文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 中期経営計画VENTURE-5 経営理念、ビジョン、サステナビリティ基本方針及び全社戦略について
① 経営理念について
経営理念:開拓者精神をもって、成長のために飽くなき挑戦をし続け、お客様と共に、社会から必要とされる製品を提供していく。
当社グループは、北海道・小樽の地に誕生してから100年に亘り事業を営んで参りましたが、次の100年を始めるにあたり、我々自身の使命をより明確に表した経営理念であるべきとの想いから、刷新を決定致しました。我々自身がどのような存在であったか、そして、この先、どのような存在であるべきか、その想いを込め策定しております。
② ビジョンについて
1.我々は、お取引先様から、また社会から強く必要とされる存在であるため、常に社会的責任を明確にすると共に、各事業分野において「この点がNo.1」と言い切れる明確な特長を持った製品サービスを開発、提供します。
2.我々の製品、サービスを世界中の人々へ提供できるよう、新たな事業拠点の設立を積極的に進めて参ります。
3.我々は国籍、性別、年齢に関係なく、事業に貢献する人を正当に評価する、フェアな企業集団であり続けます。
経営理念を次の100年を見据えた使命とするならば、ビジョンについては2030年を目途に、当社グループはどのような存在になっているべきなのか、を表したものとして策定致しました。
③ サステナビリティ基本方針について
経営理念およびビジョンの実現を目指すにあたり、企業としての基本姿勢、行動原則を表したサステナビリティ基本方針を策定致しました。当社グループは、各事業分野において成長を続け、中長期的な企業価値の向上を図るためには、その活動が環境・社会と調和する持続可能なものでなければならないことを深く認識し、これを実践するために、事業活動において直接的・間接的にかかわる様々な社会課題の解決に向けて積極的に取り組むこととしております。
その基本方針としてサステナビリティ基本方針を策定すると共に環境方針、製品安全方針、労働安全衛生・健康方針およびサステナビリティ調達方針を策定し、2050年までにカーボンニュートラルを目指す新たな気候変動対策目標を設定致します。
なお、サステナビリティ基本方針については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)ホッカングループのサステナビリティ ①サステナビリティ基本方針」をご参照ください。
④ 全社戦略について
1.人的資源の最適化
成長の源泉である人的資源を最適化するために、適切な人事制度、教育制度の確立と、価値創出に貢献できる人材確保のための積極的な投資を行います。
2. 国内事業の再編
稼ぐ力=お客様へ高い価値を提供できるか否かを最重要視し、事業の取捨選択に取り組みます。
3.海外事業の拡大
東南アジア諸国を中心とした新興国への事業投資をこれまで以上に加速させ、事業規模、利益の拡大を目指します。
4.新規事業開発
M&Aを積極的に活用し国内、海外問わず、当社グループの知見を活かし得る新たな事業領域へ進出して参ります。
経営理念およびビジョンの実現を目指すにあたり、サステナビリティ基本方針に沿いながら、当社グループが一丸となり、確実に実行していくべき方策として全社戦略を策定しております。
(2) 経営環境及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
① 経営環境
清涼飲料業界の国内市場は成熟しており、天候などが消費動向に影響を与えるものの、毎年同じ規模で推移しております。インドネシアおよびベトナムの飲料市場は拡大を続けており、今後も継続的な市場の伸びが予想されます。
② 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期経営計画VENTURE-5の全社戦略に基づき業績の向上に取り組んでおり、容器事業および充填事業での着実な施策実行、海外事業における積極的な設備投資および営業活動による事業の成長、また飲料缶事業の廃止など事業ポートフォリオの見直し等を進めています。
この結果、当連結会計年度は計画値を上回る結果となりました。
中期経営計画VENTURE-5 グループ連結数値計画および連結経営指標等
(単位 : 億円)
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
現下の国内経済は、物価の上昇が続くことにより消費者マインドが生活防衛に傾き、また米国の通商政策をはじめとして世界経済の不透明感が増す近時の状況において、当社グループは、国内事業では顧客のニーズに対して迅速かつ高品質な対応を図るとともに、海外ではインドネシアにおける積極的な営業活動による設備投資の早期回収によって、中期経営計画VENTURE-5の2025年度計画の達成を図ってまいります。
株価および資本効率につきましては、当社の株価純資産倍率(PBR)は未だ1倍を大きく下回る状況にあり、早期に改善を図る必要があるものと認識しています。中期経営計画VENTURE-5の進捗により一定の改善が期待されますが、市場の期待にお応えすることのできる段階にまで業績および資本効率が向上するには時間を要する見通しです。さらなる施策の実施により上積みを図ってまいります。
例えば、当社は中期経営計画VENTURE-5期間中の配当政策を「連結配当性向35%以上、かつ1株当たり年間配当金45円以上」として、株主還元に注力しています。中期経営計画VENTURE-5の株式関係指標「2026年度の年間配当額100円以上」を目標として取り組んでまいります。
