第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループが属する橋梁・鉄骨業界の事業環境は、橋梁は新設橋梁の発注量が漸減傾向で推移することが見込まれており、各社が技術提案力・積算精度の向上にしのぎを削るなかで熾烈な受注競争が続くことが予測されます。これに対し、高速道路の大規模更新を始めとして数多くの更新時期を迎えた橋梁に対する老朽化対策は、将来予測される自然災害に備えての社会インフラ整備における喫緊の課題と位置付けられています。
 一方、鉄骨は各種経済対策による景気の回復を背景に、企業の設備投資意欲も活発化しており、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピック関連施設を含め首都圏を中心に多数の大型物件の計画が進められております。

しかしながら、過去の長期にわたる景気低迷により建設業界における労働人口は大きく減少しており、技術者・技能者の不足が深刻化するなか、労務費や資機材価格等の高騰が収益圧迫要因となるとともに、東京オリンピック・パラリンピック後の需要減を見据えた対応も求められております。
 このような難しい舵取りが求められる事業環境のもと、当社グループは昨年「中期経営計画2017」3ヵ年計画を策定し、将来に向けた成長サイクルを確実に構築するための1年目として踏み出しました。
 「中期経営計画2017」では、「技術と品質で社会の安全・安心と企業の更なる成長を目指す」を基本方針として、橋梁では「補修・保全への取組み強化」を重点項目とし、また、橋梁・鉄骨両事業において「生産性向上に向けた生産体制の強化」「戦略的な技術開発・実用化の推進」を掲げ、ICT(情報通信技術)を活用した安全・品質・環境に配慮した生産システムの構築を進めております。さらに「人材育成と働き方改革への取組み強化」を進めるために、次世代を見据えた施策を講じるとともに「環境・海外インフラの受注と収益の確保」にも積極的に取組んでおります。
 今年度は「中期経営計画2017」の2年目として、変革期における成長戦略と働き方改革に重点を置いた計画の軸足を強固なものとするべく、課題を着実に実行し、成長・効果を発揮できるように取組んでまいります。
 当社グループは、これまで多くの製品を納めてきた実績、培ってきた技術力を最大限に活かし、『高い技術力で夢のある社会づくりに貢献する』を経営理念として、関東と関西に保有する主力工場を始めとする経営資源を最大限に活用し、技術力を結集した事業運営を行っております。今後も橋梁事業・鉄骨事業・環境事業を通じて社会基盤整備の一翼を担う企業として、自覚と責任を持った経営を行ってまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 公共事業への依存

当社グループの主力事業の一つである橋梁事業は、その殆どが公共事業であります。国、地方公共団体ともに厳しい財政事情にあり公共事業は抑制傾向が続いております。その結果受注量の減少により業績に大きな影響を及ぼす恐れがあります。

 

(2)鋼材価格の変動

鋼材等材料価格が高騰した際、価格上昇分が速やかに製品価格に反映されない場合は、業績に影響を及ぼす恐れがあります。

 

(3)安全上のリスク

当社グループが取り扱う鉄構製品の橋梁・鉄骨は大きな重量物で、工場製作や現場設置において危険な作業をともないます。当社グループでは安全対策を何よりも優先しておりますが、万が一事故を起こした場合は、直接的な損害だけではなく、社会的信用の失墜、指名停止措置などの行政処分により受注量の減少等、業績に大きな影響を及ぼす恐れがあります。

 

 

(4) 品質の保証

当社グループでは品質管理に万全を期しておりますが、万が一瑕疵が見つかった場合は調査、復旧を迅速に進めると共に、再発防止にも注力いたします。また、直接的な費用だけではなく、利用者の安全確保のための交通規制等状況によっては多額の費用が発生し、業績に大きな影響を及ぼす恐れがあります。

 

(5) 金利の変動

金利水準の急激な上昇が生じた場合には、支払利息の増加等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 労務費の変動

人材不足等による労務費が高騰した際、労務費上昇分が速やかに受注価格に反映されない場合は、業績に影響を及ぼす恐れがあります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、世界景気の拡大により輸出や生産が好調であり、またIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)関連など企業の設備投資が堅調に推移し、各種政策の効果もあり、回復基調が続きました。しかし、世界経済においては、米国の保護主義的な通商政策や円高の進行など、先行きの不透明感が拭えない状況で推移いたしました。

