびにものづくりを通じて持続可能な社会に貢献するための研究開発を行っております。

研究開発費の金額は、14百万円であります。