また、政策保有株式につきましては、2024年11月に、連結純資産比率(2024年3月末時点18.7%)を2027年3月末に約10%とすることを目指す旨の方針を公表いたしました。株式の売却により得られたキャッシュを成長投資や株主還元、借入金の返済等に充てることにより、一層の資本効率の向上を図ってまいります。
さらには、2050年までのカーボンニュートラルを目指した脱炭素社会への貢献、水資源の持続可能な利用、資源循環社会への貢献といった環境課題への対応や人権、ワークライフバランスへの配慮など、事業活動において直接的・間接的にかかわる様々な社会課題の解決にも積極的に取り組んでまいります。
なお、当社は国内における人口構成比の変動と主要事業の成熟化、環境問題などのグループ全体で取り組まなければならない課題に対応するため、当社を存続会社とし、北海製罐株式会社および株式会社日本キャンパックを消滅会社とする吸収合併の検討およびその準備を開始することを、2025年2月に公表いたしました。
本件を2027年4月に実行することで、グループ一体となった経営戦略を推進するとともに、集中的で効率的な経営資源の配分を図る体制を確立し、(1)迅速な意思決定力をさらに高め、(2)成長戦略に合わせた人材の流動化を実行し人的資本を最大化するとともに、(3)効率化によるコストダウンを実施するべく、鋭意取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ホッカングループのサステナビリティ
①サステナビリティ基本方針
サステナビリティ8つの基本方針
1.私たちは労働者の権利を含む人権を尊重し、差別・ハラスメントを許しません
事業活動を行う全ての国・地域において人権を尊重し、事業活動において関与し得る人権への負の影響を見過ごすことなく、その是正に向けて適切に行動します。人種・性別・障がいの有無その他事由を問わず差別、ハラスメントおよび非人道的な取り扱いをせず、これらを許しません。
また、結社の自由と団体交渉を含む労働者の権利を尊重し、人身売買を含むあらゆる種類の現代奴隷を許さず、強制労働、児童労働その他あらゆる人権を侵害する形態の労働をさせません。
2.私たちは役職員の安全および健康を確保し、働きがいのある会社を目指します
多様性のある役職員は会社にとってかけがえのない財産であり、役職員の安全確保、心身の健康維持・増進およびワーク・ライフ・バランスに配慮し、各々のライフイベントへ柔軟に対応しながら、その成長を全面的に支援します。そのために、事業活動を行う国・地域の法令に定める以上の賃金、公正な人事評価・処遇制度および安全で衛生的かつ働きやすく健康的な職場環境を整備します。
3.私たちは法令を遵守し、公正取引・腐敗防止、反社会的勢力の排除に取り組みます
事業活動を行う全ての国・地域の法令・規制を遵守し、高い倫理観をもって行動します。取引に当たっては公正を旨としてカルテル・談合等の競争制限は断固として拒絶し、贈収賄その他あらゆる種類の汚職・腐敗に関与しません。また、反社会的勢力とは一切の関係を持たず、利益供与は一切行いません。不当な要求に対しては断固たる態度で臨みます。
4.私たちは持続可能な地球環境の実現に向けて取り組みます
事業活動を行う全ての国・地域の環境法令・規制を遵守するとともに、バリューチェーンのあらゆる段階で地球環境と調和した活動に取り組みます。特に気候変動問題への対応や資源の持続可能な利用、汚染防止および環境保全に取り組んでいきます。
5.私たちは顧客満足度の高い製品・サービスを開発し、製品安全および品質の確保に努めます
様々な社会的課題や消費者課題と向き合い、顧客満足度が高く社会的に有用で安全な製品・サービスを開発いたします。また、それら製品・サービスを安定的に供給し、社会から信頼される企業を目指します。
6.私たちは情報資産の管理・活用を徹底し、適正な開示を行います
情報資産の機密性・完全性・可用性の確保・向上に努める等適切な管理を徹底するとともに、競争力向上のためにその活用を図ります。また、公正で透明性の高い企業情報の開示を行います。
7.私たちは地域社会と調和し、社会の幸福に資する活動に取り組みます
地域とのコミュニケーションを積極的に行い、地域社会と調和し、地域住民をはじめ社会の幸福に資する活動に取り組むことで、地域にあって役職員であることに誇りを持てるグループであることを目指します。
8.私たちはステークホルダーと真摯に対話し、活動状況を監督します
ステークホルダーとの真摯な対話を通じて、持続可能な社会の実現に必要な社会的課題の把握に努めます。また、事業活動にかかわる取引関係者に対しても、本方針および様々な社会的課題の解決に向けた取り組みへの理解と協力を求めます。目標の設定や取り組みの状況については取締役会が監督し、適切に開示します。
②サステナビリティ推進体制
ホッカングループは、経営理念(※)およびサステナビリティ基本方針に基づき、当社およびグループ会社におけるサステナビリティ推進に関わる重要な方針や計画を策定し、取組みなどについての審議を行い、グループ横断的なサステナビリティ活動を推進するために代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会(年2回開催)を設置しております。
マテリアリティについての審議や目標とすべき指標等の設定、サステナビリティ活動計画の策定と検証、ステークホルダーへの情報開示内容などについて審議し、必要な情報の抽出やモニタリングを実践して、取締役会へ報告・提言を行います。
