第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1)経営方針

横河ブリッジホールディングスグループは、「社会公共への奉仕と健全経営」の理念のもと、誠実なモノづくりを行い、良質で安全な社会インフラの整備等を通じて社会に貢献してまいります。また、当社グループが有する豊富な人材と高い技術力を活かし、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現させることで、ステークホルダーからの信頼を獲得してまいります。さらに、企業活動を進めるにあたっては良き企業市民としての自覚を持ち、法令や社会規範等を遵守するとともに、働く人々が信頼感で結ばれ、安全で安心して生活できる企業づくりに努めてまいります。

(2)経営環境

橋梁事業につきましては、新設橋梁の発注量が持ち直しており、高速道路の大規模更新・大規模修繕に加えて暫定区間の4車線化事業、さらに国土強靭化対策や大阪湾岸道路西伸部などが今後の需要として見込まれます。土木関連事業につきましては、リニア中央新幹線などの大型プロジェクトが見込まれます。民間需要は、新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されますが、システム建築事業につきましては、経済の正常化やサプライチェーンの国内回帰、在来工法からのシフトにより需要が見込まれると想定しております。

(3)会社の優先的に対処すべき課題、中長期的な会社の経営戦略および目標とする経営指標

当社グループは、2022年度を初年度とする第6次中期経営計画(2022年度から2024年度まで、以下「新中計」)を策定いたしました。安定的な事業量が見込める橋梁事業と成長の柱であるシステム建築事業の2つを基幹事業として一層の強化を図り、更に中長期的な視点で新たな事業の創出に向けた準備を行い、激変する社会情勢にも柔軟に対応できる経営基盤づくりを進めてまいります。新中計の最終年度の数値目標は売上高1,870億円、営業利益183億円、1株当たり当期純利益290円であり、基本方針とその概要は以下の通りです。

 

     <基本方針>

 

      ①基幹事業の一層の強化を図る

 

      ②多様な事業を創りながら進化する

 

      ③100年先を見据えた強固な経営基盤を確立する

 

①基幹事業の一層の強化を図る

a.橋梁事業

        数年後に本格的に発注される見通しの新設橋梁の大型プロジェクトに注力するとともに、老朽化する

       インフラを蘇らせるべく橋梁保全事業の一層の強化を図っていきます。また、DXの推進等により、働き

       方改革と生産性の向上等に取り組んでいきます。

b.エンジニアリング関連事業(システム建築事業)

  2021年度の受注が100万㎡を超えたシステム建築事業を着実に成長軌道に戻し、ICT技術の活用による

 DX推進を通じて、年間130万㎡以上の受注・生産の達成を目指してまいります。

 

②多様な事業を創りながら進化する

      堅調なトンネルセグメントの受注・生産を継続しつつ、防潮堤、港湾リニューアル、洋上風力発電など新規分野への展開に向けた準備を進めてまいります。

 

③100年先を見据えた強固な経営基盤を確立する

      新材料・新工法など環境負荷軽減に資する技術開発の推進や再生可能エネルギーの利用促進、ならびにIT関連投資を倍増させDXの取り組みを加速してまいります。また、ダイバーシティの実現に向けて優秀な海外人材の育成・活用などを進めてまいります。

社会インフラ整備をはじめとする当社グループの事業、さらにはESG関連のあらゆる取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に向けた社会的課題の解決に向けて注力してまいります。

 

喫緊の課題といたしましては、システム建築事業につきまして、原材料価格が上昇する中、価格改定やコスト縮減を図りながら、利益の確保に努めてまいります。

 なお、当社グループの経営上の最大のリスクは重大事故の発生であり、現場工事の安全確保につきましては引き続き最重要課題として取り組んでまいります。安全性・施工性の向上に寄与する架設機材の開発、保有機材の改良、ICT技術の活用に関する研究開発を推進します。

 

 

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

①事故などの安全上のリスクについて

橋梁に代表される鋼構造物工事の工程は、大きく工場製作、輸送および現場施工に分かれます。各工程とも、製品である製作物が非常に重く大きいため、一旦事故が起きてしまうと重大な影響を受けるリスクを抱えています。万が一事故を起こした場合、事故による直接的な損害に止まらず、当社グループの社会的信用を失墜させるとともに各発注機関からの指名停止措置などの行政処分を受け、受注に重大な影響を与える可能性があります。重大事故の発生を撲滅するために、過去の事故や災害の事例の周知はもとより、作業手順の改善、安全設備の創意工夫、安全装置の二重化、作業監視のシステム化等について継続的に取り組み、安全対策の実効性を高めてまいります。

