第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、「鋼の強靭さと人の優しさを融合させ、高品質で安心・安全な社会基盤づくりに貢献する」ことを経営理念として掲げ、「社会インフラが成熟・多様化していく時代に適時的確に対応し、あらゆる分野において、『受け継ぐ技術、さらなる高みへ』を合言葉に、信頼される総合エンジニアリング企業を目指す」ことをビジョンとしております。新(第5次)中期経営計画では、持続的成長と企業価値の向上を実現するために、『変革とチャレンジ』をキーワードとして、中長期的に基幹事業ポートフォリオの最適化を図り、事業利益のさらなる向上を目指すことを基本方針としております。

 

 

(2)経営戦略等

① 第4次中期経営計画の総括

当社グループは、3か年ごとに「瀧上グループ中期経営計画」を策定しており、第4次中期経営計画(対象期間:2022年3月期~2024年3月期)では、第3次中期経営計画の基本方針であった「再生と創造」を継続し、主力事業の基盤強化と「入札だけに頼らない企業体を作る」という多角化戦略を掲げ取り組んでまいりました。

そのような戦略のもと、鋼構造物製造事業の主力となる新設橋梁においては、発注量に影響されない安定した受注を確保すること、橋梁保全においては高度で総合的な技術力の要求に対応するための新体制を作ることが課題でありました。また鋼構造物製造事業の一端を担う鉄骨・鉄構においては、民間の大型再開発案件への対応力を強化することを掲げていました。そして共通課題としては、働き方改革による人財確保やロボット・デジタル技術の活用促進を掲げました。

上記の方針における当社グループ連結の数値目標は、最終年度において売上高180億円、営業利益5億円(2.8%)、経常利益8億円(4.4%)と設定しました。3年間における結果は次のとおりとなりました。

(単位:億円)

第4次中期

経営計画と

実績(連結)

計画

(最終年度)

2022年3月期

第85期

2023年3月期

第86期

2024年3月期

第87期

差異

(実績-計画)

売上高

180

147

186

233

53

営業利益

5.0

△2.0

3.6

6.3

1.3

営業利益率

2.8%

△1.4%

1.9%

2.7%

△0.1%

経常利益

8.0

2.2

8.3

12.2

4.2

経常利益率

4.4%

1.5%

4.5%

5.2%

0.8%

※金額は、売上高は億円未満を四捨五入、営業利益及び経常利益は千万円未満を四捨五入しております。

 

この3年間の鋼橋受注環境は、発注量の減少と材料費や人件費の高騰もあり、受注と採算の確保が一段と困難な期間となりました。その中において、第4次中期経営計画の2年目にあたる2022年度の受注は、橋梁案件では、大型案件や橋梁保全案件も含め好調であり、鉄骨・鉄構案件においても、首都圏を中心とした再開発案件の受注が好調でありました。

また不動産賃貸事業においても、資本効率の低い物件を売却する一方で介護施設や賃貸マンション等新たな投資を行うなどスクラップアンドビルドを進め、安定的な収益確保に努めてまいりました。

 

② 第5次中期経営計画の基本方針

持続的成長と企業価値の向上を実現するために、第5次中期経営計画の基本方針は、「変革とチャレンジ」をキーワードとして、中長期的に基幹事業ポートフォリオの最適化を図り、事業利益のさらなる向上を目指します。

当社のメイン事業領域としている橋梁需要は、新設橋梁から橋梁保全にシフトしつつある一方で、人財不足の恒常化と材料費の高騰等、受注環境はますます厳しさを増すことが予想されます。こうした市場環境の中で、人財や設備、資金等の資源を有効に活用し、事業利益のさらなる向上を目指すため、事業戦略、財務戦略及び経営基盤強化を下記のとおり実行します。

 

Ⅰ.事業戦略

(ⅰ) 鋼構造物製造事業

a 新設橋梁事業

新設橋梁においては、今後の市場環境変化を見据えた事業戦略の構築に取り組みます。そのためには受注戦略を強化し、中部地区を重点とした受注、大阪湾岸道路西伸部海上部などの大規模な新設プロジェクトの受注に注力してまいります。また設計変更対応力の強化、DX化の推進による生産プロセスの強化、工場原価管理の強化など、利益向上のあらゆる施策を実行してまいります。

b 橋梁保全事業

橋梁保全においては、市場の更なる拡大が期待され、大型特殊橋保全工事に加え中小規模橋梁保全案件を継続して受注することを目指し、高速道路の大規模更新/床版取替工事にも注力いたします。橋梁保全市場の多様化に対応し、エンジニアリング力に厚みを増すため、地元ゼネコンやグループ会社との連携を推進し、更なる強化と拡大に努め、利益向上のあらゆる施策を実行してまいります。

c 鉄骨・鉄構事業

鉄骨・鉄構においては、新設橋梁発注量の中長期的縮小が見込まれる中で、首都圏超高層案件に取り組むことを新規事業と同等のチャレンジと位置付けし、設備投資と人的投資を行いつつ社内体制を確実に構築するとともに、M&Aにより取得する予定のグループ会社との連携を図り、着実な成長を目指してまいります。