※経営理念については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)中期経営計画VENTURE-5 経営理念、ビジョン、サステナビリティ基本方針及び全社戦略について ①経営理念について」をご参照ください。
ガバナンス体制図

③マテリアリティ(重要課題)とKPI設定
ホッカングループでは、経営理念およびビジョン(※)の実現を目指すために、企業の基本姿勢、行動原則を表したサステナビリティ基本方針を策定いたしました。これに基づき、創業以来の強みである「ものづくり力」と提供価値を更に高め、お客様や社会のニーズに応えていくため、重要な経営課題として8つのサステナビリティ基本方針をマテリアリティとして設定し、解決に向けての活動に取り組んでおります。2024年度はこれまでの進捗状況を踏まえ、目標とKPIの一部見直しを実施いたしました。今後も持続可能な社会の実現を目指し、引き続き取り組みを推進してまいります。
※ビジョンについては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)中期経営計画VENTURE-5 経営理念、ビジョン、サステナビリティ基本方針及び全社戦略について ②ビジョンについて」をご参照ください。
マテリアリティ(重要課題)における目標とKPI(1)
<評価基準>○ : 目標を達成/概ね順調に進捗中 △ : 取り組み実績はあるが、努力の余地あり
× : 進捗なし、目標未達 - : 当年度は評価しない
マテリアリティ(重要課題)における目標とKPI(2)
(2)気候変動への対応
気候変動に関するガバナンスは、ホッカングループのサステナビリティ推進体制に組み込まれています。詳細については、「(1)ホッカングループのサステナビリティ ②サステナビリティ推進体制」をご参照ください。
気候関連のリスクおよび機会がホッカングループのビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響を評価するため、ホッカングループでは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、IEA(国際エネルギー機関)などの気候関連シナリオを参考にシナリオ分析を継続的に実施しています。これらのシナリオをもとに1.5℃~2℃(主にSSP1-1.9、SSP1-2.6、RCP2.6、SDS、NZEを使用)および4℃(主にSSP5-8.5、RCP8.5を使用)の気温上昇時の世界を想定し、重要なリスクおよび機会を以下のとおり特定しました。
※対象範囲 : 国内海外グループ全体(サプライチェーン含む)
時間軸 : 短期:3年以内、中期:3年~10年、長期:10年~30年
財務影響 : 小:10億円未満、中:50億円未満、大:50億円以上
シナリオ分析を実施した結果、重要なリスクとしては1.5℃~2℃シナリオにおいてカーボンプライシングの強化によるコスト増加や環境配慮型製品への対応遅れによる取引停止、洪水による操業停止などが喫緊の課題となっていることが確認されました。また、現在公表されている水ストレス・天然資源などの文献によると、ホッカングループの事業は4℃シナリオになると洪水による操業停止に伴う財務影響が非常に大きくなることが改めて分かりました。
これらリスクへの対応策として、省エネ設備投資および再エネ電力調達や排出権取引推進、環境配慮型プラスチック製品の販売促進、新たな環境配慮型製品の開発、事業継続計画の強化などの取り組みを進めてまいります。また、ICP(インターナルカーボンプライシング)を2024年度より導入し、全従業員が脱炭素の意識を高める活動を行います。
一方、重要な機会は1.5℃~2℃シナリオにおいてはGHG排出量の削減に向けた設備を導入することで、計画的にエネルギーコストを低減できること、消費者のエシカル消費意識が向上することで環境配慮型製品の需要が増加することと認識しています。両シナリオでは、平均気温が上昇する影響として清涼飲料水の需要アップの機会があると捉えました。しかし、将来的に気温上昇を抑える脱炭素経営を推進しなければ事業継続は困難になると認識しています。今後、気候変動問題への取り組みを積極的に行い、レジリエンスを高めてまいります。
引き続きお客様・社会から必要とされる製品を提供していくために、気候関連のリスクと機会を都度評価・管理し、シナリオ分析を精緻に進めて企業の持続的成長に繋げてまいります。
当社は、代表取締役社長を委員長とし、原則として年2回開催する「リスク管理委員会」を中心としてグループ全体のリスク管理を統括しています。定期的にリスクの識別等を実施し、抽出された気候変動を含む個々のリスクについての対応を継続的に実施することによりリスクの極小化に努めています。また、ホッカングループが多数の事業を展開していることを踏まえ、個々のリスクを把握・管理するためにグループ各社の担当役員が指揮をとり、リスク管理を遂行しています。
不測の事態が発生した場合には、「危機管理マニュアル」に従った迅速な対応を行い、損害の拡大を防止し、これを最小限に止める体制を整えることとしております。
気候変動に関する移行リスク、物理的リスクについては、グループ各社で把握・識別・評価され、財務に影響を与えるリスクとして、「リスク管理委員会」にて取り組み強化に向けた討議を実施し、その結果を取締役会に提言・報告することで、適切に監督される体制を整備しています。
1.温室効果ガス排出量削減目標