橋梁・鉄骨業界におきましては、橋梁は国土交通省等の公共投資が増加したことなどにより、発注量は前連結会計年度を上回りましたが、依然熾烈な受注競争が続いております。
 一方、鉄骨は2020年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックに向けての施設建設などの首都圏の再開発を中心に発注量は前連結会計年度をやや上回る水準で推移いたしました。

このような環境のなか、鋭意受注活動を展開した結果、当連結会計年度の受注高は総額479億2百万円(前期比34.7%増)を確保いたしました。また、売上高は363億1千万円(同0.4%減)となりました。
 損益につきましては、大型橋梁工事の追加変更獲得や設備投資効果で生産性が向上したことなどにより、営業利益15億5千8百万円(同42.3%増)、経常利益16億3千2百万円(同43.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益13億5千万円(同33.4%増)を確保いたしました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

― 橋梁事業 ―

当連結会計年度の受注高は、国土交通省四国地方整備局 平成29-30年度国分川橋上部工事、和歌山県 平成29年度県債道改交金第107号-2岩出野上線(諸井橋上部)道路改良工事他の工事で197億9千4百万円(前期比86.8%増)となりました。
 売上高は、国土交通省中部地方整備局 平成28年度東海環状長深5高架橋外回り鋼上部工事、佐賀県 国道444号道路改良(国道)(2A)工事(鋼橋上部工)他の工事で128億1千5百万円(同0.1%減)となり、これにより受注残高は189億5千7百万円(同58.3%増)となっております。

 

― 鉄骨事業 ―

当連結会計年度の受注高は、(仮称)麹町五丁目計画、大手町常盤橋地区第一種市街地再開発事業A棟新築工事他の工事で266億3百万円(前期比6.9%増)となりました。
 売上高は、 (仮称)芝公園一丁目ビル新築工事他の工事で226億2百万円(同0.2%減)となり、これにより受注残高は290億5千4百万円(同16.0%増)となっております。

 

 

― 不動産事業 ―

当社グループは、大阪市西淀川区にある大阪事業所の未利用地部分等について賃貸による不動産事業を行っており、当連結会計年度における不動産事業の売上高は4億3千万円(前期比2.2%増)となっております。

 

― そ の 他 ―

当社グループは、その他の事業として風力発電等による環境事業、インフラを中心とした海外事業及び印刷事業等を行っており、当連結会計年度における受注の主なものは、西部バングラ橋梁他で15億4百万円(前期比1,672.6%増)となりました。売上高は、4億6千2百万円(同18.6%減)となり、これにより受注残高は12億4千1百万円(同2,418.4%増)となっております。

 

当連結会計年度末における総資産は584億9千6百万円(前連結会計年度比24億2千7百万円増加)となりました。
 資産の部では、電子記録債権が29億7千5百万円減少したものの、受取手形・完成工事未収入金が30億9千7百万円増加したことなどにより流動資産は361億7千1百万円(同16億8千5百万円増加)となりました。固定資産は223億2千4百万円(同7億4千2百万円増加)となりました。
 負債の部では、未成工事受入金が5億5千万円増加したことなどにより流動負債は186億2千8百万円(同25億2千9百万円増加)となりました。固定負債は108億4百万円(同11億2百万円減少)となり、負債合計は294億3千3百万円(同14億2千6百万円増加)となりました。
 純資産の部では、利益剰余金が10億8千6百万円増加したことなどにより純資産は290億6千3百万円(同10億1百万円増加)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ15億6千9百万円増加し113億9千万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は29億7千1百万円(前連結会計年度29億1千3百万円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純利益16億2千万円などがあったことなどによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は4億8千8百万円(前連結会計年度3億9千1百万円の支出)となりました。これは固定資産の取得による支出5億1千万円があったことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果支出した資金は9億1千3百万円(前連結会計年度7億3千万円の収入)となりました。これは社債発行による収入19億6千万円があったものの、社債償還による支出21億3千万円があったことなどによるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

 a. 生産実績

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

橋 梁 事 業

12,904

1.0

鉄 骨 事 業

22,713

5.5

そ  の  他

444

18.7

合     計

36,062

4.0

 