(ⅱ) その他の事業

a 不動産賃貸事業

不動産賃貸事業においては、安定的な収益源として、一定規模を確保しつつも、資本効率を考慮した資産の入れ替え、売却等の実施も検討してまいります。

b 材料販売事業

材料販売事業においては、新規顧客の開拓及び既存顧客への販売増加を積極的に進め、売上拡大を図ります。厚板の外部販売比率を拡大するために、商社鉄骨と一般ファブリケーターへの販売を強化してまいります。

c 海外・新規事業

海外その他並びに新規事業においては、前年度新たに設置した事業創造本部で一元して掌握いたします。海外現地法人の更なる利益拡大を目指すとともに、大学や異業種とのアライアンスを構築し、既存事業における技術開発に繋げ、将来に向けての種まきとなる新規事業の企画をしてまいります。

 

Ⅱ.財務戦略

財務戦略としては、利益の拡大による営業活動キャッシュフローの向上と投資有価証券等の売却、銀行借入等、資本効率を意識した多様な調達手段を活用し、人的資本や設備、M&A等への投資並びに株主還元を戦略的に行ってまいります。

株主とのコミュニケーション強化として、ESGやサステナビリティなどの非財務情報に関する目標を設定し、モニタリングを開始するとともに積極的なIR活動を実施いたします。

 

Ⅲ.経営基盤の強化

(ⅰ) DX戦略

DX戦略においては、業務の効率化や自働化、ロボット化、デジタルアーカイブの構築等、財務、工場、工事現場等のあらゆる場面でDX化を進めてまいります。

(ⅱ) 人財戦略

人財戦略においては、事業戦略と連動させ、変化する事業環境にも適応できる専門人財の育成や多様な人財の活用・配置、社員の価値観と自律性を尊重し、働きがいのある労働環境を整備し社員エンゲージメントの向上に取組む等人的資本にも積極的に投資を進めてまいります。

 

第5次中期経営計画は、本業である鋼構造物製造事業における利益のさらなる向上を目指すことを最重要課題と位置づけ、資本効率を意識した経営の実現に向けた基盤固めを行う3か年と考えております。上記の戦略を実行することによって中長期的にROE等の改善と資本コストの低減を実現し、次期中期経営計画での資本効率を意識した目標設定の具体化につなげていきたいと考えております。

 

(3)経営環境

経営環境につきましては、国内建設市場におきましては、国土強靭化やインフラ老朽化対策のための予算が前年並みに確保される見込みで、公共工事の発注量は前年度から大きく変動しないものと予想されます。また民間建設投資におきましても前年度と同水準で推移すると予想されます。その一方、建設資材価格・労務価格の高騰や慢性的な担い手不足、時間外労働の上限規制の適用など、より一層の労働環境の充実、生産性向上が求められる状況にあります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりであります。

①新設橋梁事業

新設橋梁事業につきましては、国内の橋梁需要が新設橋梁から橋梁保全へのシフトが進み、中長期的には新設橋梁の市場は減少傾向にあります。但し、足元では、大阪湾岸線西伸部などの大規模プロジェクトが本格化し、中部地区においてもリニア関連事業や空港関連事業に伴う大型橋梁の発注が見込まれています。一方で、当社グループは、過去の積極的な受注活動により、89期までは現場工事は繁忙な状況となっており、現場技術者の余裕も少なくなっております。今後、発注量の減少が見込まれる中で、受注と利益を確保していくためには、受注に向けた営業戦略と高い技術力を有する現場技術者の確保が課題となります。

②橋梁保全事業

橋梁保全事業につきましては、国土強靭化・防災減災への取り組み強化により、高速道路の床版取り替えや橋梁の耐震補強等修繕・更新需要は高水準の発注量を維持していくことが見込まれます。特に大規模な保全工事においては高度で総合的な技術力が求められるため、特殊橋保全という技術ニーズに対応できるように更なる人員確保と人財育成、技能伝承が課題となります。

