第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、急速な円高進行により企業収益の改善の勢いが一服し、緩やかな回復基調が続いておりましたが、昨年11月の米国の大統領選挙後にはドル高・円安基調に転じ、再び回復基調が鮮明となりました。しかし、米国の新政権の政策不安や欧州における英国のEU離脱問題など、海外では国内景気を押し下げる要因となりうる不透明な状況が続いております。

当連結会計年度における連結損益は、完成工事高158億4千万円(前年同期比33億1千万円減・17.3%減)、営業利益5億4千万円(前年同期比13億7千万円減・71.6%減)、経常利益7億6千万円(前年同期比13億6千万円減・64.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、5億8千万円(前年同期比11億3千万円減・66.2%減)となりました。

なお、当連結会計年度より連結子会社の丸定産業株式会社に係る「賃貸収入(営業外収益)」は「完成工事高」に、「賃貸費用(営業外費用)」は「完成工事原価」に表示変更したため、前連結会計年度に係る数値を組替えて表示しております。

 

セグメントの業績の概況は、次のとおりであります。

また、各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。

 

鋼構造物製造事業におきましては、橋梁部門では、公共事業費が微増しているものの、鋼道路橋総発注量が増加することはなく、初めて年間20万トンを下回ることとなりました。加えて指名停止による大幅な受注減の影響により、橋梁部門受注高は49億5千万円(前年同期比122億6千万円減・71.2%減)となりました。鉄骨部門につきましては、採算性を重視した選別受注に努めた結果、IPP火力発電所等の受注に結びつき、鉄骨部門受注高は13億7千万円(前年同期比8百万円減・0.6%減)となり、当連結会計年度における鋼構造物製造事業の総受注高は63億3千万円(前年同期比122億7千万円減・65.9%減)となりました。

主な受注工事は、橋梁部門につきましては、中部地方整備局の八坂インター橋ならびに泉ヶ谷高架橋、九州地方整備局の白川明午橋、静岡県の倉沢IC・Bランプ橋、鉄骨部門につきましては、知多信用金庫の本部ビル本店営業部棟及び㈱大林組の鹿島火力発電所2号機、また保全部門につきましては、岐阜県の金華橋修繕工事、中日本高速道路㈱の深沢橋応急復旧作業工事などであります。損益につきましては、前連結会計年度からの豊富な繰越工事に支えられ、年間を通じて工場稼動は安定的に推移しましたが、指名停止の影響による受注量の大幅な減少により、翌年度以降の製作原価の上昇が見込まれることから、工事損失引当金を計上することとなり、完成工事高137億5千万円(前年同期比31億3千万円減・18.6%減)、営業利益5億6千万円(前年同期比12億9千万円減・69.7%減)となりました。

当連結会計年度に売上計上いたしました主な工事は、橋梁部門につきましては、中部地方整備局の天龍峡大橋並びに赤坂北第一高架橋、東北地方整備局の天王橋、東日本高速道路㈱の稲荷木橋など、また鉄骨部門につきましては、中部電力㈱の西名古屋火力発電所7号他、保全部門につきましては、中日本高速道路㈱の名港西大橋補強工事などであります。

 

不動産賃貸事業につきましては、主力収益物件として8月に賃貸用オフィスビルを取得したことから、売上高5億6千万円(前年同期比8千万円増・17.2%増)、営業利益3億2千万円(前年同期比1千万円増・5.5%増)となりました。

 

材料販売事業につきましては、厚板部門では、主に当社受注高の減少により、鋼板の販売数量と切板加工数量の減少を招く結果となりました。レベラー事業では、4月の熊本地震の影響が長期間に亘って影響し、薄板の加工数量の減少となりました。しかし、鉄筋・建材部門では、秋以降のスクラップ価格の値上がりでマーケットが上昇し、販売数量・販売金額ともに増加となりました。その結果、材料販売事業は、売上高28億1千万円(前年同期比15億5千万円減・35.5%減)、営業損失1千万円(前年同期は7千万円の営業利益)となりました。

 

運送事業につきましては、当社製品の輸送取引の減少傾向が継続したため、売上高4億円(前年同期比2億1千万円減・34.9%減)、営業損失1百万円(前年同期は2千万円の営業利益)となりました。

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果は、7億7千万円の税金等調整前当期純利益の計上に加え、売上債権の減少により12億5千万円の資金収入(前年同期は18億3千万円の資金支出)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果は、有形固定資産(賃貸不動産等)の取得による支出がありましたが、投資有価証券の売却及び償還による収入及び長期預金の払戻による収入等により1億2千万円の資金収入(前年同期比170.5%増)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果は、前連結会計年度に比べ自己株式の取得による支出が大幅に減少したことにより、2億5千万円の資金支出(前年同期比83.0%減)となりました。

(現金及び現金同等物)