②公共事業への依存について

当社グループの主力事業である橋梁事業は、その大半が国および地方自治体からの発注で占められているため、社会インフラに関連する政策の大きな変更や財政の急速な悪化などにより、特に今後の新設橋梁の発注量が想定を大きく下回る場合、受注高及び売上高の減少等、業績に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクを低減するため、保全事業の対応力強化により新設と合わせた橋梁事業の維持拡大と最適化を図るとともに、トンネルセグメントに代表される土木関連事業等、鋼構造物に関係する事業について多角化を進めてまいります。

また、同時に民需関連事業の拡大を図り、特にシステム建築事業の成長に注力してまいります。

③建築市場の動向によるリスクについて

当社グループの成長の柱であるシステム建築事業は、その大半が民間からの発注で占められているため、国内外の景気後退等により民間設備投資が縮小した場合には、受注高及び売上高の減少等、業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、販路拡大やコスト縮減などに継続的に取り組んでまいります。

④法的規制によるリスクについて

国内外問わず、建設業法、独占禁止法等の法令に則り事業を行っていますが、それらに違反することとなった場合、刑事罰、行政処分等を受け、受注高及び売上高の減少等、業績に影響を及ぼすリスクが発生する可能性があります。そのようなことがないよう、当社グループはコンプライアンスをグループ経営の根底に据え、適正な事業活動を行うこととしています。

⑤瑕疵に対する対応について

当社グループが施工した鋼構造物に関する瑕疵については、契約に基づく担保責任を負っています。万が一何らかの理由で瑕疵が発見された場合、客先からの瑕疵担保請求のあるなしにかかわらず、危険回避のため応急回復処置に努めるとともに、原因究明・再発防止に注力します。このため瑕疵の状況によっては、多額の手直し費用が発生するリスクを抱えています。そのようなことがないよう、当社グループは公共財産の建設を託された者として、良質な製品を経済的に提供する責任を強く認識するとともに、品質管理などにも細心の注意を払って業務に当たっています。

 

⑥カントリーリスクについて

当社グループは、ODA(政府開発援助)案件の橋梁事業など、アジアを中心に海外事業を展開しています。また、橋梁事業やシステム建築事業の設計業務の一部は中国やフィリピンの子会社が行っています。当該国の政治、経済情勢等に著しい変化が生じた場合は、業務の継続が困難になり業績に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクに備えて、従業員の安全を確保する手段や非常時の危機管理体制の確立に努めるとともに、国内も含めた業務の補完体制を構築し、必要に応じて日本政府や現地日本大使館等、関係者との連携を図ってまいります。

⑦大規模災害のリスクについて

地震、津波、風水害等の大規模な自然災害が発生した場合は、工場や工事現場に被害が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。こうした事態に備えてその影響を最小限に抑えるべく、事業継続計画の整備や非常時を想定した訓練等を実施しています。

⑧貸倒れに関するリスクについて

当社グループの主力事業である橋梁事業については、貸倒れリスクのない官公需が大半を占めていますが、エンジニアリング関連事業および先端技術事業については、取引先の大半を民間企業が占めています。そのため、取引先の信用不安により予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し、貸倒損失の発生や追加的な引当の計上が必要となるなど、業績に悪影響を与える可能性があります。当社グループでは、民間企業との取引に際しては、事前に十分な信用調査を行うとともに、売掛債権等に対して一定の貸倒引当金を設定しています。

⑨新型コロナウイルス感染症のリスクについて

新型コロナウイルス感染症の拡大により、工事の中断や事業所の閉鎖などで工程への影響やコストの増加が発生する可能性がありますが、感染防止に細心の注意を払い、状況に応じて発注者との協議を行うなど、適切に対応してまいります。また、テレワークや時差出勤の環境を整備し実施するなど、感染予防と感染拡大防止策を推進してまいります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。これによる当連結会計年度における売上高への影響は僅少です。

①財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績の状況

当期における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により一進一退の動きが続く中、製造業を中心とした企業収益や個人消費に回復の動きが見られるなど持ち直していましたが、ロシア・ウクライナ情勢に起因する経済制裁や資源価格の高騰等により、先行き懸念が残る展開となりました。

建設市場につきましては、土木分野は高い水準の公共投資に支えられ堅調に推移するとともに、建築分野は企業収益の改善を背景とした設備投資の持ち直しにより回復する動きとなりました。