③鉄骨鉄構事業

鉄骨鉄構事業につきましては、首都圏再開発需要を中心に、需要は引き続き400万トン規模が当面継続すると見込まれます。中部地区においても、名古屋駅前再開発案件や、全国的には半導体やデータセンターも堅調な需要が見込まれます。一方でポストコロナや残業規制の強化等による働き方などの変化によるオフィス需要に注意が必要です。また、首都圏再開発案件は、これまで当社グループが得意としてきた発電所等のエネルギー関連施設の建設とは異なる高難度物件であり、さらなる成長に向けて、図面・管理体制の再構築やBIMの活用などフロントローディングの強化と、大型設備投資を踏まえた生産効率向上施策推進、収益管理強化が課題となります。

④デジタル化及び働き方改革

上記の①~③の取り組み課題に共通するリスクは人財不足です。我が国の労働者人口は既に減少し始めており、働き方改革により女性と高齢者の労働参加率を高める取り組みがなされています。しかし、絶対的な人口不足や労働者人口自体の高齢化は着実に進行しており、ロボットやデジタル化の活用が省力化、省人化対策として期待されています。当社グループにおきましても、働き方改革による人財確保やロボット・デジタル技術等DX推進による生産性向上、ビジネスモデルの変革、高齢化に伴う技術者及び工場作業員の人財不足への対応と技術伝承が課題です。

⑤財務上の課題

当社グループは、第5次中期経営計画の実行により、更なる事業資金が必要となってまいります。前連結会計年度までは、概ねグループ内の自己資金で事業資金を確保しておりましたが、売上規模の拡大に伴い、事業資金も増加することが見込まれますので、今後は、第5次中期経営計画の財務戦略に沿って、利益のさらなる向上を図り、営業キャッシュフローの創出に注力する一方、投資有価証券等の売却、銀行借入等、資本効率を意識した多様な調達手段を活用し、人的資本や設備、M&A 等への投資や株主還元を戦略的に行っていきます。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

橋梁・鉄骨業界を取り巻く経営環境が一層の厳しさを増していくなか、当社グループといたしましては、企業競争力の強化に努め、適正な受注量の確保を重要な施策と位置付け、売上高、利益面でバランスの取れた収益力を目指しており、第5次中期経営計画では、売上高、営業利益(営業利益率含む)及び経常利益(経常利益率含む)を目標指標としております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

 当社グループのサステナビリティに関するガバナンス体制は、サステナビリティ関連を含む事業リスクの管理体制として、経営戦略会議を設置しております。当会議体は、代表取締役社長を筆頭に取締役、執行役員及び常勤監査等委員が出席し、原則毎月1回以上、取締役会の事前審議の会議として開催されます。当会議では、業務執行上においてリスク等の検討が必要な事案などを検討し、リスク等の監視及び統制を行っております。

 また、内部監査部門である監査室では、当社グループ全般における監査室監査を通じて、当社の各部署及びグループ会社レベルでのサステナビリティに関するリスク等の監視及び統制を実施しており、その結果については、監査室管掌である代表取締役社長を通じて、取締役会へ定期的に報告されるとともに、監査等委員会へは監査室より定期的に直接報告されております。

 

(2)戦略

当社グループは、サステナビリティに関する取り組みとして、第5次中期経営計画(2024年度~2026年度)の事業計画の骨子に経営基盤戦略として「DX戦略」と「人財戦略」という項目を設定し、各戦略を実現していくことで、持続的成長と企業価値向上の実現を図ってまいります。

なお、上記の戦略の適用範囲といたしましては、「DX戦略」は、現状で情報技術を共有している当社及び一部の子会社を対象としており、「人財戦略」は、中核企業である当社を対象としております。

また、当社で既に取り組みがスタートしております社会基盤(橋梁・鉄骨)の整備・保全に対する貢献と環境保護を目的とした取り組みも継続してまいります。

 A.DX戦略

DX戦略においては、「豊富な経験×DXの融合による新時代のモノづくり企業への変革の第一歩」をスローガンとして、「長い歴史の中で培われた技術と経験をもとに、本中期計画における基本方針の『変革とチャレンジ』をキーワードに新たなモノづくりの実現に向けたDX施策を推進する」を基本方針に、以下のDX戦略4本柱を推進してまいります。

  (a)省人化・効率化を基軸に置いた基幹システムの再構築及び新規導入

  (b)スマートファクトリー構想を念頭においた新規技術の導入

  (c)デジタルアーカイブ等の構築による技能伝承の推進

  (d)データ活用による迅速でロジカルな経営の実現

 B.人財戦略(当社のみ対象)