ホッカングループは、気候変動問題への対応に関し、温室効果ガス排出量はScope1,2の排出量を2050年度までに「カーボンニュートラル」を目指すことを長期目標として設定しました。また、Scope1,2については、2030年度までに2019年度比で30%削減(※1)、Scope3については、2030年度までに2019年度比で20%削減(※2)することを中期目標とします。

(単位 : 千t-CO2eq)
※1 2020年度 国内の排出量90%以上を占める国内2社(北海製罐㈱および㈱日本キャンパック)を対象。

(単位 : 千t-CO2eq)
※2 2020年度 国内の排出量90%以上を占める国内4社(北海製罐㈱、㈱日本キャンパック、オーエスマシナリー㈱およびKE・OSマシナリー㈱)を対象。
2.ペットボトル資源循環目標
〈基本的な考え方〉
◎容器の機能性を保持しながら、環境負荷を踏まえた環境配慮設計を推進します。
◎資源循環サイクルに寄与すべく、再生材利用拡大(ボトルtoボトル等)を推進します。
2030年までにペットボトルの「リサイクル材」使用率50%を目標とします。
(3)人的資本
①戦略
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、次のとおりであります。
・人材育成方針
「多様な変化を受け入れ、新たな価値と意欲とスピード感を持って、創造できる人材を創出する」方針のもと、事業の飛躍に向けて様々な価値観を受け入れ、能力と意欲をもって行動できる人材を育成・獲得していくことが重要なファクターとなります。
今後も一層、次世代を担う社員の成長と定着のための取組や、新しい価値観とスキルを生み出すための教育機会の確保を引き続き重点的に実行していきます。
・社内環境整備方針
サステナビリティ基本方針に基づき、「個の力を最大限に発揮できるよう、社員一人ひとりのライフステージや価値観を尊重した上で、やりがいを持って思う存分挑戦できる環境を整え、提供する」という考えに立ち、取組を進めております。
社員が安心・安全に働けるよう、労働災害防止のために労働安全教育を定期的・継続的に実施しています。また、心身ともに健やかに働くことができる職場づくりに向け、健康意識調査の結果をもとに健康経営の施策を進めています。
働き方の選択肢が増える中で、2024年度は組織の活性化と従業員のエンゲージメントを高めることを目的にキャリア支援プロジェクトを立ち上げ、誰もが働きやすい環境を目指し議論してまいりました。多様な働き方やワークライフバランスを実現できる施策を引き続き実行してまいります。
②指標及び目標
当社グループでは、上記「①戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
人材の育成に関する方針及び環境整備に関する方針に基づく指標と実績
(注)上記データは、提出会社及び国内連結子会社を基準としております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。当社グループでは、当社代表取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」(原則として年2回開催)が当社グループ全体のリスク管理を統括し、「コンプライアンス委員会」(原則として年4回開催)および「サステナビリティ委員会」(原則として年2回開催)との連携により定期的にリスクの識別等を実施し、抽出された個々のリスクについての対応を継続的に実施することによりリスクの極小化に努めております。また、当社グループが多数の事業を展開していることを踏まえ、個々のリスクを把握・管理するためにグループ各社においてリスク管理を遂行しており、各委員会が定期的に報告を受けています。
当社取締役会は、各委員会からの報告の受領等を通じてグループのリスク管理についての監督を行うほか、重要な経営課題については適宜グループ各社から報告を受け、審議しています。
(1) コンプライアンス
当社グループは、国内外において、法規制や政府の許認可など様々な公的規制の適用を受けて事業を行っており、これらの公的規制に違反した場合、監督官庁による処分、訴訟の提起、さらには事業活動の停止に至るリスクや企業ブランド価値の毀損、社会的信用の失墜等のリスクがあります。
当社グループでは、「コンプライアンス委員会」を設置し、法令遵守のみならず、役員・従業員が共有すべき倫理観、遵守すべき倫理規範等を「ホッカンホールディングス役職員行動規範」として制定し、当社グループにおける行動指針の遵守並びに法令違反等の予防に努めておりますが、国内外において、公的規制の新設・強化や想定外の適用、解釈の誤り等により、結果として当社グループが公的規制に抵触することになった場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 気候変動
当社グループは、気候変動に伴うリスクや機会は事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しており、2021年に「環境方針」を新たに策定し、新たな目標として2050年までの「カーボンニュートラル」を設定しました。また、この取り組みを積極的に推進するため「サステナビリティ委員会」を設置し、2022年2月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言に賛同し、この枠組みに基づき重要なリスク及び機会を特定・開示しております。
