第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

当社グループは、日常準拠すべき規範として「人の和」・「誠実」・「奉仕の心」を経営上の基本に置き、「ゆたかで快適な生活空間を創造する企業」として、「より安全に、より良く、より安く、より早く、より安定的に製品やサービスを提供する」ことを通じ、お客様から満足いただき、信頼される企業グループを目指しております。

また、「企業の社会的責任」につきましても経営の最重要課題のひとつとして位置付けており、法令遵守や地球環境問題への取り組みはもとより、社会に対してさまざまな貢献を通して、社会的責任を果たしてまいりたいと考えております。

当社グループを取り巻く経営環境といたしましては、当社の主要顧客である電力各社は引き続き一層経営効率化が進められる一方、中長期的にはデータセンターや半導体工場の新増設等による電力需要が加わることで、全体として大きな電力需要の増加が見込まれます。さらにカーボンニュートラル実現に向けた取り組みも継続されることから、当社製品の一定の需要を見込んでおります。また、通信関係においては、携帯キャリアでは引き続きサービス向上に取り組まれることからビジネスチャンスを深耕してまいります。

交通インフラ事業においては、懸案の大深度地下の外環自動車道やリニア中央新幹線など新設の国家的プロジェクトについては工事の中断等があり依然として先行き不透明な状況にあります。そのような状況においても老朽化による道路関連設備更新、特に高速道路における設備更新の受注に鋭意尽力するとともに、都市機能強靭化に資する無電柱化提案も積極的に行ってまいります。

当社グループは、2029年の創立100周年・100年企業ブランドに向けての事業継続を図るために3ヵ年の中期経営計画を策定しております。2025年度はその第三次計画の初年度にあたります。創立100周年の「ありたい姿」の実現に向けて引き続き取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。

なお、本文の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) ガバナンス

 コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
 当社グループは、短期的な成果のみならず長期的かつ持続的な成長のため、下図のようにサステナビリティ推進体制を整備・強化しており、取締役会による方針決定と監督・指示のもと、リスクマネジメント委員会にて定期的な監視・報告を行い、代表取締役がサステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任を有しております。

 


 

 

(2) 戦略

当社グループにおける、気候変動関連ならびに人的資本(多様性含む)に関する取組は以下のとおりであります。

① 気候変動関連に関する取組

 当社グループは、気候変動対策およびその緩和を重要課題と位置づけ、事業活動に影響を与えると想定されるリスクおよび機会を特定し、事業活動への影響度を評価し、特に影響が大きいリスクの低減、機会の獲得について対応策を検討しております。また、ESG経営を推進することで経営上のリスク低減、新事業の創出を図り、リスクを最小化して事業機会を拡大することにより企業価値を向上させてまいります。

区分

種類

リスク ・ 機会

事業活動への影響

期間

重要度

移行リスク

政策・

法規制

GHG排出に関する

規制の強化

カーボンプライシングによる製造コストの上昇

中期

環境負荷低減設備への投資費用の増加

中期

技術

GHG排出削減に

配慮した設備、

資材の購買

低炭素技術、環境負荷

低減設備への投資費用の増加

中期

市場

資源/エネルギー

コストの変化

資源(鉄鋼・亜鉛)、燃料価格の高騰によるコスト増加

長期

顧客/消費者の

ニーズ変化

顧客の取引先選定基準の

不適合による取引停止

長期

評判

情報開示不足による

企業価値低下

情報開示不足による企業

評価下落・株価低迷

中期

物理リスク

急性

災害発生の増加

従業員の被災による生産停止

長期

物流の寸断による事業活動の停滞

短期

慢性

平均気温の上昇

労働条件の悪化による健康被害

発生、生産性の低下

長期

作業環境等対策費用の増大

長期

機会

製品・

サービス

新たな市場の開拓

リサイクル事業・水素事業の拡大・

メンテナンス・長寿命化

長期

 

② 人的資本(多様性含む)に関する取組

 当社グループでは、社憲に掲げる「人の和」「誠実」「奉仕の心」を経営理念として、「企業行動規範」を守る高い倫理観と厳しい自己規律をもつ「人」は最大の経営資本と考えております。この理念に基づき、一人ひとりが企業とともに成長・発展できる職場環境づくりと計画的な人材育成に努めています。

i)人材育成に関する取組

 当社グループでは、採用した人材に必要なスキルを習得させ、その個人の能力を最大限に活かすため、職階別、職能別ごとに求められる能力・専門知識の習得を目的として「教育訓練規程」を定め、従業員一人ひとりの自律的なキャリア構築を支援する教育制度を実施すると共に、組織に不足するスキル・専門性の獲得を目的として、人材の価値向上化と最適なポジショニングを実施しております。