人財戦略においては、「ものづくりの情熱を、ひとづくりにも。」をスローガンとして、以下の基本方針のもとで各種のアクションプランを実行してまいります。

基本方針

 (a)主力事業の強化と変化する事業環境に適応できる専門性と多様性に富んだ人財を確保し育成する

 (b)社員の価値観と自律性を尊重し、安心・安全・健康で働きがいのある職場環境を整備する

アクションプラン

  (a)人財戦略部門の充実

・採用・育成・要員計画・人事運用・環境整備・タレントマネジメントを推進する機能部門の強化

  (b)経営戦略と人財戦略との連動

・各事業部門における中核人財を明確化し、計画的に人財を配置

・事業戦略に連動した中途採用、新卒採用の実施

・求人力強化として、認知度向上や、魅力ある処遇の検討と、多様なチャンネルの効果的活用の推進

  (c)能力向上・専門人財の育成

・技術人財やDX人財等、専門人財の育成に向けた取組の強化(博士課程取得(アカデミアプロジェクト)等は継続的に実施)

・外国人や女性活躍の場の拡大等多様な人財の活用の推進

  (d)人財情報の見える化

・人事情報システムの整備と有効活用による、計画的且つ効果的な人財育成・活用の実現

  (e)エンゲージメント向上

・エンゲージメントサーベイの実施と課題の明確化により改善に向けた取組の推進

・子育てや介護支援等の充実、リモートワークの為の環境整備促進等多様な働き方の更なる拡充

 

 C.環境保護を目的とした取り組み

環境保護を目的とした取り組みといたしましては、前連結会計年度に取締役執行役員を含む社員から構成される「カーボンニュートラル推進委員会」を設置し、脱炭素社会に向けた取り組みを検討した結果、太陽光発電(自家発電)への投資を決定し実施してまいります。

 

(3)リスク管理

当社グループにおけるリスク管理は、中期経営計画に織り込まれたサステナビリティ関連を含む事業リスクなどを、年次ベースで定められたアクションプランに基づき、各部門単位で年次目標の一環として取り組むこととしております。その取り組みについては、半期毎の代表取締役社長、企画部門の取締役及び常勤監査等委員等が出席するヒアリングで報告、確認され、重要な案件については、月次の経営戦略会議での審議を経て、取締役会に付議されます。

また、事業リスク以外のリスクについては、自然災害などは、BCP委員会が中心になり、リスク管理に取り組んでおり、労働安全衛生面については、専任部門及び労働安全衛生の委員会組織等でリスク管理を実施しております。具体的な活動としては、月1回の報告・討議会の開催や定期パトロールの実施、各種安全教育などであります。その中で重要と判断された事象については、経営戦略会議などに付議されます。

 

(4)指標及び目標

上記の(2)戦略で記載いたしました「DX戦略」、「人財戦略」、「社会基盤(橋梁・鉄骨)の整備・保全に対す貢献」及び「環境保護を目的とした取り組み」の各取り組みについては、当社グループの中核企業であります当社が実施してまいります。連結子会社においては、「DX戦略」のみ一部の子会社も適用範囲となりますが、それ以外の各取り組みにつきましては、現時点で適用範囲に含んでおりません。

また、指標及び目標につきましては、現時点において指標の目標設定をしている「人財戦略」の人的資本に関する目標及び実績を記載しております。

 

(人的資本に関する目標及び実績)

 

目標値(2024年度

実績(当連結会計年度)

男性の育児休業取得人数

1

5

全社員に占める女性労働者の割合

18

16.4

年次有給休暇の取得率

69

68.2

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)公共事業の減少

 当社グループの鋼構造物製造事業は、橋梁や保全事業を中心とした公共事業の割合が大半を占めております。今後、新型コロナウイルス感染症などの影響により、公共事業の発注数量等の減少が予想を大幅に上回る場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)固定資産の減損リスク

 当社グループは、鋼構造物製造事業や不動産賃貸事業を中心に、多くの固定資産を保有しておりますが、今後、業績の低迷などにより、減損損失が発生する可能性があります。

(3)人材確保のリスク

 当社グループの鋼構造物製造事業は、特に技術者の確保が重要でありますが、近年の労働者人口の減少を背景とした、建設業人材の減少により、必要な人材の確保が出来なかった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)原材料の価格

 当社グループの鋼構造物製造事業は、鉄鋼メーカーの鋼板や形鋼を主要材料としております。しかし、不測の事態により原材料の市場価格等が高騰した際、販売価格等に転嫁することが困難な場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)品質の保証