 上記の要因により、現金及び現金同等物期末残高は105億8千万円(前年同期比11億2千万円増・11.9%増)となりました。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

  当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

鋼構造物製造事業

11,144

+7.1

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 生産実績金額は当期発生原価によっております。

3 不動産賃貸事業、材料販売事業、運送事業及びその他の事業につきましては、生産活動がないため、生産実績の記載をしておりません。

4 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)商品仕入実績

  当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

材料販売事業

2,433

△35.6

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 鋼構造物製造事業、不動産賃貸事業、運送事業及びその他の事業につきましては、商品仕入活動がないため、商品仕入実績の記載をしておりません。

3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(3)受注実績

  当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

受注残高

金額(百万円)

前年同期比(%)

金額(百万円)

前年同期比(%)

鋼構造物製造事業

橋梁

4,956

△71.2

10,723

△43.0

鉄骨

1,379

△0.6

1,989

+51.8

6,336

△65.9

12,713

△36.9

合計

6,336

△65.9

12,713

△36.9

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 不動産賃貸事業、材料販売事業、運送事業及びその他の事業については、受注活動がないため、受注実績の記載をしておりません。

3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(4)販売実績

  当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売実績

金額(百万円)

前年同期比(%)

鋼構造物製造事業

橋梁

13,056

+2.6

鉄骨

700

△83.2

13,757

△18.6

不動産賃貸事業

567

+17.2

材料販売事業

1,376

△15.8

運送事業

118

△7.9

その他

29

+20.4

合計

15,848

△17.3

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

前連結会計年度

当連結会計年度

相手先

金額

(百万円)

割合(%)

相手先

金額

(百万円)

割合(%)

国土交通省

7,956

41.6

国土交通省

6,381

40.3

中部電力㈱

3,012

15.8

中日本高速道路㈱

2,007

12.7

愛知県

963

5.0

首都高速道路㈱

1,020

6.4

 

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの今後の見通しにつきましては、近年では財政上の問題から巨大プロジェクトを期待することは現実的ではなく、一方、インフラの老朽化から「保全・補修」のマーケットは拡大していくことが予想されています。

特に、東京オリンピック・パラリンピックを背景に鋼構造物の新設と都市インフラが巨大化する東京におけるインフラの増改築はさらに増加していくものと考えており、当社としては「入札だけに頼らない企業体づくり」を進めていくため、新設橋梁という当社の基軸事業に軸足を置きつつ、鉄骨事業の再生と保全事業の更なる強化にわが社の経営資源を投下していくことが肝要と考えております。あわせて、企業ガバナンスの総仕上げを実施し、瀧上グループの経営資源の活用を通じて企業体力の増進に努め、また将来を見据えたグループを含めた不動産事業の更なる展開と、事業として確立しつつある海外事業の強化にも引き続き努めてまいりたいと考えております。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)公共事業の減少

 公共事業の発注数量等の減少が予想を大幅に上回る場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)原材料の価格

 原材料の市場価格等が高騰した際、販売価格等に転嫁することが困難な場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)品質の保証

 製品の引渡し後、瑕疵担保責任等による損害賠償等が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)取引先の信用リスク

 取引先の信用不安による損失が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)資産保有リスク

 保有している資産の時価の変動により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)法的規制

 事業活動における法令はもとより社会規範の遵守と企業倫理の確立を図っておりますが、これらを遵守できなかった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 当社グループは、橋梁および鉄骨を中心とした鋼構造物事業に関する保有技術を基礎として、急速な事業環境の変化に対応すべく新技術の研究開発に取り組んでいます。特に橋梁事業につきましては、保全需要の拡大に対応するため、橋梁の補修補強や更新に関する研究開発に注力しています。

 当連結会計年度における研究開発費は7百万円であり、また主な研究開発活動は次のとおりであります。

 

鋼構造物製造事業

(仮橋の開発およびリース)

 自然災害の激甚化により災害時に必要となる仮橋や、今後、増加が見込まれる橋梁の架け替えに必要な仮橋に適用すべく、仮橋リースを始めました。また、様々な施工条件に対応するため、仮橋構造や施工法の調査検討も進めています。

 

(高耐久舗装用アスファルト添加材の開発・販売)

 鋼床版橋梁の舗装は鋼床版が変形しやすいことや熱されやすいことにより、アスファルト舗装の耐久性が低下する問題があります。当社は材料メーカーと共同で鋼床版用舗装の添加材の開発を進めています。また、一般のアスファルト舗装に対しては、重交通によって生じる轍ぼれを抑制する添加材を開発しています。これらの商品は海外へ展開し、販売しています。

 

(高機能ポリマーセメント系塗料の開発・販売)

 コンクリートのひび割れ対策や鋼材とコンクリートの付着対策を目的として、ポリマーセメント系材料に着目し高機能塗料の開発を進めています。

 

(橋梁壁高欄工法の改良)

