文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
横河ブリッジホールディングスグループは、「社会公共への奉仕と健全経営」の理念のもと、誠実なモノづくりを行い、良質で安全な社会インフラの整備等を通じて社会に貢献してまいります。また、当社グループが有する豊富な人材と高い技術力を活かし、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現させることで、ステークホルダーからの信頼を獲得してまいります。さらに、企業活動を進めるにあたっては良き企業市民としての自覚を持ち、法令や社会規範等を遵守するとともに、働く人々が信頼感で結ばれ、安全で安心して生活できる企業づくりに努めてまいります。
(2)経営環境
橋梁事業につきましては、新設道路計画の減少により発注量の低迷が続いておりますが、高速道路の大規模更新・大規模修繕に加えて暫定区間の4車線化事業、さらに国土強靭化緊急対策や大阪湾岸道路西伸部などが今後の需要として見込まれます。土木関連事業につきましては、リニア中央新幹線などの大型プロジェクトが見込まれます。民間需要は今後、新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されますが、システム建築事業につきましては、在来工法からのシフトにより引き続き一定の需要が見込まれると想定しております。
(3)会社の優先的に対処すべき課題、中長期的な会社の経営戦略および目標とする経営指標
当社グループは2019年度を初年度とする3カ年の第5次中期経営計画を策定し、最終年度の数値目標を売上高1,600億円、営業利益140億円、1株当たり当期純利益230円といたしました。当期の業績は売上高についてはやや伸び悩んだものの、概ね順調に推移しており、目標達成に向けて各事業別課題への取り組みを継続してまいります。
①橋梁事業
新設橋梁につきましては引き続き発注量の伸び悩みが予想されますが、大規模更新・修繕事業など保全事業への対応強化により新設とあわせた事業の維持拡大を図ります。技術者、機材、施工能力などの経営資源を新設・保全の一体で管理し、配分の最適化を追求してまいります。また、耐食性、施工性などが評価され、採用例が増えておりますアルミ製品(検査路、常設作業パネルなど)の営業活動をさらに拡大してまいります。
当面のリスクといたしましては、新型コロナウイルス感染症の影響があります。海外事業につきましては当期から受注・生産に一部影響が出始めております。今後、国内の工事の中断や事業所の閉鎖などにより工程への影響やコストの増加が発生する可能性がありますが、感染防止に細心の注意を払い、状況に応じて発注者との協議を行うなど、適切に対応してまいります。
②エンジニアリング関連事業
システム建築事業は、生産現場の混乱が収束し、回復軌道に戻すことができました。これからも2工場体制(袖ケ浦市・茂原市)の確立と損益管理体制の強化などを推し進めてまいります。土木関連事業につきましては、トンネルセグメントなどの大型需要取り込みに注力してまいります。
今後、新型コロナウイルス感染症の影響により民間設備投資が弱含み、特にシステム建築事業の受注に影響が及ぶ可能性がありますが、販路拡大やコスト縮減などに継続的に取り組んでまいります。
なお、当社グループの経営上の最大のリスクは重大事故の発生であり、現場工事の安全確保につきましては引き続き最重要課題として取り組んでまいります。具体的には過去の災害事例の周知はもとより、作業手順の改善、安全設備の創意工夫、安全装置の二重化、作業監視のシステム化などを推進し、より実効性のある安全対策を追求してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①事故などの安全上のリスクについて
橋梁に代表される鋼構造物工事の工程は、大きく工場製作、輸送および現場施工に分かれます。各工程とも、製品である製作物が非常に重く大きいため、一旦事故が起きてしまうと重大な影響を受けるリスクを抱えています。万が一事故を起こした場合、事故による直接的な損害に止まらず、当社グループの社会的信用を失墜させるとともに各発注機関からの指名停止措置などの行政処分を受け、受注に重大な影響を与える可能性があります。重大事故の発生を撲滅するために、過去の事故や災害の事例の周知はもとより、作業手順の改善、安全設備の創意工夫、安全装置の二重化、作業監視のシステム化等について継続的に取り組み、安全対策の実効性を高めてまいります。
②公共事業への依存について
当社グループの主力事業である橋梁事業は、その大半が国および地方自治体からの発注で占められているため、社会インフラに関連する政策の大きな変更や財政の急速な悪化などにより、特に今後の新設橋梁の発注量が想定を大きく下回る場合、受注高及び売上高の減少等、業績に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクを低減するため、保全事業の対応力強化により新設と合わせた橋梁事業の維持拡大と最適化を図るとともに、トンネルセグメントに代表される土木関連事業等、鋼構造物に関係する事業について多角化を進めてまいります。