 製品の引渡し後、瑕疵担保責任や事故災害等による損害賠償等が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)取引先の信用リスク

 取引先の信用不安による損失が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)資産保有リスク

 保有している資産の時価の変動により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)法的規制

 事業活動における法令はもとより社会規範の遵守と企業倫理の確立を図っておりますが、これらを遵守できなかった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)大規模災害等による影響

 当社グループの生産拠点は、愛知県の知多半島に集中しており、今後、この地区を襲うと予測される南海トラフ大地震等の大規模災害が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍を乗り越え活気が戻りつつあるとともに、経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調を取り戻しました。一方で、エネルギー・原材料価格の高騰や物価上昇、中国をはじめとする海外経済の減速、ロシア・ウクライナ情勢の長期化・中東情勢の展開等、景気の先行きは不透明な状況が続いております。

a.財政状態

当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産は585億1千万円(前連結会計年度末比81億円増・16.1%増)となりました。

流動資産は221億7千万円(前連結会計年度末比8億9千万円減・3.9%減)、固定資産は363億4千万円(前連結会計年度末比89億9千万円増・32.9%増)となりました。

負債は139億3千万円(前連結会計年度末比18億円増・14.9%増)となり、それぞれ、流動負債は64億3千万円(前連結会計年度末比6億1千万円減・8.8%減)、固定負債は75億円(前連結会計年度末比24億2千万円増・47.8%増)となりました。

純資産は、445億8千万円(前連結会計年度末比62億9千万円増・16.4%増)となりました。この結果、自己資本比率は76.2%となりました。

b.経営成績

当連結会計年度における連結損益は、完成工事高233億2千万円(前年同期比47億1千万円増・25.3%増)、営業利益6億2千万円(前年同期比2億6千万円増・72.3%増)、経常利益12億1千万円(前年同期比3億9千万円増・47.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、9億8千万円(前年同期比3千万円減・3.1%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

また、各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。

 

(a)鋼構造物製造事業

橋梁業界におきましては、鋼道路橋発注量は、前年比14%減の約13万トンで、過去最低水準の厳しい状況で推移し、依然として受注競争の熾烈化が続いております。一方、橋梁保全工事の発注量は減少が見込まれるものの堅調に推移している環境にあります。

また、鉄骨業界におきましては、2023年暦年の発注量は1967年以来、56年振りに400万トンを割り込み、建設資材価格の上昇や慢性的な技能労務者不足から、中小物件を中心に全体の伸び悩みが続いております。

このような状況の中で、当社グループは、新設橋梁工事では、自治体発注物件を中心に大型案件を受注することができましたが、配置技術者不足による応札機会の減少や技術提案・交渉方式の対象工事において工事契約締結に至らなかったことから、橋梁部門受注高は115億1千万円(前年同期比175億4千万円減・60.4%減)となり受注目標は未達となりました。

鉄骨部門では、首都圏再開発事業を主に民間建築案件の受注に努めた結果、鉄骨部門の受注高は39億6千万円(前年同期比2億4千万円減・5.8%減)となり、当連結会計年度における鋼構造物製造事業の総受注高は154億8千万円(前年同期比177億8千万円減・53.5%減)となりました。

主な受注工事は、橋梁部門につきましては、中部地方整備局の海津高架橋、愛知県の境川橋や蛇抜高架橋、岐阜県の新愛岐大橋、鉄骨部門では、みなとみらい52街区、ラピダス千歳等であります。

鋼構造物製造事業の損益につきましては、橋梁部門では、当社の橋梁生産高は鉄骨案件の増加により、昨年度より落ち込みましたが、新橋架設・保全の現場では大型案件の進捗により完成工事高は昨年度より増加いたしました。また、子会社では、高収益案件の進捗と鉄道関連案件における設計変更の獲得により、収益が大幅に改善いたしました。一方、鉄骨部門では、首都圏の高層ビル等の大型案件の生産がピークとなり、昨年度より大幅に生産高は増加しましたが、採算性は厳しく損失を計上する結果となりました。その結果、完成工事高195億9千万円(前年同期比45億5千万円増・30.3%増)、営業利益4億2千万円(前年同期比3億6千万円増・595.8%増)となりました。

当連結会計年度に売上計上いたしました主な工事は、橋梁部門につきましては、西日本高速道路㈱の佐世保高架橋拡幅工事、中部地方整備局の東海環状北勢第一高架橋2、保全部門につきましては、中日本高速道路㈱の長良川橋床版取替工事、浜名湖橋支承取替工事、鉄骨部門につきましては、赤坂二丁目計画、中部電力パワーグリッド三重支社ビル新築工事、品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)4街区などであります。