具体的には

・ 社員の成長を促進する教育機会を提供する

・ キャリアパスを積ませることにより、将来の管理職・経営層の育成を行う

・ ジョブローテーションによる人材・技術交流の活性化を行う

を人材育成方針とし継続的な人材育成に取り組んでおります。

 

ⅱ)健康経営に関する取組

 当社グループでは、疾病予防および改善に向けた早期対応の充実を図るため、健康推進の様々な施策を行っております。従業員一人ひとりが心身ともに健康でイキイキと活動し、生産性が上がることで企業価値の向上につなげてまいります。

 

(3) リスク管理

 当社グループでは、事業上発生するリスクに対応する管理機関として「リスクマネジメント委員会」を設置し、リスク管理体制の強化に努めております。各所属・各中央委員会およびグループ会社がリスクの識別・評価を行い、リスクマネジメント委員会に報告しております。

 リスクマネジメント委員会は個別課題について協議・決定を行うとともに、進捗状況を管理し、対応状況を定期的に取締役会に報告しています。

 リスク管理に関する全ての権限と責任は社長が有し、リスクマネジメント委員会での協議事項は社長へ報告・提案を行っております。重要事項は取締役会にて承認され、確実な実施を図っております。

 

(4) 指標及び目標

当社グループでは、上記「戦略」において記載した、気候変動関連ならびに人的資本(多様性含む)に関する目標および実績は、次のとおりであります。

 ①気候変動関連の指標と目標

当社グループは、2050年度までにカーボンニュートラルの達成を目指し、当社のエネルギー使用に伴うCO2排出量(Scope1,Scope2)の削減目標を定めております。

エネルギー使用量の削減実施とともに、今後、再生可能エネルギーへの転換等の対応を推進することで目標達成へ取り組んでまいります。

当該指標に関する目標および実績は、次のとおりであります。

2024年度のCO2排出量は2021年度比で9t増加し、削減率-0.1%でありました。CO2が増加した主な要因は、めっき工場および碍子工場においてカーボンニュートラルを目指した新規設備更新等に伴う生産設備の並行稼働と生産量の低下ですが、これらの新規設備が本格稼働する2025年度以降、CO2排出量は減少に転じる見込みであり、2050年までにGHG排出量ゼロを目指して参ります。

年度

単位

2021年度

2024年度

2025年度

2050年度

CO2排出量

ton

11,532

11,541

10,398

0

削減量(2021年度比)

ton

+9

-1,134

-11,532

削減率(2021年度比)

-0.1%

9.8%

100.0%

 

 

 ②人的資本(多様性含む)に関する指標と目標

当社グループでは、報酬体系に性別による格差はありませんが、日本は管理職により多くの女性を登用する必要があることを認識し、各職場で女性を積極的に採用して多様性の確保に注力しています。さらに、誰もがライフイベントとキャリアを両立できる制度整備と職場風土の醸成に取り組んでいます。

指標

目標

実績

管理職研修・MTPセミナーの受講

2025年度対象者の100受講

2024年度管理職研修、MTPセミナー受講率96.0%

管理職適性検査受検者の合格率

2025年度受検者の40以上合格

2024年度合格率8.51

ジョブローテーション・人材交流の実施

2025年度40以上実施

2024年度ジョブローテーション実施者63

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが入手し得る情報に基づいて判断したものであります。

 

(1) 事業環境の変化に伴うリスク

当社グループの営業基盤は電力流通関連、情報通信関連、交通インフラ関連に大別されます。主力分野であります電力流通関連においては、原子力発電所の再稼動が見通せず、さらには、第6次エネルギー基本計画への対応など、電力業界においては先行きが不透明な状況になるものと予測されます。

情報通信関連においては、通信鉄塔基地局等の設備投資一巡により、今後需要が減退する可能性があります。交通インフラ関連においても、高速道路や新幹線の工事の遅れにより受注時期の予測が難しい状況があります。

そのため、各市場における景気の悪化や、それに伴う需要の低下は当社グループの業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(2) 原材料や副資材、外注加工品の調達および価格変動のリスク

当社グループの生産に必要な原材料や副資材、外注加工品のタイムリーな調達が阻害された場合や、原価管理上予定する価格以上の高騰などによる製造コスト上昇が生じた場合、採算性が悪化する可能性があります。