また、同時に民需関連事業の拡大を図り、特にシステム建築事業の成長に注力してまいります。
③建築市場の動向によるリスクについて
当社グループの成長の柱であるシステム建築事業は、その大半が民間からの発注で占められているため、国内外の景気後退等により民間設備投資が縮小した場合には、受注高及び売上高の減少等、業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、販路拡大やコスト縮減などに継続的に取り組んでまいります。
④法的規制によるリスクについて
国内外問わず、建設業法、独占禁止法等の法令に則り事業を行っていますが、それらに違反することとなった場合、刑事罰、行政処分等を受け、受注高及び売上高の減少等、業績に影響を及ぼすリスクが発生する可能性があります。そのようなことがないよう、当社グループはコンプライアンスをグループ経営の根底に据え、適正な事業活動を行うこととしています。
⑤瑕疵に対する対応について
当社グループが施工した鋼構造物に関する瑕疵については、契約に基づく担保責任を負っています。万が一何らかの理由で瑕疵が発見された場合、客先からの瑕疵担保請求のあるなしにかかわらず、危険回避のため応急回復処置に努めるとともに、原因究明・再発防止に注力します。このため瑕疵の状況によっては、多額の手直し費用が発生するリスクを抱えています。そのようなことがないよう、当社グループは公共財産の建設を託された者として、良質な製品を経済的に提供する責任を強く認識するとともに、品質管理などにも細心の注意を払って業務に当たっています。
⑥カントリーリスクについて
当社グループの橋梁事業やシステム建築事業の設計業務の一部は中国やフィリピンの子会社が行っていますが、当該国の政治、経済情勢等に著しい変化が生じた場合は、業務の継続が困難になり業績に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクを低減するため、国内も含めた業務の補完体制を構築しています。
⑦大規模災害のリスクについて
地震、津波、風水害等の大規模な自然災害が発生した場合は、工場や工事現場に被害が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。こうした事態に備えてその影響を最小限に抑えるべく、事業継続計画の整備や非常時を想定した訓練等を実施しています。
⑧貸倒れに関するリスクについて
当社グループの主力事業である橋梁事業については、貸倒れリスクのない官公需が大半を占めていますが、エンジニアリング関連事業および先端技術事業については、取引先の大半を民間企業が占めています。そのため、取引先の信用不安により予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し、貸倒損失の発生や追加的な引当の計上が必要となるなど、業績に悪影響を与える可能性があります。当社グループでは、民間企業との取引に際しては、事前に十分な信用調査を行うとともに、売掛債権等に対して一定の貸倒引当金を設定しています。
⑨新型コロナウイルス感染症のリスクについて
新型コロナウイルス感染症の拡大により、工事の中断や事業所の閉鎖などで工程への影響やコストの増加が発生する可能性がありますが、感染防止に細心の注意を払い、状況に応じて発注者との協議を行うなど、適切に対応してまいります。また、テレワークや時差出勤の環境を整備し実施するなど、感染予防と感染拡大防止策を推進してまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
当期における我が国経済は、米中貿易摩擦が長期化する中、横這い圏を維持していましたが、消費税率の引き上げと大型台風の上陸が重なった秋以降から個人消費が大きく減少し、また輸出の低迷などから製造業を中心に企業業績が振るわず、設備投資も次第に弱含む展開となりました。さらに2月以降は新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大したため、期末にかけて景気は急速に悪化しました。
建設市場については、総じて堅調に推移しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大が徐々に影を落とし始めました。
このような状況の下、当期の受注高は1,243億2千万円(前期比289億1千万円減)となりました。業績については、売上高は1,381億4千万円(同37億7千万円減)、営業利益は128億8千万円(同23億7千万円増)、経常利益は129億6千万円(同23億1千万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は90億円(同14億6千万円増)となりました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。