このような状況の下、当期の受注高は前期に次ぐ過去2番目の1,581億2千万円(前期比315億2千万円減)となりました。業績につきましては、売上高は1,369億3千万円(同8億4千万円増)となりました。営業利益は147億5千万円(同12億1千万円減)、経常利益は149億9千万円(同10億9千万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は110億4千万円(同2億4千万円減)となり、各利益の数値は前期に次ぐ過去2番目の実績となりました。

セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。

(橋梁事業)

国内橋梁事業は、新設橋梁の発注量は堅調に推移し、大型の保全工事も多く発注されました。このような状況の下、当社グループは国内新設橋梁、保全工事ともに高速道路の4車線化や大規模更新・修繕工事などの大型案件を受注できましたことから、橋梁事業全体の受注高は875億2千万円(前期比400億円減)となり、前期を下回ったものの、年度計画(790億円)は達成いたしました。主な受注工事といたしましては、新設工事は、中部地方整備局・302号庄内川橋、1号島田金谷新大井川橋、山県インターチェンジ西本線橋、北勢第一高架橋3、東日本高速道路・境高架橋、小池高架橋、中日本高速道路・岐阜インターチェンジ中央本線西橋他9橋、岐阜インターチェンジ中央本線東橋他7橋など、保全工事は、首都高速道路・上部工補強3-213、西日本高速道路・関西国際空港連絡橋耐震補強、玉振谷橋他2橋耐震補強などであります。

業績につきましては、売上高は764億2千万円(同60億1千万円減)、営業利益は110億円(同4億2千万円減)となり、複数の長期大型工事の竣工時精算の獲得が重なりました前期実績には届かなかったものの堅調に推移いたしました。主な売上工事といたしましては、新設工事は、北陸地方整備局・猪谷橋、東日本高速道路・下万田高架橋、横町高架橋、首都高速道路・高速大師橋更新、中日本高速道路・根尾川橋他2橋、阪神高速道路・海老江ジャンクション、西日本高速道路・沖新高架橋他1橋、川崎市・羽田連絡道路橋など、保全工事は、東日本高速道路・越河橋床版取替、首都高速道路・上部工補強2-204、西日本高速道路・中国池田インターチェンジ~宝塚インターチェンジ間橋梁更新、大豊インターチェンジ~南国インターチェンジ間耐震補強Ⅰなどが売上に立ちました。

(エンジニアリング関連事業)

エンジニアリング関連事業の受注につきましては、システム建築事業の受注は堅調な倉庫案件に加えて工場案件が下半期以降に回復し、特に第4四半期は記録的な受注量となり、受注面積が通期で初めて100万㎡を超えました。また、土木関連事業において大型案件を受注することができましたため、通期の事業全体の受注高は650億4千万円(前期比78億4千万円増)と過去最高を更新いたしました。

業績につきましては、土木関連事業の生産が停滞する中、システム建築事業につきましても上半期の低調な受注の影響により生産が伸び悩みましたため、通期の事業全体の売上高は544億3千万円(同61億円増)、営業利益は37億1千万円(同8億1千万円減)に止まりました。

(先端技術事業)

先端技術事業につきましては、精密機器製造事業の受注が好調でありましたため、受注高は55億5千万円(前期比6億4千万円増)と過去最高を更新いたしました。業績につきましても、受注の増加により売上高は54億2千万円(同7億4千万円増)、営業利益は11億円(同1億9千万円増)と、何れも過去最高を更新いたしました。

(不動産事業)

不動産事業につきましては、売上高は前期とほぼ同額の6億4千万円、営業利益は2億7千万円(前期比1億円減)となり、当期も安定的な収入と利益を確保いたしました。

b.財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ28億5千万円増加し、1,725億4千万円となりました。流動資産は、「現金預金」が増加したこと等により47億3千万円増加し、1,093億6千万円となりました。固定資産は、投資有価証券の売却等により「投資その他の資産」が減少したため18億7千万円減少し、631億8千万円となりました。

負債は、前連結会計年度末に比べ39億9千万円減少し、617億5千万円となりました。その主な要因は、「支払手形・工事未払金等」が増加し、「短期借入金」や「未払法人税等」が減少したことによるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べ68億4千万円増加し、1,107億9千万円となりました。その主な要因は、「親会社株主に帰属する当期純利益」の計上や配当金の支払いによるものです。この結果、自己資本比率は62.5%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて38億6千万円増加し、234億5千万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は170億7千万円(前連結会計年度は1億9千万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益が増加したことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は34億7千万円(前連結会計年度は59億8千万円の使用)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は97億7千万円(前連結会計年度は26億1千万円の獲得)となりました。これは、主に借入れの返済および配当金の支払いによるものです。