(3) 製品の欠陥ならびに自然災害や環境汚染による操業停止リスク

各種製品・工事施工において、欠陥あるいは事故が発生し、または、大規模自然災害、新型コロナウイルスなどパンデミックや突発的な事故等による環境汚染が発生し、操業停止した場合、当社グループの信用力や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報システムの混乱・破壊、情報の流出等のリスク

当社グループならびに関係先に係る情報については、営業秘密管理規程、個人情報取扱規程などの関連諸規程を定め、社員に周知するとともに厳正な管理を行っておりますが、予期せぬ事態により情報流出が発生した場合、当社グループの信用力や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 保有資産価格変動のリスク

不動産、投資有価証券を保有しておりますが、著しい価格下落が生じた場合には、減損または評価損が発生し、業績および財務の状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 新事業・新製品に係るリスク

当社グループは、お得意様ニーズにお応えできるよう、新技術・新製品の開発に努めると共に、設備の延命化を図るメンテナンス事業やリサイクル事業での受注拡大を図っています。

しかし、当社グループが事業展開するなかで、今後の業界の需要動向、同業他社との競合状況等により所期の成果を達成できない可能性があります。

(7) 財務制限条項に抵触するリスク

当社グループでは、複数の金融機関との間でシンジケートローン契約を締結しており、当該契約には一定の財務制限条項が付されております。これらの条項に抵触した場合には、借入金の期限前返済義務を負うことがあり、当社グループの財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループの関連業界におきましては、電力業界ではカーボンニュートラルの実現、電力需給の安定化、地域防災強化、レベニューキャップ制度による事業計画など、事業環境が激しく変化しています。通信業界においては新規設備投資の減少傾向で推移しました。交通インフラ業界では依然として燃料代、鋼材価格の高止まりが続いており、働き方改革の影響が現実化してからは人手不足によるコスト上昇と厳しい状況が続いております。

 

このような状況の中、今年度は当社グループが2022年度からスタートさせた「2024中期経営計画」の最終年度にあたり、2029年の創立100周年・100年企業ブランドに向け、「既存事業の拡大」「新事業領域の探索」「技術力・提案力の強化」「グループ最適化」に取り組み、2024年度のありたい姿の実現へ推進いたしました。

その結果、売上高は229億39百万円(前連結会計年度比1.7%減)、営業利益は27億84百万円(同5.2%増)、経常利益は29億38百万円(同6.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は18億85百万円(同1.9%増)となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

(電力・通信インフラ事業)

電力インフラ事業においては、送電設備関係では幹線鉄塔は減少したものの、2次系鉄塔の受注に努めました。配電設備関係では電力各社のレベニューキャップ制度への対応を踏まえ安定的な受注に努めました。通信インフラ事業においては、通信鉄塔延命化工事などで業量を確保いたしました。さらにコスト削減や生産効率化に努めた結果、増益となりました。

その結果、売上高は187億75百万円(前連結会計年度比0.2%減)となりました。

(交通インフラ事業)

交通インフラ事業においては、高速道路関係工事案件の積極的な受注につとめましたが、大型の高速道路設備改修の減少等が影響し、売上高は41億64百万円(同8.0%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は74億23百万円となり、前連結会計年度末より13億47百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)                     

営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少や棚卸資産の増加等により、前連結会計年度に比べ収入が15億円減少し、17億10百万円の収入となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー) 

投資活動によるキャッシュ・フローは投資有価証券の取得による支出が増加したものの、有形固定資産の取得による支出の減少等により、前連結会計年度に比べ支出が9億3百万円減少し、17億56百万円の支出となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出が増加したこと等により、前連結会計年度に比べ支出が12億98百万円増加し、13億1百万円の支出となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

電力・通信インフラ事業

13,653,629

+6.6

交通インフラ事業

2,969,835

+8.3

合計

16,623,464

+6.9

 

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

電力・通信インフラ事業

18,720,426

-2.0

4,480,998

-1.2

交通インフラ事業

4,252,756

-10.7

939,009

+10.4

合計

22,973,183

-3.7

5,420,007

+0.6

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

電力・通信インフラ事業

18,775,402

-0.2

交通インフラ事業

4,164,468

-8.0

合計

22,939,871

-1.7

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

東京電力パワーグリッド㈱

8,102,346

34.7

8,335,930

36.3

東北電力㈱

3,147,300

13.5

2,391,275

10.4

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。

経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、229億39百万円(前連結会計年度比1.7%減)となり、前連結会計年度に比べ3億94百万円減少いたしました。セグメント別の売上高については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