(橋梁事業)
国内橋梁事業は、大型プロジェクトの端境期となったため、新設橋梁の発注量が低迷し、厳しい事業環境となりました。このような状況の下、当社グループはシェアを落とさず一定量の受注を確保し、また保全工事と民間工事の受注を拡大させることができましたが、海外大型工事の受注などで過去最高を更新した前期実績からの減少は避けられず、橋梁事業全体の受注高は694億円(前期比223億3千万円減)となりました。主な受注工事としましては、新設工事は、北海道開発局・鶴丘橋、関東地方整備局・東扇島水江町線主橋梁、潮来佐原線橋、四国地方整備局・新横倉橋、東日本高速道路・小樽ジャンクションCランプ橋、首都高速道路・東扇島水江町線高架橋、阪神高速道路・海老江ジャンクション、西日本高速道路・上灘川橋他1橋、尻掛橋、茨城県・北田気大橋(その2)、愛知県・新濃尾大橋P5-A2など、保全工事は、東日本高速道路・宮城白石川橋床版取替、島根県・西郷大橋補修などです。
業績については、売上高は812億3千万円(同78億3千万円増)、営業利益は83億1千万円(同22億8千万円増)となり、過去最高水準の業績となりました。豊富な手持ち工事が概ね順調に推移したことに加え、設計変更による増額や工事採算の改善、工事損失引当金の順当な減少が寄与しました。主な売上工事としましては、国内新設工事は、東北地方整備局・気仙沼湾横断橋川口地区、東日本高速道路・阿武隈大橋、末続川橋、鎧川橋、中日本高速道路・春田野第二高架橋他7橋、梅之郷北第三高架橋他6橋、高森第二高架橋他4橋、新駒門東第三高架橋、阪神高速道路・西船場ジャンクション、鉄道・運輸機構・北陸新幹線幸町橋りょうなど、保全工事は、近畿地方整備局・淀川大橋床版取替、首都高速道路・上部工補強工事2-204、西日本高速道路・山中川橋他14橋落橋防止などが売上に立ちました。
(エンジニアリング関連事業)
エンジニアリング関連事業の受注については、土木関連事業のトンネルセグメントの大型案件を受注することができましたが、システム建築事業は前期に行った受注抑制の影響と一部案件の契約の先送りなどにより伸び悩んだため、事業全体の受注高は511億7千万円(前期比61億3千万円減)と前期を下回りました。
業績については、売上高は529億3千万円(同104億6千万円減)と減少しましたが、営業利益は48億9千万円(同5億1千万円増)と増益となりました。これは、建築機鉄事業において大型建築工事の竣工時精算による増額があったことに加え、システム建築事業の採算が大きく改善したためです。茂原の新工場の稼働開始とあわせて生産現場の混乱が収束し、下期から価格見直し効果も実現しました。
(先端技術事業)
先端技術事業については、精密機器製造事業の需要が伸び悩んだため、受注高は37億4千万円(前期比4億5千万円減)と減少しました。業績については、受注の減少により売上高は32億9千万円(同11億5千万円減)、営業利益は4億円(同4億6千万円減)と、何れも前期を下回りました。
(不動産事業)
不動産事業については、売上高は前期とほぼ同額の6億8千万円、営業利益も横這いの4億円(同1千万円減)となり、当期も安定的な収入と利益を確保しました。
b.財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ28億8千万円増加し、1,525億8千万円となりました。流動資産は、「受取手形・完成工事未収入金等」が減少したこと等により2億8千万円減少し938億9千万円となりました。固定資産については、586億9千万円となり、31億7千万円増加しました。その主な要因は、株価の下落等により投資その他の資産が減少したものの、新工場の建設などで有形固定資産が増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ25億7千万円減少し、605億3千万円となりました。その主な要因は、「支払手形・工事未払金等」および「工事損失引当金」等が減少したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ54億6千万円増加し、920億4千万円となりました。その主な要因は、株価の下落により「その他有価証券評価差額金」が減少したものの、「親会社株主に帰属する当期純利益」を計上したことによるものです。この結果、自己資本比率は58.6%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて16億7千万円減少し、227億3千万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は91億6千万円(前連結会計年度は44億4千万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益が増加したことおよび法人税等の支払いが減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は87億6千万円(前連結会計年度は58億4千万円の使用)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出が増加したことおよび投資有価証券の売却による収入が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は21億円(前連結会計年度は25億8千万円の獲得)となりました。これは、主に配当金の支払いおよび借入れの返済によるものです。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。