 

(b)不動産賃貸事業

不動産賃貸事業につきましては、売上高の大半を占める家賃の収入は横ばいとなりましたが、紹介手数料等の取引が昨年度より減少したことから、売上高は9億円(前年同期比5千万円減・6.0%減)、営業利益5億1千万円(前年同期比8千万円減・14.7%減)となりました。

(c)材料販売事業

材料販売事業につきましては、厚板部門は、鉄骨需要の減退による外販数量の減少と低採算の鉄骨用切板取引の増加により減益となりました。鉄筋建材部門は、住宅等の基礎工事や型枠工事の需要減による鉄筋需要の衰退に加え、原料高による仕入原価増による薄利化で減益となりました。レベラー部門は、大口取引先の生産停止等が大きく影響したため、減益となりました。この結果、売上高32億2千万円(前年同期比1億3千万円増・4.4%増)、営業損失3千万円(前年同期は4千万円の営業利益)となりました。

(d)運送事業

運送事業につきましては、グループ内取引の鉄骨工事関係の輸送取引の増加により、増収増益となりました。この結果、売上高5億3千万円(前年同期比1億6千万円増・44.6%増)、営業利益1百万円(前年同期は1千万円の営業損失)となりました。

(e)工作機械製造事業

工作機械製造事業につきましては、自動車業界の取引は依然として低位で推移しましたが、商社経由の新規取引先の確保に向けた営業活動も実施しております。この結果、売上高1億円(前年同期比1千万円減・10.2%減)、営業損失1千万円(前年同期は1千万円の営業損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果は、売上債権の増加額38億5千万円等により、43億8千万円の資金支出(前年同期は18億1千万円の支出)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果は、有形固定資産の取得による支出18億3千万円等により3億8千万円の資金支出(前年同期は2億9千万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果は、配当金の支払による支出2億2千万円等により、3億円の資金支出(前年同期は3億2千万円の支出)となりました。

(現金及び現金同等物)

上記の要因により、現金及び現金同等物期末残高は30億5千万円(前年期比50億6千万円減・62.4%減)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

  当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

鋼構造物製造事業

15,017

+35.1

工作機械製造事業

205

+113.0

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.生産実績金額は当期発生原価によっております。

3.不動産賃貸事業、材料販売事業、運送事業及びその他の事業につきましては、生産活動がないため、生産実績の記載をしておりません。

 

b.商品仕入実績

  当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

材料販売事業

4,935

△10.0

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.鋼構造物製造事業、不動産賃貸事業、運送事業、工作機械製造事業及びその他の事業につきましては、商品仕入活動がないため、商品仕入実績の記載をしておりません。

 

c.受注実績

  当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

受注残高

金額(百万円)

前年同期比(%)

金額(百万円)

前年同期比(%)

鋼構造物製造事業

橋梁

11,518

△60.4

31,762

△10.4

鉄骨

3,965

△5.8

3,520

△10.5

合計

15,483

△53.5

35,283

△10.4

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.不動産賃貸事業、材料販売事業、運送事業、工作機械製造事業及びその他の事業については、受注活動がないため、受注実績の記載をしておりません。

 

d.販売実績

  当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売実績

金額(百万円)

前年同期比(%)

鋼構造物製造事業

橋梁

15,216

+24.5

鉄骨

4,377

+55.8

19,593

+30.3

不動産賃貸事業

898

△6.2

材料販売事業

2,541

+8.5

運送事業

153

+19.0

工作機械製造事業

108

△10.2

その他

31

+3.5

合計

23,328

+25.3

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

2.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

相手先

金額

(百万円)

割合(%)

相手先

金額

(百万円)

割合(%)

中日本高速道路㈱

2,774

14.9

国土交通省

4,275

18.3

国土交通省

2,766

14.9

中日本高速道路㈱

3,433

14.7

西日本高速道路㈱

1,728

9.3

西日本高速道路㈱

3,136

13.4

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

当連結会計年度の連結貸借対照表における前連結会計年度比較

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

比率(%)

流動資産

23,067

22,170

△897

△3.9

固定資産

27,352

36,349

8,997

32.9

資産合計

50,419

58,519

8,100

16.1

流動負債

7,055

6,435

△619

△8.8

固定負債

5,075

7,503

2,427

47.8

負債合計

12,131

13,939

1,807

14.9

純資産合計

38,288

44,580

6,292

16.4

 

 当連結会計年度の連結財政状態は、資産合計は585億1千万円(前年同期比81億円増・16.1%増)、負債合計は139億3千万円(前年同期比18億円増・14.9%増)となりました。