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

回次

第154期

第155期

第156期

第157期

第158期

決算年月

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

自己資本比率

54.4%

56.3%

58.6%

59.6%

62.5%

時価ベースの

自己資本比率

64.2%

52.6%

53.4%

49.8%

46.5%

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

0.5年

2.8年

1.3年

85.0年

0.6年

インタレスト・

カバレッジ・レシオ

263.9倍

56.9倍

138.1倍

1.9倍

236.7倍

※ 自己資本比率:自己資本/総資産

 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

a.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

b.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。

c.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

セグメントの名称

数 量

(トン)

前年同期比

(%)

金 額

(百万円)

前年同期比

(%)

橋梁事業

43,786

96.8

76,425

92.7

エンジニアリング関連事業

69,326

101.8

54,431

112.6

先端技術事業

5,427

116.0

合計

113,112

99.8

136,284

100.6

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しています。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

セグメントの名称

受注高

受注残高

数量

(トン)

前年同期比

(%)

金額

(百万円)

前年同期比(%)

金額

(百万円)

前年同期比

(%)

橋梁事業

44,265

83.5

87,523

68.6

157,730

107.6

エンジニアリング関連事業

82,571

125.3

65,042

113.7

63,285

120.1

先端技術事業

5,557

113.0

1,869

107.5

合計

126,836

106.7

158,123

83.4

222,885

110.9

(注)セグメント間取引については、相殺消去しています。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

セグメントの名称

金 額

(百万円)

前年同期比

(%)

橋梁事業

76,425

92.7

エンジニアリング関連事業

54,431

112.6

先端技術事業

5,427

116.0

不動産事業

647

100.0

合計

136,931

100.6

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

西日本高速道路株式会社

10,137

7.4

15,266

11.1

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりです。

(財政状態)

流動資産は主に「現金預金」の増加により47億3千万円増加しましたが、固定資産は投資有価証券の売却等により18億7千万円減少しました。その結果、総資産は1,725億4千万円(前期末比28億5千万円増)となりました。負債合計は短期借入金他の有利子負債の減少等により617億5千万円(同39億9千万円減)となりました。純資産は利益の獲得により過去最高の1,107億9千万円(同68億4千万円増)となりました。自己資本比率は62.5%(前期末は59.6%)となり、十分な水準にあると考えております。

 

(経営成績)

受注高は1,581億2千万円(前期比315億2千万円減)、売上高は1,369億3千万円(同8億4千万円増)、営業利益は147億5千万円(同12億1千万円減)、経常利益は149億9千万円(同10億9千万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は110億4千万円(同2億4千万円減)となりました。

受注高については過去最高となった前期に次ぐ結果となりました。これは橋梁事業の受注が好調だったことに加え、低迷が続いていたシステム建築事業の受注が下半期に急回復し、年度目標が達成できたためです。一方売上高についてはシステム建築事業の上半期の受注停滞等により伸び悩み、若干の増収にとどまりました。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はそれぞれ過去最高となった前期からは減益となりましたが、過去2番目の成績となりました。当期は第5次中期経営計画の最終年度であり、その業績目標のうち売上高1,600億円については未達となりましたが、営業利益140億円については2年連続で達成することができました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える最大の要因は重大事故の発生ですが、当期において重大事故の発生はありませんでした。引き続き工事の安全が何よりも優先するということを常に強く認識し、すべての現場において安全施工を徹底していきます。

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。

<橋梁事業>

受注高については、前期は西日本高速道路・中国池田インターチェンジ~宝塚インターチェンジ間橋梁更新工事をはじめとする大型保全工事の契約により過去最高を大きく更新したため、当期はその反動で875億2千万円(前期比400億円減)と減少したものの、年度計画(750億円)は大きく上回り、歴代3位の好成績とすることができました。これは高速道路会社のみならず、国土交通省から地方自治体まで幅広く大型工事を受注できたためです。業績については、売上高は764億2千万円(同60億1千万円減)、営業利益は110億円(同4億2千万円減)となりました。当期の工事工程の組み合わせから減収減益は当初から想定していたところですが、竣工時精算の獲得などによる工事採算の改善から営業利益は想定以上となり、エンジニアリング関連事業の不振を補うことができました。