|
回次 |
第152期 |
第153期 |
第154期 |
第155期 |
第156期 |
|
決算年月 |
2016年3月期 |
2017年3月期 |
2018年3月期 |
2019年3月期 |
2020年3月期 |
|
自己資本比率 |
56.0% |
53.3% |
54.4% |
56.3% |
58.6% |
|
時価ベースの 自己資本比率 |
44.2% |
41.7% |
64.2% |
52.6% |
53.4% |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 |
1.2年 |
-年 |
0.5年 |
2.8年 |
1.3年 |
|
インタレスト・ カバレッジ・レシオ |
86.4倍 |
-倍 |
263.9倍 |
56.9倍 |
138.1倍 |
※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
a.いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
b.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しています。
c.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
d.2017年3月期の「キャッシュ・フロー対有利子負債比率」および「インタレスト・カバレッジ・レシオ」については、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、記載していません。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
数 量 (トン) |
前年同期比 (%) |
金 額 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
橋梁事業 |
58,132 |
114.2 |
81,230 |
110.7 |
|
エンジニアリング関連事業 |
74,985 |
71.7 |
52,934 |
83.5 |
|
先端技術事業 |
- |
- |
3,290 |
74.1 |
|
合計 |
133,118 |
85.6 |
137,455 |
97.3 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.金額は、消費税等を除いて記載しています。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
受注高 |
受注残高 |
||||
|
数量 (トン) |
前年同期比 (%) |
金額 (百万円) |
前年同期比(%) |
金額 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
|
橋梁事業 |
48,406 |
61.9 |
69,404 |
75.7 |
101,541 |
89.6 |
|
エンジニアリング関連事業 |
70,827 |
78.1 |
51,175 |
89.3 |
43,798 |
96.1 |
|
先端技術事業 |
- |
- |
3,746 |
89.3 |
1,503 |
143.6 |
|
合計 |
119,234 |
70.6 |
124,326 |
81.1 |
146,843 |
91.8 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.金額は、消費税等を除いて記載しています。
3.輸出について特記すべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金 額 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
橋梁事業 |
81,230 |
110.7 |
|
エンジニアリング関連事業 |
52,934 |
83.5 |
|
先端技術事業 |
3,290 |
74.1 |
|
不動産事業 |
689 |
99.7 |
|
合計 |
138,144 |
97.3 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.金額は、消費税等を除いて記載しています。
3.輸出について特記すべき事項はありません。