 流動資産は、現金預金の減少(前年同期比50億6千万円減・61.8%減)や完成工事未収入金の増加(前年同期比34億4千万円増・25.9%増)などにより、流動資産合計は221億7千万円(前年同期比8億9千万円減・3.9%減)となりました。

 固定資産のうち、投資有価証券の増加(前年同期比78億3千万円増・58.9%増)や建設仮勘定の増加(前年同期比10億4千万円増・142.2%増)などにより、固定資産合計は363億4千万円(前年同期比89億9千万円増・32.9%増)となりました。

 流動負債は、未成工事受入金の減少(前年同期比3億円減・34.8%減)や未払法人税等の減少(前年同期比2億8千万円減・62.2%減)などにより、流動負債合計は64億3千万円(前年同期比6億1千円減・8.8%減)となりました。

 固定負債は繰延税金負債の増加(前年同期比25億1千万円増・92.1%増)などにより、負債合計は139億3千万円(前年同期比18億円増・14.9%増)となりました。

 純資産は、その他有価証券評価差額金の増加(前年同期比54億8千万円増・108.7%増)などにより、純資産合計は、445億8千万円(前年同期比62億9千万円増・16.4%増)となりました。

 

 

b.経営成績

当連結会計年度の連結損益計算書における前連結会計年度比較

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

比率(%)

完成工事高

18,617

23,328

4,711

25.3

完成工事総利益

2,235

2,652

416

18.6

販売費及び一般管理費

1,872

2,026

154

8.2

営業利益

363

625

262

72.3

経常利益

825

1,219

393

47.7

税金等調整前当期純利益

1,467

1,411

△56

△3.8

親会社株主に帰属する当期純利益

1,017

986

△31

△3.1

 

当連結会計年度の連結業績は、第4次中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)では、第3次中期経営計画の基本方針であった「再生と創造」を継続し、主力事業の基盤強化と「入札だけに頼らない企業体を作る」という多角化戦略を掲げ取り組んでまいりました。当連結会計年度の受注実績につきましては、橋梁・保全工事では、昨年度受注実績の揺り戻しもあり、115億1千万円(前年同期比175億4千万円減・60.4%減)の大幅減少となりました。また、鉄骨工事については、ゼネコンや下請受注活動を継続し、新規案件・既受注案件の設計変更を含め39億6千万円(前年同期比2億4千万円減・5.8%減)を確保し、連結受注高は154億8千万円(前年同期比177億8千万円減・53.5%減)となりました。

当社グループの当連結会計年度に係る完成工事高については、鋼構造物製造事業では、前連結会計年度に確保した受注実績を背景に、当社の工場生産高は鉄骨案件が増加傾向となり、橋梁生産高は減少する結果となりましたが、一方、新橋架設・保全の現場では、大型案件が堅調に進捗いたしました。また、子会社でも、設計変更の獲得など完成工事高に貢献する結果となりました。この結果、当連結会計年度の鋼構造物製造事業の完成工事高は、橋梁・鉄骨共に増加し、完成工事高は195億9千万円(前年同期比45億5千万円増・30.3%増)となりました。不動産賃貸事業は、当社においては、前連結会計年度の商業ビルの売却による減少要因はありましたが、既存契約の家賃収入は横ばいとなりましたが、子会社の仲介手数料収入が減少したため、売上高8億9千万円(前年同期比5千万円減・6.2%減)となりました。材料販売事業は、厚板部門や鉄筋建材部門で原材料高から派生した需要減退などの二次的な影響を受けましたが、売上高25億4千万円(内部取引相殺後)(前年同期比1億9千万円増・8.5%増)となりました。その他の事業では、運送事業は1億5千万円(内部取引相殺後)(前年同期比2千万円増・19.0%増)、工作機械製造事業は1億円(前年同期比1千万円減・10.2%減)で連結売上高は233億2千万円(前年同期比47億1千万円増・25.3%増)となりました。

 完成工事総利益については、鋼構造物製造事業の橋梁・保全部門では、前連結会計年度の受注高を背景に売上高が増加したこと加えて、子会社の増益要因もあり、収支が大幅に改善いたしました。しかし、鉄骨部門では、受注量の確保により生産量は増加しましたが、首都圏の高層案件などが採算悪化となり、完成工事総利益を減少させる結果となりました。不動産賃貸事業は、子会社収益の減少と、計画修繕などの実施による減少に加えて、材料販売事業は、外販数量の減少や原材料高による薄利化などにより、当連結会計年度の完成工事総利益は26億5千万円(前年同期比4億1千万円増・18.6%増)となりました。