<エンジニアリング関連事業>

エンジニアリング関連事業の受注高は650億4千万円(前期比78億4千万円増)、売上高は544億3千万円(同61億円増)となり、そのうちシステム建築事業の受注高は482億7千万円(前期比110億2千万円増)、売上高は387億3千万円(同52億7千万円増)となりました。いずれの数字も前期を上回っておりますが、システム建築事業の受注高以外は当初計画には届きませんでした。設備投資等で増加した固定費に売上高が見合わず、営業利益は37億1千万円(同8億1千万円減)となり目標を大きく下回りました。

この要因はシステム建築事業の受注回復の遅れとシールドトンネル工事の工程遅延に伴うトンネルセグメント生産量の減少です。システム建築事業の受注は下半期、特に第4四半期で急増しましたため、生産量を伸ばすには至りませんでした。

<先端技術事業>

先端技術事業については、精密機器製造事業の受注が好調でありましたため、受注高は55億5千万円(前期比6億4千万円増)と過去最高を更新しました。業績についても受注の増加により売上高は54億2千万円(同7億4千万円増)、営業利益は11億円(同1億9千万円増)と、何れも過去最高を更新しました。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの主な資金需要は材料費、外注費、労務費、工場並びに現場の直接経費・間接経費などの運転資金と工場生産設備を中心とする設備投資資金です。資金調達はフリー・キャッシュフロー及び間接調達で確保しております。また、長期大型工事の竣工間際など一時的に立替額が大きくなる場合に備え、コミットメントライン契約と当座貸越契約により財務の安定性及び流動性を補完しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、橋梁事業に関連する鋼構造の基礎技術の取得および革新を中心とし、さらに、保有する要素技術をエンジニアリング関連事業や先端技術事業に応用し、商品開発や新技術開発を実施しています。また、グループ各社が保有する環境や情報処理等の分野における固有技術に関連して、事業化や商品化につながる研究開発を実施しています。

研究開発の体制は、当社の総合技術研究所が基盤技術の調査研究や事業化前の研究開発を行い、各事業会社が自社商品の改良開発や事業化検討を行うことを基本としています。さらに、当社グループとしての研究開発全体を統括し、方向性、予算、実施状況を管理する機関として、技術総括室を設置しています。なお、当社グループの研究開発スタッフは46名であり、全従業員の2.4%に相当します。また、当連結会計年度のセグメント別研究開発費は、橋梁事業323百万円、エンジニアリング関連事業119百万円、先端技術事業38百万円となり、総額は481百万円です。

当連結会計年度における主要な研究開発活動は次のとおりです。

(1)橋梁事業に関する研究開発

① 河川内の橋梁の更新工事では、下部工の撤去や構築のために20m程度の支間長の仮桟橋を、渇水期に流水域の低い位置に設け、出水期になると撤去するという施工サイクルを繰り返してきました。このため、工期が長いうえに工費もかかっていました。これらを改善すべく、「KPYダブルユースガーダー工法」を開発しました。本工法は既設橋梁を撤去・更新するときに用いる架設用の鋼桁(ガーダー)を河川の流れを阻害しないように考慮した位置に桟橋として利用します。よって、出水期にも撤去せず残置することができ、工期短縮と工費縮減を実現でき、さらに河川内作業が軽減できることから環境保全にも効果があります。

② 高速道路を中心に大規模更新・修繕事業が最盛期となっており、現場の安全性向上や工期短縮に有効な技術の需要が高まっています。これに応える新技術として、床版取替工法「STEEL-C.A.P.工法」(日本製鉄(株)との共同開発)や中小スパン橋梁の架替工法「NYラピッドブリッジ」(日鉄エンジニアリング(株)との共同開発)を開発しました。STEEL-C.A.P.工法、NYラピッドブリッジとも、実工事への適用に向けて準備を進めています。

③ 橋梁保全工事等において箱桁内等で作業する際に使用される作業足場は、マンホールからの搬入が可能となるように大きさや重量に制限があり、また足場からの転落や転倒等を抑制する機能を確保することに労力を要することが課題でした。そこで、簡便に組み立てられて上記の課題を解決して安全性と利便性を向上した新たな作業足場を開発しました。

④ 橋梁の送出し架設工事において、従来の耐震設備はレバーブロックなどを用いていたため、設置・撤去作業にはいずれも多くの手間と時間を要していました。新たに開発した耐震設備は、主桁と定着部間にPC鋼より線を配置し、油圧ジャッキを用いた装置により短時間で定着または開放が行えるもので、施工条件の厳しく急速施工が求められる現場で効果が期待できます。