4.前連結会計年度および当連結会計年度において、主要な販売先に該当するものはありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりです。
(財政状態)
総資産は1,525億8千万円(前期末比28億8千万円増)となり、そのうち有形固定資産は368億7千万円(同69億9千万円増)と大きく増加しました。これは主にシステム建築事業の新工場(千葉県茂原市)の完成によるもので、4期に分けて段階的に稼働させる計画の中、第1期のラインが昨年9月から、第2期のラインが今年2月からそれぞれ順調に稼働しております。負債合計は前期末から25億7千万円減少し605億3千万円となりました。これは主に工事損失引当金(同13億6千万円減)と有利子負債(同7億7千万円減)の減少であり、工事採算の改善と営業キャッシュ・フローの獲得が寄与したものです。純資産は利益の獲得により過去最高の920億4千万円(同54億6千万円増)となりました。
(経営成績)
当連結会計年度は国内新設橋梁の発注量が少なく、また前期には100億円を超える海外大型案件もあったことから当期受注の落ち込みは避けられず、受注高は1,243億2千万円(前期比289億1千万円減)となりました。売上高も若干伸び悩み1,381億4千万円(37億7千万円減)に止まりましたが、橋梁事業の期首手持ち工事が順調に進捗し、また工事損失引当金が順当に減少したことなどから営業利益は128億8千万円(同23億7千万円増)の増益とすることができました。
当期を初年度とする3ヶ年の第5次中期経営計画では、最終年度の売上高1,600億円、営業利益140億円を目標としており、当期売上高と営業利益はその目標に対しそれぞれ86%、92%となりましたので、中計初年度として順調なスタートが切れたと考えております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える最大の要因は重大事故の発生ですが、当連結会計年度において重大事故の発生はありませんでした。引き続き工事の安全が何よりも優先するということを常に強く認識し、全国すべての現場において安全施工を徹底していきます。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
<橋梁事業>
大型プロジェクト発注の端境期に当たったことから特に新設橋梁について大規模案件が少なく、厳しい受注環境となりました。そのため国土交通省と高速道路会社からの受注は減少となりましたが地方自治体と民間からの受注を伸ばすことができ、一定の受注量(694億円・前期比223億3千万円減)を確保することができました。橋梁事業の売上高812億3千万円(前期比78億3千万円増)は過去最高となり、採算が悪化する工事が少なく4期連続で増加しておりました工事損失引当金も減少に転じましたため、営業利益も83億1千万円(同22億8千万円増)となりました。想定以上の追加工事費の獲得により過去最高となった前々期の営業利益(85億1千万円)には僅かに届きませんでしたが、過去2番目の成績となりました。
<エンジニアリング関連事業>
システム建築事業については、受注高は375億2千万円(前期比34億4千万円減)に止まり、売上高も381億4千万円(同18億円減)と減収になりました。これは前期の第2四半期に受注が処理能力を超え、外注費の急増、生産工程の混乱などが生じたことの影響が当期にも及んだためです。前期第3四半期から受注の抑制と価格の見直しを行い、並行して工程管理・損益管理をはじめとする管理手法の見直し、組織の再編などを進め、また新工場(千葉県茂原市)の稼働開始を急ぎました。結果的に損益の回復には1年近くを要したことになりますが、新工場稼働と価格見直しの効果により当下半期からの採算が大きく改善し、前期に対し増益とすることができました。
土木関連事業については減収減益となりましたが、これはシールドトンネル用セグメントの生産量がトンネル工事の進捗で決まるためであり、想定通りの結果です。建築機鉄事業についても減収となりましたが、利益については「2020年東京五輪」に関連するプロジェクトの竣工が集中したため、追加工事費の獲得が重なり増益となりました。
以上の結果エンジニアリング関連事業全体の業績は売上高529億3千万円(同104億6千万円減)営業利益48億9千万円(同5億1千万円増)となりました。
<先端技術事業>
先端技術事業については精密機器製造事業の受注は低迷が続き、第3四半期から回復の兆しが見え始めましたものの前期を下回りました。情報処理事業については道路橋示方書改定に伴う橋梁設計関連の需要が前期に続き堅調で、横這いで推移しました。以上の結果、先端技術事業全体の業績は売上高32億9千万円(前期比11億5千万円減)、営業利益4億円(同4億6千万円減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの主な資金需要は材料費、外注費、労務費、工場並びに現場の直接経費・間接経費などの運転資金と工場生産設備を中心とする設備投資資金です。資金調達はフリー・キャッシュフロー及び間接調達で確保しております。また、長期大型工事の竣工間際など一時的に立替額が大きくなる場合に備え、コミットメントライン契約と当座貸越契約により財務の安定性及び流動性を補完しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、そのうち「(3)重要な引当金の計上基準 ③工事損失引当金」について、以下に補足します。