この結果、重要な機会として平均気温の上昇による環境配慮製品の需要が挙げられる一方、自然災害の急激な増加による物理リスク、カーボンプライシングの導入による移行リスクなどが喫緊の課題として確認されており、これらに対応した事業継続計画の策定及び強化、政策・法規制のモニタリングおよび再生可能エネルギーの促進などの取り組みを進めてまいりますが、予期せぬ、または予測を超えた気候変動リスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 自然災害・感染症
当社グループは、地震、台風等の自然災害及びウイルス等の感染症の流行による操業停止をせざるを得ないような事態の発生に備え、リスク分散を実施し従業員の安全確保、災害及び感染症の未然防止等を実施しております。しかしながら、予想を超える規模の被災により建物や設備の倒壊・破損や感染症等による生産の中断等が生じた場合、お客様への製品供給が遅れること等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 海外事業
当社グループは、東南アジアにおいて事業展開を行っており、海外における緊急事態の発生に備え、海外危機管理マニュアルを制定しておりますが、海外におけるテロの発生、政情の悪化、経済状況の変動、為替の変動及び予期しえない法律・規制・不利な影響を及ぼす租税制度の変更等があった場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 資材購入価格・物流コスト・エネルギーコスト
当社グループは、原油を原料としたペット樹脂や鋼材などの購入資材及び輸送・保管に伴う物流費並びにエネルギー費が、コストとして大きな比重を占めております。資源循環社会、脱炭素社会への貢献の観点から継続的に容器の軽量化や再生可能エネルギーの促進など資源使用量の削減に取り組む一方で、資材購入価格及び物流費並びにエネルギー費が上昇した場合、製品価格への転嫁に努めておりますが、転嫁することが出来なければ収益性は大きく低下し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 市場環境
当社グループの主要な事業であります容器事業において、競合他社との価格競争及びお取引先様の内製化拡大が続いております。環境負荷低減及び利便性機能等を付与した新製品の研究開発を継続的に行ったとしても、予想を超える規模の既存製品の価格競争及びお客様の内製化拡大が実施された場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 人材確保
当社グループの事業は専門性を有した技術者により支えられており、少子高齢化に伴う労働人口の減少による採用者の減少に備え、また成長の源泉である人的資源を最適化するために適切な人事制度、教育制度の確立と、価値創出に貢献できる人材確保のための積極的な投資を行っておりますが、結果として人材の確保・定着が困難となった場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 取引先の信用リスク
当社グループは、取引先の信用状況を毎期見直す体制としておりますが、予期しえない財務状況の悪化により債権の回収に支障をきたす場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 製品の欠陥
当社グループは、様々な社会的課題や消費者課題と向き合い、顧客満足度が高く社会的に有用で安全な製品・サービスを開発し安定的に供給することにより、社会から信頼される企業を目指しており、世界的に認められている品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。しかし、すべての製品について欠陥が無く、将来的にクレームが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバー出来るという保証はありません。大規模なクレームや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコスト負担をもたらすのはもちろんのこと当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより収益が低下し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 情報セキュリティ
当社グループは、コンピューターウイルス対策や情報管理の徹底を進めております。しかしサイバー攻撃、不正アクセス及びコンピューターウイルスの侵入等により、これら情報が流出した場合並びに重要データの破壊、改ざん及びシステム停止等が生じた場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 減損会計