⑤ 橋梁の点検・維持管理の作業性と安全性の向上や、橋梁長寿命化を目的に高速道路等の橋梁では防食機能を有する常設足場の設置が広まっており、アルミ合金製常設足場「cusa(キュウサ)」の採用も増えてきました。このキュウサの付加機能として、足場床面の下に取り付ける裏面吸音機能のほか、景観対策仕様にも取り組み、常設足場の機能追加ニーズにお応えしてまいります。

⑥ 鋼橋の防食上の弱点である桁端部などに、防食性の高いステンレス鋼材を部分的に適用する新しい鋼橋を開発しています。異種材料溶接部の性能確認試験と溶接施工性の確認試験、桁端部にステンレス鋼材を用いた試験体での耐荷力試験を行い、実橋への適用が可能であることを確認いたしました。

⑦ 鋼橋の建設現場の生産性向上、床版取替工事における交通規制時間短縮の要望に応える技術として、「プレキャスト合成床版」の開発を進めています。施工性に優れた合理的な継手構造を採用し、各種の性能確認試験を実施したほか、実橋における施工性を確認するための実大施工試験を行いました。

⑧ 場所打ちコンクリート床版の品質向上を目的として、バイブレータで締め固めた位置の履歴を記録することが可能な「コンクリート締固め管理システム」を開発しました。締固め作業者および施工管理者がリアルタイムで締固め位置を確認できるため、コンクリート床版を確実に均等に締め固めることが可能となり、コンクリート床版の品質が向上します。

(2)エンジニアリング関連事業に関する研究開発

① システム建築(商品名:yess建築)については、物流倉庫や工場の他、食品加工施設や冷凍冷蔵施設、スポーツ施設、店舗などへの用途の拡大強化を図っています。特に、多雪地域や建物規模の大型化に対応するため屋根仕様を改良し、適用範囲を拡大しました。また、1000㎡程度のyess建築に適した基礎工法として、軟弱地盤に対応した「一本杭工法」の設計法を考案し、実設計への導入を開始しました。これらに加え、2階建て向け構造部材として座屈拘束ブレースの導入や外装部材の改善および外装関連商品の開発に取り組んでいます。これらの商品開発の取り組みと同時に、設計や生産情報では製品・仕様の標準化を推進し、工場の生産性および現場の安全性や施工性を向上させるため、部材・部品の改良や施工手順の見直しを図るなどの改善にも引き続き取り組んでいます。

② 沈殿処理と浮上処理を連続的に行う新型の濁水処理装置「NSハイブリッドシックナー」を開発し、令和3年度北海道新技術・新製品開発賞のものづくり部門奨励賞を受賞しました。処理能力30m3/hrの機種についてNETIS登録を行います。

③ 都市部を中心に地下鉄や道路トンネルの建設工事が進んでいます。これらの地下空間は大断面や大深度が多く、とくに分合流部や連結部は巨大な空間を非開削で構築する技術が求められます。こういった工事は通常のシールドトンネル技術に加え特殊工法に対応した新技術も必要となり、その覆工にもこれまでにない高い強度と耐力が求められます。これらニーズに応える製品として、鋼とコンクリートを完全一体化した合成構造の「TUF(Tough United Full sandwich Segment)セグメント」(株)安藤・間との共同研究)や「六面鋼殻合成セグメント」を開発しました。これらの製品により、地下空間構築の安全性、施工性が向上します。

(3)先端技術事業に関する研究開発

① 国の基準である道路橋示方書に対応した鋼橋設計システムに関連するユーザ要望への対応を続けている一方で、増大する保全工事における設計システム活用のニーズも高まっているため、適用範囲を拡げるための機能追加・改善にも取り組んでいます。

② DX推進の取り組みに向けた要請が高まっています。当社グループでは、鋼橋設計システムおよび鋼橋製作情報システムから出力した3Dモデルデータやレーザスキャナで計測した3次元点群データとVR/ARやAI技術を活用した生産現場での効率化や品質向上、さまざまなICTを活用した管理業務の改善など、鋼橋にかかわる業務全般を対象として、システム開発に取り組んでいます。一例として、新たに開発中のBIM/CIMモデルを活用するためのプラットフォームでは、コンピュータ上で橋梁の3次元モデルや現場ヤードの計測データ等を統合し、各種シミュレーションの実施が可能となります。また、施工現場では、出来形計測のデジタル化や自動化、遠隔管理などに取り組んでいます。