 当社グループは東海コンクリート工業株式会社との技術提携によりPCF壁高欄工法を開発し、各種タイプの橋梁床版に適用してきました。現在は更なる応用技術の開発や品質改良を進めています。

 

(橋梁点検技術の開発)

 保全関連事業が増大することから、橋梁点検に着目して関連する点検調査技術の開発を進めています。

 

不動産賃貸事業・材料販売事業・運送事業・その他

 不動産賃貸事業、材料販売事業、運送事業及びその他に関しましては、特段、研究開発活動を行っておりません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態

当連結会計年度の連結貸借対照表における前連結会計年度比較

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

比率(%)

流動資産

23,284

22,423

△861

△3.7

固定資産

18,576

20,165

1,589

8.6

資産合計

41,860

42,589

728

1.7

流動負債

4,569

3,847

△721

△15.8

固定負債

3,419

3,807

388

11.4

負債合計

7,989

7,655

△333

△4.2

純資産合計

33,871

34,933

1,061

3.1

 

 当連結会計年度の連結財政状態は、資産合計は425億8千万円(前年同期比7億2千万円増・1.7%増)、負債合計は76億5千万円(前年同期比3億3千万円減・4.2%減)となりました。

 流動資産は、現金預金の増加(前年同期比5億4千万円増・5.1%増)はありましたが、受取手形・完成工事未収入金等の減少(前年同期比14億5千万円減・12.8%減)したことなどから、流動資産合計は224億2千万円(前年同期比8億6千万円減・3.7%減)となりました。

 固定資産は、不動産賃貸事業の収益物件として名古屋市内に賃貸用オフィスビルを購入したことなどから、有形固定資産が増加(前年同期比16億7千万円増・22.6%増)し、固定資産合計は201億6千万円(前年同期比15億8千万円増・8.6%増)となりました。

 流動負債は、未成工事受入金の減少(前年同期比3億9千万円減・68.6%減)及び未払消費税の減少(前年同期比3億2千万円減・97.6%減)などにより、流動負債合計は38億4千万円(前年同期比7億2千万円減・15.8%減)となりました。

 固定負債は、金融商品会計の時価評価に係る繰延税金負債の増加(前年同期比3億1千万円増・14.4%増)などにより、固定負債合計は38億円(前年同期比3億8千万円増・11.4%増)となりました。

 純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加や、その他有価証券評価差額金の増加(前年同期比7億1千万円増・22.5%増)により、純資産合計は、349億3千万円(前年同期比10億6千万円増・3.1%増)となりました。

 

(2)経営成績

当連結会計年度の連結損益計算書における前連結会計年度比較

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

比率(%)

完成工事高

19,163

15,848

△3,315

△17.3

完成工事総利益

3,422

2,008

△1,414

△41.3

販売費及び一般管理費

1,506

1,465

△41

△2.7

営業利益

1,916

543

△1,372

△71.6

経常利益

2,123

760

△1,362

△64.2

税金等調整前当期純利益

2,124

772

△1,351

△63.6

親会社株主に帰属する当期純利益

1,720

581

△1,138

△66.2

 

 当連結会計年度の連結業績は、当社の贈賄事件による指名停止措置等の影響により、当社の受注高は大幅な減少や特別損失の発生など、連結業績全体に影響を及ぼす結果となりました。

 完成工事高については、不動産賃貸事業での微増(前年同期比8千万円増・17.2%増)はありましたが、鋼構造物製造事業における大幅減(前年同期比31億3千万円減・18.6%減)の結果となり、全体では158億4千万円(前年同期比33億1千万円減・17.3%減)となりました。

 完成工事総利益についても、鋼構造物製造事業での完成工事高の減少が大きな打撃となり、不動産賃貸事業での増加はありましたが、完成工事総利益全体では、20億円(前年同期比14億1千万円減・41.3%減)となりました。

 営業損益は、販売費及び一般管理費が当社の営業活動の制限などで若干の減少(前年同期比4千万円減・2.7%減)となりましたが、営業利益は5億4千万円(前年同期比13億7千万円減・71.6%減)となりました。

 経常損益は、当社の受取配当金や子会社の賃貸収入等の計上もあり、経常利益は7億6千万円(前年同期比13億6千万円減・64.2%減)となりました。

 特別損益は、投資有価証券売却益の計上はありましたが、固定資産除却損や工事違約金の発生があり、税金等調整前当期純利益は7億7千万円(前年同期比13億5千万円減・63.6%減)となりました。

 上記の要因により、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は5億8千万円(前年同期比11億3千万円減・66.2%減)となりました。

 

(3)キャッシュ・フロー

当連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書における前連結会計年度比較

 

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

金額(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

△1,832

1,257

投資活動によるキャッシュ・フロー

47

128

財務活動によるキャッシュ・フロー

△1,520

△258

現金及び現金同等物の期末残高

9,454

10,580

 

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。