当社グループは、保有する固定資産について今後の業績動向や時価の下落等により収益性の低下等が認められた場合、減損損失を認識することとなり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は51,675百万円(前連結会計年度末は55,515百万円)となり3,839百万円の減少となりました。これは現金及び預金が増加(12,800百万円から13,374百万円へ573百万円の増)したものの、売上債権が減少(29,310百万円から24,973百万円へ4,337百万円の減)したことが主な要因であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は80,648百万円(前連結会計年度末は78,535百万円)となり2,112百万円の増加となりました。これは投資有価証券の減少(13,253百万円から11,920百万円へ1,333百万円の減)、のれんの減少(1,785百万円から1,273百万円へ512百万円の減)及び無形固定資産の「その他」に含まれております借地権が減少(4,180百万円から3,961百万円へ219百万円の減)したものの、有形固定資産の増加(55,659百万円から59,290百万円へ3,630百万円の増)及び退職給付に係る資産が増加(667百万円から1,163百万円へ496百万円の増)したことが主な要因であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は33,772百万円(前連結会計年度末は37,827百万円)となり4,054百万円の減少となりました。これは支払手形及び買掛金の減少(16,324百万円から14,858百万円へ1,466百万円の減)、リース債務の減少(1,212百万円から341百万円へ870百万円の減)、短期借入金の減少(11,959百万円から11,110百万円へ849百万円の減)、流動負債の「その他」に含まれております未払金の減少(3,508百万円から3,013百万円へ495百万円の減)及び未払費用が減少(1,635百万円から1,389百万円へ246百万円の減)したことが主な要因であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は36,325百万円(前連結会計年度末は35,353百万円)となり972百万円の増加となりました。これは事業構造改革引当金が減少(969百万円の減)したものの、長期借入金の増加(24,350百万円から25,482百万円へ1,132百万円の増)、繰延税金負債の増加(272百万円から822百万円へ549百万円の増)及びリース債務が増加(900百万円から1,167百万円へ266百万円の増)したことが主な要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は62,225百万円(前連結会計年度末は60,870百万円)となり1,355百万円の増加となりました。これは配当金の支払986百万円、為替換算調整勘定の減少(2,076百万円から1,257百万円へ818百万円の減)及びその他有価証券評価差額金が減少(5,657百万円から5,032百万円へ625百万円の減)したものの、親会社株主に帰属する当期純利益3,262百万円の計上及び退職給付に係る調整累計額が増加(554百万円から1,031百万円へ476百万円の増)したことが主な要因であります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における売上高は92,419百万円(前年度比1.6%増)となりました。
利益面におきましては、営業利益は4,503百万円(前年度比2.6%増)、経常利益は5,196百万円(前年度比2.7%増)となりました。また、減損損失の減少および投資有価証券売却益の計上等がありましたため、親会社株主に帰属する当期純利益は3,262百万円(前年度比20.0%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローで12,509百万円の増加(前年度は7,359百万円の増加)、投資活動によるキャッシュ・フローで10,158百万円の減少(前年度は3,846百万円の減少)、財務活動によるキャッシュ・フローで1,760百万円の減少(前年度は1,226百万円の減少)がありました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益4,548百万円(前年度は3,507百万円)、減価償却費6,178百万円(前年度は6,351百万円)、売上債権の減少に伴う資金の増加額4,340百万円(前年度は売上債権の増加に伴う資金の減少額1,706百万円)、仕入債務の減少に伴う資金の減少額1,547百万円(前年度は250百万円)、法人税等の支払額672百万円(前年度は2,102百万円)が主な増減要因であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出10,313百万円(前年度は4,170百万円)が主な増減要因であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期及び短期借入金の返済による支出15,819百万円(前年度は17,347百万円)、長期及び短期借入れによる収入16,261百万円(前年度は17,509百万円)、リース債務の返済による支出1,290百万円(前年度は774百万円)、提出会社による配当金の支払額986百万円(前年度は567百万円)が主な増減要因であります。
この結果、現金及び現金同等物は、471百万円増加し、当連結会計年度末は13,272百万円となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、販売価格であります。
2.「その他」の金額には、工場内運搬作業等の請負事業は生産活動を行っていないため含まれておりません。
当社グループにおける各事業はいずれのセグメントにおいても受注に基づく生産、販売が大部分を占めており、かつ受注から販売までの期間が短期間で受注残高の増減が僅少であることから、販売実績を受注実績とみなして差し支えありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 財政状態の分析