(注) 上記生産高は請負契約高に生産進捗率を乗じて算出しております。

 

 b. 受注高及び受注残高

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

受注高

橋 梁 事 業

19,794

86.8

鉄 骨 事 業

26,603

6.9

そ  の   他

1,504

1,672.6

合     計

47,902

34.7

 

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(平成30年3月31日現在)

金額(百万円)

前期比(%)

受注残高

橋 梁 事 業

18,957

58.3

鉄 骨 事 業

29,054

16.0

そ  の   他

1,241

2,418.4

合     計

49,253

32.8

 

 

 c. 販売実績

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

橋 梁 事 業

12,815

△0.1

鉄 骨 事 業

22,602

△0.2

不 動 産 事 業

430

2.2

そ  の  他

462

△18.6

合     計

36,310

△0.4

 

(注) 売上高に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。

 

前連結会計年度

相手先

金額(百万円)

割合(%)

㈱大林組

13,791

37.82

国土交通省

3,840

10.53

 

 

当連結会計年度

相手先

金額(百万円)

割合(%)

㈱大林組

9,041

24.90

大成建設㈱

3,915

10.78

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表作成にあたって、重要な取引はすべて会計記録に適切に記録しております。退職給付に係る負債及び退職給付費用を測定するための数理計算上の基礎率や計算方法は、適切なものと考えております。賞与引当金は過去の賞与の支給実績、業績による変動、取締役会の審議状況、労働組合との交渉経過等を勘案して算出した支給見込額を計上しております。当連結会計年度末の手持工事について決算日後に発生すると見込まれる損失額に対しては、適正な工事損失引当金を計上しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、当連結会計年度の受注高は総額479億2百万円(前連結会計年度比34.7%増)となりました。また、売上高は363億1千万円(同0.4%減)となりました。
 損益につきましては、大型橋梁工事の追加変更獲得や設備投資効果で生産性が向上したことなどにより、営業利益15億5千8百万円(同42.3%増)、経常利益16億3千2百万円(同43.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益13億5千万円(同33.4%増)を確保いたしました。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、橋梁事業では新設橋梁の発注量の減少があります。一方、高速道路の大規模更新を始めとして数多くの更新時期を迎えた橋梁に対する老朽化対策は、将来予測される自然災害に備えての社会インフラ整備における喫緊の課題であり、当社グループは昨年策定した「中期経営計画2017」の重点項目として「補修・保全への取組み強化」を掲げ、専門部署を新設し対応を図っているところです。鉄骨事業では首都圏を中心とした再開発事業の需要増により発注量は安定していますが、資機材及び人件費の高騰が収益を圧迫する懸念があります。また、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピック後の需要減に対する施策も求められており、当社グループは「中期経営計画2017」の重点項目である「生産性向上に向けた生産体制の強化」「戦略的な技術開発・実用化の推進」を進めております。また技術者・技能者の人材不足については「人材育成と働き方改革への取組み強化」を図っております。さらに橋梁・鉄骨両事業において当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として労働災害があります。当社グループは安全第一を掲げ工場、現場を通じ安全意識の向上に努めております。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの資金状況は、営業活動におけるキャッシュ・フローは29億7千1百万円の収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益などによる収入があったことによるものであります。
 投資活動によるキャッシュ・フローは4億8千8百万円の支出となりました。これは、投資有価証券の売却による収入などがあったものの、固定資産の取得などによる支出があったことによるものであります。

 

 

財務活動によるキャッシュ・フローは9億1千3百万円の支出となりました。これは、社債の発行による収入などがあったものの、社債の償還などによる支出があったことによるものであります。
 以上の結果、当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は113億9千万円(前連結会計年度末比15億6千9百万円増加)となりました。なお、当社は取引銀行5行と総額50億円のコミットメント契約を締結しております。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
 橋梁事業の経営成績は(1)経営成績等の状況の概況に記載したとおり受注高197億9千4百万円、売上高128億1千5百万円、受注残高189億5千7百万円となっており、セグメント利益は7億9千4百万円、セグメント資産は151億5千8百万円であります。今後も安定した受注と収益率の向上を図ってまいります。
 鉄骨事業の経営成績は(1)経営成績等の状況の概況に記載したとおり受注高266億3百万円、売上高226億2百万円、受注残高290億5千4百万円となっており、セグメント利益は19億9千3百万円、セグメント資産は175億8千1百万円であります。今後も安定した受注と設備投資等による生産性の向上による収益率の向上を図ってまいります。
 不動産事業の経営成績は(1)経営成績等の状況の概況に記載したとおり売上高4億3千万円となっており、セグメント利益は3億2千9百万円、セグメント資産は14億1千2百万円であります。今後も安定した収益が見込めますが、一部該当資産の老朽化対策が必要となります。
 