(営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ36百万円減少し、20億92百万円(同1.7%減)となりました。その結果、営業利益は前連結会計年度に比べ1億36百万円増加し、27億84百万円(同5.2%増)となりました。

(経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ19百万円増加し、4億23百万円(同4.7%増)となり、営業外費用は、前連結会計年度に比べ14百万円減少し、2億69百万円(同5.3%減)となりました。その結果、経常利益は前連結会計年度に比べ1億71百万円増加し、29億38百万円(同6.2%増)となりました。

財政状態の分析

総資産は、前連結会計年度末に比べ5億92百万円減少し、436億42百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ13億9百万円減少し、179億53百万円となりました。主な要因は現金及び預金が14億38百万円減少したことによるものです。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ7億17百万円増加し、256億88百万円となりました。主な要因は投資有価証券が13億84百万円増加し、有形固定資産が5億96百万円減少したことによるものです。

負債は、前連結会計年度末に比べ24億52百万円減少し、144億99百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末に比べ29億8百万円減少し、59億31百万円となりました。主な要因は1年内返済予定の長期借入金が15億82百万円、仕入債務が13億77百万円減少したことによるものです。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ4億55百万円増加し、85億68百万円となりました。主な要因は長期借入金が7億49百万円増加し、社債が3億円減少したことによるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べ18億60百万円増加し、291億42百万円となりました。主な要因は利益剰余金が15億70百万円、その他有価証券評価差額金が3億4百万円増加したことによるものです。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料や副資材の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入及び社債を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は51億22百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は74億23百万円となっております。

 

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、電力・通信インフラ設備および交通インフラ設備を中心としたインフラ整備に寄与するため、技術開発部を主体に基礎・応用技術開発、製品開発、システム開発ならびに設備のメンテナンスに関わる研究開発活動を推進し、各企業、大学および各種研究機関との共同研究も積極的に実施しております。当社グループは、研究開発活動を当社グループがサスティナブルな成長を目指す上での重要な活動と位置付け、営業部門、生産部門、情報システム部門との横断的連携・協力により、研究開発活動の充実化と加速化を図ってまいります。当連結会計年度の研究開発費の総額は233百万円となっており、特定のセグメントに関連付けられない費用であります

 

主な研究開発活動は次のとおりです。

(1) 電力・通信インフラ分野(電力編)

配電線機材では、顧客ニーズの変化に対応した製品開発を行いました。架空配電関連機材では、装柱種類の集約など装柱のスリム化に関する機材の検討を行いました。地中送電関連機材では、設備の増強や改修などに関連したケーブル支持材料を中心に顧客ニーズに対応した製品開発の検討を行いました。送電線鉄塔関連では、電気設備技術基準改正に対応した、鉄塔設計プログラムの開発を引き続き行っております。

 

(2) 電力・通信インフラ分野(通信編)

各通信キャリアが5Gエリア拡充を進めるなか、アンテナの施工性、保守性などを考慮した各種通信アンテナ用支持柱およびアンテナ取付金具の製品開発を行い、更なる提案を進めてまいります。更に、beyond5G(6G)も見据えて、顧客ニーズの変化に対応した製品の開発にも注力していきます。また、通信用鋼管鉄塔の鋼管内部のロボットを活用した腐食調査・補修システムの開発を引き続き行い、鋼管内部の腐食調査・補修システムに関しては試作品を用いて模擬塔や実機での検証を実施しております。

 

(3) 交通インフラ分野

中長期的に、道路関連では大深度地下の外環自動車道等の大型トンネル設備工事、交通関連では中央新幹線工事を今後も継続的に注目し、当社のコア技術を生かし、施工性の向上につながる技術提案を進めてまいります。また大学や法人などの外部研究機関と共同で表面処理技術の特性について調査を実施し、当社の表面処理技術を活用した製品の開発及び提案を行いました。既に製品化を達成している水素吸蔵合金タンクおよび空温式水素吸蔵合金システムに加え、デリバリータンクおよび水素充填・供給システムの製品化が完了し、販売促進に向けた活動を行っております。また、大学と共同研究で得られた解析手法を活用しながら、仕様の拡張や適用範囲の拡大などを進めており、本システムの開発を通じてカーボンニュートラルを目指した社会貢献に取り組んでまいります。