(容器事業)
当連結会計年度末におけるセグメント資産の残高は35,196百万円(前連結会計年度末は34,480百万円)となり716百万円の増加となりました。これは売上債権の減少、減価償却費の計上738百万円及び減損損失の計上321百万円がありましたものの、北海製罐株式会社における粉乳缶・エアゾール缶製造設備の移転等の設備投資2,769百万円が主な要因であります。
(充填事業)
当連結会計年度末におけるセグメント資産の残高は50,279百万円(前連結会計年度末は55,097百万円)となり4,818百万円の減少となりました。これは株式会社日本キャンパックにおける倉庫建設等の設備投資1,686百万円がありましたものの、減価償却費の計上3,647百万円及び売上債権の減少が主な要因であります。
(海外事業)
当連結会計年度末におけるセグメント資産の残高は26,594百万円(前連結会計年度末は25,751百万円)となり842百万円の増加となりました。これは現金及び預金の減少及び減価償却費の計上1,424百万円がありましたものの、PT.HOKKAN INDONESIAにおける生産ライン増設及びPT.HOKKAN DELTAPACK INDUSTRIにおける飲料用パッケージ製造設備の取得等の設備投資6,171百万円が主な要因であります。
(その他)
当連結会計年度末におけるセグメント資産の残高は4,124百万円(前連結会計年度末は4,549百万円)となり425百万円の減少となりました。これはオーエスマシナリー株式会社における機械装置の更新等の設備投資297百万円がありましたものの、棚卸資産の減少及び減価償却費の計上128百万円が主な要因であります。
ロ 経営成績の分析
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善の下、緩やかな回復基調で推移しましたが、物価上昇の継続による消費者マインドの下振れが個人消費に及ぼす影響のほか、欧米における高い金利水準の継続や中国経済の先行き、さらには米国の今後の政策動向等による世界的な景気減速への懸念もあり、依然として先行き不透明な状況が継続しています。
清涼飲料業界の状況につきましては、記録的な猛暑や災害備蓄による特需の影響を受けてミネラルウォーターや茶系飲料は前年を上回りましたものの、生活必需品の値上げによる買い控えの影響が顕在化したことによりコーヒー飲料や果汁飲料などが前年を下回り、業界全体としては前年を若干下回る結果となりました。
食品缶詰業界の状況につきましては、水産缶詰においてはサバなどの水産原料不足が長期化している影響等もあり、前年を下回る結果となりました。
このような状況の下、当社グループは中期経営計画VENTURE-5に基づき中長期的な事業構造改革に取り組み、 積極的な設備投資を推進してまいりました。その結果、当連結会計年度における当社グループ連結業績は、売上高は92,419百万円(前年度比1.6%増)、営業利益は4,503百万円(前年度比2.6%増)、経常利益は5,196百万円(前年度比2.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,262百万円(前年度比20.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次の通りであります。
[容器事業]
(メタル缶)
エアゾール用空缶につきましては、虫よけ関連製品やエアコン洗浄剤が復調傾向となりましたが、主力である殺虫剤関連製品、家庭用塗料製品や自動車・工業用製品が市場低迷の影響を受けて減少し、燃料ボンベ缶等も製品の値上げによる消費者の買い控えの影響を受けて低調に推移しました。この結果、エアゾール缶全体の販売数量は前年度を下回りましたものの、価格改定の影響により売上は横ばいの結果となりました。
粉ミルク用空缶につきましては、国内の粉ミルク使用率の増加やインバウンド需要等により販売が好調に推移しましたものの、一部のお客様との取引が終了となりました影響により、前年度を下回る結果となりました。
食品缶詰用空缶につきましては、農産缶詰は横ばいで推移しましたが、主力の水産缶詰におけるサバ、サンマなど水産資源減少の長期化の影響、また缶詰製品の値上げによる消費者の買い控え等の影響を受けたことにより、前年度を下回る結果となりました。
美術缶につきましては、菓子缶は製品値上げによる販売減少の影響を受けて低調に推移しましたが、業務用スパイス缶が外食産業の需要回復を受けて好調に推移したことにより、前年度を上回る結果となりました。
(プラスチック容器)
飲料用ペットボトルにつきましては、リサイクル材を使用した耐熱ボトルの受注が好調に推移したことに加え、新規受注を獲得したことにより前年度を上回りました。また、プリフォームでは最終製品の値上げによる販売の鈍化や生産調整等の影響を受けて減少しました。この結果、プリフォームを含む飲料用ペットボトル全体の売上は、前年度を下回る結果となりました。
食品用ペットボトルにつきましては、つゆ製品向けスクイーズボトルや醤油製品向けPET素材の二重構造バリアボトルの大容量容器が好調に推移したことにより、前年度を上回る結果となりました。
その他のプラスチック製容器包装につきましては、一般成形品では化粧品・ヘルスケア用や農薬・園芸用が前年度並みに推移し、粉乳缶用プラスチックキャップや食品容器などの販売が前年度比で増加しました。バッグインボックスでは主に飲料水用が増加しましたものの果汁用が減少しました。この結果、その他のプラスチック製容器包装全体の売上は前年度比で横ばいとなりました。