4 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、橋梁・鉄骨の製作及び架設段階での最先端の技術並びに風力発電に関する研究開発活動を行っております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は6千5百万円であります。

当連結会計年度の研究開発の部門別内容については以下のとおりであります。

 

―橋梁事業―

当連結会計年度に実施した研究開発項目とその概略の内容を以下に示します。

1.仮桟橋から災害時の人命救助や緊急車両の通行を目的にした緊急橋への転用可能な橋梁の開発

2.高速道路跨道橋の落橋を防止するための耐震補強技術の開発

3.補修・補強工事に必要な要素技術の開発

4.合成床版、鋼板接着床版の底面鋼板部におけるコンクリート充填及び劣化状況の接触・非接触調査方法の開発

5.都市内高架道路のRC床版更新技術の開発

 

1.につきましては、前連結会計年度からの継続研究であります。多発する地震や水害等によって橋梁が落橋・消失し、集落が孤立した場合に短時間で仮橋を設置し、人命救助や道路啓開のための緊急車両を走行させることを目的としております。なお、通常は仮桟橋等で使用し、有事の際には転用することを想定しております。南海・東南海地震や、温暖化による集中豪雨・大型台風などに備えた防災技術となります。

 

2.につきましても、前連結会計年度からの継続研究であります。高速道路上にはオーバーブリッジ(跨道橋)が多数あり、平成28年の熊本地震では、このオーバーブリッジの落橋による高速道路の通行止めという事態が生じたことから、全国の高速道路でその対策が急がれております。本研究はこの耐震補強工法の開発を目的として株式会社高速道路総合技術研究所(NEXCO総研)他2社と共同で実施しております。

 

 

3.につきましても、前連結会計年度からの継続研究であります。本研究は震災復旧工事やその他の補修工事に活用が期待される接着系あと施工アンカー工法であります。従来工法と比較して施工性に優れ、工事完了時にアンカーボルトの撤去も容易にできます。現場における様々な条件下(高温時・低温時)でも性能に問題がないことが確認され、実工事への適用例も増えております。

 

4.につきましても、前連結会計年度からの継続研究であります。鋼コンクリート合成床版や、鋼板接着にて補強されたRC床版では、コンクリートとの剥離や水の浸入等の調査を非破壊で行う方法が求められており、その技術を確立、改良しております。現在は足場を設置せずに非接触で調査する工法の研究開発を、大学や他の研究機関と共同で進めております。

 

5.につきましては、当連結会計年度から開始した新規研究であります。本研究は制約条件が特に厳しい都市内高架橋において、損傷及び劣化したRC床版の急速取替えを目的としております。特に、実工事に向けた具体的な施工方法の開発を柱に他3社と共同で研究しております。

 

当連結会計年度における橋梁事業の研究開発費は2千6百万円であります。

 

―鉄骨事業―

当連結会計年度に実施した研究開発項目と概略の内容を以下に示します。

1.高能率溶接施工法、及び溶接部の品質保証に関する研究
(1)板厚80mm角溶接1パスサブマージアーク溶接に関する研究
(2)偏心した梁がBOX柱に付く場合のコーナー部の溶接継手性能に関する研究
(3)D-Arc溶接法を用いたK形開先完全溶込み溶接継手の裏はつり省略の検討
2.KHコラムジョイントの適用範囲拡大への取り組み

 