工事損失引当金は受注工事の将来の損失発生に備えるため、当連結会計年度末における手持工事のうち、翌期以降の損失発生が確実であり、かつ損失額を合理的に見積ることが可能な工事について、その損失見込額を計上しています。但し当社グループの主力事業である鋼橋は一般的に施工条件が厳しく、難易度の高い工事が多いことなどから、着手後の施工方法の見直し、施工用設備の追加、条件変更に係る求償交渉の成否の状況などにより、損失見込額を当期末の最善の見積りにより洗替えしております。当社グループの営業利益はこのような工事毎の工事損失引当金の増減の影響を受けております。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響については、現時点では軽微であると考え、当期の会計上の見積りには織り込んでいません。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発は、橋梁事業に関連する鋼構造の基盤技術の取得および革新を中心とし、さらに、保有する要素技術をエンジニアリング関連事業や先端技術事業に応用し、商品開発や新技術開発を実施しています。また、グループ各社が保有する環境や情報処理等の分野における固有技術に関連して、事業化や商品化につながる研究開発を実施しています。
研究開発の体制は、当社の総合技術研究所が基盤技術の調査研究や事業化前の研究開発を行い、各事業会社が自社商品の改良開発や事業化検討を行うことを基本としています。さらに、当社グループとしての研究開発全体を統括し、方向性、予算、実施状況を管理する機関として、技術総括室を設置しています。なお、当社グループの研究開発スタッフは40名であり、全従業員の2.2%に相当します。また、当連結会計年度のセグメント別研究開発費は、橋梁事業
当連結会計年度における主要な研究開発活動は次のとおりです。
(1)橋梁事業に関する研究開発
① 橋梁保全事業について、高速道路を中心に大規模更新・修繕事業が最盛期となっており、現場の安全性向上や工期短縮に有効な技術の需要が高まっています。これに応える新技術として、既設床版の切断、撤去の新工法と新たなプレキャスト壁高欄を開発しました。また、既設鋼部材の防錆、防食も重要なテーマであり、塗装の剥離工法の適用拡大や各種防食工法の更新技術の研究開発を進めています。
② 足場解体をより安全に行うための足場解体用移動足場を開発し、実橋において有効性の確認を行いました。連続桁でも適用できるよう中間橋脚も通過できる構造とし、床面にはアルミ合金製常設足場「cusa(キュウサ)」を使用することで軽量化と安全性を向上させています。高所作業車を利用できない超高所での足場解体作業への適用が期待できます。また、墜落災害におけるヒューマンエラー防止に有効な、安全帯フック不使用時警報機能装置を開発し、性能試験で有効性を確認しました。労働災害防止対策には、常に最新の要素技術を取り入れて作業の安全性の向上を進めてまいります。
③ 新設橋梁の維持管理性の向上が求められています。少数主桁橋の点検が容易となる新たな橋梁構造を考案しました。また、溶接部の疲労強度向上工法の開発や高力ボルト接手部の防食性能向上工法の合理化などの研究開発を進めています。
(2)エンジニアリング関連事業に関する研究開発
① システム建築(商品名:yess建築)については、多雪地域対応や物流倉庫に加え食品工場・事務所・店舗等の用途への拡大強化を図っています。そのため屋根構造や構造部材の改良・開発、外装部材の改善、外装関連商品の開発などに引き続き取組んでいます。そしてこれらの製品・仕様の拡充に合わせた設計の標準化・生産情報の標準化も同時に進めています。また、現場の施工性や安全性を向上できるように、部材の改良や施工手順の見直しなどの改善にも取り組んでいます。
② 沈殿処理と浮上処理を同時に行う新型水処理装置を開発しました。試作機による性能試験では、従来装置と比較して処理能力が3倍となり、かつ濁りの少ない高品質な処理水が得られることを確認しています。
(3)先端技術事業に関する研究開発
① 道路橋に関する国の基準である道路橋示方書の改定に対応した鋼橋設計システムの実工事での利用が本格化する中、関連規定の改定やユーザ要望に応えるための機能改善を続けております。
② 国土交通省が推進するi-Constructionによる生産性向上の取り組みに対応し、鋼橋設計システムおよび鋼橋製作情報システムから出力した3Dモデルデータをベースに、レーザスキャナで計測した3次元点群データやVR/AR技術などを活用することにより、更なる生産性向上に向けたシステムの開発に取り組んでいます。