 営業損益は、販売費及び一般管理費が、昨今の人件費増加などから、20億2千万円(前年同期比1億5千万円増・8.2%増)となり、6億2千万円の営業利益(前年同期比2億6千万円増・72.3%増)となりました。

 経常損益は、上場株式の配当増や助言運用枠の増加により、営業外収益は28.6%の増加となり、その結果、経常利益は12億1千万円(前年同期比3億9千万円増・47.7%増)となりました。

 特別損益は、当社の大阪支店ビル売却などの固定資産売却益を計上したことなどから、税金等調整前当期純利益は14億1千万円(前年同期比5千万円減・3.8%減)となりました。

 上記の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は9億8千万円(前年同期比3千万円減・3.1%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書における前連結会計年度比較

 

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

金額(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

△1,818

△4,382

投資活動によるキャッシュ・フロー

△292

△388

財務活動によるキャッシュ・フロー

△325

△304

現金及び現金同等物の期末残高

8,114

3,054

 

a.キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主要なものは、鋼構造物製造事業における主要材料費や購入部品費等の材料費及び工場製作や現場施工に係る各種外注費のほか、製造労務費・製造経費及び販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要については、各種製造セグメントでは、生産設備の維持更新が中心であり、不動産賃貸事業については、賃貸不動産の維持修繕や建築及び投資対象物件の取得費用などであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の源泉を可能な限り自己資金で賄うことを基本としておりますが、やむを得ない場合に限り、金融機関からの短期借入による調達も想定しております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、7億9千万円(前年同期比8千万円減・9.6%減)となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、30億5千万円(前年同期比50億6千万円減・62.4%減)となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)及び2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

5【経営上の重要な契約等】

(株式譲渡契約)

 当社は、2024年3月26日開催の取締役会において、株式会社菊池鉄工所の全株式を取得し、子会社化することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。なお、株式譲渡を行う日は、2024年10月1日の予定であります。本株式取得に伴い、株式会社菊池鉄工所は当社の連結子会社となります。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、橋梁及び鉄骨を中心とした鋼構造物事業に関する保有技術を基礎として、急速な事業環境の変化に対応すべく新技術の研究開発に取り組んでいます。特に橋梁事業につきましては、保全需要の拡大に対応するため、橋梁の補修補強や更新に関する研究開発に注力しています。

 当連結会計年度における研究開発費は9百万円であり、また主な研究開発活動は次のとおりであります。

 

鋼構造物製造事業

(橋梁埋設型枠工法の改良開発)

 当社グループは東海コンクリート工業㈱との技術提携によりPCF壁高欄工法を開発し、近年は、鉄道橋などの床版やRC桁への埋設型枠の適用実績ができました。他社の類似製品も台頭しておりますので、競争力を高めるため、更なる改良を進めてまいります。

 

(橋梁保全技術の開発)

 保全関連事業が増大することから、橋梁以外の異業種や大学などとの連携により、橋梁点検技術開発や新材料の採用ならびに工法開発により、生産性向上をめざした橋梁の保全工事に対応する技術開発に取り組んでいます。

 

(高機能ポリマーセメント系材料・水性無機系塗料の開発・販売)

鋼構造物における鋼材とコンクリートの界面は剥離や腐食がしやすい部位であり、維持管理の問題となっています。また、環境に配慮した低VOC塗料のニーズが高まっています。当社は付着力が高く、従来よりも施工しやすい接着材や、追従性のある水性無機系塗料などを開発し、様々な部位への適用を検討しています。

 

(高耐久舗装用アスファルト添加材の開発・販売)

 鋼床版橋梁の舗装は鋼床版が熱され、変形しやすいことにより、アスファルト舗装の耐久性が低下する問題があります。当社は材料メーカーと共同で鋼床版用舗装の添加材の開発を進めています。また、一般のアスファルト舗装に対しては、重交通によって生じる轍ぼれを抑制する添加材を開発しています。これらの商品は海外へ展開・販売し、実績を拡大してきております。

 

(仮橋の開発及びリース)

 自然災害の激甚化により災害時に必要となる仮橋や、今後、増加が見込まれる橋梁の架け替えに必要な仮橋に適用すべく、仮橋リースを行っています。この事業では、様々な施工条件に対応するための調査検討も進めています。

 

不動産賃貸事業・材料販売事業・運送事業・工作機械製造事業・その他

 不動産賃貸事業、材料販売事業、運送事業、工作機械製造事業及びその他に関しましては、特段、研究開発活動を行っておりません。