1.(1)につきましては前連結会計年度に引き続き、板厚80mmの角溶接1パスサブマージアーク溶接施工の検証試験を実施しております。当連結会計年度では品質の安定化に向け、実物大のBOX柱試験体を用いて追加の検証試験を実施し、適正な溶接条件もほぼ確立できた状態であります。実工事に適用するまでには、さらに溶接外観及び溶込み形状の安定化が必要と考え、翌連結会計年度も引き続き検証試験を実施し、実用化を図るべく取り組んでまいります。
なお、本件は国立大学法人千葉大学森田名誉教授、株式会社日建設計及び株式会社神戸製鋼所との共同研究として取り組んでおります。
 
(2)につきましては、前連結会計年度からの継続研究であります。本研究は、BOX柱幅と梁幅が構造的にやむを得ず接近する場合に、BOX柱のダイヤフラム部エレクトロスラグ溶接とBOX柱角溶接部の3線交差部に、梁のフランジが取り付くこととなり、この部分は大入熱溶接を繰り返し行った部位であることから、溶接後の品質とその健全性の確認を行う必要があると考え、検証実験を実施したものであります。前連結会計年度では、一部の試験で予想より低い値となったものがあったため、当連結会計年度では溶接材料を変えた追加の試験を実施し、試験結果を整理いたしました。当初は当連結会計年度の日本建築学会学術講演会への発表を予定しておりましたが、報告書のまとめが完成する翌連結会計年度の日本建築学会学術講演会で発表することとしております。
なお、本件は株式会社日本設計及びJFEスチール株式会社との共同研究として取り組んでおります。
 
(3)につきましては当連結会計年度からの新規研究であります。株式会社ダイヘンが開発したD-Arc溶接法の深い溶込み能力に着目し、K形開先の完全溶込み溶接継手の裏はつり(ガウジング)を省略することで、生産性の向上と作業者への負担軽減を図るべく研究を行っております。当連結会計年度では、株式会社ダイヘンと協議を行い、開先深さや溶接条件を決めて、検証試験体の溶接を行いましたが、完全溶込み溶接となるまでには至っておりません。翌連結会計年度では、更に開先角度の見直し、開先深さの見直しを行い、追加の検証試験を実施する計画としております。なお、本件は株式会社ダイヘンとの共同研究として取り組んでおります。

 

 

2.につきましては、中小ビル鉄骨向け柱梁接合部製品として開発しました「KHコラムジョイント」の柱成をこれまでの550mmから600mmまで拡大し、追加評定を取得いたしました(平成28年11月)。550mmを超える大断面のKHコラムジョイントは富津工場での製作を予定しておりますが、KHコラムジョイントでは角継手の溶込み量を6mmと規定しているため、富津工場にて安定して6mmの溶込みが得られるかの検証試験を実施する必要がありました。当連結会計年度では、検証試験実施に向けた施工計画の立案、試験体の手配を実施いたしました。翌連結会計年度において溶接及び検証を行い、今後受注予定の工事に適用する予定であります。

 

当連結会計年度における鉄骨事業の研究開発費は1百万円であります。

 

―その他―

環境部門における当連結会計年度に実施いたしました項目と概略の内容を以下に示します。

1.極寒冷地仕様風力発電機の実証

2.途上国向け低炭素技術イノベーション創出事業

 

1.につきましては、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託により、三井物産株式会社及び株式会社東光高岳と、風力発電システムを含むエネルギーインフラ実証事業として、極寒環境下にあるロシア連邦サハ共和国の独立系統地域においてエネルギーインフラを構築し、高効率なエネルギー供給システムの実証を行っております。翌連結会計年度に極寒冷地仕様300kW風力発電機を3基現地に設置して実証運転を開始する予定であります。

 

2. につきましては、公益財団法人地球環境センターの補助金により、「フィリピン小規模離島向け、多用途バッテリーによる風車余剰電力活用システム及び台風対策風力発電機開発実証事業」を行っております。わが国の低炭素技術シーズに基づいた「低炭素技術イノベーション創出事業」を、小規模離島が多数存在するフィリピンを対象にして、多用途モバイルバッテリーとアジア離島向けEV二輪車のセット、及び超大型台風に耐えうる300kW風力発電機を開発・導入し、風力発電余剰電力を活用するシステムを実証する予定であります。

 

当連結会計年度におけるその他事業の研究開発費は3千7百万円であります。

 

※以上、第2 事業の状況 の金額には、消費税等は含まれておりません。