以上の結果、容器事業全体の売上高は31,359百万円(前年度比0.9%減)となり、営業利益は1,091百万円(前年度比34.8%減)となりました。
[充填事業]
(缶製品)
缶製品につきましては、通常缶では缶コーヒーの販売不振に加え1ラインの廃止を実施した影響により減少し、リシール缶(ボトル缶)では自動販売機での値上げおよび一部受託先においてボトル缶の採用を取りやめた影響により減少したことから、缶製品全体の売上は、前年度を下回る結果となりました。
(ペットボトル製品)
ペットボトル製品につきましては、大型ペットボトルでは最終製品値上げの影響はありましたものの、災害備蓄需要等の影響を受けて増加し、小型ペットボトルでは夏場の猛暑の影響で好調に推移したことから、ペットボトル製品全体の売上は前年度を上回る結果となりました。
以上の結果、乳製品受託製造および食品の受託製造を含めた充填事業全体の売上高は39,442百万円(前年度比3.4%増)となり、営業利益は3,523百万円(前年度比21.2%増)となりました。
[海外事業]
インドネシアにおいては、商品高の一巡や金融政策の効果によりインフレが落ち着きをみせた結果、経済は堅調に推移しました。同国の食品・飲料業界は、良好な経済状況と購買力向上により引き続き成長を続けています。清涼飲料市場の拡大ペースは減速傾向にあるものの、中期的にはさらなる伸長が予測されています。このような状況のなか、ホッカン・デルタパック・インダストリ社では、積極的な設備投資による生産体制の強化と年間を通じた底堅い需要に支えられ、前年度を上回る結果となりました。また、ホッカン・インドネシア社では、主要なお客様からの受注減少に伴い、前年度を下回る結果となりました。
ベトナムにおいては、主に輸出の増加がけん引することにより実質GDPが成長しました。このような状況のなか、日本キャンパック・ベトナム社では、積極的な営業が奏功し、また輸出が好調に推移したことにより前年度を上回りました。
以上の結果、海外事業全体の売上高は17,979百万円(前年度比5.7%増)となり、営業利益は1,289百万円(前年度比1.0%増)となりました。
[その他]
機械製作事業では、自動車部品の生産設備更新に伴う機械や金型の受注が増加したこと等により前年度を上回りましたものの、化粧品等製造販売事業を譲渡したことに伴い、その他売上高全体としては前年度を下回る結果となりました。
以上の結果、工場内運搬作業等受託を含めたその他売上高は3,638百万円(前年度比11.7%減)となり、営業利益は656百万円(前年度比78.0%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ キャッシュ・フローの分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
ロ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び設備投資等であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくこととしております。
運転資金につきましては、当社及び国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入しており、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当連結会計年度において、当社グループは変化の激しい時代に対応すべく、グループ各社との連携を深め、将来の利益創出を方向付ける技術開発、商品開発などの研究開発活動を行ってまいりました。研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
(1) 容器事業
容器包装の市場において、プラスチック容器の設計指針やリサイクルのための包装設計ガイドラインなど、循環型社会へ向けた製品設計が世界共通の課題として必要になってきました。開発部門では、製品価値の向上と3R+Renewable及びGHGの削減をコンセプトに開発を進めています。
プラスチック容器においては、リサイクルPET材料(rPET)を使用した製品ラインナップの拡充、及び容器の軽量化開発を行っています。新製品開発として、フードロス削減に貢献する醤油の鮮度保持PET二重容器の技術を応用した製品開発を進めており、環境適性や付加価値の高い新たな製品の実用化を目指しています。また、グループ会社との連携によりPETボトル以外のプラスチックリサイクルの開発を進めています。容器包装に要求される世界基準をクリアし、環境負荷の低減に重点を置いた製品開発を行っています。
メタル容器においては、環境対応として、金属材料の使用量を削減するための粉乳缶、美術缶の軽量化(ゲージダウン)の開発を継続しています。また、鋼板へのデジタル印刷とUV硬化ベースコート、仕上げニスの開発により、版不要、ブランド変更時間大幅短縮、作業環境改善、スキルレス化を可能にするとともに、ガスオーブンを使用しない製造プロセスの開発に取り組んでいます。欧米の食品安全に対する規制強化には、優先的に対応しています。特にPFAS、BPAへの対応は、代替材料への変更を優先した材料選定・開発・切り替えを行います。製造効率の改善については、エアゾール缶、美術缶を優先して金型設計や製造条件の適正化を進めており、成果も得られていますことから、今後も継続してまいります。
研究開発費の金額は、
充填技術の向上ならびにものづくりを通じて持続可能な社会に貢献するための研究開発を行っております。
研究開発費の金額は、